JP2015048039A - 表皮材引き込み構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】パッド材の溝を横断するように配線部材を配置しても溝に表皮材を引き込む手段によって配線が干渉されにくくし、配線の断線を起きにくくすること。【解決手段】乗り物のシートに設けられるパッド材(10)の表面が表皮材(30)で覆われている。表皮材(30)を引き込むための溝(12)がパッド材(10)の表面に形成され、溝(12)内を線状部材(50)が走っており、線状部材(50)が表皮材(30)から溝(12)内へ延びる引き込み部材(40)に保持され溝(12)の底に係留されている。表皮材(30)とパッド材(10)の間に設けられるヒータ等の電気配線部材(24)が線状部材(50)とパッド材(10)との間を通って溝(12)を渡るように配されている。線状部材(50)は係留されている箇所よりも配線部材(24)が渡る区間で溝(12)の浅い位置を通っている。【選択図】図3
Description
本発明は、自動車等の乗り物に用いられるシートのパッド材において、パッド材を覆う表皮材を引き込むための溝を備えた構造に関する。
自動車用シートの座面や背凭れ面に設けられるパッド材の表面は一般的に平坦ではなく種々の形状が設けられる。特にパッド材の表面の向きが切り替わる部分にはその境目に沿って溝と呼ばれる凹部を形成し、表皮材をこの溝内に引き込む手段を設けることで表皮材をパッド材にしっかりと沿わせるとともに、表皮材に張りを持たせることが従来行われている。溝の底を形成するパッド材と表皮材の裏側とにそれぞれワイヤを設け、このワイヤ同士を何箇所かでリングで束ねることによって表皮材の引き込みを実現する方法が一般的である。
また、パッドと表皮との間には、座面や背凭れ面を暖めるためのヒータや、乗員の着座を検知するためのセンサ等、面状に広がる形態の電気的部品を挟むことがある。パッドの表面が溝でいくつかの区画に分断されている場合、ヒータやセンサは必要に応じて複数の区画にわたって設けられる。しかし溝にはワイヤが走っておりヒータやセンサを被せることができないため、パッドの各区画にそれぞれ対応する大きさのヒータやセンサを設け、溝を横切る配線で接続するといった処理が必要となる。
下記の特許文献1に記載されているシート用のパッドはシート幅方向に延びる2本の横溝が左右の縦溝につながっており、パッドの表面が前後方向に並ぶ3つの区画に完全に分断されている。そして、横溝のうちヒータの配線材が横断する部分をパッドの裏側まで貫通させており、配線材をこの貫通穴の奥深くまで垂らし込ませることで表皮材側のワイヤと干渉しないようにしつつ、大きな曲率を確保している。また、表皮材の引き込みのためのパッド側のワイヤを配線材が横断する区間で溝の脇に迂回させることで、ワイヤと配線材とが干渉するのを避けている。しかし、配線材を溝や穴の深くまで潜らせる作業には時間が掛かる。また配線材の冗長な部分が長いとそれだけ材料費が掛かる。
特許文献2にはヒータとセンサとを備える面状体が記載されている。この面状体は前後のパッド区画にそれぞれ配置される矩形部を幅の狭い左右の架橋部でつないで構成している。これはワイヤが横溝の全長にわたって設けられておらず横溝にワイヤが通っていない部分があるようなパッドに用いられる。左右の架橋部をワイヤが通っていない部分に配置することで、ヒータやセンサの配線がワイヤと干渉しないようにすることができる。しかし、ワイヤが通ってない部分では表皮材に張りを与えることができずシートの見栄えが悪くなる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、パッド材の溝を横断するように配線部材を配置しても溝に表皮材を引き込む手段によって配線が干渉されにくくし、導電体の断線を起きにくくすることにある。
上記の課題を解決するために本発明では以下のような手段をとる。本発明のひとつの観点から得られる表皮材引き込み構造は、乗り物のシートのシートクッションまたはシートバックにクッション性のあるパッド材が設けられ、このパッド材の表面がシート状の表皮材で覆われている。表皮材を引き込むための溝がパッド材の表面に形成され、溝内を線状部材が走っており、表皮材から溝内へ延びる引き込み部材に線状部材が保持され、線状部材が少なくとも2箇所で溝の底に係留されている。表皮材とパッド材の間に設けられる電気器具のための配線部材が線状部材とパッド材との間を通って溝を渡るように配されている。線状部材が係留された箇所よりも配線部材が渡る区間で線状部材が溝の浅い位置を通っている。
ひとつの態様として、線状部材が係留された箇所と配線部材が渡る区間とで溝の形状を同じにすることで、配線部材の有無に関わらず同一形態のパッド材を利用できるようにしても良い。
また、ひとつの態様として、配線部材が渡る区間で通路が狭まっている筒状の布で前記の引き込み部材を構成し、この布の通路に前記の線状部材を通すことで引き込み部材に保持させても良い。線状部材は弾性をもって反ったり撓んだりできるような材料で形成することで、溝の底に係留させたときに配線部材が渡る区間でも復元力によって引き込み部材に張力を及ぼすことができるようにしても良い。
また、ひとつの態様として、途中に幅が狭い部分のある帯状の布を幅の中央で折り返し、重なった縁同士を縫い合わせて筒状にすることで通路の途中に狭まった部分を形成しても良い。筒状の布の縫い目側の端を表皮材に縫い付けて折り目側の端を直線状に延ばすことで、通路が狭まっている区間でパッド材側の端が溝の底から離れる方向に引き寄せられる。
別の態様として、帯状の布を幅の中央で折り返し、幅の縁同士を縫い合わせて筒状にすることでほぼ一定の広さの通路を形成し、さらに折り目側の縁に縫い目を入れることで通路の途中に狭まった部分を形成しても良い。
また、ひとつの態様として、パッド材の溝の底にベースワイヤを固定し、線状部材をこのベースワイヤに係留させ、線状部材を係留する箇所よりも配線部材が渡る区間でベースワイヤをパッド材の内部寄りを通るようにしても良い。例えば、単純にベースワイヤを湾曲させて、線状部材を係留する箇所ではベースワイヤが溝の中に露出し、配線部材が渡る区間ではベースワイヤがパッド材の内部に埋もれるようにすると良い。
別の態様として、途中で幅が狭まっている帯状の布で前記の引き込み部材を構成し、この布の幅の一方の縁に沿って前記の線状部材を固定することで、配線部材が渡る区間で線状部材が反って溝の浅いところを通るようにしても良い。線状部材は樹脂で形成して布に一体成形しても良い。さらに、帯状の布の表皮材側の端を表皮材に縫い付けて表皮材側の端を直線状に延ばすことで、通路が狭まった区間でパッド材側の端が溝の底から離れる方向に引き寄せられるようにしても良い。
線状部材が溝の底に係留されていても、配線部材が渡る区間では線状部材が溝の浅い位置を走っているため、配線部材が線状部材によって干渉されにくくなり、断線が起きにくくなる。また、配線部材が渡る区間であるかに関係なく溝の全長にわたり表皮材を均一に引き込むことができ、配線部材が渡る区間でも表皮材にしわができず、表皮材の見栄えが良くなる。
以下に本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお複数の実施例において実質的に等価な機能を発揮する部分には同一の符号を付すこととし詳細な説明は繰り返さない。
パッド材はシートのフレーム(図示せず)に取り付けられて、乗員を受けるシートクッションの座面やシートバックの背凭れ面を形成するものである。シートは自動車や鉄道車両等の乗り物に設けるのが好ましい。図1には例として自動車のシートのシートクッションに設けられるパッド材10を示す。パッド材10はポリウレタンフォーム等、一般的に用いられるクッション性のある素材で形成される。図3に示すように、パッド材10の表面は意匠や触感を提供するための表皮材30で覆われる。
パッド材10の上面には表皮材30を引き込むための溝12が形成される。ひとつの実施例として、図1に示すようにシートの奥行き方向に延びる左右の縦溝と、これらを繋ぐようにシート幅方向に延びる横溝とを設けることができる。このようにパッド材10の表面は溝12でいくつかの区画に区切られた形態となる。
図3に示すように溝12内には溝の方向に沿って線状部材50を設ける。線状部材50は例えば簡素な金属のワイヤや樹脂の棒で構成することができる。この線状部材50は表皮材30から溝12内へ延びるように設けた引き込み部材40に何らかの手段によって保持させる。ひとつの実施例として、図3に示すように筒状にした綿布等の布を用い、筒内の通路110が溝12の方向と並行する向きに配して上端を表皮材30に縫い付け、この通路110に線状部材50を通すことで引き込み部材40に保持されるようにすることができる。
線状部材50は少なくとも2箇所で溝12の底に係留される。引き込み部材40の寸法を適切に設定すれば、線状部材50を係留することで引き込み部材40に張力を与え、表皮材30を引き込むことができる。線状部材を係留する手段としては公知の種々の方法を用いることができるが、ひとつの実施例として、図3に示すようにパッド材10の溝12の底にベースワイヤ60を固定し、線状部材をこのベースワイヤ60にリング70で係留させることができる。なお図3はC字状のリング70を閉じる前の状態を示している。ベースワイヤ60はパッド材10との一体成形により部分的にパッド材10に埋め込まれた状態にすることでパッド材10に固定することができる。図3と図4に示すように、線状部材を係留する箇所では溝12の底をさらに抉って浅い穴16を設け、ベースワイヤ60を露出させやすくすることもできる。
図4と図5に示すように、表皮材30とパッド材10の間には面状に広がる電気器具20が挟まれる。面状の電気器具には、座った乗員のためにシートを暖めるヒータや、乗員がシートに座ったことを検知するセンサなどが含まれる。このような電気器具は例えば図1に鎖線で示す範囲に配置される。ヒータやセンサの主要な部分22は溝12で区切られたパッド材10の表面の区画ごとに配置されるが、それらの部分22が複数の区画に配置され、溝12を渡る配線部材24によって接続される。一本の溝には2つ以上の配線部材を渡しても良いが、それぞれの配線部材24の両側で線状部材を係留するのが望ましい。
配線部材24は導電体を含むものであり、ヒータの発熱部材として機能するものであっても良いが、単に回路を構成するための被覆導線等の電気配線自体でも良い。ひとつの実施例として、図2に示すように導線26を基材に固定したものでも良い。基材として例えば不織布を用い、これに導線26を縫製28等によって固定し、全体として帯状の形態の配線部材24とすることができる。また、導線26は基材が曲がったときにストレスが掛からないように基材に波状に固定すると良い。
図3に示すように、電気器具の配線部材24は線状部材50とパッド材10との間を通るように配される。配線部材24は線状部材よりも溝12の深い位置を通ることとなるため、配線部材24が溝を渡る区間では線状部材を溝の底に係留することができないが線状部材と引き込み部材40を介して表皮材30に張りを与えることはできる。
図4と図5に示すように、線状部材50は溝12の底に係留された箇所よりも配線部材24が渡る区間で溝内の浅い位置を走っている。線状部材が溝12の底に係留されていても、配線部材24が渡る区間で線状部材が溝12の浅い位置を走っていれば、配線部材24が線状部材によって干渉されにくくなり、断線が起きにくくなる。また、溝12を渡る配線部材24に影響されることなく、溝12の全長にわたり表皮材30をほぼ均一に引き込むことができ、表皮材30の見栄えが良くなる。このような構造とするため、線状部材50はあらかじめ湾曲した形状に成形しても良いが、弾性を有する直線状の部材を何らかの手段により撓ませても良い。
ひとつの手段として、図3に示すように、配線部材24が渡る区間で通路110が狭まっている筒状の布で引き込み部材40を構成することができる。通路がくびれている(狭まった)部分では線状部材50が溝12の底に向かって引っ張られても溝の深い位置まで来ることができず比較的浅い位置にとどまる。線状部材50は弾性をもって反ったり撓んだりできるような材料と形態で形成することで、線状部材50を係留できない区間でも線状部材が復元しようとする力によって引き込み部材40に張力を及ぼすことができるようにしても良い。線状部材50としては例えば自然状態で直線状となるように成形した金属のワイヤを用いると良い。なお、線状部材をリング70で係留する場合は図9に示すように布の一部に孔をあけておくことができる。
ひとつの実施例として、図6から図8に示すように、途中に幅が狭い部分のある帯状の布100を幅の中央で折り返し、重なった端104同士を縫い合わせて筒状にすることで、通路110の途中に狭まった部分112を形成することができる。筒状になった布は図7に示すように縫い目108側の端104が凹み、折り目側の端106が直線状となるが、凹んだ側の端204を表皮材に縫い付けると良い(縫い目42)。凹んでいた縫い目108側の端104は表皮材の張りによって図8に示すように直線状に延ばされ、逆に直線状だった折り目側の端106は溝12の底から離れる方向に引き寄せられて凹み、線状部材は通路110の中で反って溝12の浅いところを通るようになる。弧状に曲がった縁を平坦な表皮材に縫い付けることとなるため、繊維がまばらでしなやかな綿布を用いると良い。
ひとつの実施例として、図3に示すように、線状部材50の一端または両端に鉤状の部分52を設け、筒状にした布の両端に引っ掛けることができるようにし、通路110内で線状部材がずれにくいようにしてもよい。特に鉤状の部分52が他の部分よりも太くなっている場合、組み付け時に一旦線状部材50を通路110の狭まった部分112に通してしまった後は、鉤状の部分が引っ掛かって引き込み部材40から抜け落ちにくくなる。
図3に示すように、線状部材50を係留する箇所よりも配線部材24が渡る区間でベースワイヤをパッド材10の内部寄りを通るようにしても良い。例えばあらかじめ湾曲させたベースワイヤ60を用いて、線状部材50を係留する箇所ではベースワイヤが溝12の中に露出し、配線部材が渡る区間ではベースワイヤがパッド材10の内部に埋もれるようにすると良い。これにより配線部材の渡る区間でベースワイヤが線状部材から離れるため、配線部材がベースワイヤと干渉しにくく、断線をさらに起きにくくすることができる。
配線部材24が渡る区間では線状部材50が浅い位置を通っており邪魔にならないため、溝12の底をさらに抉るなどして配線部材24を迂回させるための穴を設ける必要はない。ひとつの実施例として、図4と図5に示すように、配線部材24が渡る区間での溝12aの深さを線状部材50が係留された箇所での溝12bの深さと実質的に(ベースワイヤ60を露出させるための浅い穴16を除いて)同じにすることで、ヒータやセンサを設ける仕様のシートかどうか関わらず共通の形態のパッド材10を利用することができる。
図6に示すようなあらかじめ幅の狭まった部分のある布を用いなくとも、通路が狭い部分を作ることができる。図10と図11に示すように、幅がほぼ一定の帯状の布を幅の中央で折り返し、幅の両端104同士を(縫い目108で)縫い合わせて筒状にすることでほぼ一定の広さの通路110を形成し、さらに折り目側の端に弧状の縫い目114を入れることで通路の途中に狭まった部分112を形成しても良い。これにより縫い目114の有無を変えるだけで溝12に配線部材24を渡す仕様と渡さない仕様の両方のシートに対応できるようになる。
また、図8や図10に示すような筒状にした布を用いなくても引き込み部材40を構成することができる。別の実施例として、図13に示すように途中で幅が狭まった部分202のある帯状の布200で引き込み部材40を構成し、この布の幅の一方の端206に沿って線状部材50を固定することで、配線部材24が渡る区間で線状部材が溝12の浅いところを通るようにすることができる。線状部材50は樹脂の棒として布200の端に一体成形しても良い。
特に、幅の一方の端204が凹んでおり他方の端206が直線状であるような布200と、自然状態で直線状となるように成形した樹脂の棒を用い、直線状の端206に樹脂の棒を一体成形し、凹んだ端204を表皮材に縫い付けると良い。凹んでいた端204は表皮材の張りによって図13に示すように直線状に延ばされ、直線状だった端206は溝12の底から離れる方向に引き寄せられて凹み、線状部材50は反って溝の浅いところを通るようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではなく、その他各種の置換、改良、変更を加えた形態で実施できるものである。
10 パッド材
12 溝
20 ヒータ等の電気器具
24 配線部材
30 表皮材
40 引き込み部材
42 縫い目
50 線状部材
60 ベースワイヤ
70 リング
100 布
110 通路
112 狭まった部分
114 弧状の縫い目
12 溝
20 ヒータ等の電気器具
24 配線部材
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60 ベースワイヤ
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100 布
110 通路
112 狭まった部分
114 弧状の縫い目
Claims (4)
- 乗り物のシートのシートクッションまたはシートバックにクッション性のあるパッド材が設けられ、このパッド材の表面がシート状の表皮材で覆われており、
表皮材を引き込むための溝がパッド材の表面に形成され、溝内を線状部材が走っており、表皮材から溝内へ延びる引き込み部材に線状部材が保持され、線状部材が少なくとも2箇所で溝の底に係留されており、
表皮材とパッド材の間に設けられる電気器具のための配線部材が線状部材とパッド材との間を通って溝を渡るように配されており、
線状部材が係留された箇所よりも配線部材が渡る区間で線状部材が溝の浅い位置を通っている表皮材引き込み構造。 - 請求項1に記載の表皮材引き込み構造であって、配線部材が渡る区間で通路が狭まっている筒状の布で前記の引き込み部材が構成され、前記の線状部材がこの布の通路に通されることで引き込み部材に保持されている構造。
- 請求項2に記載の表皮材引き込み構造であって、途中に幅が狭い部分のある帯状の布を幅の中央で折り返し、重なった縁同士を縫い合わせて筒状にすることで通路の途中に狭まった部分が形成されている構造。
- 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の表皮材引き込み構造であって、配線部材が渡る区間での溝の深さが線状部材が係留された箇所での溝の深さと同じである構造。
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