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JP2017036373A - 絶縁フィルム - Google Patents

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JP2017036373A JP2015157167A JP2015157167A JP2017036373A JP 2017036373 A JP2017036373 A JP 2017036373A JP 2015157167 A JP2015157167 A JP 2015157167A JP 2015157167 A JP2015157167 A JP 2015157167A JP 2017036373 A JP2017036373 A JP 2017036373A
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木暮 真巳
Masami Kogure
真巳 木暮
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】巻取り性と絶縁破壊電圧に優れ、フィルムの長尺方向(MD)の熱収縮率が低い絶縁フィルムを提供する。【解決手段】シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とし、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下である不活性微粒子を2.0質量%以下含み、無張力の状態で150℃、30分の加熱処理を行った場合に、フィルムの長尺方向と短尺方向の熱収縮率がそれぞれ2%以下となることを特徴とする絶縁フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁フィルムに関する。さらに詳しくは、電気的特性及び耐熱性が良好で、特に高い絶縁破壊電圧を有する絶縁フィルムに関する。
シンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物からなる延伸フィルムは、耐熱性、耐薬品性、耐熱水性、誘電特性、電気絶縁性等に優れたフィルムであり、様々な用途への適用が期待されている。特に、誘電特性に優れ、高い電気絶縁性と耐熱性を有するためにコンデンサーの絶縁体として用いられている。例えば特許文献1〜4には、コンデンサー用シンジオタクチックポリスチレン系二軸延伸フィルムが提唱されている。
しかしながら、特許文献1〜4に開示されているシンジオタクチックポリスチレン系フィルムは、コンデンサーの絶縁体として使用され得るものであるが、例えば、近年のハイブリッドカーに搭載されるコンデンサーのようなより高性能なコンデンサーにおいては、絶縁破壊電圧等の電気的特性及び耐熱性により優れたフィルムが要求されている。
また、コンデンサーの静電容量を向上する、あるいはコンデンサーを小型化する目的において、絶縁体となるフィルムのさらなる薄膜化が要求されているが、一般的には薄膜化に伴い取り扱い性が低下してしまう。そこで、薄膜化したとしても、フィルム製造工程における生産性を低下させず、また近年要求されているコンデンサーの製造速度に適応できるように、取り扱い性により優れたフィルムが要求されている。
かかる課題に対して、特許文献5は特定の不活性微粒子と酸化防止剤を含み、特定の屈折率を有するシンジオタクチックポリスチレン系フィルムを開示する。しかしながら、特許文献5に開示されているシンジオタクチックポリスチレン系フィルムは、フィルムの縦方向(MD)の熱収縮率が高いという問題点があった。
特開平3−124750号公報 特開平6−80793号公報 特開平7−156263号公報 特開平8−283496号公報 特開2013−241626号公報
本発明の目的は、巻取り性と絶縁破壊電圧に優れ、フィルムの長尺方向(縦方向、MD)の熱収縮率が低い絶縁フィルムを提供することである。
本発明によれば、以下の絶縁フィルムが提供される。
1.シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とし、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下である不活性微粒子を2.0質量%以下含み、
無張力の状態で150℃、30分の加熱処理を行った場合に、フィルムの長尺方向と短尺方向の熱収縮率がそれぞれ2%以下となることを特徴とする絶縁フィルム。
2.シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とし、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下である不活性微粒子を2.0質量%以下含むスチレン系重合体含有組成物を、同時二軸延伸することにより製造した絶縁フィルム。
本発明によれば、巻取り性と絶縁破壊電圧に優れ、フィルムの長尺方向(縦方向、MD)の熱収縮率が低い絶縁フィルムが提供できる。
本発明の第1の絶縁フィルムは、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とし、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下である不活性微粒子を2.0質量%以下含み、無張力の状態で150℃、30分の加熱処理を行った場合に、フィルムの長尺方向と短尺方向の熱収縮率がそれぞれ2%以下となる絶縁フィルムである。
本発明の第2の絶縁フィルムは、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とし、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下である不活性微粒子を2.0質量%以下含むスチレン系重合体含有組成物を同時二軸延伸することにより製造した絶縁フィルムである。
本発明の第1の絶縁フィルムは、本発明の第2の絶縁フィルムのスチレン系重合体含有組成物を同時二軸延伸して得られるフィルムである。従って、フィルムの長尺方向は、縦方向、MD、MD方向、及び機械軸方向のそれぞれに対応し、短尺方向は、横方向、TD、TD方向、及び機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向のそれぞれに対応する。
以下、本発明の第1の絶縁フィルム及び本発明の第2の絶縁フィルムの両方をまとめて「本発明の絶縁フィルム」と言う。
コンデンサーの絶縁体として用いられるフィルムは、フィルム厚みが薄い方がコンデンサーの静電容量が高くなり好ましいことが一般的によく知られている。しかしながら、実際にフィルム厚みを薄く(薄膜化)してゆくと、フィルムにしわが入りやすくなる、フィルムが破断しやすくなる等の取り扱い性が低下する問題があった。また、薄膜化していくと、添加した粒子が脱落しやすくなる、さらに添加粒子の脱落により絶縁破壊電圧が低くなる問題があった。本発明の絶縁フィルムでは、特定の不活性微粒子を配合したシンジオタクチックポリスチレン系二軸延伸フィルムにおいて、延伸方法を同時二軸延伸とすることで、薄膜化した場合であっても優れた巻取り性及び絶縁破壊電圧を示すことができ、フィルムの縦方向(MD)の熱収縮率を低く抑えることができる。
以下、本発明の絶縁フィルムを製造する組成物の各成分、フィルムの製造方法、及びフィルムの特性について説明する。尚、絶縁フィルムを構成する成分とその量は、組成物と対応する。
<スチレン系重合体>
本発明の絶縁フィルムを製造する組成物が含むスチレン系重合体は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体であり、すなわち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して、側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。
一般にタクティシティーは、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量され、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッド等によって示すことができる。
本発明において、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体とは、ラセミダイアッド(r)で例えば75%以上、好ましくは85%以上、あるいはラセミペンタッド(rrrr)で例えば30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(アリールスチレン)、ポリ(アルキレンスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、あるいはこれらのベンゼン環の一部が水素化された重合体やこれらの混合物、又はこれらの構造単位を含む共重合体をいう。また、本発明のスチレン系重合体には、ポリ(ビニルナフタレン)及びポリ(アセナフチレン)が含まれる。
上記ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)等が挙げられる。
上記ポリ(アリールスチレン)としては、ポリ(フェニルスチレン)等が挙げられる。
上記ポリ(アルキレンスチレン)としては、ポリ(ビニルスチレン)等が挙げられる。
上記ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フロオロスチレン)等が挙げられる。
上記ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等が挙げられる。
特に好ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、及びスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体が挙げられる。
スチレン系重合体に共重合成分を含有させて共重合体として使用する場合において、そのコモノマーとしては、上述スチレン系重合体のモノマーのほか、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のオレフィンモノマー;ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマー;環状ジエンモノマー;及びメタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の極性ビニルモノマー等が挙げられる。
シンジオタクチック構造のスチレン系重合体の重量平均分子量は、好ましくは1.0×10以上3.0×10以下であり、さらに好ましくは5.0×10以上1.5×10以下であり、特に好ましくは1.1×10以上8.0×10以下である。
シンジオタクチック構造のスチレン系重合体の重量平均分子量を1.0×10以上とすることで、強伸度特性に優れ、耐熱性がより向上したフィルムを得ることができる。また、重量平均分子量が3.0×10以下とすることで、延伸張力が好適な範囲となり、製膜時等において破断等が発生しにくくなる。
本発明において、絶縁フィルムを製造する組成物は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とするが、ここで「主たる構成成分」とは組成物に含まれる全成分のうち最も多く含まれる(質量%において)成分であることを意味する。好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含む。
このようなシンジオタクチック構造のスチレン系重合体は公知の方法で製造でき、例えば特開昭62−187708号公報に開示されている。具体的には、不活性炭化水素溶媒中又は溶媒の不存在下において、チタン化合物及び水と有機アルミニウム化合物、特にトリアルキルアルミニウムとの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合することにより製造することができる。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)については、特開平1−146912号公報に、水素化重合体は特開平1−178505号公報にそれぞれ開示されている。
<不活性微粒子>
本発明の絶縁フィルムを製造する組成物は、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下の不活性微粒子を含む。
不活性微粒子の平均粒径を上記数値範囲とすることによって、高い絶縁破壊電圧を保ったまま、フィルムのエアー抜け性を良好なものとすることができ、巻取り性に優れた絶縁フィルムを得ることができる。
不活性微粒子の平均粒径が小さすぎる場合は、十分なエアー抜け性が得られなくなる傾向にあり、得られるフィルムの巻取り性に劣るものとなる。他方、大きすぎる場合は、得られるフィルム中のボイドの大きさが増大する傾向にあり、絶縁破壊電圧が低くなる。このような観点から、不活性微粒子の平均粒径は、好ましくは0.25μm以上2.0μm以下、さら好ましくは0.4μm以上1.6μm以下、特に好ましくは0.8μm以上1.2μm以下である。
不活性微粒子は、好ましくはその粒径の相対標準偏差が0.5以下である。粒径の相対標準偏差を上記数値範囲とすることによって、フィルム表面の突起の高さが均一となり、巻取り性に優れた絶縁フィルムを得ることができる。また、粗大粒子や粗大突起が少なくなり、絶縁破壊電圧に優れた絶縁フィルムを得ることができる。このような観点から、不活性微粒子の粒径の相対標準偏差は、より好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.2以下である。
不活性微粒子は、粒径比が1.0以上1.3以下の球状粒子であることが好ましい。粒径比は、さらに好ましくは1.0以上1.2以下、特に好ましくは1.0以上1.1以下である。粒径比が上記数値範囲にあると、巻取り性の向上効果及び絶縁破壊電圧の向上効果をより高くすることができる。
本発明の絶縁フィルムの製造に用いる組成物において、不活性微粒子の含有量は、2.0質量%以下である。同様に、絶縁フィルム中の不活性微粒子の含有量は、2.0質量%以下である。
不活性微粒子を上記数値範囲の量含有することによって、高い絶縁破壊電圧を保ったまま、得られるフィルムの取り扱い性を良好なものとすることができる。多すぎる場合は、得られるフィルムの表面が粗くなりすぎる傾向にあり、それによってフィルム表面の耐削れ性が悪化する傾向にあり、絶縁破壊電圧に劣るものとなる。また、特にコンデンサー用途においては、スペースファクターが増大する傾向にある。
このような観点から、不活性微粒子の組成物中の含有量は、好ましくは0.05質量%以上1.8質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以上1.0質量%以下である。
絶縁フィルム製造に用いる組成物は、溶媒といった加熱によって消えてしまう成分を通常含まないため、組成物中の不活性微粒子の含有率は、そのまま絶縁フィルム中の不活性微粒子の含有率となる。
不活性微粒子は、有機系微粒子であってもよいし、無機系微粒子であってもよい。
有機系微粒子としては、例えばポリスチレン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、スチレン−アクリル樹脂粒子、ジビニルベンゼン−アクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ポリイミド樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等の高分子樹脂粒子;Li、Na、及びKの安息香酸塩;Ca、Ba、Zn、及びMnのテレフタル酸塩が挙げられる。これらの中でも、滑り性及び耐削れ性に優れるという観点から、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子が特に好ましい。
このような高分子樹脂粒子は、球状高分子樹脂粒子であることが好ましく、滑り性及び耐削れ性により優れるという観点から、球状シリコーン樹脂粒子、球状ポリスチレン樹脂粒子が特に好ましい。
無機系微粒子としては、(1)二酸化ケイ素(水和物、ケイ砂、石英等を含む);(2)各種結晶形態のアルミナ;(3)SiO成分を30質量%以上含有するケイ酸塩(例えば非晶質もしくは結晶質の粘土鉱物、アルミノシリケート(焼成物や水和物を含む)、温石綿、ジルコン、フライアッシュ等);(4)Mg、Zn、Zr、及びTiの酸化物;(5)Ca、及びBaの硫酸塩;(6)Li、Ba、及びCaのリン酸塩(1水素塩や2水素塩を含む);(7)Mg、Ca、Ba、Zn、Cd、Pb、Sr、Mn、Fe、Co、及びNiのチタン酸塩;(8)Ba、及びPbのクロム酸塩;(9)炭素(例えばカーボンブラック、グラファイト等);(10)ガラス(例えばガラス粉、ガラスビーズ等);(11)Ca、及びMgの炭酸塩;(12)ホタル石;(13)スピネル型酸化物等が挙げられる。これらのうち、滑り性及び耐削れ性に優れるという観点から、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。
このような無機系微粒子は、球状無機微粒子であることが好ましく、滑り性及び耐削れ性により優れるという観点から、球状シリカ粒子が特に好ましい。
<酸化防止剤>
本発明の絶縁フィルムを製造する組成物は、酸化防止剤を含んでもよい。
絶縁フィルムが酸化防止剤を含むことにより、電気的特性を高いものとすることができる。
かかる酸化防止剤としては、生成したラジカルを捕捉して酸化を防止する一次酸化防止剤、あるいは生成したパーオキサイドを分解して酸化を防止する二次酸化防止剤のいずれであってもよく、一次酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤があげられ、二次酸化防止剤としてはリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤があげられる
上記フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−〔4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ〕フェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、N、N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等のビスフェノール系酸化防止剤;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、d−α−トコフェノール等の高分子型フェノール系酸化防止剤を挙げることができる。
上記アミン系酸化防止剤の具体例としては、アルキル置換ジフェニルアミン等を挙げることができる。
上記リン系酸化防止剤の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、オクタデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等を挙げることができる。
上記硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプトベンズイミダゾール等を挙げることができる。
これら酸化防止剤のうち、耐腐食性により優れ、絶縁破壊電圧の向上効果をより高めることができるという観点から、一次酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
尚、酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。酸化防止剤を2種類以上を併用する場合は、2種類以上の一次酸化防止剤を用いる態様でもよいし、2種類以上の二次酸化防止剤を用いる態様でもよいし、1種類以上の一次酸化防止剤と1種類以上の二次酸化防止剤を併用してもよい。例えば、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤との2種類の酸化防止剤を併用することによって、一次酸化及び二次酸化の両方の酸化を防止することが期待できる。本発明においては、中でも一次酸化防止剤を単独で用いる態様、あるいは2種類以上の一次酸化防止剤を用いる態様が、絶縁破壊電圧の向上効果をより高くすることができるという観点から好ましく、特にフェノール系酸化防止剤を単独で用いる態様、あるいは2種類以上のフェノール系酸化防止剤を用いる態様が好ましい。
酸化防止剤は、その熱分解温度が250℃以上であることが好ましい。熱分解温度が低すぎる場合は、溶融押出時に酸化防止剤自体が熱分解してしまい、工程を汚染してしまう、ポリマーが黄色く着色してしまう等の問題が生じやすくなる傾向にあり好ましくない。このような観点から、酸化防止剤の熱分解温度は、より好ましくは280℃以上、さらに好ましくは300℃以上、特に好ましくは320℃以上である。
酸化防止剤は、熱分解しにくい方が好ましく、熱分解温度は高い方が好ましいが、現実的には、その上限は500℃以下程度である。
酸化防止剤の融点は、90℃以上であることが好ましい。融点が低すぎる場合は、溶融押出時に酸化防止剤がポリマーより早く融解してしまい、押出機のスクリュー供給部分においてポリマーがスリップしてしまう傾向にある。それによって、ポリマーの供給が不安定となり、フィルムの厚み斑が悪くなる等の問題が生じるおそれがある。このような観点から、酸化防止剤の融点の下限は、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上である。一方、酸化防止剤の融点が高すぎる場合は、溶融押出時に酸化防止剤が融解しにくくなり、ポリマー内での分散が悪くなってしまう傾向にある。それにより、酸化防止剤の添加効果が局所的にしか発現しない等の問題が生じるおそれがある。このような観点から、酸化防止剤の融点の上限は、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは220℃以下、特に好ましくは170℃以下である。
酸化防止剤としては、市販品をそのまま用いることができる。市販品としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(BASF社製:商品名IRGANOX1010)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン(BASF社製:商品名IRGANOX1024)、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド〕(BASF社製:商品名IRGANOX1098)等が好ましく例示される。
本発明の絶縁フィルムは、酸化防止剤を、絶縁フィルムを製造する組成物の質量を基準として好ましくは0.1質量%以上8質量%以下含有する。酸化防止剤の含有量を当該範囲とすることによって、絶縁破壊電圧を向上させることができる。
酸化防止剤の含有量の下限は、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上が特に好ましい。酸化防止剤の含有量の上限は、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
<ポリフェニレンエーテル系樹脂>
本発明の絶縁フィルムを製造する組成物は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体以外に、成形性、力学物性、表面性等を改良するために、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んでもよい。
当該ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、下記式で表わされるポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の芳香族ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等を好ましく例示することができる。特に非晶性ポリマーが好ましい。これら樹脂成分のうちポリフェニレンエーテルが特に好ましい。
絶縁フィルムを製造する組成物におけるポリフェニレンエーテル系樹脂は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体100質量部に対して5質量部以上48質量部以下配合することが好ましく、8質量部以上が好ましく、11質量部以上がさらに好ましく、20質量部以上が特に好ましい。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂の配合量が多い場合は、シンジオタクチック構造のスチレン重合体の結晶性が低下しやすくなる傾向にあり、フィルムの耐熱性の向上効果が低くなる傾向にある。このような観点から、ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量の上限は、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、35質量部以下が特に好ましい。
<その他樹脂成分>
絶縁フィルムの絶縁破壊電圧を高める等のために、絶縁フィルムを製造する組成物は、上述したシンジオタクチック構造のスチレン系重合体及びポリフェニレンエーテル系樹脂以外にその他樹脂成分を含んでもよい。その他樹脂成分には、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体に相溶する樹脂成分と、相溶しない樹脂成分とがある。
尚、絶縁フィルムを製造する組成物は、通常、溶媒は含まない。
シンジオタクチック構造のスチレン系重合体に相溶するその他樹脂成分としては、例えばアタクチック構造のスチレン系重合体、アイソタクチック構造のスチレン系重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これら樹脂成分は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体と相溶しやすく、延伸用予備成形体を作製するときの結晶化の制御に有効で、その後の延伸性が向上し、延伸条件の制御が容易で、かつ力学物性に優れたフィルムを得ることができるためその他樹脂成分として好ましく挙げられる。このうち、アタクチック構造及び/又はアイソタクチック構造のスチレン系重合体を含有させる場合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体と同様のモノマーからなるものが好ましい。
これら相溶性樹脂成分の配合割合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体100質量部に対して、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下とすればよい。相溶性樹脂成分の配合割合が40質量部を超えると、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体の長所である耐熱性の向上効果が低くなってしまう。
シンジオタクチック構造のスチレン系重合体に相溶しないその他樹脂成分としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン;ナイロン6やナイロン6,6等のポリアミド、テフロン(登録商標)等のハロゲン化ビニル系重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体、ポリビニルアルコール等の少なくとも1種からなる樹脂を好ましく例示することができる。このうち、絶縁破壊電圧をより高くすることができるという観点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂がさらに好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が特に好ましい。
非相溶性樹脂成分は、少量配合する場合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体中に島状に分散させることができ、延伸後に程良い光沢を与えたり、表面の滑り性を改良するのに有効である。
非相溶性樹脂成分の配合割合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。また、製品として使用する温度が高い場合は、比較的耐熱性のある非相溶性樹脂成分を配合することが好ましい。
さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、帯電防止剤、着色剤、耐候剤等の公知の添加剤を加えることができる。
添加剤の配合量は、スチレン系重合体100質量部に対して10質量部以下が好ましい。10質量部を越えると、延伸時に破断を起こしやすくなり、生産安定性が不良となるので好ましくない。
例えば添加剤として帯電防止剤を配合することで、耐熱性を高めることができる。
<絶縁フィルムの製造方法>
本発明の絶縁フィルムは、上述したスチレン系重合体含有組成物を同時二軸延伸したフィルムであり、スチレン系重合体含有組成物を用いて未延伸シートを作製し、当該未延伸シートを同時二軸延伸することにより製造できる。
未延伸シートは、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体に不活性微粒子及び酸化防止剤等の任意成分を所定量配合した樹脂組成物を加熱溶融し、シート状に押し出してから冷却固化することにより作製できる。ここで加熱溶融温度は、樹脂組成物の融点(Tm、単位:℃)以上(Tm+70℃)以下の温度が好ましい。
得られた未延伸シートの固有粘度は、0.35〜0.9dl/gの範囲であることが好ましい。
未延伸シートの同時二軸延伸とは、未延伸シートを長尺方向(機械軸方向)及び短尺方向(機械軸方向に対して垂直な方向)に同時に延伸することである。
当該同時二軸延伸は、延伸温度を樹脂組成物のガラス転移点温度(Tg、単位:℃)−10℃)以上(Tg+70℃)以下の温度に設定し、延伸倍率を例えば2.7倍以上4.8倍以下、好ましくは2.9倍以上4.4倍以下、さらに好ましくは3.1倍以上4.0倍以下で、長尺方向及び短尺方向それぞれに延伸することで実施できる。
同時二軸延伸における延伸速度の下限は、好ましくは500%/分以上、より好ましくは1000%/分以上、さらに好ましくは2000%/分以上、特に好ましくは4000%/分以上である。また、延伸速度の上限は、好ましくは30000%/分以下、より好ましくは15000%/分以下、さらに好ましくは9000%/分以下、特に好ましくは6000%/分以下である。
上記同時二軸延伸において、延伸温度を一定とするのではなく、延伸が進むに従い、延伸温度を複数段階で昇温し、第1段階の延伸温度と最終段階の延伸温度とで温度差をつけると好ましい。
温度差の下限は、最終段階の温度が第1段階の温度より4℃以上高いと好ましく、7℃以上高いとより好ましく、12℃以上高いとさらに好ましく、15℃以上高いと特に好ましい。また、温度差の上限は、49℃以下が好ましく、39℃以下がより好ましく、29℃以下がさらに好ましく、20℃以下が特に好ましい。温度差が大きすぎる場合は、フィルム破断が生じやすくなる。また、延伸後のフィルムの厚み斑が悪くなる傾向にある。このように、第1段階と最終段階の温度差を当該数値範囲とすることで、フィルム厚みの薄いフィルムの製膜において、従来困難であった高い延伸倍率を達成することができ、これによって厚み斑が良好なフィルムを得ることができる。
同時二軸延伸したフィルムを、(Tg+70℃)〜Tmの温度範囲で熱固定するとよい。熱固定の温度は、例えば200℃以上260℃以下であり、好ましくは220℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは230℃以上240℃以下である。熱固定温度が高すぎる場合は、特にフィルム厚みの薄いフィルムを製造する際に、フィルム破断が生じやすくなり、また厚み斑が悪化してしまうおそれがある。
上記熱固定の後に必要に応じて熱固定温度より20℃〜90℃低い温度下で、3秒〜60秒、1%〜10%弛緩処理をすると、寸法安定性が良くすることができる。
同時二軸延伸を実施する装置は、漸増ピッチスクリュ式、リニアモータ式、リンク式、個別クリップ駆動式のいずれも用いることができる。
<絶縁フィルムの特性>
本発明の絶縁フィルムは、フィルム厚みが0.4μm以上6.5μm未満であることが好ましい。さらに好ましくは0.4μm以上6.0μm未満であり、特に好ましくは0.5μm以上3.5μm未満である。絶縁フィルムの厚みを当該数値範囲とすることによって、静電容量の高いコンデンサーを得ることができる。
本発明の絶縁フィルムは、その少なくとも片面の中心線平均表面粗さRaが7nm以上89nm以下であることが好ましい。
絶縁フィルムの少なくとも片面の中心線平均表面粗さRaを当該数値範囲とすることによって、巻取り性の向上効果を高くすることができる。また、耐ブロッキング性が向上し、ロールの外観を良好なものとすることができる。中心線平均表面粗さRaが低すぎる場合は、滑り性が低くなりすぎる傾向にあり、巻取り性の向上効果が低くなる。他方、高すぎる場合は、滑り性が高くなりすぎる傾向にあり、巻取り時に端面ズレを起こしやすくなる等巻取り性の向上効果が低くなる。このような観点から、中心線平均表面粗さRaの下限は、好ましくは11nm以上、さらに好ましくは21nm以上、特に好ましくは31nm以上である。また、中心線平均表面粗さRaの上限は、より好ましくは79nm以下、さらに好ましくは69nm以下、特に好ましくは59nm以下である。
本発明の絶縁フィルムは、その少なくとも片面の10点平均粗さRzが200nm以上3000nm以下であることが好ましい。
絶縁フィルムの10点平均粗さRzを当該数値範囲とすることによって、巻取り性の向上効果を高くすることができる。10点平均粗さRzが低すぎる場合は、ロールとして巻き上げる際にエアー抜け性が低くなる傾向にあり、フィルムが横滑りしやすくなる等巻取り性の向上効果が低くなるおそれがある。特に、フィルム厚みが薄い場合は、フィルムの腰が無くなるため、エアー抜け性がさらに低くなる傾向にあり、巻取り性の向上効果がさらに低くなる。他方、10点平均粗さRzが高すぎる場合は、粗大突起が多くなる傾向にあり、絶縁破壊電圧の向上効果が低くなるおそれがある。このような観点から、10点平均粗さRzの下限は、より好ましくは600nm以上、さらに好ましくは1000nm以上、特に好ましくは1250nm以上である。また、10点平均粗さRzの上限は、より好ましくは2600nm以下、さらに好ましくは2250nm以下、特に好ましくは1950nm以下である。
本発明の絶縁フィルムの熱収縮率は、150℃×30分、無張力の条件下で、長尺方向(機械軸方向)および短尺方向(機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向)においてそれぞれ2.0%以下である。
熱収縮率が上記数値範囲にあると、コンデンサーの加工時(蒸着など)において生じるブロッキングを抑制することができ、品質に優れたコンデンサーを得やすくなる。一方、熱収縮率が大きくなりすぎると、コンデンサーの加工時(蒸着など)にブロッキングを起こし易くなり、良品が得られ難くなる傾向にある。このような観点から、150℃×30分の熱収縮率は、縦方向及び横方向ともに1.0%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0%が特に好ましい。
上記のような熱収縮率を達成するためには、延伸方法を同時二軸延伸とする。加えて、熱固定温度を後述の範囲とすることがより好ましい。熱固定温度を高くすると、熱収縮率は低くなる傾向にある。また、熱固定時やその後の工程において熱弛緩処理を施すことによって、より効果的に上記熱収縮率の数値範囲を達成することができる。
本発明の絶縁フィルムは、120℃における絶縁破壊電圧(BDV)が320V/μm以上であることが好ましい。絶縁破壊電圧が上記数値範囲にあるということは、高温においても優れた絶縁破壊電圧を有するということを表わす。かかる絶縁破壊電圧は、より好ましくは400V/μm以上、さらに好ましくは420V/μm以上である。
本発明の絶縁フィルムは、組成物に含まれるシンジオタクチック構造のスチレン系重合体を80質量%以上含む場合において、同時二軸延伸フィルムの厚み方向の屈折率が1.5800以上1.6550以下であることが好ましい。厚み方向の屈折率を上記数値範囲とすることによって、より絶縁破壊電圧を高くすることができる。また、フィルム製造工程におけるフィルム破断の頻度が低下し、生産性を向上しやすくなる。このような観点から、厚み方向の屈折率は、好ましくは1.620以下、さらに好ましくは1.615以下、特に好ましくは1.610以下である。他方、厚み方向の屈折率が低すぎる場合は、絶縁破壊電圧が低くなる傾向にある。
また、本発明の絶縁フィルムは、コンデンサーの製造工程におけるフィルム破断の頻度が増加し、コンデンサーの生産性が低下しやすくなる。さらに、フィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、品質の安定したコンデンサーを得にくくなる。このような観点から、厚み方向の屈折率は、好ましくは1.590以上、さらに好ましくは1.595以上、特に好ましくは1.600以上である。
上記絶縁フィルムの厚み方向の屈折率は、ナトリウムD線(589nm)を光源としたアッベ屈折計を用い、例えば23℃65%RHの条件で測定することができる。
本発明の絶縁フィルムは、フィルムの短尺方向(横方向、TD方向)の湿度膨張係数αhが0.1×10−6〜13×10−6/%RHの範囲にあることが好ましい。さらに好ましいαhは、0.5×10−6〜11×10−6/%RH、特に好ましくは、0.5×10−6〜10×10−6/%RHの範囲である。
αhを下限よりも小さくするには、製膜性が低下することがある。一方上限を超えると、湿度変化によってフィルムが伸びてしまい、フィルムコンデンサーに用いた時に自動車のエンジンルームといった高湿度の環境が要求される用途でコンデンサー特性が十分でないことがある。
上記絶縁フィルムのフィルムのTD方向の湿度膨張係数αhは、下記式より算出できる。
αt={(L60−L40)/(L40×△T)}+0.5×10−6
40:40℃のときのサンプル長(mm)
60:60℃のときのサンプル長(mm)
△T:20(=60−40)℃
0.5×10−6:石英ガラスの温度膨張係数
本発明の絶縁フィルムは、フィルムのTD方向の温度膨張係数αtが−10×10−6〜+15×10−6/℃の範囲にあることが好ましい。好ましいαtは、−8×10−6〜+10×10−6/℃、特に−5×10−6〜+5×10−6/℃の範囲である。
αtが、下限よりも小さいと収縮してしまい、一方上限を超えると、温度変化によってフィルムが伸びてしまい、フィルムコンデンサーに用いた時に自動車のエンジンルームといった高温の環境が要求される用途でコンデンサー特性が十分でないことがある。
上記絶縁フィルムのフィルムの幅方向の温度膨張係数αtは、下記式より算出できる。
αh=(L70−L30)/(L30×△H)
30:30%RHのときのサンプル長(mm)
70:70%RHのときのサンプル長(mm)
△H:40(=70−30)%RH
本発明の絶縁フィルムは、フィルムのMD方向およびTD方向のヤング率がともに5GPa以上であることが好ましい。どちらか一方でもヤング率が下限よりも小さいと、フィルムコンデンサーに用いたときの力学的特性が充分でないことがあり、また温湿度変化で変形してしまうことがある。
また、MD方向とTD方向のヤング率の和は、高々22GPaであることが好ましい。MD方向のヤング率とTD方向のヤング率の和が、上限を超えると、フィルム製膜時、延伸倍率が過度に高くなり、フィルム破断が多発し、製品歩留りが著しく悪くなることがある。好ましいMD方向とTD方向のヤング率の和の上限は、20GPa以下、さらに18GPa以下である。
絶縁フィルムのヤング率は、フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして引張速度10mm/min、チャート速度500mm/minでインストロンタイプの万能引張試験装にて引張り、得られる荷重−伸び曲線の立上り部の接線より算出できる。
本発明の絶縁フィルムは、フィルムの面方向における最小値の屈折率(Nx)と、該Nxの屈折率を示す方向に直交する方向の屈折率(Ny)との差の絶対値(△n)が、0.025以下が好ましい。△Nが0.25以下であることで、フィルムの面方向における物性がバランスし、収縮斑による細かい皺や平面性の悪化などを抑制でき、また耐熱性もより向上させることができる。これらの観点から、ΔNは、0.020以下がより好ましく、0.018以下がさらに好ましく、0.015以下が特に好ましい。
本発明の絶縁フィルムは、動的粘弾性測定により周波数10Hzで測定した120℃における貯蔵弾性率(E’)が600MPa以上であることが好ましい。120℃における貯蔵弾性率(E’)が上記数値範囲にあると、高温環境下におけるフィルムの機械特性に優れる。120℃における貯蔵弾性率が低すぎる場合は、高温で使用される際に機械特性(破断強度や破断伸度など)が低下する傾向にある。このような観点から、120℃における貯蔵弾性率は、650MPa以上がより好ましく、700MPa以上がさらに好ましく、750MPa以上が特に好ましい。
また、本発明の絶縁フィルムは、動的粘弾性測定により周波数10Hzで測定した150℃における貯蔵弾性率(E’)が370MPa以上であることが好ましい。150℃における貯蔵弾性率(E’)が高い程、耐熱性に優れるといえる。これらの観点から、150℃における貯蔵弾性率(E’)は400MPa以上がより好ましく、430MPa以上がさらに好ましく、460MPa以上が特に好ましい。
本発明の絶縁フィルムは、動的粘弾性測定により振動周波数10Hzで測定した損失弾性率(E’’)のピーク温度が120℃以上150℃以下であることが好ましい。損失弾性率(E’’)のピーク温度が適度に高いということは、絶縁フィルムを加熱した際に、分子運動が活発になり始める温度が適度に高いということである。そのため、フィルムとしての耐熱性が高くなる傾向にある。このような観点から、損失弾性率(E’’)のピーク温度は、125℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましく、135℃以上が特に好ましい。一方、損失弾性率(E’’)のピーク温度が高すぎるということは、分子運動が活発になり難いということも併せ持っており、延伸時の延伸応力が高くなるためか、二軸延伸製膜時に破断が起き易くなる。このような観点からは、損失弾性率(E’’)のピーク温度は、145℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましい。
本発明の絶縁フィルムは、120℃、周波数1kHzにおける誘電正接(tanδ)が0.0015以下であることが好ましい。120℃における誘電正接(tanδ)が大きい場合は、該フィルムが高温(例えば120℃)で長時間使用される場合、自己発熱してしまい、損傷が生じ易くなる傾向にある。このような観点から、120℃における誘電正接(tanδ)は、0.0012以下がより好ましく、0.0009以下がさらに好ましく、0.0006以下が特に好ましい。
誘電正接は、JIS C 2151に従って作製したサンプルを用いて誘電体損即的を用いることにより算出できる。
本発明の絶縁フィルムは、フィルムの屈折率による面配向係数(ΔP)が−0.027以下である。なお、本発明の絶縁フィルムでは、面配向係数が負の値になればなるほど、フィルム面方向に分子鎖が配向された方向になり、驚くべきことに面配向係数(ΔP)を上限以下にしていくことで、後述のせん断応力で見た耐熱性を向上させることができる。このような観点から、面配向係数の上限は、−0.029以下が好ましく、−0.030以下がより好ましく、−0.032以下がさらに好ましく、−0.033以下が特に好ましい。
一方、面配向係数(ΔP)の下限は特に制限されないが、フィルム製造工程、特に延伸工程におけるフィルム破断の頻度が増加する傾向にあり、フィルムの生産性が低下しやすくなる。このような観点から、面配向係数(ΔP)の下限は、好ましくは−0.045以上であり、−0.040以上がより好ましく、−0.039以上がさらに好ましく、−0.038以上が特に好ましい。
絶縁フィルムの面配向係数ΔPは、ΔP=(Nx+Ny)/2−Nzにより計算できる。ここでNxは、面方向の最小の屈折率であり、それと直交する方向の屈折率を(Ny)とし、さらに、厚み方向の屈折率(Nz)とする。
<塗布層>
本発明の絶縁性フィルムは、その少なくとも片面に、表面の水接触角が85°以上、120°以下である塗布層を有することが好ましい。このような塗布層を有することにより、絶縁破壊電圧を高くすることができる。絶縁フィルムと電極の間に薄層の塗布層が存在することで、電荷集中を緩和でき、絶縁破壊電圧が向上するものと考えられる。また、さらに絶縁フィルムよりも表面エネルギーの小さい薄層である塗布層が存在すると、放電が発生しても、絶縁フィルムから塗布層が剥離し、誘電体である絶縁フィルムの破壊を防ぎ、結果的に絶縁破壊電圧が向上するものと考えられる。すなわち、本発明においては、塗布層表面の水接触角が上記数値範囲にあると、電圧印加して放電起こると同時に塗布層がフィルムから剥離し、かかる剥離した塗布層のみが破壊され、フィルムは破壊されず、結果的に絶縁破壊電圧が向上すると考えられる。
塗布層の水接触角が低すぎると、放電が起こっても塗布層がフィルムから剥離し難く、剥離が不完全であるため塗布層の絶縁破壊に誘引されてフィルムの絶縁破壊が発生してしまい、塗布層による絶縁破壊電圧の向上効果が得られない。また、塗布層の水接触角が上記範囲にあることで、滑り性に優れて巻取性を向上させることができ、また、後述のせん断応力などで見た耐熱性を向上させることもできる。
このような観点から、塗布層表面の水接触角は、86°以上が好ましく、88°以上がより好ましく、90°以上がさらに好ましく、95°以上が特に好ましい。他方、水接触角が高いと塗布層が絶縁フィルムから剥離しやすくなる傾向にあるため、放電が発生しても、容易に剥離した塗布層のみが破壊され、絶縁フィルムが絶縁破壊され難くなる。しかし、塗布層表面の水接触角が高くなりすぎると、コンデンサーとする際にその上に形成する金属層との接着性が低くなり、特に水接触角が120°を越えると金属層との接着性に劣り、コンデンサーとしての機能を発揮し難くなる傾向にある。このような観点から、塗布層表面の水接触角は、120°以下であることが必要であり、115°以下が好ましく、110°以下がより好ましく、105°以下がさらに好ましい。
上記のような表面水接触角の値を達成するには、例えばワックス成分、シリコーン成分、フッ素成分等の、塗布層を形成後にその表面エネルギーを小さくすることができる成分を塗布層に含有すればよい。また、これらの含有量や、塗布層の厚みを調整することによっても、塗布層表面における水接触角は調整することができる。好ましくは、後述する成分を、後述する含有量で含有する態様である。尚、ワックス成分、シリコーン成分、フッ素成分の中では、ワックス成分とシリコーン成分が特に好ましい。
塗布層は、上述した表面の水接触角が達成されれば特にその種類は限定されないが、ワックス成分、シリコーン成分、及びフッ素成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を、塗布層の質量に対して、41質量%以上、94質量%以下含有することが好ましい。
ここで係る含有量は、塗布層中におけるワックス成分、シリコーン成分、及びフッ素成分の合計の含有量を示す。塗布層がこれら成分の少なくとも1種を上記含有量で含有することにより、塗布層の表面エネルギーを、フィルムの表面エネルギーよりも小さくすることが容易になり、上記の塗布層表面における水接触角の数値範囲をより容易に達成できるようになる。含有量が少なすぎる場合は、水接触角が高くなり難い傾向にある。このような観点から、上記成分の含有量は、51質量%以上がさらに好ましく、65質量%以上が特に好ましい。他方、含有量は、多いと接触角が高くなる傾向にあるため、塗布層の剥離という観点からは好ましい傾向にあるが、多すぎる場合は、均一な塗布層を形成することが困難となり、例えば塗布抜け等の塗布層の欠陥が生じやすくなったり、塗布層がフィルムから剥離しやすくなったりして、これらにより絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる。
また、コンデンサーを製造する際において、塗布層の離型性が高すぎて金属層が剥離しやすくなり、巻回などのコンデンサーへの加工時に容易に金属層が脱離してしまい、コンデンサーとして不良品が生じることがある。このような観点から、含有量は、90質量%以下がさらに好ましく、85質量%以下が特に好ましい。
(ワックス成分)
ワックス成分として、ポリオレフィン系ワックス、エステル系ワックスなどの合成ワックスが挙げられ、また、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックスが挙げられる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。また、エステル系ワックスとしては、例えば炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなるエステル系ワックス等が挙げられ、具体的には、ソルビタントリステアレート、ペンタエリスリットトリペヘネート、グリセリントリパルミテート、ポリオキシエチレンジステアレートが例示される。
これらワックスの中でも、ポリオレフィン系ワックスを用いることが、塗布層の接触角を満足しやすく好ましい。特に好ましくは、ポリエチレンワックスである。
また、塗布層中で良好な分散性を示し、それにより絶縁破壊電圧の向上効果を高くできるという観点から、ワックスは水溶性または水分散性のものが好ましい。
(シリコーン成分)
シリコーン成分としては、反応性基を有するシリコーン化合物から主に形成されてなるシリコーン組成物であることが好ましい。ここで「主に」とは、例えば、シリコーン成分中において70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上のことを示す。このような態様とすることにより、絶縁破壊電圧の向上効果を高くすることができる。
尚、反応性基を有しないシリコーン化合物は、シリコーン成分中に含んでいてもよいが、その含有量が多すぎる場合(例えば、シリコーン成分中において30質量%以上の場合)には、蒸着層の形成が難しくコンデンサーとしての評価ができなくなる。そのため、反応性基を有しないシリコーン化合物は、シリコーン成分中に、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
シリコーン化合物としては、好ましくは、メチル基が他のアルキル基やフェニル基等に置換されていてもよいポリジメチルシロキサンを挙げることができ、これを用いることにより絶縁破壊電圧の向上効果をより高くすることができる。
シリコーン化合物の好ましい反応性基としては、水素基、ビニル基(アリル基等のビニルアルキル基を含む。)、水酸基等が挙げられる。
反応性基を有するシリコーン化合物としては、上述の反応性基のいずれかを有するポリジメチルシロキサンが特に好ましい。かかる反応性基を有するポリジメチルシロキサンにおいては、反応性基は、分子中に2個以上有しており、ケイ素原子に直接結合しているのが通常である。そして、塗布層を形成する際にかかる熱等によって、好ましくは白金やパラジウム等の触媒を利用して、水素基とビニル基において付加反応が生じ、または水素基と水酸基において縮合反応が生じ、硬化反応が生じ、架橋構造を形成し、シリコーン組成物となる。
シリコーン化合物は、種類の異なる反応性基を有するシリコーン化合物の混合体でもよい。かかるシリコーン化合物は分子量が1000〜500000であることが好ましい。1000未満であると塗膜凝集力が低下して塗布層の欠落が生じやすいことがあり、500000を超えると粘性が高くなりハンドリングしにくいことがある。
塗布層を形成するための塗液の取り扱い易さや、塗布層中で良好な分散性を示し、それにより絶縁破壊電圧の向上効果を高めるという観点から、シリコーン化合物、ポリジメチルシロキサンは、水溶性または水分散性であることが好ましい。
また、シリコーン化合物は、シランカップリング剤を併用して用いられることが好ましい。かかるシランカップリング剤とは、ケイ素原子に直接結合した加水分解性基を有し、好ましくは反応性基を有するシラン化合物である。
上記反応性基を有するシラン化合物としては、ケイ素原子に直接結合した加水分解性基を有し、アミノ基を含む有機基、エポキシ基を含む有機基、カルボン酸基を含む有機基から選ばれる反応性基を1種以上含有するものを用いることが好ましい。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基のごとくアルコキシ基やハロゲン基のように、加水分解と反応によりシラノール基を生成する有機基である。
例えば、シラン化合物の反応性基の具体例としては、アミノ基を含む有機基としては、3−アミノプロピル基、3−アミノ−2−メチル−プロピル基、2−アミノエチル基といった1級アミノアルキル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル基といった1級および2級アミノ基を有する有機基を例示することができる。エポキシ基を含む有機基としては、γ−グリシドキシプロピル基、β−グリシドキシエチル基、γ−グリシドキシ−β−メチル−プロピル基といったグリシドキシアルキル基、2−グリシドキシカルボニル−エチル基、2−グリシドキシカルボニル−プロピル基といったグリシドキシカルボニルアルキル基を例示することができる。加水分解によりシラノール基を生成する有機基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基といったアルコキシ基、β−メトキシエトキシ基、β−エトキシエトキシ基、ブトキシ−β−エトキシ基といったアルコキシ−β−エトキシ基、アセトキシ基、プロポキシ基等のアシロキシ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基といったN−アルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基といったN,N−ジアルキルアミノ基、イミダゾール基、ピロール基といった窒素を含有する複素環基を例示することができる。
好ましいシランカップリング剤としては、加水分解性基として3つのメトキシ基を有し、反応性基をしてγ−グリシドキシプロピル基を有するもの、加水分解性基として3つのエトキシ基が結合し、反応性基をしてγ−グリシドキシプロピル基を有するものが挙げられる。このようなシランカップリング剤添加することにより、シリコーン化合物薄膜の架橋密度を上げることができる。塗布膜剛性があがると放電によるフィルムへの破壊がさらに抑制でき絶縁破壊特性が向上する。
(フッ素成分)
フッ素成分としては、フルオロエチレン系モノマーを用いた重合体、フッ化アルキル(メタ)アクリレート系モノマーを用いた重合体などが挙げられる。
フルオロエチレン系モノマーを用いた(共)重合体として、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、モノフルオロエチレン、ジフルオロジクロロエチレン等の(共)重合体が挙げられる。
(その他の添加剤)
塗布層は、界面活性剤、架橋剤、滑剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
界面活性剤は、フィルムへの、塗布層を形成するための塗液の濡れ性を高めたり、かかる塗液の安定性を向上させる目的で使用され、例えば、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、塗布層の質量を基準として1〜60質量%含まれていることが好ましい。
架橋剤を添加することにより、塗布層の凝集力を向上させることができ好ましい。
架橋剤として、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物を例示することができ、その他のカップリング剤を用いることもできる。架橋剤の添加量は、塗布層の質量を基準として5〜30質量%であることが好ましい。
塗布層には、絶縁性フィルムの取り扱い性をさらに向上させたり、フィルム同士のブロッキングを防止したりする等の目的で、塗布層を形成する成分に対して不活性な微粒子を添加することができる。かかる微粒子は、有機または無機の不活性微粒子が好ましく、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、シリカ粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等を例示することができる。
塗布層の厚みは、乾燥後の厚みとして、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.005〜0.2μm、さらに好ましくは0.02〜0.1μmである。
塗布層の厚みを当該範囲とすることによって、剥離して絶縁破壊される際に、より大きな電圧のエネルギーを消失されることができ、絶縁破壊電圧の向上効果を高めることができる。塗布層の厚みが下限値に満たない場合は、絶縁破壊電圧の向上効果が十分に発現しないことがある。また、塗布層の厚みが上限値を超える程度に厚くしても、さらなる絶縁破壊電圧の向上効果が得られないことがある。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。但し、本発明は、下記実施例及び比較例に限定されない。
実施例中の各種特性値は下記の方法で測定、評価した。
(1)微粒子の平均粒径
試料台上に、粉体を個々の粒子ができるだけ重ならないように散在させ、金スパッター装置によりこの表面に金薄膜蒸着層を厚み200〜300Åで形成した。当該蒸着層を走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観察し、少なくとも100個の微粒子についてその面積相当粒径(Di)を求めた。得られた数値を下記式にあてはめて、平均粒径を算出した。
(2)延伸性
フィルム製膜時、10,000mあたりの破断頻度について、以下の基準で評価した。
A: 10,000mの製膜あたり、破断回数は0回
B: 10,000mの製膜あたり、破断回数は1〜4回
C: 10,000mの製膜あたり、破断回数は5回以上
(3)ロール外観
フィルムを600mm幅、6000mのロール状に95m/分の速度で巻き取ったときに得られたロールの外観について、以下の基準で評価した。
A: ロール表面に凸状点がなく、良好
B: ロール表面に1個以上、5個未満の凸状点がある
C: ロール表面に5個以上、10個未満の凸状点がある
D: ロール表面に10個以上の凸状点がある
(4)巻ずれ
フィルムを600mm幅、6000mのロール状に95m/分の速度で巻き取ったときに得られたロールの巻ずれについて、以下の基準で評価した。
A: ロール端面における端面ずれが0.5mm未満であり、良好
B: ロール端面における端面ずれが0.5mm以上1mm未満
C: ロール端面における端面ずれが1mm以上2mm未満
D: ロール端面における端面ずれが2mm以上
(5)フィルムの表面粗さ(Ra)
表面粗さは共焦点レーザー顕微鏡を用いて中心線平均粗さRaを計測した。
(6)熱収縮率
無張力の状態で150℃の雰囲気中30分におけるフィルムの長尺方向(MD)及び短尺方向(TD)の熱収縮率(単位:%)をそれぞれ求めた。
(7)絶縁破壊電圧
JIS C 2151に示される方法に従って測定した。23℃相対湿度50%の雰囲気にて、直流耐電圧試験機を用い、上部電極は直径25mmの真鍮製円柱、下部電極は直径75mmのアルミ製円柱を使用し、100V/秒の昇圧速度で昇圧し、フィルムが破壊し短絡した時の電圧(単位:V)を読み取った。得られた電圧をフィルム厚み(単位:μm)で除して、絶縁破壊電圧(単位:V/μm)とした。
測定は41回実施し、大きい方の10個、小さい方の10個を除き、21個の中央値を絶縁破壊電圧の測定値とした。
100℃、120℃での測定は熱風オーブンに電極、サンプルをセットし、耐熱コードで電源に接続し、オーブン投入後1分で昇圧を開始して測定した。
実施例1
300℃、1.2kg荷重で測定したMFRが9であるシンジオタクチックポリスチレン(出光興産株式会社製:商品名ザレック)99質量%に対して、酸化防止剤(BASF社製:商品名IRGANOX1010)を0.5質量%、アルミノシリケート粒子(水澤化学製:商品名AMT−08L(平均粒径0.8μm))を0.5質量%を配合し、樹脂混合物を得た。得られた混合物を35mmφの二軸混練機にて押出温度300℃で溶融混練し、ペレットを得た。当ペレットを75mmφの単軸押出機に供給し、300℃で溶融し、シート成形用ダイスリットから押出し、40℃に冷却されたキャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸シートを得た。
この未延伸シートを同時二軸延伸機に導入し、延伸温度110℃、延伸速度5,000%/分にて、長尺方向(機械軸方向)と短尺方向(機械軸と垂直方向)にそれぞれ3.3倍に延伸した。その後、240℃で6秒間熱固定し、その際、縦・横方向にそれぞれ3%の弛緩処理を行い、厚み3μmの延伸フィルムを得て、ロール状に巻き取った。
得られた延伸フィルムの特性について評価した。結果を表1に示す。尚、本願実施例では樹脂混合物が溶媒等の加熱及び延伸によってなくなってしまう成分を含まないので、不活性微粒子の樹脂混合物における含有率と、得られるフィルム中の不活性微粒子の含有率は等しい値となる。
実施例2−5及び比較例1−2
表1に示す種類及び添加量で微粒子を用い、表1に示す延伸条件とした他は実施例1と同様にして延伸フィルムを製造し、その特性を評価した。結果を表1に示す。
尚、表1において、実施例2−5及び比較例1の微粒子は、実施例1と同じアルミノシリケート粒子(水澤化学製:商品名AMT−08L(平均粒径0.8μm))を用い、比較例2では微粒子としてアルミノシリケート粒子(水澤化学製:商品名AMT−50(平均粒径5.0μm))を用いた。
比較例3
実施例1と同様に未延伸シートを製造した。
得られた未延伸シートを110℃で長尺方向(機械軸方向)に3.3倍延伸し、続いてテンターに導いた後、短尺方向(機械軸方向と垂直な方向)に3.3倍延伸した。その際、短尺方向の延伸速度は5000%/分とした。また、短尺方向の延伸の温度は、120℃とした。その後240℃で9秒間熱固定及び3%弛緩処理をして、厚み3.0μmの絶縁フィルムを得てロール状に巻取った。
得られた延伸フィルムの特性について実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
本発明の絶縁フィルムは、コンデンサーの絶縁体として好適に用いることができる。特に、ハイブリッドカー等に搭載される、比較的高温環境下に晒されるコンデンサーの絶縁体として好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とし、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下である不活性微粒子を2.0質量%以下含み、
    無張力の状態で150℃、30分の加熱処理を行った場合に、フィルムの長尺方向と短尺方向の熱収縮率がそれぞれ2%以下となることを特徴とする絶縁フィルム。
  2. シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とし、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下である不活性微粒子を2.0質量%以下含むスチレン系重合体含有組成物を、同時二軸延伸することにより製造した絶縁フィルム。
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