以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の結晶性ポリエステルが有する大きな特徴の1つは、連鎖移動基を有することである。樹脂組成物から成る樹脂粒子を、この結晶性ポリエステルを用いて製造することによって、予め複合ポリマーを重合性組成物に含有させる場合に比べ、重合性組成物の粘度が低下するため、造粒性が良好となり、得られる樹脂粒子の粒度分布を狭くすることができる。図1に、樹脂組成物から成る樹脂粒子を、連鎖移動基を有する結晶性ポリエステルを用いて得ることを特徴とする本発明の製造方法の模式図を示している。また図2に、樹脂組成物から成る樹脂粒子を、連鎖移動基を有する結晶性ポリマーの代わりに、別途準備した複合ポリマー(連鎖移動基を有さない)を用いて得ることを特徴とする従来公知の技術の製造方法の模式図を示している。以下に本発明の製造方法、および本発明によって造粒性が良好となる理由を図1および図2を用いて説明する。但し、図1と図2には、図を単純化するためにラジカル重合開始剤を図示していない。
本発明の製造方法である図1を説明する。重合性組成物1は、結晶性ポリエステル11とラジカル重合性モノマー12を含有する。図1の工程1において、重合性組成物1を水系媒体13中に分散し、水系媒体13に重合性組成物1から成る油滴A14が分散された懸濁液1を調製する(懸濁工程)。そして図1の工程2で、工程1で調製した懸濁液1をラジカル重合する(重合工程)。ここで、本発明の結晶性ポリエステル11は、連鎖移動基10を有するため、工程2において、ラジカル重合性モノマー12同士がラジカル重合して非結晶性ポリマー15が形成するのと同時に、結晶性ポリマー11の連鎖移動基10も連鎖移動反応に基づいてラジカル重合に関与し、結晶性ポリエステル11に化学結合している非結晶性ポリマー16から成る複合ポリマー18が形成する。結果として、複合ポリマー18と非結晶性ポリマー15を含有する樹脂組成物から成る樹脂粒子17が得られる。
従来公知の製造方法を、図2を用いて説明する。重合性組成物2は、結晶性ポリマー11と結晶性ポリエステルに化学結合している非結晶性ポリマー16が化学結合して成る複合ポリマー18と、ラジカル重合性モノマー12とラジカル重合開始剤を含有する。図2の工程3において、重合性組成物2を水系媒体13中に分散し、水系媒体13に重合性組成物2から成る油滴B19が分散された懸濁液2を調製する(懸濁工程)。そして図2の工程4で、工程3で調製した懸濁液2をラジカル重合する(重合工程)。工程4において、ラジカル重合性モノマー12同士がラジカル重合して非結晶性ポリマー15が形成する。結果として、結晶性ポリエステル11と非結晶性ポリマー16が化学結合している複合ポリマー18と、非結晶性ポリマー15を含有する樹脂組成物から成る樹脂粒子17を形成させることができる。
図1と図2の何れにおいても、複合ポリマー18と、非結晶性ポリマー15を含有する樹脂組成物から成る樹脂粒子17を形成させることができるが、図1の工程1と図2の工程3の違いに起因して、図2よりも、図1の方が粒径分布のシャープな樹脂組成物から成る樹脂粒子17を得る上で極めて有利である。即ち、図2の重合性組成物2は分子量の大きな複合ポリマー18を含有するため高粘度であり、水系媒体中に分散して懸濁液2を得る際、造粒不良を生じてしまうリスクが大きい。一方、図1の重合性組成物1は、図2の複合ポリマー18よりも分子量の小さな結晶性ポリエステル11を含有するため低粘度であり、水系媒体13中に分散して懸濁液1を得る際、造粒不良を生じてしまうリスクが極めて小さい。
本発明の重合性組成物について説明する。本発明の重合性組成物は連鎖移動基を有する結晶性ポリエステルと、ラジカル重合性モノマーとを含有する組成物である。
本発明の連鎖移動基を有する結晶性ポリエステルは、示差走査熱量分析により測定される吸熱ピークの半値幅が10℃以下である。
本発明の結晶性ポリエステルとは、融解温度を有するポリエステルである。具体的には、昇温速度10℃/分での示差走査熱量分析において測定される吸熱ピークの半値幅が10℃以下であるポリエステルである。このようなポリエステルは、融解温度以上で急激に軟化するため、インクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合、保存安定性と低温定着性を並立し易いというメリットがある。
更に、本発明の結晶性ポリエステルは、DSC測定における最大吸熱ピークが60℃以上110℃以下に有することが、保存安定性と低温定着性とを両立させる観点から好ましい。また、この最大吸収ピークから算出される結晶融解熱量ΔHmが50J/g以上であることが好ましい。
また本発明の結晶性ポリエステルは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)で表されるユニットを有する脂肪族ポリエステルであることが好ましい。
(R1、R2、R3は、それぞれ独立して、炭素数2〜22の直鎖状のアルキル基、または炭素数2〜22の分岐状のアルキル基を表し、m、nは、5〜150の整数を表す)
結晶性ポリエステルが上記一般式(1)あるいは一般式(2)の少なくとも何れか表されるユニットを有することで、主鎖が折りたたみ構造を形成し易く、DSC測定における吸熱ピークの半値幅が10℃以内になり結晶性が得られやすいという点から、好ましい。また、本発明の目的を達成可能な範囲において、他のユニットを併用しても良い。
さらに、本発明の結晶性ポリエステルは、一般式(1)、或いは、一般式(2)のアルキル基が直鎖状のアルキル基であることが好ましい。直鎖状のアルキル基は、分岐状のアルキル基よりも主鎖が折りたたみ構造を形成し易く、大きな結晶性を得られやすいためである。このような結晶性ポリエステルは、炭素数2〜22の脂肪族ジオールと炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸類を重縮合する方法、炭素数2〜22の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸を重縮合する方法、炭素数2〜22のラクトンを開環重合する方法等によって合成できるが、本発明の結晶性ポリエステルはこれらに限定されず、従来公知の方法によって合成することができる。
炭素数2〜22の脂肪族ジオールとしては、特に限定はないが、直鎖状の脂肪族ジオールが好ましい。このような脂肪族ジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−イコサンジオール、1,21−ヘンイコサンジオール、1,22−ドコサンジオールなどが挙げられる。本発明の目的を達成可能な範囲において、結晶性ポリエステルを合成する際に、複数の多価アルコールを併用しても良い。複数の多価アルコールを併用する場合、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上が、炭素数2〜22の脂肪族ジオールであることが好ましい。
炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定はないが、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。このような脂肪族ジカルボン酸として、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,15−ペンタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,17−ヘプタデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、1,19−ノナデカンジカルボン酸、1,20−イコサンジカルボン酸、1,21−ヘンイコサンジカルボン酸、1,22−ドコサンジカルボン酸などが挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解物なども用いることができる。また、本発明の目的を達成可能な範囲において、結晶性ポリエステルを合成する際に、複数の多価カルボン酸を用いても良い。複数の多価カルボン酸を併用する場合、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上が、炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
炭素数2〜22の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸としては、特に限定はないが、直鎖状の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸が好ましい。このような脂肪族モノヒドロキシカルボン酸として、例えば、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシブタン酸、5−ヒドロキシペンタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、9−ヒドロキシノナン酸、10−ヒドロキシデカン酸、11−ヒドロキシウンデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、13−ヒドロキシトリデカン酸、14−ヒドロキシテトラデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、17−ヒドロキシヘプタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、19−ヒドロキシノナデカン酸、20−ヒドロキシイコサン酸、21−ヒドロキシヘンイコサン酸、22−ヒドロキシドコサン酸などが挙げられる。また、炭素数2から22のラクトンとしては、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、7−ヘプタノリド、8−オクタノリド、9−ノナノリド、10−デカノリド、11−ウンデカノリド、12−ドデカノリド、13−トリデカノリド、14−テトラデカノリド、15−ペンタデカノリド、16−ヘキサデカノリド、17−ヘプタデカノリド、18−オクタデカノリド、19−ノナデカノリドなどが挙げられる。本発明の目的を達成可能な範囲において、複数の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸、或いは、ラクトンを併用しても良い。複数の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸、或いは、ラクトンを併用する場合、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上が、炭素数2から22の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸、或いは、炭素数2から22のラクトンを用いることが好ましい。
本発明の結晶性ポリエステルの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)を用い、クロロホルムを展開溶媒とし、ポリスチレン換算として評価される分子量分布におけるメインピーク(ピーク分子量(Mp))が、3000〜50000であることが好ましい。上記範囲内であれば、主鎖が折りたたみ構造を形成しやすく、また、重合性組成物1の粘度が過度に上昇することを抑制できる。
本発明における連鎖移動基を有する結晶性ポリエステルとは、連鎖移動基が化学結合した結晶性ポリエステルである。
そして、本発明の連鎖移動基とは、ラジカル重合の連鎖移動反応に関与する官能基である。一般にこのような官能基を有する化合物を連鎖移動剤という。連鎖移動反応とは、ラジカル重合において、成長ポリマーの有するラジカルが別の化合物に移動する反応であり、別の化合物に移動したラジカルが再びモノマーを攻撃してラジカル重合を再開始するか否かは、後述する連鎖移動定数によって決定される。
ここで連鎖移動定数とは、ラジカル重合の素反応の1つである成長反応の速度定数と、連鎖移動反応の速度定数で決まる値である。具体的には、連鎖移動反応の速度定数を成長反応の速度定数で割った値であり、連鎖移動定数が0.01以上60以下の場合、再開始能力が高いことが知られている。このため本発明の連鎖移動基の連鎖移動定数は、本発明のラジカル重合性モノマーに対して0.01以上60以下が好ましい。
また本発明に用いる連鎖移動基は、硫黄元素を含有することが好ましい。
発明者等が、硫黄元素を含有する連鎖移動基を用いて検討した結果、理由は明確でないが、何れの場合も本発明の目的を達成できたためである。硫黄元素を含有する連鎖移動基としては、特に限定されないが、例えばチオール基などが挙げられる。
連鎖移動基が硫黄元素を含有するか否かは、従来の公知の方法で確認でき、燃焼イオンクロマトグラフィなどの元素分析などの方法によって確認することができる。
本発明の連鎖移動基が結晶性ポリエステルに化学結合する位置について図3を用いて説明する。連鎖移動基10は、結晶性ポリエステル11の両方の主鎖末端に存在する場合(図3(a))、片方の主鎖末端に存在する場合(図3(b))、あるいは結晶性ポリエステルの主鎖中または側鎖に存在する(図3(c))場合、の何れでも良い。また、本発明では、連鎖移動基を有する結晶性ポリエステルとして、図3(a)、図3(b)、図3(c)のうちの1種類を用いても良いし、これらの混合物を用いても良い。中でも、図3(a)或いは図3(b)が特に好ましい。この理由は、図3(c)よりも図3(a)や図3(b)の方が、主鎖が折りたたみ構造を形成しやすいためである。
前記連鎖移動基は、従来公知の方法により結晶性ポリエステルに化学結合させることができる。一般的な結晶性ポリエステルは、主鎖末端に水酸基とカルボキシル基の何れか、或いは、両方を有している。例えば、主鎖末端に水酸基を有する結晶性ポリエステルの場合、分子構造中にカルボキシル基を有する連鎖移動剤を用い、該水酸基と該カルボキシル基をエステル化することによって、連鎖移動基を結晶性ポリエステルに化学結合させることができる。水酸基とカルボキシル基をエステル化する方法として、酸触媒を用いて加熱する方法、カルボジイミドを含有する脱水縮合剤を利用する方法等が挙げられるが本発明はこれらに限定されない。カルボキシル基を有する連鎖移動剤の代わりに、酸ハロゲン化物や酸無水物、低級カルボン酸エステルを有する連鎖移動剤を用いることもできる。例えば、主鎖末端にカルボキシル基を有するポリエステルの場合、分子構造中に水酸基を有する連鎖移動剤を用い、該カルボキシル基と該水酸基をエステル化することによって、連鎖移動基を結晶性ポリエステルに化学結合させることができる。
本発明の連鎖移動基を有する結晶性ポリエステルは、重合性組成物の粘度上昇を抑制する、および良好な定着性を得るという観点から、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して、3〜40質量部の割合で用いられることが好ましい。
本発明のラジカル重合性モノマーは、スチレン、またはスチレン誘導体、あるいは、アクリル酸エスエル、またはメタクリル酸エステルを主成分として含有することが好ましい。本発明の目的を達成可能な範囲において、本発明のラジカル重合性モノマーとして、50質量%未満であれば、その他のモノマーを用いても良く、例えば、アクリルニトリル、メタクリロニトリルやアクリルアミドなどが挙げられる。
スチレン、またはスチレン誘導体としては、特に限定はないが、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどが挙げられる。また、本発明の目的を達成可能な範囲において、本発明のラジカル重合性モノマーとして、スチレンとスチレン誘導体の両方、あるいは、複数のスチレン誘導体を用いても良い。
アクリル酸エステル、あるいはメタクリル酸エステルとしては、特に限定はないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。また、本発明の目的を達成可能な範囲において、本発明のラジカル重合性モノマーとして、複数のアクリル酸エステル、あるいはメタクリル酸エステルを用いても良い。上記は、化合物中に1個のラジカル重合性のビニル基を有するラジカル重合性モノマーを例示したが、本発明では、ジビニルベンゼン、1,6ヘキサンジアクリレート、および1,6ヘキサンジメタクリレート等のように、化合物中に複数のラジカル重合性のビニル基を有するラジカル重合性モノマーを用いても良い。また、本発明では、複数のラジカル重合性モノマーを併用しても良い。
本発明で用いられる重合性組成物は、連鎖移動基を有する結晶性ポリエステルとラジカル重合性モノマーとを含有することが特徴であるが、本発明の目的を達成可能な範囲において、例えば、連鎖移動剤やラジカル重合開始剤、有機溶剤、分散助剤、ワックス、着色剤等を含有させることができる。また例えば、重合性組成物にワックスと着色剤を含有させて樹脂粒子を製造する場合、この樹脂粒子はトナーとして利用することができる。
連鎖移動剤とは、ラジカル重合の素反応の1つである連鎖移動反応に関与する化合物である。連鎖移動反応とは、ラジカル重合において、成長ポリマーの有するラジカルが別の化合物に移動する反応であり、別の化合物に移動したラジカルが再びモノマーを攻撃してラジカル重合を再開始するか否かは、後述する連鎖移動定数によって決定される。一般に、ポリマーの分子量を調整したり、ポリマーの主鎖末端に連鎖移動剤残基を導入したりする目的で用いられる。
本発明の連鎖移動剤は、数平均分子量1000以下の低分子連鎖移動剤である。発明者等の検討によれば、このような低分子連鎖移動剤を用いると、低分子連鎖移動剤の分子量調整作用によって、複合ポリマー中の結晶性ポリエステルに化学結合している非結晶性ポリマーの分子量が増大しやすくなる、即ち、複合ポリマーの形成効率が大きくなることがわかっている。このように複合ポリマーの形成効率が大きくなることについて、理由は明らかでないが、発明者等は、結晶性ポリエステルが有する連鎖移動基と低分子連鎖移動剤がラジカル重合において競争反応する結果、このような現象が生じると考えている。
発明者等の検討によれば、拡散性に乏しい数平均分子量が1000より大きい連鎖移動剤では、発明者等が期待する効果は発現しないことがわかっている。拡散性の観点で言えば、より好ましくは数平均分子量500以下の低分子連鎖移動剤を用いることが好ましい。
本発明の低分子連鎖移動剤は、本発明のラジカル重合性モノマーに対する連鎖移動定数が0.01以上60以下であることが好ましい。連鎖移動定数が0.01以上60以下である低分子連鎖移動剤はラジカル重合の再開始能力に優れており、本発明の目的と合致している。
本発明における連鎖移動剤は、本発明の目的を達成可能な範囲において従来公知の連鎖移動剤を適用可能である。以下に、本発明に適用可能な連鎖移動剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。連鎖移動定数が10より大きく60以下の連鎖移動剤の具体例として、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、イソペンチルメルカプタン、2−メチルブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、n−ペンタデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタンの如きアルキルメルカプタン類が挙げられる。連鎖移動定数が0.1より大きく10以下の連鎖移動剤の具体例として、メタクリル酸メチルダイマー、α−メチルスチレンダイマー、2−ブロモメチルアクリル酸メチル、ジフェニルジスルフィドが挙げられる。連鎖移動定数が0.01以上0.1以下の連鎖移動剤の具体例として、ブロモ酢酸、4−(ベンジルオキシ)フェノール、4−メトキシフェノールが挙げられる。
さらに、本発明の連鎖移動剤は、連鎖移動反応によってβ開裂を生じ、ビニリデン基を形成する連鎖移動剤であることが好ましい。これらの連鎖移動剤を用いると、樹脂組成物を構成する非結晶性ポリマーか複合ポリマー、或いは、その両方の主鎖末端にビニリデン基を導入することができ、樹脂組成物に重合性や反応性を付与できるという利点があるためである。連鎖移動反応によってβ開裂を生じ、ビニリデン基を形成する連鎖移動剤として、2−ブロモメチルアクリル酸メチルやメタクリル酸メチルダイマーが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。図4に、メタクリル酸メチルダイマーを例にして、連鎖移動剤が連鎖移動反応によってβ開裂を生じ、ビニリデン基を形成する化学反応を示す。成長ポリマー20が有するラジカル21が、連鎖移動剤であるメタクリル酸メチルダイマー22に移動し、成長ポリマー20の末端にメタクリル酸メチルダイマー22が付加する。次いで、α位とβ位の炭素―炭素結合の開裂が生じ、第3級のカルボラジカル24が脱離することで、成長ポリマー20の末端にビニリデン基23が形成する。
本発明における連鎖移動剤の使用量は、本発明の目的を達成可能な範囲において限定されないが、ラジカル重合開始剤に対して1mol%以上50mol%以下であることが好ましい。
本発明の重合性組成物に含有させるラジカル重合開始剤としては、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤など様々なものが使用できる。使用できる過酸化物系重合開始剤としては、有機系としては、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられる。無機系としては、過硫酸塩、過酸化水素などが挙げられる。具体的には、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネートなどのパーオキシエステル;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等が挙げられる。また、使用できるアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が例示される。ただし、本発明の目的を達成可能な範囲において、ラジカル重合開始剤はこれらに限定されない。また、ラジカル重合開始剤は1種類を使用しても良いし、複数を適宜混合して使用しても良い。
また、前記ラジカル重合開始剤はラジカル重合性モノマー100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下の割合で含有されることが好ましい。
ラジカル重合開始剤は、本発明の目的を達成可能な範囲において、懸濁工程前に重合性組成物に含有させても良いし、懸濁工程中、或いは、懸濁工程後に含有させることもできる。
本発明の重合性組成物に含有させる有機溶剤は、水に対して溶解性が低く、ラジカル重合性モノマーに対して溶解性が高いことが好ましい。このことによって、図1の懸濁液1中で、有機溶剤が重合性組成物からなる油滴から水系媒体へ溶解することなく、油滴に留まることができる。例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン等が挙げられる。これらを単独または2種類以上混合して用いることができる。
本発明の重合性組成物に含有させる分散助剤は、本発明の重合性組成物に可溶で、且つ、カルボキシル基やリン酸基、スルホン酸基、及び、これらの金属塩に代表される荷電基を含有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、図1のように、重合性組成物1を水系媒体に分散させて重合性組成物1の懸濁液1を得る際に、前記懸濁液1の重合性組成物1と水系媒体の界面に偏在して懸濁液1の分散安定性を向上させる機能を期待できるため、本発明の目的を達成する上で有用な化合物と言える。本発明の分散助剤は、水に難溶、或いは、不溶であることが、前記懸濁液の分散安定性を向上させる上で好ましいことが発明者等の実験によってわかっている。
本発明において、分散助剤の可溶、不溶、難溶を判断する方法として、以下の溶解性試験を適用する。本発明のラジカル重合性モノマー、或いは、pH5〜9のイオン交換水に、分散助剤を3質量%になるように混合して混合液とし、80℃、24時間振とうしてから60℃まで降温し、24時間放置する。このとき、均一溶液として存在する場合を可溶、ゲルまたは粒状の外観を示す不完全溶解した状態を難溶、ゲルまたは膨潤がない状態を不溶と判断する。
分散助剤に用いるポリマーのピーク分子量は、GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒とし、スチレン換算として評価される分子量分布におけるピーク分子量が、1000以上50000以下であることが好ましい。ピーク分子量が1000より小さい場合、図1のように重合性組成物1を水系媒体13に分散させて重合性組成物1の懸濁液1を得る際、前記懸濁液1の重合性組成物1と水系媒体13の界面に偏在する能力が小さく、懸濁液1の分散安定性を向上させることが難しい場合がある。また、ピーク分子量が50000より大きい場合、重合性組成物1の粘度が上昇し、樹脂粒子の造粒性が低下する場合がある。
重合性組成物に含有させるワックスとして、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
ワックスの分子量分布としては、GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒とし、スチレン換算として評価されるメインピークが分子量400以上2400以下の領域にあることが好ましく、430以上2000以下の領域にあることがより好ましい。これによって、トナーに好ましい熱特性を付与することができる。ワックスの添加量は、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して総量で2.50質量部以上40.0質量部以下であることが好ましく、3.00質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明の重合性組成物に含有させる着色剤は、従来から知られている種々の染料や顔料等、公知の着色剤を用いることができる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、55、74、83、93、94、95、97、98、109、110、154、155、166、180,185が挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド3、5、17、22、23、38、41、112、122、123、146、149、178、179、190、202、C.I.ピグメントバイオレット19、23が挙げられる。かかる顔料を単独で使用しても、染料と顔料を併用しても良い。シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1以上5個以下置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、チタンブラック及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
本発明における水系媒体体は水を主成分とする液体である。具体的には、水そのもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に分散剤を添加したもの等が挙げられる。図1における懸濁液1の分散安定性を損なわない範囲において、水とアルコール類などの水溶性有機溶剤の混合液体を用いても良い。
本発明の水系媒体に用いることのできるpH調整剤は、本発明の目的を達成可能な範囲において限定されないが、例えば、塩酸等のように水に溶解させると酸性を呈する化合物、水酸化ナトリウム等のように水に溶解させるとアルカリ性を呈する化合物等が挙げられる。
本発明では、懸濁液の分散安定性を向上させる目的で、水系媒体に分散剤を含有させても良い。本発明の目的を達成可能な範囲において、分散剤は、懸濁工程前、懸濁工程中、懸濁工程後の何れのタイミングでも含有させても良いが、好ましくは懸濁工程前か懸濁工程中である。本発明では、従来公知の分散剤を使用できる。例えば、アニオン性低分子界面活性剤、カチオン性低分子界面活性剤、ノニオン性低分子界面活性剤、アニオン性高分子分散剤、カチオン性高分子分散剤、ノニオン性高分子分散剤、無機分散剤等が挙げられる、これらの中でも、無機分散剤は、分散安定化効果が大きく、温度変化に対しても優れた安定性を示すことから好ましい。また、無機分散剤を使用することは、目的物である樹脂粒子の分離・精製を容易にすることができるという観点からも好ましい。このような無機分散剤として、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等が例示される。ただし、本発明の目的を達成可能な範囲において、無機分散剤はこれらに限定されない。分散剤は、単独で用いることも、或いは複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明の懸濁工程は、従来公知の攪拌・せん断装置を用いることができる。例えば、高せん断型ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、薄膜旋回型高速ミキサー等、機械的エネルギー付与に基づいて懸濁液を得ることができる。これらの方法は、単独で用いることも、或は複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明の製造方法において、ラジカル重合を誘起する方法としては、加熱や紫外線照射等の一般的なラジカル重合を誘起する方法を適用することができる。中でも加熱は、作業性や化学反応の制御性という観点から優れており、好ましい。
また、本発明の樹脂粒子の製造方法において、必要に応じて、樹脂粒子を得た後に樹脂粒子中にラジカル重合性モノマーが残存する場合は、蒸留などの精製操作によってこれを除くことができる。
本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、複合ポリマーと非結晶性ポリマーを含有し、前記複合ポリマーが、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合して成るブロックポリマーである。
本発明の結晶性ポリマーは上述の通りである。
本発明の非結晶性ポリマーは、本発明のラジカル重合性ポリマーがラジカル重合して成る重合体、或いは、これらの共重合体である。
本発明の非結晶性ポリマーは、本発明の目的を達成可能な範囲において特に限定されない。本発明の樹脂組成物を、例えばインクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する際に保存安定性と低温定着性を並立させる場合には、ピーク分子量とガラス転移温度において以下の範囲の非結晶性ポリマーを用いることが好ましい。ピーク分子量は、2000以上50000以下であり、さらに好ましくは、2000以上30000以下である。また、ガラス転移温度は、50℃以上で110℃以下が好ましく、さらに好ましくは、55℃以上75℃以下である。
本発明において、非結晶性ポリマーのピーク分子量、及び、ガラス転移温度を取得するに際し、以下の方法によって樹脂組成物から抽出される複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーを用いる。樹脂組成物とアセトンを混合し、40℃で30分間攪拌して混合液とした後、この混合液を室温まで降温した後に遠心分離して、アセトン可溶成分である複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーを含有する上澄み液を回収する。この上澄み液から減圧乾燥によってアセトンを除去することにより、ピーク分子量、及び、ガラス転移温度を取得するための非結晶性ポリマーを得る。
本発明の複合ポリマーの分子量は、本発明の目的を達成可能な範囲において限定はないが、ピーク分子量が5000以上200000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがさらに好ましい。複合ポリマーは、結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーが化学結合して成るブロックポリマーであり、ピーク分子量が5000未満だと、前記結晶性ポリマーの主鎖が折りたたみ構造を形成し難くなり、結晶性が低下する場合がある。一方、ピーク分子量が100000より大きい場合、複合ポリマー同士の絡み合いが顕著になり、樹脂組成物中に疑似的な三次元網目構造が形成されるため、樹脂組成物の加熱時変形の抑制度合が大きくなる場合がある。
本発明の非結晶性ポリマーと複合ポリマーの分子量は、展開溶媒としてクロロホルムを用いた場合のGPC測定におけるメインピークであり、ポリスチレン換算で算出される値である。
本発明の樹脂組成物中に含有される複合ポリマーは、非結晶性ポリマー100質量部に対して5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。5質量部より少ないと、本発明の樹脂組成物をインクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合に、十分に低温定着性を発揮できないことがある。一方、60質量部より多いと、複合ポリマー同士の絡み合いが顕著になり、樹脂組成物中に疑似的な三次元網目構造が形成されるため、樹脂組成物の加熱時変形の抑制度合が大きくなる場合がある。但し、本発明の目的が達成可能な範囲において、樹脂組成物中に含有される複合ポリマーと複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーの割合は上記に限定されない。
樹脂組成物中に含有される複合ポリマーと、複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーの割合は、以下の方法によって評価することができる。樹脂組成物とアセトンを混合し、40℃で30分間攪拌して混合液とした後、この混合液を室温まで降温した後に遠心分離して、アセトン可溶成分である複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーを含有する上澄み液と、複合ポリマーに由来する沈殿物をそれぞれ回収する。この上澄み液と沈殿物から減圧乾燥によってアセトンを除去し、複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマーと、複合ポリマーを得た後、それぞれの質量を測定する。
本発明の樹脂組成物は、ビニリデン基を含有することを特徴とする。樹脂組成物のビニリデン基の有無は、1H−NMRスペクトルを解析することによって確認できる。具体的には、本発明の樹脂組成物を重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRを測定して得られる1H−NMRスペクトルに、5.6〜5.9ppm、及び、5.1〜5.4ppmのピークが有る場合に、樹脂組成物中にビニリデン基が存在する。このビニリデン基は、本発明の重合性組成物をラジカル重合して樹脂組成物を得る際、連鎖移動反応によってβ開裂を生じ、ビニリデン基を形成する連鎖移動剤を用いる場合に、複合ポリマーに由来する非結晶性ポリマーか複合ポリマーに由来しない非結晶性ポリマー、或いは、その両方に導入されるビニリデン基に由来する。このようなビニリデン基を有する樹脂組成物には、その重合性や反応性を利用して様々な機能を付与することができる。例えば、このような樹脂組成物を、インクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合、加熱定着時にビニリデン基に由来する重合反応が誘起されて、形成する画像に堅牢性を付与できるという利点を期待することができる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を達成可能な範囲において、例えば、ワックスや着色剤等のような本発明の複合ポリマーや非結晶性ポリマー以外の化合物を含有しても良い。ワックスと着色剤を含有する樹脂組成物から成る樹脂粒子は、トナーとして利用することができる。この場合、そのまま一成分系現像剤として、あるいは磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。二成分系現像剤として用いる場合、混合するキャリアの平均粒径は、10〜100μmであることが好ましく、現像剤中のトナー濃度は、2〜15質量%であることが好ましい。
本発明の樹脂粒子は、本発明の樹脂組成物から成る樹脂粒子である。樹脂粒子をインクジェットインクや電子写真トナーの樹脂バインダーとして利用する場合、本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は0.05〜8μmであり、体積平均粒子径を数平均粒子径で割った値として定義される粒径分布指数(Dv/Dn)は1.0〜1.4であることが好ましい。
以下、本発明における樹脂粒子に関する実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(造粒性)
「コールター・カウンターMultisizer 3」の重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)の値を造粒性の指標として評価した。本発明では、「good」と「fair」を造粒性が良好であると判断し、「bad」を造粒性が不良であると判断した。
評価基準
good:D4/D1が1.20未満
fair:D4/D1が1.20以上1.40未満
bad:D4/D1が1.40以上
(結晶性ポリエステルの吸熱ピークの半値幅および結晶融解熱ΔHm評価)
示差走査型熱量計(DSC,株式会社日立ハイテクサイエンス社製DSC7020)を用い、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計測し、−20℃から150℃まで昇温速度10℃/minで加熱し(2ndRUN)、その状態で5分間保持後、次いで−20℃まで降温速度1℃/minで急冷し、再度−20℃から150℃まで昇温速度10℃/minで加熱した(2ndRUN)。そして2ndRUNにおいて得られる示差走査熱量測定チャートの結晶融解熱のピークより吸熱ピークの半値幅を、ピーク面積より結晶融解熱ΔHmを算出した。
(複合ポリマーおよびラジカル重合性モノマー重合体の分子量の測定方法)
樹脂粒子とアセトンを混合し、40℃で30分間攪拌して混合液とした後、この混合液を室温まで降温した後に遠心分離して、アセトン可溶成分であるラジカル重合性モノマー重合体を含有する上澄み液を回収する。この上澄み液から減圧乾燥によってアセトンを除去し、分子量を取得するためのラジカル重合性モノマー重合体を得る。
また、アセトン不溶成分から、複合ポリマーを回収する。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製 HLC−8120GPC、カラム:同社製 TSKgel G2000HXL/G3000HXL/G4000HXL)により、ピーク分子量(Mp)を用いて測定した。溶解液としてクロロホルムを用いて、サンプルをクロロホルムに溶解した後、GPC測定を行い、スチレン換算で分子量を評価した。
(結晶性ポリエステル1の合成)
・ω−ペンタデカラクトン:100質量部
・ε−カプロラクトン:23.7質量部
・ベンジルアルコール:0.45質量部
・1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン:0.58質量部
上記の原料を耐圧反応容器に仕込んだ。系内を窒素置換して耐圧反応容器を密閉した後、180℃のオイルバスに浸け、マグネチックスターラーにより6時間攪拌を行った。ついで、窒素加圧のまま、11−メルカプトウンデカン酸(アルドリッチ社製)17質量部をトルエン17質量部に溶解した溶液を添加し、3時間撹拌した。その後、オイルバスから出して室温に冷却し、系内にクロロホルムを加えて生成物を溶解し、これを大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、結晶性ポリエステル1(ピーク分子量(Mp):29,000)を合成した。
得られた結晶性ポリエステル1の吸熱ピークの半値幅および結晶融解熱ΔHmをDSCにより測定したところ、半値幅が6℃、ΔHmは140であった。
また、結晶性ポリエステル1の燃焼イオンクロマトグラフィにより分析したところ、硫黄元素が含有していることが確認された。また、結晶性ポリエステル1をNMRにより分析した。11−メルカプトウンデカン酸を添加する直前で反応を停止し、回収した結晶性ポリエステルを1H−NMR測定したところ、ポリマー末端の水酸基に接するメチレン由来のピーク強度と主鎖のメチレン基由来のピーク強度比から、ポリマー末端の片方が水酸基であることが確認された。更に、11−メルカプトウンデカン酸を添加し反応後に回収した結晶性ポリエステル1の1H−NMRを測定したところ、ポリマー末端の水酸基に接するメチレン由来のピークは消失しており、一方でチオール基に隣接するメチレン由来のピークが測定された。よって結晶性ポリエステル1は、ポリマー末端の片方にチオール基を有することを確認した。
(結晶性ポリエステル2の合成)
・1,12−ドデカンジオール 100質量部
・セバシン酸 90.9質量部
上記原料を三口フラスコに仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で160℃のオイルバスに浸けた。原料が融解後、オルトチタン酸テトラブチル0.17質量部を系内に加え、メカニカルスターラーにより3時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて180℃まで徐々に昇温し、更に3時間保持した。ついで、窒素加圧のまま、11−メルカプトウンデカン酸17質量部をトルエン17質量部に溶解した溶液を添加し、3時間撹拌した。その後、系内に窒素を導入して冷却し、反応を停止させた。系内にクロロホルムを加えて生成物を溶解し、これを大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、結晶性ポリエステル2(ピーク分子量(Mp):24,800)を合成した。
得られた結晶性ポリエステル2の吸熱ピークの半値幅および結晶融解熱ΔHmをDSCにより測定したところ、半値幅が6℃、ΔHmは135J/gであった。
また、結晶性ポリエステル2の燃焼イオンクロマトグラフィにより分析したところ、硫黄元素が含有していることが確認された。また、結晶性ポリエステル2をNMRにより分析した。11−メルカプトウンデカン酸を添加する直前で反応を停止し、回収した結晶性ポリエステルの1H−NMRを測定したところ、ポリマー末端の水酸基に接するメチレン由来のピーク強度と主鎖のメチレン基由来のピーク強度比から、ポリマーの末端は両末端とも水酸基であることが確認された。更に、11−メルカプトウンデカン酸を添加し反応後に回収した結晶性ポリエステル2の1H−NMRを測定したところ、ポリマー末端の水酸基に接するメチレン由来のピークは消失しており、一方でチオール基に隣接するメチレン由来のピークが測定された。よって結晶性ポリエステル2は、ポリマーの両末端にチオール基を有することを確認した。
(結晶性ポリエステル3の合成)
1000mlの三つ口ガラスフラスコに45gの結晶性ポリエステル2を入れ、セプタムと温度計、および窒素導入管を取り付けて2時間窒素フローさせる。その後、140gの脱水クロロホルム(関東化学社製)をシリンジを用いて加えて撹拌し、完全に溶解させる。その後、フラスコを氷浴で冷却しながら、予め脱水しておいた2.3gのトリエチルアミン(関東化学社製)を加えて良く撹拌させる。次いで、7gの2−ブロモイソブチリルブロミド(Aldrich社製)を溶液の温度が10℃以下になるようにフラスコを氷浴で冷却しながら徐々に滴下していき、滴下が終了したらそのまま窒素フロー下で室温、24時間撹拌し続ける。24時間後、反応が終了したら前記ガラス容器中の内容物を大量のエタノール中に投入し、析出物を回収した。この析出物を減圧乾燥し、パウダー状の結晶性ポリエステル3を得た。
(複合ポリマー1の合成)
・結晶性ポリエステル3:100質量部
・スチレン:2000質量部
・ジメチルフォルムアミド:400質量部
・N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン:4.1質量部
三口フラスコに以下の原料を仕込んだ。撹拌して全て溶解させた後、液体窒素を用いて真空凍結脱気を3回繰り返し、再度撹拌して全てを溶解させてから1時間窒素バブリングを行った。その後、窒素フロー下で3.40質量部の臭化銅(I)を加えて1分間撹拌後、100℃のオイルバス中で重合反応を開始させた。反応を開始してから1時間後、反応液を冷却した後に大量のエタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、複合ポリマー(ピーク分子量(Mp):53,000)を得た。重クロロホルムを溶媒として用いた1H−NMR測定より、複合ポリマー1における結晶性ポリエステルとポリスチレンの重量分率を見積ったところ、それぞれ30%、70%であった。
(連鎖移動剤1の合成)
封止した容器中、メタクリル酸メチルをトルエン中に溶解し、触媒としてコバルト(III)錯体(等)共存下で、60℃、30時間加熱する。その後、反応液をシリカゲルのカラムで精製後、蒸留法で分留することで分子量200の連鎖移動剤1を得た。化合物の同定はNMRを用いて行った。(文献:Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,Vol 32,2745−2754(1994)参照)
(ポリスチレン1、2、3の合成)
・スチレン:204質量部
・VA057(和光純薬工業):20質量部
・エタノール/トルエン混合溶媒:300質量部
三口フラスコに以下の原料を仕込んだ。窒素バブリングにより系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で70℃で3時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール/トルエン混合溶媒中へ注ぎ入れた。析出物を回収し、真空乾燥を行うことで、ポリスチレンを得た。ここで上記メタノール/トルエン混合溶媒のメタノールとトルエンの比率を任意に変更して析出物を回収する実験操作を行うことにより、数平均分子量の異なるポリスチレン1(数平均分子量(Mn):2000)、ポリスチレン2(数平均分子量(Mn):1100)、ポリスチレン3(数平均分子量(Mn):600)を得た。
(連鎖移動剤2の合成)
・ポリスチレン1:100質量部
・1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩:47.9質量部
二口フラスコに以下の原料を仕込んだ。減圧操作により系内を窒素置換した後、窒素フローした状態で脱水クロロホルム100質量部を加えた。フラスコをアイスバスに浸け、3−メルカプト−1−プロパノール23.0質量部とN,N−ジメチルアミノピリジン3.1質量部を加えた後に室温下で6時間撹拌を行った。その後、反応液を大量のメタノール中へ注ぎ入れた。沈殿物をろ過し、真空乾燥を行うことで、連鎖移動剤2(ピーク分子量(Mp):2200)を合成した。
(連鎖移動剤3の合成)
ポリスチレン1のかわりにポリスチレン2を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を76.7質量、3−メルカプト−1−プロパノールを36.9質量部、N,N−ジメチルアミノピリジンを4.9質量部にした以外は連鎖移動剤2と同様にして、連鎖移動剤3(ピーク分子量(Mp):1200)を合成した。
(連鎖移動剤4の合成)
ポリスチレン1のかわりにポリスチレン3を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を124.6質量部、3−メルカプト−1−プロパノールを60.0質量部、N,N−ジメチルアミノピリジンを7.9質量部にした以外は連鎖移動剤2と同様にして、連鎖移動剤4(ピーク分子量(Mp):800)を合成した。
(分散助剤の合成)
攪拌機、冷却管、温度計、窒素導入管の付いた500mlフラスコに100gのトルエン、100gのスチレン、4.0gのメタクリル酸、0.5gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を仕込んだ。攪拌、窒素導入下、60℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、析出物をろ過収集した。次いで、40℃で減圧乾燥することによって、疎水性ユニットとしてスチレン、親水性ユニットとしてメタクリル酸を有する分散助剤2(ピーク分子量:12,000)を得た。
(実施例1)
<樹脂粒子1の作製>
200mlの三ツ口フラスコに130gのイオン交換水を入れ、そこへ2.53gのリン酸カルシウムを添加し、ホモミキサーを用いて、15,000rpmにて攪拌し、水系媒体を調製した。
・スチレン 15.4g
・n−ブチルアクリレート 3.8g
・結晶性ポリエステル1 3.9g
・ラジカル重合開始剤(商品名「V−65」(和光純薬工業株式会社製);10時間半減期温度51℃) 0.35g
・分散助剤 1.3g
上記の材料を混合して重合性組成物とし、これを懸濁温度60℃下で攪拌(10,000rpm)された前記水系媒体中に加え、ホモミキサーにて15分攪拌(15,000rpm)することにより、前記重合性組成物から成る油滴を水中に形成させて成る懸濁液を調製した。次に、前記懸濁液を攪拌(200rpm)しながら30分間窒素バブリングした後、攪拌(200rpm)しながら重合温度を60℃に設定して6時間保持することにより、樹脂粒子の水分散液を調製した。最後に、この水分散液に濃塩酸を加えた後、濾過洗浄と減圧乾燥を行い、パウダー状の樹脂粒子1を回収した。
樹脂粒子1とアセトンを混合し、40℃で30分間攪拌して混合液とした後、この混合液を室温まで降温した後に遠心分離して、アセトン可溶成分である非結晶性ポリマーを含有する上澄み液を回収する。この上澄み液から減圧乾燥によってアセトンを除去し、非結晶性ポリマーを得た。分子量を測定したところピーク分子量Mpで15,000であった。
また、アセトン不溶成分から、結晶性ポリエステルの連鎖移動基にラジカル重合性モノマーの重合体が付加した複合ポリマーを回収した。この不溶成分の分子量を測定したところ、ピーク分子量Mpで53,500であった。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表1に、得られた樹脂粒子1のキャラクタリゼーションをまとめた。
また、懸濁温度を60℃に加熱した時点から、15、30、60、120、240、360分後にそれぞれ懸濁液を2mlサンプリングし、各サンプルのアセトン不溶成分から複合ポリマーを回収し、それぞれをGPCにより分子量を測定することによって重合時間と複合ポリマーのピーク分子量Mpの関係(図5)を得た。
(実施例2)
<樹脂粒子2の作製>
実施例1の操作における、結晶性ポリエステル1の代わりに結晶性ポリエステル2を用いた以外は同様にして樹脂粒子2を得た。
樹脂粒子2のアセトン可溶成分と不溶成分の分子量を、実施例1と同様な方法で測定したところ、アセトン可溶分がピーク分子量Mp16,000、アセトン不溶分がピーク分子量Mp52,000であった。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表1に、得られた樹脂粒子2のキャラクタリゼーションをまとめた。
(実施例3)
<樹脂粒子3の作製>
実施例1における重合性組成物に、さらに0.08gの連鎖移動剤2を加えて重合組成物を調整した。それ以外は実施例1と同様にして樹脂粒子3を得た。
樹脂粒子3のアセトン可溶成分と不溶成分の分子量を、実施例1と同様な方法で測定したところ、アセトン可溶分がピーク分子量Mp17,000、アセトン不溶分がピーク分子量Mp55,000であった。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表1に、得られた樹脂粒子3のキャラクタリゼーションをまとめた。
また、懸濁温度を60℃に加熱した時点から、15、30、60、120、240、360分後にそれぞれ懸濁液を2mlサンプリングし、各サンプルのアセトン不溶成分から複合ポリマーを回収し、それぞれをGPCにより分子量を測定することによって重合時間と複合ポリマーのピーク分子量Mpの関係(図5)を得た。
(実施例4)
<樹脂粒子4の作製>
実施例3の操作における、0.08gの連鎖移動剤2の代わりに0.08gの連鎖移動剤3を用い、それ以外は実施例3と同様にして樹脂粒子4を得た。
樹脂粒子4のアセトン可溶成分と不溶成分の分子量を、実施例1と同様な方法で測定したところ、アセトン可溶分がピーク分子量Mp17,000、アセトン不溶分がピーク分子量Mp55,000であった。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表1に、得られた樹脂粒子4のキャラクタリゼーションをまとめた。
また、懸濁温度を60℃に加熱した時点から、15、30、60、120、240、360分後にそれぞれ懸濁液を2mlサンプリングし、各サンプルのアセトン不溶成分から複合ポリマーを回収し、それぞれをGPCにより分子量を測定することによって重合時間と複合ポリマーのピーク分子量Mpの関係(図5)を得た。
(実施例5)
<樹脂粒子5の作製>
実施例3の操作における、0.08gの連鎖移動剤2の代わりに0.08gの連鎖移動剤4を用い、それ以外は実施例3と同様にして樹脂粒子5を得た。
樹脂粒子5のアセトン可溶成分と不溶成分の分子量を、実施例1と同様な方法で測定したところ、アセトン可溶分がピーク分子量Mp18,000、アセトン不溶分がピーク分子量Mp54,500であった。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表1に、得られた樹脂粒子5のキャラクタリゼーションをまとめた。
また、懸濁温度を60℃に加熱した時点から、15、30、60、120、240、360分後にそれぞれ懸濁液を2mlサンプリングし、各サンプルのアセトン不溶成分から複合ポリマーを回収し、それぞれをGPCにより分子量を測定することによって重合時間と複合ポリマーのピーク分子量Mpの関係(図5)を得た。
(実施例6)
<樹脂粒子6の作製>
実施例3の操作における、0.08gの連鎖移動剤2の代わりに0.08gの連鎖移動剤1を用い、それ以外は実施例3と同様にして樹脂粒子6を得た。
樹脂粒子6のアセトン可溶成分と不溶成分の分子量を、実施例1と同様な方法で測定したところ、アセトン可溶分がピーク分子量Mp17,500、アセトン不溶分がピーク分子量Mp55,000であった。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。表1に、得られた樹脂粒子6のキャラクタリゼーションをまとめた。
また、懸濁温度を60℃に加熱した時点から、15、30、60、120、240、360分後にそれぞれ懸濁液を2mlサンプリングし、各サンプルのアセトン不溶成分から複合ポリマーを回収し、それぞれをGPCにより分子量を測定することによって重合時間と複合ポリマーのピーク分子量Mpの関係(図5)を得た。
また、樹脂粒子6を重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRを測定したところ、ビニリデン基構造に由来する5.7ppmと5.2ppmのピークが観察された。
(実施例7)
<樹脂粒子7の作製>
実施例3の操作における、0.08gの連鎖移動剤2の代わりに0.08gの2−ブロモメチルアクリル酸メチルを用い、それ以外は実施例3と同様にして樹脂粒子7を得た。
樹脂粒子7のアセトン可溶成分と不溶成分の分子量を、実施例1と同様な方法で測定したところ、アセトン可溶分がピーク分子量Mp18,000、アセトン不溶分がピーク分子量Mp54,500であった。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表1に、得られた樹脂粒子6のキャラクタリゼーションをまとめた。
また、懸濁温度を60℃に加熱した時点から、15、30、60、120、240、360分後にそれぞれ懸濁液を2mlサンプリングし、各サンプルのアセトン不溶成分から複合ポリマーを回収し、それぞれをGPCにより分子量を測定することによって重合時間と複合ポリマーのピーク分子量Mpの関係(図5)を得た。
また、樹脂粒子7を重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRを測定したところ、ビニリデン基構造に由来する5.7ppmと5.2ppmのピークが観察された。
(比較例1)
実施例1の操作における、結晶性ポリエステル1の代わりに複合ポリマー1を用いた。混合樹脂の添加量は、結晶性ポリエステル成分の質量部が実施例1と同じ20.5質量部になるように、8.2gとした。それ以外は同様な条件として行い、複合ポリマー1を含有する樹脂粒子8を得た。
樹脂粒子8のアセトン可溶成分と不溶成分の分子量を、実施例1と同様な方法で測定したところ、アセトン可溶分がピーク分子量Mp16,000、アセトン不溶分がピーク分子量Mp57,000であった。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、badであった。
(実施例8)
<トナー1の作製>
温度60℃に加温したイオン交換水1300.0質量部に、リン酸三カルシウム9.0質量部を添加し、TK式ホモジナイザー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
また、下記の樹脂材料をプロペラ式撹拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合液を調製した。
・スチレン : 61.0質量部
・n−ブチルアクリレート : 18.5質量部
・結晶性ポリエステル1 : 20.5質量部
次に、上記重合性組成物に、
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) : 6.5質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学社製) : 0.5質量部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) : 9.0質量部
・負荷電制御樹脂1 : 0.7質量部
・極性樹脂 : 5.0質量部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
を加え、その後、混合液を温度65℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、溶解、分散し、重合性モノマー組成物を調製した。
続いて、上記水系媒体中に上記重合性モノマー組成物を投入し、重合開始剤として、パーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂性))6.0質量部を加え、温度70℃にてTK式ホモミキサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間撹拌し、造粒した。
プロペラ式撹拌装置に移して撹拌速度200rpmで撹拌しつつ、温度85℃で5時間、重合性モノマー組成物中の重合性モノマーであるスチレンおよびn−ブチルアクリレートを重合反応させ、トナー粒子を含有するスラリーを製造した。重合反応終了後、該スラリーを冷却した。冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整して粒子1を得た。
上記粒子1を100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー1を得た。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表2に、得られたトナー1のキャラクタリゼーションをまとめた。
(実施例9)
<トナー2の作製>
実施例8の操作における、結晶性ポリエステル1の代わりに結晶性ポリエステル2を用いた以外は同様にしてトナー2を得た。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表2に、得られたトナー2のキャラクタリゼーションをまとめた。
(実施例10)
<トナー3の作製>
実施例8における重合性組成物に、さらに0.9質量部の連鎖移動剤1を加えて重合組成物を調製した。それ以外は実施例8と同様にしてトナー3を得た。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、goodであった。
表2に、得られたトナー3のキャラクタリゼーションをまとめた。
また、トナー3を重水素化クロロホルムに溶解し、1H−NMRを測定したところ、ビニリデン基構造に由来する5.7ppmと5.2ppmのピークが観察された。
(比較例2)
実施例8の操作における、結晶性ポリエステル1の代わりに複合樹脂1を用いた。添加量は、結晶性ポリエステル成分の質量部が実施例8と同じになるように調整した。それ以外は同様な条件として行い、複合樹脂1を含有するトナー4を得た。
造粒性に関しては、上記のように評価したところ、badであった。