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JP2014139268A - 石炭液化システム、重質油軽質化システム及び低品位石炭改質システム - Google Patents

石炭液化システム、重質油軽質化システム及び低品位石炭改質システム Download PDF

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JP2014139268A JP2013008190A JP2013008190A JP2014139268A JP 2014139268 A JP2014139268 A JP 2014139268A JP 2013008190 A JP2013008190 A JP 2013008190A JP 2013008190 A JP2013008190 A JP 2013008190A JP 2014139268 A JP2014139268 A JP 2014139268A
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Abstract

【課題】原発で発電した電気で水電解して得られる水素と原子炉で発生する熱及びガンマ線を用いて、コストの安い石炭液化、重質油軽質化及び低品位石炭改質を実現する。
【解決手段】核分裂性燃料として「ウランU235、プルトニウムPu239又はウランU233」のフッ化物を用いる熔融塩原子炉を構成要素とする熔融塩炉原発を備えた石炭液化システム、重質油軽質化システム及び低品位石炭改質システムである。該熔融塩炉原発で発電した電気で水を電解して生成する水素及び/又は該熔融塩原子炉で発生した熱を用いる。該熔融塩原子炉を包む高温格納容器内で、スラリー状にした「石炭又は重質油」にガンマ線を照射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、核分裂反応を行う熔融塩原子炉(以下では熔融塩炉と略す)を構成要素とし、該熔融塩炉で発生した熱を用いて発電する熔融塩炉原発を備えた石炭液化、重質油軽質化及び低品位石炭改質システムに関する。
近年、従来型のエネルギー資源の枯渇に伴い、瀝青炭などの石炭液化(非特許文献1参照)、石油精製の蒸留残渣などの重質油やオイルサンドなどの超重質油の軽質化(非特許文献2参照)、褐炭などの低品位石炭の改質(非特許文献3参照)が試みられているが、これらのプロセスでは多量の水素、熱、電気を使用するので、水素製造設備、ユーテイリテイー設備、発電設備などが必要であり、製品のコストを上昇させる要因となっている。この問題を解決する目的で、非特許文献4や非特許文献5に記載されているように、軽水炉、高温ガス炉、ナトリウム炉などの原発を上記の液化・改質プロセスで利用することが検討されている。
この目的には水素と熱を同時に石炭や重質油の液化・改質プロセスに供給できる原発が必要であるが、既に実用化されている軽水炉を用いる場合、水素は発電した電気で水を電解して得られるものの、燃料被覆管のジルカロイ合金の変形や腐食をさけるために水蒸気温度が300℃程度と低く、熱利用ができなかった。これに対して高温ガス炉では1000℃程度のヘリウムガスが利用できるが、核燃料体が高価であり、また発電量当りの炉容器が大きい上に発電用の高圧水蒸気が炉心に侵入するのを防ぐ安全対策が必要なために発電コストが高いので、水素を水電解で得ることがコスト面から困難であった。このため水素を熱化学的分解法で得ることが検討されているが、実験室レベルの技術であって工業的に実施することは困難な状況にある。その結果、非特許文献5に記載されているように、ヘリウムの熱で化石燃料を水蒸気改質して水素を得ることになり、水電解に比べて設備コストが高く工業的に実施する上でコスト面から不利であった。一方ナトリウム炉は、冷却材の金属ナトリウムが漏洩すると、水や空気やコンクリートと激しく反応して火災を起すので、実用化は困難な状況にある。
更に、上述した軽水炉、高温ガス炉、ナトリウム炉は小型化が難しいので、石炭や重質油などの採掘現場に設置できず、原発で得られる水素や熱を利用する上で最重要な基礎的要件を満たすことが出来ないという欠点があった。これに対して非特許文献6及び特許文献1−2には、小型化が可能な溶融塩炉原発の発電への応用が開示されているが、石炭液化、重質油軽質化又は低品位石炭改質プロセスへの応用については全く記載が無い。
また特許文献3−6には、石炭液化に際して、微粉末の石炭を溶剤に分散させたスラリーにガンマ線などの放射線を照射して石炭の低分子量化を行う方法が開示されているが、照射源としては放射性同位元素を用いており、熔融塩炉原発の高温格納容器内でガンマ線を照射して石炭の低分子量化を行う方法については全く言及されていない。
また特許文献7には重質油軽質化のための水素化分解反応を容易に行うための前処理として、溶剤を添加してスラリー状にした重質油を不活性ガス雰囲気下で250〜800℃に加熱する方法が開示されている。しかしながら熔融塩炉原発の高温格納容器内でガンマ線を照射して重質油の低分子量化を行う前処理については全く言及されていない。
また特許文献8には、減圧蒸留残渣などの重金属を含有する石油系重質油を、天然リモナイト系鉄鉱石触媒を添加し、懸濁床反応器で水素化分解して軽中質油を得る方法が開示されているが、熔融塩炉原発によって得られる水素、熱、ガンマ線を利用する方法については全く言及されていない。
また特許文献9には、含水率が30〜70%と高い多孔質褐炭などの低品位石炭に、重質油を含有した溶剤からなる処理油を添加してスラリー状にし、油中で加熱脱水して発熱量を向上するとともに多孔質炭の細孔内に重質油を吸着させることで自然発火性を抑制する改質方法が開示されているが、熔融塩炉原発で発生した熱や電気を利用する方法については全く言及されていない。
特開昭62−130384号公報 特開平07−191171号公報 特開昭56−135595号公報 特開平05−059371号公報 特開平06−287567号公報 特開2000−087044号公報 特開2003−147371号公報 特開2008−163097号公報 特開平07−233383号公報
藤田和男監修、「トコトンやさしい石炭の本」、日刊工業新聞社、56-57頁、(2009) 角和昌浩ら、「日本石油産業界の新戦略候補:重質原油開発ビジネスモデル−クウエートのケース・スタデイーを参考に垂直統合型アプローチ−」、石油・天然ガスレビュー、2007.9、Vol.41、No.5、1-20頁 藤田和男監修、「トコトンやさしい石炭の本」、日刊工業新聞社、88-93頁、(2009) 堀雅夫、「原子力と水素」、水素エネルギーシステム、Vol.33、No.1、(2008)、4-10頁 佐藤博之ら、「動特性解析コードを用いた高温ガス炉に接続する水素製造システムの評価」、日本原子力学会和文論文誌、Vol.5、No.4、292-304頁、(2006) 古川和男著、「原発安全革命」、文藝春秋社、126-130頁、147-161頁、(2011)
本発明は、熔融塩炉原発で得られる水素、熱又はガンマ線を用いて、低コストで石炭液化、重質油軽質化又は低品位石炭改質を行うシステムを提供する。
上記の目的を達成するために、本発明は核分裂性燃料として「ウランU235、プルトニウムPu239又はウランU233」のフッ化物を用いる熔融塩原子炉を構成要素とする熔融塩炉原発と、石炭を液化する石炭液化装置、重質な原料油からより軽質な生成油を生成する重質油軽質化装置、又は、低品位石炭の燃焼特性を改良する低品位石炭改質装置とを備える石炭液化システム、重質油軽質化システム又は低品位石炭改質システムである。
また、前記石炭液化装置、重質油軽質化装置又は低品位石炭改質装置は、前記熔融塩炉原発によって発電した電気で水を電解して生成する水素及び/又は前記熔融塩原子炉で発生した熱を用いる上記の石炭液化、重質油軽質化又は低品位石炭改質システムも本発明である。
また、前記石炭液化装置、重質油軽質化装置又は低品位石炭改質装置は、前記熔融塩原子炉を包む高温格納容器内で、スラリー状にした「石炭又は重質油」にガンマ線を照射する上記の石炭液化、重質油軽質化又は低品位石炭改質システムも本発明である。
ここで、本発明の石炭液化システムと低品位石炭改質システムは単独で設置しても良いが、前記熔融塩炉原発を共有して併設するのがコスト面から好ましいことが多い。上記の低品位石炭の燃焼特性の改良には、例えば発熱量の向上や自然発火性の抑制などが含まれる。また、熔融塩炉原発で発電した電気で水を電解した際に副生する酸素は、石炭又は重質油を部分酸化して合成ガスを製造することに用いることができる。
また上記のシステムで使用されるプルトニウムPu239は、核弾頭の解体又は軽水炉の使用済み核燃料の再処理で得られるが、後者の場合、特許文献2の実施例2に記載されているように、例えば原子比で(Pu239:Pu240:Pu241:Pu242=56.5:25.3:13.2:5.0)で示されるPu240、Pu241、Pu242などのプルトニウム同位体を通常同伴していることが多い。これらの三つの同位体のうち、プルトニウムPu241は核分裂性燃料となる。
本発明により、熔融塩炉原発で発電した電気で水を電解して生成する水素、該原発の熔融塩炉で発生した熱又はガンマ線などを用いる低コストの石炭液化システム、重質油軽質化システム又は低品位石炭改質システムが可能になる。
本発明のシステムの1例を示すブロック図である。 実施例1に係る石炭液化システムを示すブロック図である。 実施例2に係る重質油軽質化システムを示すブロック図である。 実施例3に係る低品位石炭改質システムを示すブロック図である。
非特許文献6の126-130頁に記述されているように、米国のオークリッジ研究所で熔融塩実験炉MSREが、LiF-BeF2-ZrF4-UF4(65-29.1-5-0.9モル%)という組成の 燃料塩を用いて、1965年6月から1969年12月にわたって成功裏に運転された。この間に、ウランU235、プルトニウムPu239及びウランU233のフッ化物を核分裂性燃料として用いる実験が順調に行われた。本発明のシステムに備えられた熔融塩炉原発の熔融塩炉においても、該実験炉と同様に中性子の減速材として黒鉛を使用し、核分裂反応には熱中性子を用いる。
本発明は、核分裂性燃料としてウランU235、プルトニウムPu239 又はウランU233のフッ化物を用いる熔融塩炉を構成要素とする熔融塩炉原発を備える石炭液化、重質油軽質化又は低品位石炭改質システムであるが、熔融塩炉に燃料として添加するウランU235は通常ウランU238と共存しており、ウランU235の含有率は通常0.7%〜90%の範囲にある。またプルトニウムPu239は軽水炉の使用済み核燃料に含まれる超ウラン元素や核分裂生成物と共存していてもよいし、使用済み核燃料の再処理によって単離されたプルトニウムPu239でもよい。更に、ウランU235と共存するウランU238が熔融塩炉内で中性子を1個吸収してプルトニウムPu239に転換したものでも構わない。ここで、プルトニウムPu239はPu240、Pu241、Pu242などのプルトニウム同位体を同伴していても構わない。またウランU233は、親物質であるトリウムTh232の酸化物又はフッ化物を軽水炉などで照射して、一個の中性子を吸収させる方法で製造したものを添加してもよいし、熔融塩炉に親物質であるトリウムTh232を添加して、炉内において核分裂で生じる中性子を1個吸収させてウランU233に転換してもよい。ここで、軽水炉などを用いた中性子照射でU233を製造する場合は、未反応の親物質であるTh232が残存していても構わない。
本発明の熔融塩炉原発で使用する核分裂性燃料のウランU235、プルトニウムPu239、ウランU233は単独で用いても良いし、混合して用いても良いし、逐次的に添加して熔融塩炉内で共存させても良い。これらは例えば金属又はその酸化物をフッ化水素又はフッ素ガス或いはフッ素ガスの化合物と反応させて得られるフッ化物の形態で使用される。
本発明の熔融塩炉原発では、フッ化リチウムLiFとフッ化ベリリウムBeF2の二元系熔融塩LiF-BeF2が核分裂性燃料の溶媒として使用されるが、トリチウムの生成を抑制するため、リチウムは原子量7の同位体を99.9%以上に濃縮したものを用いる。該溶媒中に核分裂性燃料が溶解した燃料塩中にフッ化リチウムが40〜80モルパーセント程度含まれていれば、500℃以上では充分化学的に安定で低粘度の常圧液体となる。具体的には、LiF-BeF2-ZrF4-UF4(65-29.1-5-0.9モル%)でUは(U235+U238)又は(U233+Th232)、LiF-BeF2-Th232F4-Pu239F3(71.7-16-12-0.3モル%)、LiF-BeF2-Th232F4-U233F4(72-x-16-12-xモル%でxは約0.2モル%)、LiF-BeF2-Th232F4-U233F4-Pu239F3(72〜74、15〜18、13〜9、U233+Pu239で0.2〜0.8モル%)などの燃料塩組成がある。
図1を用いて本発明のシステムの1例を具体的に説明する。熔融塩炉1にはLiF-BeF2の二元系熔融塩溶媒に核分裂性燃料が溶けた燃料塩3が循環しており、炉入口の温度は通常550〜650℃程度であるが、炉内で核分裂反応が生じるので炉出口の温度は通常650〜750℃程度に上昇する。これを燃料塩ポンプ2によって中間熱交換器4に通して、NaBF4-NaFという組成の冷却材塩5に核分裂反応で生じた熱量を移す。中間熱交換器4の入口における冷却材塩5の温度は通常450〜550℃程度であり、また出口の温度は通常600〜700℃程度である。中間熱交換器4を出た冷却材塩5は水蒸気発生器6に入り、水と熱交換して通常400〜600℃程度の水蒸気8を発生させ、冷却材塩ポンプ7によって再び中間熱交換器4に戻される。水蒸気発生器6で発生した水蒸気8は水蒸気タービン9を回して発電機10で発電を行う。水蒸気タービン9を出て温度が下がった水蒸気は、復水器11で水となり、水ポンプ12によって水蒸気発生器6に戻される。
本発明のシステムにおいては、発電機10で発電された電気が電解に利用できるので、アルカリ水電解や固体高分子膜水電解などの公知の工業的方法により水電解装置17で水素を製造し、液化・改質装置(石炭液化装置、重質油軽質化装置又は低品位石炭改質装置
以下同じ)15で用いることが出来る。また発電機10で発電された電気は、水電解装置17による水素の発生のほかに、液化・改質装置15の駆動用・制御用・加熱用・照明用などの電気としても使用される。
本発明の水蒸気発生器6で発生した水蒸気8の一部は、液化・改質装置15の熱源として使用され、温度が下がった水蒸気は例えば減圧弁や膨張タービンなどの調圧機構16で調圧されて、水蒸気タービン9の出口の水蒸気と合流することが多い。熔融塩炉1の核分裂反応による熱で発生する水蒸気8の温度は上述したように通常400〜600℃程度であり、高温ガス炉出口のヘリウム温度の1000℃よりも大幅に低く、化石燃料の水蒸気改質など700℃以上の高温が必要な反応には使用できない。しかしながら本発明者は、石炭液化は300〜500℃程度、重質油軽質化は300〜500℃程度、低品位石炭改質は100〜300℃程度で行うことができるので、熔融塩炉1の核分裂反応による熱で発生する水蒸気8を熱源として使用することが可能であることを見出して本発明を完成した。尚、水蒸気8よりも高温である冷却材塩5を熱媒体として用いることも可能であるが、冷えると配管内で固化してしまうので、水蒸気8を用いる方が便利である。
本発明の熔融塩炉1、燃料塩ポンプ2、中間熱交換器4及びこれらを連結する配管などは強い放射線を発するので、燃料塩の融点である500℃以上に保たれた高温格納容器13の内部に設置されるが、該格納容器13の外壁は強いガンマ線を遮蔽するために、例えば厚いステンレス鋼の内張りを有する1メートル以上のコンクリート壁になっており、該コンクリート壁のステンレス鋼製内張りには、コンクリートが70℃以下になるように冷却水や冷却ガスが流通できる通路が設けられることが多い。この場合、コールドスタートアップ時に機器や配管を予熱して熔融塩が流動できるようにするために、コンクリート外壁を通して予熱用ヒーターを差し込む構造にすることが出来る。定常運転時は機器や配管からの放射熱で高温格納容器13の内部は500℃以上に保たれ、また大気圧以下の不活性ガスや2〜4パーセント程度の酸素を含む空気が満たされている。
本発明のシステムでは、上記の高温格納容器13のコンクリート外壁を貫いて設置されたU字型又は螺旋ループ型の配管14の中に石炭や重質油のスラリーを流すことにより、機器や配管の壁を通過して放射されているガンマ線を照射することができる。この前処理により、石炭や重質油に含まれる高分子量体の低分子量化が生じ、続く液化・改質装置15の温度や圧力を低くできて、製品のコストを安くできる。この場合、核分裂性燃料のウランU233は微量のウランU232を同伴しているが、該ウランU232は透過性の強い2.6MeVのガンマ線を放射するタリウムTl208を生み出すので、上記の低分子量化反応を促進する上で有利である。
勿論、上記のガンマ線照射は前処理なので省略することも可能であるし、特に低品位石炭改質システムでは省略されることが多い。また逆に、石炭や重質油のスラリーに触媒を添加してガンマ線照射を行い、高分子量体の低分子量化反応を実質的に終了させることも可能である。ガンマ線照射は1回だけ行ってもよいが、通常は石炭や重質油のスラリーを循環させて繰り返し行う。ガンマ線照射量は通常102〜1010レントゲンの範囲にあり、スラリーの流速や循環回数や照射用配管壁の材質・厚さによって調節することが可能である。ガンマ線照射時のスラリーの温度は常温〜500℃で圧力は常圧〜200kg/cm2であり、また照射時の雰囲気は、水電解装置17で得られる水素ガスの雰囲気とするのが、石炭や重質油に含まれる高分子量体の低分子量化反応を促進する上で好ましい。
本発明の石炭液化装置15(図1には液化・改質装置として図示)で使用される原料の石炭には、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭などがあり、石炭中に5〜30重量%含まれる水分を通常1〜2重量%まで乾燥した後、ロッドミル、ボールミル、振動ミル、デイスクミルなどの粉砕機を用いて150ミクロン以下の粒度の石炭粒子の収率が80%以上になるように粉砕する。上記の粉砕された石炭をスラリーに形成する溶剤としては、テトラリン、テトラヒドロアントラセンなどの芳香族成分の含有量が多い油が好ましく、石炭液化で生成する重質油を水素化して得られる、テトラリンなどを含有した石炭系溶剤が通常用いられる。石炭スラリーの濃度は、上記の粉砕された原料石炭の乾燥重量に対する溶剤の重量比(溶剤/原料石炭)で通常1〜20程度の範囲にある。本発明の石炭液化装置15(図1には液化・改質装置として図示)で使用される触媒は、主として入手が容易で安価な鉄触媒であり、具体的には合成硫化鉄触媒、水酸化鉄触媒又は天然鉄鉱石触媒などがある。これらの触媒の添加量は、無水、無灰ベースの原料石炭に対して通常0.5〜5重量%の範囲にある。石炭を液化するための水素化分解反応は、水素雰囲気下で圧力50〜200kg/cm2、温度300〜500℃、反応時間30〜120分で通常行われる。
本発明の重質油軽質化装置15(図1には液化・改質装置として図示)で使用される原料の重質油には、油田で採掘された重質油、石油精製時の常圧蒸留残渣油や減圧蒸留残渣油、石炭液化の残渣油、石炭低温乾留タール、コールタールなどの他に、オイルサンドビチューメン、タールサンドビチューメン、オリノコビチューメン、オイルシェールビチューメンなどの超重質油がある。上記の重質油をガンマ線照射の目的でスラリーにする溶剤としては、石油ナフサ、灯油、軽油又は天然ガスコンデンセートが好適に用いられ、重質油に対する溶剤の重量比(溶剤/重質油)は通常1〜20の範囲にある。スラリー化に用いた溶剤油は、ガンマ線照射後、次の工程である重質油の水素化分解反応の前に、蒸留や蒸発などの方法で大部分が回収されることが多い。
重質油軽質化装置15(図1には液化・改質装置として図示)で水素化分解反応に使用される触媒は、固定床反応器又は沸騰床反応器ではコバルトーモリブデンやニッケルーモリブデンなどの二元系触媒が通常用いられる。これに対して懸濁床反応器では、活性が高くコストが安くて使い捨て可能な天然リモナイト鉄鉱石触媒(平均粒子径は2ミクロン以下)などの鉄系触媒が用いられることが多く、石油系溶剤中で機械的に粉砕して製造される。この場合の触媒添加量は、鉄成分として重質油の通常0.3〜2重量%の範囲である。また助触媒として硫黄が添加されるが、その添加量は鉄系触媒中の鉄含有量に対して原子比で通常1〜3倍程度である。重質油を軽質化するための水素化分解反応は、水素雰囲気下で圧力50〜200kg/cm2、温度300〜500℃、反応時間30〜120分で通常行われる。また、原料重質油中の硫黄化合物や窒素化合物の含有率が高い場合には、上記の懸濁床反応器の生成物を気液分離して得られる気相分をコバルトーモリブデンやニッケルーモリブデンなどの二元系触媒が充填された固定床反応器で水素化処理して、硫黄化合物を硫化水素H2Sとし、窒素化合物をアンモニアNH3に変換することも可能である。上記の方法で生成した硫化水素やアンモニアは最終工程であるガス精製工程で捕集される。
本発明の低品位石炭改質装置15(図1には液化・改質装置として図示)で使用される低品位石炭には、褐炭、亜炭、亜瀝青炭などがあるが、これらの石炭は多孔質なので30〜70重量%もの水分を含有していて発熱量が低く、また輸送コストが高いので実用性が小さい。そのために乾式蒸発法や圧縮脱水法で含有水分を減じることが試みられているが、乾式蒸発法では脱水した後の細孔に酸素が吸着して自然発火する欠点がある。また圧縮脱水法では高圧装置が必要で設備コストが大きい上に、廃水の中に有機成分が多く含まれるので廃水処理設備が大掛かりになるという欠点がある。
これらの欠点を克服する目的で特許文献9には、数ミリ以下に粉砕した多孔質の原料炭を、アスファルトなどの重質油を含有した沸点100〜300℃の石油系溶剤からなる処理油と混合してスラリー状にし、圧力1〜10kg/cm2、100〜300℃で加熱脱水する石炭改質方法が開示されている。この方法では発熱量が瀝青炭並みに向上し、また脱水後の細孔に重質油が侵入して吸着するので自然発火性が有効に抑制される特徴がある。該改質方法で用いられるスラリーの(処理油/無水炭)の重量比は1〜20の範囲にあり、脱水後の石炭スラリーから石油系溶剤を除去して得られる粉末炭を圧縮することで、含有水分が20%以下で(吸着重質油/無水炭)が0.5〜30%の範囲にある固形燃料(ブリケット)が得られる。
次に実施例を示して、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図2に示す石炭液化システムを用いて、ロッドミル粉砕機で150ミクロン以下の粒度(収率80%)に粉砕した瀝青炭10トンの石炭液化を行う。含有水分が2%程度になるまで乾燥した石炭貯槽18内の原料炭と溶剤貯槽19内のテトラリンを含む石炭系溶剤を石炭スラリー調製槽20に供給し、攪拌機で混合して乾燥石炭に対する溶剤の重量比が(溶剤/原料炭)=2の石炭スラリーを調製する。該石炭スラリーをガンマ線照射用配管14で熔融塩炉原発の高温格納容器13に送ってガンマ線を照射後、戻ってきた石炭スラリーを触媒混合槽22に受け入れ、繰返し照射用配管41で再び高温格納容器13に送って循環させる。この際、熔融塩炉原発で発電された電気を用いて水電解装置17で得られた水素を繰返し照射用配管41に吹き込み、ガンマ線照射を常圧の水素雰囲気下で行う。ガンマ線照射後の石炭スラリーに、触媒貯槽21に貯蔵されている合成硫化鉄触媒(16ミクロン以下の粒子の含有率が90%程度)を原料石炭の乾燥重量の3重量%になるように添加して攪拌機で混合する。
得られた触媒含有石炭スラリーをプランジャー型の高圧ポンプ23で150kg/cm2まで加圧して、加熱器24を経由して石炭液化反応塔25に送入する。熔融塩炉原発の水蒸気発生器6で発生した水蒸気8によって、該石炭スラリーは加熱器24で加熱されるので、石炭液化反応塔25の反応条件である温度430℃、圧力150kg/cm2が維持される。この際、熔融塩炉原発で発電された電気を用いて水電解装置17で得られた水素が、水素ガス圧縮機36によって150kg/cm2まで加圧され、配管内の触媒含有石炭スラリーに加熱器24の前で圧入されて、石炭液化反応塔25における反応時間60分の間に石炭を水素化分解する。上記の石炭液化反応で得られた生成物は高圧高温分離器26に送られて軽質部分と重質部分に二分される。該軽質部分は減圧弁27によって減圧された後、常圧蒸留塔28によって生成ガス、軽中質油、水に分離され、それぞれ生成ガス捕集器29、軽中質油捕集器30、水捕集器31に捕集される。ここで、生成ガス中に含まれる未反応の水素は回収され、リサイクル水素として再び使用される。上記の石炭液化によって得られる液化油の収率はおよそ60%である。
一方、高圧高温分離器26で分離された重質部分は減圧弁32で減圧された後、減圧蒸留塔35(10〜50torrまで減圧)によって重質油(沸点260〜540℃)と残渣(沸点540℃以上)に分離され、残渣は残渣捕集器37に捕集される。上記の重質油は一旦常圧に戻された後、高圧ポンプ33で100kg/cm2に加圧され、熔融塩炉原発の水蒸気発生器6で発生した水蒸気8によって加熱器34で加熱されて、ニッケルーモリブデン触媒が充填された固定床の水素化反応塔38に送られる。この際、熔融塩炉原発で発電された電気を用いて水電解装置17で得られた水素が、水素ガス圧縮機39によって100kg/cm2まで加圧され、配管内の重質油に加熱器34の前で圧入されて、水素化反応塔38の温度350℃、圧力100kg/cm2の反応条件下で反応時間60分の間に重質油を水素化する。こうして得られた水素供与性の高いテトラリンなどを含む石炭系溶剤は、減圧弁40で減圧されて溶剤貯槽19に送られ、循環使用される。尚、上記の加熱器24及び加熱器34で加熱に使用されて温度の下がった水蒸気は調圧機構16に送られる。
図3に示す重質油軽質化システムを用いて、石油系重質油である減圧蒸留残渣の軽質化を行う。重質油貯槽42の減圧蒸留残渣と溶剤貯槽43の灯油を重量比で1:3になるようにスラリー調製槽44に供給し、攪拌機で混合してスラリー状とする。該重質油スラリーを、ガンマ線照射用配管14を用いて熔融塩炉原発の高温格納容器13との間を循環させ、ガンマ線を繰返し照射後、触媒混合槽47に移送する。移送の途中で、溶剤回収装置46により大部分の灯油を回収し、回収した灯油は溶剤貯槽43にリサイクルする。触媒混合槽47内の重質油に触媒貯槽45の天然リモナイト鉄鉱石触媒(平均粒子径1ミクロン)と助触媒の硫黄を添加するが、鉄触媒の添加量は鉄成分として重質油の1重量%とし、助触媒の硫黄は該鉄成分に対して原子比で1.2倍とする。
上記の触媒含有重質油を高圧ポンプ48で100kg/cm2に加圧して、加熱器50を通して懸濁床反応器51に送入するが、その際、水電解装置17で得られた水素を水素ガス圧縮機49で100kg/cm2に加圧して、配管内の重質油に加熱器50の前で圧入する。熔融塩炉原発の水蒸気発生器6で発生した水蒸気8によって、加熱器50で触媒含有重質油は予熱される。上記の懸濁床反応器51における水素化分解反応の条件は、圧力100kg/cm2、温度420℃、反応時間60分である。反応生成物は高圧高温分離器52で気液分離され、液相分は減圧弁53を通して低圧分離器54で再び気液分離され、その液相分は減圧弁55を通して減圧分離器56で気液分離される。この液相分の一部は触媒混合槽47にリサイクルされるが、残部は固液分離工程60に送られて、分離された固体分はスラッジ捕集器66で捕集され、液相分は触媒混合槽47にリサイクルされる。
高圧高温分離器52で分離された気相分は高圧低温分離器57に送られて気液分離され、分離された液相分は減圧弁58で減圧された後、低圧分離器54及び減圧分離器56の気相分と合流して蒸留塔59に供給される。この場合、固液分離工程60で分離された液相分の一部も蒸留塔59に送入される。蒸留塔59では沸点の異なる四成分に分離され、沸点の低い方からナフサ捕集器62、灯油・軽油捕集器63、減圧軽油捕集器64、残渣捕集器65に捕集される。勿論、灯油・軽油捕集器63に捕集される流体は、灯油と軽油として別々の捕集器に捕集しても構わない。油分の収率は80%程度である。上記の高圧低温分離器57で分離された気相分はガス精製工程61に送入され、未反応の水素は分離されて懸濁床反応器51にリサイクルされる。尚、上記の加熱器50で加熱に使用されて温度の下がった水蒸気は調圧機構16に送られる。
図4に示す低品位石炭改質システムによって、30〜40%の含水率で発熱量が4200kcal/kg程度の多孔質褐炭の改質を行う。数ミリ以下に粉砕された多孔質の原料炭と5重量%のアスファルトを含む灯油からなる処理油をほぼ同重量になるように混合部71に供給して攪拌によりスラリー状にする(石炭スラリー)。該処理油は、固液分離部74と乾燥部75から戻ってくる循環油と、循環油に対して6重量%程度の新規調整用である原料油から構成される。上記の石炭スラリーを予熱部72で加熱した後、蒸発部73に送入して圧力3 kg/cm2、130℃で油中脱水を行う。処理済のスラリーは固液分離部74に送られ、沈降、遠心分離、ろ過、圧搾などの手段で粉末石炭と油分に分離されるが、分離された油分は循環油として混合部71にリサイクルされる。得られた粉末石炭は乾燥部75で残存する水分と油分が除去され、分離された油分は循環油として混合部71にリサイクルされる。また分離された水分は蒸発部73で分離された水分と合流して廃水処理設備に送られる。乾燥後の粉末石炭は、輸送に便利なように成型部76で豆炭状のブリケットに成型されるが、その含水率は3〜4重量%であり、原料炭の含水率である30〜40重量%の約10分の1である。また該ブリケットの発熱量は、原料炭の4200kcal/kg程度から6400 kcal/kg程度に向上し、自然発火性も瀝青炭並みに低下している。
ここで、上記の予熱部72、蒸発部73、乾燥部75で使用される熱量は、熔融塩炉原発の蒸気発生器6で発生した水蒸気8によって供給され、温度の下がった水蒸気は調圧機構16に送入される。また、固液分離部74で用いられるデカンター、遠心分離機、ろ過機、スクリュー圧搾機などの機器及び成型部76で用いられるダブルロール成型機は、熔融塩炉原発で発電された電気で駆動される。

Claims (3)

  1. 核分裂性燃料として「ウランU235、プルトニウムPu239又はウランU233」のフッ化物を用いる熔融塩原子炉を構成要素とする熔融塩炉原発と、
    石炭を液化する石炭液化装置、
    重質な原料油からより軽質な生成油を生成する重質油軽質化装置、又は、
    低品位石炭の燃焼特性を改良する低品位石炭改質装置と
    を備えることを特徴とする石炭液化システム、重質油軽質化システム又は低品位石炭改質システム。
  2. 前記石炭液化装置、重質油軽質化装置又は低品位石炭改質装置は、前記熔融塩炉原発によって発電した電気で水を電解して生成する水素及び/又は前記熔融塩原子炉で発生した熱を用いることを特徴とする請求項1記載の石炭液化システム、重質油軽質化システム又は低品位石炭改質システム。
  3. 前記石炭液化装置、重質油軽質化装置又は低品位石炭改質装置は、前記熔融塩原子炉を包む高温格納容器内で、スラリー状にした「石炭又は重質油」にガンマ線を照射することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の石炭液化システム、重質油軽質化システム又は低品位石炭改質システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105355247A (zh) * 2015-11-19 2016-02-24 中国核动力研究设计院 采用超临界二氧化碳的新型熔盐堆能量转换系统
JP2018500574A (ja) * 2014-12-29 2018-01-11 テラパワー, エルエルシー 溶融核燃料塩および関連するシステムおよび方法

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