JP2015071848A - 微細セルロース繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はまた、この製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有する分散液、セルロース繊維シート、及びセルロース繊維複合材料に関する。
セルロース繊維を解繊処理することにより、数平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を製造する方法において、該セルロース繊維として、カチオン性基が0.05〜3.0mmol/g導入されたセルロース繊維を用い、高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理をすることを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法、
この製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有する分散液、
この製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有するセルロース繊維シート、
及び
この製造方法により得られた微細セルロース繊維とマトリックス材料とを含有するセルロース繊維複合材料、
に存する。
本発明の微細セルロース繊維の製造方法は、セルロース繊維を解繊処理することにより、数平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を製造する方法において、該セルロース繊維として、カチオン性基が0.05〜3.0mmol/g導入されたセルロース繊維を用い、高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理をすることを特徴とする。
本発明の微細セルロース繊維は、以下のセルロース繊維原料にカチオン性基を導入する工程と、カチオン性基が導入されたセルロース繊維原料を解繊処理する工程を経て製造される。
本発明において、セルロース繊維原料は、下記に示すようなセルロース含有物から一般的な精製工程を経て不純物を除去したものであることが好ましい。
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質(木粉等)、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維などの植物由来原料、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。特に、植物由来原料から得られるセルロース含有物が好ましい。
本発明に用いられるセルロース繊維原料は好ましくは上記のセルロース含有物を通常の方法で精製して得られる。
すなわち、セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどのパルプを用いてもよい。
本発明に用いられるセルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではなく、数平均繊維径としては1μmから1mmである。一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度にすることが好ましい。
本発明においては、通常、上記セルロース繊維原料に対して、カチオン性基を導入する。解繊処理の後にカチオン性基を導入することも可能であるが、解繊処理を施す前のセルロース繊維原料にカチオン性基が導入されていると、セルロース繊維原料の解繊処理効率が向上し、低い投入エネルギーでの微細化が可能となるため、本発明では、解繊処理前のセルロース繊維原料にカチオン性基を導入することが好ましい。
カチオン性基は、セルロース繊維を構成するセルロースの水酸基の一部をカチオン性基で置換することにより導入される。
本発明において、カチオン性基は、その1種のみがセルロース繊維原料に導入されていてもよく、2種以上が導入されていてもよい。
即ち、カチオン性基は、上記のアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムなどのカチオン性基と、セルロースの水酸基と反応する基とを有する化合物を、セルロース繊維原料に反応させることにより導入することが好ましく、ここで、セルロースの水酸基と反応する基としては、その水酸基と反応して共有結合を形成する反応基であれば特に限定はなく、例えば、エポキシ基又はそれを形成し得るハロヒドリン基、活性ハロゲン基、活性ビニル基、メチロール基等が挙げられる。これらの内、反応性の点からエポキシ基又はそれを形成し得るハロヒドリン基が好ましい。
本発明では、カチオン性基が導入されたセルロース繊維原料(以下「カチオン化セルロース繊維原料」と称す場合がある。)に対し、高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理を施す。本発明の微細セルロース繊維の製造方法は、高速回転式分散機及び高圧式分散機を併用することに特徴があるため、その順番は問わないが、高速回転式分散機で先に処理する方が、高濃度のセルロース繊維原料の解繊処理効率やセルロース繊維による系内の詰まり防止の点で好ましい。
高速回転式分散機及び高圧式分散機による解繊処理を施すことにより、本発明の微細セルロース繊維を含む本発明の分散液が得られる。
カチオン化セルロース繊維原料は、後述する好ましい固形分濃度の分散液とした後、高速回転式分散機で解繊処理することが好ましい。
高速回転式分散機は、回転体と固定部の間の空隙に処理対象となるカチオン化セルロース繊維原料の分散液を通過させて解繊処理するタイプのもの、或いは、一定方向に回転する内側回転体と内側回転体の外側を逆方向に回転する外側回転体とを有し、内側回転体と外側回転体の間の空隙に処理対象となるカチオン化セルロース繊維原料の分散液を通過させて解繊処理するタイプのものが好ましい。
高速回転式分散機の操作回転数としては1000〜40000rpmが好ましく、12000〜22000rpmがより好ましい。
パス回数を重ねるに従い、分散液の温度が上昇するので、高速回転式分散機で処理された後の分散液は、冷却管などの熱交換器を通過させて冷却することが好ましい。或いは、冷却装置などの熱交換器で高速回転式分散機内の分散液を冷却しながら解繊処理することが好ましい。
カチオン化セルロース繊維原料は、後述する好ましい固形分濃度の分散液とした後、高圧式分散機で解繊処理することが好ましい。
パス回数を重ねるに従い、分散液の温度が上昇するので、高圧式分散機で処理された後の分散液は、冷却管などの熱交換器を通過させて冷却することが好ましい。或いは、冷却装置などの熱交換器で高圧式分散機内の分散液を冷却しながら解繊処理することが好ましい。
本発明の微細セルロース繊維の製造方法は、高速回転式分散機及び高圧式分散機を併用することを特徴としているが、高速回転式分散機及び高圧式分散機以外の解繊装置を用いた解繊処理を更に行ってもよい。
高速回転式分散機及び高圧式分散機以外の解繊装置とは、例えば、セルロース繊維原料を微細化する分散機として、ミキサーなどのブレンダータイプの分散機、ボールミルやビーズミル、グラインダーや超音波ホモジナイザー、フリーザーミルなどの0℃以下の低温条件下での微細化装置などが挙げられる。
解繊処理に供するカチオン化セルロース繊維原料の分散液の溶媒(分散媒)としては、有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合液を使用することができる。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素、エーテル、グリコールエーテル、非プロトン性極性溶媒、環状エーテル等の有機溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。
セルロース繊維原料分散液の溶媒は、有機溶媒と水との混合液又は水であることが好ましく、特に水であることが好ましい。
解繊処理に供するカチオン化セルロース繊維原料分散液の固形分濃度(セルロース繊維原料濃度)は通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.2重量%以上、特に好ましくは0.3重量%以上、また通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは6重量%以下とすることが好ましい。この解繊処理に供するカチオン化セルロース繊維原料分散液中の固形分濃度が低過ぎると処理するカチオン化セルロース繊維原料の量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪く、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなるため、解繊処理に供するカチオン化セルロース繊維原料分散液は適宜水を添加するなどして濃度調整する。
上記の解繊処理後の分散液に、遠心分離を行って、解繊不良のセルロース繊維を分離、除去してもよい。遠心分離を行うことで、より均一で細かい微細セルロース繊維の上澄み液が得られる。遠心分離の条件については、適用した解繊処理および要求される微細化の程度によるので特に限定されるものではないが、例えば3000G以上、好ましくは10000G以上の遠心力をかけることが好ましい。また、処理時間としては、例えば1分以上、好ましくは5分以上遠心力をかけることが好ましい。遠心力が小さすぎたり、処理時間が短すぎたりすると、解繊不良のセルロース繊維の分離・除去が不十分となる場合がある。
上記解繊処理及び必要に応じて解繊処理後の遠心分離により得られる本発明の微細セルロース繊維の数平均繊維径は、通常200nm以下、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下であり、通常2nm以上である。微細セルロース繊維の数平均繊維径がこの範囲であることにより、ファイバー径がナノサイズであり、光の散乱が小さいため、高い透明性を示すという効果が得られる。また、マトリックス材料と複合化した際に高強度、高弾性率、低線膨張係数が得られる。
次に、本発明の微細セルロース繊維を用いたセルロース繊維集合体(以下、「本発明のセルロース繊維集合体」と称す場合がある。)について説明する。
本発明のセルロース繊維集合体は、本発明の微細セルロース繊維を含むものである。通常、本発明のセルロース繊維集合体は、後述の乾燥後は、本発明の微細セルロース繊維のみからなるが、他の繊維や粒子を含有するものであってもよい。
なお、このセルロース繊維集合体の製造に際して、解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を遠心分離処理して、極微細なセルロース繊維のみを含む上澄み液を得、この上澄み液をセルロース繊維集合体の製造に用いると、得られたセルロース繊維集合体から高透明なセルロース繊維複合材料を得ることができる。
本発明の微細セルロース繊維を用いて、本発明の微細セルロース繊維を含有する本発明のセルロース繊維シートとすることができる。セルロース繊維シートとすることで、樹脂を含浸させて繊維樹脂複合材料としたり、樹脂シートではさんで繊維樹脂複合材料とすることができる。セルロース繊維シートは、具体的には、前述の解繊処理を施した、本発明の微細セルロース繊維を含む微細セルロース繊維分散液を濾過することにより、或いは適当な基材に塗布することにより製造される。
具体的には孔径0.1〜20μm、例えば0.5〜1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば0.5〜1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
セルロース繊維シートに樹脂を含浸させてセルロース繊維複合材料を得る場合には、セルロース繊維シートの空隙率が小さいと樹脂が含浸されにくくなるため、ある程度の空隙率があることが好ましい。この場合の空隙率は、通常10体積%以上、好ましくは20体積%以上である。ただし、セルロース繊維シートの空隙率が過度に高いと、セルロース繊維複合材料とした際に、セルロース繊維による十分な補強効果が得られず、線膨張率や弾性率が不足する場合があるので、80体積%以下であることが好ましい。
空隙率(体積%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aはセルロース繊維シートの面積(cm2)、tは膜厚(cm)、Bはシートの重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cm3と仮定する。
セルロース繊維シートの膜厚は、膜厚計(PEACOK製のPDN−20)を用いて、シートの種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99重量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。または、微細セルロース繊維の分散液を濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても濾過の最後にセルロース繊維シート中の水をアルコール等の有機溶媒と置換することができる。
すなわち、加熱処理した微細セルロース繊維分散液を濾過して、次に樹脂に含浸する場合、乾燥工程を経ずそのまま樹脂に含浸することもできる。
また、微細セルロース繊維分散液を濾過して、そのシートを加熱処理する場合にも、乾燥工程を経ずに行うこともできる。
ただし、空隙率、膜厚の制御、シートの構造をより強固にする意味でも乾燥を行った方が好ましい。
微細セルロース繊維を用いて、セルロース繊維粒子とすることができる。
セルロース繊維粒子は特に熱可塑性樹脂との混練によって複合化する際に好適に用いられ、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
本発明の微細セルロース繊維は、セルロース以外のマトリックス材料と複合化させることにより、セルロース繊維複合材料(繊維樹脂複合材料)を得ることができる。このセルロース以外のマトリックス材料との複合化は、本発明の微細セルロース繊維分散液から分散媒を除去することなく分散媒中で行ってもよく、複合化させた後に分散媒を除去することでセルロース繊維複合材料を得ることもできる。本発明の微細セルロース繊維分散液の分散媒は、水から他の有機溶媒に、あるいは有機溶媒から水へと、セルロース以外のマトリックス材料と複合化するのに適した分散媒種へ置換を行ってから複合化を行うとより好ましい。
セルロース繊維ゲルは、セルロース繊維が3次元網目状構造を作り、それが分散媒によって湿潤または膨潤したものであり、網目構造は化学架橋や物理架橋により形成される。ゲルが所定量の分散媒を含有することによって、ゲル中の微細セルロース繊維の3次元網目状構造が保持される。
置換する方法としては、例えば、上記の濾過法により分散液中に含まれる所定量の分散媒を除去した後、アルコールなどの有機溶媒を加えることにより、アルコール等の有機溶媒が含まれるゲルを製造することができる。より具体的には、第一の分散媒が水で、第二の分散媒が有機溶媒である場合が挙げられる。
上述のセルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲル等のセルロース繊維集合体をマトリックス材料と複合化することで本発明のセルロース繊維複合材料が得られる。なお、本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明の微細セルロース繊維分散液からセルロース繊維集合体を経ることなく直接製造することもできる。すなわち、本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明の微細セルロース繊維とマトリックス材料を含むものであればよい。
以下、セルロース繊維集合体またはセルロース繊維分散液をマトリックス材料と複合化して本発明のセルロース繊維複合材料である繊維樹脂複合材料を製造する方法について説明する。
ここでマトリックス材料とは、セルロース繊維シートと貼り合わせたり、空隙を埋めたり、造粒したセルロース繊維粒子を混練する高分子材料またはその前駆体(例えばモノマー)のことをいう。
このマトリックス材料として好適なものは、加熱することにより流動性のある液体になる熱可塑性樹脂、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより重合硬化する、活性エネルギー線硬化性樹脂(以下、「光硬化性樹脂」という場合がある)等から得られる少なくとも1種の樹脂(高分子材料)またはその前駆体である。
(a) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合させる方法
(b) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法
(c) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化させる方法
(d) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e) 熱可塑性樹脂シートとセルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルとを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f) セルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルの片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して重合硬化させる方法
(g) セルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルの片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を塗布して、溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化させる方法
(h) セルロース繊維粒子と熱可塑性樹脂を溶融混練した後、シート状や目的の形状に成形する方法
(i) 微細セルロース繊維分散液とモノマー溶液または分散液(熱可塑性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質または分散質を含む溶液または分散液)とを混合した後、溶媒除去、重合硬化させる方法。
(j) 微細セルロース繊維分散液と高分子溶液または分散液(熱可塑性樹脂溶液または分散液)を混合した後、溶媒を除去する方法。
本発明において、セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子、セルロース繊維ゲルまたは微細セルロース繊維分散液に複合化させるマトリックス材料であるセルロース以外の樹脂としては、熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることで、透明性の高い繊維樹脂複合材料を得ることができる。例えば、熱硬化性樹脂を用いた場合、硬化時間が長いため、その過程で透明性が低下する場合がある。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂の具体例は、特開2009−299043号公報に記載のものが挙げられる。
熱可塑性樹脂および活性エネルギー線硬化性樹脂は、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤等と配合した組成物(以下、硬化性組成物とよぶ)として用いられる。
反応を均一に進行させる目的等で硬化性組成物は連鎖移動剤を含んでもよい。連鎖移動剤としては、例えば、分子内に2個以上のチオール基を有する多官能メルカプタン化合物を用いることができ、これにより硬化物に適度な靱性を付与する事が出来る。メルカプタン化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレートなどの1種または2種以上を用いるのが好ましい。硬化性組成物にメルカプタン化合物を含有させる場合、連鎖移動剤は硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して、通常30重量%以下の割合で含有させる。
着色防止目的で硬化性組成物は紫外線吸収剤を含んでもよい。例えば、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれるものであり、その紫外線吸収剤は1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。硬化性組成物に紫外線吸収剤を含有させる場合、紫外線吸収剤は硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計100重量部に対して、通常0.01〜1重量部の割合で含有させる。
硬化性組成物は、セルロース繊維以外の充填剤を含んでもよい。充填剤としては、例えば、無機粒子や有機高分子などが挙げられる。具体的には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などの無機粒子、ゼオネックス(日本ゼオン社)やアートン(JSR社)などの透明シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートやポリメチルメタアクリレートなどの汎用熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。中でも、ナノサイズのシリカ粒子を用いると透明性を維持することができ好適である。また、紫外線硬化性モノマーと構造の似たポリマーを用いると高濃度までポリマーを溶解させることが可能であり、好適である。
硬化性組成物には、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられ、これらは分子中に(メタ)アクリル基を有しており、他のモノマーと共重合することができるので好ましい。硬化性組成物にシランカップリング剤を含有させる場合、シランカップリング剤は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%となるように含有させる。この配合量が少な過ぎると、これを含有させる効果が十分に得られず、また、多過ぎると、硬化物の透明性などの光学特性が損なわれる恐れがある。
本発明のセルロース繊維複合材料を形成するための硬化性組成物は、公知の方法で重合硬化させることができる。
硬化方法としては、放射線硬化等が挙げられる。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が挙げられるが、好ましくは光である。更に好ましくは波長が200nm〜450nm程度の光であり、更に好ましくは波長が250〜400nmの紫外線である。
本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明のセルロース繊維シートの層と、前述したセルロース以外の高分子よりなる平面構造体層との積層構造体であってもよく、また、本発明のセルロース繊維シートの層と、本発明のセルロース繊維複合材料の層との積層構造であってもよく、その積層数や積層構成には特に制限はない。
本発明のセルロース繊維複合材料は、その用途に応じて、セルロース繊維複合材料層に更に無機膜が積層されたものであってもよく、上述の積層構造体に更に無機膜が積層されたものであってもよい。
以下に本発明のセルロース繊維複合材料の好適な特性ないし物性について説明する。
本発明のセルロース繊維複合材料中のセルロースの含有量(本発明の微細セルロース繊維の含有量)は通常1重量%以上99重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、セルロースの含有量が1重量%以上、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が99重量%以下であること必要である。透明性を発現するにはセルロースの含有量が99重量%以下、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲はセルロースが5重量%以上90重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料が10重量%以上95重量%以下であり、さらに好ましい範囲はセルロースが10重量%以上80重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料が20重量%以上90重量%以下である。特に、セルロースの含有量が30重量%以上70重量%以下で、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が30重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
本発明のセルロース繊維複合材料の厚みは、好ましくは10μm以上10cm以下であり、このような厚みとすることにより、構造材としての強度を保つことができる。セルロース繊維複合材料の厚さはより好ましくは50μm以上1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上250μm以下である。
なお、本発明のセルロース繊維複合材料は、例えば、このような厚さの膜状(フィルム状)または板状であるが、平膜または平板に限らず、曲面を有する膜状または板状とすることもできる。また、その他の異形形状であってもよい。また、厚さは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていてもよい。
本発明のセルロース繊維複合材料は、加熱による着色が小さいことを特徴とする。
セルロースは、特に木質由来の原料を用いることで黄色味がつく場合がある。これは、セルロース自体の着色の場合と、精製度合いによって残ったセルロース以外の物質が着色する場合がある。本発明の微細セルロース繊維およびセルロース繊維複合材料は、加熱の工程が入っても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐えうるものである。
各種透明材料として本発明のセルロース繊維複合材料を用いる場合、微細セルロース繊維の着色の程度は、セルロース繊維複合材料のYIとして好ましくは30以下、より好ましくは15以下、特に好ましくは10以下であり、加熱処理後もこのYIの上昇がないことが好ましく、加熱後もまた、YIが好ましくは30以下、より好ましくは15以下、特に好ましくは10以下を維持することが好ましい。なお、セルロース繊維複合材料のYIは、例えばスガ試験機製カラーコンピュータを用いて測定される。
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さいセルロース繊維複合材料とすることができる。
各種透明材料として用いる場合、このセルロース繊維複合材料のヘーズは、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下であり、特にこの値は1.5以下であることが好ましい。ヘーズが2.0より大きくなると実質的に各種デバイスの透明基板等に適用することは困難となる。
ヘーズは、セルロース繊維複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光源の値を用いる。例えば、厚み10〜250μm、好ましくは10〜100μmの繊維樹脂複合材料について測定する。
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さいセルロース繊維複合材料とすることができる。各種透明材料として用いる場合、この繊維樹脂複合材料は、JIS規格K7105に準拠してその厚み方向に測定された全光線透過率が60%以上、更には70%以上、特に80%以上、とりわけ90%以上であることが好ましい。この全光線透過率が60%未満であると半透明または不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。
全光線透過率は例えば、セルロース繊維複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光源の値を用いる。例えば、厚み10〜250μm、好ましくは10〜100μmのセルロース繊維複合材料について測定する。
本発明のセルロース繊維複合材料は、線膨張係数(1Kあたりの伸び率)の低いセルロースを用いることにより線膨張係数の低いセルロース繊維複合材料とすることができる。このセルロース繊維複合材料の線膨張係数は1〜50ppm/Kであることが好ましく、1〜30ppm/Kであることがより好ましく、1〜20ppm/Kであることが特に好ましく、1〜15ppm/Kであることが最も好ましい。
即ち、例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線膨張係数が15ppm/K程度であるため、セルロース繊維複合材料の線膨張係数が50ppm/Kを超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線膨張率差が大きくなり、クラック等が発生する。従って、セルロース繊維複合材料の線膨張係数は、特に1〜20ppm/Kであることが好ましい。
セルロース繊維複合材料をレーザーカッターにより、3mm幅×40mm長にカットし、これをSII製TMA6100を用いて引張モードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/minで昇温し、次いで180℃から25℃まで5℃/min.で降温し、更に25℃から180℃まで5℃/minで昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線膨張係数を求める。測定する温度範囲は使用するマトリックス材料によって適宜調整する。
本発明のセルロース繊維複合材料の引張強度は、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。引張強度が40MPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
本発明のセルロース繊維複合材料の引張弾性率は、好ましくは0.2〜100GPaであり、より好ましくは1〜50GPa、さらに好ましくは5.0〜30GPaである。引張弾性率が0.2GPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性が高く、高強度、低吸水性、高透明性、低着色でヘーズが小さく光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイや基板やパネルとして好適である。また、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板に好適である。基板としては、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。特に、本発明のセルロース繊維複合材料は加熱処理を施しても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐え得るものである。
また、本発明のセルロース繊維複合材料は、その低線膨張係数、高弾性、高強度等の特性を生かして透明材料用途以外の構造体としても用いることができる。特に、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他、工業用資材等として好適に用いられる。
(1) 解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を固形分濃度0.2重量%に希釈して均一に分散させる。
(2) 希釈した微細セルロース繊維分散液をアルミ皿にとり、105℃で2時間以上乾燥させて秤量することにより、(1)の分散液の固形分濃度(C0)を求める。
(3) 遠沈管に(1)の分散液を30g秤り取り、遠心分離機(日立工機社製CR23)を用い、12000Gで10分間遠心分離処理する。
(4) 遠沈管ごと秤量する(W1)。
(5) 沈殿物が入らないように注意して上澄みを取り分け、(2)と同様に固形分濃度を求める(C1)。
(6) 沈殿物が残った遠沈管を秤量する(W2)。
(7) 遠沈管の質量はW0とする。
以下の式によりナノ化収率を算出する。
(高速回転式分散機のみを用いた場合)
以下の式により算出した。
投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)=
{電流×電圧×解繊処理時間}/{高速回転式分散機に投入した
セルロース繊維原料量(g)}
(高速回転式分散機と高圧式分散機を用いた場合)
以下の式により高圧式分散機による解繊処理における投入エネルギー量を算出し、上記高速回転式分散機による解繊処理における投入エネルギー量の値との合計の値を投入エネルギー量とした。
投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)=
{電流×電圧×解繊処理時間}/{高圧式分散機に投入した
セルロース繊維原料量(g)}
2−プロパノール250gに、セルロース繊維原料として広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙社製、固形分30重量%)32.4gを添加し、次いで1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5.83gと、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの80重量%水溶液(カチオマスターG(登録商標)、四日市合成社製)4.86gを添加し、3時間室温で撹拌した後、50℃で90分間反応させた。反応後、濾別したケーキを脱塩水600mLに分散させ、10重量%酢酸水溶液で中和した後、再度濾別した。次いで濾液の電気伝導度が50μS/cm未満になるまで脱塩水で洗浄し、前記式(1)で表される基(R1,R2,R3はメチル基、X−はCl−)を導入したカチオン化セルロース繊維原料を得た。
得られたカチオン化セルロース繊維原料のカチオン性基の導入量を、窒素測定装置(TN−10、三菱化学アナリテック社製)を用いて、JIS−K2609に準じて測定したところ、0.50mmol/gであった。
次に、この水分散液を高速回転式分散機(クレアミックス−2.2S、エム・テクニック社製)に供給して、20000rpmで30分間、カチオン化セルロース繊維の解繊処理を行った。この時の投入エネルギー量は、下記式の通り、32kWh/kg−セルロースで、ナノ化収率は15%であった。
投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)=
1750W×(30/60)時間/27g≒
32kWh/kg−セルロース
投入エネルギー量(kWh/kg−セルロース)=
11200W×(4/60)時間/5.0g≒
149kWh/kg−セルロース
実施例1と同様にして調製したカチオン化セルロース繊維原料(カチオン性基の導入量0.50mmol/g)の0.5重量%水分散液320gを、高速回転式分散機(クレアミックス−0.8S、エム・テクニック社製、最大容量320g)に供給して、20000rpmで60分間、カチオン化セルロース繊維原料の解繊処理を行った。
解繊処理後の水分散液中の微細セルロース繊維のナノ化収率は85%であった。
また、解繊処理に要した投入エネルギー量は450kWh/kg−セルロースであった。
広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙社製、固形分30重量%)100.5gに25重量%水酸化ナトリウム水溶液24gを添加し、10分間スパチュラ撹拌し、次いで半月板撹拌翼で20分間撹拌した。撹拌後、2−プロパノール750gを添加し、次いで3−クロロ−2−ヒドロキシ−プロピルトリメチルアンモニウムクロリドの65重量%水溶液(カチオマスターC(登録商標)、四日市合成社製)25.6g添加し、70℃で90分間反応させた。反応後、濾別したケーキを脱塩水900mLに分散させ、酢酸で中和した後、再度濾別した。次いで濾液の電気伝導度が50μS/cm未満になるまで脱塩水で洗浄しカチオン化セルロース繊維原料を得た。
このカチオン化セルロース繊維原料について、実施例1と同様にして、カチオン性基の導入量を測定したところ、0.29mmol/gであった。
得られたカチオン化セルロース繊維原料を用い、固形分濃度0.5重量%に調整した水分散液320gを調製した。
比較例1と同様にして、この水分散液を高速回転式分散機を用いて解繊処理を行った。
解繊処理後の水分散液中の微細セルロース繊維のナノ化収率は50%であった。
また、解繊処理に要した投入エネルギー量は450kWh/kg−セルロースであった。
Claims (4)
- セルロース繊維を解繊処理することにより、数平均繊維径が200nm以下の微細セルロース繊維を製造する方法において、
該セルロース繊維として、カチオン性基が0.05〜3.0mmol/g導入されたセルロース繊維を用い、
高速回転式分散機及び高圧式分散機で解繊処理をすることを特徴とする微細セルロース繊維の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有する分散液。
- 請求項1に記載の製造方法により得られた微細セルロース繊維を含有するセルロース繊維シート。
- 請求項1に記載の製造方法により得られた微細セルロース繊維とマトリックス材料とを含有するセルロース繊維複合材料。
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