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JP2014015921A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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JP2014015921A
JP2014015921A JP2012155899A JP2012155899A JP2014015921A JP 2014015921 A JP2014015921 A JP 2014015921A JP 2012155899 A JP2012155899 A JP 2012155899A JP 2012155899 A JP2012155899 A JP 2012155899A JP 2014015921 A JP2014015921 A JP 2014015921A
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Takahiko Fujiwara
孝彦 藤原
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】触媒からのSOxの脱離を促進する。
【解決手段】排気経路(219)に設置された排気浄化用の触媒(220)と、前記触媒に流入するガスのNOx濃度又はNOx量を調整可能なNOx調整手段(210、211)とを備えた内燃機関(200)を制御する、内燃機関の制御装置(100)は、触媒に吸着した硫黄の脱離制御を実行する硫黄被毒回復制御手段を具備し、前記硫黄被毒回復制御手段は、前記脱離制御において、前記触媒に流入するガスのNOx濃度又はNOx量が増加するように前記NOx調整手段を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、排気経路に設置された排気浄化用の触媒を硫黄被毒から好適に回復させ得る内燃機関の制御装置の技術分野に関する。
触媒としてNSR(NOx Storage Reduction:NOx吸蔵還元)触媒を備えた車両における触媒の硫黄被毒回復に関する制御が、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されたエンジンの制御装置によれば、硫黄被毒回復要求が生じた場合に、空燃比のリッチ化(HC及びCOの増加)に続いて空燃比のリーン化(酸素の増加)が行われ、SOxの脱離が進行し易い高温状態が作り出される。更に、係る高温状態において再び空燃比のリッチ化を行うことにより、還元剤としてのHCやCOにより、触媒からのSOxの脱離と、脱離したSOxの還元とが行われる。
尚、硫黄被毒回復に関する制御とは異なるものとして、排気系に連続再生型DPFを配備し、PM再生要求時におけるDPF床温がPM燃焼温度よりも低い場合に噴射時期を変更するシステムにおいて、酸化剤としてのNOxを供給するための早期噴射実行時にグロープラグをオンし、筒内を加熱する制御も提案されている(特許文献2参照)。
特開2000−227022号公報 特開2005−083263号公報
上記特許文献1に提案されるように、従来、排気浄化用の触媒を硫黄被毒状態から回復させるにあたっては、高温条件下における空燃比のリッチ化が一般的である。
然るに、空燃比のリッチ化による還元剤の供給は、燃費の悪化を伴う措置であり、また、内燃機関の機関トルクの変動が大きくなる虞もある。従って、潜在的には、高温下での還元剤の供給に加えて、触媒からのSOxの脱離をより好適に促進し得る技術の確立が望まれている。即ち、触媒からのSOxの脱離に関しては、未だ改善の余地がある。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、触媒からのSOxの脱離を促進し得る内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、排気経路に設置された排気浄化用の触媒と、前記触媒に流入するガスのNOx濃度又はNOx量を調整可能なNOx調整手段とを備えた内燃機関を制御する、内燃機関の制御装置であって、前記触媒に吸着した硫黄の脱離制御を実行する硫黄被毒回復制御手段を具備し、前記硫黄被毒回復制御手段は、前記脱離制御において、前記触媒に流入するガスのNOx濃度又はNOx量が増加するように前記NOx調整手段を制御することを特徴とする(請求項1)。
本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、硫黄被毒回復制御手段により、触媒に吸着した硫黄の脱離制御(以下、適宜「硫黄の脱離制御」と略して表現する)が実行される。
硫黄の脱離制御には、NOx調整手段を介して、触媒に流入するガス(以下、適宜「触媒流入ガス」と表現する)のNOx濃度又はNOx量を増加させる措置(以下、適宜「NOx増加措置」と表現する)が含まれる。
尚、NOx調整手段は、触媒流入ガスのNOx濃度又はNOx量(無論、その双方であってもよい)を調整可能な手段であり、主として筒内の燃焼状態を変化させる手段である。NOx生成量が筒内燃焼温度に大きく影響される点に鑑みれば、NOx調整手段とは、好適な一形態として、筒内燃焼温度を制御可能な公知の各種手段であってもよい。
硫黄は、主としてSOxとして、約600℃以下の温度領域において触媒のコート材であるアルミナやCZ(セリアージルコニア固溶体)に吸着し触媒を被毒させるが、出願人の研究によれば、その吸着量(被毒量)は、触媒内部或いは排気中のSOx分圧(一義的にSOx濃度)に依存する。即ち、触媒内部のSOx分圧が相対的に低下すれば、SOxは相対的に触媒から脱離し易くなる。一方、SOxは、少なくとも触媒への吸着に関連した化学的性質においてNOxと類似しており、触媒内部のNOx濃度が相対的に上昇すると、触媒内部のSOx分圧は相対的に低下する。
従って、硫黄の脱離制御にNOx増加措置が含まれる、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、硫黄の脱離制御において、触媒内部のSOx分圧を下げ、触媒からのSOxの脱離を促進することが好適にして可能となる。即ち、触媒を硫黄被毒状態から好適に回復させることができるのである。
ここで、NOx増加装置が含まれる限りにおいて、硫黄の脱離制御は公知の各種措置を好適に含み得る。例えば、触媒内部の還元剤(COやHC等)の濃度を上昇させれば、触媒からのSOxの脱離を促進させると共に、脱離したSOxの還元反応を進行させることができる。即ち、触媒内部の還元剤濃度の上昇を伴う措置もまた、硫黄の脱離制御としては好適である。
また、触媒からのSOxの脱離には、例えば概ね600℃内外に、それに適した温度領域が存在する。従って、触媒床温の上昇措置もまた、硫黄の脱離制御としては好適である。
ここで特に、本発明に係るNOx増加措置によれば、硫黄の脱離制御としてこのような他の措置が含まれる場合においても、そのSOx脱離促進効果により、当該他の措置の実行規模や実行頻度を縮小し得る。従って、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、これら他の措置を実行することにより生じ得る、燃費の悪化やトルク変動等を抑制することもまた可能となる。
尚、還元剤濃度上昇措置や触媒床温上昇措置は、必ずしも硫黄の脱離制御の一環として実施されずともよい。即ち、これらの措置は、硫黄の脱離制御とは異なる制御として実行されてもよい。
尚、触媒の硫黄被毒からの回復に関する技術分野においては、触媒高温下で還元剤(COやHC)を供給する手法が一般的である。還元剤の供給とは、即ち空燃比をストイキ比リッチ側にシフトさせることによるリッチ燃焼を意味し、必然的にNOx生成量の減少を意味する。従って、触媒内部のSOx分圧と硫黄脱離との関連性に鑑みたNOx供給の必要性に想到しない限りは、触媒からのSOxの脱離に際し、必要にして十分なNOxは触媒内に存在しない。本発明は、触媒内部のSOx分圧とSOxの脱離し易さとの関係性に加え、NOxの供給によりSOx分圧を低下させ得る点を見出し、触媒からの硫黄の脱離促進にNOxを利用する技術思想を導いたものであり、従来の硫黄被毒回復措置に較べて明らかに有利である。
尚、脱離制御は、例えば、所定の硫黄被毒回復条件が成立する場合に実行されてもよい。この硫黄被毒回復条件とは、好適には、排気浄化用の触媒を硫黄被毒状態から回復させる必要性の有無と、当該触媒を当該硫黄被毒状態から回復させるのに適した状況であるか否かとのうち少なくとも一方に対応付けられた条件であり、より好適にはこれら双方に対応付けられた条件である。但し、硫黄被毒回復条件の概念はこのようなものに留まらず何らかの規則性を有するものであればよく、例えば、簡易には、前回の脱離制御が実行されてよりの経過時間が所定値に達したことのみであってもよい。
また、触媒には、吸着したSOxが脱離し易い温度領域が存在することが知られている。この温度領域は触媒にもよるが、概ね600℃を含む前後数十℃の範囲であることが多い。
従って、予め実験的に、経験的に又は理論的に定められ得るこの種の温度領域の上下限値を判断基準値とし、触媒の温度(触媒床温)が当該温度領域にあることを被毒回復条件として規定しておけば、触媒を硫黄被毒から効率的に回復させることも可能である。尚、触媒の温度を被毒回復条件の一部に取り入れる代わりに、脱離制御として、上記触媒床温の上昇措置が実行されてもよい。
本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記NOx調整手段は、吸気弁又は排気弁の開閉時期を変化させることが可能な可変動弁装置、EGR装置及び点火装置のうち少なくとも一つを含む(請求項2)。
VVT(Variable Valve Timing)等の可変動弁装置により吸気弁の開弁時期を排気弁の閉弁時期に対して相対的に遅角させると、或いは、排気弁の閉弁時期を吸気弁の開弁時期に対して相対的に進角させると、吸排気弁の双方が開弁する期間、即ちバルブオーバラップ期間が短くなる(バルブオーバラップが生じないことを含む)。バルブオーバラップ期間が短くなると、排気行程において排気ポートから気筒内部に排気が逆流する所謂内部EGR(Exhaust Gas Recirculation)が抑制され、筒内温度の低減効果が減少して相対的にNOxが排出され易くなる。
また、排気系から吸気系へ排気の一部を還流させるEGR装置(上述の内部EGRとの対比から言えば、外部EGRを行う装置である)を備える場合、EGR弁の開度制御等によりEGR量を相対的に減少させることによって、内部EGRの場合と同様にNOxの排出量を相対的に増加させることができる。
更に、点火装置の点火時期を相対的に進角させると、燃焼温度が上昇してNOxの排出量が相対的に増加する。
従って、この種の可変動弁装置、EGR装置及び点火装置は、本発明に係るNOx調整手段として好適である。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記内燃機関は、前記触媒に流入するガスの空燃比である第1空燃比を検出可能な第1空燃比センサと、前記触媒から排出されるガスの空燃比である第2空燃比を検出可能な第2空燃比センサとを具備すると共に、前記検出された第1空燃比が目標空燃比に収束するように燃料噴射量を制御する第1F/B制御と、前記検出された第2空燃比がストイキ比リーンである場合に前記燃料噴射量を増量補正し、前記検出された第2空燃比がストイキ比リッチである場合に前記燃料噴射量を減量補正する第2F/B制御とが適用される構成となっており、前記硫黄被毒回復制御手段は、前記燃料噴射量が増量補正される際の補正量が所定量以上となった場合に前記脱離制御を実行する(請求項3)。
この態様によれば、内燃機関に対する燃料噴射量の制御として、第1F/B制御と第2F/B制御とが適用される。即ち、所謂空燃比F/B制御が実行される。尚、この第1及び第2F/B制御を実行する制御手段は、本発明に係る内燃機関の制御装置が備えていてもよいし、他の制御装置が備えていてもよい。
第1F/B制御(或いはメインF/B制御)は、触媒流入ガスの空燃比(第1空燃比)を目標空燃比(通常はストイキ)に収束させるための燃料噴射量の制御であり、第2F/B制御(或いはサブF/B制御)は、触媒から排出されるガス(以下、適宜「触媒排出ガス」と表現する)の空燃比(第2空燃比)に応じてなされる燃料噴射量の制御である。
具体的には、第2F/B制御は、第2空燃比がストイキ比リッチである場合には、燃料噴射装置を介して噴射される燃料の噴射量を減量補正し、反対に、第2空燃比がストイキ比リーンである場合には、同じく燃料噴射量を増量補正する制御である。この噴射量の補正は、例えば、燃料噴射量を直接補正する以外にも、第1F/B制御における目標空燃比を増減補正することによって実現されてもよい。
尚、第2空燃比センサは、Oセンサであってもよい。即ち、第2空燃比は、触媒排出ガスの酸素濃度であってもよい。この場合、具体的には、第2F/B制御は、触媒からリッチガスが吹き抜けるリッチ破綻時(端的には触媒のOSAがゼロであることを意味する)には燃料噴射量を減量補正し、触媒からリーンガスが吹き抜けるリーン破綻時(端的には触媒のOSAが酸素吸蔵能(OSC)に等しいことを意味する)には燃料噴射量を増量補正する制御として構成されてもよい。尚、この種の酸素濃度を利用した空燃比F/B制御がなされる構成においては、触媒はリーン破綻とリッチ破綻とを繰り返す。これは、Oセンサの出力がストイキ相当値を境に反転することに由来する。
ここで、触媒を硫黄被毒から回復させることを考えた場合、触媒雰囲気は先述したように還元剤濃度が高い空燃比リッチ雰囲気であるのが望ましいが、この種の空燃比F/B制御がなされる構成においては、第2空燃比がストイキ比リーンである場合に燃料噴射量の増量補正(即ち、空燃比をリッチ側へシフトさせる補正)が掛かるため、この増量補正がなされる期間は、触媒を硫黄被毒から回復させるのに適した期間となる。即ち、燃料噴射量の増量補正が行われていることを、硫黄の脱離制御の実行条件として利用することができる。
尚、この態様では、前記硫黄被毒回復制御手段は、前記脱離制御において、前記燃料噴射量を更に増量補正してもよい(請求項4)。
上述した空燃比F/B制御においてなされる燃料噴射量の増量補正は、あくまで空燃比F/B制御の枠組みでなされるものであり、触媒に吸着したSOxを硫黄から脱離させ且つ還元させる観点からその実行要件が決定されるものではない。
その点に鑑みれば、硫黄の脱離制御において、この燃料噴射量の増量補正に係る補正量を更に増量側に補正することは有効である。このように燃料噴射量を更に増量すれば、空燃比F/B制御の枠組みの中で、硫黄被毒回復のための特別な噴射制御が不要となる。即ち、触媒の硫黄被毒からの回復を効率的に促進させることができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
本発明の一実施形態に係るエンジンシステムの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のエンジンシステムにおいてECUにより実行される被毒回復制御のフローチャートである。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、エンジンシステム10の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「内燃機関の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する被毒回復制御を実行可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「硫黄被毒回復制御手段」の一例として機能し得る一体の電子制御ユニットであるが、本発明に係る当該手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、当該手段は、例えば複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たる多気筒ガソリンエンジンである。
図1において、エンジン200は、シリンダブロックCBに収容される複数の気筒201を備える。尚、図1において、気筒201は紙面奥行き方向に配列しており、図1においては一の気筒201のみが示されている。
エンジン200において、気筒201の内部には、混合気の燃焼に伴う爆発力に応じて図示上下方向に往復運動を生じるピストン202が備わる。ピストン202の往復運動は、コネクティングロッド203を介してクランクシャフト204の回転運動に変換され、エンジン200を搭載する車両の動力として利用される構成となっている。クランクシャフト204の近傍には、クランクシャフト204の回転角(即ち、クランク角)を検出可能なクランクポジションセンサ205が設置されている。このクランクポジションセンサ205は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたクランク角は、ECU100に適宜参照され、例えば、エンジン回転数NEの算出や、その他のエンジン200の各種動作制御(燃料の噴射時期や点火時期等)に供される構成となっている。
エンジン200において、外部から吸入された空気は、図示せぬクリーナにより浄化された後、各気筒について共通の吸気管206に導かれる。吸気管206には、この吸入空気の量である吸入空気量を調節可能なスロットルバルブ207が配設されている。このスロットルバルブ207は、ECU100と電気的に接続された不図示のスロットルバルブモータによってその駆動状態が制御される、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。ECU100は、基本的には不図示のアクセルポジションセンサにより検出されるアクセル開度Taに応じたスロットル開度が得られるようにスロットルバルブモータを駆動制御する。但し、ECU100は、スロットルバルブモータの動作制御を介してドライバの意思を介在させることなくスロットル開度を調整することも可能である。
スロットルバルブ207により適宜調量された吸入空気は、気筒201の各々に対応する吸気ポート208を経由して、吸気弁209の開弁時に気筒内部に吸入される。吸気弁209は、図示するように断面視略楕円形状を有するカム210のカムプロファイルに応じてその開閉時期が規定される構成となっている。また、このカム210は、例えばカムスプロケットやタイミングチェーン等の動力伝達手段を介してクランクシャフト204に連結された吸気カム軸(符号省略)に固定されている。従って、吸気弁209の開閉位相は、クランクシャフト204の回転角(即ち、クランク角)と、一の固定状態において一義的な関係にある。
ここで、この吸気カム210と吸気カム軸との固定状態は、油圧駆動装置211により供給される作動油の油圧により変化する。より具体的には、吸気カム210は、ベーンと呼ばれる翼状部材を介して吸気カム軸に連結されており、このベーンと吸気カム軸との回転位相は、油圧駆動装置211が備える油圧室に印加される作動油圧に応じて変化する構成となっている。従って、ベーンに固定された吸気カム210と吸気カム軸との回転位相もまた、当該作動油圧に応じて変化する。油圧駆動装置211は、ECU100と電気的に接続された状態にあり、ECU100は、油圧駆動装置211の制御を介して、吸気弁209の開閉時期を各気筒独立に変化させることが出来る。即ち、油圧駆動装置211及びベーンを含む可変動弁系は、本発明に係る「可変動弁装置」の採り得る構成の一例であり、これ以降適宜「可変動弁装置」なる呼称で表現することとする。尚、本発明に係る可変動弁装置の採り得る形態は、本実施形態に係る可変動弁装置のものに限定されない。例えば、吸気弁209をソレノイドアクチュエータ等により電磁的に駆動する、所謂電磁駆動弁装置(カム・バイワイヤ)であってもよい。
尚、本実施形態ではこのように、ベーンの駆動状態により吸気カム210と吸気カム軸との回転位相が変化する構成を採るため、吸気カム210の作用角は変化しない。従って、吸気弁209の開弁時期IVO(Intake valve Opening)を進角側又は遅角側に所定量変化させると、それに伴って吸気弁209の閉弁時期IVC(Intake Valve Closing)も同様だけ進角側又は遅角側に変化する。即ち、エンジン200では、吸気弁209の開閉時期が全体的に進角側又は遅角側に変化する。
吸気ポート208に導かれた吸入空気は、吸気ポート208に噴射弁の一部が露出してなる吸気ポートインジェクタ212から噴射された燃料(ガソリン)と混合されて前述の混合気となる。燃料たるガソリンは、図示せぬ燃料タンクに貯留されており、図示せぬ低圧フィードポンプの作用により、図示せぬデリバリパイプを介して吸気ポートインジェクタ212に供給されている。吸気ポートインジェクタ212において、噴射弁を駆動する不図示の駆動装置は、ECU100と電気的に接続されており、吸気ポートインジェクタ212は、ECU100がこの駆動装置を介して噴射弁の開弁期間を制御することによって、この開弁期間に応じた量の燃料噴霧を吸気ポート208に供給することが出来る。
エンジン200の燃焼室には火花点火装置である点火装置213の点火プラグ(符号省略)の一部が露出している。エンジン200の圧縮行程において圧縮された混合気は、この点火プラグの点火動作により着火し燃焼する仕組みとなっている。点火装置213は、ECU100と電気的に接続されており、点火装置213の点火時期は、ECU100により制御される構成となっている。
一方、ピストン202の上面部分と気筒201の内壁面部分とにより形成される燃焼室において燃焼反応を生じた混合気は、燃焼行程に引き続く排気行程において、クランクシャフト204と間接的に連結された排気カム214のカムプロファイルに応じて開閉駆動される排気弁215の開弁時に、排気ポート216に排出される。この排気ポート216は、その下流側(気筒201から遠ざかる側)において排気マニホールド(断面視の形態を採る関係上、図1では示されていない)に接続される。排気マニホールドは、排気ポート216から排出される排気を、全気筒について集約した後に排気管219に導く装置であり、排気管219に繋がっている。
排気ポート216に繋がる上記排気マニホールドには、EGR管217の一端部が連結されている。EGR管217は、吸気ポート208の上流側に位置する吸気マニホールド(符号省略)にその他端部が連結されており、排気の一部をEGRガスとして吸気系に戻すことが出来る。EGRガスの供給量たるEGR量は、EGR管217に設置されたEGR弁218により制御される。EGR弁218は、ソレノイドの電磁力により弁の開閉を制御する電磁駆動弁であり、当該ソレノイドの励磁状態を制御する駆動装置と電気的に接続されたECU100の制御により、その弁開度が制御される構成となっている。尚、図1では、EGR管217が排気ポート216に繋がる排気マニホールドに連結されるものとしたが、EGR管217は、この排気マニホールドに繋がる排気管219に連結されていてもよい。
本実施形態においては、EGR管217が、後述する三元触媒220よりも上流側(気筒側)において排気系に接続されており、EGR管217とEGR弁218とにより、本発明に係る「EGR装置」の一例たるHPL(High Pressure Loop)EGR装置が構成される。しかしながら、EGR装置の構成はこれに限定されない。例えば、EGR装置は、EGR管217が排気管219における後述する三元触媒220の下流側に連結され、三元触媒通過後の排気を取り出すLPL(Low Pressure Loop)EGR装置であってもよい。尚、これ以降の説明において、EGR管217及びEGR弁218により構成されるHPLEGR装置を適宜「EGR装置」と表現する。
各気筒の排気ポート216には、排気管219が連結されている。排気管214は、本発明に係る「排気経路」の一例である。
排気管219には、本発明に係る「排気浄化用の触媒」の一例たる三元触媒220が設置される。三元触媒220は、触媒担体に白金等の貴金属が担持された公知の触媒装置であり、HC及びCOの酸化燃焼反応と、窒素酸化物NOxの還元反応とを略同時に進行させることによって排気を浄化可能に構成される。尚、三元触媒220が上記排気マニホールドに接続された排気管219に設置されるところ、本実施形態において三元触媒220に流入するガス、即ち触媒流入ガスは、エンジン200の全気筒について集約された後の排気である。
排気管219における三元触媒220の上流側には、触媒流入ガスの空燃比である入力側空燃比A/Finを検出可能な空燃比センサ221が設置されている。空燃比センサ221は、例えば、拡散抵抗層を備えた限界電流式広域空燃比センサであり、本発明に係る「第1空燃比センサ」の一例である。空燃比センサ221は、三元触媒220上流側の排気(即ち、触媒流入ガス)の空燃比である入力側空燃比A/Finに応じた出力電圧値Vafinを出力するセンサである。即ち、空燃比センサ221は、入力側空燃比A/Finと一義的な関係を有する電圧値により間接的に入力側空燃比A/Finを検出する構成を採る。
この出力電圧値Vafinは、入力側空燃比A/Finがストイキ(理論空燃比)である時に基準出力電圧値Vstに一致する。また、この出力電圧値Vafinは、入力側空燃比A/Finがストイキに対してリッチ側にある場合に基準出力電圧値Vstより低くなり、入力側空燃比A/Finがストイキに対してリーン側にある場合に基準出力電圧値Vstより高くなる。即ち、出力電圧値Vafinは、入力側空燃比A/Finの変化に対して連続的に変化する。空燃比センサ221は、ECU100と電気的に接続されており、検出された出力電圧値Vafinは、ECU100により適宜参照される構成となっている。
排気管219における三元触媒220の下流側には、三元触媒220を通過したガス、即ち触媒排出ガスの酸素濃度である下流側酸素濃度Coxを検出可能なOセンサ222が設置されている。
センサ222は、周知の起電力式酸素濃度センサ(即ち、安定化ジルコニアを用いた濃淡電池型の酸素濃度センサ)であり、本発明に係る「第2空燃比センサ」の一例である。Oセンサ222は、下流側酸素濃度Coxに応じた出力電圧値Voxを出力するセンサである。即ち、Oセンサ222は、酸素濃度と一義的な関係を有する電圧値により間接的に酸素濃度を検出する構成を採る。
センサ222の出力電圧値Voxは、触媒排出ガスの空燃比がストイキである場合(言い換えれば、下流側酸素濃度Coxがストイキ相当の基準酸素濃度Coxbである場合)に基準出力電圧値Voxb(約0.5V)に一致する。また、出力電圧値Voxは、触媒排出ガスの空燃比がストイキに対しリッチ側にある場合に基準出力電圧値Voxbよりも高くなり、同じく空燃比がストイキに対しリーン側にある場合に基準出力電圧値Voxbよりも低くなる。
具体的には、触媒排出ガスの空燃比が、ストイキとリッチ側検出限界との間にある場合、Oセンサ222の出力電圧値Voxは、空燃比の減少(即ち、酸素濃度Coxの減少)に伴って、係るリッチ側検出限界に相当する最大出力電圧値Voxmax(約0.9V程度)まで比較的急峻に、略線形に増加する。リッチ側検出限界よりもリッチ側の空燃比領域において、出力電圧値Voxは最大出力電圧値Voxmaxで略一定となる。また、触媒排出ガスの空燃比が、ストイキとリーン側検出限界との間にある場合、Oセンサ222の出力電圧値Voxは、空燃比の増加(即ち、酸素濃度Coxの増加)に伴って、係るリーン側検出限界に相当する最小出力電圧値Voxmin(約0.1V程度)まで比較的急峻に、略線形に減少する。リーン側検出限界よりもリーン側の空燃比領域において、出力電圧値Voxは最小出力電圧値Voxminで略一定となる。Oセンサ222は、ECU100と電気的に接続されており、検出された出力電圧値Voxsは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
尚、このように、O2センサ222により検出される下流側酸素濃度Coxは、触媒排出ガスの空燃比(即ち、本発明に係る「第2空燃比」)と関連がある。即ち、下流側酸素濃度Coxは、本発明に係る「第2空燃比」の一例である。無論、エンジン200には、O2センサ222に替えて、空燃比センサ221と同様の空燃比センサを備えていてもよい。、この場合、本発明に係る「第2空燃比」として、触媒排出ガスの空燃比が検出され、後述する燃料噴射量の空燃比F/B制御に利用されてもよい。
エンジン200において、シリンダブロックCBを取り囲むように設置されたウォータジャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)の温度である冷却水温Twを検出可能な水温センサ223が配設されている。水温センサ223は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温Twは、ECU100により適宜参照される構成となっている。また、エンジン200において、吸気管206には、吸入空気量Gaを検出可能なエアフローメータ224が配設されている。エアフローメータ224は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気量Gaは、ECU100により適宜参照される構成となっている。
尚、本実施形態に係るエンジン200は、ガソリンを燃料とする無過給エンジンであるが、本発明に係る内燃機関の構成は、エンジン200に限定されず多様であってよい。例えば、本発明に係る内燃機関は、気筒数、気筒配列、燃料種別、燃料の噴射態様、吸排気系の構成、動弁系の構成、燃焼方式、過給器の有無及び過給態様等が、エンジン200と異なっていてもよい。
例えば、エンジンシステム10は、エンジン200に替えて、圧縮自着火式内燃機関であるディーゼルエンジンを備えていてもよいし、吸気ポートインジェクタ212に替えて又は加えて気筒内部に燃料を噴射可能な直噴インジェクタを備えた直噴エンジンを備えていてもよい。直噴エンジンである場合、エンジン200のように均質燃焼の代わりに成層燃焼による空燃比リーン側でのリーンバーン(希薄燃焼)が行われてもよい。また、各エンジン構成において、吸気系に過給器が設置されていてもよい。この場合、過給器のコンプレッサは、排気タービンにより駆動される構成であってもよいし、機関トルクにより機械的に駆動される構成であってもよい。また、エンジンの態様が異なれば、排気系における触媒システムの構築態様も異なり得る。この際、例えば、三元触媒220に替えて又は加えて、NSR(NOx Storage Reduction Catalyst)触媒が備わっていてもよい。いずれの構成においても、後述する被毒回復制御の基本概念は適用可能である。
<実施形態の動作>
<空燃比F/B制御の概要>
エンジン200において、吸気ポートインジェクタ212の燃料噴射量qfは、ECU100により、エンジン200の稼動期間について常時実行される空燃比F/B制御により制御される。本実施形態に係る空燃比F/B制御は、メインF/B制御とサブF/B制御とから構成される。
メインF/B制御は、空燃比センサ221の出力電圧値Vafinに基づいて得られる入力側空燃比A/Finを入力側目標空燃比A/Fintg(通常、ストイキ)に収束させる制御であり、本発明に係る「第1F/B制御」の一例である。
サブF/B制御は、Oセンサ222の出力電圧値Voxが目標出力電圧値Voxtg(通常、基準出力電圧値Voxb)に収束するように入力側目標空燃比A/Fintgの補正を介して燃料噴射量qfを増減補正する制御であり、本発明に係る「第2F/B制御」の一例である。
ここで、サブF/B制御についてより具体的に説明する。Oセンサ222は、先述したようにストイキ比リーン側とリッチ側とで出力電圧値Voxが反転するセンサである。この出力電圧値Voxは、一種のヒステリシスを有しており、一旦リーン側の最小出力電圧値Voxminを示す(即ち、触媒のリーン破綻が生じる)と、触媒排出ガスがリッチ雰囲気となる(即ち、触媒のリッチ破綻が生じる)まで最小出力電圧値Voxminのまま殆ど変化しない。同様に、一旦リッチ側の最大出力電圧値Voxmaxを示す(即ち、触媒のリッチ破綻が生じる)と、触媒排出ガスがリーン雰囲気となる(即ち、触媒のリーン破綻が生じる)まで最大出力電圧値Voxmaxのまま殆ど変化しない。
従って、Oセンサ222の出力電圧値Voxを目標出力電圧値Voxtgに維持しようとした場合、実践的には、出力電圧値Voxをリーン破綻に対応する最小出力電圧値Voxminとリッチ破綻に対応する最大出力電圧値Voxmaxとの間で繰り返し反転させる必要がある。即ち、この繰り返しの過程の大部分において、三元触媒220内部の実際の雰囲気はストイキ雰囲気(酸素吸蔵量がゼロでも最大値でもない状態)に維持されるとの論理である。
この点に鑑み、サブF/B制御では、出力電圧値Voxが最大出力電圧値Voxmaxを示した場合に、メインF/B制御における入力側目標空燃比A/Fintgがリーン側に補正され燃料噴射量の減量が図られる。逆に、出力電圧値Voxが最小出力電圧値Voxminを示した場合に、メインF/B制御における入力側目標空燃比A/Fintgがリッチ側に補正され燃料噴射量の増量が図られる。このサブF/B制御における燃料噴射量の補正は、被毒回復制御において硫黄脱離促進処理の開始条件が成立するか否かの判定がなされるにあたっての判定要素の一部をなしている。
尚、このような触媒上下流の空燃比相当値に基づいたフィードバック制御は、従来各種のものが提案されている。例えば、本実施形態では、サブF/B制御が触媒排出ガスの酸素濃度を利用して行われるが、サブF/B制御は触媒排出ガスの空燃比を利用して行われてもよい。但し、このような各種の空燃比F/B制御の詳細な内容は、本発明の本旨から外れるため、これ以上の説明については割愛する。
<被毒回復制御の詳細>
エンジン200に使用されるガソリンには、多寡はあれ硫黄が含まれることが多い。この燃料中の硫黄は、気筒201内部において、或いは排気管219において、酸素と結びついて硫黄酸化物(SOx)となり易い。このSOxは、三元触媒220を構成するコート材のアルミナやOSC担体であるCZ等と化学的に結び付き易く、エンジン200の稼動期間において三元触媒220に吸着することによって、三元触媒220を徐々に硫黄被毒させる。また特に、三元触媒220の触媒床温Tclが600℃以下である場合に係る吸着反応が進行し易い。
エンジンシステム10では、この三元触媒220を硫黄被毒から回復させるために、ECU100により、被毒回復制御が実行される。ここで、図2を参照し、被毒回復制御の詳細について説明する。ここに、図2は、被毒回復制御のフローチャートである。尚、被毒回復制御は、ECU100が、所定周期で繰り返し実行する制御である。
図2において、ECU100は、後述する硫黄脱離促進処理(本発明に係る「触媒に吸着した硫黄の脱離制御」の一例である)の前回実行時からの積算吸入空気量Gaintが、所定値Gaintclを超えたか否かを判定する(ステップS101)。
この積算吸入空気量Gaintは、三元触媒220の硫黄吸着量と相関する指標であり、エアフローメータ224により検出される吸入空気量Gaの時間積分値である。この積算吸入空気量Gaintは、ECU100により、被毒回復制御とは別の制御ルーチンで繰り返し演算されており、RAM等の書き換え可能なメモリに適宜更新を伴いつつ記憶されている。積算吸入空気量Gaintが所定値Gaintclを超えることは、硫黄脱離促進処理の実行条件の一つである。
尚、ここでは前回実行時からの積算値としたが、三元触媒220へのSOxの吸着が主として600℃以下の温度領域で進行し易い点に鑑みれば、触媒床温Tclとこの積算吸入空気量Gaintとを対応付け、触媒床温Tclが600℃以下である場合の吸入空気量の積算値が用いられてもよい。
或いは、ここでは積算吸入空気量Gaintを判断指標として用いる構成としたが、三元触媒220の硫黄吸着量が用いられてもよい。この場合、ECU100は、予め与えられる単位燃料中の硫黄含有量と、燃料噴射量qfを各気筒各サイクルについて積算した値である積算燃料消費量Σqfと、所定の吸着率σとに基づいて、硫黄吸着量を推定してもよい。吸着率σは、排気管219に排出された硫黄のうち三元触媒220に吸着する硫黄の比率を表す補正係数であり、予め実験的に、経験的に又は理論的に、機関回転数NE及び負荷率KL(即ち、気筒201に吸入された新気量の物理的最大値に対する割合である)をパラメータとして制御マップに格納されていてもよい。定性的には、機関回転数NEが高い程、また、負荷率KLが大きい程、吸着率σは弱減少傾向となる。但し、このような硫黄吸着量の推定態様は、一例であり、硫黄吸着量の算出には公知の各種態様を適用可能である。
積算吸入空気量Gaintが所定値Gaintclに達していない場合(ステップS101:NO)、硫黄脱離促進処理の実行条件が成立しないものとして、ECU100は、被毒回復制御を終了する。尚、被毒回復制御は、上述したように繰り返し実行される制御であり、所定の周期で処理はステップS101から再び実行される。
一方、積算吸入空気量Gaintが所定値Gaintclを超えた場合(ステップS101:YES)、ECU100は、上述した空燃比F/B制御におけるサブF/B制御の実行期間中であるか否かを判定する(ステップS102)。サブF/B制御が実行されていない場合(ステップS102:NO)、被毒回復制御は終了する。尚、サブF/B制御が実行されていない場合とは、例えば、エンジン200の始動時や、加速要求等、メインF/B制御における基本となる制御目標空燃比がストイキ以外(この場合、加速要求に対応するため一時的にリッチ空燃比に設定され得る)に設定される場合等を意味する。
サブF/B制御が実行されている場合(ステップS102:YES)、ECU100は、硫黄脱離促進処理を実行可能であるか否かを判定する(ステップS103)。硫黄脱離促進処理が実行不可であると判定されると(ステップS103:NO)、被毒回復制御は終了する。
ステップS103に係る判断要件は一義的ではないが、本実施形態では、エンジン200の運転条件が硫黄脱離促進処理の実行に適した条件であるか否か、或いは、エンジン200の運転条件が硫黄脱離促進処理の実行に適さない条件でないか否かが判定される。具体的には、本実施形態では、エンジン200の機関回転数NE及び負荷率KLに基づいて、高負荷運転や過渡運転がなされていないか否かが判定される。即ち、高負荷運転時や過渡運転時には、硫黄脱離促進処理は実行不可であると判定される。これは、高負荷運転時や過渡運転時に硫黄脱離促進処理を実行すると、ドライバビリティの低下が顕在化する可能性があることに由来する。
また、ステップS103では、EGR装置による外部EGR或いは吸気弁209の開閉時期による内部EGR等を利用した公知のNOx排出量抑制措置が講じられている状況であるか否かが判定される。即ち、NOx排出量抑制措置が講じられていない状況では、硫黄脱離促進制御におけるNOx増加措置の効果が限定的になるため、硫黄脱離促進処理は実行不可であると判定される。尚、内部EGRにせよ外部EGRにせよ、EGRは好適にはアイドル時以外の低中負荷領域において実行されることが多い。従って、ステップS103では、エンジン200がアイドル以外の低中負荷領域で稼動しているか否かが判定されてもよい。
硫黄脱離促進処理を実行可能であるとの判定がなされると(ステップS103:YES)、ECU100は、触媒床温Tcatが下限温度Tcat1と上限温度Tcat2とに挟まれた硫黄脱離温度領域に該当するか否かを判定する(ステップS104)。
三元触媒220には、600℃内外に、吸着したSOxが脱離し易い温度領域があり、硫黄脱離促進処理は、この温度領域においてなされるのが好適である。逆に言えば、この温度領域から外れた温度領域においては、硫黄脱離促進処理が十分に機能せず、エンジン200の燃費悪化等の弊害が顕在化する可能性がある。下限温度Tcat1及び上限温度Tcat2は、予め実験的に、経験的に又は理論的に定められ得る値であるが、本実施形態では、下限温度Tcat1=550℃、上限温度Tcat2=650℃に設定される。触媒床温Tcatが硫黄脱離温度領域に該当しない場合(ステップS104:NO)、被毒回復制御は終了する。
尚、触媒床温Tcatは、三元触媒220に温度センサを付設して実測してもよいが、本実施形態では、ECU100が被毒回復制御とは別の制御ルーチンにおいて常時推定する構成を採る。触媒床温の推定手法は公知の各種手法を適用可能である。例えば、触媒床温Tcatは、最新のIGオンタイミング以降の積算燃料消費量(先のΣqfと概念的には同様である)に基づいて推定される。具体的には、積算燃料消費量と触媒床温Tcatとの関係を表す制御マップが予めROMに格納されており、ECU100は、当該制御マップから、積算燃料消費量に対応する温度値を取得することによって触媒床温Tcatを推定する。
触媒床温Tcatが硫黄脱離温度領域に該当する場合(ステップS104:YES)、ECU100は、Oセンサ222の出力電圧値Voxを参照し、Oセンサの出力値がリーン相当値であるか否かを判定する(ステップS105)。Oセンサ222の出力値がリーン相当値であるとは、出力電圧値Voxが基準出力電圧値Voxb未満であること(典型的には、最小出力電圧値Voxmin付近であること)を意味し、三元触媒220がリーン破綻していることを意味する。補足すると、既にステップS102においてサブF/B制御の実行判定がなされているため、Oセンサの出力値がリーン相当値である場合には、メインF/B制御の入力側目標空燃比A/Fintgの減少側の補正が掛かり、燃料噴射量qfは増量側に補正される。Oセンサ222の出力値がリーン相当値でない場合(ステップS105:NO)、被毒回復制御は終了する。尚、Oセンサ222の出力値がリーン相当値でないとは、Oセンサ222の出力値がリッチ相当値であること、即ち出力電圧値Voxが基準出力電圧値Voxbよりも大きいこと(典型的には、最大出力電圧値Voxmax付近であること)を意味し、三元触媒220がリッチ破綻していることを意味する。
センサ222の出力値がリーン相当値である場合(ステップS105:YES)、硫黄脱離促進処理の実行条件が成立し、硫黄脱離促進処理が開始される(ステップS106)。硫黄脱離促進処理は、主としてステップS107及びステップS108により構成される。
ECU100は、ステップS107において、先ず燃料噴射量qfを増量側に補正するためのサブF/B制御の補正量、即ちサブF/B補正量を、通常のサブF/B補正量よりも大きくする。尚、「サブF/B補正量を大きくする」とは、燃料噴射量qfが多くなる方向へ変化させることを意味し、サブF/B補正量そのものの変化方向は、サブF/B補正量の設定如何により異なり得る。ステップS107は、本発明に係る「燃料噴射量を更に増量補正する」ことの一例である。
続いて、ECU100は、ステップS108において、吸気弁209の開閉時期を可変とし得る先述の可変動弁装置を用いて、吸気弁209の開閉時期を遅角させる。尚、先述したように、本実施形態に係る可変動弁装置の構成では、吸気弁209の作用角は変化しない。従って、吸気弁209の開閉時期(即ち、IVO及びIVCの双方)が所定の作用角を伴って全体的に遅角側に変化する。
ここで、排気弁215の開閉時期は変化しないため、吸気弁209の開閉時期が遅角側に変化すると、排気弁215の閉弁前において吸気弁209が開弁している期間、即ち、バルブオーバラップ期間が減少する。バルブオーバラップ期間が減少すると、排気行程において排気ポート216に排出された排気の一部が燃焼室側に戻される現象、即ち内部EGRの規模が小さくなる。即ち、内部EGR量は減少する。内部EGRは、不活性の燃焼済みガスを燃焼室に戻すことにより燃焼温度を低下させる措置であるから、内部EGR量が減少すると、必然的に筒内の燃焼温度は上昇する。一般的に筒内におけるNOx生成量は、燃焼温度と大きく関係しており、筒内燃焼温度が上昇すると、NOx生成量は増加する。結果的に、ステップS108において吸気弁209の開閉時期を遅角すると、排気ポート216を介して排気管219に供給される排気中のNOx濃度が上昇する。即ち、ステップS108は、本発明に係る「触媒に流入するガスのNOx濃度又はNOx量が増加するようにNOx調整手段を制御する」ことの一例であり、上述したNOx増加措置の一例である。
NOxは、三元触媒220への吸着に関する化学的性質において触媒を被毒するSOxと類似している。このため、このNOxを相対的に多量に含む排気(即ち、NOx濃度が相対的に高い排気)が三元触媒220に供給されると、三元触媒220の内部のSOx分圧が相対的に低下する。三元触媒220に対するSOxの吸着と脱離は可逆反応であり、触媒へのSOx吸着量は、触媒内部のSOx分圧に大きく依存している。即ち、触媒内部の(或いは、排気中の)SOx分圧が相対的に小さければ、触媒に吸着しているSOxは触媒から脱離し易くなる。即ち、ステップS108に係るNOx生成措置によりSOxの脱離が促進される。
他方、ステップS107において、通常のサブF/B制御における補正量以上にリッチ側(即ち、燃料噴射量が増量される側)の補正が掛かった燃料が供給されており、三元触媒220には、COやHCといった還元剤が多量に存在している。このため、NOxの効果により触媒から脱離したSOxは、この還元剤との還元反応により浄化される。また、還元剤自体が、触媒からのSOxの脱離を促進するため、硫黄脱離促進処理により、三元触媒220は硫黄被毒状態から迅速且つ好適に回復する。
このように、本実施形態に係る硫黄脱離促進処理によれば、空燃比F/B制御のサブF/B制御における燃料噴射量を増量させる側の補正を利用して触媒内部をSOx還元雰囲気に維持すると共に、SOxと化学的性質が類似したNOxの供給量を増加させ触媒内部のNOx濃度を上昇させることにより触媒内部のSOx分圧を下げ、触媒に吸着したSOxを効率的に脱離させ還元させることができる。
従って、触媒床温Tcatが硫黄脱離温度領域にある場合に(或いは、硫黄脱離温度領域まで上昇させ)、還元剤濃度を上昇させるのみの処理と較べて、より大量のSOxを脱離させることができる。或いはより短時間にSOxを脱離させることができる。或いは、還元剤の供給量をより節減することができる。
ステップS107及びS108による硫黄脱離促進処理が実行されると、ECU100は、Oセンサ222の出力値がリッチ相当値であるか否かを判定する(ステップS109)。Oセンサ222の出力値がリッチ相当値である場合(ステップS109:YES)、サブF/B制御により燃料噴射量qfの減量補正が掛かるため、三元触媒220内部は酸素過多の状態となる。このような状況では、SOxの脱離還元が進行し難いため、ECU100は硫黄脱離促進処理を終了し(ステップS110)、被毒回復制御を終了する。
尚、ステップS110に係る硫黄脱離促進処理の終了措置とは、既にサブF/B補正がリーン側の補正(即ち、燃料噴射量を減量する側の補正)に変化していることから、実質的に吸気弁209の開閉時期を、その時点のエンジン200の運転状態に応じた基準時期に復帰させることを意味する。
一方、Oセンサ222の出力値がリッチ相当値でない場合(ステップS109:NO)、ECU100は、硫黄脱離促進処理を継続可能であるか否かを判定する(ステップS111)。ステップS111に係る判定要素は、ステップS103と同等である。即ち、ステップS111では、硫黄脱離促進処理の実行中にエンジン200の運転条件の大きな変化(硫黄脱離促進処理の実行条件が成立しなくなる程の変化)が生じていないか否かが判定される。従って、硫黄脱離促進処理を継続できないと判定された場合には(ステップS111:NO)、被毒回復制御は終了する。また、硫黄脱離促進処理を継続可能であるとの判定が下された場合には(ステップS111:YES)、処理はステップS104に戻される。
尚、本実施形態では、触媒内部或いは排気中のNOx濃度を上昇させるための本発明に係るNOx調整手段として、吸気弁209の開閉時期を調整可能な可変動弁装置を利用したが、エンジン200がEGR装置を備える点からすれば、可変動弁装置を介した吸気弁の開閉時期の制御による内部EGR量の制御に替えて、EGR装置の制御を介した外部EGR量の制御が用いられてもよい。即ち、EGR弁218を相対的閉弁側に駆動して、EGR管217を介して吸気系に還流されるEGRガスの量(即ち、外部EGR量)を相対的に減少させることによってNOx生成量を相対的に増加させ当該NOx濃度を上昇させてもよい。或いは、点火装置213の点火時期を進角して、筒内燃焼温度を上昇させることによってNOx生成量を相対的に増加させ当該NOx濃度を上昇させてもよい。
尚、本実施形態では、ステップS108によりNOx濃度をどの程度上昇させるのかについては具体的に例示されていない。これは、ステップS108の実行前後において気筒201のNOx生成量が増量側に変化しさえすれば、排気中又は触媒内部のNOx濃度が一義的に増加しSOx分圧の低下を導き得ることと、当該NOx濃度を上昇させ得る限りにおいてSOx脱離促進に係る効果を幾らかなり確保し得る点とに鑑みたものである。即ち、NOx濃度を如何なる条件下で如何なる範囲に維持するのかについては、本発明の要旨とは関係がない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、内燃機関における触媒の硫黄被毒回復制御に適用可能である。
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、CB…シリンダブロック、201…気筒、212…吸気ポートインジェクタ、219…排気管、220…三元触媒、221…空燃比センサ、222…Oセンサ。

Claims (4)

  1. 排気経路に設置された排気浄化用の触媒と、
    前記触媒に流入するガスのNOx濃度又はNOx量を調整可能なNOx調整手段と
    を備えた内燃機関を制御する、内燃機関の制御装置であって、
    前記触媒に吸着した硫黄の脱離制御を実行する硫黄被毒回復制御手段を具備し、
    前記硫黄被毒回復制御手段は、
    前記脱離制御において、前記触媒に流入するガスのNOx濃度又はNOx量が増加するように前記NOx調整手段を制御する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記NOx調整手段は、吸気弁又は排気弁の開閉時期を変化させることが可能な可変動弁装置、EGR装置及び点火装置のうち少なくとも一つを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記内燃機関は、
    前記触媒に流入するガスの空燃比である第1空燃比を検出可能な第1空燃比センサと、
    前記触媒から排出されるガスの空燃比である第2空燃比を検出可能な第2空燃比センサと
    を具備すると共に、
    前記検出された第1空燃比が目標空燃比に収束するように燃料噴射量を制御する第1F/B制御と、
    前記検出された第2空燃比がストイキ比リーンである場合に前記燃料噴射量を増量補正し、前記検出された第2空燃比がストイキ比リッチである場合に前記燃料噴射量を減量補正する第2F/B制御とが適用される構成となっており、
    前記硫黄被毒回復制御手段は、前記燃料噴射量が増量補正される際の補正量が所定量以上となった場合に前記脱離制御を実行する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記硫黄被毒回復制御手段は、前記脱離制御において、前記燃料噴射量を更に増量補正する
    ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
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