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JP2015161506A - 信号解析装置、信号解析方法、劣化診断装置及び劣化診断方法 - Google Patents

信号解析装置、信号解析方法、劣化診断装置及び劣化診断方法 Download PDF

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JP2015161506A
JP2015161506A JP2014034834A JP2014034834A JP2015161506A JP 2015161506 A JP2015161506 A JP 2015161506A JP 2014034834 A JP2014034834 A JP 2014034834A JP 2014034834 A JP2014034834 A JP 2014034834A JP 2015161506 A JP2015161506 A JP 2015161506A
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Tatsu Muramatsu
竜 村松
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Abstract

【課題】 車両に搭載された機器の状態を把握することを目的として、機器の動作において周期性を有する信号の波形から、その特徴を抽出するにあたり、基準波形を用意する必要があるため、その基準波形の形状が対象波形と異なり、高い相関係数が得られない場合、波形抽出を適切に行えないという問題があった。
【解決手段】 信号解析装置1は、信号の波形に対する交点を抽出する交点抽出部3と、波形と抽出された交点とから比較対象波形を生成する対象波形生成部6と、波形と抽出された交点とから候補波形を抽出する候補波形抽出部4と、候補波形を反復することで比較対象波形と同じ長さの比較波形を生成する比較波形生成部5と、比較対象波形と候補波形を反復して生成した比較波形との相関係数(評価値)を算出する相関係数算出部(評価値算出部)7と、算出された相関係数(評価値)に基づいて一周期分の波形を決定する波形決定部9を備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、機器の動作において周期性を有する信号の波形を抽出し解析する信号解析装置および信号解析方法に関する。
主に鉄道分野において、車両に搭載された機器の点検を適切なタイミングで行うために機器の状態の把握が必要である。
車両に搭載された機器の状態を把握することを目的として、機器の動作において周期性を有する信号の波形から、その特徴を抽出することができる劣化診断装置並びに劣化診断方法が記載されている(特許文献1)。特許文献1に記載の劣化診断装置は、あらかじめ保持する正常時の波形と、新たに計測した波形の比較により、劣化を判定する。
また、周期的な信号を解析する方法として、フーリエ解析やウェーブレット解析が一般的に用いられている(特許文献2参照)。特許文献2では、対象波形と同種のノイズのない波形に対し、時間軸上のある区間を、ウェーブレット関数で近似した波形を基準波形として生成し、その基準波形とノイズが重畳している対象波形との相関係数に基づいた波形の抽出をする技術が記載されている。
特開2011−257154公報 特開2000−276463公報
特許文献1及び2に記載の技術は、いずれも基準波形を用意する必要があるため、その基準波形の形状が対象波形と異なり、高い相関係数が得られない場合、波形抽出を適切に行えないという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、時間の関係から生じる制約も考慮した信号解析装置を得ることを目的とする。
本発明における信号解析装置は、信号の波形に対する交点を抽出する交点抽出部と、波形と抽出された交点とから比較対象波形を生成する対象波形生成部と、波形と抽出された交点とから候補波形を抽出する候補波形抽出部と、候補波形を反復することで生成された比較対象波形と同じ長さの比較波形と、比較対象波形との評価値を算出する評価値算出部と、算出された評価値に基づいて一周期分の波形を決定する波形決定部を備えた。
本発明によれば、信号の波形に対する交点を抽出する交点抽出部と、波形と抽出された交点とから比較対象波形を生成する対象波形生成部と、波形と抽出された交点とから候補波形を抽出する候補波形抽出部と、候補波形を反復することで生成された比較対象波形と同じ長さの比較波形と、比較対象波形との評価値を算出する評価値算出部と、算出された評価値に基づいて一周期分の波形を決定する波形決定部を備えるので、対象波形とは別の基準波形を予め用意する必要がなく、特定の波形形状に依存せずに一周期分の波形抽出することができる。
実施の形態1における信号解析装置の構成図。 実施の形態1における動作を示すフローチャート。 実施の形態1における対象波形から交点情報を抽出する例。 実施の形態1における対象波形と交点情報とから比較対象波形を生成例。 実施の形態1における候補波形抽出部4が候補波形を抽出する例。 図5(b)の候補波形群をもとに生成される比較波形群を示す図。 実施の形態2における信号解析装置の構成図。 本発明の実施の形態2における動作を示すフローチャート 実施の形態2における第1特徴量と第2特徴量を座標軸とする座標空間と、比較対象波形とそれぞれの比較波形とのの座標距離の説明図。
実施の形態1.
鉄道分野において、状態保全とは、鉄道の車両の点検時期や点検内容を、機器の状態に応じて決定するものである。機器状態を正確に把握できなければ、不適切なタイミングで保全処置が行われる、あるいは不適切な内容の保全処置が行われる、といった事態に繋がるため、状態保全においては、機器の状態の把握が必要である。
鉄道の車両に搭載された機器の動作において、機器から得られる電圧、電流、温度、振動等を示す信号は、周期性を有する波形であり、正常な状態の波形との比較をするための波形抽出を行う信号解析装置について以下説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における信号解析装置の構成図である。
信号解析装置1は、対象波形取得部2と、交点抽出部3と、候補波形抽出部4と、比較波形生成部5と、対象波形生成部6と、相関係数算出部7と、相関係数格納部8と、一周期分の波形を決定する波形決定部9を備える。
対象波形取得部2は、機器または、機器に取り付けられているセンサなどから、電圧、電流、温度、振動等の信号の情報である状態情報を取得する。取得した機器の状態情報における値を縦軸とし、時間を横軸とした波形を対象波形とする。また、対象波形取得部2は、取得した対象波形を、交点抽出部3、候補波形抽出部4、対象波形生成部6に出力する。
交点抽出部3は、対象波形取得部2から入力された状態情報である対象波形の値のうち特定の値と対象波形との交点をとり、交点の横軸方向の値を交点情報として抽出する。また、交点抽出部3は、抽出した交点情報を、候補波形抽出部4、対象波形生成部6に出力する。
候補波形抽出部4は、対象波形取得部2から送信された対象波形と、交点抽出部3から送信された交点情報をもとに、特定の交点を波形抽出の始点に設定し、始点以降の特定の交点を、波形抽出の終点に設定し、始点から終点までの範囲の波形を候補波形として抽出する。また、候補波形抽出部4は、抽出した候補波形群を、比較波形生成部5に送信する。
対象波形生成部6は、対象波形取得部2から送信された対象波形と、交点抽出部3から送信された交点情報をもとに、対象波形の開始点から、交点群において時間軸である横軸方向の値が最小である交点までを取り除いた波形を、比較対象波形として抽出する。また、対象波形生成部6は、比較対象波形を相関係数算出部7に送信するとともに、比較対象波形の横軸方向の長さを比較波形生成部5に送信する。
比較波形生成部5は、候補波形抽出部4から送信された候補波形群と、比較対象波形生成部5から送信された比較対象波形の横軸方向の長さをもとに、それぞれの候補波形を複製し、比較対象波形の横軸方向の長さと同じ長さになるまで横軸方向に列挙した、比較波形群を生成する。また、比較波形生成部5は、比較波形群と、それぞれの比較波形の生成素である候補波形を組にして、相関係数算出部7に送信する。
相関係数算出部7は、対象波形生成部6から送信された比較対象波形と、比較波形生成部5から送信された比較波形群の各々の比較波形との間の相関係数を算出する。また、算出した相関係数は、それぞれの比較波形の生成素である候補波形と共に、相関係数格納部8に出力する。
相関係数格納部8は、相関係数算出部7から送信された、比較対象波形とそれぞれの比較波形との間の相関係数と、それぞれの比較波形の生成素である候補波形を組にして格納するとともに、波形決定部9に出力する。
波形決定部9は、相関係数格納部8に保持された相関係数のうち、設定した閾値を超えるものを一周期分の波形として抽出する。閾値を超える相関係数が存在しない場合は、候補波形抽出部4に対し、候補波形抽出の際の始点を、現在の始点の次の交点として、動作を継続するよう支持する。
次に、本発明の動作を説明する。
動作の概要は、機器に取り付けられているセンサなどから、電圧、電流、温度、振動等の信号の情報である状態情報を取得し、取得した状態情報からどの周期が状態情報として正しいかを決定する。取得した状態情報は複数の周期性を有する波形であり、一定の期間における波形に対し、周期の候補波形に対する評価値(本実施の形態では相関係数)を求めることで、複数の周期性を有する波形のうち、どの周期が状態情報として正しいかを決定することができる。また、その決定された周期とその状態情報を用いて状態情報の機器の状態情報についての劣化度合いなどを測るのに用いることも可能である。
以下動作手順について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における動作を示すフローチャートである。
ステップS101において、対象波形取得部2は、機器または、機器に取り付けられているセンサなどから、電圧、電流、温度、振動等の信号の情報である状態情報を取得する。取得した機器の状態情報における値を縦軸とし、時間を横軸とした波形を対象波形とする。また、対象波形取得部2は、取得した対象波形を、交点抽出部3、候補波形抽出部4、対象波形生成部6に出力する。
ステップS102において、交点抽出部3は、対象波形取得部2から入力された状態情報である対象波形の値のうち、特定の値と対象波形との交点をとり、交点の横軸方向の値を交点情報として抽出する。また、交点抽出部3は、抽出した交点情報を、候補波形抽出部4、対象波形生成部6に出力する。
図3は、実施の形態1における対象波形から交点情報を抽出する例について示す。
図3は、対象波形と交点を取る特定の値を、対象波形の最大値及び最小値から算出した中央値とした場合について示している。縦軸は対象波形の値、横軸は時間である。特定の値については、自由に設定してよく値を0としてもよいし、例えば、最大及び最小値の間に位置する中で、交点と交点の間が最も短い区間が、対象波形の取りうる特定の値の中で最も長くなり、交点同士の近接を最も避けられるような値とすることで、不要なノイズに対する影響を避けるとともに、後述する候補波形の数を少なくすることができる。
ステップS103において、対象波形生成部6が、対象波形と交点情報をもとに、対象波形の開始点から、交点群の中で横軸方向の値が最小である交点までの部分を取り除いた波形を、比較対象波形として生成し、生成した比較対象波形を相関係数算出部7に出力する。
図4に、実施の形態1における対象波形と交点情報とから比較対象波形の生成例を示す。図4の上段のグラフは対象波形を示し、下段のグラフは対象波形と交点情報とから生成された比較対象波形を示している。
ステップS104及びステップS105において、候補波形抽出部4は、対象波形取得部2から送信された対象波形と、交点抽出部3から送信された交点情報をもとに、特定の交点を波形抽出の始点に設定し、始点以降の特定の交点を、波形抽出の終点に設定し、始点から終点までの範囲の波形を候補波形として抽出する。また、候補波形抽出部4は、抽出した候補波形群を、比較波形生成部5に出力する。
図5は実施の形態1における候補波形抽出部4が候補波形を抽出する例である。上段の(a)は対象波形を示し、(b)は対象波形と交点情報とから抽出された候補波形を示している。
ステップS104においては、まず、候補波形抽出部4は、交点情報をもとに、候補波形抽出を行う始点を、交点群において横軸方向の値が最小である交点(図5(a)における(1)(丸印を()で表示し(1)とする)に定める。
次に、ステップS105において、候補波形抽出部4は、候補波形抽出を行う終点を、現在の始点の次に横軸方向の値の小さい順に交点(図5(a)における(2)〜(11))を各々定める。候補波形抽出部4は、図5(b)に示すように始点と交点とから候補波形の群((1)〜(2)、(1)〜(3)、・・・最後の交点である(1)〜(11)まで)を抽出したうえで、その候補波形群を比較波形生成部5に出力する。
図2のステップS106において、比較波形生成部6が、候補波形群と、比較対象波形の横軸方向の長さをもとに、比較波形群を生成するとともに、候補波形群と比較波形群を組にして相関係数算出部7に出力する。
図6は、図5(b)の候補波形群をもとに生成される比較波形群を示す。
各々の比較波形は、各々の候補波形を横軸方向に複製し、比較対象波形の横軸方向の長さになるまで横軸方向に列挙した波形である。
図2のステップS107において、相関係数算出部7が、比較対象波形と各比較波形との相関係数を算出する。また、各比較波形の生成素となった候補波形と、相関係数を組にして、相関係数格納部8に出力し、相関係数格納部8が各比較波形の生成素となった候補波形と、相関係数を組にして保持する。
ステップS108において、波形決定部9は、相関係数格納部8に保持されている相関係数内に、設定した閾値を超えるものが存在するかどうかを評価する。
ステップS109において、波形決定部9は、比較対象波形と各比較波形との相関係数から閾値を超えるものが存在する場合、閾値を超える相関係数と組になっている候補波形を一周期分の波形として抽出する。また、比較対象波形中の、抽出された波形部分は、比較対象波形から除去する。尚、閾値を超えるものが複数存在する場合、最も高い相関係数と組になっている候補波形を一周期分の波形として抽出する。
ステップS110において、波形決定部9は、ステップS109で比較対象波形から抽出した波形の終点にあたる交点以降に、別の交点が存在するか評価する。別の交点がなければ終了となる。図5(b)で説明すると、候補波形(1)〜(11)を用いて生成された比較波形だった場合に当たる。
ステップS111において、比較対象波形において、抽出した候補波形の終点にあたる交点以降に、別の交点が存在する場合、波形決定部9は、現在の終点を新たな始点に設定する。その後、ステップS105に戻り、一周期分の波形抽出を繰り返す。
図5(b)で説明すると、例えば候補波形(1)〜(6)を用いて生成された比較波形が相関係数において閾値を超えた場合、対象波形の(6)を始点とする。
ステップS112において、波形決定部9は、ステップS108の評価で、閾値を超えるものが存在しない場合、対象波形で、現在始点としている交点以降に別の交点が存在するか評価する。
図5(b)で説明すると、例えば候補波形(1)〜(6)を用いて生成された比較波形が相関係数において閾値を超えなかった場合、対象波形の(1)以降に交点が存在するか評価する。
現在始点としている交点以降に別の交点が存在する場合、波形決定部9が候補波形抽出の際の始点を、現在の始点の次の交点(図5(b)の(2))とした上で、S105に戻って波形抽出を繰り返す(S113)。
S110の評価で、抽出した波形の終点にあたる交点以降に、別の交点が存在しない場合、または、S112の評価で、現在始点としている交点以降に別の交点が存在しない場合、波形抽出を終了する。
以上のように、実施の形態1における信号解析装置1は、信号の波形に対する交点を抽出する交点抽出部3と、波形と抽出された交点とから比較対象波形を生成する対象波形生成部6と、波形と抽出された交点とから候補波形を抽出する候補波形抽出部4と、候補波形を反復することで比較対象波形と同じ長さの比較波形を生成する比較波形生成部5と、比較対象波形と候補波形を反復して生成した比較波形との相関係数(評価値)を算出する相関係数算出部(評価値算出部)7と、算出された相関係数(評価値)に基づいて一周期分の波形を決定する波形決定部9を備えたので対象波形とは別の基準波形を予め用意する必要がなく、特定の波形形状に依存せずに一周期分の波形抽出することができる。
尚、電車などの機器の劣化状態を診断するためには、比較対象波形は、機器が未使用、新品、正常時のいずれかで計測される必要があり、以下に説明する候補波形は、機器の劣化時を含む使用時に計測される必要がある。
たとえば、機器の基準時の波形を比較対象波形とし、使用段階での波形である候補波形を用いて比較波形を生成した場合、類似性を評価する利点としては、実機ベースでの評価ができる点にある。すなわち、従来例はなんらかの仮想的な波形を基準波形として一周期分の波形を抽出しているが、基準波形が実機の正常時の波形を完全に模擬できていないことから波形を適切に抽出できず、その結果、機器が正常であるにも係わらず、異常と診断してしまう可能性がある。
その点、本実施の形態の信号解析装置であれば、上記課題を解決できるものであり、かつ機器の基準時の波形を比較対象波形とし、使用段階での波形である候補波形を用いて比較波形を生成した場合の、波形決定部で一周期分の波形を決定した際の相関係数を保持することで、実機一台一台の経年変化推移を記録することも可能である。実機の基準時をベースとして経年変化を記録してくことで、基準時からの変化量も分かり、その値の変化からどこが故障しそうかなどの予測も立てやすくなるという利点もある。
信号解析装置が算出した評価値(相関係数)を劣化診断装置における劣化診断に用いることで、実機の基準時をベースした劣化の診断も行うことも可能である。
実施の形態2.
実施の形態1では、比較波形と比較対象波形との間の相関係数により、一周期分の波形を生成素とする比較波形を判定しているが、次に、比較対象波形、比較波形群を入力とした特異値分解を行い、得られた第1特徴量と、第2特徴量とを座標軸とする座標空間における、比較対象波形とそれぞれの比較波形の座標空間における距離(座標距離)を算出し、一周期分の波形を生成素とする比較波形を判定することで、より波形形状が交点開始対象波形に近い比較波形を特定し、一周期分の波形を相関係数の場合より高精度に抽出する場合を示す。以下、実施の形態1に記載した内容をベースにその差異について説明する。
図7は、実施の形態2における制御装置支援装置の構成図である。
図7において、実施の形態1と異なるのは、相関係数算出部7に変えて座標距離算出部10があり、相関係数算出部8にかえて座標距離格納部11があることである。また、波形決定部9は、相関係数にもとづくのではなく座標距離に基づいて判断する点で異なる。
以下、動作について説明する。
動作の概要は、実施の形態1と同様に、機器に取り付けられているセンサなどから、電圧、電流、温度、振動等の信号の情報である状態情報から基準に対する運用時の評価値(本実施の形態では座標距離)を求めることで、機器の劣化度合いなどを測るのに用いられる。したがって、以下で説明する対象波形から比較対象波形を取得する時期は機器が新品もしくは正常時のものから取得するとともに、候補波形については、機器が使用されて定期的に検査される時期などに計測して取得されることで、電車の機器の劣化の判断に用いることができる。
図8は、本発明の実施の形態2における動作を示すフローチャートである。尚、実施の形態1と同じ動作の部分については説明を割愛する。
図8におけるステップS201、ステップS202は、図2におけるステップS101、ステップS102と同じである。
図8におけるステップS203においては、図2のステップS103における対象波形生成部6が比較対象波形を相関係数算出部7へ出力する代わりに、対象波形生成部6は比較対象波形を座標距離算出部10に出力する。
図8におけるステップS204、ステップS205は、図2におけるステップS104、ステップS105と同じである。
図8におけるステップS206においては、図2のステップS106における比較波形生成部5が各々の候補波形と比較波形とを相関係数算出部7に出力する代わりに、比較波形生成部5は各々の候補波形と比較波形とを座標距離算出部10に出力する。
図8におけるステップS207において、座標距離算出部10は、比較対象波形と、比較波形群とを入力とした特異値分解を行う。そして、得られた第1特徴量と第2特徴量とを座標軸とする座標空間における、比較対象波形とそれぞれの比較波形との座標距離を算出する。算出した座標距離は、座標距離格納部11に出力し、座標距離格納部11が座標距離を保持する。その際、比較波形の座標距離は、それぞれの比較波形の生成素である候補波形と組にして保持される。
座標距離算出部10が特異値分解を行い算出した第1特徴量と第2特徴量を座標軸とする座標空間における、比較対象波形とそれぞれの比較波形との座標距離の意義について説明する。
図9は、実施の形態2における第1特徴量と第2特徴量を座標軸とする座標空間と、比較対象波形とそれぞれの比較波形との座標距離の説明図である。
特異値分解は、信号処理や統計学で用いられる行列分解の一手法である。特異値分解を用いることにより、多次元の数値データの各軸を合成して、特性をよく反映する、より次元数の少ない特徴空間を算出できる。一般に、入力となる行列SP、SPのi行目のデータSP、特異値σ、特異ベクトル係数u、特異ベクトルvと置いたとき、次の関係が成り立つ。
Figure 2015161506
特徴量は通常、まとめて特異ベクトルvとして表されるため、特異ベクトルvを特徴空間上の座標として、第1特徴量と第2特徴量の二次元で評価する。
特異値分解は、複数のデータパターン間の特徴の異なる成分を数値化(特徴量化)するアルゴリズムである。そのため、規則性のある変化よりも、不規則な変化に対し、大きな特徴量の差を示す。例えば、振幅や周期が一定に変化する波形データ群は特徴量の差は小さく、変化のパターンが違う波形データを含めて評価すると大きく異なる特徴量を導く。
第1特徴量は、例えば、比較対象波形と比較波形との、波形の振幅成分のオフセットに関する評価値である。すなわち、比較対象波形に対し、比較波形が振幅方向にどの程度ずれているのかを示す値である。特異値分解によってえられた第1特徴量の値が大きい波形は、全体的に比較対象波形に対し、比較波形が振幅方向にずれていることになる。
第2特徴量は、例えば、波形の形状の差に関する評価値である。すなわち、比較対象波形と比較波形との波形の振幅成分の差異をキャンセルした状態で、それぞれの波形の振幅レベルの正負を考慮した差異を(例えば、複数の評価点について)加え合わせたものである。特異値分解によってえられた第2特徴量が大きい波形は、全体的に波形の形状そのものが他の波形と異なることになる。
よって、特異値分解により得られた第1特徴量(振幅方向のずれの評価値)と第2特徴量(波形形状の差の評価値)を座標軸とする座標空間における、ある波形の標本と、それとは別の波形の標本との距離は、2つの波形の類似度を表し、相関係数(波形の重なり合い)による判定よりも高精度な判定を行うことができ、一周期分の波形として抽出すべき候補波形をもとに生成した比較波形の判定をより正確に行うことができる。
具体的には、実施の形態1における相関係数を用いる場合は、周期的な信号の比較を行う場合、振幅の大きさは異なるが、位相は合致している場合、相関していることには変わりがないため、位相さえ合致していれば、振幅の大きさに起因する異常性を検知できずに正常な場合となんら変わりなく検知できてしまうのに対し、特異値分解により得られた特徴量の場合、少なくとも、第2特徴量に値として出てくるため、振幅の大きさも加味して1周期分の波形を評価することができる。
図8におけるステップS208において、波形決定部9は、相関係数格納部8に保持されている座標距離内に、設定した閾値以下のものが存在するかどうかを評価する。
ステップS109において、波形決定部9は、比較対象波形と各比較波形との比較による座標距離のうち閾値以内のもの存在する場合、閾値以内の座標距離と組になっている候補波形を一周期分の波形として抽出する。また、比較対象波形中の、抽出された波形部分は、比較対象波形から除去する。尚、閾値以内の座標距離が存在する場合は最も小さい値となる座標距離と組になっている候補波形を一周期分の波形として抽出する。
ステップS210において、波形決定部9は、ステップS209で比較対象波形から抽出した波形の終点にあたる交点以降に、別の交点が存在するか評価する。別の交点がなければ終了となる。実施の形態1と同様に、図5(b)で説明すると、候補波形(1)〜(11)を用いて生成された比較波形だった場合に当たる。
ステップS211において、比較対象波形において、抽出した候補波形の終点にあたる交点以降に、別の交点が存在する場合、波形決定部9は、現在の終点を新たな始点に設定する。その後、ステップS205に戻り、一周期分の波形抽出を繰り返す。
実施の形態1と同様に、図5(b)で説明すると、例えば候補波形(1)〜(6)を用いて生成された比較波形が相関係数において閾値以内となる場合、対象波形の(6)を始点とする。
ステップS212において、波形決定部9は、ステップS108の評価で、閾値以内となるものが存在しない場合、対象波形で、現在始点としている交点以降に別の交点が存在するか評価する。
実施の形態1と同様に図5(b)で説明すると、例えば候補波形(1)〜(6)を用いて生成された比較波形が相関係数において閾値以内とならない場合、対象波形の(1)以降に交点が存在するか評価する。
現在始点としている交点以降に別の交点が存在する場合、波形決定部9が候補波形抽出の際の始点を、現在の始点の次の交点(図5(b)の(2))とした上で、S105に戻って波形抽出を繰り返す(S213)。
S210の評価で、抽出した波形の終点にあたる交点以降に、別の交点が存在しない場合、または、S112の評価で、現在始点としている交点以降に別の交点が存在しない場合、波形抽出を終了する。
以上のように、実施の形態2における信号解析装置1は、信号の波形に対する交点を抽出する交点抽出部3と、波形と抽出された交点とから比較対象波形を生成する対象波形生成部6と、運用時の対象波形と抽出された交点とから候補波形を抽出する候補波形抽出部4と、候補波形を反復することで比較対象波形と同じ長さの比較波形を生成する比較波形生成部5と、比較対象波形と候補波形を反復して生成した比較波形との座標距離(評価値)を算出する座標距離算出部(評価値算出部)10と、算出された座標距離(評価値)に基づいて一周期分の波形を決定する波形決定部9を備えたので対象波形とは別の基準波形を予め用意する必要がなく、特定の波形形状に依存せずに一周期分の波形抽出することができる。
また、第1特徴量(振幅方向のずれの評価値)と第2特徴量(波形形状の差の評価値)とから得られる座標距離を用いることで、振幅の大きさも加味して評価することが可能となる。
また、検出したい波形の内容によっては、第1特徴量または第2特徴量のいずれかのみを用いて座標距離を求めてもよく、第1特徴量または第2特徴量に対する係数を用いたうえで、座標距離を求めてもよい。
尚、電車などの機器の劣化状態を診断するためには、比較対象波形は、機器が未使用、新品、正常時のいずれかで計測される必要があり、以下に説明する候補波形は、機器の劣化時を含む使用時に計測される必要がある。
たとえば、機器の基準時の波形を比較対象波形とし、使用段階での波形である候補波形を用いて比較波形を生成した場合、類似性を評価する利点としては、実機ベースでの評価ができる点にある。すなわち、従来例はなんらかの仮想的な波形を基準波形としているが、基準波形が実機の正常時の波形を完全に模擬できているかという課題があり、正常な動作をしていても異常としてしまう可能性がある。
その点、本実施の形態の信号解析装置であれば、上記課題を解決できるものであり、かつ実機一台一台の経年変化推移を記録することも可能である。実機の基準時をベースとして経年変化を記録してくことで、基準時からの変化量も分かり、その値の変化からどこが故障しそうかなどの予測も立てやすくなるという利点もある。
特に、信号解析装置が算出した評価値(第1特徴量(振幅方向のずれの評価値)、第2特徴量(波形形状の差の評価値))を劣化診断装置における劣化診断に用いることで、実機の基準時をベースした劣化の診断だけでなく、センサ等の劣化原因の特定にも行うことも可能である。
1 信号解析装置
2 対象波形取得部
3 交点抽出部
4 候補波形抽出部
5 比較波形生成部
6 対象波形生成部
7 相関係数算出部
8 相関係数格納部
9 波形決定部
10 座標距離算出部
11 座標距離格納部

Claims (6)

  1. 信号の波形に対する交点を抽出する交点抽出部と、
    前記波形とその交点とから比較対象波形を生成する対象波形生成部と、
    前記波形とその交点とから候補波形を抽出する候補波形抽出部と、
    前記候補波形を反復することで生成された前記比較対象波形と同じ長さの比較波形と、前記比較対象波形との評価値を算出する評価値算出部と、
    算出された評価値に基づいて一周期分の波形を決定する波形決定部
    を備えることを特徴とする信号解析装置。
  2. 前記評価値算出部は、前記比較波形と前記比較対象波形との相関係数を用いて評価値を算出することを特徴とする請求項1に記載の信号解析装置。
  3. 前記評価値算出部は、前記比較波形と前記比較対象波形との振幅方向のずれに対する評価値または波形形状に対する評価値のいずれかもしくは両方を用いた座標距離を用いて評価値を算出することを特徴とする請求項1に記載の信号解析装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の信号解析装置が算出した評価値を用いて劣化診断を行うことを特徴とする劣化診断装置。
  5. 信号の波形に対する交点を抽出する交点抽出ステップと、
    前記波形とその交点とから比較対象波形を生成する対象波形生成ステップと、
    前記波形とその交点とから候補波形を抽出する候補波形抽出ステップと、
    前記候補波形を反復することで生成された前記比較対象波形と同じ長さの比較波形と、前記比較対象波形との評価値を算出する評価値算出ステップと、
    算出された評価値に基づいて一周期分の波形を決定する波形決定ステップ
    を備えることを特徴とする信号解析方法。
  6. 請求項5に記載の信号解析方法で算出された評価値を用いて劣化診断を行うことを特徴とする劣化診断方法。
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