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JP2014231645A - 合成皮革ペースト並びにこれを用いた合成皮革シートおよび補修材 - Google Patents

合成皮革ペースト並びにこれを用いた合成皮革シートおよび補修材 Download PDF

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JP2014231645A JP2011203694A JP2011203694A JP2014231645A JP 2014231645 A JP2014231645 A JP 2014231645A JP 2011203694 A JP2011203694 A JP 2011203694A JP 2011203694 A JP2011203694 A JP 2011203694A JP 2014231645 A JP2014231645 A JP 2014231645A
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照義 矢澤
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健一 櫻井
義宏 野村
Yoshihiro Nomura
義宏 野村
敏彦 北浦
Toshihiko Kitaura
敏彦 北浦
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Abstract

【課題】天然皮革様の合成皮革ペースト並びにこれを用いた合成皮革シートおよび補修材を提供することを目的とする。【解決手段】コラーゲンと、少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂と、水系溶媒とを含む、合成皮革ペースト。【選択図】なし

Description

本発明は、合成皮革ペーストに関する。より詳細には、本発明は天然皮革様の合成皮革ペーストに関する。
従来から、動物の皮膚を加工した天然皮革が靴、かばん、カーシート、およびインテリア製品等に用いられてきた。しかしながら、天然皮革は高価であるため、その代替品として合成皮革が開発されている。合成皮革とは、天然の布地や不織布等の人工布地に合成樹脂を含浸または塗布したものである。従来は、ポリ塩化ビニルやポリウレタン等の合成樹脂のみを用いて合成皮革を製造していたが、風合い、外観、および柔軟性等が天然皮革と比べると明らかに異なっていた。そこで、これまでに天然皮革に風合い等を近づけた天然皮革様の合成皮革の研究が行われてきた。
天然皮革様の合成皮革を製造する方法としては、合成樹脂中にコラーゲン粉末を添加する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、合成樹脂内部に繊維構造を有するコラーゲンを含む合成皮革が開示されている。
特開平6−17378号公報
特許文献1に記載の合成皮革に含まれる繊維構造を有するコラーゲンは、天然皮革に含まれる立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲン繊維と類似の構造を有するため、風合い等が天然皮革に近似する。しかしながら、上記特許文献1の合成皮革に含まれるコラーゲンは、コラーゲン粉末が揉み工程において繊維化するものであるため、天然皮革に含まれるコラーゲン繊維と比較すると、そのサイズは非常に小さく、繊維構造も単純なものである。したがって、天然皮革が有する立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲン繊維を十分に再現しているとはいえず、当該構成を有する合成皮革は、天然皮革様の風合い、外観、柔軟性等を実現するものではなかった。そこで本発明は、合成皮革において、天然皮革様の風合い、外観、柔軟性等を実現できる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、特定のポリウレタン樹脂を用いると、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、コラーゲンおよび少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂とともに、水系溶媒を含む合成皮革ペースト、並びにこれを用いた合成皮革シートおよび補修材を提供する。
本発明によれば、天然皮革様の合成皮革ペースト並びにこれを用いた合成皮革および補修材が提供される。本発明によれば、特定のポリウレタン樹脂を用いることによって、コラーゲンをポリウレタン樹脂内部に含有させることができる。その結果、天然皮革様の風合い、外観、柔軟性等を実現することができる。
以下に本発明の実施形態を説明する。
[合成皮革ペースト]
本発明の一実施形態によると、天然皮革様の合成皮革ペーストが提供されうる。当該合成皮革ペーストは、コラーゲンと、少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂と、水系溶媒とを含む。
本形態によると、前記ポリウレタン樹脂が少なくとも1つのシロキサン結合を含有することによって、ポリウレタン樹脂内部にコラーゲンを含有させることができる。これにより、従来のようなコラーゲン粉末およびこれが製造工程中で繊維化したコラーゲンだけでなく、サイズが大きく、立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲン繊維を含有させることができる。このため、本形態に係る合成皮革ペーストは、天然皮革に含有されるコラーゲン繊維と同等の構造を有するコラーゲン繊維を含むため、天然皮革様の風合い、外観、柔軟性等を実現することができる。
(コラーゲン)
合成皮革中にコラーゲンを含有すると、天然皮革様の合成皮革を得ることができる。一般的に、コラーゲンは高親水性であり、水を吸収して膨潤する。このようなコラーゲンの吸水性は、合成皮革の耐水性、吸湿性、柔軟性等に関係することから、合成皮革の特性に大きな影響を及ぼす要因となる。当該コラーゲンによる水との作用、すなわち、吸放湿性は、コラーゲンの構造に影響を受けうる。例えば、コラーゲンが繊維構造を有すると、毛管現象を示すことから吸放湿性を示す。また、コラーゲンは、ヒドロキシル基、アミノ基、およびカルボキシル基等の親水性基を有し、これらが互いに相互作用することによってコラーゲン分子間で水の受け渡しが行われるため、吸放湿性を示す。なお、サイズが大きく、立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲン繊維は、コラーゲンヘリックスと呼ばれる、グリシン−プロリン−ヒドロキシプロリンの3つのアミノ酸配列の繰り返しからなる三本鎖らせん構造を有しており、当該コラーゲンヘリックスによって、前記親水性基による分子間相互作用が起こりやすくなるものと推測される。
以上のように、天然皮革に含有されているようなサイズが大きく、立体的に絡みあった組織を形成した構造を有するコラーゲン繊維は、天然皮革が有する特性との関係が高いため、合成皮革内部に当該コラーゲン繊維を含有させることができれば、天然皮革と近似した合成皮革が製造できるはずである。
しかしながら、合成皮革の製造の際に用いられる溶媒は、通常、水系溶媒である。したがって、コラーゲン繊維を水系溶媒中で合成樹脂に含有させようとすると、コラーゲン繊維が水によって膨潤し、合成樹脂から溶出してしまう。このため、サイズの大きいコラーゲン繊維を使用することができず、特許文献1のようにコラーゲンを粉末化して合成樹脂に含有する必要があった。上述のように、コラーゲン粉末が揉み工程により繊維化したとしても、そのサイズは非常に小さく、繊維構造も単純なものである。よって、コラーゲン粉末から得られる繊維化されたコラーゲンの繊維構造は、天然皮革に含有されるコラーゲン繊維の繊維構造とは大きく異なっている。したがって、合成樹脂のみからなる合成皮革と比べれば天然皮革に近似しているとはいえるものの、実際の天然皮革と比べれば、十分にその風合い、外観、柔軟性等を実現するものではなかった。
本形態によれば、サイズが大きく、立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲン繊維を含有させることができるため、合成皮革が当該コラーゲン繊維を含有することによって、天然皮革様の風合い等を実現することができる。
本形態に用いられうるコラーゲンは特に制限されない。例えば、牛、馬、豚、および羊等の動物の皮、骨、腱等の組織に含有されるコラーゲンを使用することができる。また、天然皮革の製造工程で生じる廃棄物である、クロム革シェービング屑等のシェービング屑、裁断屑、不良品等に含まれるコラーゲンを用いてもよい。さらに、前記コラーゲンに代えて、または前記コラーゲンとともに、コラーゲンを変性させて得られるゼラチンを使用してもよい。これらのうち、天然皮革様の合成皮革を提供する観点から、天然皮革に利用されるコラーゲン、すなわち、動物の皮または天然皮革の製造工程で生じる廃棄物を用いることが好ましく、環境配慮の観点から、天然皮革の製造工程で生じる廃棄物を用いることがより好ましい。なお、前記クロム革シェービング屑とは、天然皮革の製造過程におけるクロムなめし後に生じたシェービング屑であり、コラーゲンとともにクロムを含む。クロム革シェービング屑は、そのまま本形態のコラーゲンとして用いることもできるが、クロム革シェービング屑に含まれる3価クロムが人体に有害な6価クロムに変換する可能性があることを考慮すると、クロムを除去した精製コラーゲンを用いることが好ましい。当該精製方法は、特に限定されず、例えば、アルカリ処理および酸処理を繰り返す方法、過酸化水素処理を行う方法、並びにこれらの組み合わせによって行われうる。
本形態に用いられうるコラーゲンの形状については、特に制限されず、繊維化しているもの、粉末状のもの、およびその他の形状を有するものでありうる。これらのうち、天然皮革様の合成皮革を提供する観点から、立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲン繊維を用いることが好ましい。
本形態に用いられうるコラーゲンのサイズは、特に制限されないが、コラーゲンの繊維構造が皮革の吸放湿性等の特性に影響を及ぼすことから、粉末化されていない、可能な限りサイズの大きいコラーゲンを用いることが好ましい。本明細書において、コラーゲンのサイズは、「コラーゲンの長さ」によって規定し、「コラーゲンの長さ」とは、合成皮革ペースト中の200個のコラーゲンをとり、コラーゲンの最大幅を測定した平均値を意味する。例えば、コラーゲンが繊維束状である場合には、コラーゲンの長さは、200個のコラーゲンの長軸方向の長さを測定した平均値である。本形態に用いられうるコラーゲンの長さは、100〜1000μmであることが好ましく、200〜500μmであることがより好ましい。なお、従来用いられている粉末化したコラーゲンの長さは、通常、50μm以下である。
合成皮革ペースト中に含まれるコラーゲンの含有量は、特に制限されないが、合成皮革ペーストの全質量に対して、10〜80質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましい。コラーゲンの含有量が10質量%以上であると、天然皮革様の合成皮革ペーストが得られることから好ましい。一方、コラーゲン含有量が80質量%以下であると、コラーゲンの過剰な膨潤を防ぐことができることから好ましい。
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂は、少なくとも1つのシロキサン結合を有し、コラーゲンをポリウレタン樹脂内部に取り込むことができる。これによって、水中におけるコラーゲンと水との接触が抑制される結果、コラーゲンは膨潤せず、合成樹脂内部からのコラーゲンの溶出が抑制されうる。また、シロキサン結合によって網目構造を有するポリウレタン樹脂となり、コラーゲンを強固に取り込むことが可能となりうる。
本形態に用いられうるポリウレタン樹脂としては、少なくとも1つのシロキサン結合を有するものであれば特に制限はなく、任意のポリウレタン樹脂が使用されうる。また、当該少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂は、少なくとも1つのシラノール基を有するポリウレタン樹脂から誘導されたものであってもよく、具体的には、少なくとも1つのシラノール基を有するポリウレタン樹脂および強塩基性第3級アミンを含む水系ポリウレタン樹脂組成物から誘導されうる。前記水系ポリウレタン樹脂組成物に含有される強塩基性第3級アミンは、水中で安定に存在するポリウレタン樹脂のシラノール基と触媒的に作用することによってシラノール基の脱水縮合反応が生じ、シラノール基の一部または全部がシロキサン結合を形成する。少なくとも1つのシラノール基を有するポリウレタン樹脂のシラノール基の全部がシロキサン結合を形成しない場合には、合成皮革ペースト中には、シロキサン結合とともにシラノール基を有するポリウレタン樹脂が含有され、本形態も本発明の技術的思想に含まれるものとする。本発明においては、前記水系ポリウレタン樹脂組成物のシラノール基の一部からシロキサン結合を誘導して、少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂を得ることが好ましい。この理由は、当該ポリウレタン樹脂によれば、残存するシラノール基がコラーゲン分子中のヒドロキシル基、アミノ基、およびカルボキシル基等の親水性基と共有結合または非共有結合を形成することにより、コラーゲンをさらに安定にポリウレタン樹脂内部に含有させることができるからである。
当該水系ポリウレタン樹脂組成物は、市販されているものを用いることができ、例えば、タケラックW−405、W−605、W−615、WS−4000、WS−5000、WS−5100、W−6010、W−6020、WS−6021(三井化学株式会社製)等が市販されている。
また、水系ポリウレタン樹脂組成物は、少なくとも1つのシラノール基を有するポリウレタン樹脂および強塩基性第3級アミンを、水系溶媒に混合して製造してもよい。
当該少なくとも1つのシラノール基を有するポリウレタン樹脂としては、公知のものが用いられうる。例えば、(1)分子内に少なくとも2つの活性水素を有する化合物と、(2)分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物と、(3)分子内に少なくとも1つのイソシアネート基と反応可能な活性水素および加水分解性ケイ素基を含有する化合物と、を反応させることにより得られる、少なくとも1つのシラノール基を有するポリウレタン樹脂を用いることができる。
前記(1)分子内に少なくとも2つの活性水素を有する化合物としては、ヒドロキシル基、アミノ基、およびチオール基等の活性水素を有する化合物が用いられうる。なかでもポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオール、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。上記化合物の具体例としては、特開平9−12864号公報が参照されうる。
前記(2)分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、ポリイソシアネート単量体、並びにこれらから誘導されるダイマーおよびトリマー、ビウレット、アロファネート結合を有する化合物、炭酸ガスと前記ポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネート、分子量200未満の低分子量ポリオールの上記ポリイソシアネート単量体付加体、並びにポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油、およびポリウレタンポリオール等の前記ポリイソシアネート単量体付加体等が用いられうる。上記化合物の具体例としては、特開平9−12864号公報が参照されうる。
前記(3)分子内に少なくとも1つのイソシアネート基と反応可能な活性水素および加水分解性ケイ素基を含有する化合物としては、前記活性水素と、加水分解性基(水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、チオール基、アルケニルオキシ基等)がケイ素原子に結合してなる加水分解性ケイ素基と、を有する化合物が用いられうる。上記化合物の具体例としては、特開平9−12864号公報が参照されうる。
また、水系ポリウレタン樹脂組成物に含まれる強塩基性第3級アミンは、公知のものが用いられうる。この際、前述のシロキサン結合形成反応は、用いられる強塩基性第3級アミンの塩基性の強さによって異なり、強塩基であればシロキサン形成反応がより進行しうる。したがって、シロキサン結合を形成させる観点から、前記強塩基性第3級アミンは、pKaが11以上の第3級アミンであることが好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)であることがより好ましい。当該強塩基性第3級アミンは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。水系ポリウレタン樹脂組成物に含まれる強塩基性第3級アミンの含有量は、シロキサン結合を形成させる観点から、少なくとも1つのシラノール基を有するポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部含まれることが好ましい。
上述の少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂および水系ポリウレタン樹脂組成物は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
合成皮革ペースト中に含まれる少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂の含有量は、特に制限されないが、合成皮革ペーストの全質量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量が5質量%以上であると、コラーゲンの溶出を抑制できることから好ましい。一方、ポリウレタン樹脂の含有量が50質量%以下であると、合成皮革ペーストに対するコラーゲンの含有量が過度に低い値とならず、天然皮革様の合成皮革ペーストが得られることから好ましい。
(水系溶媒)
本形態に係る合成皮革ペーストが水系溶媒を含有することにより、ペースト状の合成皮革、すなわち合成皮革ペーストを得ることができる。
本形態の水系溶媒は、通常、上述の水系ポリウレタン樹脂組成物に含有される溶媒およびコラーゲン中に含まれる溶媒由来のものであり、前記溶媒は、水または水と有機溶媒との混合溶媒である。前記有機溶媒としては、水と混和するものであれば特に制限はなく、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のモノアルコール類;アセトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、テトラリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO);N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等の水性高沸点溶媒が挙げられる。前記有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記水系溶媒としては、環境配慮の観点から、水のみを用いることが好ましい。
合成皮革ペースト中に含まれる水系溶媒の含有量は、特に制限されないが、合成皮革ペーストの全質量に対して、0.5〜15質量%であることが好ましく、5〜8質量%であることがより好ましい。水系溶媒の含有量が0.5質量%以上であると、合成皮革ペーストの粘度が高くなりすぎず、取扱いが容易となることから好ましい。一方、水系溶媒の含有量が15質量%以下であると、合成皮革ペーストの粘度が低くなりすぎず、取扱いが容易となることから好ましい。
(添加剤)
本形態に係る合成皮革ペーストは、さらに必要に応じて添加剤を含んでもよい。当該添加剤としては、例えば、架橋剤および加脂剤等が挙げられる。
架橋剤
架橋剤は、ポリウレタン樹脂および/またはコラーゲンと反応し架橋を形成する。ポリウレタン樹脂の架橋によって耐水性が付与されうる。ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合が加水分解を受けるため、水によって劣化することがある。そこで、エポキシ樹脂によって架橋を形成することにより、耐水性が付与されうる。なお、上述の市販の水系ポリウレタン樹脂組成物は、自己架橋型の性質を有するため、当該水系ポリウレタン樹脂組成物を用いて得られる合成皮革ペーストは、エポキシ樹脂を添加しなくとも一定の耐水性が付与されうる。しかしながら、より高い耐久性を付与するために、エポキシ樹脂を添加することが好ましい。一方、コラーゲンは水によって膨潤するため、膨潤によりコラーゲンヘリックスが解離することがある。そこで、コラーゲンを架橋することによって繊維構造が安定化し、合成皮革ペーストの吸放湿性が維持されうる。また、コラーゲンを架橋することにより、コラーゲンが柔らかくなり、合成皮革ペーストに可塑性が付与されうる。
用いられうる架橋剤は特に限定されないが、コラーゲンと架橋を形成させる観点から水溶性の架橋剤を用いることが好ましい。水溶性の架橋剤としてはエポキシ樹脂およびアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらのうち、エポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。前記エポキシ樹脂は、特に制限されず、公知のものが使用されうる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、および変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち、脂環式エポキシ樹脂を用いることが好ましく、前記脂環式エポキシ樹脂の例としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。前記エポキシ樹脂は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、高度に架橋を形成し、耐久性および可塑性を付与する観点から、エポキシ基を2以上有するエポキシ樹脂が好ましい。用いられうるエポキシ樹脂は、市販されているものであってもよく、例えば、デナコールEx−321、Ex−411、Ex−421、Ex−512、Ex−521、Ex−611、Ex−614、Ex−614B、Ex−622、Ex−821、Ex−830、Ex−832、Ex−841(ナガセケムテックス株式会社製)等が用いられうる。前記エポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明の別の実施形態によると、合成皮革中でポリウレタン樹脂のカルボキシル基と結合していないエポキシ樹脂は、合成皮革に柔軟性をもたしうる。この柔軟性付与に関する詳細についても明らかではないが、例えば、合成皮革中で単独、またはコラーゲンと架橋もしくは相互作用して存在するエポキシ樹脂自体が有する柔軟性が、そのまま合成皮革に反映される等のメカニズムが推定される。なお、実際のメカニズムが前記記載と異なるものであったとしても、本発明の技術的思想に含まれる。
上記の推定メカニズムによれば、エポキシ樹脂が単独で存在するか、コラーゲンと何らかの作用を示した状態で存在すればよいため、本形態の合成皮革ペーストは、上述のように必ずしも少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂および/またはコラーゲン繊維を含む必要はない。すなわち、例えば特許文献1に記載の合成皮革についても本技術的思想が適用されうる。
上述のような推定メカニズムによると、ポリウレタン樹脂と架橋を形成した状態で存在するエポキシ樹脂は、合成皮革の柔軟性の付与には関与していないことが予想されうる。したがって、柔軟性を付与するためには、エポキシ樹脂は、ポリウレタン樹脂の架橋反応できる以上の量、すなわち、合成皮革ペースト中でポリウレタン樹脂と架橋を形成していないエポキシ樹脂が存在する量で添加される必要がある。通常、ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂との架橋反応は、カルボキシル基とエポキシ基との反応によって生じるため、当該2つの官能基のモル数に基づき、添加されうるエポキシ樹脂の量が決定されうる。すなわち、本形態の合成皮革ペーストにおいて、エポキシ樹脂のエポキシ基がポリウレタン樹脂のカルボキシル基よりも多いモル数で存在し、かつ、少なくとも1つの前記エポキシ基が前記カルボキシル基と結合している。ここで、合成皮革ペーストにおけるエポキシ基とカルボキシル基とのモル数の対比においては、エポキシ基およびカルボキシル基は単独で存在するものに限られず、架橋を形成して誘導されたエポキシ基およびカルボキシル基が含まれるものとする。エポキシ基を例に挙げると、エポキシ基のモル数は、単独で存在しているエポキシ基の数とともに、ポリウレタン樹脂および/またはコラーゲンと架橋反応によって形成されたエポキシ基をも含んでモル数が算出される。換言すれば、架橋前におけるエポキシ基が、ポリウレタン樹脂に含まれるカルボキシル基よりも多いモル数で含有されればよい。当該モル数でエポキシ樹脂が含有されることにより、少なくとも1モルの遊離またはコラーゲンと架橋したエポキシ基を有するエポキシ樹脂が合成皮革ペースト中に含まれることとなり、前記エポキシ樹脂によって合成皮革ペーストに柔軟性が付与されうる。
本形態に用いられうるエポキシ樹脂は、柔軟性を有するものであれば特に制限はない。柔軟性は、通常、エポキシ樹脂が有する単結合の数によって左右されうる。したがって、直鎖または分岐鎖の単結合を多数含むエポキシ樹脂を用いることが好ましく、具体的には、ポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂を用いることが好ましい。前記ポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂は、例えば、上記市販のデナコールEx−512、Ex−521、Ex−821、Ex−830、Ex−832、Ex−841(ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。前記エポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記カルボキシル基およびエポキシ基のモル数は、それぞれ計算によって求めることができる。例えば、水系ポリウレタン樹脂に含まれるカルボキシル基のモル数は、当該ポリウレタン樹脂のプレポリマーが有するカルボキシル基の数およびプレポリマーとポリウレタン樹脂との重量比によって求められうる。また、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基も同様に求めることができる。市販品の情報として開示された情報を参照してもよく、例えば、デナコールEx−830のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は268であることが開示されていることから、当該エポキシ当量からエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基のモル数を計算することができる。
なお、前記エポキシ樹脂の2種以上を混合して用いる場合には、柔軟性付与に寄与するエポキシ樹脂が、合成皮革ペースト中でポリウレタン樹脂とエポキシ基を介して架橋を形成していない状態で存在できる量で添加される必要がある。
加脂剤
加脂剤は、コラーゲン繊維内部に充填、または表面に付着することにより、合成皮革に柔軟性を付与する効果を有する。加脂剤を用いることによって、合成皮革が乾燥された際にも、コラーゲン繊維が硬化することを防ぐことができる。
用いられうる加脂剤としては、特に制限はなく、公知のものが用いられうるが、コラーゲンに作用することを考慮すると、親水性の加脂剤を用いることが好ましい。用いられうる加脂剤としては、精製された生油や合成樹脂等が挙げられ、具体的には、ウッドオイル等の植物性油;菜種油、コーン油、ひまわり油、大豆油等の半乾性油;オリーブ油、ヒマシ油、ピーナッツ油等の不乾性油;ココナッツ脂、パーム核脂、パーム油脂等の植物性脂;ニシン油、イワシ油等の魚油;タラ肝油、サメ肝油等の肝油;ラード油等の陸生動物油;牛脂、羊脂、ラード、乳脂肪、骨脂等の動物性脂;ナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の植物性ワックス(ロウ);ビーズワックス、羊毛脂(ウールグリース)等の動物性ワックス(ロウ);パラフィンワックス、ミネラルオイル、オレフィン、合成炭化水素、合成脂肪酸エステル、高級アルコール、アルキルベンゼン等の非生物由来の脂肪性物質等が挙げられる。
[合成皮革シート]
本発明の一実施形態によると、上述の合成皮革ペーストを用いることにより合成皮革シートが形成されうる。前記合成皮革シートは、サイズが大きく、立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲン繊維を含有しうることから、天然皮革様の特性を有しうる。
本形態に係る合成皮革ペーストは、公知の方法により基材上に成形されて合成皮革シートが製造されうる。前記合成皮革シートの製造方法は、例えば、合成皮革ペーストを発泡させた後に、得られた発泡ペーストを基材上に成形することによって製造されうる。
(基材)
基材は、合成皮革ペーストを支持するものである。用いられうる基材としては、天然の布地または人工布地、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、(メタ)アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等からなる合成樹脂フィルム、織布、不織布、編布、紙、合成紙、ガラス材料、金属材料等が挙げられる。
(発泡剤)
発泡剤は、前記合成皮革ペーストから合成皮革シートを製造する際に添加される。合成皮革ペーストを発泡させることによって、少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂に柔軟性および断熱性が付与されうる。
用いられうる発泡剤としては、特に制限はなく、公知の発泡剤が用いられうる。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等の熱分解性発泡剤、並びにブタンおよびペンタン等の低級アルカン、ハロゲン化炭化水素、炭酸ガス、窒素ガス等の揮発性発泡剤が用いられうる。前記発泡剤は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
前記発泡剤は、合成皮革ペースト100質量部に対して、3〜20質量部、好ましくは10〜15質量部添加される。
[補修材]
本発明の一実施形態によると、上述の合成皮革ペーストを含む補修材が得られうる。当該補修材としての利用は、コラーゲンどうしの親和性の高さを利用するものであり、上述の合成皮革ペーストが、天然皮革に類似したコラーゲン繊維を含むことに基づく。なお、本明細書における「補修」とは、天然皮革の均一化としての補修およびコラーゲンを含む製品の傷の補修を含む概念である。
前記天然皮革の均一化とは、天然皮革の繊維の流れを均一化することを意味する。天然皮革は、動物の皮を原料とするため、動物の皮の部位によって繊維の密度に差が生じる。このような繊維の密度差によって、天然皮革とした際にシワが生じやすくなる。そこで、コラーゲンどうしの親和性の高さを利用して、コラーゲンを含む補修材で繊維の密度を均一化することにより、前記シワの発生を防ぐことが可能となる。本発明に係る合成皮革ペーストを含む補修材は、天然皮革に類似したコラーゲン繊維を含むことから、より効果的に繊維を均一化することができる。
また、前記コラーゲンを含む製品の傷の補修とは、コラーゲンを含む製品に生じた傷を補修材によって補修、修復することを意味する。上述のように、コラーゲンどうしは親和性が高く、さらに、天然皮革に類似したコラーゲン繊維を含むためコラーゲンを含む製品に生じた傷と馴染みやすく、好適に傷を補修することができる。
本形態に係る補修材は、合成皮革ペーストをそのまま補修材として用いてもよいし、または適宜公知の添加剤を混合して補修材を製造してもよい。
[合成皮革ペーストの製造方法]
本発明の一実施形態によれば、製造コストが安価な合成皮革ペーストの製造方法が提供される。従来の合成皮革の製造方法においては、合成皮革に含有させるコラーゲン粉末は微細である必要があったため(約50μm以下)、コラーゲン繊維の加水分解工程および複数の粉砕工程が必要となり、さらに得られたコラーゲン粉末の取り扱いにも注意を要した。しかしながら、本形態によれば、サイズが大きいコラーゲン繊維を用いることができるため、合成皮革ペーストに含まれるコラーゲン繊維の調製も容易となる。したがって、当該合成皮革ペーストの製造方法では、コラーゲンの粉砕工程が容易で加水分解工程が不要となる結果、製造コストが安価となりうる。上記特徴に鑑みると、本形態に係る製造方法においては、コラーゲン繊維、特に100〜1000μmの長さを有するコラーゲン粉砕物を用いる。なお、前記コラーゲン繊維の長さは、上記と同様に、200個のコラーゲン繊維をとり、コラーゲンの最大幅を測定した平均値である。したがって、本形態の製造方法は、コラーゲンを粉砕し、100〜1000μmの長さを有するコラーゲン粉砕物を得る工程と、前記コラーゲン粉砕物に、少なくとも1つのシロキサン結合を有する水系ポリウレタン樹脂を混合する工程とを含む。
前記製造工程に使用されるコラーゲンとして、天然皮革製造中に生じるクロム革シェービング屑を脱クロム化することによって得られるコラーゲンが用いられる場合には、従来廃棄されていたクロム革シェービング屑を再利用することとなり、環境配慮の観点からより好ましい。したがって、本形態の製造方法においては、天然皮革製造中に生じるクロム革シェービング屑を脱クロム化して前記コラーゲンを得る工程をさらに含むことが好ましい。
以下、各工程について詳細に説明する。
(1)クロム革シェービング屑を脱クロム化する工程
本工程は、クロム革シェービング屑をコラーゲンの原料として用いた場合の任意の工程である。クロム革シェービング屑を原料として用いる場合には、本工程によりクロム革を除去してコラーゲンを精製することが好ましい。
上述のように、本工程は、例えば、アルカリ処理および酸処理を繰り返す方法、過酸化水素処理を行う方法、およびこれらの組み合わせによって行われうる。
アルカリ処理および酸処理を繰り返す方法においては、コラーゲンが塩基性溶媒中で繊維構造が緩まり、酸性溶媒中で緩まった繊維構造が戻るという、液性によってコラーゲン繊維の構造が変化する性質を利用する。繊維構造が緩まることにより、クロムなめしでコラーゲンと付着したクロムがコラーゲンと分離され、洗浄によってクロムを除去することができる。そして、緩まった繊維構造は酸性溶媒中でもとに戻ることができる。当該塩基処理および酸性処理を繰り返すことによって、コラーゲン繊維のあらゆる部位に付着したクロムを除去することができる。
用いられる塩基性溶媒としては、特に制限されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化銅(II)、水酸化アルミニウム、水酸化鉄(III)等の塩基を溶解した水溶液等が挙げられる。一方、用いられうる酸性溶媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、炭酸、シュウ酸等の酸を溶解した水溶液等が挙げられる。
過酸化水素処理を行う方法においては、過酸化水素処理によって、クロムなめしでコラーゲンと架橋したクロムを除去することができる。当該過酸化水素処理においては、コラーゲンと架橋した3価のクロムが水溶性の6価クロムに変換されるため、水の洗浄によってクロムを除去することができる。
前記アルカリ処理および酸処理を繰り返す方法および過酸化水素処理を行う方法は一方の方法のみを行ってもよいし、両方の方法を組み合わせて行ってもよいが、コラーゲン繊維に付着したクロムおよび架橋したクロムをともに効果的に除去する観点から、両方の方法を行うことが好ましい。
以下に実施例および比較例により本発明の効果を詳細に説明するが、本発明を限定するものではない。
[実施例1]
(コラーゲンの調製)
コラーゲンの原料として、天然皮革の製造工程において複数のロットから得られたクロム革シェービング屑を用いた。
はじめに、クロム革シェービング屑を1ヵ月間密閉状態で保存し、水分率を均一化した。次に水分率が均一化したクロム革シェービング屑をとり、クロム革シェービング屑の10倍量の水を添加した。そして、ノニオン系界面活性剤であるSilastol R687(Schill Seilacher GmbH製)を0.1%添加して、30℃で1時間ゆっくりと撹拌した。
前記溶液に消石灰(水酸化カルシウム)を採取したクロム革シェービング屑の10質量%添加し、6時間毎の撹拌および放置を室温で2日間繰り返して、コラーゲン繊維を膨潤させて緩めた。次に、300メッシュを用いてクロムを含む液分を除去し、得られた固形分を採取したクロム革シェービング屑の10倍量の水に添加して15〜20℃で15分撹拌して洗浄した。洗浄後、再度300メッシュにより液分を除去した。
前記添加した消石灰を除去するため、前記得られた固形分を、採取したクロム革シェービング屑の10倍量の水と混合し、当該水に採取したクロム革シェービング屑の2.5質量%の塩化アンモニウムを溶解し、15〜20℃で20分間ゆっくりと撹拌した。得られた混合物を、上記と同様に、300メッシュによる液分の除去、採取したクロム革シェービング屑の10倍量の水による洗浄、および300メッシュによる液分の除去によって消石灰が除去された固形分を得た。
次に酸処理によって緩めたコラーゲン繊維を戻すため、得られた固形分に、前記固形分の2.5倍量の水を添加し、さらに前記固形分の3〜4質量%の80%濃硫酸水溶液を添加した。前記混合液に対して30分毎の撹拌および放置を室温で1時間繰り返した。100メッシュを用いて液分を除去し、前記固形分の10倍量の水を用いた撹拌洗浄および液分の除去を2回繰り返した。
前記コラーゲン繊維を強塩基で再度コラーゲン繊維構造を緩めた。得られた固形分に、前記固形分の10倍量の水を添加し、さらに強塩基として前記固形分の0.4〜0.5質量%の水酸化ナトリウムを添加した。15分毎の撹拌および放置を室温で1時間繰り返して、コラーゲン繊維を膨潤させて緩めた。100メッシュを用いて液分を除去し、前記固形分の3倍量の水を用いた撹拌洗浄および液分の除去を3回繰り返した。
前記塩基処理によっても除去できなかったクロムについては、過酸化水素処理によって3価クロムを6価クロムに変換し、水溶性を高めて除去した。具体的には、得られた固形分に、前記固形分の1.5質量%の35%過酸化水素水を添加し、15分毎の撹拌および放置を室温で1時間繰り返して、3価クロムを6価クロムに変換した。100メッシュを用いて液分を除去し、前記固形分の4倍量の水を用いた撹拌洗浄および液分の除去を2回繰り返した。
以上のようにしてクロムを除去して得られたコラーゲン繊維から合成皮革ペーストの原料となるコラーゲンを調製した。得られた固形分に、前記固形分の0.1〜0.15質量%の無水コハク酸を混合し、5〜10℃で12〜16時間静置した。次に前記固形分の0.1〜0.15質量%の亜硫酸ナトリウムを添加して室温で1時間静置した。最後に、β−アミノエタノールを用いてpHを6.9〜7.2に調整した。得られた固形分は10℃以下で保存した。
前記固形分をとり、前記固形分の2倍量の水に分散させて、粉砕機オスターライザー ブレンダー890型(オスター社製)を用いてコラーゲンの粉砕を2度繰り返し行った。得られたコラーゲン粉砕物の長さは、200個のコラーゲン繊維の最大幅の平均長で300μmであった。なお、当該平均長は、目盛付スライドグラスCG−100(株式会社内田洋行製)上に水分散中のコラーゲン粉砕物を乗せて光学顕微鏡にて写真撮影を行い、ノギスを用いて長さ測定した平均値である。粉砕物を回収し、回収量の5体積%のイソプロピルアルコールを添加し、1時間静置して水分を除去した。100メッシュにて吸引濾過して液分を除去し、合成皮革ペーストの原料となるコラーゲン粉砕物を得た。
(合成皮革ペーストの製造)
前記得られたコラーゲン粉砕物を、前記粉砕物の等量の水に混合し、コラーゲン前記粉砕物に対して、尿素1〜1.2質量%、塩化ナトリウム0.35〜0.4質量%、および皮革用弱カチオン系加脂剤であるCatalix GS(Clariant株式会社製)3〜5質量%を混合した。前記混合物は、5℃以下で24時間静置した。次に、混合物に対し、5〜20℃で撹拌および静置を繰り返し、生じた水分を除去して、前記混合物の水分含有率を80〜85%に調整されたペーストを得た。前記ペーストを100質量部とり、可塑剤としてのグリセリン13質量部、水系ポリウレタン樹脂組成物としてのタケラックWS−6021(DBUを含むシラノール基含有水系ポリウレタン樹脂組成物;イソホロンジイソシアネート/ポリエステル系・固形分30%;三井化学株式会社製)37質量部、水系エポキシ樹脂としてのデナコールEx−830(ポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;エポキシ当量:268WPE、粘度:70mPa・s、2官能;ナガセケムテックス株式会社製)37質量部、およびデナコールEx−614B(ポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;エポキシ当量:173WPE、粘度:5000mPa・s、水溶率:94%、4官能以上;ナガセケムテックス株式会社製)2質量部、並びに顔料としてのディスパーカラーブラック EX(株式会社トウペ製)1〜1.5質量部を混合し、50℃までゆっくりと撹拌しながら混合して、合成皮革ペーストを製造した。なお、タケラックWS−6021のカルボキシル基と、デナコールEx−614Bのエポキシ基とのモル比は、カルボキシル基:エポキシ基=1:1.3であり、タケラックWS−6021のカルボキシル基と、デナコールEx−830のエポキシ基とのモル比は、カルボキシル基:エポキシ基=1:2.5である。したがって、柔軟性を付与するデナコールEx−830のエポキシ基は、カルボキシル基よりも多いこととなる。また、デナコールEx−830の少なくとも1つのエポキシ基は、デナコールEx−614Bのエポキシ基とともにポリウレタン樹脂のカルボキシル基と結合されている。
(合成皮革シートの製造)
前記得られた合成皮革ペーストに、プレフォーム型発泡剤であるレプトンエンハンサーCP(BASF製)13質量部を添加して65℃になるまでゆっくりと撹拌しながら昇温した。次いで、45℃以下となるまで冷却し、さらに熱発泡型発泡剤であるレプトンエンハンサーCE(BASF製)4質量部を添加した。得られた発泡体を成形した。最後に基材である革を繊維状に粉砕し加圧成型したシート上に前記発泡体を押出し射出し、ロールによって加圧延伸および圧着して合成皮革シートを得た。
[実施例2]
少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂として、水系ポリウレタン樹脂組成物のタケラックWS−5000を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で合成皮革シートを製造した。
[比較例1]
少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂の代わりに、シラノール基を有さない水系ポリウレタン樹脂であるUB−1770(無黄変型ポリウレタン樹脂エマルション;大日本インキ株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で合成皮革シートを製造した。
[比較例2]
少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂の代わりに、シラノール基を有さない水系ポリウレタン樹脂であるPRU−22(脂肪族イソシアネートポリウレタン樹脂水溶液;ALPA spa製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で合成皮革シートを製造した。
[比較例3]
少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂の代わりに、アクリル樹脂であるLCCバインダーTF−80(大日本インキ株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で合成皮革シートを製造したが、粘性が高く成形することができなかった。
[比較例4]
少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂の代わりに、アクリル樹脂であるアロンNW−400(東亞合成株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で合成皮革シートを製造した。
(評価結果)
得られた合成皮革シートを天然皮革と比較した。
Figure 2014231645
実施例1および2の合成皮革シートのように、少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂を用いると、サイズが大きく、立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲン繊維を含有させることができ、その結果、天然皮革様の風合いを有する合成皮革が得られた。また、サイズが大きく、立体的に絡みあった組織を形成したコラーゲンを含有することにより、当該合成皮革は、天然皮革のように優れた吸放湿性を示した。さらに、合成皮革シートに含まれるエポキシ樹脂が、単独で、またはコラーゲンと相互作用した状態で存在することにより、合成皮革シートに柔軟性が付与されたことが理解されうる。
比較例1および2の合成皮革シートは、コラーゲン繊維が水によって膨潤して凝集したため、コラーゲン繊維を十分に含有させることができず、風合いおよび吸放湿性が劣っていた。一方、単独で、またはコラーゲンと相互作用した状態で存在するエポキシ樹脂の作用により、一定の柔軟性は有していた。
アクリル樹脂を用いた場合においても、コラーゲン繊維の水による膨潤および凝集が起こり、コラーゲン繊維をポリウレタン樹脂内部に十分に含有させることができず、風合いおよび吸放湿性が劣っていた。一方、単独で、またはコラーゲンと相互作用した状態で存在するエポキシ樹脂の作用により、一定の柔軟性は有していた。
以上の結果から、本発明に係る合成皮革ペーストから製造された合成皮革シートは、天然皮革様の風合い等を有するものであった。また、一定量以上添加したエポキシ樹脂は、合成皮革シートにコラーゲンが含有されていれば、柔軟性付与の性質を示すことが理解されうる。

Claims (11)

  1. コラーゲンと、少なくとも1つのシロキサン結合を有するポリウレタン樹脂と、水系溶媒とを含む、合成皮革ペースト。
  2. 前記シロキサン結合が、前記ポリウレタン樹脂の有するシラノール基の強塩基性第3級アミンを触媒とする脱水縮合反応によって形成されてなる、請求項1に記載の合成皮革ペースト。
  3. 前記ポリウレタン樹脂が、活性水素を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、並びに活性水素および加水分解性ケイ素基を有する化合物を反応させることにより形成されたものである、請求項1または2に記載の合成皮革ペースト。
  4. 前記コラーゲンの長さが、100〜1000μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成皮革ペースト。
  5. 前記コラーゲンが、天然皮革クロムシェービング屑由来のものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成皮革ペースト。
  6. エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合成皮革ペースト。
  7. コラーゲンと、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂と、エポキシ樹脂と、水系溶媒とを含み、
    前記エポキシ樹脂のエポキシ基がカルボキシル基よりも多く、かつ、少なくとも1つの前記エポキシ基が前記カルボキシル基と結合した、合成皮革ペースト。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の合成皮革ペーストを用いて形成された、合成皮革シート。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の合成皮革ペーストを含む、補修剤。
  10. コラーゲンを粉砕し、100〜1000μmの長さを有するコラーゲン粉砕物を得る工程、
    前記コラーゲン粉砕物に、少なくとも1つのシロキサン結合を有する水系ポリウレタン樹脂を混合する工程、
    を含む、合成皮革ペーストの製造方法。
  11. 天然皮革製造中に生じるクロム革シェービング屑を脱クロム化して前記コラーゲンを得る工程をさらに含む、請求項10に記載の製造方法。
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