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JP2017098181A - 全固体電池 - Google Patents

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JP2017098181A JP2015231599A JP2015231599A JP2017098181A JP 2017098181 A JP2017098181 A JP 2017098181A JP 2015231599 A JP2015231599 A JP 2015231599A JP 2015231599 A JP2015231599 A JP 2015231599A JP 2017098181 A JP2017098181 A JP 2017098181A
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成章 三木
Shigeaki Miki
成章 三木
内山 貴之
Takayuki Uchiyama
貴之 内山
知哉 鈴木
Tomoya Suzuki
知哉 鈴木
徳洋 尾瀬
Tokuhiro Ose
徳洋 尾瀬
祐貴 松下
Yuki Matsushita
祐貴 松下
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】本発明は、電池性能を維持しつつ、仮に短絡が生じた場合であってもジュール発熱の発生を抑制した全固体電池を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明においては、正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、上記正極層および上記負極層の間に形成された固体電解質層とを有する全固体電池であって、上記正極層のLiイオン伝導度が4.0×10−4(S/cm)以上であり、かつ、上記正極活物質の電子伝導度が2.3×10−9(S/cm)以下であることを特徴とする全固体電池を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池性能を維持しつつ、仮に短絡が生じた場合であってもジュール発熱の発生を抑制した全固体電池に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として優れた電池の開発が重要視されている。また、情報関連機器や通信関連機器以外の分野では、例えば自動車産業界において、電気自動車やハイブリッド自動車に用いられる電池としてリチウムイオン電池の開発が進められている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
特許文献1には、Li元素および遷移金属元素を有する酸化物である正極活物質と、Li元素、P元素、およびS元素を含有する固体電解質材料とを有し、Liイオン伝導度に対する電子伝導度の割合が、0.39以下である正極合材層が開示されている。この技術は、急速充電容量が良好な正極合材層を提供することを目的としている。
特開2015−176801号公報
全固体電池が高性能化(低抵抗化)すると、例えば短絡が生じた場合に、大きなジュール発熱が生じる。一方、ジュール発熱を抑制するために、例えば正極層のイオン伝導度を低くすると、電池性能(例えば出力特性)が低下する。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電池性能を維持しつつ、仮に短絡が生じた場合であってもジュール発熱の発生を抑制した全固体電池を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明においては、正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、上記正極層および上記負極層の間に形成された固体電解質層とを有する全固体電池であって、上記正極層のLiイオン伝導度が4.0×10−4(S/cm)以上であり、かつ、上記正極活物質の電子伝導度が2.3×10−9(S/cm)以下であることを特徴とする全固体電池を提供する。
本発明によれば、正極層のLiイオン伝導度を高く維持し、正極活物質の電子伝導度を低くすることで、電池性能を維持しつつ、仮に短絡が生じた場合であってもジュール発熱の発生を抑制した全固体電池とすることができる。
本発明の全固体電池は、電池性能を維持しつつ、仮に短絡が生じた場合であってもジュール発熱の発生を抑制できるという効果を奏する。
本発明の全固体電池の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の全固体電池について、詳細を説明する。
図1は本発明の全固体電池の一例を示す概略断面図である。図1に示す全固体電池10は、正極活物質を含有する正極層1と、負極活物質を含有する負極層2と、正極層1および負極層2の間に形成された固体電解質層3と、正極層1の集電を行う正極集電体4と、負極層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。本発明においては、正極層1のLiイオン伝導度を高く維持し、正極活物質(図示せず)の電子伝導度を低くする。
本発明によれば、正極層のLiイオン伝導度を高く維持し、正極活物質の電子伝導度を低くすることで、電池性能を維持しつつ、仮に短絡が生じた場合であってもジュール発熱の発生を抑制した全固体電池とすることができる。具体的に、正極層のLiイオン伝導度については、通常、4.0×10−4(S/cm)以上と高く維持する。これにより、電池性能(例えば出力特性)の大幅な低下を抑制できる。一方、正極活物質の電子伝導度については、2.3×10−9(S/cm)以下と低くする。これにより、ジュール発熱の発生を抑制することができる。そのため、全固体電池の安全性をさらに向上させることができる。
また、従来は、電池性能の向上の観点から、正極層およびその構成材料におけるLiイオン伝導度および電子伝導度は、より高いことが好ましいとされていた。これに対して、本発明においては、正極活物質の電子伝導度を意図的に下げることで、全固体電池の安全性をさらに向上させることができる。正極活物質の電子伝導度を意図的に下げる場合、正極層のLiイオン伝導度を意図的に下げる場合に比べて、出力特性に悪影響が出にくくなるという利点がある。一般論として、電子およびイオンを比較すると、電子の方がはるかに移動しやすい(抵抗が低い)。電池反応は電子およびイオンが一対となって起こるため、動きの遅いイオンの伝導度に特性が左右される。一方、電子は、例えばVGCF等の導電化材を用いる場合、イオンに比べ格段に早く移動でき、過剰なほどに抵抗が低い。そのような状況において、正極活物質(特に正極活物質の表面)の電子抵抗を上げても、電池特性悪化を最小限に留めることができる。一方で、正極活物質(特に正極活物質の表面)の電子抵抗を上げることで、ジュール発熱の発生を効果的に抑制することができる。
以下、本発明の全固体電池について、構成ごとに説明する。
1.正極層
本発明における正極層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。まず、正極層の構成部材について説明し、次に、正極層の特性について説明する。
(1)正極活物質
本発明における正極層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。正極活物質としては、例えば、酸化物活物質を挙げることができる。酸化物活物質としては、具体的には、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質等を挙げることができる。また、PO 3−、SiO 4−、BO 3−等のポリアニオンを含む任意のポリアニオン系活物質を正極活物質として用いても良い。正極活物質は、作動電位が3.0V(Li/Li)以上であることが好ましい。
正極活物質の形状としては、例えば粒子状を挙げることができる。正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば、1nm〜100μmの範囲内であり、10nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。正極層における正極活物質の含有量は、例えば、40質量%〜99質量%の範囲内である。なお、後述する実施例のように、正極層における正極活物質の含有量は、80質量%以上であっても良い。また、正極層における正極活物質の種類は、実質的に一種類であることが好ましい。実質的に一種類であるとは、全ての正極活物質に対する特定の正極活物質の割合が90質量%以上であることをいう。
正極活物質の表面は、Liイオン伝導性酸化物から構成されるコート層で被覆されていても良い。正極活物質と固体電解質との反応を抑制できるからである。コート層の材料としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiPON、LiTi12、LiTiO、LiZrO等のLiイオン伝導性酸化物を挙げることができる。コート層におけるLiイオン伝導性酸化物の割合は、例えば、70質量%以上であり、90質量%以上であることが好ましい。コート層の平均厚さは、例えば、1nm〜20nmの範囲内であり、1nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
コート層の形成方法としては、例えば、コート層の前駆体溶液を正極活物質の表面に塗工することで、前駆体層を形成し、その前駆体層を熱処理することで、コート層を形成する方法を挙げることができる。
前駆体溶液は、通常、金属酸化物の原料と、溶媒とを含有する。金属酸化物の原料としては、金属アルコキシド、金属無機塩、金属水酸化物等を挙げることができる。例えば、金属酸化物がニオブ酸リチウムである場合、金属酸化物の原料として、Li源およびNb源を用いる。Li源としては、例えば、エトキシリチウム、メトキシリチウム等のLiアルコキシドを挙げることができる。一方、Nb源としては、例えば、ペンタエトキシニオブ、ペンタメトキシニオブ等のNbアルコキシド、水酸化ニオブ等のNb水酸化物、Nbペルオキソ錯体(ペルオキソニオブ酸錯体、[Nb(O3−)等のNb錯体等を挙げることができる。また、前駆体溶液の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、および、水を挙げることができる。
正極活物質の表面に前駆体溶液を塗工する方法としては、例えば、流動層コーティング法、スプレードライヤー法を挙げることができる。流動層コーティング法では、均一な前駆体層が形成される。気流温度(ガス流温度)は、例えば40℃〜100℃の範囲内である。流動層コーティング装置としては、例えば、パウレックス製マルチプレックス、フロイント産業製フローコーター等を挙げることできる。塗工方法の他の方法としては、前駆体溶液中に正極活物質を浸漬し、その後、溶媒を乾燥する方法を挙げることができる。
熱処理温度は、例えば、100℃以上であり、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましい。一方、熱処理温度は、例えば、500℃以下であり、400℃以下であることが好ましい。熱処理時間は、目的とするコート層を形成できるように適宜設定する。熱処理時間は、例えば、30分間〜48時間の範囲内であり、1時間〜20時間の範囲内であることが好ましい。また、熱処理雰囲気は、例えば、酸素を含有する雰囲気であることが好ましい。
(2)固体電解質材料、導電化材および結着材
本発明における正極層は、上述した正極活物質の他に、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。
硫化物固体電解質材料としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)等を挙げることができる。なお、上記「LiS−P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質材料を意味し、他の記載についても同様である。
中でも、硫化物固体電解質材料は、Li元素、A元素(Aは、P、Si、Geの少なくとも一つ)およびS元素を含有することが好ましい。特に、オルト組成のアニオン構造(例えば、PS 3−構造、SiS 4−構造、GeS 4−構造)をアニオン構造の主成分として含有することが好ましい。全アニオン構造に対するオルト組成のアニオン構造の割合は、50mol%以上であっても良く、70mol%以上であっても良く、90mol%以上であっても良い。また、硫化物固体電解質材料は、ハロゲン元素(F、Cl、Br、I)をさらに含有していても良く、同様に、O元素をさらに含有していても良い。
硫化物固体電解質材料の形状としては、例えば粒子状を挙げることができる。硫化物固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば、10nm〜40μmの範囲内である。また、硫化物固体電解質材料の常温(25℃)におけるLiイオン伝導度は、例えば、1×10−5S/cm以上であり、1×10−4S/cm以上であることが好ましい。
一方、導電化材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー(VGCF)等を挙げることができる。正極層における導電化材の含有量は、例えば、1質量%〜30質量%の範囲内である。なお、後述する実施例のように、正極層における正極活物質の含有量は、2質量%以下であっても良い。また、結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有結着材を挙げることができる。
(3)正極層
本発明においては、正極層のLiイオン伝導度を高く維持し、正極活物質の電子伝導度を低くすることで、電池性能を維持しつつ、仮に短絡が生じた場合であってもジュール発熱の発生を抑制した全固体電池とすることができる。なお、Liイオン伝導度および電子伝導度は、常温(25℃)での値とする。
まず、正極活物質の電子伝導度について説明する。正極活物質の電子伝導度は、通常、2.3×10−9(S/cm)以下である。一方、正極活物質の電子伝導度は、例えば、1.0×10−12(S/cm)以上である。なお、正極活物質の表面にコート層が形成されている場合には、コート層を含めた正極活物質(複合粒子)の電子伝導度を、正極活物質の電子伝導度とする。電子伝導度の測定方法については、後述する実施例において詳細に説明する。
正極活物質の電子伝導度は、例えば、正極活物質の種類の選択により制御できる。また、正極活物質の表面にコート層が形成されている場合には、コート層の厚さを調整することで制御できる。コート層の厚さで調整する場合、正極活物質自体(コート層を有しない正極活物質)の電子伝導度は、例えば、1.0×10−6(S/cm)以上であっても良い。
次に、正極層のLiイオン伝導度について説明する。正極層のLiイオン伝導度は、通常、4.0×10−4(S/cm)以上であり、4.8×10−4(S/cm)以上であることが好ましい。また、正極層のLiイオン伝導度の上限は特に限定されないが、例えば、1.0×10−3(S/cm)以下であっても良く、7.8×10−4(S/cm)未満であっても良い。Liイオン伝導度の測定方法については、後述する実施例において詳細に説明する。また、正極層のLiイオン伝導度は、例えば、正極層に含まれる固体電解質材料の割合を調整することで制御できる。
また、正極層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内である。
2.負極層
本発明における負極層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。
負極活物質としては、例えば、金属活物質およびカーボン活物質等を挙げることができる。金属活物質としては、例えば、In、Al、SiおよびSn等が挙げられる。一方、カーボン活物質としては、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。
負極層に用いられる、固体電解質材料、導電化材および結着材については、上述した内容と同様である。また、負極層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内である。
3.固体電解質層
本発明における固体電解質層は、正極層および負極層の間に形成され、少なくとも固体電解質材料を含有する層である。固体電解質材料としては、例えば、上述した硫化物固体電解質材料を挙げることができる。
固体電解質層は、固体電解質材料のみを含有する層であっても良く、他の材料をさらに含有する層であっても良い。他の材料としては、例えば、結着材を挙げることができる。結着材については、上述した内容と同様である。また、固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内である。
4.その他の構成
また、本発明の全固体電池は、正極層、負極層および固体電解質層を少なくとも有する。さらに通常は、正極活物質の集電を行う正極集電体、および、負極活物質の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、およびカーボン等を挙げることができる。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケル、およびカーボン等を挙げることができる。また、電池ケースには、一般的な電池ケースを用いることができ、例えば、SUS製電池ケースを用いることができる。
5.全固体電池
本発明の全固体電池は、後述する釘刺し後の電池温度が低いことが好ましい。具体的には、釘刺し後の電池温度が、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。
また、本発明の全固体電池(全固体リチウム電池)は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池等として有用だからである。全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(前駆体溶液の調製)
濃度30質量%の過酸化水素水870.4gを入れた容器へ、イオン交換水987.4g、ニオブ酸(水酸化ニオブ、Nb・3HO(Nb含有率72%))44.2gを添加した。次に、上記容器へ、濃度28質量%のアンモニア水87.9gを添加した。そして、アンモニア水を添加した後に十分に撹拌することにより、透明溶液を得た。さらに、得られた透明溶液に、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)10.1gを加えることにより、ニオブのペルオキソ錯体およびリチウムを含有する前駆体溶液を得た。得られた前駆体溶液におけるLiおよびNbのモル濃度は、それぞれ0.12mol/kgであった。
(塗工および熱処理)
得られた前駆体溶液6525gを、転動流動層コーティング装置(MP−01、パウレック社製)を用いて、正極活物質LiNi1/3Mn1/3Co1/31kgに対して噴霧乾燥した。運転条件は、吸気ガス:窒素、吸気風量:0.4m/min、ローター回転数:400rpm、噴霧速度:14.4g/minとした。これにより、正極活物質の表面に前駆体層を形成した。その後、大気中にて200℃、5時間の条件で熱処理を行うことにより、正極活物質の表面に、ニオブ酸リチウム(LiNbO)から構成されるコート層を形成した。これにより、コート層を有する正極活物質(複合粒子)を得た。
(積層電池の作製)
得られた複合粒子67gと、硫化物固体電解質材料(20LiI−80LiPS)14gと、導電化材であるVGCF(昭和電工社製)1gとを、バインダーとともにヘプタン中に投入し、超音波ホモジナイザーで分散させ、正極スラリーを得た。得られた正極スラリーを、正極集電体であるアルミニウム箔上に塗工し、乾燥し、打き抜き、正極(正極層および正極集電体)とした。
次に、負極活物質(層状炭素)36gと、硫化物固体電解質材料(20LiI−80LiPS)25gとを、バインダーとともにヘプタン中に投入し、超音波ホモジナイザーで分散させ、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを、負極集電体である銅箔上に塗工し、乾燥し、打き抜き、負極(負極層および負極集電体)とした。得られた正極および負極の間に、硫化物固体電解質材料および結着材から構成される固体電解質層を転写法により配置し、プレスすることで、単層電池を作製した。この単層電池を8層積層し、集電タブおよびセル端子を超音波溶接し、その後、アルミラミネートフィルムで真空封入することで、0.5Ah級の積層電池を得た。
[実施例2]
正極層に用いる硫化物固体電解質材料を、15LiBr−10LiI−75LiPSに変更し、その使用量を11gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層電池を得た。
[比較例1、2]
前駆体溶液の使用量を1830gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合粒子を得た。得られた複合粒子を用い、正極層に用いる硫化物固体電解質材料の使用量を21gまたは11gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層電池を得た。
[評価]
(Liイオン伝導度測定)
実施例1、2および比較例1、2で作製した正極層のLiイオン伝導度を測定した。まず、正極層の両面を、電子伝導性を有しない固体電解質層で挟み、さらに、正極および負極で挟むことにより、正極/固体電解質層/正極層/固体電解質層/負極の構成を有する評価用セルを作製した。正極層の両面に配置された2つの固体電解質層は、電子ブロッキング層として機能し、正極層にLiイオンのみが流れる。次に、評価用セルから正極層を除いたこと以外は同様の構成を有する比較用セルを作製した。その後、評価用セルおよび比較用セルを、SOC(State of charge)が20%となるまで充電し、1mAにてDCIR測定を行った。評価用セルの抵抗値と、比較用セルの抵抗値との差を、正極層のLiイオン伝導度とした。
(電子伝導度測定)
実施例1、2および比較例1、2で作製した正極活物質(コート層を有する正極活物質)の電子伝導度を測定した。具体的には、粉体抵抗測定システム(MCP−PD51、三菱化学アナリテック社製)を用いて電子抵抗を測定した。面圧6.37MPa時の体積抵抗率を記録し、電子抵抗とした。この電子抵抗の逆数を算出し、正極活物質の電子伝導度とした。
(釘刺し試験)
実施例1、2および比較例1、2で得られた積層電池に対して、まず、以下の条件で充放電し、その後、4.55Vまで満充電した。
・定電流充電−定電流放電
・充放電電流:10時間率充放電(0.3046mA)
・充電停止電圧:4.55V
・放電停止電圧:3.0V
満充電した積層電池に対して、釘刺し試験を行った。釘刺し試験は、中華人民共和国自動車業界標準(QC/T 743−2006、6.2.12.7)に準拠して行った。具体的には、満充電した積層電池に対して、釘刺し試験機を用いて、温度60℃、速度10mm/secの条件で釘刺しを行い、20秒後の電池温度を求めた(釘刺し後の電池温度)。なお、電池温度の計測部位は釘刺し部より上部7mmの位置とした。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1、2では、釘刺し後の電池温度が、比較例1、2よりも十分に低くなった。具体的には、正極活物質の電子伝導度が2.3×10−9S/cmと低いため、釘刺し後の電池温度が200℃以下になった。一方、実施例1、2では、正極層のLiイオン伝導度が4.0×10−4S/cm以上に維持されている。このように、実施例1、2では、電池性能を維持しつつ、仮に短絡が生じた場合であってもジュール発熱の発生を抑制できることが確認された。
また、比較例1および比較例2を比べると、正極層のLiイオン伝導度を約1/3に下げてもリチウム伝導度のみの制御(設計)では、釘刺し後の電池温度を200℃以下にすることができなかった。これに対して、比較例1および実施例1を比べると、正極層のLiイオン伝導度を約2/3に維持しても、リチウム伝導度および電子伝導を制御(設計)することで、釘刺し後の電池温度を200℃以下にすることができた。
1 … 正極層
2 … 負極層
3 … 固体電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
10 … 全固体電池

Claims (1)

  1. 正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、前記正極層および前記負極層の間に形成された固体電解質層とを有する全固体電池であって、
    前記正極層のLiイオン伝導度が4.0×10−4(S/cm)以上であり、かつ、前記正極活物質の電子伝導度が2.3×10−9(S/cm)以下であることを特徴とする全固体電池。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018211799A1 (ja) 2017-05-17 2018-11-22 三菱電機株式会社 液状熱硬化性樹脂組成物、樹脂硬化物の製造方法、固定子コイル及び回転電機
CN111566852A (zh) * 2018-01-26 2020-08-21 松下知识产权经营株式会社 电池

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WO2018211799A1 (ja) 2017-05-17 2018-11-22 三菱電機株式会社 液状熱硬化性樹脂組成物、樹脂硬化物の製造方法、固定子コイル及び回転電機
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