JP2017039794A - 樹脂組成物の製造方法、樹脂粒子の製造方法、及び樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合して成る複合ポリマーを含有し、且つ、加熱時変形の抑制度合いが小さい樹脂粒子を、例えば、懸濁重合のような水系媒体不均一系重合によって造粒性を損なわずに製造するための方法を提供する。【解決手段】 結晶性ポリマーとラジカル重合性モノマーと連鎖移動剤を含有する重合性組成物から、ラジカル重合によって樹脂組成物を形成させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法であって、前記結晶性ポリマーがラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性ポリマーであり、前記ラジカル重合性の官能基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基から選ばれ、前記連鎖移動剤が数平均分子量1000未満の低分子連鎖移動剤であることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。【選択図】 なし
Description
樹脂組成物、樹脂粒子の製造方法に関する。
樹脂粒子は、様々な産業分野で利用されている。インクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして樹脂粒子を利用する場合、保存安定性と低温定着性を並立させるという観点から、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーの混合物から成る樹脂粒子を用いることが提案されている(特許文献1)。しかし、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーの組み合わせが適切でない場合、加熱時に、これらのポリマーが2相にマクロ分離してしまい、樹脂粒子が十分な低温定着性を発揮しないことがあった。
この課題に対しては、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合して成る複合ポリマーを含有する樹脂粒子を用いる方法が有効である(特許文献2)。しかし、このような複合ポリマーは分子量が大きいため、例えば、懸濁重合のような水系媒体不均一系重合によって得られる樹脂粒子に含有させようとすると、重合性組成物の粘度上昇を生じ、樹脂粒子の造粒性を低下させてしまう場合があった。
上記のような造粒性の低下という課題に対しては、結晶性ポリマーがラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性ポリマーを用い、懸濁重合過程で複合ポリマーを樹脂粒子中に形成させる方法によって、解決できる可能性がある。しかし、このようにして得られる樹脂粒子は、内部に、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーから成る三次元網目構造を有するため、樹脂粒子の加熱時変形が抑制され、低温定着性が損なわれてしまう場合があった。
結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合して成る複合ポリマーを含有し、且つ、加熱時変形の抑制度合いが小さい樹脂粒子を、例えば、懸濁重合のような水系媒体不均一系重合によって造粒性を損なわずに製造する方法を提供する。
第一の発明は、
結晶性ポリマー、ラジカル重合性モノマー、および連鎖移動剤を含有する重合性組成物を用いて、ラジカル重合によって樹脂組成物を合成する樹脂組成物の製造方法であって、
前記結晶性ポリマーが、ラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性ポリマーであり、
前記ラジカル重合性の官能基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびスチリル基からなる群より選ばれる官能基であり、
前記連鎖移動剤が、数平均分子量1000未満である、
ことを特徴とする樹脂組成物の製造方法に関する。
結晶性ポリマー、ラジカル重合性モノマー、および連鎖移動剤を含有する重合性組成物を用いて、ラジカル重合によって樹脂組成物を合成する樹脂組成物の製造方法であって、
前記結晶性ポリマーが、ラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性ポリマーであり、
前記ラジカル重合性の官能基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびスチリル基からなる群より選ばれる官能基であり、
前記連鎖移動剤が、数平均分子量1000未満である、
ことを特徴とする樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明の第二の発明は、
複合ポリマーと非結晶性ポリマーとを含有する樹脂組成物であって、
前記複合ポリマーが、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合した分岐ポリマーであり、
前記樹脂組成物が、ビニリデン基を有することを特徴とする樹脂組成物に関する。
複合ポリマーと非結晶性ポリマーとを含有する樹脂組成物であって、
前記複合ポリマーが、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合した分岐ポリマーであり、
前記樹脂組成物が、ビニリデン基を有することを特徴とする樹脂組成物に関する。
本発明によれば、保存安定性と低温定着性に優れた樹脂組成物を得ることができる。また、それらの優れた特性を有しつつ、粒度分布がシャープな樹脂粒子を得ることができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
第一の発明は、結晶性ポリマー、ラジカル重合性モノマー、および連鎖移動剤を含有する重合性組成物を用いて、ラジカル重合によって樹脂組成物を合成する樹脂組成物の製造方法であって、
前記結晶性ポリマーが、ラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性ポリマーであり、
前記ラジカル重合性の官能基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびスチリル基からなる群より選ばれる官能基であり、
前記連鎖移動剤が、数平均分子量1000未満である、
ことを特徴とする樹脂組成物の製造方法に関するものである。
前記結晶性ポリマーが、ラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性ポリマーであり、
前記ラジカル重合性の官能基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびスチリル基からなる群より選ばれる官能基であり、
前記連鎖移動剤が、数平均分子量1000未満である、
ことを特徴とする樹脂組成物の製造方法に関するものである。
第一の発明における大きな特徴の1つは、前記重合性組成物中に、ラジカル重合性ポリマーを含有することにある。図1に、本発明のラジカル重合性ポリマーを用いて樹脂粒子を製造する場合の模式図を示している。また図2に、ラジカル重合性ポリマーの代わりに、結晶性ユニットとラジカル重合性モノマーからなるポリマーユニットとを有する非反応性複合ポリマーを用いて樹脂粒子を製造する場合の模式図を示している。但し、図1と図2には、図を単純化するために連鎖移動剤を図示していない。
図1の工程11は、ラジカル重合性ポリマー11とラジカル重合性モノマー14と連鎖移動剤を含有する重合性組成物1を水系媒体中に分散し、重合性組成物の懸濁液1を調製する工程である。図1の工程12は、工程11で調製した重合性組成物の懸濁液1をラジカル重合し、複合ポリマー15(ラジカル重合性ポリマーとラジカル重合性モノマーとが反応して形成されたポリマー)と複合ポリマーに由来するユニットを有さない非結晶性ポリマー18(ラジカル重合性モノマーのポリマー)を含有する樹脂組成物19からなる樹脂粒子が分散して成る分散液1を形成させる工程である。
図2の工程21は、非反応性複合ポリマー15とラジカル重合性モノマー14を含有する重合性組成物2を水性分散液中に分散し、重合性組成物の懸濁液2を調製する工程である。図2の工程22は、工程21で調製した重合性組成物の懸濁液2をラジカル重合し、非反応性複合ポリマー15と複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマー18(ラジカル重合性モノマーのポリマー)を含有する樹脂組成物19が分散して成る樹脂組成物の分散液2を形成させる工程である。
ラジカル重合性ポリマー14よりも複合ポリマー15は分子量が大きいため、重合性組成物1よりも重合性組成物2は粘度が高くなる。そして、重合性組成物を水系媒体中に分散する場合、重合性組成物の粘度が大きいほど重合性組成物の懸濁液の懸濁液滴の液滴径分布がブロードになることが知られている。このことより、懸濁液滴の液滴径分布がブロードな場合、ラジカル重合によって形成する樹脂粒子の粒径分布もブロードとなる可能性が高まる。よって、図1と異なり、図2では、樹脂粒子の造粒性を低下させるリスクが大きい。
本発明の製造方法におけるもう1つの大きな特徴は、重合性組成物が連鎖移動剤を含有する点にある。図3に、本発明の連鎖移動剤を含有する重合性組成物から樹脂組成物を形成させる場合の模式図を示している。また図4に、連鎖移動剤を含有しない樹脂組成物から樹脂組成物を形成させる場合の模式図を示している。連鎖移動剤20が分子量調整剤として作用する図3と異なり、図4では、分子量の大きい複合ポリマーや、複数の結晶性ポリマーが非結晶性ポリマーと化学結合して成る分子量の極めて大きい複合ポリマーが形成し易い。これらの特徴的な複合ポリマーは、樹脂組成物中で三次元網目構造として機能するため、樹脂組成物4は樹脂組成物3よりも加熱時変形が抑制されてしまうリスクが大きい。
本発明のラジカル重合性ポリマーについて説明する。本発明のラジカル重合性ポリマーは、結晶性ポリマーがラジカル重合性の官能基を有する化合物である。
本発明の結晶性ポリマーとは、融解温度を有する高分子化合物である。具体的には、昇温速度10℃/分での示差走査熱量分析において測定される吸熱ピークの半値幅が10℃以下である高分子化合物である。このような高分子化合物は、融解温度以上で急激に軟化するため、インクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合、保存安定性と低温定着性を並立し易いというメリットがある。
また、本発明の結晶性ポリマーは、DSC測定における最大吸熱ピークが60℃以上110℃以下に有することが、保存安定性と低温定着性とを両立させる観点から好ましい。また、この最大吸収ピークに係る結晶融解熱量ΔHmが50J/g以上であることが好ましい。
本発明では、結晶性ポリマーとして、側鎖に炭素数15個以上の長鎖アルキル基を有するアクリル系(メタクリル系も含む)の重合体や、結晶性ポリエステル等、従来公知の結晶性ポリマーを用いることができる。
本発明では、靱性や展延性の観点から、結晶性ポリマーとして結晶性ポリエステルを用いることが好ましい。結晶性ポリエステルとは、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸類と、多価アルコールの重縮合体や、ポリカプロラクトンのようなポリエステルの中で、上述の融解温度を有する高分子化合物である。インクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合、60℃以上110℃以下の融解温度を有する結晶性ポリエステルを本発明に適用することが好ましい。
また、本発明の結晶性ポリエステルは、下記一般式(1)、或いは、一般式(2)の少なくともどちらか一方で表わされるユニットを有する脂肪族ポリエステルであることが好ましい。このようなポリエステルは、主鎖が折りたたみ構造を形成し易く、結晶性を得られやすいためである。
(R1、R2、R3は、それぞれ独立して、炭素数2〜22の直鎖状のアルキル基、または炭素数2〜22の分岐状のアルキル基を表し、m、nは、それぞれ5〜150の整数を表す。)
さらに、本発明の結晶性ポリエステルは、一般式(1)、或いは、一般式(2)のアルキル基が直鎖状のアルキル基であることが好ましい。直鎖状のアルキル基は、分岐状のアルキル基よりも主鎖が折りたたみ構造を形成し易く、大きな結晶性を得られやすいためである。このような結晶性ポリエステルは、炭素数2〜22の脂肪族ジオールと炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸類を重縮合する方法、炭素数2〜22の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸を重縮合する方法、炭素数2〜22のラクトンを開環重合する方法等によって合成できるが、本発明の結晶性ポリエステルはこれらに限定されず、従来公知の方法によって合成することができる。
さらに、本発明の結晶性ポリエステルは、一般式(1)、或いは、一般式(2)のアルキル基が直鎖状のアルキル基であることが好ましい。直鎖状のアルキル基は、分岐状のアルキル基よりも主鎖が折りたたみ構造を形成し易く、大きな結晶性を得られやすいためである。このような結晶性ポリエステルは、炭素数2〜22の脂肪族ジオールと炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸類を重縮合する方法、炭素数2〜22の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸を重縮合する方法、炭素数2〜22のラクトンを開環重合する方法等によって合成できるが、本発明の結晶性ポリエステルはこれらに限定されず、従来公知の方法によって合成することができる。
炭素数2〜22の脂肪族ジオールとしては、特に限定はないが、直鎖状の脂肪族ジオールが好ましい。このような脂肪族ジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−イコサンジオール、1,21−ヘンイコサンジオール、1,22−ドコサンジオールなどが挙げられる。本発明の目的を達成可能な範囲において、結晶性ポリエステルを合成する際に、複数の多価アルコールを併用しても良い。複数の多価アルコールを併用する場合、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上が、炭素数2〜22の脂肪族ジオールであることが好ましい。
炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定はないが、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。このような脂肪族ジカルボン酸として、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,15−ペンタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,17−ヘプタデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、1,19−ノナデカンジカルボン酸、1,20−イコサンジカルボン酸、1,21−ヘンイコサンジカルボン酸、1,22−ドコサンジカルボン酸などが挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解物など¥も用いることができる。また、本発明の目的を達成可能な範囲において、結晶性ポリエステルを合成する際に、複数の多価カルボン酸を用いても良い。複数の多価カルボン酸を併用する場合、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上が、炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
炭素数2〜22の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸としては、特に限定はないが、直鎖状の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸が好ましい。このような脂肪族モノヒドロキシカルボン酸として、例えば、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシブタン酸、5−ヒドロキシペンタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、9−ヒドロキシノナン酸、10−ヒドロキシデカン酸、11−ヒドロキシウンデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、13−ヒドロキシトリデカン酸、14−ヒドロキシテトラデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、17−ヒドロキシヘプタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、19−ヒドロキシノナデカン酸、20−ヒドロキシイコサン酸、21−ヒドロキシヘンイコサン酸、22−ヒドロキシドコサン酸などが挙げられる。また、炭素数2から22のラクトンとしては、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、7−ヘプタノリド、8−オクタノリド、9−ノナノリド、10−デカノリド、11−ウンデカノリド、12−ドデカノリド、13−トリデカノリド、14−テトラデカノリド、15−ペンタデカノリド、16−ヘキサデカノリド、17−ヘプタデカノリド、18−オクタデカノリド、19−ノナデカノリドなどが挙げられる。本発明の目的を達成可能な範囲において、複数の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸、或いは、ラクトンを併用しても良い。複数の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸、或いは、ラクトンを併用する場合、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70%以上が、炭素数2〜22の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸、或いは、炭素数2〜22のラクトンを用いることが好ましい。
本発明の結晶性ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)によりスチレン換算として評価される分子量分布におけるメインピーク(ピーク分子量:Mp)が、3000〜50000であることが好ましい。上記範囲内であれば、主鎖が折りたたみ構造を形成しやすく、また、重合性組成物の粘度が過度に高くなることを抑制できる。
本発明のラジカル重合性ポリマーが有するラジカル重合性の官能基は、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基から選ばれる。これらの官能基は、後述のラジカル重合性モノマーと良好な共重合性を有し、ラジカル重合によって効率良く複合ポリマーを形成できるという利点を持つ。
結晶性ポリマーは、主鎖末端に、ラジカル重合性の官能基を有していることが好ましい。結晶性ポリマーが主鎖中にラジカル重合性の官能基を有する場合、主鎖の折りたたみ構造形成を阻害し、ラジカル重合性ポリマーの結晶性を損ねる場合がある。本発明のラジカル重合性ポリマーが有する官能基の数は、ラジカル重合性ポリマー1本当たり0.3個以上2.0個以下であることが好ましい。上記範囲内であることによって、樹脂組成物中に複合ポリマーとして存在する結晶性ポリマーの割合が適当になり、また、ラジカル重合によって図4のような特殊な複合ポリマーの発生を良好に抑制できる。なお、本発明のラジカル重合性ポリマーは、従来公知の方法によって合成することができる。
本発明のラジカル重合性ポリマーがラジカル重合性の官能基を有するか否かは、1H−NMRスペクトルからこれらの官能基に由来するピークを同定することによって確認できる。例えば、アクリロイル基の有無は、5.7〜6.2ppmのピークによって確認できる。メタクリロイル基の有無は、5.1〜5.6ppmのピークによって確認できる。スチリル基の有無は、6.5〜7.0ppmのピークによって確認できる。
連鎖移動剤とは、ラジカル重合の素反応の1つである連鎖移動反応に関与する化合物である。連鎖移動反応とは、ラジカル重合において、成長ポリマーの有するラジカルが別の化合物に移動する反応であり、別の化合物に移動したラジカルが再びモノマーを攻撃してラジカル重合を再開始するか否かは、後述する連鎖移動定数によって決定される。一般に、ポリマーの分子量を調整したり、ポリマーの主鎖末端に連鎖移動剤残基を導入したりする目的で用いられる。
本発明の連鎖移動剤は、数平均分子量1000以下の低分子連鎖移動剤である。図3と図4に示すように、本発明では樹脂組成物中に分子量の大きい複合ポリマーや分子量の極めて大きい複合ポリマーのような特殊な複合ポリマーが形成することを抑制する目的で連鎖移動剤を用いる。発明者等の検討によれば、このような特殊な複合ポリマーはラジカル重合後期において顕著に形成することがわかっており、拡散性に乏しい数平均分子量が1000より大きい連鎖移動剤では、発明者等が期待する効果は発現しない。拡散性の観点で言えば、数平均分子量500以下の低分子連鎖移動剤を用いることがより好ましい。
本発明の連鎖移動剤は、本発明のラジカル重合性モノマーに対する連鎖移動定数が0.01以上60以下であることが好ましい。連鎖移動定数とは、ラジカル重合の素反応の1つである成長反応の速度定数と、連鎖移動反応の速度定数で決まる値である。具体的には、連鎖移動反応の速度定数を成長反応の速度定数で割った値であり、連鎖移動定数が0.01以上60以下である連鎖移動剤はラジカル重合の再開始能力に優れており、本発明の目的と合致している。本発明の連鎖移動剤の連鎖移動定数のより好ましい範囲は、0.1以上10以下であり、さらに好ましい範囲は、0.1以上1以下である。連鎖移動定数が10より大きい連鎖移動剤はそのほとんどがラジカル重合前期に消費されてしまうため、連鎖移動定数が10以下の低分子連鎖移動剤と比較してラジカル重合後期に顕著に形成される特殊な複合ポリマーを抑制する能力が小さい。連鎖移動定数が1以下の連鎖移動剤は、ラジカル重合後期における未消費率が大きいため、ラジカル重合後期に顕著に形成される特殊な複合ポリマーを抑制する能力が高い。
本発明の連鎖移動剤は、本発明の目的を達成可能な範囲において従来公知の連鎖移動剤を適用可能である。以下に、本発明に適用可能な連鎖移動剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。連鎖移動定数が10より大きく60以下の連鎖移動剤の具体例として、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、イソペンチルメルカプタン、2−メチルブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、n−ペンタデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタンの如きアルキルメルカプタン類が挙げられる。連鎖移動定数が0.1より大きく10以下の連鎖移動剤の具体例として、メタクリル酸メチルダイマー、α−メチルスチレンダイマー、2−ブロモメチルアクリル酸メチル、ジフェニルジスルフィドが挙げられる。連鎖移動定数が0.01以上0.1以下の連鎖移動剤の具体例として、ブロモ酢酸、4−(ベンジルオキシ)フェノール、4−メトキシフェノールが挙げられる。
さらに、本発明の連鎖移動剤は、連鎖移動反応によってβ開裂を生じ、ビニリデン基を形成する連鎖移動剤であることが好ましい。これらの連鎖移動剤を用いると、樹脂組成物を構成する非結晶性ポリマーか複合ポリマー、或いは、その両方の主鎖末端にビニリデン基を導入することができ、樹脂組成物に重合性や反応性を付与できるという利点があるためである。連鎖移動反応によってβ開裂を生じ、ビニリデン基を形成する連鎖移動剤として、2−ブロモメチルアクリル酸メチルやメタクリル酸メチルダイマーが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。図5に、メタクリル酸メチルダイマーを例にして、連鎖移動剤が連鎖移動反応によってβ開裂を生じ、ビニリデン基を形成する化学反応を示している。成長ポリマー21が有するラジカル22が、連鎖移動剤であるメタクリル酸メチルダイマー23に移動し、成長ポリマー21の主鎖末端にメタクリル酸メチルダイマー23が付加する。次いで、α位とβ位の炭素−炭素結合の開裂が生じ、第3級のカルボラジカル25が脱離することで、成長ポリマー21の末端にビニリデン基24が形成する。
本発明における連鎖移動剤の使用量は、本発明の目的を達成可能な範囲において限定されないが、ラジカル重合開始剤に対して1mol%以上50mol%以下であることが好ましい。50mol%より多いと、ラジカル重合の重合転化率が低下する場合がある。1mol%より少ないと、連鎖移動剤による分子量調整作用が十分に機能せず、ラジカル重合によって、図4のように分子量の大きい複合ポリマーや分子量の極めて大きい複合ポリマーのような特殊な複合ポリマーが樹脂組成物中に顕著に形成される可能性がある。
本発明のラジカル重合性モノマーとしては、本発明の目的を達成可能な範囲において従来公知のラジカル重合性モノマーを用いることができる。中でも、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステルを主成分として用いることが好ましい。それ以外のモノマーとしては、例えば、アクリルニトリル、メタクリロニトリルやアクリルアミドなどが挙げられる。
スチレン、またはスチレン誘導体としては、特に限定はないが、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどが挙げられる。また、本発明の目的を達成可能な範囲において、本発明のラジカル重合性モノマーとして、スチレンとスチレン誘導体の両方、あるいは、複数のスチレン誘導体を用いても良い。
アクリル酸エステル、あるいはメタクリル酸エステルとしては、特に限定はないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。上記のような、化合物中に1個のラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性モノマー以外にも、本発明では、ジビニルベンゼンや1,6−ヘキサンジアクリレート、1,6−ヘキサンジメタクリレート等のように、化合物中に複数のラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性モノマーを用いることもできる。また、本発明では、複数のラジカル重合性モノマーを併用しても良い。
本発明のラジカル重合性モノマーとラジカル重合性ポリマーの使用量は、本発明の目的が達成可能な範囲において限定されないが、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して、3質量部以上40質量部以下のラジカル重合性ポリマーを使用することが好ましい。上記の割合であれば、重合性組成物の粘度の上昇を抑制でき、樹脂粒子の造粒性の低下を抑えることができ、また低温定着性を達成できる。
本発明の重合性組成物には、本発明の目的を達成可能な範囲において、ラジカル重合性ポリマーとラジカル重合性モノマーと連鎖移動剤以外の化合物を含有させることができる。具体的には、ラジカル重合開始剤や有機溶剤、分散助剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、本発明の目的を達成可能な範囲において、従来公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤や、ジベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、過酸化アセチル、過酸エステル(例えばt−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレートおよびt−ブチルペルオクテート)等の有機過酸化物系重合開始剤を例示することができる。また、アセトフェノン系やケタール系等の光ラジカル重合開始剤も適用可能である。ただし、本発明の目的を達成可能な範囲において、ラジカル重合開始剤はこれらに限定されない。また、ラジカル重合開始剤は1種類を使用しても良いし、複数を適宜混合して使用しても良い。
本発明のラジカル重合開始剤とラジカル重合性モノマーの使用量は、本発明の目的が達成可能な範囲において限定されないが、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。0.5質量部より少ないと、ラジカル重合の重合転化率が低下する場合がある。一方、20質量部より多いと、ラジカル重合に由来する重合熱が過剰に発生し、実験における安全管理が難しくなる場合がある。
ラジカル重合開始剤を本発明の重合性組成物に含有させるタイミングは、本発明の目的を達成可能な範囲において特に限定は無い。
本発明において、重合性組成物に含有させることができる有機溶剤は、本発明の目的を達成可能な範囲において限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン等のような、水に対する溶解性が低く、ラジカル重合性モノマーに対する溶解性が高い有機溶剤を用いることができる。有機溶剤は、単独で用いても良いし2種類以上を混合して用いても良い。
有機溶剤を本発明の重合性組成物に含有させるタイミングは、本発明の目的を達成可能な範囲において特に限定は無い。
本発明において、重合性組成物に含有させることができる分散助剤として、本発明の重合組成物に可溶で、且つ、カルボキシル基やリン酸基、スルホン酸基、及び、これらの金属塩に代表される荷電基を含有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、図1のように、重合性組成物を水系媒体に分散させて重合性組成物の分散液を得る際に、前記分散液の重合性組成物と水系媒体の界面に偏在して分散液の分散安定性を向上させる機能を有するため、本発明の目的を達成する上で有用な化合物と言える。本発明の分散助剤は、水に難溶、或いは、不溶であることが、前記分散液の分散安定性を向上させる上で好ましいことが発明者等の実験によってわかっている。
本発明において、分散助剤の可溶、不溶、難溶を判断する方法として、以下の溶解性試験を適用する。本発明のラジカル重合性モノマー、或いは、pH5〜9のイオン交換水に、分散助剤を3質量%になるように混合して混合液とし、80℃、24時間振とうしてから60℃まで降温し、24時間放置する。このとき、均一溶液として存在する場合を可溶、ゲルまたは粒状の外観を示す不完全溶解した状態を難溶、ゲルまたは膨潤がない状態を不溶と判断する。
分散助剤に用いるポリマーのピーク分子量は、GPCによりスチレン換算として評価される分子量分布におけるピーク分子量が、1000以上50000以下であることが好ましい。ピーク分子量が1000より小さい場合、図1のように重合性組成物を水系媒体に分散させて重合性組成物の分散液を得る際、前記分散液の重合性組成物と水系媒体の界面に偏在する能力が小さく、分散液の分散安定性を向上させることが難しい場合がある。また、ピーク分子量が50000より大きい場合、重合性組成物の粘度が上昇し、樹脂粒子の造粒性が低下する場合がある。
分散助剤を重合性組成物に含有させるタイミングは、本発明の目的を達成可能な範囲において特に限定は無い。
本発明の水系媒体は、水を主成分とする液体である。具体的には、水そのもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に分散剤を添加したもの等が挙げられる。図1における重合性組成物の分散液1の分散安定性を損なわない範囲において、水とアルコール類などの水溶性有機溶剤の混合液体を用いても良い。但し、本発明の水系媒体は、本発明の目的を達成可能な範囲においてこれらに限定されない。
本発明の水系媒体に用いることのできるpH調整剤は、本発明の目的を達成可能な範囲において特に限定されないが、例えば、塩酸等のように水に溶解させると酸性を呈する化合物、水酸化ナトリウム等のように水に溶解させるとアルカリ性を呈する化合物等が挙げられる。
水系媒体に用いることのできる分散剤は、本発明の目的を達成可能な範囲において特に限定されないが、例えば、アニオン性低分子界面活性剤、カチオン性低分子界面活性剤、ノニオン性低分子界面活性剤、アニオン性高分子分散剤、カチオン性高分子分散剤、ノニオン性高分子分散剤、無機分散剤等が挙げられる。これらの中でも、無機分散剤は、分散安定化効果が大きく、温度変化に対しても優れた安定性を示すことから好ましい。また、無機分散剤を使用することは、目的物である樹脂粒子の分離・精製を容易にすることができるという観点からも好ましい。このような無機分散剤として、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等が挙げられる。
本発明の樹脂粒子の製造方法において、重合性組成物が水系媒体中に分散された分散液を形成させる方法は、従来公知の攪拌・せん断方法を用いることができる。例えば、高せん断型ホモミキサーや超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、薄膜旋回型高速ミキサー等の機械的エネルギー付与に基づいて分散液を形成させる方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらの方法は、単独で用いることも、複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明において、ラジカル重合を誘起する方法は、一般的なラジカル重合を誘起する方法と同様であり、具体的に、加熱や光照射、還元剤添加等、従来公知の方法を適用することができる。中でも加熱は、作業性や化学反応の制御性という観点から優れており、好ましい。加熱により成長期を誘起する場合、少なくとも1種類のラジカル重合開始剤の10時間半減温度以上、且つ10時間半減温度より30℃高温以下の範囲で加熱することが好ましい。さらに好ましくは、10時間半減温度以上、且つ10時間半減温度より20℃高温以下の範囲で加熱することである。10時間半減温度より30℃高温より高い温度で加熱すると、重合反応の制御性が著しく損なわれる場合がある。また、10時間半減温度より低い温度で加熱する場合、重合工程に係る作業時間が極めて長くなるため、重合反応の制御性と作業効率の観点から好ましくない。本発明の重合工程において、加熱する温度を、昇温、或いは降温しても良い。また、ラジカル重合の途中で、ラジカル重合開始剤を追加投入しても良い。
第二の発明は、複合ポリマーと非結晶性ポリマーとを含有する樹脂組成物であって、
前記複合ポリマーが、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合した分岐ポリマーであり、
前記樹脂組成物が、ビニリデン基を有することを特徴とする樹脂組成物に関するものである。
前記複合ポリマーが、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合した分岐ポリマーであり、
前記樹脂組成物が、ビニリデン基を有することを特徴とする樹脂組成物に関するものである。
第一の発明において、連鎖移動剤として、ラジカル重合によってβ開裂し、ビニリデン基を形成する化合物を用いた場合に、得られる樹脂組成物が、第二の発明の樹脂組成物である。
本発明の非結晶性ポリマーは、第一の発明における、ラジカル重合性モノマーが反応して形成されるポリマーである。本発明の目的を達成可能な範囲において特に限定されない。本発明の樹脂組成物を、例えばインクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する際に保存安定性と低温定着性を並立させる場合には、ピーク分子量とガラス転移温度において以下の範囲の非結晶性ポリマーであることが好ましい。ピーク分子量は、2000以上50000以下であり、さらに好ましくは、2000以上30000以下である。また、ガラス転移温度は、50℃以上で110℃以下であり、さらに好ましくは、55℃以上75℃以下である。
本発明において、非結晶性ポリマーのピーク分子量、及び、ガラス転移温度を取得するに際し、以下の方法によって樹脂組成物から抽出される複合ポリマーに由来するユニットを有さない非結晶性ポリマーを用いる。樹脂組成物とアセトンを混合し、40℃で30分間攪拌して混合液とした後、この混合液を室温まで降温した後に遠心分離して、アセトン可溶成分である複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーを含有する上澄み液を回収する。この上澄み液から減圧乾燥によってアセトンを除去することにより、ピーク分子量、及び、ガラス転移温度を取得するための非結晶性ポリマーを得る。
本発明の分岐ポリマーとは、幹となるポリマーに、異種の枝ポリマーが化学結合した枝分かれ構造を有するグラフトポリマーであり、デンドリマーやハイパーブランチポリマーのような多数の枝を有する多分岐ポリマーも含まれる。本発明の分岐ポリマーでは、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーの何れが幹、或いは、枝を構成しても良い。
本発明の複合ポリマーの分子量は、本発明の目的を達成可能な範囲において限定はないが、ピーク分子量が5000以上200000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがさらに好ましい。複合ポリマーは、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合して成る分岐ポリマーであり、ピーク分子量が5000未満だと、前記結晶性ポリマーの主鎖が折りたたみ構造を形成し難くなり、結晶性が低下する場合がある。一方、ピーク分子量が100000より大きい場合、複合ポリマー同士の絡み合いが顕著になり、樹脂組成物中に疑似的な三次元網目構造が形成されるため、樹脂組成物の加熱時変形の抑制度合が大きくなる場合がある。本発明の複合ポリマーの分子量は、展開溶媒としてクロロホルムを用いた場合のGPC測定におけるメインピークであり、ポリスチレン換算で算出される値である。
樹脂組成物中に含有される複合ポリマーは、複合ポリマーに由来するユニットを有さない非結晶性ポリマー100質量部に対して5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。5質量部より少ないと、本発明の樹脂組成物をインクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合に、十分に低温定着性を発揮できないことがある。一方、60質量部より多いと、複合ポリマー同士の絡み合いが顕著になり、樹脂組成物中に疑似的な三次元網目構造が形成されるため、樹脂組成物の加熱時変形の抑制度合が大きくなる場合がある。但し、本発明の目的が達成可能な範囲において、樹脂組成物中に含有される複合ポリマーと複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーの割合は上記に限定されない。
樹脂組成物中に含有される複合ポリマーと、複合ポリマーに由来するユニットを有さない非結晶性ポリマーの割合は、以下の方法によって評価することができる。樹脂組成物とアセトンを混合し、40℃で30分間攪拌して混合液とした後、この混合液を室温まで降温した後に遠心分離して、アセトン可溶成分である複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーを含有する上澄み液と、複合ポリマーに由来する沈殿物をそれぞれ回収する。この上澄み液と沈殿物から減圧乾燥によってアセトンを除去し、複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーと、複合ポリマーを得た後、それぞれの質量を測定する。
本発明の樹脂組成物は、1H−NMRスペクトルにおいて5.1〜5.4ppmと、5.6〜5.9ppmにピークを示すビニリデン基を含有することが好ましい。このビニリデン基は、本発明の重合性組成物をラジカル重合して樹脂組成物を得る際、連鎖移動反応によってβ開裂を生じ、ビニリデン基を形成する連鎖移動剤を用いる場合に、非結晶性ポリマーか複合ポリマー、或いは、その両方に導入されるビニリデン基に由来する。このようなビニリデン基を有する樹脂組成物には、その重合性や反応性を利用して様々な機能を付与することができる。例えば、このような樹脂組成物を、インクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合、加熱定着時にビニリデン基に由来する重合反応が誘起されて、形成する画像に堅牢性を付与できるという利点を期待することができる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を達成可能な範囲において、本発明の複合ポリマーや非結晶性ポリマー以外の化合物を含有しても良い。
本発明の樹脂粒子は、本発明の樹脂組成物から成る樹脂粒子である。樹脂粒子をインクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合、本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は0.05μm以上8μm以下であり、体積平均粒子径を数平均粒子径で割った値として定義される粒径分布指数は1.0以上1.4以下であることが好ましい。
本以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(分子量の測定方法)
本分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製 HLC−8120GPC、カラム:同社製 TSKgel G2000HXL/G3000HXL/G4000HXL)を用い、展開溶媒をクロロホルムとしてポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、或いは、ピーク分子量(Mp)を測定した。
本分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製 HLC−8120GPC、カラム:同社製 TSKgel G2000HXL/G3000HXL/G4000HXL)を用い、展開溶媒をクロロホルムとしてポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、或いは、ピーク分子量(Mp)を測定した。
(DSCによる半値幅の測定方法)
本晶性ポリエステル、ブロックポリマー、及びワックスの融点は、DSC 7020(セイコーインスツル株式会社製)を使用して以下の条件にて測定を行った。
・昇温速度:10℃/min
・測定開始温度:20℃
・測定終了温度:200℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約3mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、リファレンスとして空の銀製のパンを用い、測定する。測定は、一度200℃まで昇温させ、続いて20℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。1度目の昇温過程において、温度20℃から200℃の範囲におけるDSC曲線の最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。前記最大吸熱ピークとは、ピークが複数存在する場合には、最も吸熱量の大きいピークをいう。更に、前記最大吸熱ピークのピーク高さの半値の温度幅を半値幅(℃)とする。
本晶性ポリエステル、ブロックポリマー、及びワックスの融点は、DSC 7020(セイコーインスツル株式会社製)を使用して以下の条件にて測定を行った。
・昇温速度:10℃/min
・測定開始温度:20℃
・測定終了温度:200℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約3mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、リファレンスとして空の銀製のパンを用い、測定する。測定は、一度200℃まで昇温させ、続いて20℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。1度目の昇温過程において、温度20℃から200℃の範囲におけるDSC曲線の最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。前記最大吸熱ピークとは、ピークが複数存在する場合には、最も吸熱量の大きいピークをいう。更に、前記最大吸熱ピークのピーク高さの半値の温度幅を半値幅(℃)とする。
(結晶性ポリエステルAの合成)
・1,12−ドデカンジオール:100質量部
・セバシン酸:90.9質量部
上記の原料を三口フラスコに仕込んだ。本減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で160℃のオイルバスに浸けた。原料が融解後、オルトチタン酸テトラブチル0.17質量部を系内に加え、メカニカルスターラーにより3時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて180℃まで徐々に昇温し、更に4時間保持した。粘稠な状態となったところで加熱を停止し、系内に窒素を導入して冷却し、反応を停止させた。系内にクロロホルムを加えて生成物を溶解し、これを大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、結晶性ポリエステルA(ピーク分子量(Mp):30800)を合成した。
・1,12−ドデカンジオール:100質量部
・セバシン酸:90.9質量部
上記の原料を三口フラスコに仕込んだ。本減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で160℃のオイルバスに浸けた。原料が融解後、オルトチタン酸テトラブチル0.17質量部を系内に加え、メカニカルスターラーにより3時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて180℃まで徐々に昇温し、更に4時間保持した。粘稠な状態となったところで加熱を停止し、系内に窒素を導入して冷却し、反応を停止させた。系内にクロロホルムを加えて生成物を溶解し、これを大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、結晶性ポリエステルA(ピーク分子量(Mp):30800)を合成した。
(ラジカル重合性ポリマー1の合成)
・結晶性ポリエステルA:100質量部
・1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩:15.3質量部
上記の原料を二口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で脱水クロロホルム100質量部を加えた。フラスコをアイスバスに浸け、アクリル酸5.8質量部とN,N−ジメチルアミノピリジン0.98質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、ラジカル重合性の官能基としてアクリロイル基を有するラジカル重合性ポリマー1(ピーク分子量(Mp):31500)を合成した。重クロロホルムを用いて取得した1−NMRスペクトルを用いて評価したアクリロイル基由来のピーク積分値とGPCを用いて評価した数平均分子量から、1本のラジカル重合性ポリマーに対して1.2個のアクリロイル基を有することを算出した。
・結晶性ポリエステルA:100質量部
・1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩:15.3質量部
上記の原料を二口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で脱水クロロホルム100質量部を加えた。フラスコをアイスバスに浸け、アクリル酸5.8質量部とN,N−ジメチルアミノピリジン0.98質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、ラジカル重合性の官能基としてアクリロイル基を有するラジカル重合性ポリマー1(ピーク分子量(Mp):31500)を合成した。重クロロホルムを用いて取得した1−NMRスペクトルを用いて評価したアクリロイル基由来のピーク積分値とGPCを用いて評価した数平均分子量から、1本のラジカル重合性ポリマーに対して1.2個のアクリロイル基を有することを算出した。
(ラジカル重合性ポリマー2の合成)
・結晶性ポリエステルA:100質量部
・1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩:15.3質量部
上記の原料を二口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で脱水クロロホルム100質量部を加えた。フラスコをアイスバスに浸け、メタクリル酸6.9質量部とN,N−ジメチルアミノピリジン0.98質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、ラジカル重合性の官能基としてメタクリロイル基を有するラジカル重合性ポリマー2(ピーク分子量(Mp):32000)を合成した。重クロロホルムを用いて取得した1−NMRスペクトルを用いて評価したメタクリロイル基由来のピーク積分値とGPCを用いて評価した数平均分子量から、1本のラジカル重合性ポリマー2に対して1.1個のメタクリロイル基を有することを算出した。
・結晶性ポリエステルA:100質量部
・1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩:15.3質量部
上記の原料を二口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で脱水クロロホルム100質量部を加えた。フラスコをアイスバスに浸け、メタクリル酸6.9質量部とN,N−ジメチルアミノピリジン0.98質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、ラジカル重合性の官能基としてメタクリロイル基を有するラジカル重合性ポリマー2(ピーク分子量(Mp):32000)を合成した。重クロロホルムを用いて取得した1−NMRスペクトルを用いて評価したメタクリロイル基由来のピーク積分値とGPCを用いて評価した数平均分子量から、1本のラジカル重合性ポリマー2に対して1.1個のメタクリロイル基を有することを算出した。
(ラジカル重合性ポリマー3の合成)
・結晶性ポリエステル1:100質量部
・N,N−ジメチルホルムアミド:100質量部
上記の原料を二口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態でフラスコをアイスバスに浸け、水素化ナトリウム(60%)3.2質量部と4−ビニルベンジルクロリド12.2質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、ラジカル重合性の官能基としてスチリル基を有するラジカル重合性ポリマー3(ピーク分子量(Mp):31200)を合成した。重クロロホルムを用いて取得した1−NMRスペクトルを用いて評価したスチリル基由来のピーク積分値とGPCを用いて評価した数平均分子量から、1本のラジカル重合性ポリマー3に対して0.9個のスチリル基を有することを算出した。
・結晶性ポリエステル1:100質量部
・N,N−ジメチルホルムアミド:100質量部
上記の原料を二口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態でフラスコをアイスバスに浸け、水素化ナトリウム(60%)3.2質量部と4−ビニルベンジルクロリド12.2質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、ラジカル重合性の官能基としてスチリル基を有するラジカル重合性ポリマー3(ピーク分子量(Mp):31200)を合成した。重クロロホルムを用いて取得した1−NMRスペクトルを用いて評価したスチリル基由来のピーク積分値とGPCを用いて評価した数平均分子量から、1本のラジカル重合性ポリマー3に対して0.9個のスチリル基を有することを算出した。
(連鎖移動剤1の合成)
封止した容器中、メタクリル酸メチルをトルエン中に溶解し、触媒としてコバルト(III)錯体(等)共存下で、60℃、30時間加熱する。その後、反応液をシリカゲルのカラムで精製後、蒸留法で分留することで数平均分子量200の連鎖移動剤1を得た。化合物の同定はNMR を用いて行った。(文献:Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,Vol 32,2745−2754(1994)参照)
(ポリスチレン1、2、3の合成)
・スチレン:204質量部
・VA057(和光純薬工業):20質量部
・エタノール/トルエン混合溶媒:300質量部
三口フラスコに以下の原料を仕込んだ。次いで、窒素バブリングにより系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で70℃で3時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール/トルエン混合溶媒中へ注ぎ入れた。析出物を回収し、真空乾燥を行うことで、ポリスチレンを得た。ここで上記メタノール/トルエン混合溶媒のメタノールとトルエンの比率を任意に変更して析出物を回収する実験操作を行うことにより、数平均分子量の異なるポリスチレン1(数平均分子量(Mn):2000)、ポリスチレン2(数平均分子量(Mn):1100)、ポリスチレン3(数平均分子量(Mn):600)を得た。
封止した容器中、メタクリル酸メチルをトルエン中に溶解し、触媒としてコバルト(III)錯体(等)共存下で、60℃、30時間加熱する。その後、反応液をシリカゲルのカラムで精製後、蒸留法で分留することで数平均分子量200の連鎖移動剤1を得た。化合物の同定はNMR を用いて行った。(文献:Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,Vol 32,2745−2754(1994)参照)
(ポリスチレン1、2、3の合成)
・スチレン:204質量部
・VA057(和光純薬工業):20質量部
・エタノール/トルエン混合溶媒:300質量部
三口フラスコに以下の原料を仕込んだ。次いで、窒素バブリングにより系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で70℃で3時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール/トルエン混合溶媒中へ注ぎ入れた。析出物を回収し、真空乾燥を行うことで、ポリスチレンを得た。ここで上記メタノール/トルエン混合溶媒のメタノールとトルエンの比率を任意に変更して析出物を回収する実験操作を行うことにより、数平均分子量の異なるポリスチレン1(数平均分子量(Mn):2000)、ポリスチレン2(数平均分子量(Mn):1100)、ポリスチレン3(数平均分子量(Mn):600)を得た。
(連鎖移動剤2の合成)
・ポリスチレン1:100質量部
・1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩:47.9質量部
上記原料を二口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で脱水クロロホルム100質量部を加えた。フラスコをアイスバスに浸け、3−メルカプト−1−プロパノール23.0質量部とN,N−ジメチルアミノピリジン3.1質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、連鎖移動剤2(ピーク分子量(Mp):2200)を合成した。
・ポリスチレン1:100質量部
・1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩:47.9質量部
上記原料を二口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で脱水クロロホルム100質量部を加えた。フラスコをアイスバスに浸け、3−メルカプト−1−プロパノール23.0質量部とN,N−ジメチルアミノピリジン3.1質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、連鎖移動剤2(ピーク分子量(Mp):2200)を合成した。
(連鎖移動剤3の合成)
ポリスチレン1の代わりにポリスチレン2を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を76.7質量、3−メルカプト−1−プロパノールを36.9質量部、N,N−ジメチルアミノピリジンを4.9質量部にした以外は連鎖移動剤2と同様にして、連鎖移動剤3(ピーク分子量(Mp):1200)を合成した。
ポリスチレン1の代わりにポリスチレン2を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を76.7質量、3−メルカプト−1−プロパノールを36.9質量部、N,N−ジメチルアミノピリジンを4.9質量部にした以外は連鎖移動剤2と同様にして、連鎖移動剤3(ピーク分子量(Mp):1200)を合成した。
(連鎖移動剤4の合成)
ポリスチレン1の代わりにポリスチレン3を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を 124.6質量部、3−メルカプト−1−プロパノールを60.0質量部、N,N−ジメチルアミノピリジンを7.9質量部にした以外は連鎖移動剤2と同様にして、連鎖移動剤4(ピーク分子量(Mp):800)を合成した。
ポリスチレン1の代わりにポリスチレン3を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を 124.6質量部、3−メルカプト−1−プロパノールを60.0質量部、N,N−ジメチルアミノピリジンを7.9質量部にした以外は連鎖移動剤2と同様にして、連鎖移動剤4(ピーク分子量(Mp):800)を合成した。
(分散助剤の合成)
攪拌機、冷却管、温度計、窒素導入管の付いた500mlフラスコに100gのトルエン、100gのスチレン、4.0gのメタクリル酸、0.5gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を仕込んだ。攪拌、窒素導入下、60℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、析出物をろ過収集した。次いで、40℃で減圧乾燥することによって分散助剤(ピーク分子量:12000)を得た。
攪拌機、冷却管、温度計、窒素導入管の付いた500mlフラスコに100gのトルエン、100gのスチレン、4.0gのメタクリル酸、0.5gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を仕込んだ。攪拌、窒素導入下、60℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、析出物をろ過収集した。次いで、40℃で減圧乾燥することによって分散助剤(ピーク分子量:12000)を得た。
(樹脂粒子のキャラクタリゼーション)
<造粒性の評価>
「コールター・カウンターMultisizer 3」の重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)の値を造粒性の指標として評価した。本発明では、GoodとFairを造粒性が良好であると判断し、Badを造粒性が不良であると判断した。
Good:1.20未満
Fair:1.20以上1.40未満
Bad:1.40以上
<造粒性の評価>
「コールター・カウンターMultisizer 3」の重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)の値を造粒性の指標として評価した。本発明では、GoodとFairを造粒性が良好であると判断し、Badを造粒性が不良であると判断した。
Good:1.20未満
Fair:1.20以上1.40未満
Bad:1.40以上
<加熱時変形性の評価>
加熱時変形性は、4MPaでペレット状に成形した樹脂粒子を用い、レオメーターであるAR2000ex(ティー・エイ・インスツルメント製)を使用し、温度に対する損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の変化から算出される損失正接tanδ(=G”/G’)の100℃における値を用いて評価した。本発明では、AからCを加熱時の変形しやすさが良好であると判断し、Dを不良であると判断した。
A:1.9以上
B:1.6以上1.9未満
C:1.3以上1.6未満
D:1.3未満
加熱時変形性は、4MPaでペレット状に成形した樹脂粒子を用い、レオメーターであるAR2000ex(ティー・エイ・インスツルメント製)を使用し、温度に対する損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の変化から算出される損失正接tanδ(=G”/G’)の100℃における値を用いて評価した。本発明では、AからCを加熱時の変形しやすさが良好であると判断し、Dを不良であると判断した。
A:1.9以上
B:1.6以上1.9未満
C:1.3以上1.6未満
D:1.3未満
[実施例1]
130gのイオン交換水に、2.53gのリン酸カルシウムを添加し、ホモミキサーを用いて、10,000rpmにて攪拌し、水系媒体を調製した。
130gのイオン交換水に、2.53gのリン酸カルシウムを添加し、ホモミキサーを用いて、10,000rpmにて攪拌し、水系媒体を調製した。
次に、
・スチレン 15.4g
・n−ブチルアクリレート 3.8g
・ジビニルベンゼン 0.3g
・ラジカル重合性ポリマー1 3.9g
・重合開始剤V−65(2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル))
0.7g
・分散助剤 1.3g
・連鎖移動剤1 0.08g
を混合して重合性組成物を調製した。この重合性組成物を先に調製した水系媒体と混合し、室温下、10,000rpmで攪拌することによって、重合性組成物の懸濁液を調製した。この懸濁液を300ml三ツ口フラスコに入れ、200rpmで攪拌しながら30分間窒素バブリングした後、70℃で8時間保持することにより、樹脂組成物の分散液を調製した。最後に、樹脂組成物の分散液に濃塩酸を加えた後、濾過洗浄と減圧乾燥を行い、パウダー状の樹脂粒子1を回収した。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子1のキャラクタリゼーションをまとめた。樹脂粒子1を重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRを測定したところ、ビニリデン基構造に由来する5.7ppmと5.2ppmのピークが観察された。
・スチレン 15.4g
・n−ブチルアクリレート 3.8g
・ジビニルベンゼン 0.3g
・ラジカル重合性ポリマー1 3.9g
・重合開始剤V−65(2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル))
0.7g
・分散助剤 1.3g
・連鎖移動剤1 0.08g
を混合して重合性組成物を調製した。この重合性組成物を先に調製した水系媒体と混合し、室温下、10,000rpmで攪拌することによって、重合性組成物の懸濁液を調製した。この懸濁液を300ml三ツ口フラスコに入れ、200rpmで攪拌しながら30分間窒素バブリングした後、70℃で8時間保持することにより、樹脂組成物の分散液を調製した。最後に、樹脂組成物の分散液に濃塩酸を加えた後、濾過洗浄と減圧乾燥を行い、パウダー状の樹脂粒子1を回収した。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子1のキャラクタリゼーションをまとめた。樹脂粒子1を重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRを測定したところ、ビニリデン基構造に由来する5.7ppmと5.2ppmのピークが観察された。
[実施例2]
実施例1における連鎖移動剤1の代わりに0.07gのα−ブロモメチルアクリル酸メチル(シグマーアルドリッチ社製)を用いた以外は同様にして樹脂粒子2を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子2のキャラクタリゼーションをまとめた。樹脂粒子2を重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRを測定したところ、ビニリデン基構造に由来する5.7ppmと5.2ppmのピークが観察された。
実施例1における連鎖移動剤1の代わりに0.07gのα−ブロモメチルアクリル酸メチル(シグマーアルドリッチ社製)を用いた以外は同様にして樹脂粒子2を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子2のキャラクタリゼーションをまとめた。樹脂粒子2を重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRを測定したところ、ビニリデン基構造に由来する5.7ppmと5.2ppmのピークが観察された。
[実施例3]
実施例1における連鎖移動剤1の代わりにn−ドデシルメルカプタン(シグマーアルドリッチ社製)を用いた以外は同様にして樹脂粒子3を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子3のキャラクタリゼーションをまとめた。
実施例1における連鎖移動剤1の代わりにn−ドデシルメルカプタン(シグマーアルドリッチ社製)を用いた以外は同様にして樹脂粒子3を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子3のキャラクタリゼーションをまとめた。
[実施例4]
実施例3におけるラジカル重合性ポリマー1の代わりにラジカル重合性ポリマー2を用いた以外は同様にして、樹脂粒子4を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子4のキャラクタリゼーションをまとめた。
実施例3におけるラジカル重合性ポリマー1の代わりにラジカル重合性ポリマー2を用いた以外は同様にして、樹脂粒子4を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子4のキャラクタリゼーションをまとめた。
[実施例5]
実施例3におけるラジカル重合性ポリマー1の代わりにラジカル重合性ポリマー3を用いた以外は同様にして、樹脂粒子5を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子5のキャラクタリゼーションをまとめた。
実施例3におけるラジカル重合性ポリマー1の代わりにラジカル重合性ポリマー3を用いた以外は同様にして、樹脂粒子5を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子5のキャラクタリゼーションをまとめた。
[実施例6]
実施例1における連鎖移動剤1の代わりに0.32gの連鎖移動剤4を用いた以外は同様にして樹脂粒子6を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子6のキャラクタリゼーションをまとめた。
実施例1における連鎖移動剤1の代わりに0.32gの連鎖移動剤4を用いた以外は同様にして樹脂粒子6を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子6のキャラクタリゼーションをまとめた。
[比較例1]
・ラジカル重合性ポリマー1 10g
・スチレン 5.1g
・ノルマルブチルアクリレート 1.2g
・ルペロックス11 0.53g
を100gのトルエンに溶解させ、溶解液とした。次に、この溶解液を200rpmで攪拌しながら30分間窒素バブリングした後、75℃で8時間保持した。その後、この溶解液を大量のメタノールに注ぐことで得られる析出物を回収し、この析出物を減圧乾燥した。さらに、この析出物をアセトンと混合して混合物とし、この混合物を40℃で30分間攪拌した後に遠心分離し、沈殿物を回収した。この沈殿物を減圧乾燥してピーク分子量63000の複合ポリマー1を得た。
・ラジカル重合性ポリマー1 10g
・スチレン 5.1g
・ノルマルブチルアクリレート 1.2g
・ルペロックス11 0.53g
を100gのトルエンに溶解させ、溶解液とした。次に、この溶解液を200rpmで攪拌しながら30分間窒素バブリングした後、75℃で8時間保持した。その後、この溶解液を大量のメタノールに注ぐことで得られる析出物を回収し、この析出物を減圧乾燥した。さらに、この析出物をアセトンと混合して混合物とし、この混合物を40℃で30分間攪拌した後に遠心分離し、沈殿物を回収した。この沈殿物を減圧乾燥してピーク分子量63000の複合ポリマー1を得た。
次いで、130gのイオン交換水に、2.53gのリン酸カルシウムを添加し、ホモミキサーを用いて、10,000rpmにて攪拌し、水系媒体を調製した。
次に、
・スチレン 15.4g
・n−ブチルアクリレート 3.8g
・ジビニルベンゼン 0.3g
・複合ポリマー1 8.0g
・トルエン 5.0g
・2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.7g
・分散助剤1 1.3g
を混合して重合性組成物を調製した。この重合性組成物を先に調製した水系媒体と混合し、室温下、10,000rpmで攪拌することによって、重合性組成物の懸濁液を調製した。この懸濁液を300ml三ツ口フラスコに入れ、200rpmで攪拌しながら30分間窒素バブリングした後、70℃で8時間保持することにより、樹脂組成物の分散液を調整した。最後に、樹脂組成物の分散液に濃塩酸を加えた後、濾過洗浄と減圧乾燥を行い、パウダー状の樹脂粒子7を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子7のキャラクタリゼーションをまとめた。
・スチレン 15.4g
・n−ブチルアクリレート 3.8g
・ジビニルベンゼン 0.3g
・複合ポリマー1 8.0g
・トルエン 5.0g
・2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.7g
・分散助剤1 1.3g
を混合して重合性組成物を調製した。この重合性組成物を先に調製した水系媒体と混合し、室温下、10,000rpmで攪拌することによって、重合性組成物の懸濁液を調製した。この懸濁液を300ml三ツ口フラスコに入れ、200rpmで攪拌しながら30分間窒素バブリングした後、70℃で8時間保持することにより、樹脂組成物の分散液を調整した。最後に、樹脂組成物の分散液に濃塩酸を加えた後、濾過洗浄と減圧乾燥を行い、パウダー状の樹脂粒子7を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子7のキャラクタリゼーションをまとめた。
[比較例2]
実施例1における連鎖移動剤1を除いた以外は同様にして、樹脂粒子8を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子8のキャラクタリゼーションをまとめた。
実施例1における連鎖移動剤1を除いた以外は同様にして、樹脂粒子8を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子8のキャラクタリゼーションをまとめた。
[比較例3]
実施例1における連鎖移動剤1の代わりに0.80gの連鎖移動剤3を用いた以外は同様にして、樹脂粒子9を得た。表1に、重合性組成物と樹脂粒子9のキャラクタリゼーションをまとめた。
実施例1における連鎖移動剤1の代わりに0.80gの連鎖移動剤3を用いた以外は同様にして、樹脂粒子9を得た。表1に、重合性組成物と樹脂粒子9のキャラクタリゼーションをまとめた。
[比較例4]
実施例1における連鎖移動剤1の代わりに0.40gの連鎖移動剤2を用いた以外は同様にして、樹脂粒子10を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子10のキャラクタリゼーションをまとめた。
実施例1における連鎖移動剤1の代わりに0.40gの連鎖移動剤2を用いた以外は同様にして、樹脂粒子10を得た。表1に、重合性組成物の組成と樹脂粒子10のキャラクタリゼーションをまとめた。
11 ラジカル重合性ポリマー
12 結晶性ポリマー
13 ラジカル重合性の官能基
14 ラジカル重合性モノマー
15 複合ポリマー
16 複合ポリマーに由来する非結晶性ポリマー
17 複合ポリマーが有する結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーの化学結合
18 複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマー
19 樹脂組成物
20 連鎖移動剤
21 成長ポリマー
22 ラジカル
23 メタクリル酸メチルダイマー
24 ビニリデン基
25 第3級のカルボラジカル
12 結晶性ポリマー
13 ラジカル重合性の官能基
14 ラジカル重合性モノマー
15 複合ポリマー
16 複合ポリマーに由来する非結晶性ポリマー
17 複合ポリマーが有する結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーの化学結合
18 複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマー
19 樹脂組成物
20 連鎖移動剤
21 成長ポリマー
22 ラジカル
23 メタクリル酸メチルダイマー
24 ビニリデン基
25 第3級のカルボラジカル
Claims (10)
- 結晶性ポリマー、ラジカル重合性モノマー、および連鎖移動剤を含有する重合性組成物を用いて、ラジカル重合によって樹脂組成物を合成する樹脂組成物の製造方法であって、
前記結晶性ポリマーが、ラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性ポリマーであり、
前記ラジカル重合性の官能基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびスチリル基からなる群より選ばれる官能基であり、
前記連鎖移動剤が、数平均分子量1000未満である、
ことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。 - 前記結晶性ポリマーが、
(1)結晶性ポリエステルであり、
(2)示差走査熱量分析により測定される吸熱ピークを有し、前記吸熱ピークの半値幅が10℃以下である、
請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。 - 前記連鎖移動剤の連鎖移動定数が、前記ラジカル重合性モノマーに対して0.1以上10以下である、請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記連鎖移動剤が、ラジカル重合によってβ開裂し、ビニリデン基を形成する化合物である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記結晶性ポリマーが、主鎖末端に、前記ラジカル重合性の官能基を有している、請求項1乃至5の何れか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 結晶性ポリマー、ラジカル重合性モノマー、および連鎖移動剤を含有する重合性組成物を水系媒体中に分散させて、前記重合性組成物の粒子を有する懸濁液を調製し、ラジカル重合によって樹脂組成物の粒子を形成する樹脂粒子の製造方法であって、
前記結晶性ポリマーが、ラジカル重合性の官能基を有するラジカル重合性ポリマーであり、
前記ラジカル重合性の官能基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびスチリル基からなる群より選ばれる官能基であり、
前記連鎖移動剤が、数平均分子量1000未満である、
ことを特徴とする樹脂粒子の製造方法。 - 複合ポリマーと非結晶性ポリマーとを含有する樹脂組成物であって、
前記複合ポリマーが、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合した分岐ポリマーであり、
前記樹脂組成物が、ビニリデン基を有することを特徴とする樹脂組成物。 - 前記結晶性ポリマーが、
(1)結晶性ポリエステルであり、
(2)示差走査熱量分析により測定される吸熱ピークを有し、前記吸熱ピークの半値幅が10℃以下である、
請求項8に記載の樹脂組成物。
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- 2015-08-17 JP JP2015160558A patent/JP2017039794A/ja active Pending
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