JP2016089073A - 表面修飾無機酸化物粒子及び樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシル基を有する表面修飾剤によって表面修飾された無機酸化物粒子であって、当該表面修飾剤の少なくとも1種が、光又は熱により分解してラジカル種を発生する部分構造を有する表面修飾無機酸化物粒子である。特に、表面修飾剤としては、下記式(1)で表される化合物が好適である。
(式中、R1はアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基を示す。R2は各々独立して水素原子又はアルキル基を示す。R3は各々独立してアルキレン基を示す。)
【選択図】なし
Description
無機酸化物としては、透明な樹脂複合体を与えるものがよく、ZrO2(ジルコニア)、TiO2、SnO2、SiO2等の各種のものを例示することができる。好ましいものとしては、高屈折率という観点から、ZrO2、TiO2、SnO2が挙げられ、特に好ましくは、高屈折率かつ無色高透明という観点から、ZrO2である。
その無機酸化物粒子は、固体や分散液などの形態に依存することなく、またその製造法や成分、結晶構造等については特に限定されることはない。
式中、R1はアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基を示す。そして、上記アルコキシ基又はアルキルアミノ基である場合、そのアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、アルキル基中には不飽和結合を有していてもよく、ヘテロ原子を有していてもよく、環状構造を有してもよく、またこれらは置換基を有してもよい。また、アリールオキシ基又はアリールアミノ基である場合、そのアリール基は炭素数6〜20であることが好ましく、そのアリール基はヘテロアリール基であってもよく、置換基を有してもよい。R2は各々独立して水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、R3は各々独立して炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましい。好ましい置換基の例は、下記具体例から理解される。
無機酸化物粒子と表面修飾剤の割合は、これらの種類によっても変化するが、無機酸化物粒子100重量部に対し、表面修飾剤1〜30重量部の範囲が適する。
好ましいラジカル重合性モノマーの具体例としては、スチレン、スチレンダイマー、アルファメチルスチレン、アルファメチルスチレンダイマー、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、アリルフェニルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等を挙げることができる。
この重合反応により、表面修飾剤を介して、無機酸化物粒子表面にモノマー重合物が結合する表面グラフト化が生じる。表面グラフト化以外の重合反応が進行してもよく、この場合、表面グラフト化した無機酸化物粒子は、表面グラフト化以外の重合反応で生成した重合物との相溶性が優れるので、全体として透明性が優れるものとなる。
本発明の樹脂複合体は、無機酸化物粒子表面の表面グラフト化重合物からなるものだけでなく、これと表面グラフト化以外の重合反応で生成した重合物を含むものをいう。
加熱プレスにより成形する場合の条件は、重合物の種類により異なるため、重合物の軟化温度及び流動性の観点で適切な条件範囲に設定すればよい。例えば、スチレンから生じるスチレン樹脂を重合物として含む場合には、150〜230℃、5〜10MPa程度が好ましい。
100mLの三口フラスコに50mLの無水テトラヒドロフラン(THF)、再結晶した4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(ACVA)10g、4−ジメチルアミノピリジン0.256g、n−プロパノール(Pr)2.13gを入れ、窒素バブリングを行いながら氷浴下で撹拌した。そこに、ジシクロヘキシルカルボジイミド7.36gをジクロロメタン20mLに溶かした溶液を18時間かけて滴下した。滴下後、1時間撹拌し、反応液をメンブレンフィルターで濾過した。ろ液を減圧濃縮後、ジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。抽出した有機相は硫酸マグネシウムで脱水し、メンブレンフィルターで濾過した後、減圧濃縮し、真空乾燥機で24時間乾燥した。ヘキサン/酢酸エチル1/1の展開溶媒を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、目的物(ACVA−Pr)4.59gを得た。得られたACVA−Prは、前記式(1)においてR1がn-プロピルオキシ基、R2がメチル基、R3がエチレン基の化合物である。
合成例1と同様にしてn−プロパノール(Pr)の代わりにベンジルアルコール(Bn)3.84gを用いることによりACVAとベンジルアルコールのモノエステル(ACVA−Bn)4.48gを得た。得られたACVA−Bnは、前記式(1)においてR1がn-ベンジルオキシ基、R2がメチル基、R3がエチレン基の化合物である。
スターラーチップを備えたナス型フラスコに、平均1次粒子径が約6nmである10%ジルコニア水分散液5g、合成例1で得られたACVA−Prを0.15g、トルエン0.5mL、メタノール15mLを加え、室温で1時間攪拌した。液量が1mLとなるまで溶媒を減圧留去した。再度、メタノールとトルエンを加えて同様に減圧留去した後に、トルエンのみの追加と同様な減圧留去を繰り返すことにより、ACVA−Prで表面修飾されたジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA−Pr)のトルエン分散液を得た。溶媒を減圧留去後に真空乾燥することにより目的物(ZrO2/ACVA−Pr)0.74gを得た。得られた目的物のFTIR、TGAデータを図1〜図2に示す。図1の下段が、目的物(ZrO2/ACVA-Pr)のFTIRスペクトルであり、ジルコニアナノ粒子の表面に、エステルのCOO-非対称伸縮振動及びCOO-対称伸縮振動に帰属する吸収帯が存在する。図2の下二つのグラフが、本実施例1の目的物(ZrO2/ACVA-Pr)及び実施例2の目的物(ZrO2/ACVA-Bn)のTGAデータである。
実施例1と同様にして、ACVA-Prの代わりに合成例2で得られたACVA-Bn0.06gを用いることによりACVA-Bnで表面修飾されたジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Bn)0.73gを得た。この目的物(ZrO2/ACVA-Bn)においても、実施例1と同様に、FTIRスペクトルであり、ジルコニアナノ粒子の表面に、エステルのCOO-非対称伸縮振動及びCOO-対称伸縮振動に帰属する吸収帯が存在していた。
実施例1と同様にして、表面修飾剤として実施例1で得られたACVA-Pr(0.24g)とヘキサン酸(0.06g)を用いることによりACVA-Pr/ヘキサン酸=8/2で表面修飾されたジルコニアナノ粒子(ZrO2/8ACVA-Pr/2HA)を得た。
実施例1と同様にして、表面修飾剤として実施例1で得られたACVA-Pr(0.21g)とヘキサン酸(0.09g)を用いることによりACVA-Pr/ヘキサン酸=7/3で表面修飾されたジルコニアナノ粒子(ZrO2/7ACVA-Pr/3HA)を得た。
実施例1と同様にして、表面修飾剤として実施例2で得られたACVA-Bn(0.21g)とヘキサン酸(0.09g)を用いることによりACVA-Bn/ヘキサン酸=8/2で表面修飾されたジルコニアナノ粒子(ZrO2/8ACVA-Bn/2HA)を得た。
実施例1で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Pr)0.1gとスチレンモノマー0.9gを試験管に入れた後に、氷浴下で15分間窒素バブリングを行った。その後、60℃に設定したオイルバスに24時間加熱処理を行い無色透明な樹脂複合体を得た。得られた樹脂複合体中の重合物の分子量は、GPC分析結果から、Mw=441,000、Mw/Mn=3.01であった。得られた樹脂複合体の写真とTEM画像を図3、図4に示す。TEM観察結果からジルコニアナノ粒子が重合物中に良好に分散していることが確認された。また、本共重合物の屈折率は1.598であり、スチレンモノマーの単独重合物と比較して0.006の向上が見られた。
実施例6と同様にして、実施例3で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/8ACVA-Pr/2HA)0.1gとスチレンモノマー0.9gを用いて無色透明な樹脂複合体(ナノ粒子含有量10%)を得た。Mw=583,000、Mw/Mn=3.49であり、ジルコニアナノ粒子が重合物に良好に分散していた。
実施例6と同様にして、実施例4で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/7ACVA-Pr/3HA)0.1gとスチレンモノマー0.9gを用いて無色透明な樹脂複合体を得た。Mw=655,000、Mw/Mn=3.70であり、ジルコニアナノ粒子が重合物に良好に分散していた。
実施例6と同様にして、実施例1で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Pr)0.2gとスチレンモノマー0.8gを用いて無色透明な樹脂複合体を得た。Mw=279,000、Mw/Mn=2.82であり、ジルコニアナノ粒子が重合物に良好に分散していた。また本共重合物の屈折率は1.604であり、スチレンモノマーの単独重合物と比較して0.012の向上が見られた。
実施例6と同様にして、実施例1で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Pr)0.3gとスチレンモノマー0.7gを用いて無色透明な樹脂複合体を得た。Mw=237,000、Mw/Mn=2.87であり、ジルコニアナノ粒子が重合物に良好に分散していた。また本共重合物の屈折率は1.609であり、スチレンモノマーの単独重合物と比較して0.017の向上が見られた。
実施例6と同様にして、実施例5で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/8ACVA-Bn/2HA)0.1gとスチレンモノマー0.9gを用いて無色透明な樹脂複合体を得た。ジルコニアナノ粒子が重合物に良好に分散していた。
実施例1で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Pr)0.1gとビスフェノールA型ジアクリレート(日立化成製FA-324A)0.9gを混合し、その混合物を1mmのシリコンゴムスペーサーを有するガラス板の間に入れた後に、嫌気性条件下にしたセパラブルフラスコに入れて60℃で24時間処理することで無色透明な樹脂複合体を得た。
実施例12と同様にして、熱処理の代わりに高圧水銀ランプで30分間UV照射することにより無色透明な樹脂複合体を得た。得られた重合物の写真から、実施例12と同様な透明性を有することが分かった。
実施例12と同様にして、実施例1で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Pr)0.1gとトリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON製Miramer”M300”)0.9gを用いて無色透明な樹脂複合体を得た。得られた重合物の写真から、実施例12と同様な透明性を有することが分かった。
実施例13と同様にして、熱処理の代わりに高圧水銀ランプで30分間UV照射することにより無色透明な樹脂複合体を得た。
実施例12と同様にして、実施例1で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Pr)0.1gとメチルメタクリレート(MMA)0.9gを用いて無色透明な樹脂複合体を得た。また、本樹脂複合体の屈折率は1.505であり、MMAの単独重合物と比較して0.014の向上が見られた。
実施例12と同様にして、実施例1で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Pr)0.2gとメチルメタクリレート(MMA)0.8gを用いて無色透明な樹脂複合体を得た。
実施例12と同様にして、実施例1で得られた表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/ACVA-Pr)0.3gとメチルメタクリレート(MMA)0.7gを用いて無色透明な樹脂複合体を得た。実施例13〜18で得られた樹脂複合体は、写真から、実施例12と同様な透明性を有することが分かった。
実施例10で得られた樹脂複合体を、真空溶融プレス機を用いて200℃、8MPaでプレス成形を行った結果、図5に示すように、良好な平板試料の作製が可能であった。得られた樹脂複合体の成形平板について、屈折率を測定したところ、1.609であり、高屈折率を示していた。
非特許文献1の手法に従い、実施例1と同様にして、表面修飾剤としてチオグリコール酸(TGA、0.03g)とヘキサン酸(0.27g)を用いることにより表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/1TGA/9HA)を得た。
実施例6と同様にして、この表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/1TGA/9HA)0.1gとスチレンモノマー0.9gを用いて樹脂複合体を得た。得られた重合物は透明性を有さない脆いものであった。
実施例1と同様にして、表面修飾剤としてチオグリコール酸(TGA、0.03g)とヘキサン酸(0.27g)を用いることにより表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/1TGA/9HA)を得た。
実施例6と同様にして、この表面修飾ジルコニアナノ粒子(ZrO2/1TGA/9HA)0.1gとスチレンモノマー0.9gを用いて樹脂複合体を得た。Mw=78,500、Mw/Mn=1.92であり、同じナノ粒子含有量(10%)である上記実施例6〜8と比較した場合、分子量は1/8〜1/3程度であった。そのため、成形加工後における機械的強度が不十分となる。
比較例3
比較例2と同様にして、ナノ粒子含有量を20%の条件で樹脂複合体を得た。得られた重合物の分子量は、GPC分析結果から、Mw=47,700、Mw/Mn=2.30であり、同じナノ粒子含有量(20%)である上記実施例9と比較した場合、分子量は1/6程度であった。そのため、成形加工後における機械的強度が不十分となる。
Claims (10)
- カルボキシル基を有する表面修飾剤によって表面修飾された無機酸化物粒子であって、当該表面修飾剤の少なくとも1種が、光又は熱により分解してラジカル種を発生する部分構造を有することを特徴とする表面修飾無機酸化物粒子。
- 光又は熱により分解してラジカル種を発生する部分構造を有する表面修飾剤が、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の表面修飾無機酸化物粒子。
(式中、R1はアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基を示し、アルコキシ基又はアルキルアミノ基である場合、そのアルキル基中には不飽和結合を有していても良く、ヘテロ原子を有していても良く、アリールオキシ基又はアリールアミノ基である場合、そのアリール基はヘテロアリール基であってもよい。R2は各々独立して水素原子又はアルキル基を示す。R3は各々独立してアルキレン基を示す。) - R1が炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、R2が炭素数1〜12のアルキル基であり、R3が炭素数1〜6のアルキレン基であることを特徴とする請求項2記載の表面修飾無機酸化物粒子。
- 無機酸化物粒子が、平均粒径20nm以下のジルコニアナノ粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面修飾無機酸化物粒子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面修飾無機酸化物粒子とラジカル重合性モノマーを含有することを特徴とする反応性無機酸化物粒子を含有する重合性組成物。
- ラジカル重合性モノマーがスチレンである請求項5に記載の重合性組成物。
- 請求項5又は6に記載の重合性組成物を、光又は熱により重合させて得られ、無機酸化物粒子の表面にラジカル重合性モノマーがグラフト化して重合してなる重合物を含むことを特徴とする樹脂複合体。
- 樹脂複合体が透明であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂複合体。
- 請求項7又は8に記載の樹脂複合体を使用したことを特徴とする樹脂成形品。
- 樹脂成形品が光学部品である請求項9に記載の樹脂成形品。
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