JP2014072039A - Nb3Sn超電導線材製造用前駆体およびNb3Sn超電導線材 - Google Patents
Nb3Sn超電導線材製造用前駆体およびNb3Sn超電導線材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】分散Sn法を採用することによって増加させるNb3Sn相に十分なTi量を供給することができると共に、加工中の断線を引き起こすことがなく、高磁場領域であっても良好な超電導特性を発揮することができるようなNb3Sn超電導線材およびそのための前駆体を提供する。
【解決手段】本発明のNb3Sn超電導線材製造用前駆体は、外周に安定化銅層を設けた筒状拡散バリア層を有し、該筒状拡散バリア層内に線材群が挿入された複合管を線材化して得られる前駆体であって、前記線材群は、Sn若しくはSn基合金芯が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたSn芯線と、複数の線状Nb材が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたNb多芯線とを有し、前記線状Nb材は、Nb若しくはNb基合金からなるNb芯の外周に、Ti若しくはTi基合金からなる中間層と、更にその外周のNb若しくはNb基合金からなる外周層とを有する。
【選択図】図6
【解決手段】本発明のNb3Sn超電導線材製造用前駆体は、外周に安定化銅層を設けた筒状拡散バリア層を有し、該筒状拡散バリア層内に線材群が挿入された複合管を線材化して得られる前駆体であって、前記線材群は、Sn若しくはSn基合金芯が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたSn芯線と、複数の線状Nb材が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたNb多芯線とを有し、前記線状Nb材は、Nb若しくはNb基合金からなるNb芯の外周に、Ti若しくはTi基合金からなる中間層と、更にその外周のNb若しくはNb基合金からなる外周層とを有する。
【選択図】図6
Description
本発明は、Nb3Sn超電導線材を製造するための前駆体(超電導線材製造用前駆体)およびこうした前駆体によって製造されるNb3Sn超電導線材に関するものであり、殊に超電導マグネットの素材として有用なNb3Sn超電導線材およびその前駆体に関するものである。
超電導線材が実用化されている分野のうち、高分解能核磁気共鳴(NMR)分析装置や核融合装置、加速器等に用いられる超電導マグネットがある。特に、NMR分析装置に用いられる超電導マグネット(以下、「NMRマグネット」で代表することがある)に関しては、NMR信号の分解能向上とデータ習得の短時間化の要求から、高磁場化・コンパクト化が求められている。
NMRマグネットの高磁場化・コンパクト化に対しては、そのマグネットに使用される超電導線材の高性能化が必須となるのであるが、従来からNMRマグネットの最内層側コイル用線材として用いられてきたブロンズ法Nb3Sn超電導線材の特性を凌駕するような新たな超電導線材の開発が求められている。
上記のブロンズ法では、Cu−Sn基合金(ブロンズ)マトリクス中に複数のNbまたはNb基合金からなる芯材を埋設して複合線材とし、この複合線材を、押出し若しくは伸線等の減面加工を施すことによって、上記芯材を細径化してNb基フィラメントとし、このNb基フィラメントとブロンズからなる複合線材を複数束ねて線材群となし、その外周に安定化の為の銅(安定化銅)を配置した後、更に減面加工する。引き続き、減面加工後の上記線材群を600℃以上、800℃以下程度で熱処理(拡散熱処理)することにより、Nb基フィラメントとブロンズマトリクスの界面にNb3Sn化合物相(Nb3Sn超電導相)を生成する方法である。
しかしながら、この方法ではブロンズ中に固溶できるSn濃度には限界があり(15.8質量%以下)、生成されるNb3Sn化合物相の厚さが薄く、また結晶性が劣化してしまい、高い臨界電流密度Jcが得られないという欠点がある。NMRマグネットは、線材の臨界電流密度Jcが高いほど、NMRマグネットをコンパクトにできることになる。
Nb3Sn超電導線材を製造する方法としては、上記ブロンズ法の他に、粉末のSnやSn基合金を使用した粉末法や、内部拡散法も知られている。これらの方法では、ブロンズ法のような固溶限によるSn濃度に限界がないのでSn濃度をできるだけ高く設定でき、良質なNb3Sn化合物相が生成可能であるため、高い臨界電流密度Jcが得られることが期待されている。また上記ブロンズ法による超電導線材では、Cu−Sn合金が冷間加工中に加工硬化を起こすため多数回の焼鈍(歪取り焼鈍)が必要となるが、特に内部拡散法ではCu,Nb,Sn等の加工性に優れる材料によって前駆体(超電導線材製造用前駆体)が構成されるので、加工途中に焼鈍をする必要がなく、前駆体の製作時間の短縮化が実現できるという利点もある。
内部拡散法(「内部Sn法」とも呼ばれる)では、図1(内部拡散法Nb3Sn超電導線材製造用前駆体の基本構成の模式図)に示すように、Cu若しくはCu基合金(以下、「Cuマトリクス」と呼ぶことがある)4の中央部に、Sn若しくはSn基合金からなる芯材(以下、「Sn芯材」と呼ぶことがある)3を埋設すると共に、Sn芯材3の周囲のCuマトリクス4中に、複数のNb若しくはNb基合金からなる芯材(以下、「Nb芯材」と呼ぶことがある)2を相互に接触しないように配置して前駆体(超電導線材製造用前駆体)1とし、これを伸線加工した後、熱処理(拡散熱処理)によってSn芯材3中のSnを拡散させ、Nb芯材2と反応させることによって線材中にNb3Sn化合物相を生成させる方法である。
また上記のような前駆体においては、図2に示すように、前記Nb芯材2とSn芯材3が配置された部分と、その外部の安定化銅層4aの間に拡散バリア層6を配置した構成を採用することがある。この拡散バリア層6は、全体形状が筒状(筒状拡散バリア層)であり、例えばNb層またはTa層(各合金層も含む)、或いはNb層とTa層の2層からなり、拡散熱処理の際にSn芯材3中のSnが外部に拡散してしまうことを防止し、超電導線材内でのNb芯材付近のSnの濃度を高める作用を発揮するものである。
内部拡散法によってNb3Sn超電導線材を製造する上で、良好な超電導特性(特に、高い臨界電流密度Jc)を発揮する前駆体の構成について様々提案されている。こうした技術としては、例えば図3に示すように、Nb若しくはNb基合金芯(図1、2に示したNb芯材2)がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された複数のNb多芯線7と、Sn若しくはSn基合金芯(図1、2に示したSn芯材3)がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設された複数のSn芯線8によって線材群とし、この線材群において、Sn芯線8の周囲を、Nb多芯線7が取り囲むように分散して配置したものである(前駆体10)。
こうした構成では、Nb多芯線7とSn芯線8は、お互いが接するように配置されることになる。尚、図3に示した構成においても、筒状拡散バリア層6や安定化銅層4a等も配置されることになる。以下では、図3に示した前駆体の構成を「分散Sn法超電導線材前駆体」と呼ぶことがある。こうした分散Sn法超電導線材前駆体では、前記図1、2に示した前駆体と比べて、超電導特性を更に高めることができるものとなる。
図4は、上記分散Sn法超電導線材前駆体の構成要素となるNb多芯線7の詳細な構成を模式的に示す断面図である。このNb多芯線7では、線状のNb若しくはNb基合金材(Nb芯材2)を、Cu若しくはCu基合金からなるパイプに挿入し、押出し加工、伸線加工(例えば、ドローベンチ伸線)、圧延加工等の減面加工を施して断面形状が六角形に形成された複合体(Nb単芯線)とし、これを複数(図4では37本)束ねてCu若しくはCu基合金からなるパイプ9内に挿入し[図4(a)]、更に押出しや伸線加工等の減面加工を施して断面形状が六角形に形成されることになる[図4(b):Nb多芯線7]。尚、Cu若しくはCu基合金からなるパイプ9は、減面加工後にCuマトリクス4を形成するものである(図5に示すSn芯線8においても同じ)。
図5は、上記分散Sn法超電導線材前駆体の構成要素となるSn芯線8の詳細な構成を模式的に示す断面図である。このSn芯線8では、Sn若しくはSn基合金芯(Sn芯材3)を、Cu若しくはCu基合金からなるパイプ9に挿入し[図5(a)]、押出しや伸線加工等の減面加工を施して断面形状が六角形に形成されることになる[図5(b):Sn芯線8]。
従来の分散Sn法超電導線材前駆体(前記図3)では、図4、5に示したNb多芯線7とSn芯線8とを互いに接するように配置して構成される。そしてNb多芯線7とSn芯線8はその断面形状が六角形の状態[図4(b)、図5(b)]で組み合わされるのが一般的であるが、図4(a)、図5(a)に示した段階から適度な減面加工を施して断面形状が円形の段階のままで組み合わされることもある。
こうした前駆体に対して熱処理(拡散熱処理)を施し、Nb多芯線7中のNb若しくはNb基合金芯(Nb芯材2)と、Sn芯線8材中のSn若しくはSn基合金芯(Sn芯材3)とを拡散反応させることによってNb3Sn超電導相を生成させて超電導線材とするものである。こうした分散Sn法超電導線材前駆体で作製される超電導線材では、前駆体の段階でNb多芯線7同士が全体で網目状に接触したものとなっていることを反映して、Nb3Sn超電導相も網目状に形成されることになる。
このような技術に関して、これまでにも様々提案されており、その基本的な思想は、NbとSnの存在比率の適性化によって、分散Sn法超電導線材の特性を向上するものである。こうした技術として例えば特許文献1には、各モジュール(図4、5に示したNb多芯線7およびSn芯線8に相当)の本数の適正化や、Sn芯線へのIn添加で健全加工性を得ることが示されている。一方、特許文献2には、前駆体中のSnモル数とNbモル数の比率を規定することによって臨界電流密度Jcの向上を図ることが示されている。
分散Sn法超電導線材前駆体の特徴は、Nb3Sn量が従来法であるブロンズ法で製造されたNb3Sn超電導線材に比べて格段に多いことである。また、Nb3Sn量の多さを最も活用できる外部磁場領域は、17T(テスラ)以上のいわゆる高磁場領域である。
しかしながら、高磁場領域での超電導特性という観点から、これまで提案されている技術を検討すると、上記した従来技術では対応不可能である。例えば、特許文献2では、Nb3Sn量を増大させることを目的としているが、性能評価を行っているのは12Tの外部磁場領域である。
高磁場領域での特性改善については、Nb3Sn相への第3元素の添加(TiやTa)等が有効であることは知られる。例えば、上記特許文献2では、第3元素としてSn芯に2質量%程度のTiを添加し、これを熱処理によって拡散させることで、Nb3Sn相にTiを導入している。しかしながら、Sn芯にTiを添加する方法では、図3に示した前駆体を構成する方法(この方法を「分散Sn法」と呼ぶことがある)を採用することによって増加させるNb3Sn相に十分なTi量を供給することができず、特に18T以上の高磁場領域では高い臨界電流密度Jcを発揮させることができないのが実状である。
その一方で、Nb3Sn量の増加に合わせてSn芯へのTi添加量を増やすと、Sn芯に含まれる硬いSn−Ti化合物が大量に存在してしまうため、加工中の断線を引き起こすという問題が発生する。
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、分散Sn法を採用することによって増加させるNb3Sn相に十分なTi量を供給することができると共に、加工中の断線を引き起こすことがなく、高磁場領域であっても良好な超電導特性を発揮することができるようなNb3Sn超電導線材およびそのための前駆体を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の超電導線材製造用前駆体とは、
Nb3Sn超電導線材を製造する際に用いる前駆体において、外周に安定化銅層を設けた筒状拡散バリア層を有し、該筒状拡散バリア層内に線材群が挿入された複合管を線材化して得られる前駆体であって、
前記線材群は、
Sn若しくはSn基合金芯がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたSn芯線と、
複数の線状Nb材が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたNb多芯線とを有し、
前記線状Nb材は、Nb若しくはNb基合金からなるNb芯と、該Nb芯の外側に形成されたTi若しくはTi基合金からなる中間層と、更にその外周のNb若しくはNb基合金からなる外周層とを有するものであることを特徴とする。
Nb3Sn超電導線材を製造する際に用いる前駆体において、外周に安定化銅層を設けた筒状拡散バリア層を有し、該筒状拡散バリア層内に線材群が挿入された複合管を線材化して得られる前駆体であって、
前記線材群は、
Sn若しくはSn基合金芯がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたSn芯線と、
複数の線状Nb材が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたNb多芯線とを有し、
前記線状Nb材は、Nb若しくはNb基合金からなるNb芯と、該Nb芯の外側に形成されたTi若しくはTi基合金からなる中間層と、更にその外周のNb若しくはNb基合金からなる外周層とを有するものであることを特徴とする。
本発明の超電導線材製造用前駆体においては、前記線状Nb材は、Tiの原子数濃度(線状Nb材に占める割合)が2〜6原子%であることが好ましい。
また線状Nb材のより具体的な構成としては、(a)中間層が、Nb芯の外周をTi若しくはTi基合金からなるシートで巻き重ねて形成されると共に、前記外周層が、Nb若しくはNb基合金からなるシートで巻き重ねて形成されるもの、(b)中間層が、Nb芯の外周にTi若しくはTi基合金からなる筒状部材を配置して形成されると共に、前記外周層が、Nb若しくはNb基合金からなるシートで巻き重ねて形成されるもの、(c)中間層が、Nb芯の外周にTi若しくはTi基合金からなる筒状部材を配置して形成されると共に、前記外周層が、Nb若しくはNb基合金からなる筒状部材を配置して形成されるもの、等が挙げられる。
上記のような超電導線材製造用前駆体を熱処理することによって、Nb3Sn超電導相を生成させたNb3Sn超電導線材が得られ、こうしたNb3Sn超電導線材では希望する特性(高外部磁場での高い臨界電流値)を発揮するものとなる。
本発明の超電導線材製造用前駆体では、分散Sn法超電導線材製造用前駆体における線材群のうち、複数の線状Nb材がCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたNb多芯線において、このNb多芯線を構成する線状Nb材を、Nb若しくはNb基合金からなるNb芯の外周に、Ti若しくはTi基合金からなる中間層と、更にその外周のNb若しくはNb基合金からなる外周層とを有するものとしたので、加工中の断線を引き起こす化合物を形成することもなく、高磁場領域であっても良好な超電導特性を発揮することができるNb3Sn超電導線材が実現できる。
良好な超電導特性を発揮する超電導線材を分散Sn法によって製造するための前駆体(分散Sn法超電導線材前駆体)の構成について、様々な角度から検討した。その結果、分散Sn法超電導線材前駆体の構成モジュールの1つであるNb多芯線内にTiを第3元素として存在する構成とすれば、上記目的に適う前駆体が実現できることを見出し、本発明を完成した。
ブロンズ法によって製造される超電導線材においても、Nbフィラメントの代わりにNb−Ta合金フィラメントを用いる例もあるが、このようなNb−Ta合金を作製することは、それぞれの金属の融点が非常に高いことなどから均一材料を得るためのコストが増大し、超電導線材自体が高価なものとなる。これに対し、本発明の前駆体では、Nbに添加するTiまたはTi合金を単独の状態で線材内に配置する構成を採用する。
本発明の構成を採用することによって、コスト増分を極小化することができるものとなる。具体的には、Nb多芯線を製造する際に使用する線状Nb材について、Nb若しくはNb合金からなるNb芯の外周に、Ti若しくはTi合金からなる中間層と、更にその外周のNb若しくはNb基合金からなる外周層を有する構造にする方法である。このような構造にすることで、健全加工と高磁場特性を得ることが可能である。
本発明の線状Nb材において、Nb芯/中間層(Ti層)/外周層(Nb層)という3層構造にする理由は以下の通りである。外周層のNb層を配置しない場合には、Nb多芯線の外側に配置されるCuと中間層とが直接接触することになり、加工途中に加えられる熱(加工発熱や熱間加工など)によって硬いCu−Ti化合物が生成することになる。このCu−Ti化合物は、周囲が減面加工される際にも変形せずに線材内に残存するため、線材外径が小さくなってくると相対的なサイズが大きくなり、断線を招くことになる。その一方で、TiはNbとは加工中の温度ではあまり反応せず、仮にNbと反応してもNbTi合金という加工性の良い状態となるために、断線などの問題は発生しない。
上記の通り、線状Nb材内にTiを配置することで、高磁場特性を改善のための元素添加が可能であるが、このTiについても適切な量がある。このTiの適切な量に関しては、種々実験の結果、原子数濃度(線状Nb材に占める割合)で2〜6原子%とすることが好ましい。このような量とすることで、外部磁場が18.0T以上の高磁場を中心に高い臨界電流密度Jcを得ることができる(実施例参照のこと)。このTi濃度は、より好ましくは2.2原子%以上、5原子%以下である。
本発明の構成について、図面に基づいて説明する。図6は、本発明で用いる線状Nb材の構成例を模式的に示す断面図である。本発明で用いる線状Nb材11は、Nb若しくはNb合金からなるNb芯2aの外周に、Ti若しくはTi合金からなる中間層15と、更にその外周のNb若しくはNb基合金からなる外周層16を有するものであり、この線状Nb材11が従来技術(図4)で示したNb芯材2の代りに配置されるものである。線状Nb材11は、その外側(即ち、外周層の外側)にCu層が配置され、押出し加工・伸線加工・圧延加工等の減面加工によって断面形状が六角形に成形された後、複数束ねられてCu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されてNb多芯線(図4に示した7に相当)が構成されることになる。尚、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設される際にも、押出し加工・伸線加工・圧延加工等の減面加工によって断面形状が六角形(六角断面形状)に成形される。
本発明の線状Nb材のより具体的な構成としては、(a)中間層が、Nb芯2aの外周をTi若しくはTi基合金からなるシートで巻き重ねて形成されると共に、前記外周層が、Nb若しくはNb基合金からなるシートで巻き重ねて形成されるもの、(b)中間層が、Nb芯2aの外周にTi若しくはTi基合金からなる筒状部材を配置して形成されると共に、前記外周層が、Nb若しくはNb基合金からなるシートで巻き重ねて形成されるもの、(c)中間層が、Nb芯2aの外周にTi若しくはTi基合金からなる筒状部材を配置して形成されると共に、外周層が、Nb若しくはNb基合金からなる筒状部材を配置して形成されるもの、等様々な形態が挙げられ、そのいずれの構成をも採用できる。
上記のような線状Nb材11を用いてNb多芯線を構成し、このNb多芯線と、図5に示したようなSn芯線8とを、互いに接するように配置して、本発明の前駆体(分散Sn法超電導線材製造用前駆体)が構成される。
本発明の前駆体においても、従来と同様に拡散バリア層6や安定化銅層4aが配置されることになる。例えば、拡散バリア層6は、Nb若しくはNb基合金からなる層および/またはTa若しくはTa基合金からなる層(Nb若しくはNb基合金からなる層またはTa若しくはTa基合金からなる層の単層、或いはこれらの複層)で構成することができる。
本発明においては、上記のような前駆体を用い、ブロンズ化熱処理を含めた拡散熱処理(通常200℃以上、800℃未満程度)することによって、良好な超電導特性(臨界電流密度Jc)を発揮するNb3Sn超電導線材を得ることができる。具体的には、180〜600℃の温度範囲でブロンズ化熱処理(SnをCuに拡散させる)を行なった後に、650〜750℃の温度範囲で100〜300時間程度のNb3Snを生成させる熱処理を行なう。尚、ブロンズ化熱処理としては、180〜200℃で50時間程度、340℃前後で50時間程度、550℃前後で50〜100時間等の多段階の熱処理の組合せにすることもできる。
本発明の前駆体は、Cu若しくはCu基合金、Nb若しくはNb基合金、Ti若しくはTi基合金、Sn若しくはSn基合金等を構成素材として構成されるものであるが、Cuマトリクスの素材として用いるCu基合金としては、CuにCrやAl2O3等を含有(1質量%程度まで)させたものを用いることができる。また用いるNb基合金としては、Ti,Ta,Zr,Hf等の添加元素を8質量%程度まで含有させたものを用いることができる。更に、Sn基合金としては、Ti,Ta等の添加元素を、加工性を阻害しない程度(3質量%以下)でSnに含有させたものを使用することができる。尚、本発明の線状Nb材の中間層として、Ti基合金を用いた場合、或いは用いるNb基合金としてTiを含有するものを用いた場合には、前述したTi濃度は、これらの含有量も考慮することになる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
Nb棒(外径:26.5mm)の外周にTiシートを各種厚さ(中間層厚さ:Xmm)巻きつけ、その外側にNbシートを巻きつけて外径:29mmとしたものを、Cu製パイプ(外径:32.8mm、内径:29.5mm)内に挿入した後、伸線加工により対辺長4mmの六角断面形状のNb単芯線を作製した。これを矯正・切断し、37本束ねて、Cu製パイプ(外径:32.0mm、内径:29.0mm)内に挿入し、伸線加工により対辺長2mmの六角断面形状のNb多芯線を製作し、矯正・切断した。
次に、Cu製パイプ(外径:24.0mm、内径:21.0mm)内に、Sn−2質量%Ti芯(外径:20.5mm)を挿入して伸線加工し、対辺長2mmの六角断面形状のSn芯線を作製し、矯正・切断した。
上記で作製したNb多芯線180本と、Sn芯線73本を束ね、相互に接触するように線材群とした。Cu製パイプ(外径:44.0mm、内径:38.0mm)内に厚さ0.6mmのNb拡散バリア層を配置したものに、上記の線材群を挿入した後、外径を1mmまで伸線加工して前駆体とした。
得られた前駆体に対して熱処理(500℃で100時間)を行い、Sn芯線中のSnをCu中に拡散させた後に、700℃で100時間のNb3Sn生成熱処理を実施し、超電導線材とした。熱処理後の超電導線材は、液体ヘリウム中(温度:4.2K)に浸漬した状態で外部磁場17.0T、18.0T、18.5Tの下で試料(超電導線材)に通電し、4端子法によって発生電圧を測定した。得られた特性から0.1μV/cmの電界が発生した電流値(臨界電流Ic)を測定した。その結果を、Ti層厚さ(中間層厚さ)X、Ti濃度(Nb材に占めるTi濃度)と共に、下記表1に示す(試験No.1〜7)。
上記データに基づき、各試験(試験No.1〜7)での外部磁場と臨界電流との関係を図7に、外部磁場が18.0T、18.5TのときのTi濃度と臨界電流との関係を図8に、それぞれ示す。
この結果から明らかなように、Nb多芯線中にTiが含有するように構成することによって、高い臨界電流値が得られることが分かる。特に、Ti濃度が2〜6原子%のものでは(試験No.1〜4)、高い臨界電流が得られていることが分かる。
1,10 超電導線材製造用前駆体
2a Nb芯
2 Nb若しくはNb基合金芯材(Nb芯材)
3 Sn若しくはSn基合金芯材(Sn芯材)
4 Cuマトリクス
4a 安定化銅層
6 拡散バリア層(筒状拡散バリア層)
7 Nb多芯線
8 Sn芯線
9 Cu若しくはCu基合金からなるパイプ
11 線状Nb材
15 中間層
16 外周層
2a Nb芯
2 Nb若しくはNb基合金芯材(Nb芯材)
3 Sn若しくはSn基合金芯材(Sn芯材)
4 Cuマトリクス
4a 安定化銅層
6 拡散バリア層(筒状拡散バリア層)
7 Nb多芯線
8 Sn芯線
9 Cu若しくはCu基合金からなるパイプ
11 線状Nb材
15 中間層
16 外周層
Claims (6)
- Nb3Sn超電導線材を製造する際に用いる前駆体において、外周に安定化銅層を設けた筒状拡散バリア層を有し、該筒状拡散バリア層内に線材群が挿入された複合管を線材化して得られる前駆体であって、
前記線材群は、
Sn若しくはSn基合金芯が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたSn芯線と、
複数の線状Nb材が、Cu若しくはCu基合金マトリクスに埋設されたNb多芯線とを有し、
前記線状Nb材は、Nb若しくはNb基合金からなるNb芯と、該Nb芯の外側に形成されたTi若しくはTi基合金の中間層と、更にその外側に形成されたNb若しくはNb基合金の外周層とを有するものであることを特徴とするNb3Sn超電導線材製造用前駆体。 - 前記線状Nb材は、Tiの原子数濃度が2〜6原子%である請求項1に記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
- 前記線状Nb材は、前記中間層が、Nb芯の外周をTi若しくはTi基合金からなるシートで巻き重ねて形成されると共に、前記外周層が、Nb若しくはNb基合金からなるシートで巻き重ねて形成されるものである請求項1または2に記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
- 前記線状Nb材は、前記中間層が、Nb芯の外周にTi若しくはTi基合金からなる筒状部材を配置して形成されると共に、前記外周層が、Nb若しくはNb基合金からなるシートで巻き重ねて形成されるものである請求項1または2に記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
- 前記線状Nb材は、前記中間層が、Nb芯の外周にTi若しくはTi基合金からなる筒状部材を配置して形成されると共に、前記外周層が、Nb若しくはNb基合金からなる筒状部材を配置して形成されるものである請求項1または2に記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のNb3Sn超電導線材製造用前駆体を、熱処理することによってNb3Sn超電導相を生成させたものであることを特徴とするNb3Sn超電導線材。
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