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JP2014112644A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 Download PDF

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JP2014112644A JP2013161875A JP2013161875A JP2014112644A JP 2014112644 A JP2014112644 A JP 2014112644A JP 2013161875 A JP2013161875 A JP 2013161875A JP 2013161875 A JP2013161875 A JP 2013161875A JP 2014112644 A JP2014112644 A JP 2014112644A
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潤 吉川
Tamao Susa
圭雄 須佐
Naoki Matsumoto
直樹 松本
Peter L G Ventzek
ヴェンツェ、ピ−ター、エル・ジー
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Tokyo Electron Ltd
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Abstract

【課題】印加する磁場を適正化することにより、プラズマを均一に生成するプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法の提供。
【解決手段】チャンバー1と、マイクロ波電力を出力するマイクロ波発生装置39と、前記マイクロ波電力をチャンバー1内部の特定のプラズマ生成位置に供給するアンテナ31と、チャンバー1の外部に設けられ、少なくとも前記特定のプラズマ生成位置に磁場を形成するコイル52と、チャンバー1の内部にて生成されたプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcがfc>feとなるようにコイル52により形成される前記磁場を制御する制御部70と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
ラジアルラインスロットアンテナ(Radial Line Slot Antenna)装置等のプラズマ処理装置は、プラズマを生成し、プラズマの作用によりウェハや基板等の被処理体に微細加工を施すことで、半導体デバイスを製造する。プラズマ処理装置では、プラズマを均一に生成することが重要である。特に、近似、LSIの高集積化及び高速化の要請から微細化が進んでいる。また、被処理体が大型化している。このような状況下、被処理体を良好に微細加工するためにプラズマの均一性は更に重要になっている。
そこで、プラズマの電子密度や均一性を向上させ、素子のダメージを抑制するための機構を備えたラジアルラインスロットアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1によれば、ラジアルラインスロットアンテナ装置に設けられた、マイクロ波を導入するためのアンテナの上方に磁界形成部を有し、当該磁界形成部により形成される磁界によってマイクロ波により処理容器内に生成されるガスのプラズマ特性を制御する。
国際公開第2008/108213号パンフレット
しかしながら、特許文献1では、スロットの位置や印加する磁場が適正化されておらず、被処理体の半径方向にてプラズマの均一性に偏りが生じるという課題を解決するには至っていない。
特に、50mTorr(6.66Pa)以下の低圧条件では、プラズマ処理装置の中心側のプラズマの電子密度は、外周側のプラズマの電子密度より高くなる傾向があり、中心側へのプラズマの電子密度の偏りによりプラズマ分布の制御がより困難になっている。
上記課題に対して、本発明は、印加する磁場を適正化することにより、プラズマ分布の制御性を高めることが可能なプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一の態様によれば、
処理室と、
高周波電力を出力する発振器と、
前記高周波電力を特定のプラズマ生成位置から前記処理室の内部に供給する電力供給手段と、
前記処理室の外部に設けられ、少なくとも前記特定のプラズマ生成位置に磁場を形成する磁場形成手段と、
前記処理室の内部にて生成されたプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcがfc>feとなるように前記磁場形成手段により形成される前記磁場を制御する制御部と、
を有することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
プラズマとなるガスが導入される処理室と、
前記処理室の外部に設けられ、該処理室の内部に載置された被処理体に対して垂直方向に磁場を形成する磁場形成手段と、
高周波電力を出力する発振器と、
前記処理室に設けられ、前記発振器により出力された高周波電力を通して該処理室に供給するアンテナ部と、
前記処理室の内部にて生成されたプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcがfc>feとなるように前記磁場形成手段により形成される前記磁場を制御する制御部と、
を有することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
前記高周波電力を特定のプラズマ生成位置から処理室内に供給する工程と、
前記処理室の外部に設けられ、少なくとも前記特定のプラズマ生成位置に磁場を形成する工程と、
前記処理室の内部にて生成されたプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcがfc>feとなるように前記磁場を制御する工程と、
を含むことを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
本発明の一実施形態によれば、印加する磁場を適正化することにより、プラズマ分布の制御性を高めることができる。
第1実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置の縦断面図。 第1実施形態に係るアンテナの平面図。 第1実施形態に係るスロット位置とプラズマの電子密度を説明するための図。 第1実施形態に係る磁場とプラズマの電子密度分布を示した図。 第1及び第2実施形態に係るプラズマの電子衝突周波数とサイクロトロン周波数とを示した図。 第1実施形態に係る磁場によるプラズマ制御のシミュレーションに使用する磁場の強度分布を示した図。 第1実施形態に係る縦磁場によるプラズマの電子密度分布のシミュレーション結果。 第1実施形態に係る縦磁場によるプラズマ分布の制御性を示した図。 第1実施形態に係る横磁場によるプラズマの電子密度分布のシミュレーション結果。 第1実施形態に係るパルス状の磁場によるプラズマの電子密度分布のシミュレーション結果。 第2実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置のアンテナ部を示した縦断面図。 第2実施形態において形成される磁場を示した図。 第2実施形態において磁場の状態を等高線で示した図。 第2実施形態において電子密度及び電子温度を等高線で示した図。 第2実施形態において電子密度及び電子温度を示した図。 第2実施形態においてプラズマ生成位置からのパワー出力比に応じた電子密度及び電子温度を等高線で示した図(磁場なし)。 第2実施形態においてプラズマ生成位置からのパワー出力比に応じた電子密度及び電子温度を等高線で示した図(磁場あり)。 第2実施形態においてプラズマ生成位置からのパワー出力比に応じた電子密度及び電子温度を等高線で示した他図(磁場あり)。 第2実施形態においてプラズマ生成位置からのパワー出力比に応じた電子密度を示した図(磁場あり)。 第2実施形態においてプラズマ生成位置からのパワー出力比に応じた電子温度を示した図(磁場あり)。 第2実施形態における磁石の配置と磁場発生例。 図21の磁石を用いたプロセスにてプラズマ生成位置とエッチングレートとの関係を示した図。 図21の磁石を用いたプロセスにてエッチングレートの圧力依存を示した図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
<第1実施形態>
[ラジアルラインスロットアンテナ装置の全体構成]
まず、本発明の第1実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置の縦断面図である。ラジアルラインスロットアンテナ装置100では、複数のスロットを有する平面上のアンテナ、例えばラジアルラインスロットアンテナ(Radial Line Slot Antenna)を通して処理室内にマイクロ波を導入する。ラジアルラインスロットアンテナ装置100においてマイクロ波により励起されるプラズマは、アンテナ直下の誘電体とプラズマとの界面に沿って伝播する表面波を利用して励起する表面波プラズマ(Surface Wave Plasma:SWP)である。表面波プラズマは、アンテナ直下の広い領域に亘って高いプラズマの電子密度を有している。このため、短時間で均一なプラズマ処理を行うことが可能である。また、表面波プラズマは、低電子温度であるため、素子へのダメージを小さくすることができる。
ラジアルラインスロットアンテナ装置100は、接地された略円筒状のチャンバー(処理室)1を有する。チャンバー1内には、気密に保持された状態でウェハWが搬入される。チャンバー1は、ハウジング部2と、その上に配置された円筒状チャンバーウォール3とを有している。ハウジング部2とチャンバーウォール3は、アルミニウムまたはステンレス鋼等の金属材料で作製されている。また、チャンバー1の上部には、処理空間にマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入部30が開閉可能に設けられている。
ハウジング部2の下部には、ハウジング部2の底板の中央部に形成された開口部10と連通するように排気室11が設けられている。これにより、チャンバー1の内部は均一に排気される。
ハウジング部2内にはプラズマ処理の対象となるウェハWを水平に支持するサセプタ5が設けられている。具体的には、サセプタ5は、排気室11の底部中央から上方に延びる円筒状の支持部材4により支持されている。サセプタ5および支持部材4は、石英やAlN、Al等のセラミックス材料により作製してもよい。特に、熱伝導性の良好なAlNでサセプタ5および支持部材4を作製することが好ましい。サセプタ5の外縁部にはウェハWをガイドするためのガイドリング8が設けられている。また、サセプタ5には、抵抗加熱型のヒータ6aが埋め込まれており、ヒータ電源6から給電されることによりサセプタ5を加熱し、その熱でサセプタ5に支持されるウェハWが加熱される。サセプタ5の温度は、サセプタ5に挿入された熱電対20によって測定される。制御部21は、測定値に基づき、ヒータ電源6からヒータへ供給される電流を制御する。例えば、ヒータ6aの温度は、室温から1000℃までの範囲で調整される。
また、サセプタ5には、ウェハWを支持して昇降させるためのウェハ支持ピン(図示せず)が設けられている。ウェハ支持ピンは、サセプタ5よりも上方へ突出し、サセプタ5よりも下方に退避することができる。サセプタ5の外側には、チャンバー1内を均一排気するためのバッフルプレート7が環状に設けられている。バッフルプレート7は、複数の支柱7aにより支持されている。チャンバー1の内周には石英で作製される円筒状のライナー42が設けられている。ライナー42は、金属材料で作製されるチャンバー1からの金属汚染を防止する役割を有している。ライナー42は、石英に代わり、セラミックス(Al、AlN、Y等)で作製されてもよい。
排気室11の側面には排気管23が接続されている。この排気管23には高速真空ポンプを含む排気装置24が接続されている。排気装置24を作動させることによりチャンバー1内のガスは、排気室11の空間11a内へ均一に排出され、さらに排気管23を介して排気される。これによりチャンバー1内の圧力を、所定の真空度、例えば2.67Pa程度にまで高速に下げることができる。
ハウジング部2には、その側壁に、ウェハWの搬入出を行うための搬入出口と、この搬入出口を開閉するゲートバルブとが設けられている(いずれも図示せず)。チャンバー1には、チャンバー1内に処理ガスを導入するためのガス導入路が形成されている。具体的には、ハウジング部2の側壁の上端に形成された段部18と、後述するチャンバーウォール3の下端に形成された段部19とにより、環状通路13が形成されている。
チャンバーウォール3の上端部は、例えばOリングなどのシール部材9cを介してマイクロ波導入部30と係合する。チャンバーウォール3の下端部は、例えばOリングなどのシール部材9a,9bを介してハウジング部2の上端と接合する。これによりチャンバーウォール3とマイクロ波導入部30の間、チャンバーウォール3とハウジング部2との間の気密状態が保たれる。また、チャンバーウォール3の内部には、ガス通路14が形成されている。
チャンバーウォール3の下端部には、下方に袴状(スカート状)に延びる環状の突出部17が形成されている。突出部17は、チャンバーウォール3とハウジング部2との境界(接面部)を覆い、比較的低い耐プラズマ性を有するシール部材9bがプラズマに直接に晒されるのを防止している。また、チャンバーウォール3の下端には、ハウジング部2の段部18と組み合わせて環状通路13が形成されるように段部19が設けられている。
さらにチャンバーウォール3の上部には、複数個(例えば32個)のガス導入口15aが内周に沿って均等に設けられている。ガス導入口15aは、チャンバーウォール3の内部で水平に延びる導入路15bを介してチャンバーウォール3内で鉛直方向に延びるガス通路14と連通している。
ガス通路14は、ハウジング部2の上部とチャンバーウォール3の下部との接面部に、段部18と段部19によって形成された溝からなる環状通路13に接続している。この環状通路13は、処理空間を囲むように略水平方向に環状に形成されている。また、環状通路13は、ハウジング部2内の任意の箇所(例えば均等な4箇所)において、ハウジング部2の側壁内で垂直方向に延びるように形成された通路12と接続され、通路12はガス供給装置16と接続されている。環状通路13は、各ガス通路14へガスを均等に供給するガス分配部としての機能を有している。これにより、特定のガス導入口15aから多量の処理ガスが処理空間へ供給されることが防止される。
このように本実施形態では、ガス供給装置16からのガスを、通路12、環状通路13、各ガス通路14を介して32個のガス導入口15aから均一にチャンバー1内に導入できるので、チャンバー1内のプラズマの均一性を高めることができる。
上述のとおり、チャンバー1はハウジング部2とその上に配置される円筒状のチャンバーウォール3とから構成されるため、チャンバー1は上向きに開口している。この開口は、マイクロ波導入部30により気密に閉じられている。ただし、マイクロ波導入部30は、図示しない開閉機構により開閉可能である。
マイクロ波導入部30は、透過板28と、透過板28の上方に配置されるアンテナ31と、アンテナ31の上面に配置される遅波材33とを有している。これらは、シールド部材34によって覆われている。また、透過板28、アンテナ31、及び遅波材33は、支持部材36を介して断面視L字形をした環状の押えリング35によりOリングを介してアッパープレート27の支持部材に固定されている。マイクロ波導入部30が閉じられた場合、チャンバー1の上端とアッパープレート27とはシール部材9cによりシールされる。さらに、アンテナ31、及び遅波材33は、透過板28を介してアッパープレート27に支持されている。
透過板28は、誘電体、具体的には石英やAl、AlN、サファイヤ、SiN等のセラミックスで作製される。透過板28は、マイクロ波を透過してチャンバー1内の処理空間に導入するマイクロ波導入窓(誘電体窓)として機能する。透過板28の下面(サセプタ5の対向面)は平坦状に限らず、マイクロ波を均一化してプラズマを安定化させるため、例えば凹部や溝を形成してもよい。透過板28には、大気圧と処理容器の内圧との差圧が加わるため、その厚みは平坦状の場合20〜30mm程度必要であるが、ドーム状とすることによりその厚みを10〜20%程度薄くすることができる。
透過板28の下面は、その外周部において、シール部材29を介して、アッパープレート27から内向きに放射状に延びる環状の突部27aにより支持されている。これにより、マイクロ波導入部30が閉じられたとき、チャンバー1内を気密に保持することが可能となる。
アンテナ31は、円板形状を有している。また、アンテナ31は、透過板28の上方において、シールド部材34の内周面に係止されている。このアンテナ31は、例えば表面が金または銀メッキされた銅板またはアルミニウム板からなる。アンテナ31には、アンテナ31を貫通する内周側のスロット孔32a(以下、スロット1とも称する。)及び外周側のスロット孔32b(以下、スロット2とも称する。)が所定のパターンで形成されている。スロット孔32a、32bは、マイクロ波などの電磁波を放射する。
図2に示したように、第1実施形態では、アンテナ31に形成されるスロット孔32a、32bは、隣接する2つのスロット孔が組み合わされて「T」字を形成している。これら複数のスロット孔32a、32bは、図2に示すように同心円状に配置されている。なお、スロット孔32a、32bの形状はこれに限られず、リング状、円弧状、螺旋状であってもよい。
遅波材33は、アンテナ31の上面に設けられている。遅波材33は、真空の誘電率よりも大きい誘電率を有しており、例えば、石英、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂やポリイミド系樹脂により構成されている。これにより、遅波材32では、マイクロ波の波長は、真空中でのマイクロ波の波長よりも短くなる。すなわち、遅波材32はプラズマの伝播を調整する機能を有している。なお、透過板28とアンテナ31とは、互いに密着してもいても離れていても良い。また、アンテナ31と遅波材33とは、互いに密着していても離れていてもよい。
シールド部材34には、冷却水流路(図示せず)が形成されており、そこに冷却水を流すことにより、シールド部材34、遅波材33、アンテナ31、透過板28、アッパープレート27を冷却することができる。これにより、これらの部材の変形や破損が防止され、安定したプラズマを生成することが可能である。なお、シールド部材34は接地されている。
シールド部材34の中央部の開口には、導波管37が接続されている。この導波管37の端部には、マッチング回路38を介してマイクロ波発生装置39が接続されている。これにより、マイクロ波発生装置39で発生した、例えば周波数2.45GHzのマイクロ波が導波管37を介してアンテナ31へ伝播される。マイクロ波の周波数は、8.35GHz、1.98GHz等でもよい。
導波管37は、シールド部材34の開口部から上方へ延出する断面円形状の同軸導波管37aと、この同軸導波管37aの上端部にモード変換器40を介して接続された矩形導波管37bとを有している。矩形導波管37bと同軸導波管37aとの間のモード変換器40は、矩形導波管37b内をTEモードで伝播するマイクロ波をTEMモードに変換する機能を有している。同軸導波管37aの中心には内導体41が延在しており、内導体41は、その下端部においてアンテナ31の中心に接続固定されている。これにより、マイクロ波は、アンテナ31へ放射状に効率よく均一に伝播される。
チャンバー1の外部には、チャンバー1の側壁の近傍にて、磁界を生成するためのコイル52がチャンバー1の半径方向に巻かれている。コイル52には、電源53が接続され、電源53からの電流がコイル52に流れると、チャンバー1内にチャンバー1に対して垂直方向(縦方向)の磁場(以下、単に縦磁場という。)が形成される。電源53からの電流値を変化させることで磁場の大きさと上下方向の向きを変えることができる。第1実施形態では、チャンバー1に対して水平方向(横方向)の磁場(以下、単に横磁場という。)は不要である。
なお、コイル52に替えて永久磁石を設けてもよい。その場合、上下でN,S極に分極した棒状の永久磁石を複数、チャンバー1の側壁の近傍に立てるように配置してもよいし、チャンバー1の外部であってチャンバー1の天井部と底部のいずれか一方にN極、いずれか他方にS極の永久磁石を配置してもよい。これによっても、チャンバー1内にて縦磁場を形成することができる。
制御部70は、図示しないCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPUはこれらの記憶領域に格納された各種レシピに従ってプラズマ処理を実行する。レシピにはプロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、処理室内温度(上部電極温度、処理室の側壁温度、ESC温度など)、圧力(ガスの排気)、各種プロセスガス流量などが記載されている。例えば、制御部70は、チャンバー1内に形成される縦磁場を制御するために、電源53の出力を制御する。なお、制御部70の機能は、ソフトウエアを用いて動作することにより実現されてもよく、ハードウエアを用いて動作することにより実現されてもよい。
以上、本実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100の全体構成について説明した。かかる構成のラジアルラインスロットアンテナ装置100において、マイクロ波がチャンバー1内に導入されると、導入されたマイクロ波の電界エネルギーによりガスが励起され、マイクロ波プラズマが発生する。ラジアルラインスロットアンテナ装置100では、特定のプラズマ生成位置は、高周波電力を通す誘電体窓として機能する透過板28の直下近傍にあり、透過板直下のプラズマの電子密度が、前記高周波電力の周波数カットオフ密度よりも高い場合、マイクロ波はプラズマ内に入り込むことができず、透過板28の下面とプラズマとの間を伝搬し、その一部がプラズマに吸収され、プラズマの維持に使われる。
上記プラズマ生成の原理により、マイクロ波プラズマは、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance Plasma)と比べると、プラズマの電子密度Neが高く、電子温度Teが低いため、高速でダメージの少ないプラズマ処理で高品質な製品を製造することができる。
[プラズマの電子密度]
(スロット位置による制御)
図3に示したように、マイクロ波は、導波管37(同軸導波管37a)を伝播し、遅波材33から複数のスロット孔32a、32bに通され、透過板28を透過してチャンバー1内に導入される。マイクロ波は透過板28で定在波となる。定在波は、スロット孔32a、32bの下方が最大電界強度となるような電界強度分布を形成する。よって、プラズマ空間U中に形成されるプラズマの電子密度は、スロット孔32a、32bの下方で最も高い分布となる。
本実施形態では、スロット孔32bは、チャンバー1の中心位置から半径16cmの位置に設けられ、スロット孔32aは、チャンバー1の中心位置から半径9cmの位置に設けられている。本実施形態では、ウェハWの径は300mmであり、スロット孔32bの位置は言い換えればウェハWの外縁部より外側に位置している。しかし、各スロット位置はこれに限らない。スロット孔32bは、チャンバー1の半径に対して、チャンバー1の中心位置から50%以上の位置に配置されていればよく、スロット孔32aは、チャンバー1の半径に対して、チャンバー1の中心位置から50%以下の位置に配置されていればよい。
アンテナ31がスロット孔32bのみを有する場合、生成されるプラズマの電子密度のピークは、スロット孔32bの下方、つまり、チャンバー1の中心位置から50%以上の位置になる。アンテナ31がスロット孔32aのみを有する場合、生成されるプラズマの電子密度のピークは、スロット孔32aの下方、つまり、チャンバー1の中心位置から50%以下の位置になる。よって、スロット孔32bを設けた場合のプラズマの電子密度のピークは、スロット孔32aを設けた場合のプラズマの電子密度のピークより外周側に存在する。このようにして、スロット孔を1または複数設ける位置により、プラズマの電子密度分布を制御することができる。
(磁場による制御)
また、縦磁場によってもプラズマの電子密度分布を制御することができる。例えば、図4は、チャンバー1の中心から半径方向へのプラズマの電子密度分布のシミュレーション結果を等高線で示した図である。図4(a)は縦磁場を印加しなかった場合、図4(b)は縦磁場を印加した場合である。
シミュレーションを実行する前提条件として、プロセス条件は、ガス種がアルゴンガス(Ar)であり、チャンバー1内の圧力は20mT(2.67Pa)、縦磁場の大きさを10G(10−3T)に設定した。
その結果、図4(a)に示した磁場を印加しなかった場合のプラズマの電子密度Neは、チャンバー1の中心側が外周側より高くなる分布を有している。この結果、エッチレートも中心側が外周側より高くなり、例えばプラズマエッチング等のプロセスの均一性に欠ける結果を生じさせる。
特に、50mTorr(6.66Pa)以下の低圧条件においては、プラズマの電子密度Neが中心側で高く、外周側で低くなる傾向が顕著になり、例えばプラズマエッチングの均一性が悪化する。特に低圧条件において、プラズマの電子密度Neが中心側で高くなる理由は、低圧状態では、プラズマ中の電子やイオンの衝突が起こりにくく、プラズマが拡散しやすいためである。その結果としてプラズマの電子密度Neが高い領域が中心側へ偏り、プラズマ分布の制御をより困難にする。
これに対して、図4(b)に示した縦磁場Bを印加した場合のプラズマの電子密度Neでは、プラズマの電子密度Neが高い領域が中心側から外周側に移動している。以上の結果から、縦磁場Bを印加することにより、プラズマの電子密度分布を変動させることができることがわかった。
このようにスロットの位置と縦磁場の印加により、プラズマの電子密度Neが高い領域を中心側から外周側に移動させることで、プラズマ分布の制御性を高めることができる。ここで、プラズマ分布の制御性が高いとは、プロセス条件を適正化することにより、プラズマを均一にすることができることを意味する。プラズマの電子密度Neが高い領域が中心側に偏っている場合、プラズマを均一にするためのプロセス条件の適正化は難しい。これに対して、プラズマの電子密度Neが高い領域が外周側(少なくともチャンバー1の半径の50%以上の領域)に位置する場合、プラズマを均一にするためのプロセス条件の適正化は容易になる。
以上に説明したように、スロットをチャンバー1の中心側から少なくともチャンバー1の半径の50%以上に位置させた状態で、チャンバー1に対して主に縦磁場Bを10G(10−3T)程度又はそれ以上印加することが好ましい。その際、ウェハWと透過板28との間のギャップ長は、チャンバー1の半径以下であることが好ましい。
さらに、少なくともサイクロトロン周波数が電子の衝突周波数より大きくなるようにプロセス条件を設定する必要がある。以下では、サイクロトロン周波数と電子の衝突周波数との関係について説明する。
[サイクロトロン周波数とプラズマの電子衝突周波数]
図5は、アルゴン(Ar)ガスから生成したプラズマの電子衝突周波数feとサイクロトロン周波数fcとの関係を示したグラフである。図5は、横軸がプラズマの電子温度、縦軸が衝突周波数を示す。図5の結果は、以下のシミュレーション条件及びプロセス条件に基づくシミュレーションにより求められる。
<シミュレーション条件>
本実施形態で行ったシミュレーションでは、2次元の両極性拡散近似を用いたプラズマ計算法(2D quasi neutral plasma model)を使用した。例えば、2次元の両極性拡散近似を用いたプラズマ計算法としては、以下の文献1,2に開示された方法を用いることができる。
文献1:
A.Tsuji, Y.Yasaka, S.Y.Kang, T.Morimoto, I.Sawada,Thin Solid Films 516,4368, 2008
文献2:
J.Brcka and S.Y.Kang, Plasma Process. Polym.6,S776, 2009
<プロセス条件>
チャンバー1内圧力 20mT(2.67Pa)、200mT(26.7Pa)、2T(267Pa)
マイクロ波電力 3kW
ガス種/ガス流量 アルゴンガス(Ar) 1000sccm
縦磁場 1G〜50G(10−4T〜50−3T)
プラズマの電子衝突周波数feは、電子がチャンバー1内の粒子(この場合アルゴン粒子)と衝突する頻度で表すことができる。上記シミュレーションでは、プラズマの電子衝突周波数feは、近似的にアルゴンガスのレートコンスタント(電子と中性粒子(この場合アルゴン粒子)の弾性衝突における反応速度定数)にガスの密度を乗算することにより算出される。アルゴンガスのレートコンスタントは、次式(1)を用いて算出する。

ここで、式(1)のTe[k]は、プラズマの電子温度である。
上記シミュレーションの結果に基づき、20mT、200mT、2Tのときのアルゴンプラズマの電子衝突周波数feと、1G(10−4T)、5G(50−4T)、50G(50−3T)のときの3パターンのサイクロトロン周波数fcとを図5に示した。
図5のシミュレーション結果によれば、プラズマの電子衝突周波数feは、圧力及びプラズマの電子温度によって変化することがわかる。具体的には、圧力が高くなるほどプラズマの電子衝突周波数feは大きくなる。これは、圧力が高くなるほどプラズマ空間中に存在する電子の数が多くなるため、電子の衝突頻度が高まるからである。
また、プラズマの電子温度が高くなるほどプラズマの電子衝突周波数feは大きくなる。これは、プラズマの電子温度が高くなるほど電子の移動スピードが速くなるため、電子の衝突頻度が高まるからである。なお、プラズマの電子衝突周波数feは、ガス種によっても変わる。
一方、図5のサイクロトロン周波数fcは、印加する縦磁場の大きさによって変化することがわかる。具体的には、縦磁場が大きくなるほどサイクロトロン周波数fcは大きくなる。しかしながら、サイクロトロン周波数fcは、プラズマの電子温度の大きさによっては変化しない。サイクロトロン周波数fcは、次式(2)を用いて算出する。

ここで、qは、エレメンタリーチャージ、mは電子の質量、Bは磁場である。
縦磁場の印加及び縦磁場と横磁場を含む磁場の印加が、プラズマ分布の制御性に影響を与えるためには、「縦磁場を印加したときのサイクロトロン周波数fcがプラズマの電子衝突周波数feよりも大きい」という条件を満たす必要がある。その理由を説明する。プラズマ中の電子の動きで見ると、電子衝突周波feがサイクロトロン周波数fcより大きい場合、電子がチャンバー1内の粒子と衝突する頻度が相対的に高くなり、縦磁場を印加しても縦磁場の影響を受けて電子が移動する確率は相対的に低くなる。つまり、電子衝突周波feがサイクロトロン周波数fcより大きい場合、電子がチャンバー1内の粒子と衝突する方が支配的になり、縦磁場によって電子を制御することは困難となる。よって、電子衝突周波feがサイクロトロン周波数fcより大きい場合には、プラズマの電子密度が高い領域を中心側から外周側にシフトさせることは困難である。
一方、サイクロトロン周波数fcが電子衝突周波feより大きい場合、電子がチャンバー1内の粒子と衝突する頻度が相対的に低くなり、印加した縦磁場の影響を受けて電子が移動する確率が相対的に高くなる。つまり、サイクロトロン周波数fcが電子衝突周波feより大きい場合、縦磁場の影響を受けて電子が移動する方が支配的になり、縦磁場によって電子を制御することが可能になる。よって、サイクロトロン周波数fcが電子衝突周波feより大きい場合、には、プラズマの電子密度が高い領域を中心側から外周側にシフトさせることができる。これにより、プラズマ分布の制御性を高めることができる。
実際に、サイクロトロン周波数fcがプラズマの電子衝突周波数feより大きくなる条件を満たすためには、縦磁場、圧力、プラズマの電子温度等を適正化する必要がある。例えば、制御部70により制御される縦磁場によって、サイクロトロン周波数fcがプラズマの電子衝突周波数feより大きくなる条件を満たすようにすることができる。
前述したように、磁場を印加しない場合、低圧のときほどプラズマ分布の制御性が悪くなる傾向がある。しかしながら、図5のシミュレーション結果によれば、サイクロトロン周波数fcがプラズマの電子衝突周波数feより大きくなる条件を満たすためには、高圧ほど大きな縦磁場を印加しなければならない。それとは反対に、低圧ほど小さな縦磁場でも上記条件を満たすことができる。よって、本実施形態の縦磁場を用いたプラズマ制御では、低圧の場合に効果的にプラズマ分布を制御できる点が特徴の一つである。
また、図5のシミュレーション結果によれば、低電子温度の領域でサイクロトロン周波数fcがプラズマの電子衝突周波数feより大きくなる条件を満たす。よって、本実施形態では、より低電子温度の領域で効果的にプラズマ分布を制御できる点も特徴の一つとなっている。本実施形態にてプラズマ処理を行うラジアルラインスロットアンテナ装置100は、低電子温度のプラズマを生成できるため、本実施形態のプラズマ制御と相性がよいことも特徴の一つである。
以上に説明したように、本実施形態に係るプラズマ制御によれば、スロットの位置や印加する縦磁場の適正化により、ある程度低い強度の縦磁場を用いてイオンフラックスに大きな影響を与えることなく、特に低圧状態においてプラズマの電子密度が高い領域を中心側から外周側にエッジシフトさせることができる。これにより、プラズマ分布の制御性を高めることができる。
ここで、ある程度低い強度の縦磁場とは、1G〜50G(10−4T〜50−3T)程度の縦磁場をいう。プロセス中のウェハWへの磁場による影響を考慮すると、それ以上の強度の縦磁場をプロセス中に印加することは好ましくない。本実施形態に係るプラズマ制御は、1G〜50G(10−4T〜50−3T)程度の小さな縦磁場によるプラズマ制御をプロセスに影響を与えずに実行できる点においても優れている。
ただし、1G〜50G(10−4T〜50−3T)の範囲の縦磁場を印加したときに、サイクロトロン周波数fcがプラズマの電子衝突周波数feより大きくなる条件を満たす圧力帯は、ガス種及びプラズマの電子温度によって異なる。図5のアルゴンガスから生成したプラズマでは、サイクロトロン周波数fcがプラズマの電子衝突周波数feより大きくなる条件を満たすためには、プラズマの電子温度は、0.5eV〜5eVであることが好ましく、チャンバー内の圧力は、20mT〜200mT(2.67Pa〜26.7Pa)に制御することが好ましい。
[スロット位置及び磁場の適正化]
次に、スロット位置(スロット1、スロット2)の適正化、及び磁場(縦磁場、横磁場)の適正化を図るために行ったシミュレーション結果について説明する。シミュレーションには、2次元の両極性拡散近似を用いたプラズマ計算法を使用した。スロット1は、図3に示したスロット孔32aであり、チャンバー1の中心位置から半径9cmの位置に形成された貫通口である。スロット2は、図3に示したスロット孔32bであり、チャンバー1の中心位置から半径16cmの位置に形成された貫通口である。
図6は、シミュレーション条件として、
(a)チャンバーの半径方向に対して磁場を一様に印加する場合、
(b)チャンバーの半径方向に対してチャンバーの中心から外周側へ向かうほど、強い磁場を印加する場合(以下、傾斜させて印加した場合という。)、
の2通りについて、縦磁場をチャンバーに印加した際のシミュレーション結果を算出した。その結果を図7に示す。
具体的には、図7(a)は、図6の(a)に示したように縦磁場を一様に印加した場合であって、アンテナ31にスロット1(図3の中心側のスロット孔32a)を設けた場合の半径方向のプラズマの電子密度Neを示す。
図7(b)は、図6の(a)に示したように縦磁場を一様に印加した場合であって、アンテナ31にスロット2(図3の外周側のスロット孔32b)を設けた場合の半径方向のプラズマの電子密度Neを示す。
図7(c)は、図6の(b)に示したように縦磁場を傾斜させて印加した場合であって、アンテナ31にスロット1(図3の中心側のスロット孔32a)を設けた場合の半径方向のプラズマの電子密度Neを示す。
図7(d)は、図6の(b)に示したように縦磁場を傾斜させて印加した場合であって、アンテナ31にスロット2(図3の外周側のスロット孔32b)を設けた場合の半径方向のプラズマの電子密度Neを示す。
その結果、図7(a)〜図7(d)を参照すると、縦磁場を印加した場合(1G(10−4T),5G(50−4T),10G(10−3T),50G(50−3T))には、磁場を印加しない場合(B=0)と比較して、プラズマの電子密度Neのピークを中心側から外周側に移動させることができることがわかる。その際、縦磁場を印加した場合(1G,5G,10G,50G)は、磁場を印加しない場合(B=0)と比較して、プラズマの電子密度分布の変動幅が大きいほど、磁場によるプラズマ分布の制御性が高いことを示す。
この観点から図7(a)〜図7(d)を考察すると、図7(b)及び図7(d)に示したスロット2の位置では、図7(a)及び図7(c)に示したスロット1の位置より、プラズマ分布の制御性が高いことがわかる。また、図7(a)及び図7(b)の「一様に縦磁場を印加した場合」は、図7(c)及び図7(d)の「傾斜した縦磁場を印加した場合」よりプラズマ分布の制御性が高いことがわかる。
以上から、チャンバー内に縦磁場を印加すると、次の効果を得ることができることがわかった。
(1)縦磁場を印加すると、磁場を印加しない場合(B=0)と比較して、プラズマの電子密度Neが高い領域を中心側から外周側へ移動させることができ、プラズマ分布の制御性を高めることができる。
(2)外周側のスロット2を設けた場合、中心側のスロット1を設けた場合と比較して、縦磁場によるプラズマの電子密度Neへの影響を大きくすることができ、プラズマの電子密度Neが高い領域を中心側から外周側へより大きく移動させることができ、プラズマ分布の制御性をより高めることができる。
(3)一様な磁場を印加した場合、一様でない磁場を印加した場合と比較して、プラズマの電子密度Neのピークを中心側から外周側へより大きく移動させることができ、プラズマ分布の制御性をより高めることができる。
よって、スロットの位置を、スロット2のように外周側(チャンバーの中心位置から50%以上の位置)に設け、一様な縦磁場をチャンバーに印加した場合に、特にプラズマ分布の制御性を高めることができることがわかった。
上記結果をプラズマ分布の制御性として数値化し、図8に示した。プラズマ分布の制御性は、次式(3)を用いて算出する。

ここで、式(3)中のnは、プラズマの電子密度を示す。位置rは、ウェハWの中心からウェハWの外縁(ウェハのエッジ)までのウェハの半径の位置を示す。つまり、式(3)は、プラズマの電子密度nとその位置rとの積を、ウェハの半径方向に0mm〜150mmまで積分した値である。
式(3)では、ウェハWの外周側のプラズマの電子密度nが高いほど、プラズマ分布の制御性が高くなる。
図8を参照すると、前述したとおり、最も制御性が高いのは、図8の「(a)スロット2」に示した、スロットの位置を外周側のスロット2に設け、一様な縦磁場を印加した場合であった。2番目に制御性が高いのは、図8の「(b)スロット2」に示した、スロットの位置を外周側のスロット2に設け、縦磁場を傾斜させて印加した場合であった。
3番目に制御性が高いのは、図8の「(a)スロット1」に示した、スロットの位置を内周側のスロット1に設け、一様な縦磁場を印加した場合であった。最も制御性が低いのは、図8の「(b)スロット1」に示した、スロットの位置を内周側のスロット1に設け、縦磁場を傾斜させて印加した場合であった。以上、スロット位置及び縦磁場のプラズマ分布の制御性への影響について検証した。
次に、印加する磁場が横磁場の場合について、スロット位置及び横磁場のプラズマ分布の制御性への影響について検証する。具体的には、図9(a)は、図6の(a)に示したように横磁場を一様に印加した場合であって、アンテナ31にスロット1(図3の中心側のスロット孔32a)を設けた場合の半径方向のプラズマの電子密度Neを示す。
図9(b)は、図6の(a)に示したように横磁場を一様に印加した場合であって、アンテナ31にスロット2(図3の外周側のスロット孔32b)を設けた場合の半径方向のプラズマの電子密度Neを示す。
図9(a)及び図9(b)によれば、横磁場を印加した場合(1G,5G,10G,50G)は、横磁場を印加しない場合(B=0)と比較して、横磁場がプラズマの電子密度Neの分布にほとんど影響を及ぼしていないことがわかる。具体的には、横磁場を印加しても、外周側にプラズマの電子密度Neのピークが移動せず、磁場を印加していない場合と同様に、中心側のプラズマの電子密度Neが高く、外周側のプラズマの電子密度Neが低くなっている。つまり、横磁場を印加しても、中心側にプラズマの電子密度Neの偏りがあるため、プラズマに均一性がなく、プラズマ分布の制御性が低いことがわかる。
以上のシミュレーション結果から、本実施形態においてプラズマ分布の制御に使用する磁場は、チャンバーの縦方向に印加される縦磁場であることが必要であり、横磁場を印加しても意味がないことがわかった。
フレミングの左手の法則によれば、横磁場が印加され、外側に力が働くと、電子は上下方向へ移動し、左右方向への移動は拘束される。つまり、チャンバーの半径方向への電子の移動は拘束される。よって、横磁場を印加しても、プラズマの電子密度は中心側から外周側へシフトしない。したがって、横磁場を印加してもプラズマ分布の制御性を高めることは困難である。一方、縦磁場が印加され、外側に力が働くと、電子は左右方向へ移動し、上下方向への移動は拘束される。つまり、チャンバーの半径方向への電子の移動は拘束されない。よって、縦磁場を印加すると、プラズマの電子密度は中心側から外周側へシフトする。したがって、縦磁場を印加するとプラズマ分布の制御性を高めることができる。以上から本実施形態によるプラズマ分布の制御では、縦磁場を印加する必要がある。
[縦磁場のパルス制御]
最後に、縦磁場をパルス状に印加した場合のシミュレーション結果について説明する。シミュレーションには、2次元の両極性拡散近似を用いたプラズマ計算を用いた。スロットは、スロット2の位置に設けられ、磁場をオンしているときには、10Gの縦磁場を印加した。
その結果を図10に示す。図10の横軸は、ウェハの半径方向の距離を示し、縦軸は、プラズマの電子密度Neを示す。「B on」の曲線は、10Gの縦磁場を連続的に印加した場合のプラズマの電子密度Neを示し、「B=0」の曲線は、磁場を印加しない場合のプラズマの電子密度Neを示す。「B パルス」の曲線は、縦磁場のオン、オフを時分割制御することで、縦磁場のオン、オフを繰り返すパルス状の縦磁場を印加した場合のプラズマの電子密度Neを示す。
「B パルス」の曲線は、「B on」の曲線と「B=0」の曲線との時間平均的な分布として、より平らなプラズマの電子密度分布Neとなる。つまり、パルス状の縦磁場を印加した場合、連続的に縦磁場を印加した場合に比べて、より均一性の高いプラズマの電子密度分布が得られる。また、パルス状の縦磁場を印加した場合(「B パルス」の曲線)は、プラズマの電子密度Neの高い領域をより外周側にシフトすることができ、プラズマ分布の制御性をより向上させることができる。なお、このような縦磁場のパルス制御は、制御部70により実行される。制御部70は、縦磁場の印加のオン及びオフを時分割で切り替えて、該磁場をパルス制御する。
<第2実施形態>
従来の手法では、1mTorr(0.133Pa)〜50mTorr(6.66Pa)の低圧条件において、プラズマ分布を制御することは困難であった。前記低圧条件においてプラズマ分布を制御するための一案としては、ウェハの上面からチャンバー1の天井部の下面までの距離であるギャップを狭くすることが考えられる。しかし、この場合、プラズマ照射によりウェハの温度が高くなりプロセス中にウェハにダメージが与えられる可能性は高くなる。また、表面波プラズマ特有の定在波の分布が、例えばエッチングレートの不均一等ウェハの処理に影響を与えるため得策ではない。
[装置構成の概要]
これに対して、第2実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100では、縦磁場と横磁場の両成分を有する1G(10−4T)〜50G(50−3T)程度の比較的小さな磁場を印加する。これにより、1mTorr〜50mTorrの低圧条件においてもプラズマ分布の制御を行うことができる方法を見出した。以下では、第2実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100の構成及び本装置を用いたプラズマ分布の制御について説明する。
第2実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100の基本的な構成は、図1に示した第1実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100の構成と同じである。
第1実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100と構成上で異なる部分は、第1実施形態で設けられたスロット孔32a、32bが第2実施形態では設けられていない点である。第2実施形態では、その替わりに、図11に示したように、ラジアルラインスロットアンテナ装置100の天井部に設けられた透過板28の下面の外周側に凹部28bが設けられている。
第2実施形態におけるアンテナ部130は、透過板28を含み、内導体41の表面を伝播するマイクロ波をチャンバー1内に供給する。なお、第1実施形態におけるアンテナ部は、アンテナ31と透過板28とを含み、内導体41の表面を伝播するマイクロ波をチャンバー1内に供給する。各実施形態における電力供給手段は、高周波電力を特定のプラズマ生成位置からチャンバー1内に供給するアンテナ部に相当する。
マイクロ波は、アンテナ部130の中心から透過板28を透過する際、凹部28bの形成によって定まる伝播経路を通ってチャンバー1内に導入される。つまり、透過板28の下面の外周側に凹部28bを形成することで、透過板28を透過するマイクロ波は、凹部28bの内部中央及び凹部28bの中心側の端部近傍28aが主な伝播経路となり、それらの位置から主にチャンバー1内に出力される。よって、凹部28bの内部中央及び凹部28bの中心側の端部近傍28aの電界強度は、透過板28の下面の他の部分の電界強度よりも高くなる。この結果、凹部28bの内部中央及び凹部28bの中心側の端部近傍28aの位置が、主なプラズマのパワー吸収位置となる。以下、凹部28bの中心側の端部近傍28aの位置の直下を内側のプラズマ生成位置132aとし、凹部28bの内部中央の位置の直下を外側のプラズマ生成位置132bとする。内側のプラズマ生成位置132aの下方ではプラズマ生成領域1(Region1)が形成され、外側のプラズマ生成位置132bの下方ではプラズマ生成領域2(Region2)が形成される。
以上のマイクロ波の伝播経路及びチャンバー1内への出力の状態から、第1実施形態のスロット孔と第2実施形態の凹部とは同等の機能を有する。
凹部28bは、チャンバー1の直径に対してチャンバー1の中心位置から50%以上の位置に配置される。本実施形態では、特定のプラズマ生成位置は、少なくとも外側のプラズマ生成位置132bを含む。つまり、外側のプラズマ生成位置132bは特定のプラズマ生成位置の一例であり、チャンバー1の直径に対してチャンバー1の中心位置から50%以上の位置に配置されればよく、内側のプラズマ生成位置132aの位置はいずれの位置でもよい。本実施形態では、内側のプラズマ生成位置132aは、チャンバー1の直径に対してチャンバー1の中心位置から50%以下の位置に配置される。特定のプラズマ生成位置は、本実施形態の外側のプラズマ生成位置132bの位置に限られず、チャンバー1の直径に対してチャンバー1の中心位置から50%以上の位置に1又は2以上設けられてもよい。更に、特定のプラズマ生成位置は、チャンバー1内に載置されたウェハの外縁部より外側に形成されていることがより好ましい。
本実施形態では、電磁石54が、チャンバー1の外部であってアンテナ部130の側壁にてチャンバー1を囲むようにリング状に設けられている。ただし、電磁石54の配置や形状はこれに限られず、チャンバー1の天井部の上部又は側部であってチャンバー1の外周側であればいずれの位置に設けられてもよい。チャンバー1の外周側とは、チャンバー1の直径に対してチャンバー1の中心位置から50%以上の位置である。特に、電磁石54は、チャンバー1の天井部の外周端部付近に設けることが好ましい。また、電磁石54は、プラズマ生成位置の近傍に設けることが好ましい。これにより、図12に示されるように、チャンバー1の天井部の外周端部付近の電磁石54を軸とした同心円状の磁場Bが発生する。電磁石54は、チャンバー1の内部に垂直方向の成分とチャンバー1の径方向に外側に向かう成分を含む磁界を形成する。なお、図12に示した反時計周りの磁場の他、図12に示した磁場と逆向きの磁場、つまり、時計回りの磁場を形成しても、電子がチャンバー1の外周側に移動する効果を得ることができる。その場合には、図12に示した電磁石54に逆向きの電流を流すことで図12に示した磁場と逆向きの磁場を形成することができる。
電磁石54は、チャンバー1の外部に設けられ、少なくとも特定のプラズマ生成位置に少なくとも垂直方向の磁場を含む磁場を形成する磁場形成手段の一例である。磁場形成手段は、永久磁石であってもよい。第1実施形態のコイル52も前記磁場形成手段の一例であるが、第1実施形態の磁場形成手段が形成する磁場には、チャンバー1の径方向の磁場(横磁場)は含まない。一方、第2実施形態の磁場形成手段が形成する磁場には、垂直方向の成分と径方向に外側に向かう成分とが含まれる。
更に、本実施形態では、電磁石54により形成された磁場がウェハWに到達しないように、チャンバー1の天井部からウェハWまでのギャップが設定される。本実施形態では、図11に示すように、ウェハWの上面から天井部の下面までのギャップ(Gap)は245mmである。ギャップは、電磁石54により形成された磁場がウェハWに到達しない距離であればよい。
なお、第1実施形態にて図5を参照しながらプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcの関係を説明したが、第2実施形態においても同様にチャンバー1内にて生成されたプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcがfc>feとなるように磁場が制御される。
以上、第2実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100の構成について説明した。
[磁場]
(磁場によるプラズマ制御)
次に、かかる構成のラジアルラインスロットアンテナ装置100において、電磁石54の有無及び磁束密度の大きさによってプラズマ生成領域でのプラズマの状態がどのように変化するかのシミュレーションを行った。図13は、シミュレーションに用いた磁場の等高線を示す。本シミュレーションでは、比較的小さな磁場として2G〜8G(2×10−4T〜8×10−4T)の磁場、3.8G〜17G(3.8×10−4T〜1.7×10−3T)の磁場、7G〜33G(7×10−4T〜3.3×10−3T)の磁場の3種類の磁場を形成した場合と磁場を形成しない場合とを、磁場に関するシミュレーションの条件とした。
そのシミュレーション結果としてプラズマの電子密度Ne及び電子温度Teを等高線で図14に示す。磁場の有無で天井面の下に形成されるプラズマの電子密度Ne(1/m)及び電子温度Te(eV)に変化が見られる。
電磁石54がない(磁場がない)最左図の電子密度Neと比較して、それ以外の図が示す電磁石54がある(磁場がある)場合の電子密度Neの分布では、電子は、基本的に図12に示した磁場の方向に追従して移動していることがわかる。つまり、本実施形態では、電磁石54によってチャンバー1の内部にて垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場を形成することで、プラズマの分布をウェハの中心側から外周側に移動させるように制御することができる。
また、磁束密度が大きい程、磁場の方向に追従する電子が多くなる。よって、磁束密度が大きい程、プラズマの分布をより外周側に移動させる効果が高くなる。右端図は、シミュレーション対象の3種類の磁場のうち最も磁束密度が大きい場合のシミュレーション結果を示す。この場合、プラズマの電子密度Neの分布のピークが、最もチャンバー1の外周側に移動していることがわかる。
更に、電磁石54がある場合(磁場がある場合)には、磁場がない場合よりもウェハの上方の電子温度Teを低くすることができる。つまり、本実施形態では、チャンバー1の内部にて垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場を形成することで電子がチャンバー1の外側に移動することを利用して、チャンバー1の中心側に載置されているウェハ上の温度が高温になることを抑制できる。これにより、プラズマ処理時にウェハにダメージが与えられることを回避できる。
図15は、以上のシミュレーション結果に基づきウェハの表面から5mm上方の位置におけるプラズマの電子密度Ne及び電子温度Teを示したグラフである。図15の(a)は、ウェハの径方向の距離に対する電子密度Neを示す。横軸の「0」は、ウェハの中心位置を示す。図15の(b)は、図15の(a)の電子密度Neを、ウェハの中心位置の電子密度Neを「1」として規格化したグラフである。図15の(c)は、ウェハの径方向の距離に対する電子温度Teを示す。図15の(d)は、図15の(c)の電子温度Teを、ウェハの中心位置の電子温度Teを「1」として規格化したグラフである。
これによれば、本実施形態では、チャンバー1の内部にて垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場を形成することで、磁場がない場合と比較してウェハの外周側での電子密度Neを上昇させ、ウェハの径方向にて電子密度Neがより均一なプラズマを生成できる。また、磁場が低い(2〜8G)場合よりも、磁場が高い(7〜33G)場合の方がよりウェハの外周側での電子密度Neが高くなり、プラズマ分布の制御性が高くなることがわかる。
また、本実施形態では、チャンバー1の内部にて垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場を形成することで、磁場がない場合と比較してプラズマの電子温度Teが低くなる。特に、本実施形態の磁場を形成することで、磁場がない場合と比較してウェハの中心側で電子温度Teが低くなり、ウェハの径方向に電子温度Teがより均一なプラズマを生成できる。これにより、プラズマ処理時のウェハへのダメージを少なくすることができる。
(プラズマ生成位置と磁場によるプラズマ制御)
次に、磁場によるプラズマへの影響がプラズマ生成位置との関係でどのように変化するかについてのシミュレーションを行った。この結果を、図16〜図18を参照しながら説明する。図16〜図18は、第2実施形態においてプラズマ生成位置からのパワー出力比に応じた電子密度Ne及び電子温度Teを等高線で示した図である。図16は磁場がない場合、図17及び図18は磁場がある場合を示す。図17では、磁場の範囲は5〜10G(5×10−4T〜10−3T)であり、図18では、磁場の範囲は5〜20G(5×10−4T〜2×10−3T)である。
各図で示したパーセンテージ(%)は、パワー出力比を示す。パワー出力比がx%のとき、内側のプラズマ生成位置132aからx%のパワーが出力され、外側のプラズマ生成位置132bから(100−x)%のパワーが出力される。例えば、パワー出力比が100%の場合には、内側のプラズマ生成位置132aから100%のパワーが出力される。例えば、パワー出力比が50%の場合には、内側のプラズマ生成位置132aから50%のパワーが出力され、外側のプラズマ生成位置132bから50,90%のパワーが出力される。例えば、パワー出力比が10%の場合には、内側のプラズマ生成位置132aから10%のパワーが出力され、外側のプラズマ生成位置132bから90%のパワーが出力される。
図16の磁場がない場合、チャンバー1の内部にて垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場が形成されないため、電子がチャンバー1の外側に移動せず、電子密度Neの分布はウェハ上の中心側が密に外周側が粗になる。特に、内側のプラズマ生成位置132aからのパワー出力比が高い程、電子密度Neの分布はウェハ上の中心側が高くなって、ウェハの径方向への均一性が悪くなる。
一方、図17及び図18の磁場がある場合、チャンバー1の内部にて垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場が形成されるため、電子がチャンバー1の外側に移動し、ウェハの径方向における電子密度Neの分布はより均一になる。特に、内側のプラズマ生成位置132aからのパワー出力比が低くなる程、電子密度Neの分布はウェハ上の外周側が高くなって、ウェハの径方向のプラズマの均一性が高まる。一方、内側のプラズマ生成位置132aからのパワー出力比が高くなる程、電子密度Neの分布はウェハ上の中心側が高くなって、ウェハの径方向のプラズマの均一性が劣り、プラズマ分布の制御性は悪くなる。また、図17に示した磁束密度(5〜10G)の磁場の場合よりも図18に示した磁束密度(5〜20G)の磁場の場合の方が、ウェハ上の外周側においてより電子密度Neが高くなり、プラズマ分布の制御性は高まることがわかる。
以上のシミュレーション結果に基づきウェハの表面から5mm上方の位置におけるプラズマの電子密度Neを図19のグラフに示し、電子温度Teを図20のグラフに示した。図19は、ウェハの径方向の距離に対する電子密度Neを示す。横軸の「0」は、ウェハの中心位置を示す。図19の(a)及び(b)は、磁束密度(5〜10G)の場合の電子密度Neを示し、図19の(c)及び(d)は、磁束密度(5〜20G)の場合の電子密度Neを示す。図19の(b)は、図19の(a)の電子密度Neを、ウェハの中心位置の電子密度Neを「1」として規格化したグラフである。図19の(d)は、図19の(c)の電子密度Neを、ウェハの中心位置の電子密度Neを「1」として規格化したグラフである。
図20は、ウェハの径方向の距離に対する電子温度Teを示す。横軸の「0」は、ウェハの中心位置を示す。図20の(a)及び(b)は、磁束密度(5〜10G)の場合の電子温度Teを示し、図20の(c)及び(d)は、磁束密度(5〜20G)の場合の電子温度Teを示す。図20の(b)は、図20の(a)の電子温度Teを、ウェハの中心位置の電子温度Teを「1」として規格化したグラフである。図20の(d)は、図20の(c)の電子温度Teを、ウェハの中心位置の電子温度Teを「1」として規格化したグラフである。
図19に示した電子密度Neのシミュレーション結果によれば、本実施形態では、チャンバー1の内部にて垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場を形成することで、ウェハの外周側での電子密度Neが上昇し、ウェハの径方向に均一な電子密度Neの分布を有するプラズマを生成できる。特に、パワーの出力比が低い、つまり、外側のプラズマ生成位置からのパワー出力比が高いほうが、パワーの出力比が高い、つまり、外側のプラズマ生成位置からのパワー出力比が低い場合よりもウェハの外周側での電子密度Neの低下が少なく、ウェハの径方向に均一な電子密度Ne分布のプラズマを生成できる。つまり、プラズマ生成位置をウェハの外周側に設け程プラズマ分布の制御性は高くなることがわかる。また、磁束密度(5〜10G)の磁場よりも磁束密度(5〜20G)のより大きな磁場を発生する方が、プラズマの均一性が高くなり、更にプラズマ分布の制御性が高まることがわかる。
また、図20に示した電子温度Teのシミュレーション結果によれば、本実施形態では、チャンバー1の内部にて垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場を形成することで、ウェハの中心側で電子温度Teが低くなり、ウェハの径方向に電子温度Teが均一なプラズマを生成できる。特に、パワーの出力比が低い、つまり、外側のプラズマ生成位置からのパワー出力比が高いほうが、パワーの出力比が高い、つまり、外側のプラズマ生成位置からのパワー出力比が低い場合よりもウェハの外周側での電子温度Teがより低下する。また、磁束密度(5〜10G)で磁場を発生するよりも磁束密度(5〜20G)のより大きな磁場を発生する方が、ウェハの中心側で電子温度Teをより低下させることができる。よって、プラズマ処理時のウェハへのダメージをより低減できる。
[実験]
(磁場によるプラズマ分布の制御)
次に、電磁石54の有無及び磁束密度の大きさによってプラズマ生成領域の状態がどのように変化するかの実験を行った。この実験では、図21の(a)及び(b)に示したように、ラジアルラインスロットアンテナ装置100の天井部の上部の外周端部近傍に永久磁石55を12個、等間隔に配置した。このように、永久磁石55は、チャンバー1の外部であってアンテナ部130の外周端部側に設けられ、それぞれがS極とN極を有することで、チャンバー1の内部に図12に示される垂直方向の磁場と径方向に外側に向かう磁場とを含む磁場を形成する。
本実験では、1個の永久磁石55は、20mm×20mmであるが、大きさや形状はこれに限られず、チャンバー1内のアンテナ部130の下方に1G〜50G程度の磁場を印加できればよい。図21の(c)には、電磁石54の周りに4G〜12G(4×10−4T〜1.2×10−3T)の磁場が印加されている様子が示されている。
図21に示したように、本実験を行った第2実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100では、プラズマ生成位置132bを形成する凹みは、アンテナ部130の外周側に等間隔に7つ形成されている。しかしながら、凹みの位置や個数は、チャンバー1の中心位置から50%以上の位置に形成されていれば、7個に限られない。
かかる構成のラジアルラインスロットアンテナ装置100を使用して、プラズマ分布の制御性を実験した結果を図22に示す。このときのプロセス条件は以下である。
<プロセス条件>
圧力 20mT(2.67Pa)
マイクロ波のパワー 1700W
高周波電力(サセプタに接続した図示しない高周波電源から印加)の周波数及びパワー 13.56MHz/200W
ガス種及び流量 Ar/CF=500/100(sccm)
センター/エッジから導入するガス比率 95(%)/(5%)
サセプタ(静電チャック)温度 30℃
プラズマ照射時間 60秒
<実験結果>
図22の上段は、内側のプラズマ生成位置132a(プラズマ生成領域1)におけるウェハの径方向のエッチングレートを、磁場なし及び磁場あり(4G〜12G)の場合で比較した結果である。図22の下段は、外側のプラズマ生成位置132b(プラズマ生成領域2)におけるウェハの径方向のエッチングレートを、磁場なし及び磁場あり(4G〜12G)の場合で比較した結果である。
この結果、磁場を印加した場合には、磁場を印加しない場合よりもウェハの径方向のエッチングレートの均一性が高くなることがわかる。また、外側のプラズマ生成位置132bにおけるウェハの径方向のエッチングレートの均一性は高いが、内側のプラズマ生成位置132aではエッチングレートは不均一になっていることがわかる。以上から、プラズマ生成位置をウェハの外周側に形成し、磁場を印加するとプラズマ分布の制御性は高くなることがわかる。また、磁束密度(4G〜12G)が比較的小さな磁場を印加することで、チャンバーの径方向のプラズマ分布を制御することができることがわかる。
以上から、本実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100によれば、ウェハ上のプラズマの電子温度Teを上昇させることなく、チャンバーの径方向にプラズマ分布を制御することができる。また、1G〜50G程度の比較的小さな磁束密度の磁場を印加することで、チャンバーの径方向のプラズマ分布を制御することができる。よって、ウェハから天井部までのギャップを適正に設定することにより、磁場はウェハまで届かないため、磁場がウェハのプラズマ処理に影響を及ぼすことを回避できる。
(プラズマ分布の制御の圧力依存)
最後に、プラズマ分布の制御の圧力依存についての実験結果を、図23を参照しながら説明する。このときのプロセス条件は、図22の実験時に用いた上記プロセス条件と同じであり、圧力値のみ20mT(2.67Pa)、30mT(4.00Pa)、50mT(6.66Pa)、100mT(133Pa)と変動させた。
<実験結果>
図23の上段は、磁場なしの場合の各圧力に対するウェハの径方向のエッチングレートを示し、下段は、磁場ありの場合の各圧力に対するウェハの径方向のエッチングレートを示す。
この結果から、チャンバー内圧力が50mT(6.66Pa)以下では、磁場を印加した場合には、磁場がない場合と比較してチャンバーの径方向にエッチングレートの均一性が高くなることがわかる。特に、チャンバー内圧力が20mTや30mTの低圧側でエッチングレートの均一性が高い。ただし、チャンバー内圧力が100mT程度の場合にも、磁場の大きさや配置を適正化することで、エッチングレートの均一性を改善する余地はあると考えられる。
以上に説明した、第2実施形態に係るラジアルラインスロットアンテナ装置100によれば、チャンバー1内に縦磁場及びチャンバー1の径方向に外側に横方向の磁場を、プラズマ生成位置及びその近傍の領域に印加することによって、ウェハ上の外周側のプラズマの電子密度Neを高くすることができる。これにより、ウェハの径方向のプラズマの均一性を高めることができる。特に、第2実施形態では、縦方向の成分に加えてチャンバー1外側に向う横方向の成分を含む磁場を印加することで、縦方向の磁場を印加した第1実施形態の場合よりもウェハ上の電子温度Teを低下させることができる。更に、第2実施形態の場合には、第1実施形態の場合と比較して、ギャップが広い場合にもプラズマ分布を制御することができる。このように第2実施形態の場合では、ギャップの依存性が解消され、広範囲のギャップでプラズマ分布の制御が可能となる。
以上、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を上記実施例により説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上記第1及び第2実施形態の開示内容は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
例えば、本発明に係るプラズマを発生させる手段としては、ラジアルラインスロットアンテナ(Radial Line Slot Antenna)マイクロ波プラズマの他、SPA(Slot Plane Antenna)プラズマを含むマイクロ波励起表面波プラズマ発生手段、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発生手段、上記発生手段を用いたリモートプラズマ発生手段等を用いることができる。
また、本発明に係るプラズマ処理装置では、スロットは、少なくともチャンバーの半径に対してチャンバーの中心位置から50%以上の位置に設けられていればよい。つまり、スロットは、チャンバーの半径に対してチャンバーの中心位置から50%以上の位置のみに設けられてもよいし、チャンバーの半径に対してチャンバーの中心位置から50%以内の位置と50%以上の位置の両方に設けられてもよい。
また、本発明に係るプラズマ処理装置では、スロットは、サセプタに載置された被処理体の外縁部より外側に配置されてもよいし、サセプタに載置された被処理体の外縁部から10%内側より外側に配置されてもよい。
また、本発明においてプラズマ処理を施される被処理体は、半導体ウェハに限られず、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD: Flat Panel Display)用の大型基板、EL素子又は太陽電池用の基板であってもよい。
1:チャンバー、5:サセプタ、16:ガス供給装置、24:排気装置、28:透過板、31:アンテナ、32a、32b:複数のスロット孔、33:遅波材、37a:同軸導波管、37b:矩形導波管、37:導波管、38:マッチング回路、39:マイクロ波発生装置、40:モード変換器、41:内導体、52:コイル、70:制御部、100:ラジアルラインスロットアンテナ装置、W:ウェハ、B:磁場、fc:サイクロトロン周波数、fe:プラズマの電子衝突周波数

Claims (18)

  1. 処理室と、
    高周波電力を出力する発振器と、
    前記高周波電力を特定のプラズマ生成位置から前記処理室の内部に供給する電力供給手段と、
    前記処理室の外部に設けられ、少なくとも前記特定のプラズマ生成位置に磁場を形成する磁場形成手段と、
    前記処理室の内部にて生成されたプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcがfc>feとなるように前記磁場形成手段により形成される前記磁場を制御する制御部と、
    を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記磁場形成手段は、前記特定のプラズマ生成位置に垂直方向の磁場を含む磁場を形成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記磁場形成手段は、前記処理室の天井部に設けられたアンテナ部の外周部又は側部に設けられる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記特定のプラズマ生成位置は、前記処理室の天井部に設けられたアンテナ部の、前記処理室の中心位置から該処理室の径に対して50%以上の位置に設けられる、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記特定のプラズマ生成位置は、前記処理室の内部に載置された被処理体の外縁部より外側に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記特定のプラズマ生成位置は、前記アンテナ部に形成されたスロット孔の位置又は凹部に応じた位置の少なくともいずれかである、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記磁場形成手段により形成された磁場が前記載置された被処理体に到達しないように、前記処理室の天井部と前記載置された被処理体とのギャップが設定される、
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記制御部は、前記処理室の圧力を50mTorr(6.66Pa)以下に制御する、
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  9. プラズマとなるガスが導入される処理室と、
    前記処理室の外部に設けられ、該処理室の内部に載置された被処理体に対して垂直方向に磁場を形成する磁場形成手段と、
    高周波電力を出力する発振器と、
    前記処理室に設けられ、前記発振器により出力された高周波電力を通して該処理室に供給するアンテナ部と、
    前記処理室の内部にて生成されたプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcがfc>feとなるように前記磁場形成手段により形成される前記磁場を制御する制御部と、
    を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  10. 前記アンテナ部は、複数のスロット孔を有し、導波管を伝播したマイクロ波を該複数のスロット孔に通して前記処理室に導入し、
    前記複数のスロット孔は、前記処理室の半径に対して該処理室の中心位置から50%以上の位置に配置されている、
    ことを特徴とする請求項3〜9のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  11. 前記複数のスロット孔は、前記載置された被処理体の外縁部より外側に配置されている、
    ことを特徴とする請求項10項に記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記制御部は、前記磁場形成手段により形成される磁場強度を1G〜50G(10−4T〜50−3T)に制御する、
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  13. 前記処理室に導入されるガスは、アルゴンガスであり、
    前記制御部は、前記処理室の内部にて生成されるプラズマの電子温度を、0.5eV〜5eVに制御する、
    ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  14. 前記制御部は、前記処理室の内部の圧力を、20mT〜200mT(2.67Pa〜26.7Pa)に制御する、
    ことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  15. 前記制御部は、前記磁場の印加のオン及びオフを時分割で切り替えて、該磁場をパルス制御する、
    ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  16. 前記高周波電力を特定のプラズマ生成位置から処理室内に供給する工程と、
    前記処理室の外部に設けられ、少なくとも前記特定のプラズマ生成位置に磁場を形成する工程と、
    前記処理室の内部にて生成されたプラズマの電子衝突周波数fe及びサイクロトロン周波数fcがfc>feとなるように前記磁場を制御する工程と、
    を含むことを特徴とするプラズマ処理方法。
  17. 前記磁場を制御する工程は、前記磁場の印加のオン及びオフを時分割で切り替えて、該磁場をパルス制御することを含む、
    ことを特徴とする請求項16に記載のプラズマ処理方法。
  18. 前記特定のプラズマ生成位置は、前記高周波電力を通す誘電体窓として機能する透過板の直下近傍にあり、前記透過板直下のプラズマの電子密度は、前記高周波電力の周波数カットオフ密度よりも高い、
    ことを特徴とする請求項16又は17に記載のプラズマ処理方法。
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