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JP2014091793A - 脂環構造含有開環重合体の水素添加物及びその利用 - Google Patents

脂環構造含有開環重合体の水素添加物及びその利用 Download PDF

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JP2014091793A JP2012243809A JP2012243809A JP2014091793A JP 2014091793 A JP2014091793 A JP 2014091793A JP 2012243809 A JP2012243809 A JP 2012243809A JP 2012243809 A JP2012243809 A JP 2012243809A JP 2014091793 A JP2014091793 A JP 2014091793A
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Kiyokazu Hashimoto
清和 橋本
Akira Furuko
明 古国府
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

【課題】 位相差フィルム等の光学用フィルムとして好適な、脂環構造含有開環重合体の水素添加物から成る延伸フィルムを提供する。
【解決手段】 シクロペンタジエン化合物由来の構造単位(A)60〜80重量%、テトラシクロドデセン化合物由来の構造単位(B)10〜30重量%、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物由来の構造単位(C)10〜30重量%(但し、構造単位(A)+構造単位(B)+構造単位(C)の合計量は100である)を有する脂環構造含有開環重合体の水素添加物からなるフィルムを延伸する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂環構造含有開環重合体の水素添加物とこれを成形して成るフィルムに関する。当該フィルムは位相差フィルム等の光学用フィルムとして好適に用いられる。
近年、液晶表示装置(LCD)は、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーションシステム、テレビジョン、携帯電話の表示装置として、様々な場所で使われている。
LCDの視野角特性を向上させるために、位相差フィルムが使われるが、その材料としてノルボルネン開環重合体水素化物を用いることが提案されている。このような脂環構造含有開環重合体の水素添加物製フィルムを位相差フィルムとして用いるに当たり、位相差を高めるため、延伸して用いることが行われている。
特許文献1には、脂環構造含有重合体の水素添加物製フィルムを延伸した位相差フィルムの光学特性を維持したまま、シワや厚みムラや寸法変化のないフィルムを容易に得るために、脂環構造含有重合体の水素添加物として、テトラシクロドデセンなどに由来するトリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造を有する繰り返し単位が10重量%以上と、ジシクロペンタジエンなどに由来するビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造を有する繰り返し単位が55〜90重量%とを含有するもの用いることが提案されている。
特許文献2には、位相差フィルムにおいて、高い位相差を発現し、フィルムが延伸される際の基材破壊を防ぐことができる樹脂として、ジシクロペンタジエン化合物由来の構造単位50〜55重量%、テトラシクロドデセン化合物由来の構造単位35〜40重量%、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物由来の構造単位5〜15重量%を有する脂環構造含有開環重合体の水素添加物を用いることが開示されている。
特開2003−342384号公報 特開2009−079097号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、これらの重合体水素添加物を用いた場合、大きな位相差を発現させるために延伸倍率を高めると、フィルムに位相差ムラが発生し易くなることが判明した。
そこで本発明者らは、鋭意検討した結果、ジシクロペンタジエン化合物由来の構造単位(A)、テトラシクロドデセン化合物由来の構造単位(B)、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物由来の構造単位(C)を所定の割合で有する脂環構造含有開環重合体の水素添加物を用いると、延伸しても位相差ムラを生じ難く、大きな位相差を有するフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、ジシクロペンタジエン化合物由来の構造単位(A)60〜80重量%、テトラシクロドデセン化合物由来の構造単位(B)10〜30重量%、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物由来の構造単位(C)10〜30重量%(但し、構造単位(A)+構造単位(B)+構造単位(B)の合計量は100である)を有する脂環構造含有開環重合体の水素添加物(以下、単に「開環重合体水素添加物」ということがある)が提供される。
この脂環構造含有重合体の水素添加物の重量平均分子量が30,000〜45,000であるものが、位相差フィルムなどの光学フィルムに好適である。
本発明に用いる脂環構造含有開環重合体の水素添加物は、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン構造を有するジシクロペンタジエン化合物、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン構造を有するテトラシクロドデセン化合物、及びテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン構造を有するメタノテトラヒドロフルオレン化合物を脂環構造含有モノマーとし、開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合を水素化することにより得られるものである。
ジシクロペンタジエン化合物、テトラシクロドデセン化合物、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物は、いずれも直鎖、分岐又は環状の炭素数1〜6の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、アルケニル基、又はアルキリデン基を置換基として有していてもよい。
通常、脂環構造含有モノマーをメタセシス重合触媒の存在下に開環重合することにより開環重合体を得ることができる。
トリシクロ[5.2.1.02,5]デカ−3,7−ジエンが少なすぎるとフィルムにした際の位相差発現性が低下する傾向があり、多すぎると耐熱性が低下する傾向にあり、いずれも好ましくない。
構造単位(A)を与える化合物は、トリシクロ[5.2.1.02,5]デカ−3,7−ジエン化合物であり、具体的には、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、その部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロペンテンの付加物)であるトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、ペンタジエンとシクロヘキサジエンの付加物であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、またはこれらの部分水素添加物(またはシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エンなどが挙げられる。トリシクロ[5.2.1.02,5]デカ−3,7−ジエン化合物は、置換基を有しないものが好ましい。
構造単位(A)を与えるジシクロペンタジエン化合物は、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、エチルジシクロペンタジエン、ビニルジシクロペンタジエン、プロペニルジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
構造単位(B)を与えるテトラシクロドデセン化合物としては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
構造単位(C)を与えるメタノテトラヒドロフルオレン化合物としては、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう)、11−メチル−テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−4−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)などが挙げられる。
メタセシス重合触媒としては、例えば、特公昭41−20111号公報、特開昭46−14910号公報、特公昭57−17883号公報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86600号公報、特開昭58−127728号公報、特開平1−240517号公報等に記載された、本質的に(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分からなる一般のメタセシス重合触媒;シュロック型重合触媒(特開平7−179575号公報、Schrock et al.,J.Am.Chem.Soc.,1990年,第112巻,3875頁〜等)や、グラブス型重合触媒(Fu et al.,J.Am.Chem.Soc.,1993年,第115巻,9856頁〜;Nguyen et al.,J.Am.Chem.Soc.,1992年,第114巻,3974頁〜;Grubbs et al.,WO98/21214号パンフレット等)等のリビング開環メタセシス触媒;等が挙げられる。
これらの中でも、得られる重合体の分子量分布を好適な範囲に調節するには、(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分とからなるメタセシス重合触媒が好ましい。
前記(a)遷移金属化合物触媒成分は、周期律表第3〜11族の遷移金属の化合物である。例えば、これらの遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、これらの誘導体、これら又はこれらの誘導体のP(C等の錯化剤による錯化物が挙げられる。
具体例としては、TiCl、TiBr、VOCl、WBr、WCl、WOCl、MoCl、MoOCl、WO、HWO等が挙げられる。なかでも、重合活性等の点から、W、Mo、Ti、又はVの化合物が好ましく、特にWが好ましい。また、これらの金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、又はアルコキシハロゲン化物が好ましい。特にWのハロゲン化物は、反応効率が優れ、使用した脂環構造含有モノマーがほぼ完全に重合反応に供されるため、設計通りの樹脂を得ることが容易な点で好ましい。
前記(b)金属化合物助触媒成分は、周期律表第1〜2族、及び第12〜14族の金属の化合物で少なくとも一つの金属元素−炭素結合、又は金属元素−水素結合を有するものである。例えば、Al、Sn、Li、Na、Mg、Zn、Cd、B等を含有する有機化合物等が挙げられる。
具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物;テトラメチルスズ、ジエチルジメチルスズ、テトラブチルスズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ化合物;n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物;n−ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物;メチルマグネシウムイオジド等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジエチルカドミウム等の有機カドミウム化合物;トリメチルホウ素等の有機ホウ素化合物;等が挙げられる。これらの中で、第13族の金属の化合物が好ましく、特にAlの有機化合物が好ましい。
また、前記(a)成分、(b)成分の他に第三成分を加えて、メタセシス重合活性を高めることができる。用いる第三成分としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含ハロゲン化合物、その他のルイス酸等が挙げられる。
これらの成分の配合比は、(a)成分:(b)成分が金属元素のモル比で、通常1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:10の範囲である。また、(a)成分:第三成分がモル比で、通常1:0.005〜1:50、好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
また、重合触媒の使用割合は、(重合触媒中の遷移金属):(全単量体)のモル比で、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:1,000〜1:20,000、より好ましくは1:5,000〜1:8,000である。触媒量が多すぎると重合反応後の触媒除去が困難になったり、また、分子量分布が広がるおそれがあり、一方、少なすぎると十分な重合活性が得られない。
開環重合は適当な溶媒中で行うことが好ましい。用いる有機溶媒としては、重合体及び重合体水素化物が所定の条件で溶解もしくは分散し、かつ、重合及び水素化反応に影響しないものであれば特に限定されないが、工業的に汎用されている溶媒が好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の溶媒を使用することができる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及びエーテル類が好ましい。
重合を有機溶媒中で行う場合には、重合終了時の脂環式構造含有開環重合体濃度は、1〜50重量%が好ましく、10〜45重量%がより好ましく、20〜40重量%が特に好ましい。脂環式構造含有開環重合体の濃度が低すぎると生産性が低下するおそれがあり、一方、濃度が高すぎると重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素化反応が困難となるおそれがある。
重合は、触媒または/及びモノマーの全量、もしくは一部を逐次添加することが好ましい。
逐次添加する触媒は、触媒に対し不活性で、かつ触媒が溶解する溶媒で予め溶解させておくことが好ましい。その濃度は通常10〜0.01重量%、好ましくは3〜0.05重量%、より好ましくは1〜0.1重量%である。
逐次添加するモノマーは、予め溶媒で希釈して用いることが好ましい。その濃度は、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。
このように重合することで、得られる重合体の分子量分布を好適な範囲に調整することができる。
開環重合においては、反応系に分子量調節剤を添加することができる。分子量調節剤を添加することで、得られる脂環構造含有開環重合体の分子量を調整することができる。
用いる分子量調節剤としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン等を挙げることができる。これらの中で、分子量調節のし易さから、α−オレフィン類が好ましい。
分子量調節剤の添加量は、所望の分子量を持つ重合体を得るに足る量であればよく、(分子量調節剤):(全単量体)のモル比で、通常1:50〜1:1,000,000、好ましくは1:100〜1:5,000、より好ましくは1:300〜1:3,000である。
開環重合は、単量体と重合触媒とを混合することにより開始される。
開環重合を行う温度は、特に限定されないが、通常−20〜+100℃、好ましくは30〜70℃で重合を行う。温度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると副反応により、分子量分布が広がるおそれがある。
重合時間は、通常1分間〜100時間で、特に制限はない。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下で重合する場合、加える圧力は通常1MPa以下である。
反応終了後においては、通常の後処理操作により目的とする脂環構造含有開環重合体を単離することができる。
得られた脂環構造含有開環重合体は、次の水素化反応工程へ供される。
また開環重合を行った反応溶液に水素化触媒を添加して、脂環構造含有開環重合体を単離することなく、連続的に水素化反応を行うこともできる。
脂環構造含有開環重合体の水素化反応は、脂環構造含有開環重合体の主鎖又は/及び側鎖に存在する炭素−炭素二重結合に水素化する反応である。この水素化反応は、脂環構造含有開環重合体の不活性溶媒溶液に水素化触媒を添加し、反応系内に水素を供給して行う。
水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されているものであれば、均一系触媒、不均一系触媒のいずれも使用することができる。得られる重合体中の残留金属の除去等を考慮すると、不均一系触媒が好ましい。
均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒系が挙げられる。
触媒の使用量は、脂環構造含有開環重合体100重量部に対し、通常0.05〜10重量部である。
水素化反応に用いる不活性有機溶媒としては、前述した脂環構造含有モノマーの開環重合において用いることができる有機溶媒として例示したものと同様の、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン系芳香族炭化水素、含窒素炭化水素、エーテル類等が挙げられる。
水素化反応の温度は、使用する水素化触媒によって適する条件範囲が異なるが、水素化温度は、通常−20℃〜+300℃、好ましくは100℃〜+250℃である。水素化温度が低すぎると反応速度が遅くなるおそれがあり、高すぎると副反応が起こる可能性がある。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となるので好ましくない。
脂環構造含有開環重合体の水素添加物は、脂環構造含有開環重合体中の炭素−炭素二重結合の水素化率が好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.5%以上である。上記の範囲にあると、成形体の樹脂焼けに起因する着色が抑えられ好ましい。
開環重合体水素添加物の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、H−NMRスペクトルにより測定して求めることができる。
水素化反応終了後は、反応溶液から水素化触媒等を濾別し、濾別後の重合体溶液から溶媒等の揮発成分を除去することにより、目的とする開環重合体水素添加物を得ることができる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
以上のようにして得られる開環重合体水素添加物のジシクロペンタジエン化合物由来の構造単位(A)は60〜80重量%、テトラシクロドデセン化合物由来の構造単位(B)は10〜30重量%、メタノテトラヒドロフルオレン化合物由来の構造単位(C)は10〜30重量%である。尚、構造単位(A)+構造単位(B)+構造単位(C)の合計量は100である。
構造単位(A)が少なすぎると複屈折が発現しにくくなる傾向があり、多すぎると耐熱性が低下する傾向にあり、いずれも好ましくない。構造単位(B)が少なすぎると耐熱性が低下する傾向にあり、多すぎると複屈折が発現しにくくなり、また、フィルムの延伸成形性に劣る傾向があり、いずれも好ましくない。構造単位(C)が少なすぎると耐熱性が低下する傾向にあり、またフィルムの延伸成形性に劣る傾向があり、一方多すぎると複屈折が発現しにくくなるため、いずれも好ましくない。各構造単位が上述の範囲内にあると、フィルムを延伸させた際に大きな位相差が発現される上、位相差ムラが生じ難く、かつ発現した位相差の安定性に優れる。
本発明に用いる開環重合体水素添加物は、その重量平均分子量(Mw)が、シクロヘキサン(測定対象がシクロヘキサンに溶解しない場合はテトラヒドロフラン)を溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリイソプレン(溶離液にテトラヒドロフランを用いた場合は、標準ポリスチレン)換算で、好ましくは30,000〜45,000、より好ましくは32,000〜44,000、さらに好ましくは35,000〜43,000である。
Mwが高い場合、フィルムの脆さは抑制されるが、フィルム成形性が低下し、逆にMwが低い場合は、フィルムの脆さが生じる上、複屈折が発現しにくくなるため、いずれも好ましくない。
本発明に用いる開環重合体水素添加物は、その分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.0〜3.0、さらに好ましくは1.0〜2.5、特に好ましくは1.0〜2.3である。
分子量分布がこの範囲にあると、フィルムの成形性に優れ、フィルムの機械的強度も確保できる上、位相差も発現しやすくなり好ましい。
ちなみに、MnはMwと同様にゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される数平均分子量である。
本発明に用いる開環重合体水素添加物のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜200℃、好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜130℃である。Tgがこの範囲であると、得られるフィルムの成形加工性及び得られるフィルムの位相差の安定性が高度にバランスされ好ましい。
本発明に用いる開環重合体水素添加物には、必要に応じて各種配合剤を配合することができる。
配合剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;帯電防止剤;他の種類の重合体;離型剤;などが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、フィルムの耐候性を低下させることなく、フィルム成形時の酸化劣化等によるフィルムの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、開環重合体水素添加物100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
紫外線吸収剤及び耐候安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。紫外線吸収剤及び耐候安定剤の量は、開環重合体水素添加物100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは、0.01〜2重量部の範囲である。
帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルキルアルコール;アルキルスルホン酸ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホスホニウム塩;ステアリン酸のグリセリンエステル等の脂肪酸エステル;ヒドロキシアミン系化合物;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉等を例示することができる。帯電防止剤の量は、開環重合体水素添加物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部の範囲である。
他の種類の重合体としてはゴム質重合体が挙げられる。ゴム質重合体は、ガラス転移温度が40℃以下の重合体である。ゴム質重合体にはゴムや熱可塑性エラストマーが含まれる。ブロック共重合体のごとくガラス転移温度が2点以上ある場合は、最も低いガラス転移温度が40℃以下であればゴム質重合体として用いることができる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常5〜300である。
ゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンとブタジエン又はイソプレンとのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体等のジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体;スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂等が挙げられる。
ゴム質重合体の配合量は、使用目的に応じて適宜選択される。耐衝撃性や柔軟性が要求される場合にはゴム質重合体の量は、開環重合体水素添加物100重量部に対して、通常0.01〜100重量部、好ましくは、0.01〜70重量部、より好ましくは、0.01〜50重量部の範囲である。
開環重合体水素添加物に必要に応じて各種の配合剤を添加し、これらを溶融状態で、開放型のミキシングロールや非開放型のバンバリーミキサー、加圧型ニーダー、連続ミキサー等の公知の混練装置を用いて混練後、ペレット化して、これを樹脂型製造に供するのが好適である。混練温度は、180〜400℃の範囲であると好ましく、200〜350℃の範囲であるとより好ましい。また、混練するに際しては、各成分を一括添加して混練しても、数回に分けて添加しながら混練してもよい。
必要に応じて各種の配合剤が添加された開環重合体水素添加物をフィルム状に成形する方法としては特に制約されず、公知の成形法を採用することができる。例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも採用することができるが、シート中の揮発性成分を低減させる観点から、加熱溶融成形法を用いるのが好ましい。
加熱溶融成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度などに優れる延伸フィルムを得るためには、溶融押出し成形法を用いるのが好ましい。
成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、溶融押出成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜600℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。
未延伸フィルムの厚みは、得られる延伸フィルムの使用目的などに応じて適宜決定することができる。フィルムの厚みは、安定した延伸処理による均質な延伸フィルムが得られる観点から、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
以上のようにして得られる未延伸フィルムを延伸することにより、本発明の位相差フィルムを得ることができる。延伸方法に特に制限はなく、例えば、ロール間の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンター延伸機を用いて幅方向に一軸延伸する方法、フィルムを固定するクリップの間隔を開いて縦方向に延伸すると同時に、クリップを導くガイドレールの広がりにより幅方向に延伸する同時二軸延伸法、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸したのち、テンター延伸機を用いて幅方向に延伸する逐次二軸延伸法、横又は縦方向に左右で異なる力を付加する延伸機を用いて斜めに延伸する方法などを挙げることができる。
未延伸フィルムを延伸するときの温度は、開環重合体水素添加物のガラス転移温度をTgとすると、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の間、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の温度範囲である。また、延伸倍率は、通常、1.01〜30倍、好ましくは1.01〜10倍、より好ましくは1.01〜5倍である。
本発明の延伸フィルムは、実質的に上述した特定の脂環構造含有重合体の水素添加物からなり、揮発性成分含有量が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下である。揮発性成分含有量が1000ppm以下の延伸フィルムを得る方法としては、特開2003−342384号公報等で一般的に知られた方法を採用すればよい。
本発明の延伸フィルムの飽和吸水率は特に制限されないが、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.007%以下である。飽和吸水率が0.01%を越えると、使用環境により延伸フィルムに寸法変化が生じて内部応力が発生することがある。そして、例えば、反射形液晶表示装置に用いた場合に、黒表示が部分的に薄くなる(白っぽく見える)などの表示ムラが発生するおそれがある。飽和吸水率が上記範囲にある延伸フィルムは、長期間使用してもディスプレイの表示ムラが発生しない光学特性の安定性に優れる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断りがない限り、重量基準である。
実施例及び比較例において、各種物性の測定法は、次のとおりである。
(1)Mw、Mn
MwとMnは、シクロヘキサンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリイソプレン換算値として40℃において測定した。
測定装置としては、東ソー社製HLC8120GPCを用いた。
標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン、Mw=602、1390、3920、8050、13800、22700、58800、71300、109000、280000の計10点を用いた。
サンプルは、サンプル濃度4mg/mlになるように、40℃にて測定試料をシクロヘキサンに加熱溶解させて調製した。
測定は、カラムとして東ソー社製TSKgel G5000HXL、TSKgel G4000HXL、TSKgel G2000HXL計3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
(2)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量分析計を用いて、JIS K 6911に基づいて測定した。
(3)水素添加率
溶媒として重クロロホルム/四塩化炭素の混合溶液(1/1重量比)を用いて、1H−NMRスペクトルにより測定した。
(4)延伸フィルムの位相差ムラ
大塚電子社製の位相差フィルム・光学材料検査装置(製品名「nRETS」)を用いて、面内位相差値の測定を行った。延伸フィルムの幅方向中央を中心にして幅200mmの範囲をとり、その200mm幅の範囲を10mm間隔で分割し、合計21点について面内位相差を測定した。これら21点で測定された面内位相差値より面内位相差の標準偏差σを算出し、以下の基準で評価した。
○:延伸フィルムの位相差ムラが無く良好(位相差値のσが±1nm以内)。
×:延伸フィルムの位相差ムラが見られる(位相差値のσが±1nm超過)。
(5)延伸フィルムの位相差の安定性
延伸フィルムを4cm角に切り出し、面内位相差値を測定後、80℃オーブンに1000時間投入し、その後再び面内位相差値を測定した。オーブンに投入する前の面内位相差値をその後再び面内位相差値を測定した。オーブンに投入する前の面内位相差値をRb、オーブンに投入した後の面内位相差値をRaとしたとき、位相差保持率Rr(%)を以下の式で求めた。
Rr(%)=Ra/Rb×100
位相差値の安定性は、以下の基準で評価した。
○:位相差値の安定性に特に優れる(Rr>99.5%)
△:位相差値の安定に優れる(99.0≦Rr≦99.5%)
×:位相差値の安定に劣る(Rr<99.0%)
[実施例1]
<開環重合>
窒素で置換した反応器に、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(以下、「DCP」という)とテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「TCD」という)とテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(以下、「MTF」という)の混合物(重量比60/30/10)7部(重合に使用するモノマー全量に対して重量1%)とシクロヘキサン914部を加え、トリ−i−ブチルアルミニウム0.55部とイソブチルアルコール0.21部、反応調整剤としてジイソプロピルエーテル0.84部、及び分子量調節剤として1−ヘキセン3.24部を添加した。ここに、シクロヘキサンに溶解させた0.65重量%の六塩化タングステン溶液24.1部を添加して、55℃で10分間攪拌した。次いで、反応系を55℃に保持しながら、DCPとTCDとMTF(重量比60/30/10)の混合物をシクロへキサンで50重量%の濃度に調整した溶液1386部とシクロヘキサンに溶解させた0.65重量%の六塩化タングステン溶液48.9部とをそれぞれ系内に150分かけて連続的に滴下した。その後、30分間反応を継続し重合を終了した。
重合終了後、ガスクロマトグラフィーにより測定したモノマーの重合転化率は重合終了時で100%であった。
<水素添加>
得られた開環重合反応液を耐圧性の水素化反応器に移送し、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日揮化学社製、製品名「T8400RL」、ニッケル担持率57%)1.4部及びシクロヘキサン167部を加え、180℃、水素圧4.6MPaで6時間反応させた。この反応溶液を、ラヂオライト(登録商標)#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(石川島播磨重工社製、製品名「フンダフィルター」)して水素化触媒を除去し、無色透明な溶液を得た。次いで前記水素添加物100部あたり0.5部の酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、製品名「イルガノックス1010」))を、得られた溶液に添加して溶解させた。次いで、ゼータプラス(登録商標)フィルター30H(キュノーフィルター社製、孔径0.5〜1μm)にて順次濾過しさらに別の金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて濾過して微小な固形分を除去した。開環重合体水素添加物の水素転化率は99.9%であった。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、冷却後、開環重合体水素添加物のペレットAを得た。ペレットAを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.2、Tgは123℃であった。
尚、開環重合体合成時の重合転化率が100%であり、水素転化率も99.9%と高水準であることから、開環重合体水素添加物中の、DCP由来の構造単位(DCP単位)、TCD由来の構造単位(TCD単位)、及びMTF由来の構造単位(MTF単位)は、開環重合体の製造に用いたモノマーの使用量に等しいと推定される。
<未延伸フィルム作成>
得られたペレットAを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機(Tダイ幅500mm)を使用し、クラス10,000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度223℃、Tダイ温度221℃の成形条件にて、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムAを押出し成形した。
<延伸フィルム作成>
巻き取り回収した上記シートを、ロールごと上記と同一のクリーンルーム内に設置された延伸装置に取り付け、加熱ロールにて131℃(Tg+10℃)に加熱した後、回転速度の異なる第一ロール、第二ロールの順に通過させながら、シートを押出方向に2.0倍の延伸倍率で、延伸速度(引っ張り速度)15mm/秒にて一軸延伸し、延伸フィルムAを得た。延伸されたフィルムは、冷却ロールにて35℃にまで冷却した後、巻き取り回収した。得られたフィルムの厚みは55μmであった。得られた延伸フィルムAを用いて複屈折発現性を評価した。結果を表1に示した。
[実施例2]
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比70/20/10)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットBを得た。ペレットBを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,100、分子量分布(Mw/Mn)は2.2、Tgは115℃であった。
ペレットBを用いて、溶融樹脂温度215℃、Tダイ温度215℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムBを作成し、延伸温度を125℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムBを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比80/10/10)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットCを得た。ペレットCを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は37,900、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、Tgは110℃であった。
ペレットCを用いて、溶融樹脂温度210℃、Tダイ温度210℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムCを作成し、延伸温度を120℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムCを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
[実施例4]
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比60/10/30)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットDを得た。ペレットDを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,100、分子量分布(Mw/Mn)は2.1、Tgは121℃であった。
ペレットDを用いて、溶融樹脂温度221℃、Tダイ温度221℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムDを作成し、延伸温度を131℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムDを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
[実施例5]
実施例1において、分子量調節剤の添加量を3.88部に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットEを得た。ペレットEを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は32,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.0、Tgは121℃であった。
ペレットEを用いて、溶融樹脂温度221℃、Tダイ温度221℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムEを作成し、延伸温度を131℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムEを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比60/35/5)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットFを得た。ペレットFを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、Tgは122℃であった。
ペレットFを用いて、溶融樹脂温度222℃、Tダイ温度222℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムFを作成し、延伸温度を132℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムFを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
[比較例2]
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比52/38/10)の混合物に代えた以外は、比較例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットGを得た。ペレットGを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,100、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、Tgは129℃であった。
ペレットGを用いて、溶融樹脂温度229℃、Tダイ温度229℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムGを作成し、延伸温度を139℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムGを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
[比較例3]
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比88/7/5)の混合物に代えた以外は、比較例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットHを得た。ペレットHを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.6、Tgは103℃であった。
ペレットHを用いて、溶融樹脂温度203℃、Tダイ温度203℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムHを作成し、延伸温度を113℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムHを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
Figure 2014091793
表1が示すように、DCP単位とTCD単位とMTF単位の重量比が本発明の規定内にある開環重合体水素添加物を用いフィルムは、位相差発現性に優れ、位相差フィルムとした際に位相差ムラが生じ難く、位相差も安定していることが分かる(実施例1〜5)。
一方、比較例1でモノマーをMTF単位が本発明の規定外であると、用いたフィルムは、位相差ムラが出やすいことが分かる。
また、比較例2でDCP単位とTCD単位が本発明の規定外である(特許文献1)と、位相差発現性に劣ることが分かる。
比較例3でDCP単位とTCD単位とMTF単位が本発明の規定の規定外であると(特許文献2)、位相差ムラが出やすく、位相差安定性に劣ることが分かる。

Claims (4)

  1. ジシクロペンタジエン化合物由来の構造単位(A)60〜80重量%、テトラシクロドデセン化合物由来の構造単位(B)10〜30重量%、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物由来の構造単位(C)10〜30重量%(但し、構造単位(A)+構造単位(B)+構造単位(C)の合計量は100である)を有する脂環構造含有開環重合体の水素添加物。
  2. 重量平均分子量が30,000〜45,000である請求項1記載の脂環構造含有開環重合体の水素添加物。
  3. 請求項1又は2記載の脂環構造含有開環重合体の水素添加物からなるフィルム。
  4. 請求項3記載のフィルムを延伸してなる延伸フィルム。
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