JP2014009109A - 等方性炭素材用の球形原料炭組成物、炭素質球形炭素材、黒鉛質球形炭素材およびこれらの製造方法 - Google Patents
等方性炭素材用の球形原料炭組成物、炭素質球形炭素材、黒鉛質球形炭素材およびこれらの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 等方性で、黒鉛化処理後も球形状を維持することができ、且つ、コストの安い等方性炭素材料用の球形状の原料炭組成物を提供する。
【解決手段】 マイクロ強度が6〜16質量%、揮発分が5〜8質量%、且つ、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.6質量%以下の生コークスを造粒球形化し得られることを特徴とする等方性炭素材用の球形原料炭組成物。
【選択図】 図1
Description
黒鉛は結晶が層構造を有する特性があり、製品の配向性が問題となる場合がある。例えば、半導体単結晶製造用のるつぼや高温で使用する冶工具類、ホットプレス用のダイスなどは、等方性であることが要求されている。黒鉛で等方性の成形品を製造するためには、少なくともマクロで見て、黒鉛結晶の配向がランダムに並んでいる必要がある。
工業的には、こうした性質を有する黒鉛において等方性の成形品を得るためにさまざまな工夫がなされているというのが現状である。
こうした工夫の一例を挙げれば、ショットコークスを起源としたカルサインコークスを使用する方法ある。
かかるショットコークス起源のカルサインコークスは、黒鉛にしたとき結晶の配向がランダムで等方性が得られやすいという利点がある。しかし、カルサインコークスはそれ自身では結着性を持たないので、ピッチなどのバインダーを使用する必要がある。この際、ショットコークスを起源としたカルサインコークスは、形状や大きさが一定にならないため、多くのバインダーを使用しなければならない。また、バインダーを炭化する際の体積減少によって生じる隙間のために、一回成形しバインダーを炭化させた後に、再度バインダーに浸す操作を繰り返す必要がある。
また、本発明は、等方性で、黒鉛化処理後も球形状を維持することができ、且つ、高強度の炭素質球形炭素材とその製造方法を提供するものである。
また、本発明は、等方性で、球形状であって、高強度の黒鉛質球形炭素材とその製造方法を提供するものである。
また、本発明の球形原料炭組成物は、粒径や粒子の形状が一定の範囲に制御されたものであるため、等方性の成形品を製造する際に、密な充填が可能となる。
さらに、本発明の球形原料炭組成物は、バインダーの役割を果たす揮発分を適量含有するため、少ないバインダー量で加工成形することが出来る。
そして、上記加工成形後の成形品を炭化黒鉛化する場合にも、密な充填がされており、かつ余分なバインダーを含有していないため、黒鉛化の際のバインダーの揮発に起因する成形品自体の変形が極めて少ない優れた黒鉛成形品を得ることができる。
まず本発明の等方性炭素材用の球形原料炭組成物は、マイクロ強度が6〜16質量%、揮発分が5〜8質量%、且つ、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.6質量%以下の生コークスを造粒球形化し得られることを特徴とする。
すなわち、マイクロ強度が6質量%未満では、破断を引き起こす場合があり、また、16質量%を超える場合には、変形が小さく、球状化が進まない場合がある。
このマイクロ強度は、鋼製シリンダー(内径25.4mm、長さ304.8mm)に20〜30メッシュの試料2gと直径5/16inch(7.9mm)の鋼球12個を入れ、鉛直面を管と直角方向に25rpmで800回転させたのち(すなわち、シリンダーを立てた状態から上下が入れ替わるように、回転軸を水平にして、あたかもプロペラが回転するように回転させる)、48メッシュでふるい分け、試料に対するふるい上の質量をパーセントで示した値である。
本発明において生コークスの揮発分は、粒子同士を密着焼結させる際のバインダーとして5質量%以上、含まれることを特徴とする。その一方で、揮発分が8質量%を超えると、炭化時に、ガスの発生が過多となり、空洞や空隙が残存することに繋がり、剥離や大きな変形を起こし好ましくないため、上限は8質量%である。生コークスに揮発成分が多い場合には、900℃未満の加熱で揮発物の一部を除去することができる。
流動接触分解装置のボトム油は、原料油として減圧軽油を使用し、触媒を使用して分解反応を選択的に行わせ、高オクタン価のFCCガソリンを得る流動床式の接触分解装置の残渣油である。減圧蒸留装置の残渣油(VR)は、原油を常圧蒸留装置にかけて、ガス・軽質油・常圧残油を得た後、この常圧残油を、例えば、10〜30Torrの減圧下、加熱炉出口温度320〜360℃の範囲で変化させて得られる減圧蒸留装置の残渣油である。減圧蒸留装置の留出油は、上記の常圧残油を、例えば、10〜30Torrの減圧下、加熱炉出口温度320〜360℃の範囲で変化させて得られる減圧蒸留装置の留出油である。脱硫脱瀝油は、例えば、減圧蒸留残渣油等の油を、プロパン、ブタン、ペンタン、又はこれらの混合物等を溶剤として使用する溶剤脱瀝装置で処理し、そのアスファルテン分を除去し、得られた脱瀝油(DAO)を、好ましくは硫黄分0.05〜0.40質量%の範囲までに脱硫したものである。
かかる原料油の組成物は、残油流動接触分解装置のボトム油を原料油の組成物中に好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜90質量%含む。
なお、原料油組成物には、硫黄や金属等の不純物を極力含まないことが好ましいことはいうまでもない。
なお、残油流動接触分解装置のボトム油が、他の重質油を混合することなく、所定の飽和成分及びアロマ(芳香族)成分を有するときは、単独で原料油組成物を形成してもよい。
本発明の等方性炭素材用の炭素質球形炭素材は、走査型電子顕微鏡で観察した炭素質球形炭素材の粒子の平面方向の球形化率と立面方向の球形化率との平均値が55%以上であって、粉砕指数と粒子表面積が下記式(1)の関係にあることを特徴とする。
本発明の等方性炭素材用の黒鉛質球形炭素材は、走査型電子顕微鏡で観察した黒鉛質球形炭素材の粒子の平面方向の球形化率と立面方向の球形化率との平均値が50%以上であって、粉砕指数と粒子表面積が下記式(2)の関係にあることを特徴とする。
本発明の球形原料炭組成物の製造方法は、生コークス粉末に圧縮剪断応力を加えて、乾式で造粒球形化処理を行う工程を少なくとも含み、前記生コークスのマイクロ強度が6〜16質量%、揮発分が5〜8質量%、且つ、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.6質量%以下であり、前記生コークス粉末が、平均粒径(D50)の1/3以下の粒径の粒子を5質量%以上含むことを特徴とする。
圧縮剪断応力を付与する工程における製造条件は、使用する装置によっても異なるが、回転するブレードの羽根とハウジングの間隙で、粉体に圧密、圧縮応力が加わる構造の装置を用いる。
なお、平均粒径(D50)は、レーザー散乱式粒度分布測定器による測定に基づく。
50ccのポリプロピレンねじ蓋付きのポリ瓶に、2mmφのジルコニアビーズを50g入れ、試料である炭素質炭素材又は黒鉛質炭素材を2g入れた。その後、TOYO SEIKI製の試験用分散機(ペイントシェーカー)で、15分間振盪させた。
粉砕前のレーザー散乱式粒度分布測定器で得られた平均粒径D50と、ペイントシェーカーで5分、10分、15分振盪させた時のレーザー散乱式粒度分布のD50のデータを振盪時間に対して、一次近似した時の最小二乗法による一次曲線の傾きの絶対値を粉砕指数と定義した。
[1.生コークス(1)]
表1に示す物性を有する残油流動接触分解装置のボトム油(表1中RFCC残渣油)、流動接触分解装置のボトム油(表1中FCC残渣油)、及びインドネシア産減圧蒸留装置の残渣油(表1中VR1)を質量比60:20:20となるように混合した混合油をディレードコーカー装置に導入して、不活性雰囲気下、温度550℃、圧力0.4Mpaの条件でコーキング処理し、生コークス(1)を得た。
得られた生コークスは、マイクロ強度(MS)が7質量%、揮発分8質量%、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.4質量%である。
表1に示す物性を有する残油流動接触分解装置のボトム油、流動接触分解装置のボトム油、及びVR1を質量比20:60:20となるように混合した混合油をディレードコーカー装置に導入して、不活性雰囲気下、温度550℃、圧力0.4Mpaの条件でコーキング処理し、生コークス(2)を得た。
得られた生コークスは、マイクロ強度が10質量%、揮発分6質量%、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.5質量%である。
表1に示す物性を有する残油流動接触分解装置のボトム残渣油、及びVR1を質量比80:20となるように混合した混合油をディレードコーカー装置に導入して、不活性雰囲気下、温度550℃、圧力0.4Mpaの条件でコーキング処理し、生コークス(3)を得た。
得られた生コークスは、マイクロ強度が15質量%、揮発分5質量%、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.4質量%である。
表1に示す物性を有するベトナム産減圧蒸留装置の残渣油(表1中VR3)をディレードコーカー装置に導入して、不活性雰囲気下、温度550℃、圧力0.4Mpaの条件でコーキング処理し、生コークス(4)を得た。
得られた生コークスは、マイクロ強度が6質量%、揮発分4質量%、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.5質量%である。
表1に示す物性を有するFCCの残渣油をディレードコーカー装置に導入して、不活性雰囲気下、温度550℃、圧力0.4Mpaの条件でコーキング処理し、生コークス(5)を得た。
得られた生コークスは、マイクロ強度が4質量%、揮発分8質量%、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.5質量%である。
表1に示す物性を有するVR1をディレードコーカー装置に導入して、不活性雰囲気下、温度550℃、圧力0.4Mpaの条件でコーキング処理し、生コークス(6)を得た。
得られた生コークスは、マイクロ強度が16質量%、揮発分9質量%、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.4質量%である。
表1に示す物性を有するスーダン産減圧蒸留装置の残渣油(表1中VR2)をディレードコーカー装置に導入して、不活性雰囲気下、温度550℃、圧力0.4Mpaの条件でコーキング処理し、生コークス(7)を得た。
得られた生コークスは、マイクロ強度が12質量%、揮発分7質量%、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.8質量%である。
[実施例1]
得られた生コークス(1)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP15型(日本コークス工業社製)で処理温度を150℃とし、周速80m/sにて、120分間球形化処理を行い、風力分級器にて7μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(実施例1−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(実施例1−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(実施例1−3)。
得られた生コークス(1)を平均粒径が7μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を10質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP130型(日本コークス工業社製)で処理温度を340℃とし、周速90m/sにて、60分間球形化処理を行い、風力分級器にて3μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(実施例2−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(実施例2−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(実施例2−3)。
得られた生コークス(1)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP130型(日本コークス工業社製)で処理温度を230℃とし、周速80m/sにて、60分間球形化処理を行い、風力分級器にて5μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(実施例3−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(実施例3−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(実施例3−3)。
得られた生コークス(1)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP130型(日本コークス工業社製)で処理温度を350℃とし、周速90m/sにて、30分間球形化処理を行い、風力分級器にて5μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(実施例4−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(実施例4−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(実施例4−3)。
得られた生コークス(2)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP15型(日本コークス工業社製)で処理温度を150℃とし、周速80m/sにて、90分間球形化処理を行い、風力分級器にて5μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(実施例5−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(実施例5−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(実施例5−3)。
得られた生コークス(2)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP130型(日本コークス工業社製)で処理温度を330℃とし、周速90m/sにて、90分間球形化処理を行い、風力分級器にて7μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(実施例6−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(実施例6−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(実施例6−3)。
得られた生コークス(3)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP15型(日本コークス工業社製)で処理温度を170℃とし、周速80m/sにて、90分間球形化処理を行い、風力分級器にて5μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(実施例7−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(実施例7−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(実施例7−3)。
得られた生コークス(3)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP130型(日本コークス工業社製)で処理温度を300℃とし、周速90m/sにて、60分間球形化処理を行い、風力分級器にて5μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(実施例8−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(実施例8−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(実施例8−3)。
得られた生コークス(1)を不活性ガス雰囲気下で1400℃にて300分間炭化処理を行い、平均粒径が20μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を2質量%含むように粉砕及び分級した炭素質炭素材を得た(比較例1−2)。得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例1−3)。
得られた生コークス(1)を不活性ガス雰囲気下で1400℃にて300分間炭化処理を行い、平均粒径が13μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を3質量%含むように粉砕及び分級した炭素質炭素材を得た(比較例2−2)。得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例2−3)。
得られた生コークス(1)を不活性ガス雰囲気下で1400℃にて300分間炭化処理を行い、平均粒径が7.5μmあって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を2.5質量%含むように粉砕及び分級した炭素質炭素材を得た(比較例3−2)。得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例3−3)。
得られた生コークス(4)を平均粒径が6.4μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を10質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP130型(日本コークス工業社製)で処理温度を240℃とし、周速90m/sにて、75分間球形化処理を行い、風力分級器にて3μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(比較例4−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(比較例4−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例4−3)。
得られた生コークス(4)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP15型(日本コークス工業社製)で処理温度を130℃とし、周速80m/sにて、60分間球形化処理を行い、風力分級器にて5μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(比較例5−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(比較例5−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例5−3)。
得られた生コークス(4)を平均粒径が14μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を15質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP130型(日本コークス工業社製)で処理温度を220℃とし、周速80m/sにて、90分間球形化処理を行い、風力分級器にて7μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(比較例6−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(比較例6−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例6−3)。
得られた生コークス(4)を不活性ガス雰囲気下で1400℃にて300分間炭化処理を行い、平均粒径が24μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を0.5質量%含むように粉砕及び分級した炭素質炭素材を得た(比較例7−2)。得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例7−3)。
得られた生コークス(4)を不活性ガス雰囲気下で1400℃にて300分間炭化処理を行い、平均粒径が12μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を2.8質量%含むように粉砕及び分級した炭素質炭素材を得た(比較例8−2)。得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例8−3)。
得られた生コークス(4)を不活性ガス雰囲気下で1400℃にて300分間炭化処理を行い、平均粒径が6μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を0.1質量%含むように粉砕及び分級した炭素質炭素材を得た(比較例9−2)。得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例9−3)。
得られた生コークス(5)を平均粒径が26μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を2.5質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をノビルタ NOB−130型(ホソカワミクロン社製)で処理温度を65℃とし、周速20m/sにて、30分間球形化処理を行い、球形原料炭組成物を得た(比較例10−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(比較例10−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例10−3)。
得られた生コークス(5)を平均粒径が23μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を2.5質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をノビルタ NOB−130型(ホソカワミクロン社製)で処理温度を60℃とし、周速20m/sにて、60分間球形化処理を行い、球形原料炭組成物を得た(比較例11−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(比較例11−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例11−3)。
得られた生コークス(6)を平均粒径が14μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を2.1質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末を得た(比較例12−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(比較例12−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例12−3)。
得られた生コークス(7)を平均粒径が10μmであって、平均粒径の1/3以下の粒径の微粉を12質量%含むように粉砕及び分級した生コークス粉末をCOMPOSI CP130型(日本コークス工業社製)で処理温度を220℃とし、周速80m/sにて、60分間球形化処理を行い、風力分級器にて5μm以下の粒子を分級して除いて、球形原料炭組成物を得た(比較例13−1)。不活性ガス雰囲気下で1200℃にて300分間炭化処理を行い炭素質球形材料を得た(比較例13−2)。さらに、得られた炭素質炭素材を不活性ガス雰囲気下で2800℃にて60分間黒鉛化処理を行い黒鉛質炭素材を得た(比較例13−3)。
また、形状維持率は球形原料炭組成物を1200℃で300分加熱し、さらに2800℃で180分加熱した後の形状維持率を示す結果である。
表2より、実施例の球形原料炭組成物の平面方向の球形化率と立面方向の球形化率との平均値は、いずれも60%以上であった。更に、実施例の球形原料炭組成物を1200℃で300分加熱し、さらに2800℃で180分加熱した後の形状維持率は、70%以上であった。
横軸には、粒子表面積を示し、縦軸には、粉砕指数(粉砕のされやすさ)を示した。
図1より、同一の原料炭組成物を用いた炭素質球形炭素材は、粒子表面積と粉砕指数に一定の関係があることが確認された。
一般に、粒子サイズによって影響を受けるために、粒子の強度を定量化することは困難であるが、本発明においては、粒子表面積と粉砕指数との相関をとることによりそれを可能とした。
一方、比較例の炭素質炭素材においては、平面方向の球形化率と立面方向の球形化率との平均値が55%以上とならない結果や(表3)、式(1)の関係を満さない結果がみとめられた(図1)。この結果より、比較例各例の炭素質炭素材は、等方性を満足するために十分な球形状とならない、あるいは粉砕されやすく、粒子としての強度が十分ではないことが分かった。
横軸には、粒子表面積を示し、縦軸には、粉砕指数(粉砕のされやすさ)を示した。
結果として、実施例各例の黒鉛質球形炭素材の平面方向の球形化率と立面方向の球形化率との平均値は、いずれも50%以上であるとともに(表4)、式(2)の関係を満たした(図2)。
Claims (10)
- マイクロ強度が6〜16質量%、揮発分が5〜8質量%、且つ、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.6質量%以下の生コークスを造粒球形化し得られることを特徴とする等方性炭素材用の球形原料炭組成物。
- 前記生コークスが残油流動接触分解油を含む重質油をコーキング処理して得た生コークスである請求項1に記載の球形原料炭組成物。
- 走査型電子顕微鏡で観察した前記球形原料炭組成物の粒子の平面方向の平均球形化率と立面方向の平均球形化率との平均値が60%以上である請求項1又は2に記載の球形原料炭組成物。
- 球形原料炭組成物粒子を1200℃で5時間加熱し、さらに2800℃で180分加熱した後の形状維持率が、70%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の球形原料炭組成物。
- 走査型電子顕微鏡で観察した炭素質球形炭素材の粒子の平面方向の平均球形化率と立面方向の平均球形化率との平均値が55%以上であって、粉砕指数と粒子表面積が下記式(1)の関係にある等方性炭素材用の炭素質球形炭素材。
- 炭素質球形炭素材粒子を2800℃で180分加熱した後の形状維持率が、70%以上である請求項5に記載の炭素質球形炭素材。
- 走査型電子顕微鏡で観察した黒鉛質球形炭素材の粒子の平面方向の球形化率と立面方向の球形化率との平均値が50%以上であって、粉砕指数と粒子表面積が下記式(2)の関係にある等方性炭素材用の黒鉛質球形炭素材。
- 等方性炭素材用の球形原料炭組成物の製造方法であって、
生コークス粉末に圧縮剪断応力を加えて、乾式で造粒球形化処理を行う工程を少なくとも含み、
前記生コークスのマイクロ強度が6〜16質量%、揮発分が5〜8質量%、且つ、窒素分及び硫黄分の含有量の合計が0.6質量%以下であり、
前記生コークス粉末が、平均粒径(D50)の1/3以下の粒径の粒子を5質量%以上含むことを特徴とする球形原料炭組成物の製造方法。 - 請求項8に記載の製造方法によって得られた球形原料炭組成物を炭化する工程を少なくとも含む等方性炭素材用の炭素質球形炭素材の製造方法。
- 請求項9に記載の製造方法によって得られた炭素質球形炭素材を黒鉛化する工程を少なくとも含む等方性炭素材用の黒鉛質球形炭素材の製造方法。
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