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JP2015070801A - アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置 - Google Patents

アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置 Download PDF

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JP2015070801A JP2013207178A JP2013207178A JP2015070801A JP 2015070801 A JP2015070801 A JP 2015070801A JP 2013207178 A JP2013207178 A JP 2013207178A JP 2013207178 A JP2013207178 A JP 2013207178A JP 2015070801 A JP2015070801 A JP 2015070801A
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Tsutomu Ishida
努 石田
渡辺 重男
Shigeo Watanabe
重男 渡辺
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Abstract

【課題】工業的に非常に重要なアミド化合物の効率的な製造方法、および該方法に好適に用いられるアミド化合物の製造装置を提供する。【解決手段】ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において、反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に微生物菌体および/またはその菌体処理物を混合した後に反応槽へ供給することを特徴とするアミド化合物の製造方法、およびニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する反応槽と、水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と微生物菌体および/またはその菌体処理物との混合物を供給する供給ラインを備えるアミド化合物の製造装置【選択図】なし

Description

本発明は、微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用い、ニトリル化合物を水和したアミド化合物を得るアミド化合物の製造方法、ならびにアミド化合物の製造装置に関するものである。
アミド化合物の主要な製造方法の一つとして、ニトリル化合物を原料とする水和法は多くの場合に用いられており、アクリルアミド等のアミド化合物の工業的製法としては、例えば、ラネー銅等などの金属銅触媒を触媒として用い、アクリロニトリル等のニトリル化合物を水和する方法、あるいは近年ではニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として用い、ニトリル化合物を水和する方法が知られている。
微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いる方法は、アクリロニトリル等のニトリル化合物の転化率および選択率が高いことから工業的に注目を浴びている。
アクリロニトリル等のニトリル化合物は、水またはアミド化合物水溶液への溶解度が常温では十分に高いとは言えず、ニトリル化合物の水への溶解が不十分である場合、ニトリル化合物と菌体触媒との接触が不十分となり、生産性の低下、触媒の劣化、及び、ニトリル化合物の気相部への蒸発によるロスの増加等の悪影響が起こる。反応液やアミド化合物水溶液へのニトリル化合物の溶解度は反応液を強く攪拌することで向上させることができるが、このような強い攪拌は菌体触媒の損傷及びそれによる活性の低下をもたらすことがあり好ましくない。
例えば特許文献1では、菌体および水からなる混合物に攪拌下、アクリロニトリルを断続的に滴下することにより反応させることが適当と記載されている。また特許文献2には、反応液流体の単位体積あたりの攪拌所要動力を0.08〜0.7kW/mの範囲内で攪拌を行うことでニトリル化合物と生体触媒の接触や分散性を良好にし、製造コストや環境負荷の抑制されたアミド化合物を製造する方法が開示されている。また特許文献3には、微生物触媒が添加されている水系媒体に、水系媒体を攪拌しながらアクリロニトリルを供給して、水系媒体においてアクリルアミドを製造する方法において、アクリロニトリルを水系媒体に供給するアクリロニトリル供給管の供給口を水系媒体中に配置してアクリロニトリルを供給する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1〜3の方法においても、菌体触媒を効率良く使用するには不十分であり、未だ検討の余地が残されている。
特公昭56−38118号公報 国際公開第09/113654号パンフレット WO2011/078184
微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いたニトリル化合物の水和反応においては、ニトリル化合物と菌体触媒の接触により反応が進行することより、反応液中でのニトリル化合物および菌体触媒の良好な分散が求められている。
一般にニトリル化合物の水和反応においては、反応槽での攪拌により菌体触媒を分散している。従来技術において菌体触媒は反応槽ではじめてニトリル化合物を含む反応液と混合され分散されることになり、菌体触媒の分散において不利である。菌体触媒を単独で反応槽へ供給する際には、菌体触媒の供給口付近が一時的に高濃度の菌体触媒の状態になりその後攪拌により反応液中に分散される。攪拌による分散性を向上させるためには、攪拌速度を上昇させる方法があるが、攪拌速度の上昇はせん断力による菌体触媒の損傷の原因となるために攪拌速度上昇による菌体触媒の分散性向上には限度がある。
本発明の課題は、アミド化合物を効率的に製造する方法、および当該方法において好適に用いられるアミド化合物の製造装置を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、下記工程を有するアミド化合物の製造方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において、反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に微生物菌体および/またはその菌体処理物を混合した後に反応槽へ供給することを特徴とするアミド化合物の製造方法
〔2〕ニトリル化合物がアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルであり、アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである前記〔1〕に記載の製造方法
〔3〕ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する反応槽と、水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と微生物菌体および/またはその菌体処理物との混合物を供給する供給ラインを備えるアミド化合物の製造装置
本願発明においては、微生物菌体および/またはその菌体処理物が反応槽へ供給される以前に水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と混合されることにより、反応槽内において、微生物菌体および/またはその菌体処理物が良好な分散状態になるまでの時間が短縮でき効率的にアミド化合物を製造することができる。
図1は、本発明の製造装置の一実施形態を示す模式図である。 図2は、本発明の製造装置の一実施形態を示す模式図である。 図3は、本発明の製造装置の一実施形態を示す模式図である。
以下、本発明のアミド化合物の製造方法および製造装置について説明する。
〔アミド化合物の製造方法〕
本発明のアミド化合物の製造方法は、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において、反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に微生物菌体および/またはその菌体処理物を混合した後に反応槽へ供給する工程を有する。
<ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物>
本発明では、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物(以下、これらを単に「菌体触媒」ともいう。)をニトリル化合物のニトリル基のアミド化触媒として用いる。
ニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力(以下、「ニトリルヒドラターゼ活性」ともいう。)を有する酵素(たんぱく質)をいう。
ニトリルヒドラターゼを含有する微生物としては、ニトリルヒドラターゼを産出し、かつニトリル化合物およびアミド化合物の水溶液中でニトリルヒドラターゼ活性を保持している微生物であれば特に限定されない。ニトリルヒドラターゼを産生する微生物としては、ノカルディア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドクロウス(rhodochrous)種に代表されるロドコッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属またはサーモフィラ(thermophila)種に代表されるシュードノカルディア(Pseudonocardia)属、バクテリジューム(Bacteridium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する微生物などが挙げられる。これらは一種で用いても二種以上を併用しても良い。
また、これら微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および組換えDNA技術を用いて該ニトリルヒドラターゼの構成アミノ酸の一個または二個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、アミド化合物耐性やニトリル化合物耐性、温度耐性を更に向上させた変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体なども挙げられる。尚、ここでいう任意の宿主には、後述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例として挙げられるが、とくに大腸菌に限定されるのものではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母や放線菌等の他の微生物菌株も含まれる。その様なものの例として、MT−10822(本菌株は、1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター 中央第6 独立行政法人 品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター)に受託番号FERMBP−5785として、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて寄託されている。)が挙げられる。
これら微生物の中でも、高活性、高安定性のニトリルヒドラターゼを有するという点で、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する微生物、および該微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体形質転換体が好ましい。なお、上記形質転換体は、ニトリルヒドラターゼの安定性をより高め、菌体当たりの活性がより高い点で好ましい。
また、微生物内にニトリルヒドラターゼを高発現できる、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J−1、該微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体も同様に好ましい。上記ニトリルヒドラターゼを産生する微生物の菌体は、分子生物学・生物工学・遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法により調製できる。
本発明に係る組換えベクターは、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を含有するものであり、ベクターにニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を連結することにより得ることができる。ベクターとしては、特に限定されるものではなく、例えばpET-21a(+)、pKK223-3、pUC19、pBluescriptKS(+)およびpBR322等に代表される市販の発現プラスミドに、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を組み込むことにより、該ニトリルヒドラターゼの発現プラスミドを構築することができる。また、形質転換に使用する宿主生物としては、組換えベクターが安定、かつ自己増殖可能で、さらに外来のDNAの形質が発現できるものであればよく、例えば大腸菌が好例として挙げられるが、大腸菌だけに限らず枯草菌、酵母等に導入することにより、ニトリルヒドラターゼの生産能を有する形質転換体を得ることができる。
上述のようなニトリルヒドラターゼを生産する微生物は、公知の方法により、適宜培養し増殖させ、ニトリルヒドラターゼを生産させても良い。この場合使用される培地としては炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養素を適量含有する培地であれば合成培地または天然培地のいずれも使用可能である。例えば、LB培地、M9培地等の通常の液体培地に、微生物を植菌した後、適当な培養温度(一般的には20℃〜50℃であるが、好熱菌の場合は50℃以上でもよい。)で培養させることにより調製できる。培養は前記培養成分を含有する液体培地中で振とう培養、通気攪拌培養、連続培養、流加培養などの通常の培養方法を用いて行うことができる。形質転換体の培養温度としては、15〜37 ℃が好ましい。培養条件は、特に限定されるものではなく、培養の種類、培養方法により適宜選択すれば良く、菌株が生育しニトリルヒドラターゼを生産することが出来れば良い。
本発明では上述のニトリルヒドラターゼを生産する微生物の菌体を、ニトリル化合物と反応させるために、遠心等による集菌や、破砕し菌体破砕物を作製する等、さまざまな処理を行っても良く、これらのなんらかの処理を施した菌体を菌体処理物と総称する。
破砕される微生物の菌体の形態としては、ニトリルヒドラターゼを産生する微生物の菌体を含む限り特に限定はされず、例えば、該菌体を含む培養液そのもの、その培養液を遠心分離して分離・回収された集菌体、さらにこの集菌体を生理食塩水等で洗浄したものなどが挙げられる。
上記菌体を破砕する装置としては、菌体を破砕可能であれば特に限定はされず、例えば、超音波破砕機、フレンチプレス、ビーズショッカー、ホモゲナイザー、ダイノーミル、クールミルなどの摩砕装置などが挙げられる。これらの中でも、安価にスケールアップができるという点で、ホモゲナイザーが好ましい。
菌体を破砕する時の温度は特に限定はされず、好ましくは0℃以上50℃以下、より好ましくは0℃以上25℃以下である。
また、菌体を破砕する時のpHは特に限定はされず、好ましくはpH4以上10以下、より好ましくはpH6以上8以下である。
ホモゲナイザーを用いて菌体を破砕する場合の圧力は菌体が破砕される圧力であれば特に限定はされず、好ましくは10MPa以上300MPa以下、より好ましくは30MPa以上100MPa以下である。
微生物菌体および/またはその菌体処理物の水系媒体の懸濁液として菌体触媒を用いる場合には、菌体触媒自体が水系媒体を含有するが、水系媒体を含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物の懸濁液を菌体触媒とし、別途水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に混合した後に反応槽へ供給する。
<ニトリル化合物>
ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ニトリル化合物、炭素数6〜20の芳香族ニトリル化合物が挙げられ、一種で用いても二種以上を併用しても良い。
脂肪族ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜6の飽和または不飽和ニトリルが挙げられ;具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、カプロニトリル等の脂肪族飽和モノニトリル類;マロノニトリル、サクシノニトリル、アジポニトリル等の脂肪族飽和ジニトリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル等の脂肪族不飽和ニトリルが挙げられる。
芳香族ニトリル化合物としては、例えば、ベンゾニトリル、o−,m−またはp−クロロベンゾニトリル、o−,m−またはp−フルオロベンゾニトリル、o−,m−またはp−ニトロベンゾニトリル、o−,m−またはp−トルニトリル、ベンジルシアナイドが挙げられる。
ニトリル化合物の中でも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。
<水(原料水)>
原料水は特に限定されず、蒸留水、イオン交換水などの精製水を用いることができる。
<pH調節剤>
pH調節剤は、反応混合物のpHを菌体触媒の活性を良好に保つための好適な範囲にpHを調節するために用いられる。
反応に好適なpHが7よりも小さい場合には、pH調節剤として酸を用いることができる。
pH調節剤として用いる酸としては、無機酸、有機酸のいずれも用いることができる。無機酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、沃化水素などのハロゲン化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜沃素酸、亜沃素酸、沃素酸、過沃素酸などのハロゲン化オキソ酸、硫酸、硝酸、燐酸、硼酸などが挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、蓚酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、安息香酸などのカルボン酸やメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。pH調節剤として用いる酸は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、反応槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の酸は水溶液として用いることはより好ましい。反応槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の酸も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の酸の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。
反応に好適なpHが7よりも大きい場合には、pH調節剤として塩基を用いることができる。
pH調節剤として用いる塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれも用いることができる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩、アンモニアなどが挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピリジンなどが挙げられる。pH調節剤として用いる塩基は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、反応槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の酸は水溶液として用いることはより好ましい。反応槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の塩基も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の塩基の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。
<反応槽>
反応槽としては、一つの反応器から構成される単段の反応槽を用いてもよく、複数の反応器から構成される多段の反応槽を用いてもよい。反応器としては、槽型反応器を用いても良く、管型反応器を用いても良い。槽型反応器としては、撹拌機を備える反応器が好ましい。
反応槽には水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と菌体触媒との混合物を供給する供給ラインが設置される。当該供給ラインは、一つの反応器に一つ設置されていても、複数設置されていても良い。
反応槽に備えられる水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と菌体触媒との混合物の供給ラインとしては、例えば、水系媒体として原料水を用い、原料水と菌体触媒との混合物の供給ラインや、水系媒体を含有する混合物として原料水とニトリル化合物の混合物を用い、原料水とニトリル化合物の混合物と菌体触媒の混合物の供給ラインが挙げられる。あるいは、反応槽に反応混合物の一部を反応槽に戻すためのポンプを備えた外部循環ラインを設置し、水系媒体を含有する混合物として反応槽内から取り出された反応混合物の一部を用い、反応混合物の一部と菌体触媒の混合物の供給ラインが挙げられる。
反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合の、外部循環ラインに備えられたポンプは、特に限定されるものではなく、例えば、遠心ポンプ、傾斜ポンプあるいは軸流ポンプなどのターボ式ポンプや、往復ポンプや回転ポンプなどの容積型ポンプなどが挙げられる。
反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合には、外部循環ラインに備えられたポンプを用いて、反応混合物の一部が反応槽内から取り出され、外部循環ラインを経由して反応槽へ戻される。反応槽に設置された外部循環ラインには、温度制御装置が設置されていることは好ましい。温度制御装置としては、好ましくは熱交換器が挙げられる。熱交換器としては、例えば、多管円筒式、渦巻管式、渦巻板式、プレート式、二重管式などの形態のものが挙げられる。
複数の反応器から構成される多段の反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合には、ポンプを備えた外部循環ラインは各々の反応器に全て設置されていても良く、いずれか一つの反応器にのみ設置されていても良い。複数の反応槽から構成される場合において、ポンプを備えた外部循環ラインがいずれか一つの反応器にのみ設置される場合には、一段目の反応器(最も上流に位置する反応器)に設置されることが好ましい。
一段目の槽型反応器と二段目の管型反応器とから構成される反応槽を用い、槽型反応器から取り出される反応液を管型反応器で更に反応させる形態とし、槽型反応器にポンプを備えた外部循環ラインを設置する反応槽は、転化率を向上できるのでより好ましい。
槽型反応器および管型反応器は、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性が維持される温度に保たれる限り、熱交換器を備えていてもいなくても良いが、後述する反応槽温度を制御するため、前記反応器は熱交換器を備えることが好ましい。熱交換器としては、例えば、多管円筒式、渦巻管式、渦巻板式、プレート式、二重管式などの形態のものを外部循環ライン上に設置することは好ましく、それ以外にも、ジャケット式、コイル式など反応器に直接設置する形態のものが挙げられる。反応器が管型反応器である場合は、反応器自体を多管円筒式あるいは二重管式の熱交換器で構成することが可能である。
反応方法としては、例えば、(1)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤を反応槽に一度に全量仕込んでから反応を行う方法(回分反応)、(2)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤の一部を反応槽に仕込んだ後、連続的または間欠的に残りの菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤を供給して反応を行う方法(半回分反応)、(3)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤の連続的または間欠的な供給と、反応液(菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物などを含む。)の連続的または間欠的な取り出しを行いながら、反応槽内の反応液を全量取り出すことなく連続的に反応を行う方法(連続反応)が挙げられる。これらの中でも、工業的にアミド化合物を大量かつ効率的に製造しやすい点で、連続反応が好ましい。
反応は、菌体触媒の存在下で行われる。菌体触媒の使用形態として、好ましくは懸濁床であり例えば連続反応の場合、菌体触媒の懸濁液を調製し、懸濁液を反応槽に供給すれば良い。
なお、反応槽として複数の反応器から構成される多段の反応槽を用いる場合、その構成としては、(a)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤を上段の反応器に供給し、上段の反応器から取り出された反応液(菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物などを含む。)を、下段の反応器に供給する直列式態様、(b)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤を二以上の反応器に(他の反応器を経由せずに)直接供給する並列式態様が挙げられる。
例えば、多段の反応槽を用いて連続反応を行う場合等において、菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤の供給先は、一段目の反応器(最も上流に位置する反応器)のみに限定されず、二段目以降の反応器(下流に位置する反応器)であっても良い。
反応槽内の液温である反応槽温度は、菌体触媒の耐熱性にもよるが、通常0〜50℃に設定され、好ましくは10〜40℃に設定される。反応槽温度が前記範囲にあると、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性を良好に維持できる点で好ましい。
反応槽温度とは、反応槽が一つの反応器のみから構成される場合は、当該反応器内の液温を指し;反応槽が複数の反応器から構成される場合は、各々の反応器内の液温を指す。反応槽温度は、例えば、熱電対法(例:Kタイプ)により測定することができる。反応槽温度は、反応槽内の任意の場所で測定可能であり、具体的には反応槽出口(反応液取り出し口)で測定可能である。
反応槽の容積は、特に限定するものではないが、工業的な生産を考慮すると、通常0.1m3以上、好ましくは1〜100m3、より好ましくは5〜50m3である。反応槽が複数の反応器から構成される場合、前記容積は各々の反応器の容積を指す。
反応は、一般的には常圧下で行われるが、ニトリル化合物の溶解度を高めるために加圧下で行うこともできる。反応槽内のpHは、菌体触媒の活性を良好に保つための好適な範囲であれば特に限定されないが、好ましくはpH5〜pH10の範囲にある。pHが前記範囲にあると、ニトリルヒドラターゼ活性を良好に維持できる点で好ましい。
反応槽のpHとは、反応槽が一つの反応器のみから構成される場合は、当該反応器内のpHを指し;反応槽が複数の反応器から構成される場合は、各々の反応器内のpHを指す。反応槽のpHは、例えば、指示薬法、水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法、ガラス電極法により測定することができる。反応槽のpHは、反応槽内の任意の場所で測定可能であり、具体的には反応槽出口(反応液取り出し口)で測定可能である。
<反応原料の供給>
反応槽へ供給される原料水は、単独で反応槽へ供給されても良く、ニトリル化合物と混合した後に反応槽へと供給されても良い。原料水を単独で反応槽へ供給する場合、原料水供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法は、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができる。原料水を反応槽へ供給する方法としては、液体輸送機能を有する機器を使用することができ、例えば、遠心ポンプ、傾斜ポンプあるいは軸流ポンプなどのターボ式ポンプや、往復ポンプや回転ポンプなどの容積型ポンプなどのポンプ類、スクリューコンベアなどのコンベア類を用いることができる。原料水を反応槽へ供給する方法として、上記の液体輸送機能を有する機器を使用しないで供給することもできる。液体輸送機能を有する機器を使用しない場合には、例えば、原料水を貯蔵する原料水貯槽を反応槽の上部へ設置し、原料水貯槽と反応槽を原料水供給管により接続し、重力を用いた落下により供給する方法が挙げられる。あるいは、原料水貯槽を加圧することにより生じる原料水貯槽と反応槽との圧力差を用いて供給する方法が挙げられる。
原料水を反応槽へ供給する原料水供給管は、一つの反応槽につき一つであってもよく、複数あっても良い。原料水供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
原料水とニトリル化合物を混合した後に反応槽へ供給する場合の原料水と二トリル化合物を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、攪拌槽を用いて攪拌混合する方法、原料水とニトリル化合物を配管中で混合する方法などが挙げられる。攪拌混合槽を用いる場合には、混合槽の形状は特に限定されるものではないが、一般的に円筒形の混合槽が用いられ、縦型円筒形、横型円筒形、いずれの場合も用いることができる。混合槽には邪魔板を供えていても良く、邪魔板を供えていなくても良い。
攪拌混合槽を用いる場合の、攪拌翼は任意の形状のものを選択でき、例えば、プロペラ翼、フラットパドル翼、ピッチドパドル翼、フラットタービン翼、ピッチドタービン翼、リボン翼、アンカー翼、フルゾーン翼などが挙げられる。攪拌翼は、1枚であっても良く、複数枚備えていても良い。
原料水とニトリル化合物を配管中で混合させるには、原料水供給管とニトリル化合物供給管を結合することにより原料水とニトリル化合物を直接混合させることができ、さらには配管中にスタティックミキサーなどのラインミキサーを設置することにより積極的に混合する方法などが挙げられる。
原料水とニトリル化合物を混合した後に反応槽へ供給する場合に、ニトリル化合物は水との混合後、完全に水に溶解していても良いが、必ずしも水に完全に溶解している必要はなく、任意の比率で混合させれば良い。好ましくは水:ニトリル化合物の比率が、体積比で100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは10:1〜1:10である。
原料水とニトリル化合物を混合した後に反応槽へ供給する場合の、原料水とニトリル化合物の混合物の供給方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
原料水とニトリル化合物を混合した後に反応槽へ供給する場合の、原料水とニトリル化合物の混合物を反応槽へ供給する供給管は、一つの反応槽につき一つであってもよく、複数あっても良い。供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
反応槽へ供給されるニトリル化合物は、原料水と混合した後に反応槽へと供給されても良く、単独で反応槽へ供給されてもよい。ニトリル化合物を単独で反応槽へ供給する場合、ニトリル化合物供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置してもよい。
ニトリル化合物を単独で反応槽へ供給する場合のニトリル化合物の供給方法は、特に限定するもではなく、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を反応槽へ供給する方法で例示した方法を用いることができる。
ニトリル化合物を反応槽へ供給するニトリル化合物供給管は、ひとつの反応槽につき一本であってもよく、複数本であってもよい。ニトリル化合物供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであってもよく、複数あっても良い。
ニトリル化合物供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
<pH調節剤の供給>
反応槽へ供給されるpH調節剤は、単独で反応槽へ供給されても良く、反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に混合された後に反応槽へ供給されても良い。pH調節剤を単独で反応槽へ供給する場合、pH調節剤の供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
pH調節剤を単独で反応槽へ供給する場合のpH調節剤の供給方法は、特に限定するもではなく、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を反応槽へ供給する方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤を反応槽へ供給するpH調節剤の供給管は、ひとつの反応槽につき一本であってもよく、複数本であってもよい。pH調節剤の供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであってもよく、複数あっても良い。
pH調節剤の供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
pH調節剤と水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物を混合した後に反応槽へ供給する場合のpH調節剤が混合される水系媒体とは、好ましくは原料水である。pH調節剤が混合される水系媒体を含有する混合物とは、例えば、原料水とニトリル化合物の混合物や菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物などを含む反応液が挙げられる。
pH調節剤が原料水と混合された後に反応槽へ供給される場合の、pH調節剤と原料水を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と二トリル化合物を混合する方法で例示した方法を用いることができる。
反応槽へ供給されるpH調節剤と水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物は任意の比率で混合されれば良く、好ましくは、pH調節剤:水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物の比率が、体積比で1:1〜1:100,000,000、より好ましくは、1:10〜1:10,000,000である。
pH調節剤が原料水と混合された後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と原料水の混合物を供給する方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤が原料水とニトリル化合物と混合された後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と原料水とニトリル化合物の混合物を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と二トリル化合物を混合する方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤と菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物などを含む反応液と混合する方法としては、例えば以下の方法を用いることができる。反応槽に反応混合物の一部を反応槽に戻すためのポンプを備えた外部循環ラインを設置し、当該外部循環ラインとpH調節剤供給管を結合させることにより、水系媒体を含有する混合物として反応槽内から取り出された反応混合物の一部を用い、反応混合物の一部とpH調節剤を外部循環ライン中で直接混合する方法などが挙げられる。外部循環ラインにて直接混合された反応混合物の一部とpH調節剤は、そのまま外部循環ラインを用いて反応槽へ供給される。
<菌体触媒の供給>
菌体触媒は反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に混合された後に反応槽へ供給される。菌体触媒が混合される水系媒体とは、好ましくは原料水である。菌体触媒が混合される水系媒体を含有する混合物とは、例えば、原料水とニトリル化合物の混合物や菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物などを含む反応液が挙げられる。菌体触媒を反応槽へ供給する際には、攪拌による菌体触媒の分散に加えて、その供給流量を用いた反応槽内での分散効果が期待できるが、菌体触媒を単独で反応槽へ供給する場合には、菌体触媒の流量には限度があるため、その流量を用いた分散性の大きくは向上しない。菌体触媒を反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に混合することにより、その供給流量を大きくすることが可能であり、菌体触媒の反応液への分散性が向上する。
菌体触媒が原料水と混合された後に反応槽へ供給される場合の、菌体触媒と原料水を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と二トリル化合物を混合する方法で例示した方法を用いることができる。
反応槽へ供給される菌体触媒と原料水は任意の比率で混合されれば良く、好ましくは、菌体触媒:原料水の比率が、体積比で1:1〜1:10,000、より好ましくは、1:10〜1:1,000である。
菌体触媒が原料水と混合された後に反応槽へ供給する場合の、菌体触媒と原料水の混合物を供給する方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
菌体触媒が原料水とニトリル化合物の混合物と混合された後に反応槽へ供給する場合の、菌体触媒と原料水とニトリル化合物の混合物を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と二トリル化合物を混合する方法で例示した方法を用いることができる。
反応槽へ供給される菌体触媒と原料水とニトリル化合物の混合物は任意の比率で混合されれば良く、好ましくは、菌体触媒:原料水とニトリル化合物の混合物の比率が、体積比で1:1〜1:10,000、より好ましくは、1:10〜1:1,000である。
菌体触媒が原料水とニトリル化合物の混合物と混合された後に反応槽へ供給する場合の、菌体触媒と原料水とニトリル化合物の混合物を供給する方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
菌体触媒と菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物などを含む反応液と混合する方法としては、例えば以下の方法を用いることができる。反応槽に反応混合物の一部を反応槽に戻すためのポンプを備えた外部循環ラインを設置し、当該外部循環ラインと菌体触媒供給管を結合させることにより、水系媒体を含有する混合物として反応槽内から取り出された反応混合物の一部を用い、反応混合物の一部と菌体触媒を外部循環ライン中で直接混合する方法などが挙げられる。外部循環ラインにて直接混合された反応混合物の一部と菌体触媒は、そのまま外部循環ラインを用いて反応槽へ供給される。外部循環ラインを用いて菌体触媒を反応槽へ供給する方法は、菌体触媒の反応槽への供給流量をさらに大きくすることができ、菌体触媒の反応液への分散性のさらなる向上が可能である。
反応槽へ供給される菌体触媒と菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物などを含む反応液は任意の比率で混合されれば良く、好ましくは、菌体触媒:菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物などを含む反応液の比率が、体積比で1:1〜1:10,000,000、より好ましくは、1:10〜1:1,000,000である。
菌体触媒の使用量は、反応条件や触媒の種類およびその形態により変化するが、上記微生物の乾燥菌体重量換算で、反応液に対して、通常10〜50,000重量ppm、好ましくは50〜30,000重量ppmである。
反応時間(反応液の滞留時間)は、通常0.5〜50時間、好ましくは2〜25時間である。多段の反応槽を用いる場合、反応時間とは、全反応器における合計の反応時間(反応液の滞留時間)を指す。
本発明のアミド化合物の製造方法において、得られたアミド化合物の回収および精製は、例えば、濃縮操作(例:蒸発濃縮)、活性炭処理、イオン交換処理、濾過処理、晶析操作により行うことができる。
以上のようにして、反応原料であるニトリル化合物に対応するアミド化合物、例えば(メタ)アクリロニトリルであれば(メタ)アクリルアミドを得ることができる。
〔アミド化合物の製造装置〕
本発明のアミド化合物の製造装置は、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いて、ニトリル化合物の水和反応によりアミド化合物を製造する反応槽と、水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と菌体触媒との混合物を供給する供給ラインを備える。
反応槽の構成については、上述した通りである。
以下、本発明のアミド化合物の製造装置の具体例を、図面を参照して説明する。
図1の製造装置は、攪拌機7を備える反応槽1と、原料水と菌体触媒の混合物の供給管6を通して反応槽1に接続された原料水供給管2と菌体触媒供給管3と、ニトリル化合物供給管4とpH調節剤供給管5とを備える。
図2の製造装置は、攪拌機7を備える反応槽1と、原料水とニトリル化合物と菌体触媒の混合物の供給管6を通して反応槽1に接続された原料水供給管2と菌体触媒供給管3とニトリル化合物供給管4と、pH調節剤供給管5とを備える。
図3の製造装置は、攪拌機7を備える反応槽1と、反応混合物と菌体触媒の混合物の供給管6を通して反応槽1に接続された反応槽に設置された外部循環ライン8と菌体触媒供給管3と、原料水供給管2とニトリル化合物供給管4とpH調節剤供給管5とを備える。外部循環ライン上には循環ポンプ9と、熱交換器10を備える。
次に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
[実施例1]
〔ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体の調製〕
特開2001−340091号公報の実施例1に記載の方法に従いNo.3クローン菌体を取得し、同じく、同実施例1の方法で培養してニトロリルヒドラターゼを含有する湿菌体を得た。
〔アクリルアミドの製造〕
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、図1に示す製造装置(ただし、反応装置としては第1反応器のみを図示している。)を用いて、以下の条件で反応を行った。
第1反応器として攪拌機を備えた、槽内径1m、直胴部長さ1.36mのSUS製ジャケット式熱交換器付槽型反応器(容積:1m)、第2反応器として容積0.5mのSUS製二重管型反応器を準備した。原料水の供給管と菌体触媒の供給管は途中で接続した合流配管になっており、原料水と菌体触媒は合流配管中で混合され、第1反応器には混合物として供給される。アクリロニトリルの供給管およびpH調節剤の供給管それぞれ第1反応器へ直接接続している。
第1反応器には、予め400kgの水を仕込んだ。上記培養方法で得られた湿菌体を純水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を11kg/hの速度で連続的に供給した。また、純度99.8%のアクリロニトリルを32kg/hの速度でアクリロニトリル供給管を介し、単独で第1反応器へ連続的に供給した。純水を37kg/hの速度で純水供給管を介し連続的に供給し、純水供給管及び菌体触媒の供給管はそれぞれ第1反応器へ接続する以前に互いに接続した後に第1反応器へと接続した。反応中の反応液の温度は20℃となるように、第1反応器の外部循環ライン上に設置した熱交換器及び第2反応器の二重管に5℃の冷却水を流通して温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応pHが7.5〜8.5となるように供給量を調節した。反応pHは第1反応器出口においてガラス電極法を用いて測定した。
反応中の反応液の液面を槽底面から1mの高さとなるように、反応液を第1反応器から80kg/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から200時間後に以下のHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.1重量%であった。
ここで分析条件は以下のとおりであった。
・アクリルアミド分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長250nm、カラム温度40℃)
分離カラム :SCR-101H (株式会社島津製作所製)
溶離液 :0.05%(容積基準)−リン酸水溶液
・アクリロニトリル分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長200nm、カラム温度40℃)
分離カラム :Wakosil-II 5C18HG (和光純薬製)
溶離液 :7%(容積基準)−アセトニトリル、0.1mM−酢酸、
0.2mM−酢酸ナトリウムを各濃度で含有する水溶液
[実施例2]
実施例1のアクリルアミドの製造において、アクリロニトリルの供給管を第1反応器へ直接接続する代わりに、アクリロニトリル供給管と純水供給管と接続し、さらにその下流部分の第1反応器へ接続する以前に菌体触媒供給管を接続し、アクリロニトリルと純水の混合物に加えて菌体触媒の混合物として第1反応器へ供給したこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。反応開始から200時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.2重量%であった。
[実施例3]
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、図3に示す製造装置(ただし、反応装置としては第1反応器のみを図示している。)を用いて、以下の条件で反応を行った。
第1反応器として攪拌機を備えた、槽内径1m、直胴部長さ1.36mのSUS製槽型反応器(容積:1m)、第2反応器として容積0.5mのSUS製二重管型反応器を準備した。第1反応器にはポンプを備えた外部循環ラインが設置され、外部循環ライン上に渦巻板式熱交換器を設置した。反応器内の反応混合物の一部は外部循環ラインに備えられたポンプにより抜き出され、循環ラインを経由して第1反応器へ戻される。外部循環ラインはライン上に設置されたポンプの下流側で分岐され、分岐したラインは第2反応器へ接続し、循環流の一部が第2反応器へと供給される。
菌体触媒の供給管は外部循環ラインの第2反応器への分岐ラインの下流側で外部循環ラインへ接続している。純水の供給管、アクリロニトリルの供給管及びpH調節剤の供給管はそれぞれ第1反応器へ直接接続している。
第1反応器には、予め400kgの水を仕込んだ。上記培養方法で得られた湿菌体を純水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を11kg/hの速度で連続的に供給した。また、純度99.8%のアクリロニトリルを32kg/hの速度でアクリロニトリル供給管を介し連続的に供給、純水を37kg/hの速度で純水供給管を介し連続的に供給した。反応中の反応液の温度は20℃となるように、第1反応器の外部循環ライン上に設置した熱交換器及び第2反応器の二重管に5℃の冷却水を流通して温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応pHが7.5〜8.5となるように供給量を調節した。反応液を外部循環ライン上に設置したポンプを用いて5m3/hの速度で第1反応器より抜き出し、外部循環ラインを経由して第1反応器へ戻した。外部循環ラインから分岐された第2反応器へ接続されるラインを用いて、反応液の液面を槽底面から1mの高さとなるように、反応液を第1反応器から80kg/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から200時間後に以下のHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.3重量%であった。
[比較例1]
実施例1のアクリロニトリルの製造において、菌体触媒の供給管を第1反応器へ直接接続し、菌体触媒を第1反応器へ直接供給した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。反応開始から200時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が92%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が80重量ppmとなった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.0重量%であった。
[比較例2]
実施例3のアクリロニトリルの製造において、菌体触媒の供給管を第1反応器へ直接接続し、菌体触媒を第1反応器へ直接供給した以外は、実施例3と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。反応開始から200時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が93%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が50重量ppmとなった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.1重量%であった。
1:反応槽
2:原料水供給管
3:菌体触媒供給管
4:ニトリル化合物供給管
5:pH調節剤供給管
6:水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と菌体触媒との混合物の供給管
7:攪拌機
8:外部循環ライン
9:循環ポンプ
10:熱交換器
11:冷却水入口
12:冷却水出口

Claims (3)

  1. ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において、反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に微生物菌体および/またはその菌体処理物を混合した後に反応槽へ供給することを特徴とするアミド化合物の製造方法
  2. ニトリル化合物がアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルであり、アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである請求項1に記載の製造方法
  3. ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する反応槽と、水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と微生物菌体および/またはその菌体処理物との混合物を供給する供給ラインを備えるアミド化合物の製造装置
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