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JP2014232569A - リチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法 Download PDF

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JP2014232569A JP2013111468A JP2013111468A JP2014232569A JP 2014232569 A JP2014232569 A JP 2014232569A JP 2013111468 A JP2013111468 A JP 2013111468A JP 2013111468 A JP2013111468 A JP 2013111468A JP 2014232569 A JP2014232569 A JP 2014232569A
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Takeshi Yuki
健 結城
知浩 永金
Tomohiro Nagakane
知浩 永金
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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池用正極活物質として用いた際に高い放電容量、及び高い電極電位を示し、かつ、安価なピロリン酸バナジウムリチウム正極活物質およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、Li、V、PおよびOを含有し、主結晶として一般式LixV1−yAyP2O7(0<x≰2.5、0≰y<1、AはNb、Mg、Al、Ti、Zr、Fe、Sc、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)で表されるピロリン酸バナジウムリチウム系結晶を析出した結晶化ガラスを含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、携帯電子機器や電気自動車等に用いられるリチウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電子端末や電気自動車に不可欠な、高容量で軽量な電源としての地位を確立している。リチウムイオン二次電池の正極活物質には、従来コバルト酸リチウム(LiCoO)やスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)などの無機金属酸化物が用いられてきた。
しかしながら、コバルト酸リチウムは、コバルトの埋蔵量が少なく高価なこと、及び安全性の面で問題が指摘されている。また、マンガン酸リチウムは、高温でのマンガン溶出や、3価のマンガンイオンのヤーン・テラー効果に伴う結晶構造の歪みによるサイクル劣化が課題とされている。
近年、コスト及び資源等の面で有利であり、かつ、安全性が高いことから、リン酸鉄リチウム(LiFePO)が着目され各機関で研究開発が進んでいる。
しかし、リン酸鉄リチウムは、電極電位が3.4V(vs. Li/Li)と低いため、Feの代わりにVを用いたピロリン酸塩系のピロリン酸バナジウムリチウム(LiVP)が注目(特許文献1,2)されている。なお、LiVPは、4.1V(vs. Li/Li)という高い電極電位を有する。
特開2002−246025号公報 特開2013−95613号公報
従来の製造方法(固相反応法)で作製したLiVPを正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池は、LiVP結晶の均質性が低く、不純物も含まれやすいため、放電容量や電極電位が低いといった問題があった。また、従来の製造方法においては、製造コストが高い、液体原料等の高価な原料に限られる、等の問題があった。
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池用正極活物質として用いた際に高い放電容量、及び高い電極電位を示し、かつ、安価なピロリン酸バナジウムリチウム正極活物質およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、Li、V、PおよびOを含有し、主結晶として一般式Li1−y (0<x≦2.5、0≦y<1、AはNb、Mg、Al、Ti、Zr、Fe、Sc、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)で表されるピロリン酸バナジウムリチウム系結晶を析出した結晶化ガラスを含むことを特徴とする。
また、酸化物換算のモル%表示で、LiO 10〜50%、V 1〜30%およびP 35〜55%を含有することが好ましい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、前記リチウムイオン二次電池用正極活物質を含むことを特徴とする。
さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、前記リチウムイオン二次電池用正極を含むことを特徴とする。
本発明のリチウム二次電池正極活物質の製造方法は、(1)Li、V、PおよびOを含有するバッチを調合する工程、(2)バッチを溶融し、溶融ガラスを得る工程、および(3)溶融ガラスを急冷し前駆体ガラスを得る工程を含むことを特徴とする。
また、前記前駆体ガラスが、酸化物換算のモル%表示で、LiO 10〜50%、V 1〜30%およびP 35〜55%を含有することが好ましい。
さらに、(4)得られた前駆体ガラスを粉砕し、前駆体ガラス粉末を得る工程、および(5)前駆体ガラス粉末をガラス転移温度〜900℃で焼成し結晶化ガラス粉末を得る工程を含むことが好ましい。
さらに、工程(5)において、ガラス粉末に有機化合物または導電性カーボン、あるいはその両方を添加し、不活性または還元雰囲気にて焼成を行うことが好ましい。
本発明によれば、従来と比較してリチウムイオン二次電池用正極活物質として用いた際に高い放電容量、及び高い電極電位を示すピロリン酸バナジウムリチウム正極活物質を安価に得ることが可能となる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、Li、V、PおよびOを含有し、主結晶として一般式Li1−y (0<x≦2.5、0≦y<1、AはNb、Mg、Al、Ti、Zr、Fe、Sc、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)で表されるピロリン酸バナジウムリチウム系結晶を析出した結晶化ガラスを含むことを特徴とする。上記構成にすることにより、高い放電容量と高い電極電位を有する正極活物質を得ることが可能となる。
また、酸化物換算のモル%表示で、LiO 10〜50%、V 1〜30%およびP 35〜55%を含有することが好ましい。組成を上記のように限定した理由を以下に説明する。
LiOは、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の主成分である。LiOの含有量は10〜50%であることが好ましく、20〜45%であることがより好ましく、22〜43%であることが特に好ましい。LiOの含有量が多すぎると、結晶中のLiイオンが多くなりすぎてLiイオン自体が他のLiイオンの拡散を妨害した結果、LiOの挿入脱離の拡散速度が低下するため、放電容量が低くなり好ましくない。LiOの含有量が少なすぎると、異種結晶が生じやすくなり、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の割合が低下しやすくなる。
も、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の主成分である。Pの含有量は35〜55%であることが好ましく、37〜52%であることがより好ましく、40〜50%であることが特に好ましい。Pの含有量が少なすぎる場合や、あるいは多すぎる場合は、得られた前駆体ガラスを熱処理した際に、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶が生成しにくくなる。
も、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の主成分である。Vの含有量は1〜30%であることが好ましく、5〜30%であることがより好ましく、15〜27%であることがさらに好ましく、20〜27%であることが特に好ましい。Vの含有量が少なすぎる場合や、あるいは多すぎる場合は、得られた前駆体ガラスを熱処理した際に、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶が生成しにくくなる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、Nb、MgO、Al、TiO、ZrO、Fe、Sc、Cr、MnO、CoOおよびNiOの群から選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していてもよい。これらの成分を含有することにより、これらの成分がピロリン酸バナジウムリチウム系結晶に取り込まれ、より電子伝導度の高いピロリン酸バナジウムリチウム系結晶を生成しやすくなるため、高速充放電特性が向上しやすい。上記成分の含有量の合計は、0〜25%であることが好ましく、0.2〜10%であることが特に好ましい。上記成分の含有量が多すぎると、異種結晶が生じ、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の析出割合が低下しやすくなるため、放電容量が低下しやすくなる。
また上記成分以外に、例えばSiO、B、GeO、Ga、SbまたはBiを含有していてもよい。これらの成分をさらに含有することにより、ガラス形成能が向上し、均質な前駆体ガラスが得られやすくなる。上記成分の含有量の合計は、0〜25%であることが好ましく、0.2〜10%であることが特に好ましい。上記成分の含有量が多すぎると、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の析出割合が低下しやすくなる。
本発明の正極活物質は粉末状であり、その平均粒子径は0.1〜20μmであることが好ましく、0.3〜15μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることが特に好ましい。正極活物質の平均粒子径が小さすぎると、正極活物質粒子同士の凝集力が強くなり、ペースト化した際に分散しにくくなる。その結果、電池の内部抵抗が高くなり放電電圧が低下しやすくなる。また、電極密度が低下して電池の単位体積あたりの放電容量が低下する傾向がある。一方、正極活物質の平均粒子径が大きすぎると、正極活物質の比表面積が小さくなりやすく、正極活物質と電解質との界面におけるリチウムイオンの伝導性が低下する傾向がある。また、電極の表面平滑性に劣る傾向がある。
なお、本発明において、平均粒子径はD50(体積基準の平均粒子径)を意味し、レーザー回折散乱法により測定された値をいうものとする。
粉末X線回折パターンから算出したピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来のXRD積分強度は1200cps・deg以上、1400cps・deg以上、特に1500cps・deg以上が好ましい。ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来のXRD積分強度が小さすぎると、放電容量が低下する傾向がある。
ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来のXRD積分強度は、CuKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD測定)によって得られる2θ値で10〜60°の回折線プロファイルにおいて、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来の結晶性回折線から求められる。具体的には、回折線プロファイルからバックグラウンドを差し引いて得られた全散乱曲線から、10〜60°において検出されるピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来の結晶性回折線をピーク分離して求めた積分強度の総和から求められる。
なお、XRD測定は、粉末X線回折装置(リガク製RINT2100)で測定し、電圧40KV、電流値40mAでCuターゲットにより発生したKα線を用いて、2θ=10〜60°の範囲、1°/分の走査速度、0.01°のサンプリング間隔の条件で測定した。なお、結晶のピーク強度が100cps以下の場合は、そのピークはノイズであると判断した。
正極活物質におけるピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の結晶化度は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の結晶化度が低すぎると、放電容量が低下する傾向がある。なお、上限については特に限定されないが、現実的には99質量%以下である。
ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の結晶化度は、CuKα線を用いた粉末X線回折測定によって得られる2θ値で10〜60°の回折線プロファイルにおいて、結晶性回折線と非晶質ハローにピーク分離することで求められる。具体的には、回折線プロファイルからバックグラウンドを差し引いて得られた全散乱曲線から、10〜45°におけるブロードな回折線(非晶質ハロー)をピーク分離して求めた積分強度をIa、10〜60°において検出されるピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来の結晶性回折線をピーク分離して求めた積分強度の総和をIc、その他の結晶性回折線から求めた積分強度の総和をIoとした場合、結晶の含有量Xcは次式から求められる。
Xc=[Ic/(Ic+Ia+Io)]×100(%)
ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の結晶子サイズが小さいほど、正極活物質粒子の平均粒子径を小さくすることが可能となり、電気伝導性を向上させることができる。具体的には、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶の結晶子サイズは100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることが特に好ましい。下限については特に限定されないが、現実的には1nm以上、さらには10nm以上である。結晶子サイズは、粉末X線回折の解析結果からシェラーの式に従って求められる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法は、(1)Li、V、PおよびOを含有するバッチを調合する工程、(2)バッチを溶融し、溶融ガラスを得る工程、および(3)溶融ガラスを急冷し前駆体ガラスを得る工程を含むことを特徴とする。このような溶融法により正極活物質を製造することにより、各構成成分が均質に分散された正極活物質が得られやすくなる。
溶融温度は原料バッチが均質に溶融されるよう適宜調整すればよい。具体的には、700℃以上であることが好ましく、900℃以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、高すぎるとエネルギーロスにつながるため、1500℃以下であることが好ましく、1400℃以下であることが特に好ましい。
また、前駆体ガラスを得る工程としては、上記以外にゾル−ゲルプロセス、溶液ミストの火炎中への噴霧などの化学気相合成プロセス、メカノケミカルプロセス等も適用可能である。
また、前記前駆体ガラスが、酸化物換算のモル%表示で、LiO 10〜50%、V 1〜30%およびP 35〜55%を含有することが好ましい。
さらに、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法は、(4)得られた前駆体ガラスを粉砕し、前駆体ガラス粉末を得る工程、および(5)前駆体ガラス粉末をガラス転移温度〜1000℃で焼成し結晶化ガラス粉末を得る工程、を含む方法により製造することが好ましい。
前駆体ガラスの粉砕方法は特に限定されず、ボールミル、ビーズミル、アトライター等の一般的な粉砕装置を用いることできる。
前駆体ガラス粉末の平均粒子径は小さいほど正極活物質全体としての比表面積が大きくなり、イオンや電子の交換が行いやすくなるため好ましい。
前駆体ガラス粉末の熱処理温度は、前駆体ガラスの組成によって異なるため特に限定されるものではないが、少なくとも結晶化温度以上(具体的には、450℃以上、好ましくは500℃以上、さらに好ましくは600℃以上)で熱処理を行うことが適当である。熱処理温度が低すぎると、結晶の析出が不十分になり、放電容量が低下するおそれがある。あるいは、β‐LiVOPOなどの異種結晶が析出しやすくなり、リチウムイオン伝導性が低下するおそれがある。一方、熱処理温度の上限は900℃であることが好ましく、850℃であることがより好ましく、800℃であることが特に好ましい。熱処理温度が高すぎると、析出したピロリン酸バナジウムリチウム系結晶が溶解するおそれがある。ここで、「結晶化温度」は、示差熱分析(DTA)装置で測定した結晶化ピーク温度を指し、昇温速度10℃/分で測定した値を指す。
熱処理時間は、前駆体ガラス粉末の結晶化が十分に進行するよう適宜調整される。具体的には、1〜20時間、5〜15時間、特に8〜12時間であることが好ましい。熱処理時間が短すぎると、ガラス中のバナジウムの価数が3価になりにくくなり、β‐LiVOPOなどの異種結晶が析出しやすくなる。
さらに、工程(5)において、ガラス粉末に有機化合物または導電性カーボン、あるいはその両方を添加し、不活性または還元雰囲気にて焼成を行うことが好ましい。これにより、正極活物質粒子表面をカーボン含有層により被覆することができる。さらに、有機化合物または導電性カーボン、あるいはその両方は焼成することで還元作用を示すため、結晶化する際にガラス中のバナジウムの価数が3価に変化しやすく、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶を高い割合で選択的に得ることができる。
導電性カーボンとしては、グラファイト、アセチレンブラック、アモルファスカーボン等が挙げられる。なお、アモルファスカーボンは、FT−IR分析において、正極活物質の導電性低下の原因となるC−O結合ピークやC−H結合ピークが実質的に検出されないことが好ましい。有機化合物としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等のカルボン酸、グルコースおよび有機バインダー、界面活性剤等が挙げられる。
有機化合物または導電性カーボン、あるいはその両方の添加量は、前駆体ガラス100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜50質量部であることがより好ましく、1〜30質量部であることがさらに好ましく、5〜20質量部であることが特に好ましい。有機化合物または導電性カーボン、あるいはその両方の添加量が少なすぎると、正極活物質粒子表面を十分にカーボン含有層で被覆することが困難になる。有機化合物または導電性カーボン、あるいはその両方の添加量が多すぎると、カーボン含有層の厚みが大きくなってリチウムイオンの移動が妨げられ、放電容量が低下する傾向がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、炭素の含有量が0.01〜20質量%、0.05〜20質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、2〜15質量%であることがさらに好ましく、3〜12質量%であることが特に好ましい。炭素の含有量が少なすぎると、カーボン含有層による被覆が不十分となり、電子の伝導性に劣る傾向がある。一方、炭素の含有量が多すぎると、相対的に正極活物質粒子の含有量が小さくなり、正極活物質単位質量当たりの放電容量が小さくなる傾向がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、ラマン分光法における1550〜1650cm−1のピーク強度Gに対する1300〜1400cm−1のピーク強度Dの比(D/G)が1以下であることが好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。さらに、ピーク強度Gに対する800〜1100cm−1のピーク強度Fの比(F/G)が0.5以下であることが好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。これらのピーク強度比が上記範囲を満たすことにより、正極活物質の電子伝導性が高くなる傾向がある。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、比表面積が5m/g以上であることが好ましく、10m/g以上であることが特に好ましい。正極活物質の比表面積が上記範囲を満たすことにより、正極活物質と電解質との接触面積が大きくなって、リチウムイオンおよび電子の授受が容易となり、放電容量を向上させることができる。一方、上限は特に限定されないが、大きすぎると正極活物質表面に水分が吸着しやすくなり、充放電中において発火の原因になるおそれがある。したがって、正極活物質の比表面積は100m/g以下であることが好ましく、80m/g以下であることがより好ましく、60m/g以下であることが特に好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、タップ密度が0.3g/ml以上であることが好ましく、0.5g/ml以上であることが特に好ましい。タップ密度が小さすぎると、電極密度が小さくなり電池の単位体積あたりの放電容量が低下する傾向がある。上限は概ね真比重に相当する値になるが、粉末の粒塊化を考慮すると、現実的には5g/ml以下である。なお、本発明においてタップ密度は、タッピングストローク:10mm、タッピング回数:250回、タッピング速度:2回/1秒のタッピング条件により測定された値をいう。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、上述した正極活物質に対し、導電助剤および結着剤を添加し、これらを水や、N−メチルピロリドン等の溶媒に懸濁させてスラリー化し、このスラリーをアルミニウム箔等の集電体に塗布、乾燥、プレスして帯状にすることにより作製する。
導電助剤は、急速充放電を達成するために添加される成分である。具体例としては、アセチレンブラックやケッチェンブラック等の高導電性カーボンブラック、黒鉛、コークス等が挙げられる。なかでも、極少量の添加で優れた導電性を発揮する高導電性カーボンブラックを用いることが好ましい。
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素系ゴム、スチレンーブタンジエンゴム(SBR)等の熱可塑性直鎖状高分子;熱硬化性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂;カルボキシメチルセルロース(カルボキシメチルセルロースナトリム等のカルボキシメチルセルロース塩も含む。以下同様)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体等の水溶性高分子が挙げられる。
正極活物質、導電助剤および結着剤の配合比は、正極活物質 70〜95重量%、導電助剤 3〜20重量%、結着剤 2〜10重量%の範囲にすることが好ましい。
集電体としては、例えばアルミニウム箔やアルミニウム合金箔を用いることができる。アルミニウム合金としては、アルミニウムと、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素とからなる合金が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)前駆体ガラスの作製
メタリン酸リチウム(LiPO)、炭酸リチウム(LiCO)、五酸化バナジウム(V)、およびオルソリン酸(HPO)を原料とし、モル%でLiO 25.0%、P 50.0%、V 25.0%となるように原料粉末を調合し、1300℃にて1時間、大気雰囲気中にて溶融を行った。その後、一対のロールに溶融ガラスを流し込み、急冷しながらフィルム状に成形することにより前駆体ガラスを作製した。得られた前駆体ガラスを乳鉢で粉砕し、粉末X線回折パターンを確認したところ、結晶性のピークは確認されず、非晶質由来の回折線であるハローのみが確認された。
(2)前駆体ガラス粉末の作製
前駆体ガラスをボールミルで20時間粉砕し、平均粒子径0.8μmの前駆体ガラス粉末を得た。
(3)リチウムイオン二次電池用正極活物質の作製
前駆体ガラス粉末100質量部に対して、カーボン源としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル8質量部(グラファイト換算5質量部に相当)、溶剤として54質量部のエタノールを混合することによってスラリー化し、公知のドクターブレード法によって成形した後、80℃で約1時間乾燥させた。ついで、得られた成形体を乳鉢で粉末状にしたあと、窒素雰囲気中600℃にて10時間熱処理を行うことにより、正極活物質を得た。粉末X線回折パターンを確認したところ、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来の回折線が確認された。
(4)リチウムイオン二次電池用正極活物質の電池特性評価
得られた正極活物質の0.1Cレートにおける放電容量および平均放電電圧を以下のようにして評価した。
リチウムイオン二次電池用正極活物質に対し、結着剤としてPVDF、導電助剤としてケッチェンブラックを、正極活物質:結着剤:導電助剤=80:10:10(質量比)となるように秤量し、これらをN-メチルピロリドン(NMP)に分散したあと、自転・公転ミキサーで十分に攪拌してスラリー化した。次に、隙間100μmのドクターブレードを用いて、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に、得られたスラリーをコートし、乾燥機にて80℃で乾燥後、一対の回転ローラー間に通し、1t/cmでプレスすることにより、電極シートを得た。電極シートを電極打ち抜き機で直径11mmに打ち抜き、140℃で6時間乾燥させ、円形の正極を得た。
次に、得られた正極を、アルミニウム箔面を下に向けてコインセルの下蓋に載置し、その上に60℃で8時間減圧乾燥した直径16mmのポリプロピレン多孔質膜からなるセパレータ(ヘキストセラニーズ社製 セルガード#2400)および対極である金属リチウムを積層し、試験電池を作製した。電解液としては、1M LiPF溶液/EC(エチレンカーボネート):DEC(ジエチルカーボネート)=1:1(体積比)を用いた。なお、試験電池の組み立ては露点温度−40℃以下の環境で行った。
得られた試験電池を用いて充放電試験を行い、放電容量および平均放電電圧を測定した。結果を表1に示す。
なお、充放電試験において、充電(正極活物質からのリチウムイオンの放出)は、2.5Vから4.6VまでのCC(定電流)充電により行い、放電(正極活物質へのリチウムイオンの吸蔵)は、4.6Vから2.5Vまで放電させることにより行った。
(実施例2)
メタリン酸リチウム(LiPO)、炭酸リチウム(LiCO)、五酸化バナジウム(V)、およびオルソリン酸(HPO)を原料とし、モル%でLiO 27.0%、P 48.7%、V 24.3%となるように原料粉末を調合し、1300℃にて1時間、大気雰囲気中にて溶融を行った。その後、一対のロールに溶融ガラスを流し込み、急冷しながらフィルム状に成形することにより前駆体ガラスを作製した。
得られた前駆体ガラスを用いて、実施例1と同様の方法により、正極活物質を作製した。粉末X線回折パターンを確認したところ、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来の回折線が確認された。
得られた正極活物質の0.1Cレートにおける放電容量および平均放電電圧、実施例1と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
炭酸リチウム(LiCO)、五酸化バナジウム(V)、およびリン酸水素二アンモニウム((NHHPO)を原料とし、モル%でLiO 25.0%、P 50.0%、V 25.0%となるように原料粉末を調合し、ボールミルで粉砕混合してペレット化した後、アルゴン雰囲気中300℃で8時間固相反応させた。その後、ボールミルによる粉砕、ペレット化、アルゴン雰囲気中300℃で8時間固相反応の各処理を2回繰り返すことにより、正極活物質を作製した。粉末X線回折パターンを確認したところ、ピロリン酸バナジウムリチウム系結晶由来の回折線が確認された。
得られた正極活物質の0.1Cレートにおける放電容量および平均放電電圧、実施例1と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
以上のように、実施例1および2において作製された正極活物質は、0.1Cレートでの放電容量は110〜115mAhg−1と高く、平均電圧は4.1Vと高かった。一方、比較例1において作製された正極活物質は、固相反応により作製されており、結晶化ガラスではないので、0.1Cレートでの放電容量は70mAhg−1と低く、平均電圧も3.8Vと低かった。

Claims (8)

  1. Li、V、PおよびOを含有し、主結晶として一般式Li1−y (0<x≦2.5、0≦y<1、AはNb、Mg、Al、Ti、Zr、Fe、Sc、Cr、Mn、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)で表されるピロリン酸バナジウムリチウム系結晶を析出した結晶化ガラスを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  2. 酸化物換算のモル%表示で、LiO 10〜50%、V 1〜30%およびP 35〜55%を含有することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含むリチウムイオン二次電池用正極。
  4. 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用正極を含むリチウムイオン二次電池。
  5. (1)Li、V、PおよびOを含有するバッチを調合する工程、(2)バッチを溶融し、溶融ガラスを得る工程、および(3)溶融ガラスを急冷し前駆体ガラスを得る工程を含むことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記前駆体ガラスが、酸化物換算のモル%表示で、LiO 10〜50%、V 1〜30%およびP 35〜55%を含有することを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. さらに、(4)得られた前駆体ガラスを粉砕し、前駆体ガラス粉末を得る工程、および(5)前駆体ガラス粉末をガラス転移温度〜900℃で焼成し結晶化ガラス粉末を得る工程を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 工程(5)において、ガラス粉末に有機化合物または導電性カーボン、あるいはその両方を添加し、不活性または還元雰囲気にて焼成を行うことを特徴とする請求項7に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
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