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JP2016115661A - 固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形燃料電池、及び高温水蒸気電気分解装置 - Google Patents

固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形燃料電池、及び高温水蒸気電気分解装置 Download PDF

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JP2016115661A JP2015153917A JP2015153917A JP2016115661A JP 2016115661 A JP2016115661 A JP 2016115661A JP 2015153917 A JP2015153917 A JP 2015153917A JP 2015153917 A JP2015153917 A JP 2015153917A JP 2016115661 A JP2016115661 A JP 2016115661A
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Abstract

【課題】 本発明は、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができる固体酸化物形電気化学セル、並びに前記固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置を提供することを課題とする。【解決手段】 La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物aを有する固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の側に形成されてなる燃料極と、前記固体電解質層の他方の側に形成されてなる空気極とを有する固体酸化物形電気化学セルであって、前記燃料極は、Tiを含有する酸化物とNiとを有することを特徴とする固体酸化物形電気化学セル、並びに前記固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置。【選択図】 図1

Description

本発明は、固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形燃料電池、及び高温水蒸気電気分解装置に関し、さらに詳しくは、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができる固体酸化物形電気化学セル、並びに前記固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置に関する。
水素と酸素とを用いて発電することのできる固体酸化物形燃料電池、又は水を分解して水素と酸素とを発生させる高温水蒸気電気分解装置を構成する部材として、固体酸化物形電気化学セルが用いられる。固体酸化物形電気化学セルは、酸素極と固体電解質層と燃料極とを有する。固体電解質層は、高性能を目論んでペロブスカイト型酸化物からなることがあり、燃料極は、通常、Niを含有する。
固体酸化物形電気化学セルを作製する際には、固体電解質層の焼成前駆体と、燃料極の焼成前駆体とを、積層した後に焼成する方法が用いられる。焼成の過程において、燃料極の焼成前駆体に含有されるNiが、固体電解質層の焼成前駆体へと拡散する。拡散したNiは、固体電解質層におけるペロブスカイト型酸化物のBサイトに拡散、進入することにより、電子伝導性を有する高伝導領域が形成される。Niが固体電解質層へと深く拡散及び進入した場合、固体電解質層の燃料極から空気極までの電子伝導パスが形成され、空気極と燃料極との間における電気的な内部短絡が起こり、固体酸化物形電気化学セルの起電力低下や性能低下等を引き起こすことがある。特に、固体電解質層がGaを含むペロブスカイト型酸化物を有する場合、比較的高価なGaの使用量を減らすために、固体電解質層の厚さを薄くするように設計される。固体電解質層の厚さを薄くすればするほど、燃料極からのNiの拡散による前記短絡の問題が引き起こされやすくなるという問題がある。
従来、燃料極におけるNiが固体電解質層側へと拡散することを抑制する技術が知られている。例えば、特許文献1には、「前記燃料極は、Ni及びNiOの少なくとも一方を含み、前記固体電解質層は、La及びGaを少なくとも含むペロブスカイト型複合酸化物とMgOとを含み、前記固体電解質層において前記MgOは粒子状のMgO粒子となって前記一側面側に偏在することを特徴とする固体酸化物形燃料電池」が開示されている(特許文献1の請求項1参照)。特許文献1に開示された発明では、固体電解質層の燃料極側に偏在するMgOとNiとが反応することにより、Niが固体電解質層におけるペロブスカイト型酸化物と反応することを抑制することができる。しかし、MgOは絶縁体であり固体電解質層における電気特性を低下させるので、特許文献1に開示された固体酸化物形燃料電池は、発電性能が低下してしまうという問題がある。
また、特許文献1には、「前記固体電解質と前記燃料極との間に、Laを含むセリウム酸化物からなる中間層が配置されていることを特徴とする」固体電解質形燃料電池が開示されている(特許文献1の請求項3参照)。これにより、固体電解質層に存在する「LSGM粒子のLaの拡散を抑制することができる」という技術的効果を奏する(特許文献1の段落番号0015欄参照)。しかし、ランタンがドープされた酸化セリウムは、焼結性が悪く緻密な組織を得にくいという問題がある。よって、特許文献1に開示されている中間層を設けた固体電解質形燃料電池は、燃料極と固体電解質層との間における強度が脆くなることがある。
特開2012−156007号
本発明が解決しようとする課題は、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができる固体酸化物形電気化学セル、並びに前記固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置を提供することである。
前記課題を解決するための手段は、
(1)La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物aを有する固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の側に形成されてなる燃料極と、前記固体電解質層の他方の側に形成されてなる空気極とを有する固体酸化物形電気化学セルであって、
前記燃料極は、Tiを含有する酸化物とNiとを有することを特徴とする固体酸化物形電気化学セル、
(2)前記固体電解質層は、La及びGaを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有するペロブスカイト型酸化物aを有し、
前記燃料極は、La及びTiを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有するペロブスカイト型酸化物bを有することを特徴とする前記(1)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(3)前記燃料極は、NiTiO及びTiOの少なくとも一つを有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(4)前記ペロブスカイト型酸化物bは、(LaA21−αz)TiO3−δ(元素A2はSr及びCaの少なくとも一方、1≦α≦1.5、0.05≦z≦0.45)であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(5)前記ペロブスカイト型酸化物bは、(LaA21−αz)TiO3−δ(元素A2はSr及びCaの少なくとも一方、1.1≦α≦1.5、0.05≦z≦0.45)であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(6)前記固体電解質層において、前記Ca及び前記Srは非偏析状態であることを特徴とする前記(2)から(5)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(7)前記ペロブスカイト型酸化物bに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cは、前記ペロブスカイト型酸化物aに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cを超えないことを特徴とする前記(2)から(6)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(8)前記ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの一部を置換する元素A1と、前記ペロブスカイト型酸化物bにおけるLaの一部を置換する元素A2とは、同じ種類の元素であることを特徴とする前記(2)から(7)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(9)前記ペロブスカイト型酸化物aは、(La1−xA1)(Ga1−yMg)O3−δ(元素A1はSr及びCaの少なくとも一方、0.05≦x≦0.2、0.1≦y≦0.3)であることを特徴とする前記(2)から(8)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(10)前記燃料極と前記固体電解質層との間に、前記ペロブスカイト型酸化物bと同じ構成元素からなるペロブスカイト型酸化物cを含有する拡散抑制層が設けられてなることを特徴とする前記(2)から(9)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(11)前記ペロブスカイト型酸化物cに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cは、前記ペロブスカイト型酸化物aに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cを超えず、前記ペロブスカイト型酸化物bに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cは、前記割合Cを超えないことを特徴とする前記(10)に記載の固体酸化物形電気化学セル。
(12)前記拡散抑制層は、前記ペロブスカイト型酸化物aと、前記ペロブスカイト型酸化物bとを、含有することを特徴とする前記(10)又は(11)に記載の固体酸化物形電気化学セルである。
(13)前記(1)から(12)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池である。
(14)前記(1)から(12)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする高温水蒸気分解装置である。
(1)固体電解質層及び燃料極を形成する材料の成形体を積層して焼成する際に、燃料極中のNiが固体電解質層へと拡散することが知られている。しかしながら、前記(1)に記載の手段によると、燃料極はTiを含有する酸化物を有するので、Tiを含有する酸化物によりNiがトラップされ、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができる。
(2)固体電解質層におけるペロブスカイト型酸化物a、及び燃料極におけるペロブスカイト型酸化物bは、ともにLaを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有しており、固体電解質層における元素組成と燃料極における元素組成とが比較的類似している。隣接する層における元素組成が類似すると、層間での元素の拡散が抑制されるとともに、層中に存在する元素の一部が偏析することが抑制される。固体電解質層に存在する元素が偏析することにより、固体電解質層におけるペロブスカイト型酸化物の組成ずれが生じる。ペロブスカイト型酸化物bが燃料極に存在することにより、固体電解質層と燃料極との間における濃度勾配によるLa等の元素拡散が抑制され、ペロブスカイト型酸化物中の電荷補償の影響により、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散も抑制される。以上より、前記(2)に記載の手段によると、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができるとともに、固体電解質層におけるペロブスカイト型酸化物aの組成ずれを抑制することができる。
(3)固体電解質層及び燃料極を形成する材料の成形体を積層して焼成する際に、Tiを含有する酸化物がNiをトラップするとNiTiOが生成される。したがって、焼成後の燃料極にはNiTiOが含まれる。NiTiOは、還元雰囲気においては微粒子のNi及びTiOへと還元される。したがって、還元雰囲気において燃料極には少なくともTiOが含まれる。燃料極がNiTiO及びTiOの少なくとも一方を含んでいる固体酸化物形電気化学セルは、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができる。微粒子のNiは電極として働くため、NiTiO及び/又はTiOが生成しても、電極性能への影響は比較的軽微である。
(4)(LaA21−αz)TiO3−δ(元素A2はSr及びCaの少なくとも一方、1≦α≦1.5、0.05≦z≦0.45)は、La及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物の中でも、特に電気伝導性が高い。よって、前記(4)に記載の手段によると、燃料極における電気伝導性に優れた固体酸化物形電気化学セルが提供される。
(5)(LaA21−αz)TiO3−δにおいて、αが1のときAサイトに欠損がないことを示す。Aサイトに欠損がない場合、NiTiOの生成が少なくなり、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散抑制に大幅な効果が得られないが、1.1≦α≦1.5であり、Aサイトに欠損がある場合には、Bサイトに配置されるTiが余剰状態であるので、燃料極に含まれるNiと反応し、NiTiO等が生成することで、Niがトラップされる。よって、前記(5)に記載の手段によると、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散がより一層抑制される。
(6)ペロブスカイト型酸化物aを構成する元素の一部、特にペロブスカイト構造のAサイトに位置するAサイト元素は、ペロブスカイト型の結晶構造から離脱し、固体電解質層中に偏析することがある。ペロブスカイト型の結晶構造からAサイト元素が離脱することにより、固体電解質層における組成ずれが発生し、固体電解質層におけるイオン伝導性が低下してしまう。前記(6)に記載の手段によると、Aサイト元素であるCa及びSrが非偏析状態であるので、優れたイオン伝導性を備えた固体電解質層を有する固体酸化物形電気化学セルが提供される。
(7)La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物aに比べて、La及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物bは、Laの含有率すなわちペロブスカイト型酸化物に含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合が低い条件下において電気伝導性が高くなる。よって、前記(7)に記載の手段により、燃料極におけるLaの含有率が低くとも、燃料極における電気伝導性に優れた固体酸化物形電気化学セルが提供される。
(8)前記元素A1と前記元素A2とを同じ種類の元素にすることにより、ペロブスカイト型酸化物aとペロブスカイト型酸化物bとの元素組成はさらに類似することとなる。よって、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散、及び固体電解質層における組成ずれの発生をより一層抑制することができる。
(9)(La1−xA1)(Ga1−yMg)O3−δ(元素A1はSr及びCaの少なくとも一方、0.05≦x≦0.2、0.1≦y≦0.3)は、La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物の中でも、特に酸化物イオンの伝導性が高い。よって、前記(9)に記載の手段によると、固体電解質層における酸化物イオンの伝導性に優れた固体酸化物形電気化学セルが提供される。
(10)燃料極と固体電解質層との間に拡散抑制層を設けることによって、燃料極から固体電解質層への元素拡散、及び固体電解質層から燃料極への元素拡散を抑制することができるとともに、燃料極におけるNiの固体電解質層への拡散をより一層抑制することができる。
(11)前記(11)に記載の手段によると、燃料極、拡散抑制層、固体電解質層の順にLaの含有率すなわちペロブスカイト型酸化物に含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合が大きくなるように、Laの含有率が段階的に調節されているので、Laの濃度勾配が緩やかであり、Laの固体電解質層から燃料極への拡散速度が低下し、Laの拡散がより抑制される。
(12)前記(12)に記載の手段によると、拡散抑制層と固体電解質層との間、及び拡散抑制層と燃料極との間における元素組成が類似することになる。よって、界面での濃度勾配の減少により、より一層固体電解質層から燃料極、及び燃料極から固体電解質層への元素拡散が抑制される。
(13)前記(13)に記載の手段によると、短絡を起こしにくく、発電能力に優れた固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
(14)前記(14)に記載の手段によると、短絡を起こしにくく、水の分解能力に優れた高温水蒸気電気分解装置を提供することができる。
図1は、円筒型である固体酸化物形電気化学セルの一例を示す横断面図である。 図2は、円筒型である固体酸化物形電気化学セルの他の一例を示す横断面図である。 図3は、固体酸化物形燃料電池スタックの一例を示す斜視図である。 図4は、固体酸化物形電気化学セルの軸線長手方向における略中央部において、固体酸化物形電気化学セルの軸線長手方向とは垂直方向に切断した際の固体酸化物形燃料電池スタックの断面概略図であり、図2のA−A´断面概略図である。 図5は、図2に示す固体酸化物形燃料電池スタックのB−B´断面において、単セルを取り出して観察した際の断面図である。 図6は、絶縁性多孔体の一例を示す斜視図である。 図7は、図3に示す固体酸化物形燃料電池スタックのB−B´断面図である。 図8(a)は、比較例2における同時焼成体のNiのマッピング画像である。図8(b)は、実施例1における同時焼成体のNiのマッピング画像である。図8(c)は、実施例2における同時焼成体のNiのマッピング画像である。図8(d)は、実施例4における同時焼成体のNiのマッピング画像である。 図9(a)は、実施例2の同時焼成体を還元処理した後の燃料極の観察画像である。図9(b)は、実施例2の同時焼成体を還元処理した後の燃料極の元素マッピング分析画像である。 図10は、実施例12における同時焼成体Bの元素マッピング結果を示す画像である。 図11は、比較例11における同時焼成体Cの元素マッピング結果を示す画像である。 図12は、実施例11における同時焼成体Aの元素マッピング結果を示す画像である。
固体酸化物形電気化学セル(以下、「単セル」と称することがある。)は、固体電解質層と、固体電解質層の一方の側に形成される燃料極と、固体電解質層の他方の側に形成される空気極と、を有する。
固体電解質層は、酸化物イオンの伝導性を有する固体電解質により形成されていればよい。固体電解質層は、La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物aを含有し、好ましくは、La及びGaを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有するペロブスカイト型酸化物aを含有する。前記Laは、通常、Aサイトに配置される。ペロブスカイト型酸化物aがCa及びSrの少なくとも一つを含有する場合、前記Laの一部がCa又はSrで置換される。より具体的には、固体電解質層におけるペロブスカイト型酸化物aは、Laの一部がCaのみで置換されていてもよいし、Srのみで置換されていてもよいし、CaとSrとの両方によって置換されていてもよい。ペロブスカイト型酸化物aに含まれるCa又はSrによる置換率は特に制限されないが、一例として、ペロブスカイト型の結晶構造におけるAサイト原子数(例えば、Laの原子数とSrの原子数との合計)を1としたときに、0.05以上0.2以下の原子数のLaが置換されていればよい。ペロブスカイト型酸化物aの好適例として、(La1−xA1)(Ga1−yMg)O3−δ(元素A1はSr及びCaの少なくとも一方、0.05≦x≦0.2、0.1≦y≦0.3)・・・(a)が挙げられる。前記一般式(a)で示されるペロブスカイト型酸化物aは、La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物の中でも特に酸化物イオンの伝導性が高い。さらに、ペロブスカイト型酸化物aの最適例として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23−xが挙げられる。
燃料極は、酸化還元反応についての触媒機能、電子伝導性、ガス透過性、及び高温条件下における安定性等を有する材料によって形成されていればよい。燃料極は、Tiを含有する酸化物とNiとを含有する。固体電解質層及び燃料極を形成する材料の成形体を積層して焼成をする際に、燃料極中のNi元素が固体電解質層へと拡散することが知られている。しかしながら、この発明の燃料極はTiを含有する酸化物を有するので、Tiを含有する酸化物によりNiがトラップされ、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができる。Tiを含有する酸化物としては、例えば、La及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物b、TiO等を挙げることができる。例えば、燃料極を形成する材料としてLa及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物bが含有されている場合には、焼成をする際にNiTiOが生成されてNiがトラップされる。したがって、焼成後の燃料極は、La及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物b及びNiTiOを含有する。NiTiOは、還元雰囲気においては微粒子のNi金属とTiOへと還元される。したがって、還元雰囲気における燃料極は、La及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物b、微粒子のNi金属、及びTiOを少なくとも含有する。微粒子のNi金属は電極として働くため、NiTiOやTiOが生成しても、電極性能への影響は比較的軽微である。燃料極は、Niを金属として含有してもよいし、2種以上の合金として含有してもよいし、Niの酸化物又は複合酸化物として含有してもよい。また、燃料極は、NiとTiを含有する酸化物との混合物であるサーメットにより形成されてもよい。サーメットには、必要に応じてNi以外の金属を含有させてもよい。
ペロブスカイト型酸化物bは、La及びTiを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有するのが好ましい。前記Laは、通常、Aサイトに配置される。ペロブスカイト型酸化物bがCa及びSrの少なくとも一つを含有する場合、前記Laの一部がCa又はSrで置換される。固体電解質層におけるペロブスカイト型酸化物bは、Laの一部がCaのみで置換されていてもよいし、Srのみで置換されていてもよいし、CaとSrとの両方によって置換されていてもよい。ペロブスカイト型酸化物bにおけるCa又はSrによる置換率は特に制限されないが、一例として、ペロブスカイト型の結晶構造におけるAサイト原子数(例えば、Laの原子数とCaの原子数とSrの原子数との合計)を1としたときに、0.5以上0.9以下の原子数のLaが置換されていればよい。
ペロブスカイト型酸化物bの好適例として、(LaA21−αz)TiO3−δ(元素A2はSr及びCaの少なくとも一方、1≦α≦1.5、0.05≦z≦0.45)・・・(b)が挙げられる。前記一般式(b)で示されるペロブスカイト型酸化物bは、La及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物の中でも特に電気伝導性が高い。
さらに、ペロブスカイト型酸化物bの好適例として、(LaA21−αz)TiO3−δ(元素A2はSr及びCaの少なくとも一方、1.1≦α≦1.5、0.05≦z≦0.45)・・・(c)が挙げられる。前記一般式(b)ではαが1のときを含み、αが1のときはAサイトに欠損がないことを示す。Aサイトに欠損がない場合、焼成時にNiTiOの生成が少なくなり、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散抑制に大幅な効果が得られない。一方、前記一般式(c)では、1.1≦α≦1.5であり、Aサイトに欠損がある。このとき、Bサイトに配置されるTiが余剰状態であるので、焼成時にペロブスカイト型酸化物bにおけるTiと燃料極に含まれるNiとが反応し、NiTiO等が生成されることで、Niがトラップされる。よって、燃料極が前記一般式(c)に示されるペロブスカイト型酸化物bを含有すると、焼成時の燃料極から固体電解質層へのNiの拡散をより一層抑制することができる。
さらに、ペロブスカイト型酸化物bの最適例として、Sr0.55La0.3TiO3−δが挙げられる。例えば、燃料極の材料として、Niとペロブスカイト型酸化物bとの混合物であるサーメットを挙げることができる。サーメットには、必要に応じてNi以外の金属を含有させてもよい。
空気極は、触媒機能、電子伝導性、ガス透過性、及び高温条件下における安定性等を有する限りにおいて、従来公知の材料を用いることができる。空気極の材料として、例えば、La1−xSrCoFe1−y3−δ(0<x<0.5、0<y<0.4)、La1−xSrMnO3−δ(0<x<0.3)、La1−xSrCoO3−δ(0<x<0.5)、Sm1−xSrCoO3−δ(0<x<0.6)、Ba1−xLaCoO3−δ(0<x<0.6)(以下、「BLC」と称されることがある。)等が挙げられ、最適例として、Ba0.6La0.4CoO3−θが挙げられる。また、空気極には必要に応じてその他の材料を加えてもよい。
上述したように、固体電解質層のペロブスカイト型酸化物aにおけるAサイト元素の一例であるLaの一部(以下、「Laサイト」と称することがある。)と、燃料極のペロブスカイト型酸化物bにおけるLaサイトの一部とは、ともにCa又はSrによって置換されてもよい。CaとSrとは共にアルカリ土類金属に属し、類似の性質を有する元素であるので、Ca又はSrによる置換後のペロブスカイト型酸化物においても、類似の優れた特性が得られやすい。
固体電解質層と燃料極との間で、Laの含有量が大きく異なる場合、La濃度が高いところから低いところへとLaが拡散する。例えば、燃料極中のLa量が固体電解質層中のLa量よりも極端に小さい場合には、固体電解質層中のLaが燃料極へと拡散することによって、固体電解質層におけるLa含有量が低下する可能性がある。この例では、ペロブスカイト型酸化物aの組成式において、Laの含有率が低下しており、ペロブスカイト型酸化物の組成ずれによって固体電解質におけるイオン伝導性が低下する。本発明に係る単セルでは、燃料極と固体電解質層との構成元素が類似していると同時に、燃料極と固体電解質層との層界面における構成元素の濃度勾配が小さいため、ペロブスカイト型酸化物の組成ずれが抑制される。
ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaサイトの一部を置換する元素A1と、ペロブスカイト型酸化物bにおけるLaサイトの一部を置換する元素A2とは、違う種類であってもよいが、同じ種類であることが好ましい。A1とA2とが同じ種類であることにより、燃料極と固体電解質層中の元素含有率の差が小さくなることで、界面における元素拡散がより一層抑制される。
前記固体電解質層において、Ca及びSrは非偏析状態であることが望ましい。固体電解質層のペロブスカイト型酸化物aにおいて、Ca又はSrは、Laを置換しペロブスカイト型結晶構造のAサイトに位置するAサイト置換元素として存在する。Ca又はSrが偏析状態であると、偏析物が高抵抗であるために単セルの電気的性能が低下する。ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの一部がCaのみで置換される場合には、固体電解質層においてCaが非偏析状態であればよく、ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの一部がSrのみで置換される場合には、固体電解質層においてSrが非偏析状態であればよく、ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの一部がCaとSrとによって置換される場合には、固体電解質層においてCaとSrとの両方が非偏析状態であればよい。Ca及びSrが非偏析状態であることは、例えば、電子線マイクロアナライザ等を用いて固体電解質層の断面における元素ごとの面分布を観察し、Ca及びSrのいずれか一方又は両方を含み、かつ0.1μm以上の平面積を有する領域がないことによって確認される。
ペロブスカイト型酸化物bにおけるLaの含有率は、ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの含有率を超えないことが好ましい。言い換えると、ペロブスカイト型酸化物bにおけるLaの含有率をCとし、ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの含有率をCとすると、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
≦C ・・・・・ (1)
Laの含有率Cは、ペロブスカイト型酸化物bに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合である。Laの含有率Cは、ペロブスカイト型酸化物aに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合である。La及びTiを含有するペロブスカイト型酸化物bは、Laの含有率が低い条件下において電気伝導性が高くなる。よって、式(1)を満たすと燃料極における電気伝導性に優れた固体酸化物形電気化学セルが提供される。
ペロブスカイト型酸化物a及びbにおけるLaの含有率C及びCを求めるには、例えば、固体電解質層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)等によって元素分析し、ペロブスカイト型酸化物a及びbにおける各元素の存在比率を調べればよい。
固体電解質層と燃料極との間には、拡散抑制層が設けられていてもよい。拡散抑制層は、固体電解質層の構成元素が拡散によって燃料極へと到達するのを防ぐことができるとともに、燃料極の構成元素が拡散によって固体電解質層へと到達するのを防ぐことができる。特に、拡散抑制層を設けることにより、燃料極におけるNiが拡散により固体電解質層へと到達することが抑制される。
拡散抑制層は、燃料極におけるペロブスカイト型酸化物bと同じ構成元素からなるペロブスカイト型酸化物cを含有する。例えば、ペロブスカイト型酸化物bが、La、Sr、及びTiを有する酸化物である場合には、ペロブスカイト型酸化物cもまたLa、Sr、及びTiを有する酸化物であればよい。ペロブスカイト型酸化物中における各構成元素の含有率は、ペロブスカイト型酸化物bとペロブスカイト型酸化物cとで同じであってもよいし、違っていてもよい。
前記ペロブスカイト型酸化物cにおけるLaの含有率はペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの含有率を超えず、かつ、ペロブスカイト型酸化物bにおけるLaの含有率はペロブスカイト型酸化物cにおけるLaの含有率を超えないことが好ましい。言い換えると、ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの含有率をCとし、ペロブスカイト型酸化物bにおけるLaの含有率をCとし、ペロブスカイト型酸化物cにおけるLaの含有率をCとすると、以下の(2)の式を満たすことが好ましい。
≦C≦C ・・・・・ (2)
Laの含有率Cは、ペロブスカイト型酸化物aに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合である。Laの含有率Cは、ペロブスカイト型酸化物bに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合である。Laの含有率Cは、ペロブスカイト型酸化物cに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合である。
前記式(2)の条件下においては、固体電解質層、固体電解質層に接する拡散抑制層、及び拡散抑制層に接する燃料極の順に、ペロブスカイト型酸化物におけるLaの含有率が段階的に小さくなりうる。これにより、各界面におけるLa濃度の差が小さくなり、元素拡散速度を低下させることができるため、固体電解質層から燃料極へのLaの拡散が抑制される。
前記拡散抑制層は、ペロブスカイト型酸化物aとペロブスカイト型酸化物bとを含有することが好ましい。固体電解質層と燃料極との間に位置する拡散抑制層がペロブスカイト型酸化物a及びbの両方を有することにより、固体電解質層中に存在するペロブスカイト型酸化物aの有する酸化物イオン伝導性と燃料極中に存在するペロブスカイト型酸化物bの有する電子伝導性とが作用し、拡散抑制層において電極反応を引き起こすことができる。
次に、図面を用いて単セルの具体例について説明する。
図1において、筒状の単セル1を示す。単セル1は、筒状体の軸線長手方向とは垂直な方向に切断した断面形状が円形である。単セル1の断面形状において、半径方向における最も内側には、円筒形状の燃料極3が設けられる。燃料極3の前記半径方向における外側には、それぞれ同心円状に、円筒形状の固体電解質層2、及び円筒形状の空気極4がこの順に設けられる。単セル1において、燃料極3の外側面と固体電解質層2の内側面とが面接合し、固体電解質層2の外側面と空気極4の内側面とが面接合する。燃料極3は、単セル1におけるその他の層よりも、半径方向において肉厚の形状に形成され、単セル1を機械的に支持する支持体としての機能を有する。尚、筒型の単セルの断面形状は、円形に制限されず、楕円形、多角形等であってもよい。また、本発明における単セルの形状は筒型には制限されず、平板型であってもよい。図2に示される単セル11においては、燃料極13と固体電解質層12との間に、拡散抑制層15が設けられる。図2において、円筒形状の拡散抑制層15の内側面は燃料極13の外側面と面接合し、拡散抑制層15の外側面は固体電解質層12の内側面と面接合する。また、固体電解質層12の外側面は空気極14の内側面と面接合する。
次に、単セルの製造方法について説明する。
(1)燃料極成形体の作製
酸化ニッケルと、ペロブスカイト型酸化物bとの混合粉末に、バインダー及び造孔材の粉末を加え、十分に混合した後に、水を添加することにより粘土状の混合物を得る。この粘土状の混合物を押出成形機に投入し、所定の形状に形成することにより、燃料極成形体が得られる。
(2)固体電解質層形成用スラリー、及び拡散抑制層形成用スラリーの作製
ペロブスカイト型酸化物aの粉末、ポリビニルブチラール等に代表されるバインダー、分散剤、可塑剤、及び溶媒を混合し、固体電解質層形成用スラリーが得られる。
また、拡散抑制層を形成する材料の粉末に、バインダー、分散剤、可塑剤、及び溶媒を混合し、拡散抑制層形成用スラリーが得られる。
(3)燃料極、固体電解質層、及び拡散抑制層からなる電解質同時焼成体の作製
次に、前記燃料極成形体の表面を必要に応じてマスキングした後に、前記拡散抑制層形成用スラリーに前記燃料極成形体を浸漬させ、ゆっくりと引き上げることにより、燃料極成形体の表面に拡散抑制層前駆体被膜が形成される。さらに、燃料極成形体の表面及び拡散抑制層前駆体被膜の表面を必要に応じてマスキングした後に、固体電解質層形成用スラリーに拡散抑制層前駆体被膜が形成された燃料極成形体を浸漬させ、ゆっくりと引き上げることにより、固体電解質層前駆体被膜が形成された燃料極成形体が得られる。その後、約1400℃の条件下で、固体電解質層前駆体被膜、拡散抑制層前駆体被膜、及び燃料極成形体を同時焼成する。焼成後に、固体電解質層、拡散抑制層、及び燃料極からなる電解質同時焼成体が得られる。
尚、前記燃料極成形体を、拡散抑制層形成用スラリーに浸漬させずに、固体電解質層形成用スラリーに浸漬させた後に、固体電解質層前駆体被膜と燃料極成形体を同時焼成することにより、固体電解質層前駆体被膜と燃料極成形体とからなり、拡散抑制層を有しない電解質同時焼成体が得られる。
焼成をする際に、燃料極成形体に含有される元素、及び固体電解質層前駆体被膜に含有される元素が拡散する。特に、燃料極成形体に含有されるNiは、固体電解質層前駆体被膜に向かって拡散する。本発明に係る単セルにおいては、燃料極がTiを含有する酸化物を有するので、Tiを含有する酸化物によりNiがトラップされ、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができる。さらに、固体電解質層に含有されるペロブスカイト型酸化物aと燃料極に含有されるペロブスカイト型酸化物bとの元素組成が類似している場合には、固体電解質層と燃料極との間における様々な元素拡散が抑制される。これにより、ペロブスカイト型酸化物における電荷補償によって、固体電解質層と燃料極との間におけるNiの拡散も抑制される。よって、焼成中に、Niが固体電解質層へと到達し、固体電解質層において電子伝導性の高い高伝導領域が形成されることを抑制することができる。
また、焼成をする際に、ペロブスカイト型酸化物のAサイトに位置するAサイト元素が、偏析することがある。ペロブスカイト型酸化物aがLa及びGaを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有し、ペロブスカイト型酸化物bがLa及びTiを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有する場合には、ペロブスカイト型酸化物a及びbにおけるAサイト元素が比較的性質の似た元素であるので、焼成段階において様々な元素の拡散が抑制されることにより、電解質のペロブスカイト型酸化物の組成ずれが起こりにくく、Aサイト元素が偏析を起こしにくい。Aサイト元素の偏析を抑制することにより、ペロブスカイト型酸化物aにおける元素組成が変化しにくく、組成ずれが起こりにくい。よって、固体電解質における電気伝導性、酸化物イオンの伝導性が低下することを抑制することができる。
(4)空気極形成用スラリーの作製
空気極を形成する材料、例えばBLCの粉末に、必要に応じてGDC等の他の粉末を混合し、バインダー、分散剤、可塑剤、及び溶媒を混合し、空気極形成用スラリーを作製する。
(5)空気極の作製
前記電解質同時焼成体の表面を必要に応じてマスキングした後に、この電解質同時焼成体を前記空気極形成用スラリーに浸漬させ、その後ゆっくりと引き上げることにより、電解質同時焼成体の表面に空気極前駆体被膜が形成される。その後、約1000℃の条件下で空気極前駆体被膜が焼き付けられることにより、空気極が形成される。これにより、空気極、固体電解質層、拡散抑制層、及び燃料極を有する単セルが得られる。
次に、固体酸化物形燃料電池について説明する。
図3に示されるように、固体酸化物形燃料電池スタック31(以下、単に「燃料電池スタック」と称することがある。)は、直方体形状のブロックであり、この燃料電池スタック31では、多数の円筒形状の単セル1が軸方向に平行となるように配置される。例えば、単セル1が水平方向に3本、垂直方向に8本配置されている。水平方向に並んだ3本の単セル1と絶縁性多孔体34と導電性集積用材料からなる導電性集積用材料層35の一部とによって、リアクターセル層状部43が形成される。また、単セル1の軸線方向の両側には、ガスのリークを防止するガスシール層33が形成される。
図4に示されるように、前記リアクターセル層状部43は、絶縁性多孔体34を介して、図の上下方向に平行に複数形成される。図4のリアクターセル層状部43における単セル1は、その周囲に配置された導電性集積用材料層35により電気的に接続されるとともに一体化される。また、導電性集積用材料層35は、絶縁性多孔体層34を間に挟みながら、上下方向に複数配置される。
図3及び図4に示されるように、単セル1は、細径及び長尺の円筒型の部材であり、中心部において燃料ガスが流される燃料ガス導通孔39が形成される。単セル1の断面形状における大きさは、特に制限されず、例えば、0.5mm以上2.0mm以下の外径を有する円形であればよい。
単セル1の一端部、例えば図5に示される右側では、燃料極3が露出するまで固体電解質層2の一部が帯状に除去されている。この固体電解質層2が除去された部分には、燃料極3の露出部分を覆うように、金属シール層41が形成される。この金属シール層41は、ガスの流通を阻止するとともに燃料極3の集電用端子となる緻密な金属層であり、導電性シール材料によって帯状に形成される。
図6に示されるように、絶縁性多孔体34は、空気の流通が可能な板状の多孔質のセラミック部材である。この絶縁体多孔体34の上面には、単セル1が嵌め込まれる多数の配列溝25が平行に形成され、その下面には、他の絶縁性多孔体34の配列溝25に嵌り込んで位置決めする位置決め用凸部27が形成される。また、各配列溝25には、絶縁性多孔体の上下面を貫いて電気を導通するために、図7で示される電気接続パス42が設けられる連通孔32が形成される。尚、燃料電池スタック31の最上層の絶縁性多孔体34には配列溝25はなく、最下層の絶縁性多孔体34には位置決め用凸部27はない。
図3における矢印Xで示されるように、燃料電池スタック31を用いて固体酸化物形燃料電池の発電を行う際には、燃料ガス導通孔39の内部を、水素を含む燃料ガスが導通する。燃料ガス導通孔39において、燃料ガスは燃料極3と接触し、燃料ガス中の水素が固体電解質層から運ばれてくる酸化物イオンと反応し、水が発生する。また、図3における矢印Yで示されるように、燃料電池スタック31による発電時には、絶縁性多孔体32の外部から、単セル1の積層方向とは垂直な方向に、酸素を含む空気ガスが供給される。空気ガスは、絶縁性多孔体34、及び導電性集積用材料層35を透過して空気極4と接触する。空気極において、酸素ガスに含まれる酸素分子から酸化物イオンが発生する。
図7に示されるように、燃料電池スタック31は、同図上側が負極であり、下側が正極となるように、リアクターセル層状部43が上下方向に絶縁性多孔体34を介して組み付けられる。具体的に、単セル1は、絶縁性多孔体34の配列溝25の中に収容されるとともに、その周囲には導電性集積用材料層35が形成され、更に、導電性集積用材料層35は、絶縁性材料層40により図7における左右方向に分離されている。図7の左方向には、第1導電性集積用材料層35aが形成され、図7の右方向には、第2導電性集積用材料層35bが形成される。
図7に示されるように、導電性集積用材料層35は、金属シール層41の周囲に配置されて、金属シール層41と他の絶縁性多孔体34の電気接続パス42とを電気的に接続している。図7の左側に配置された第1導電性集積用材料層35aは、空気極4の周囲に配置され、図7の下方向において空気極4と他の絶縁性多孔体34における電気接続パス42とを電気的に接続している。図7における矢印で示されるように、それぞれの単セル1において燃料極3から空気極4へと電子が伝達され、さらに電気接続パス42を通って隣り合う単セル1へと電子が流れることになる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池として、前述の燃料電池スタック31を用いることができる。より具体的には、燃料電池スタック31の正極側と負極側には集電部材が設けられ、集電部材に接続された導線等を通して、外部へと電力が取り出される。また、複数の燃料電池スタック31を所定方向に配列することにより電気的に接続した固体酸化物形燃料電池モジュールを、本発明に係る固体酸化物形燃料電池として用いることもできる。
前述したように、本発明の手法で得られた単セルでは、Niの拡散による固体電解質層における電子伝導性を有する領域の形成が抑制される。よって、前記単セルを有する燃料電池スタックによって発電を行う際に、空気極と燃料極との間における短絡の発生が抑制され、短絡による燃料電池スタックの起電力及び発電能力の低下等が抑制される。また、本発明の手法で得られた単セルでは、固体電解質層における組成ずれが抑制される。これにより、単セルの固体電解質層における電気伝導性及び酸化物イオン伝導性の低下が抑制される。よって、本発明における単セルを有する燃料電池スタックは発電性能が高い。
次に、燃料電池スタックの製造方法の一例について説明する。
(1)絶縁性多孔体の作製
例えば、酸化マグネシウム粉末と、セルロース系バインダーと、造孔材とを混ぜ、水を加えて混合して粘土状体を得る。この粘土状体を押出成形機に投入し、絶縁性多孔体において配列溝や位置決め凸部となる部分が形成されるようにシートを成形する。このシートを約1500℃の温度で焼成を行った後に、所定の寸法に切断し、連通孔を開けることによって、燃料電池スタックを作製するのに適した形状の絶縁性多孔体が形成される。
(2)導電性集積用材料層成形用ペーストの作製
例えば、LSCF粉末、α−テルピネオール、及びアミン系分散剤を混合することにより導電性集積用材料層成形用ペーストが得られる。
(3)絶縁性材料層成形用ペーストの作製
例えば、酸化マグネシウム、α−テルピネオール、及びアミン系分散剤を混合することにより絶縁性材料層成形用ペーストが得られる。
(4)燃料電池スタックの組立
絶縁性多孔体における所定の位置に、絶縁性材料層成形用ペーストを塗布する。次に、絶縁性材料成形用ペーストの表面における所定の位置に、絶縁性材料層成形用ペーストを塗布する。さらに、絶縁性多孔体の配列溝に、単セルを配置する。具体的には、単セルには所定の位置に金属シール層を設けておき、この金属シール層の位置と絶縁性多孔体における連通孔の位置とが対応するように、単セルを配置すればよい。単セルが埋め込まれた絶縁性多孔体同士を、多数積層することにより積層体が得られる。この積層体を、大気中において1000℃で2時間焼成することにより、スタック体が得られる。
(5)ガスシール層の形成
例えば、軟化点が700℃であり、平均粒子径が4μmのBa、Mg、Zn、Si、及びAlを含むガラス粉末に、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤、及び可塑剤を適量添加し、エタノールとトルエンを溶媒としてスラリーが得られる。得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ約300μmのガラスシートを成形する。このガラスシートに、打ち抜き加工を行い、単セルが貫挿される多数の貫通孔が形成される。
また、前記ガラス粉末と、所定量、例えばガラスに対して10体積%の前記マグネシア粉末とに、エチルセルロース、アミン系分散剤を適量添加し、ブチルカルビトールを溶媒としてペーストを作製する。このペーストを、前記ガラスシートの一方の平面に塗布し、ペースト層が形成される。このペースト層を備えたガラスシートを、ペースト層をスタック体側に向けながら、貫通孔に単セルを通して、スタック体の端面に接合させる。その後、このスタック体をガラスの軟化点よりも高い温度で約2時間程度加熱し、ペースト層を軟化させて、ガラスシートをスタック体に強固に接合させることにより、スタック体1の端面にガスシール層が接合された燃料電池スタックが得られる。
本発明の固体酸化物形燃料電池において、電池の発電時とは逆方向に電流を通電可能な外部電源を、燃料電池の正極及び燃料電池の負極に接続することによって、高温水蒸気電気分解装置が得られ、それぞれ陽極及び陰極として機能する。高温水蒸気電気分解装置では、約900℃前後の高温条件下において、水蒸気を吹き込みながら外部電源によって燃料極及び空気極に通電することにより、水分子が分解される。具体的には、燃料極において水分子由来の水素ガスが取り出され、空気極において水分子由来の酸素ガスが取り出される。
本発明に係る高温水蒸気電気分解装置は、固体電解質層における電子伝導性を有する領域の少ない単セルを有するので、水蒸気の分解中において短絡による高温水蒸気電気分解装置の水素製造ロス等が抑制される。また、高温水蒸気電気分解装置は、固体電解質層における組成ずれの少ない単セルを有するので、水蒸気の分解能に優れる。
1.Niの拡散評価試験
(1)燃料極ペレットの作製
酸化ニッケルと表1に示す各種酸化物B及びCとの混合した混合粉末を、製造後の燃料極が還元された状態においてNi:酸化物=50:50(体積%)の比率になるように、酸化ニッケルと酸化物とを秤量し、混合することにより作製した。この秤量した混合粉末を直径20mmの金型にて一軸成形した後、CIP成形(冷間静水等方圧プレス成形)を行い、成形体を得た。その後、成形体を1350℃で焼成することにより焼結体を得た。また、焼結体を純水素にて還元を行うことにより還元体を得た。
(2)燃料極、固体電解質層からなる同時焼成体の作製
(2−1)燃料極成形体の作製
前記「(1)燃料極ペレットの作製」において作製した混合粉末に、セルロース系バインダーを加え、十分に混合した後、水を添加して粘土体を得た。粘土体を、押出成形機に投入して、外径2.5mmの円筒状の燃料極成形体を作製した。
(2−2)固体電解質層形成用スラリーの作製
固体電解質層を形成するために、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23−x(以下、「LSGM」と称することがある。)の粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤とを、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、固体電解質層形成用スラリーを作製した。
(2−3)同時焼成体の作製
前記燃料極成形体を所定の長さに切断し、固体電解質層を形成しない位置にマスキングを行った後、固体電解質層形成用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、燃料極成形体の表面に固体電解質層前駆体被膜を形成させた。その後、1350℃にて、燃料極成形体、及び拡散抑制層前駆体被膜を同時焼成することにより、燃料極、及び固体電解質層からなる同時焼成体を得た。
(3)燃料極ペレットの分析
前記「(1)燃料極ペレットの作製」で得られた焼結体及び還元体を粉砕後、X線回折(XRD)により生成物の同定を行った。表1に示すように、燃料極の材料としてTiを含有する酸化物を用いた実施例1〜6の焼結体には、NiTiOが生成していた。また、燃料極の材料としてTiを含有する酸化物を用いた実施例1〜6の還元体には、TiOが生成していた。一方、燃料極の材料としてGDCやYSZのようなTiを含有しない酸化物を用いた比較例1及び2の焼成体及び還元体には、NiTiO及びTiOのいずれも生成していなかった。なお、燃料極の材料として用いた、表1に示す酸化物B及びCは、焼成後において、いずれの焼結体及び還元体にも含有されていた。
(4)同時焼成体の観察
前記「(2−3)同時焼成体の作製」で得られた同時焼成体を所定の長さに切断し、エポキシ樹脂に埋め込み固化した後、同時焼成体の断面が観察できるように切断して、鏡面状に研磨した。その後、カーボン蒸着を観察面に行った後、電子線プローブマイクロアナリシス(「EPMA」と称されることがある。)により、固体電解質層と燃料極との界面近傍について、画像取得及び元素マッピング分析を行った。
結果を図8に示す。図8(a)〜(d)は、それぞれ比較例2、実施例1、2、4のNiの元素マッピングの分析画像である。元素マッピングの分析画像において、Niが存在する箇所は白色の点により示される。元素マッピングの分析画像は、すべての試料で色分布のスケールを揃えた。燃料極成形体に含有させたNiの比率は、すべての試料で同じなので、元素マッピング分析画像における色の分布から燃料極に存在する各元素の濃度を比較することができる。
表1に示すNiの拡散距離は、図8において、Niの含有率を示す曲線により求めた。前記曲線は、燃料極と固体電解質層との界面を表す直線上の任意の点から前記直線に直交する方向であって固体電解質層に向かう直線上におけるNiの含有率を示す。図8において、燃料極と固体電解質層との界面から固体電解質層に向かってNiの含有率が次第に0に近づいているのが確認される。前記界面からNiの含有率が0になるまでの距離をNiの拡散距離として求めた。表1に示されるように、燃料極の材料としてTiを含有する酸化物を用いた実施例1〜6の同時焼成体は、燃料極の材料としてGDCやYSZのようなTiを含有しない酸化物を用いた比較例1及び2の同時焼成体に比べて、Niの拡散距離が短かった。つまり、焼成する際に燃料極にNiTiOが生成することにより、Niが燃料極中にトラップされ、固体電解質層への拡散が抑制されると考えられる。
図8に示されるNiの分析画像を見ると、分析画像の右側に位置する燃料極には大量にNiが存在しており、燃料極全体が白色に見える。分析画像の左側に位置する固体電解質層は、大半が黒色に見えるが、燃料極の近傍において白色の点が存在する。よって、燃料極におけるNiが固体電解質層へと拡散していることが確認される。
図8(a)の比較例2におけるNiの分析画像を見ると、図8(b)〜(d)に比べて、固体電解質層において燃料極から遠い領域まで白い点が存在しており、固体電解質層における白い点の数も図8(a)は図8(b)〜(d)に比べて多いことが観察される。よって、Tiを含有する酸化物を有する燃料極では、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散が抑制されることが確認された。
また、図8(b)〜(d)を比較すると、図8(b)及び(c)の方が図8(d)に比べてNiの拡散が抑制されていることが確認された。これは、図8(b)及び(c)の実施例1及び2の燃料極中には、図8(d)の実施例4よりもNiTiOが多く生成されていることがXRDにより確認されていることから、Niが多くトラップされることでNiの拡散が抑制されているからであると考えられる。
以上より、燃料極の材料としてTiを含有する酸化物を用いることにより、焼成時におけるNiの拡散を抑制することができ、さらにNiTiOの生成量が多いほどより一層Niの拡散を抑制できることが確認された。
図9は、実施例2の同時焼成体を純水素にて700℃で1時間の条件にて還元処理した後の燃料極の、観察画像(図9(a))及び元素マッピング分析画像(図9(b))である。図9の白丸で囲まれた部分に、白色の微粒子が存在する。この結果とXRDの結果とから、NiTiOが還元処理によって微粒子のNi及びTiOへと還元されたことを示している。発電においては、燃料極は還元雰囲気となるため、生成したNiTiOは、微粒子のNi及びTiOへと還元される。生成された微粒子のNiが電極として働くため、NiTiOが生成することによる性能への影響は比較的軽微である。
Figure 2016115661
2.Niの拡散及び固体電解質層の組成ずれ評価試験
(実施例11)
(1)燃料極成形体の作製
酸化ニッケルとSr0.55La0.3TiO3−δ(以下、「SLT」と称することがある。)との混合した混合粉末を、製造後の燃料極が還元された状態においてNi:SLT=50:50(体積%)の比率となるように、酸化ニッケルとSLTとを秤量し、混合することにより作製した。この秤量した混合粉末に、セルロース系バインダーと、造孔材としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)のビーズ粉末とを加え、十分に混合した後、水を添加して粘土体を得た。前記ビーズ粉末の添加量は、製造後の燃料極において、NiO及びSLTの体積に対し気孔の体積が40%となるように調節した。粘土体を、押出成形機に投入して、外径2.5mmの円筒状の燃料極成形体を作製した。
(2)拡散抑制層形成用スラリーの作製
SLTの粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤とを、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、拡散抑制層形成用スラリーを作製した。
(3)固体電解質層形成用スラリーの作製
固体電解質層を形成するために、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23−x(以下、「LSGM」と称することがある。)の粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤とを、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、固体電解質層形成用スラリーを作製した。
(4)燃料極、固体電解質層、及び拡散抑制層からなる同時焼成体の作製
前記燃料極成形体を所定の長さに切断し、拡散抑制層を形成しない位置にマスキングを行った後、拡散抑制層形成用スラリーに浸漬して、ゆっくりと引き上げることにより、燃料極成形体の表面に、拡散抑制層前駆体被膜を形成させた。さらに、固体電解質層を形成しない位置にマスキングを行った後、固体電解質層形成用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、拡散抑制層前駆体被膜の表面に固体電解質層前駆体被膜を形成させた。その後、1350℃にて、燃料極成形体、拡散抑制層前駆体被膜、及び固体電解質層前駆体被膜を同時焼成することにより、燃料極、拡散抑制層、及び固体電解質層からなる同時焼成体Aを得た。
(実施例12)
前記(4)において拡散抑制層を設けることなく、燃料極及び固体電解質層からなる同時焼成体を作製したこと以外は、実施例11と同様の操作を行い、同時焼成体Bが得られた。同時焼成体Bは、燃料極、及び固体電解質層を筒状体の内側から順に備えていた。
(比較例11)
前記(4)において拡散抑制層を設けることなく、燃料極及び固体電解質層からなる未焼成成形体を作製したこと、及び、燃料極成形体を作製する際の材料としてSLTの代わりにGd0,2Ce0.82−x(GDC)を用いたこと以外は、実施例11と同様の操作を行い、同時焼成体Cが得られた。同時焼成体Cは、燃料極、固体電解質層を筒状体の内側から順に備えていた。尚、燃料極の製造時に用いた混合粉末は、製造後の燃料極が還元された状態においてNi:GDC=50:50(体積%)の比率となるように、酸化ニッケルとGDCとを混合した。また、前記ビーズ粉末の添加量は、製造後の燃料極において、NiO及びGDCの体積に対し気孔の体積が40%となるように調節した。
<同時焼成体B及び同時焼成体Cの観察>
拡散抑制層を有しない同時焼成体Bを所定の長さに切断し、エポキシ樹脂に埋め込み固化した後、同時焼成体Bの断面が観察できるように切断して、鏡面状に研磨した。その後、カーボン蒸着を観察面に行った後、電子線プローブマイクロアナリシス(「EPMA」と称されることがある。)により、固体電解質層と燃料極との界面近傍について、画像取得及び元素マッピング分析を行った。また、比較用試料として、同時焼成体Cについても、同様の方法により画像取得及び元素マッピング分析を行った。結果を図10及び図11に示す。図10及び図11において、観察画像は図の左上における画像であり、Ni、Sr、及びLaの元素マッピングの分析画像はそれぞれ図の右上、左下、及び右下における画像である。元素マッピングの分析画像において、それぞれの元素が存在する箇所は白色の点により示される。
図10及び図11における元素マッピングの分析画像は、各元素について、同時焼成体Bと同時焼成体Cとの色分布のスケールを揃えた。燃料極成形体に含有させたNiの比率、及び燃料極における気孔率は、同時焼成体Bと同時焼成体Cとで同じなので、元素マッピング画像における色の分布から燃料極に存在する各元素の濃度を比較することができる。
図10の右上におけるNiの分析画像を見ると、分析画像の右側に位置する燃料極には大量にNiが存在しており、燃料極全体が白色に見える。分析画像の左側に位置する固体電解質層は、大半が黒色に見えるが、燃料極の近傍において白色の点が存在する。よって、燃料極におけるNiが固体電解質層へと拡散していることが確認される。図11の右上におけるNiの分析画像を見ると、図10に比べて、固体電解質層において燃料極からより遠い領域にまで白い点が存在しており、固体電解質層における白い点の数も図11では図10に比べて多いことが観察される。よって、同時焼成体Cに比べて同時焼成体Bでは、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散が抑制されることが確認された。
図10及び図11の右下の分析画像においては、Laの存在が白い点により確認される。図10の右下の分析画像においては、固体電解質層中にはLaが大量に存在しており、固体電解質層全体が白色で示される。図11の右下の分析画像においては、固体電解質層の燃料極に近い領域において、黒い点が多数観察される。これらの黒い点は、固体電解質層を構成するLSGMにおけるLaの含有率が低下していることを示す。例えば、LSGMにおけるSrの一部がペロブスカイト型構造のAサイトから離脱し、固体電解質層中に偏析するようになると、固体電解質層中におけるSrの一部が偏析した箇所は、Laの濃度が低い黒い点として観察される。よって、同時焼成体Bでは、固体電解質層中のSrが偏析せず、LSGMにおけるLaによる組成ずれが抑制されていることが確認された。
図10及び図11の左下の分析画像においては、Srの存在が白い点により確認される。図10の左下の分析画像においては、固体電解質層には視認可能な程度の大きさの白い点がほとんど確認されず、燃料極全体が黒色に見える。これは、固体電解質層におけるSrが固体電解質層中において偏析をすることなく、燃料極へと拡散したことを示す。一方で、図11においては、燃料極に白い点が確認されず、固体電解質層において白い斑点が確認される。この白い斑点は、固体電解質層のLSGMにおけるSrが、ペロブスカイト型の構造から離脱し、固体電解質層において偏析している箇所を示す。よって、同時焼成体Bでは、固体電解質層においてSrが偏析せず、LSGMにおけるSrによる組成ずれが抑制されていることが確認された。
以上より、燃料極の材料としてSLTを用いることにより、焼成時におけるNiの拡散を抑制することができるとともに、焼成時のLSGMにおけるLa及びSrによる組成ずれを抑制することができることが確認された。
同時焼成体Aについても、前記同時焼成体Bと同様の操作を行い、電子線プローブマイクロアナリシス(「EPMA」と称されることがある。)による画像取得及び元素マッピング分析を行った。
図12の右上の分析画像により、拡散抑制層及び固体電解質層には、ほとんどNiが存在しないことが確認された。よって、燃料極と固体電解質層との間に拡散抑制層が設けられることにより、燃料極から固体電解質層への拡散が大幅に低減されることが確認された。
図12の右下の分析画像より固体電解質層におけるLaは均一に分布していることが確認され、図12の左下の分析画像より固体電解質層におけるSrは非偏析状態であることが確認された。よって、拡散抑制層を用いた同時焼成体Aについても、固体電解質層においてSrが偏析せず、LSGMにおけるSrによる組成ずれが抑制されていることが確認された。
1、11 単セル
2、12 固体電解質層
3、13 燃料極
4、14 空気極
15 拡散抑制層
25 配列溝
27 位置決め用凸部
31 固体酸化物形燃料電池スタック
32 連通溝
33 ガスシール層
34 絶縁性多孔体
35 導電性集積用材料層
35a 第1導電性集積用材料層
35b 第2導電性集積用材料層
39 燃料ガス導通孔
40 絶縁性材料層
41 金属シール層
42 電気接続パス
43 リアクターセル層状部

Claims (14)

  1. La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物aを有する固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の側に形成されてなる燃料極と、前記固体電解質層の他方の側に形成されてなる空気極とを有する固体酸化物形電気化学セルであって、
    前記燃料極は、Tiを含有する酸化物とNiとを有することを特徴とする固体酸化物形電気化学セル。
  2. 前記固体電解質層は、La及びGaを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有するペロブスカイト型酸化物aを有し、
    前記燃料極は、La及びTiを含有し、かつCa及びSrの少なくとも一つを含有するペロブスカイト型酸化物bを有することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  3. 前記燃料極は、NiTiO及びTiOの少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  4. 前記ペロブスカイト型酸化物bは、(LaA21−αz)TiO3−δ(元素A2はSr及びCaの少なくとも一方、1≦α≦1.5、0.05≦z≦0.45)であることを特徴とする請求項2又は3に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  5. 前記ペロブスカイト型酸化物bは、(LaA21−αz)TiO3−δ(元素A2はSr及びCaの少なくとも一方、1.1≦α≦1.5、0.05≦z≦0.45)であることを特徴とする請求項2又は3に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  6. 前記固体電解質層において、前記Ca及び前記Srは非偏析状態であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  7. 前記ペロブスカイト型酸化物bに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cは、前記ペロブスカイト型酸化物aに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cを超えないことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  8. 前記ペロブスカイト型酸化物aにおけるLaの一部を置換する元素A1と、前記ペロブスカイト型酸化物bにおけるLaの一部を置換する元素A2とは、同じ種類の元素であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  9. 前記ペロブスカイト型酸化物aは、(La1−xA1)(Ga1−yMg)O3−δ(元素A1はSr及びCaの少なくとも一方、0.05≦x≦0.2、0.1≦y≦0.3)であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  10. 前記燃料極と前記固体電解質層との間に、前記ペロブスカイト型酸化物bと同じ構成元素からなるペロブスカイト型酸化物cを含有する拡散抑制層が設けられてなることを特徴とする請求項2〜9のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  11. 前記ペロブスカイト型酸化物cに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cは、前記ペロブスカイト型酸化物aに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cを超えず、前記ペロブスカイト型酸化物bに含まれる元素の合計原子数に対するLaの原子数の割合Cは、前記割合Cを超えないことを特徴とする請求項10に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  12. 前記拡散抑制層は、前記ペロブスカイト型酸化物aと、前記ペロブスカイト型酸化物bとを、含有することを特徴とする請求項10又は11に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする高温水蒸気電気分解装置。
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