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JP2014065617A - グラフェンのバンドギャップ形成方法 - Google Patents

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JP2014065617A
JP2014065617A JP2012210152A JP2012210152A JP2014065617A JP 2014065617 A JP2014065617 A JP 2014065617A JP 2012210152 A JP2012210152 A JP 2012210152A JP 2012210152 A JP2012210152 A JP 2012210152A JP 2014065617 A JP2014065617 A JP 2014065617A
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Toshiharu Hasuo
俊治 蓮尾
Hiroshi Kubota
弘 久保田
Hidetoshi Fukuyama
秀敏 福山
Yoshikazu Honma
芳和 本間
Susumu Saito
晋 斎籐
Hideki Masuda
秀樹 益田
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Kyushu Mitsui Aluminum Industries Inc
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Kyushu Mitsui Aluminum Industries Inc
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Abstract

【課題】グラフェンにおける実用的なバンドギャップの形成方法を提供する。
【解決手段】本発明では、グラフェンに対して活性な凹凸面にグラフェン膜を形成し、同グラフェン膜にバンドギャップを形成することとした。また、前記凹凸面は、所定形状の繰り返し構造を有することや、前記凹凸面は、アルミニウム系金属の酸化膜表面であること、前記酸化膜は前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜であることなどにも特徴を有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、グラフェンのバンドギャップ形成方法に関する。
グラフェンは、炭素原子が六角形に規則正しく並んだ二次元構造を有し、このグラフェンが何層にも重なったものはグラファイトと呼ばれている。
従来から、グラフェン及びグラファイト自体は知られているが、特に近年、この単層膜であるグラフェンを基板上に形成することができるようになり(例えば、非特許文献1参照。)、その特性から一段と脚光を浴びるようになってきた。
現在、グラフェンの形成方法が幾つか考案され、量産に向けて実用化されようとしている。
グラフェンは、電気・電子的、機械的または化学的な性質が、他の材料と非常に異なる特徴を有する。
中でも重要な特徴は、室温での電子移動度が驚くほど早いということが挙げられる。グラフェンの電子移動度は、理論上〜105cm2/V・secと報告されており、これは代表的な半導体であるシリコンの1350cm2/V・secに比べておおよそ1〜2桁高く、電子移動度が高いといわれるGaAsの8600cm2/V・secと比べても1桁高い。
この特性を、集積容量が限界に来ているSi半導体に代わる次世代電子デバイスや高効率のエネルギー材料・光デバイスへ応用しようとする研究・開発が、近年盛んに行われるようになってきている。
しかしながら、グラフェンはバンドギャップ、すなわち電子の移動する伝導帯と電子の存在する価電子帯の隙間がゼロ、すなわち、逆格子空間のK点においてπバンドとπ*バンドが接するため金属的な性質を示す。
これは、トランジスタ等の電子デバイスや光デバイスに必要なON,OFF機能がないことを意味し、グラフェンの様々なデバイスでの応用を困難なものにしている。
上記の理由でグラフェンにバンドギャップを形成しようとする研究開発が行われており、文献や特許が多く報告されるようになってきている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
グラフェンのバンドギャップ形成手法を、現在報告されている文献、特許を要約してまとめると以下の6つの方法に大別される。
(1)グラフェンナノリボン構造化による量子力学的閉じ込め効果及びリボン端の局在状態を利用する方法。
(2)グラフェンへの酸素や水素、水酸基などの物質吸着やグラフェンのカーボン元素を他の元素に置換する方法。
(3)アンチドットや母剤に凹凸を形成して、その上にグラフェン膜を形成し規則的欠陥を導入する方法。
(4)バッファ層のポテンシャル変調等により、局所的にグラフェンの電子構造を破壊する方法。
(5)グラフェンを二層にする方法。
(6)特定の活性化表面にグラフェンを形成する方法。
現在報告されている文献の中で注目すべきものとして、例えば、株式会社日立製作所と東北大学が行っているAl2O3上にグラフェンを成膜したMOSFETの研究でオーミック特性が得られているという報告(非特許文献2)や、青山学院大学が実施しているアルミナメンブレンをマスクとしたグラフェン膜のナローギャップ形成に関する報告(非特許文献3)等が挙げられる。
これらは、アルミニウムの酸化膜がバンドギャップ形成に利用できる可能性を示唆している。
しかしながら、これらの手法もバンドギャップの完全な形成、制御の問題や実際に製造する上での問題を完全に解決したものではない。
特開2011−216714号公報 特開2012−1431号公報 特開2012−15481号公報 特開2010−21377号公報 特開2011−168473号公報
Nature 438, 197 (2005) NIMSナノテクノロジー拠点 平成22年度トピックス 「グラフェンエッジが創出するスピン特性」 青山学院大学大学院理工学研究科 多田健吾、春山純志
非常に早い電子移動度を有するグラフェンを様々な分野で利用しようとする試験、研究は行われているが、上記のように如何にバンドギャップを形成するかが大きな課題となっている。
本発明は斯かる事情に鑑みて、グラフェンに実用的なバンドギャップの形成方法を提供するものである。また本発明は、実用的なバンドギャップを備えるグラフェン膜、同グラフェン膜を備えた基板−グラフェン複合体、グラフェンのバンドギャップ幅の調整方法や、自然酸化膜又は陽極酸化膜のバンドギャップを有するグラフェン形成用基板としての使用方法についても提供する
ものである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明では、バンドギャップの形成方法において、グラフェンに対して活性なナノサイズのポーラス孔を有する面上にグラフェン膜を形成し、同グラフェン膜にバンドギャップを形成することとした。
また、請求項2に係る発明では、請求項1に記載のバンドギャップの形成方法において、前記ポーラス孔を有する面は、所定形状の繰り返し構造を有することに特徴を有する。
また、請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2に記載のバンドギャップの形成方法において、前記ポーラス孔を有する面は、アルミニウム系金属の酸化膜表面であることに特徴を有する。
また、請求項4に係る発明では、請求項3に記載のバンドギャップの形成方法において、前記酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜であることに特徴を有する。
また、請求項5に係る発明では、請求項3に記載のバンドギャップの形成方法において、前記酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜を除去した後の自然酸化膜であることに特徴を有する。
また、請求項6に係る発明では、請求項4に記載のバンドギャップの形成方法において、前記陽極酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した第1の陽極酸化膜を除去し、同第1の陽極酸化膜が除去された面を再度陽極酸化して形成した第2の陽極酸化膜であることに特徴を有する。
また、請求項7に係る発明では、請求項4〜6いずれか1項に記載のバンドギャップの形成方法において、前記陽極酸化を施すにあたり、同陽極酸化を施す面を平坦度1μm以下で予め研磨することに特徴を有する。
また、請求項8に係る発明では、請求項3〜7いずれか1項に記載のバンドギャップの形成方法において、前記アルミニウム系金属は、純度が99.9%以上のアルミニウムであることに特徴を有する。
また、請求項9に係る発明では、請求項3〜7いずれか1項に記載のバンドギャップの形成方法において、前記アルミニウム系金属は、純度が99.9%以上で99.5〜95重量部のアルミニウムと、0.5〜5重量部のマグネシウムとの合金であることに特徴を有する。
また、請求項10に係る発明では、グラフェン膜であって、グラフェンに対して活性な凹凸面に成膜してバンドギャップ生成構造を形成した。
また、請求項11に係る発明では、基板−グラフェン複合体であって、グラフェンに対して活性な凹凸面を備える基板と、前記凹凸面に成膜されバンドギャップ生成構造が形成されたグラフェン膜とを備えることとした。
また、請求項12に係る発明では、アルミニウム系金属の陽極酸化膜表面に形成されるバンドギャップを備えたグラフェン膜のバンドギャップ幅の調整方法であって、前記陽極酸化面を形成するにあたり、前記アルミニウム系金属を浸漬する電解質溶液の種類、濃度、温度、粘度、組成、浸漬時間、印加電流、印加電圧から選ばれる少なくともいずれか1つを制御して、前記陽極酸化面に整然と複数形成される孔の孔径、孔間隔、孔の深さから選ばれる少なくともいずれか1つを調整することとした。
また、請求項13に係る発明では、アルミニウム系金属に陽極酸化を施して陽極酸化膜を形成し、この陽極酸化膜を除去した除去面に形成させた自然酸化膜のバンドギャップを有するグラフェン形成用基板として使用することとした。
また、請求項14に係る発明では、アルミニウム系金属に陽極酸化を施して第1の陽極酸化膜を形成し、この第1の陽極酸化膜を除去した除去面に再度陽極酸化を施して形成した第2の陽極酸化膜のバンドギャップを有するグラフェン形成用基板として使用することとした。
請求項1に係る発明によれば、グラフェンに対して活性なナノサイズのポーラス孔を有する面上にグラフェン膜を形成し、同グラフェン膜にバンドギャップを形成することとしたため、グラフェンに実用的なバンドギャップを形成する方法を提供することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、前記ポーラス孔を有する面は、所定形状の繰り返し構造を有することとしたため、安定したバンドギャップを形成することができる。
また、請求項3に係る発明によれば、前記ポーラス孔を有する面は、アルミニウム系金属の酸化膜表面であることとしたため、形成するグラフェンを極めて安定に定着させることができる。
また、請求項4に係る発明によれば、前記酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜であることとしたため、グラフェンを極めて安定に定着させることができ、しかも、グラフェンに容易にバンドギャップを持たせることができる。
また、請求項5に係る発明によれば、前記酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜を除去した後の自然酸化膜であることとしたため、グラフェンを極めて安定に定着させることができ、しかも、グラフェンに安定したバンドギャップ容易に持たせることができる。
また、請求項6に係る発明によれば、前記陽極酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した第1の陽極酸化膜を除去し、同第1の陽極酸化膜が除去された面を再度陽極酸化して形成した第2の陽極酸化膜であることとしたため、グラフェンを極めて安定に定着させることができ、しかも、グラフェンに安定したバンドギャップを容易に持たせることができる。
また、請求項7に係る発明によれば、前記陽極酸化を施すにあたり、同陽極酸化を施す面を平坦度1μm以下で予め研磨することとしたため、グラフェンに更に安定したバンドギャップを持たせることができる。
また、請求項8に係る発明によれば、前記アルミニウム系金属は、純度が99.9%以上のアルミニウムであることとしたため、安定したバンドギャップを備えるグラフェン膜を形成することができる。
また、請求項9に係る発明によれば、前記アルミニウム系金属は、純度が99.9%以上で99.5〜95重量部のアルミニウムと、0.5〜5重量部のマグネシウムとの合金であることとしたため、グラフェンのバンドギャップ形成に更に適した凹凸面を形成することができる。
また、請求項10に係る発明では、グラフェン膜をグラフェンに対して活性な凹凸面に成膜してバンドギャップ生成構造が形成したため、実用的なバンドギャップを備えるグラフェン膜を提供することができる。
また、請求項11に係る発明では、基板−グラフェン複合体において、グラフェンに対して活性な凹凸面を備える基板と、前記凹凸面に成膜されバンドギャップ生成構造が形成されたグラフェン膜とを備えることとしたため、基板に安定した状態で定着したバンドギャップを備えるグラフェン膜を有した基板−グラフェン複合体を提供することができる。
また、請求項12に係る発明では、アルミニウム系金属の陽極酸化膜表面に形成されるバンドギャップを備えたグラフェン膜のバンドギャップ幅の調整方法であって、前記陽極酸化面を形成するにあたり、前記アルミニウム系金属を浸漬する電解質溶液の種類、濃度、温度、粘度、組成、浸漬時間、印加電流、印加電圧から選ばれる少なくともいずれか1つを制御して、前記陽極酸化面に整然と複数形成される孔の孔径、孔間隔、孔の深さから選ばれる少なくともいずれか1つを調整することとしたため、比較的容易にグラフェンのバンドギャップ幅の調整を行うことのできるグラフェンのバンドギャップ幅の調製方法を提供することができる。
また、請求項13に係る発明では、アルミニウム系金属に陽極酸化を施して陽極酸化膜を形成し、この陽極酸化膜を除去した除去面に形成させた自然酸化膜を、バンドギャップを有するグラフェン形成用基板として使用することとしたため、実用的なバンドギャップを備えるグラフェン膜を形成することができる。
さらに、請求項14に係る発明では、アルミニウム系金属に陽極酸化を施して第1の陽極酸化膜を形成し、この第1の陽極酸化膜を除去した除去面に再度陽極酸化を施して形成した第2の陽極酸化膜を、バンドギャップを有するグラフェン形成用基板として使用することとしたため、実用的なバンドギャップを備えるグラフェン膜を形成することができる。
陽極酸化を行うための装置の構成を示した説明図である。 陽極酸化の過程を示した説明図である。 第2の陽極酸化膜の形成工程を示した説明図である。 第2の陽極酸化膜の構造を示した説明図である。 グラフェンの分子構造を示した模式図である。 カーボン形状モデルとその電子バンドエネルギー状態を示した説明図である。 グラフェン膜の形成に至るまでの工程を示したフローである。 第2の陽極酸化膜に形成されたグラフェン膜を示した説明図である。
本発明は、グラフェンに対して活性な凹凸面にグラフェン膜を形成し、同グラフェン膜にバンドギャップを形成するバンドギャップの形成方法を提供するものである。
優れた電気伝導性を有するグラフェンが今後応用される分野として、例えば、シリコンに代わる半導体としての利用が考えられる。ところが、半導体としての機能を実現するためには、1eV程度のバンドギャップ幅を持たせる必要がある。
しかしながら前述の通り、昨今の研究においてグラフェンにバンドギャップを持たせる方法が幾つか提案されているが、実用的といえるバンドギャップを備えたグラフェンの形成方法については未だ提案されていないのが実情である。なお、ここで実用的なバンドギャップを備えるグラフェンとは、例えば、半導体として使用するにあたり十分なバンドギャップ幅を備えたグラフェンや、安定したバンドギャップ、すなわち、一様なバンドギャップ幅を有するグラフェンのいずれか一方、又は両方と解することができる。
この点に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ね、グラフェンに対して活性な凹凸面にグラフェン膜を形成することで、このグラフェン膜にバンドギャップを形成する方法に想到した。
すなわち、本実施形態に係るバンドギャップの形成方法によれば、グラフェンに対して活性な凹凸面にグラフェン膜を形成し、同グラフェン膜にバンドギャップを形成することとしたため、グラフェンにおける実用的なバンドギャップの形成方法を提供することができる。
ここで、グラフェン膜を形成するための凹凸面は、グラフェンに対して活性な面としている。この活性な面とは、グラフェンが安定して定着可能な面と解することが可能であり、このような面の一例としては例えば、金属の酸化膜表面や、グラフェンを安定して定着させる機能を発揮可能な官能基を表出する化合物(高分子化合物など)の表面を挙げることができる。
このように凹凸面をグラフェンに対して活性な面とすることにより、凹凸面に対して安定して定着したグラフェン膜とすることができる。
また、本実施形態に係るバンドギャップ形成方法では、グラフェン膜は、凹凸面に形成することとしている。この凹凸面とは、例えば20nm×20nmの領域内で頂部や底部が存在するような細かい凹凸を有する面を意図しており、高低差が少なくとも5nm以上の凹凸を備える面である。このような凹凸面としては、例えば、ランダムな凹凸を有する粗面や、規則的な凹凸を有する面、平面に突起物が形成された面、平面に孔が形成された面(ポーラス孔を有する面)を挙げることができる。なお、平面に孔が形成された面においてグラフェンが形成される面は、平面部のみならず孔の内壁や底壁も含む。すなわち、孔の内壁面や底壁面も凹凸面を構成する面の一部と解釈すべきである。
このような凹凸を備える面にグラフェン膜を形成することで、グラフェンに電子雲の偏りを生じさせて、バンドギャップを生じさせる構造(以下、バンドギャップ生成構造という。)を形成することができる。
また、グラフェンに対して活性な凹凸面でのグラフェン膜の形成は、既知の方法により行うことができ、例えば、剥離・転写法や、CVD・転写法、SiC表面熱分解法、アセチレンを原料ガスとする気相成長法などを採用することができる。
また、本実施形態に係るバンドギャップの形成方法において、凹凸面は、所定形状の繰り返し構造を有するようにしても良い。
具体的には、規則的な凹凸を繰り返す面や、平面に規則的に突起物や孔が形成された構造の他、所定の単位面積の粗面パターンを繰り返し配置した構造であっても良い。
このような繰り返し構造を備えることにより、凹凸面に形成したグラフェンに均一なバンドギャップを形成することができる。
また、前記凹凸面は、アルミニウム系金属の酸化膜表面であることとしても良い。凹凸面としてアルミニウム系金属の酸化膜表面やアルミナの表面を採用することにより、グラフェン膜を安定に定着させることができる。また、前述のアセチレンを原料ガスとする気相成長法などにより凹凸面にグラフェン膜を形成するに際し、効率良くグラフェン膜を形成することができる。
また、前記酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜であることとしても良い。
アルミニウム系金属は、陽極酸化を施すことにより、その酸化面に酸化条件に応じた孔が形成されることとなる。すなわち、酸化と同時に凹凸を容易に形成することが可能であるため、バンドギャップを備えたグラフェン膜を形成するための基板として極めて好適であると言える。
また、前記酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜を除去した後の自然酸化膜であることとしても良い。
このようにして形成した自然酸化膜は、陽極酸化を行った際に形成された孔の浸食に伴う凹凸が形成されており、この凹凸は極めて整然と配列している。
したがって、この自然酸化膜の表面にグラフェン膜を形成することにより、安定且つ均一なバンドギャップを備えるグラフェン膜とすることができる。
また、前記陽極酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した第1の陽極酸化膜を除去し、同第1の陽極酸化膜が除去された面を再度陽極酸化して形成した第2の陽極酸化膜であることとしても良い。
後に詳述するが、このようにして形成した第2の陽極酸化膜には、孔が整然と形成される。したがって、この第2の陽極酸化膜の表面にグラフェン膜を形成することにより、安定且つ均一なバンドギャップを備えるグラフェン膜とすることができる。
また、前述の陽極酸化を施すにあたっては、陽極酸化を施す面を予め平坦度1μm以下で研磨しておくのが好ましい。
陽極酸化による孔を利用してグラフェン膜にバンドギャップ生成構造を形成場合、陽極酸化を施す面を平坦に研磨しておくことにより、孔径や深さが揃った孔が陽極酸化によって形成されることとなり、均一なバンドギャップ幅を備えたグラフェン膜の形成を助長することができる。
また、グラフェン膜の形成基板材料として使用するアルミニウム系金属は、例えば、純度が99.9%以上のアルミニウムとしても良い。このような高純度のアルミニウムは、例えば、偏析法によって生成したアルミニウムを好適に使用することができる。
純度の高いアルミニウムをグラフェン膜の形成基板材料として使用することにより、陽極酸化した際に孔を安定して形成することができ、ひいては均一なバンドギャップ幅を有するグラフェン膜を形成することができる。
また、グラフェン膜の形成基板材料として使用するアルミニウム系金属は、純度が99.9%以上で99.5〜95重量部のアルミニウムと、0.5〜5重量部のマグネシウムとの合金としても良い。
このような配合割合のアルミニウム合金を使用することにより、陽極酸化の際に孔の形成を効率良く行わせることができ、均一なバンドギャップ幅を有するグラフェン膜の形成において極めて有用である。
上述してきたように、本実施形態に係るバンドギャップの形成方法にて形成したグラフェン膜は、実用性の高いバンドギャップを備えるものであるため、種々の分野において使用可能となる。
すなわち、本発明は、アルミニウム系金属に陽極酸化を施して陽極酸化膜を形成し、この陽極酸化膜を除去した除去面に形成させた自然酸化膜のバンドギャップを有するグラフェン形成用基板としての使用方法を提供するものであるとも言える。
また、前述したように、第2の陽極酸化膜上においても、極めて実用性の高いバンドギャップを有するグラフェン膜の形成を行うことが可能である。
それゆえ、本発明は、アルミニウム系金属に陽極酸化を施して第1の陽極酸化膜を形成し、この第1の陽極酸化膜を除去した除去面に再度陽極酸化を施して形成した第2の陽極酸化膜のバンドギャップを有するグラフェン形成用基板としての使用方法を提供するものであるとも言える。
また、本実施形態に係るバンドギャップを有するグラフェン膜は、単独で使用しても良く、また、基板と共に使用しても良い。
換言すれば、グラフェンに対して活性な凹凸面を備える基板と、前記凹凸面に成膜されバンドギャップ生成構造が形成されたグラフェン膜とを備える基板−グラフェン複合体の状態で利用することも可能である。
ところで、バンドギャップを有するグラフェン膜は、その用途に応じてバンドギャップの調整が可能であることが望ましい。
そこで本実施形態に係るバンドギャップ幅の調整方法では、アルミニウム系金属の陽極酸化膜表面に形成されるバンドギャップを備えたグラフェン膜のバンドギャップ幅の調整方法であって、前記陽極酸化面を形成するにあたり、前記アルミニウム系金属を浸漬する電解質溶液の種類、濃度、温度、粘度、組成、浸漬時間、印加電流、印加電圧から選ばれる少なくともいずれか1つを制御して、前記陽極酸化面に整然と複数形成される孔の孔径、孔間隔、孔の深さから選ばれる少なくともいずれか1つを調整することとしている。
したがって、アルミニウム系金属の陽極酸化膜上に形成するバンドギャップを備えたグラフェン膜のバンドギャップ幅を、使用目的などに応じて容易に調整することができる。
以下、本実施形態に係るバンドギャップの形成方法や、バンドギャップを備えるグラフェン膜、同グラフェン膜を備えた基板−グラフェン複合体、グラフェンのバンドギャップ幅の調整方法、自然酸化膜又は陽極酸化膜のバンドギャップを有するグラフェン形成用基板としての使用方法について、より具体的に説明する。なお本実施形態では、グラフェンに対して活性な凹凸面の一例として、アルミニウムの陽極酸化膜を中心に説明するが、これに限定されるものではない。ここではまず、本実施形態に係る技術について、従来の技術の説明を交えつつ説明する。
グラフェンのバンドギャップ形成に関する種々の報告の中には、グラフェンナノリボン構造形成によるバンドギャップの形成を利用する方法がある。
これは、グラフェンを非常に細かいリボン状にすることにより、そのエッジ効果を利用して電子の状態を変化させ、バンドギャップを形成しようとするものである。
この方法は、半導体の製造工程と同じく、露光技術を利用して形成することも可能であるが、グラフェンをレジストや薬品と接触させる必要があるといった問題や極微細加工技術の難しさ、手間や設備コスト等の問題がある。
例えば、前述の青山学院大学で実施されているようなアルミニウムの陽極酸化膜を剥離し、その皮膜をマスクにしてCVDで別の素材に形成したグラフェンをエッチングするといった方法もあるが、比較的大きな面積で陽極酸化皮膜を剥離し、底部のバリアー膜を削除して均一な貫通孔を形成しなければならないといった問題や下地のグラフェン層と隙間を空けずに密着させなければならないといった問題があり、実際に使用する上で非常に難しい。
一方、本実施形態に係る手法は、その一形態において、アルミニウム陽極酸化皮膜を利用するものであるとも言える。
図1は陽極酸化処理を行う際の装置構成を示した説明図であり、図2はアルミニウムに陽極酸化処理を施した際に形成される酸化膜の状態を示した説明図である。図1に示すように、陽極酸化処理装置Aは、電源装置1と、同電源装置1の陽極端子より伸延させた陽極導線2と、電源装置1の陰極端子より伸延させた陰極導線3と、処理槽4とを備えている。
また、陽極導線2の先端には陽極電極としてのアルミニウム素材5を配設し、陰極導線3の先端には陰極電極としての対向電極部材6を配設しており、これらアルミニウム素材5及び対向電極部材6は、処理槽4内に収容されている電解液としての処理液7に浸漬されている。
また、電源装置1は安定した直流電源であり、図示しない操作部を操作することにより、任意の電流及び電圧をアルミニウム素材5及び対向電極部材6に印加可能としている。
このような装置を用いて両極間に電流及び電圧を印加すると、陽極電極としてのアルミニウム素材5に陽極酸化が施され、図2に示すように自然ナノポアの孔8を有する酸化皮膜9が形成できる。この陽極酸化によって自然に形成するナノサイズの孔8は、後に説明するが、人工的に高い規則性を持って配置することが可能である。
すなわち、前述した従来技術は、酸化膜をマスクとして利用してグラフェンにバンドギャップを形成する方法であったが、これとは異なり本実施形態に係る手法は、規則配列したポアを有する酸化膜上に直接グラフェン膜を成膜し、高規則性の狭い間隔を設けることでグラフェンナノリボン構造を規則的に形成するという方法であると考えることも可能である。
なお、酸化膜をマスクとして使用する場合の問題点として、皮膜底部のポアを均一に形成しなければならず、本実施形態に係る方法の如く比較的容易にポアサイズを均一にできる場合と異なり、技術的に困難を伴うという点を挙げることができる。
(高規則性ポーラス孔を有する陽極酸化皮膜の形成方法)
人工的に陽極酸化皮膜の表面に高規則性のポーラス孔を形成する方法として、例えば、陽極酸化皮膜である第1の陽極酸化膜9aをある程度の厚み(例えば、10〜30μm)で形成(第1の陽極酸化処理)した後、そのまま酸性液(例えば塩酸、硫酸、リン酸、クロム酸など)で一旦アルミ素材上の皮膜のみを選択溶解し、再度陽極酸化(第2の陽極酸化処理)して第2の陽極酸化膜9bを形成する方法がある。この方法はtwo-step anodizingとして知られており、図3中において(a)〜(d)のような処理を行う方法である。このような方法により陽極酸化を施せば、図4(a)に示すように、平面部と孔8とで構成される形状の繰り返し構造が形成されて、グラフェンに対して活性で、かつ、高規則性を有する凹凸面とすることができる。なお、図4(a)に示した構造は、例えば、図4(b)にて実線で示す構造が繰り返し敷き詰められて構成されたものと考えることができる。図4(b)において破線及び網掛け部は孔8を示している。
なお、グラフェンを形成する基板としての酸化膜は、必ずしも陽極酸化膜で無くとも良い。具体的には、図2における(c)のステップの状態でグラフェンの形成を行うようにしても良い。
この(c)のステップにおける状態は、第1の陽極酸化膜9aが溶解除去されて、高規則性の窪みが形成された状態となっており、その表面には自然酸化膜が形成されている。
このような凹凸面においても、グラフェンを形成することにより、均一なバンドギャップ幅を有するグラフェン膜を形成することができる。
(グラフェンの形成方法)
図5に示すようなグラフェンを形成する方法としては、
(1)剥離・転写法:グラファイト結晶からテープで剥がして基板に貼り付ける方法。
(2)CVD・転写法:800〜1000℃程度の温度で、CVD法により金属触媒膜上にグラフェンを形成し、それを他の基板上に移しかえる方法。
(3)SiC表面熱分解法:半導体であるSiC基板を1200℃程度以上の高温で熱処理し、SiC基板表面にグラフェンを形成する方法。
等の方法が考案されているが、近年、低温プラズマCVDによるグラフェンの形成方法などアルミニウムの融点より低温(650℃以下)でグラフェン形成技術が報告もされており、例えば特開2011−207736号公報等に見られる技術であって、アルミニウム基板上の陽極酸化皮膜上にそのままグラフェンを形成することが可能となっている。
(アルミニウム陽極酸化皮膜上へのグラフェン形成の可能性)
グラフェンは、特開2012−15481号公報や、特開2011−168473号公報のように、アミノ基やアルミナ(Al2O3)のような比較的活性な表面に形成しやすい。実際、気相法で不活性な面に同時にグラフェンを形成する場合、選択的に活性な面だけにグラフェンを成長させることが可能である。
グラフェンを定着させる基板にアルミニウムの陽極酸化皮膜を採用した場合には、表面がアルミナ(AlxOy)で比較的活性な状態となっており、グラフェンは比較的容易に形成することが可能である。
(アルミニウム素材、陽極酸化皮膜の平坦化)
均一なバンドギャップを試料の広い範囲でばらつきなく形成するためには、素材や陽極酸化皮膜を平坦にするほうが好ましい。素材を平坦化する場合は、ラッピング研磨(遊離砥粒と液体を用いた加工方法)や電解研磨法を用いて平坦化することが可能であり、成膜した陽極酸化皮膜を研磨する場合は、前者のラッピング研磨を用いることで可能である。
(陽極酸化皮膜を形成するためのアルミニウム素材の組成)
一般のアルミニウム素材は、陽極酸化皮膜にとって好ましくない多くの不可避不純物や添加元素を含んでいるため、高純度アルミニウム(純度99.9%以上)を使用する必要がある。しかし、本提案のようにMg添加合金も使用することが可能である。
一般に、ほとんどの添加金属は陽極酸化で良くない方向に働くが、高純度アルミニウムに数%のMgを添加した合金は、下記公開特許のように陽極酸化皮膜の高規則性ポーラス孔の形成には良い結果をもたらす。例えば、特開2004−099972号公報(US6,982,121B2)、特開2010−163696号公報を参考とすることができる。
(陽極酸化ポアサイズの制御)
陽極酸化皮膜のポア(孔)のサイズは、一般には陽極酸化処理の電圧に比例しおよそ2.5nm/V程度である。陽極酸化処理には通常、電解質溶液としての処理液は硫酸溶液、シュウ酸溶液、リン酸溶液等が使用される。
条件としては、例えば、0.3M硫酸浴25V、0.3Mシュウ酸40V、1wt%リン酸190V等が挙げられる。
比較的電圧の低い条件となる硫酸皮膜の孔径は小さく、電圧の高いリン酸皮膜では大きな孔径となる。孔径(ポアサイズ)は、処理液の電圧と処理液の種類でコントロールすることが可能である。また、その他の条件を調整することにより、孔径や孔間隔、孔の深さを調整するようにしても良い。
具体的には、電解質溶液としての処理液の種類、濃度、温度、粘度、組成、浸漬時間、印加電流、印加電圧から選ばれる少なくともいずれか1つを制御して、前記陽極酸化面に整然と複数形成される孔の孔径、孔間隔、孔の深さから選ばれる少なくともいずれか1つを調整することができる。
(陽極酸化皮膜形成後のベーキング)
陽極酸化処理後のそのままの皮膜は、温水や蒸気を吸収してポア(孔)が閉塞(封孔)するおそれがある。また、できた皮膜自体も水分を含んでいるので安定化するために高温(数百℃〜600℃)で加熱することが望ましい。
(陽極酸化皮膜の剥離方法)
素材を使用せず陽極酸化皮膜を利用する場合は、皮膜を素材から剥離する必要があるが、電流回復と逆電解法を使用する方法や過塩素酸とエタノールの混合液を使用して電気化学的に剥離する方法によって可能である。
(高規則性陽極酸化皮膜上にグラフェンバンドギャップ形成の可能性)
半導体として使用する場合、バンドギャップは約1.0eVが最適といわれており、これは紫外域の約1300nmに相当している。
斉藤らは、文献Journal of Physical Society of Japan, vol.71, No.11, November, 2002の「Geometric and Electronic Structure of New Carbon-Network Materials: Nano Array on Graphite Sheet」の中で、グラフェンにホールを形成し、これらの構造におけるバンドギャップの値をシミュレーションしている(図6参照)。
このシミュレーション結果によると、ホールの間隔を2.5nm程度、孔に形成されるナノチューブの長さが0.7nmの時、図6に示すように約0.85eVのバンドギャップが形成できることを示唆している。
このシミュレーションでは、非常に幅の狭い間隔を形成する状態が要求されるが、ギャップの電位は、孔の大きさや深さ、表面の平坦性、素材の活性状態によって異なること、実際の陽極酸化膜の表面が活性な表面となっていること、またナノのオーダーで見ればその表面は平坦でなく、その上に形成するグラフェンはゆがみを持つこと等を考慮すると、本提案の陽極酸化皮膜上に形成するグラフェンのバンドギャップは、計算値より電位が高くなることが推測される。
したがって、高規則性の陽極酸化に形成するポアの間隔を2.5nmの非常に狭い間隔で形成することは難しいが、その間隔が10〜20nm程度であっても十分にバンドギャップを形成できる可能性は高いことが推測される。
以上のように本発明により、高純度若しくは高純度アルミニウム合金をベースとした素材に高規則性のナノサイズの孔を有する陽極酸化膜を成膜し、電子移動度の高い電子デバイス、受光・発光デバイス、それを用いた電子集積回路及び光集積回路等に応用可能なバンドギャップを有するグラフェン素材を提供することが可能となる。
以下、本実施形態について図面を参照しながらさらに詳説する。
使用するアルミニウム素材は、図7の製造フローにも示すように、99.9%以上、好ましくは99.99%以上の高純度アルミニウム若しくは99.99%以上のアルミニウムにMgを添加した合金を鍛造若しくは圧延した後、機械加工で切削加工したものが適している(ステップS10)。
上記機械加工による切削素材の表面は凹凸があるため、平坦にするためのラッピングと呼ばれる遊離砥粒を混ぜ合わせた液体を用いて砥石で研磨する方法か、電解研磨法を用いて電気化学的な方法で研磨する(ステップS11)。電解研磨は、過塩素酸/エタノール浴を用いて行うことが可能である。
上記研磨素材を洗浄後、陽極酸化処理を施して第1の陽極酸化膜を形成する(ステップS12)。陽極酸化皮膜は、図1に示したように、陽極にアルミニウム素材5を用い、陰極にカーボンやアルミニウム板若しくは鉛板などを用いて通常数十V程度の電圧を処理液の種類に応じて印加すると、陽極、すなわちアルミニウム素材5の表面で、
2Al+3H2O⇔Al2O3+6H++6e-
の反応が生じる。すなわち、電解液中でアルミニウム板を陽極にして電流、電圧を加えることにより先ず、図2(a)及び図2(b)で示すように、アルミニウム素材5にバリヤー皮膜と呼ばれるまだ孔が形成されていない酸化皮膜9(アルミナ膜)が生成する。
処理を継続すると、図2(c)で示すようにバリアー皮膜に孔8が多数発生し、多数発生した孔8が図2(d)で示すように、部分的に下方に成長していく。この成長していくポーラス孔は隣接するポーラス孔と互いに牽制しながら孔径の揃ったポーラス孔となる。最終的に皮膜は成長し、図2(e)に示すような高規則性の孔を備えた凹凸面として機能する第1の陽極酸化皮膜が形成することとなる。
上述のように陽極酸化処理は、ある程度成長すると図3(b)に示すように孔径と孔間隔が均一になって成長するので、図3(c)に示すように一定の段階で処理を中止し皮膜を剥離すると、アルミニウムの素材の表面に規則的な孔の窪みを有する凹凸面を得ることができる(ステップS13)。
その状態で更にこの凹凸面に対して陽極酸化を行うと、図3(d)に示すように、今度はその窪みを基点としてポーラス皮膜が成長し、高規則性のポーラス孔を有する第2の陽極酸化皮膜を得ることができる(ステップS14)。
例えば、上記素材を5cm×5cm×0.5cmに切り出し、0.3Mシュウ酸電解浴中、化成電圧40V、温浴15℃で1時間程度処理し20μm程度の陽極酸化処理を行う。
これを約50℃、10wt%のリン酸浴に浸漬し皮膜を剥離する。洗浄後、上記と同じシュウ酸浴で陽極酸化を行うと高規則性のポーラス孔を得ることができる。
この条件での処理では、約40nmサイズのポーラス孔を有する陽極酸化皮膜を得ることができる。皮膜の厚みは、処理時間に準じて所望の厚みを得ることができるが、必要に応じて数十mmから100μm程度まで形成することが可能である。
電解液は上記シュウ酸溶液の他に、0.3M硫酸浴25V、1wt%リン酸190V等で行うことも可能であるが、ポーラス孔の孔径は電圧にほぼ比例するため、処理電圧が低い硫酸浴の場合は10〜15nmの孔径となり、リン酸浴の場合は、80〜100nm程度になる。
皮膜を剥離して使用する場合は、上記アルミニウム素材に陽極酸化した試料を350℃程度で加熱後、0.3Mシュウ酸水溶液中で50Vから0Vまで1.5時間かけて電圧降下させ、その後、0V〜-20Vまで20分かけて電圧降下させる電流回復法を行い、さらにその後そのまま電極(極性)を逆転させることで剥離(逆電解剥離法)することが可能である。また、他の方法としては、得られた陽極酸化皮膜を350℃で加熱後、上述の過塩素酸/エタノール(1:4)液中、15℃、40Vで1分アノード酸化を行うことで剥離することも可能である。このようにして得られた酸化膜もまた、バンドギャップを有するグラフェン形成用基板として使用することができる。
陽極酸化皮膜の平坦度は、電解中に皮膜の表面がある程度溶解するので、処理前の平坦度より悪くなることがある。平坦度が必要な場合は、ラッピング処理により表面を薄く研磨することで平坦度を得ることは可能であるが、洗浄は厳しく行う必要がある。
これらアルミニウム素材の付いたままの酸化皮膜もしくは、剥離した皮膜の水分を除去する目的や皮膜の組織をより安定化させる目的で、皮膜を400〜500度程度で加熱する方が良い(ステップS15)。
次に、これら皮膜状にグラフェンを形成する(ステップS16)。グラフェンの形成は、アセチレンを原料ガスとする気相成長法により陽極酸化表面に成長させる。気相成長の成長温度は、例えば、400℃、成長時間は10分間とすることができる。
グラフェンは、陽極酸化皮膜上に非常に形成しやすく、例えばSi基板と陽極酸化皮膜が存在する場合、酸化アルミニウムの上にのみ選択的に成長する。従って、この性質を利用して、シリコンが表出している表面と凹凸を備える酸化アルミニウムが表出する表面とを備える所定の基板上において、選択的にバンドギャップを備えるグラフェンを形成し、回路を形成するようにしても良い。
以上のように処理を行うことで、アルミニウム素材のついたままの陽極酸化皮膜上や、剥離した陽極酸化皮膜上にグラフェンを形成することが可能となる。
第2の陽極酸化膜上のグラフェンの成膜状態模式図を図8に示す。図8(a)は、基板としての第2の陽極酸化膜上に形成されたバンドギャップ生成構造を備えるグラフェン膜10を示した説明図である。図8(b)は同グラフェン膜10のみを示した説明図である。
このようにして形成されたグラフェン膜10は、図8(a)に示すように、孔8の内壁面も含む酸化皮膜9の表面の凹凸に沿った形状を備えることとなる。
また、図8(b)に示すように、グラフェン膜には、第2の陽極酸化膜9bに形成された孔8に沿って折曲構造11が形成されている。
そして、グラフェン膜10上で整然と繰り返し配置されたこれら複数の折曲構造11によってバンドギャップ生起構造12は構成され、グラフェン膜10上において折曲構造11が存在する近傍の領域においてバンドギャップが形成されることとなる。
形成したグラフェンをラマン散乱分光で測定したところ、1582cm-1と1350cm-1にグラフェンの特徴であるGバンド、Dバンドのラマンスペクトルが観察され、グラフェンが高規則性を有しつつ陽極酸化皮膜上に形成されたことが確認された。
また、図4に示した電子顕微鏡(FE-SEM)写真の如く高規則性ポーラス孔を有する第2の陽極酸化被膜上へのグラフェンの形成が可能であり、前述の斉藤らのバンドギャップシミュレーションによる結果に類似した構造の形成が可能となる。この構造の形成は、グラフェンにバンドギャップが形成できることを示唆している。
以上のように本発明により、ポーラス孔を規則配列した陽極酸化皮膜上にグラフェンを形成することが可能であり、グラフェン上に局所的な電子状態を形成でき、逆格子空間のK点においてバンドギャップを形成することが可能となる。
上述してきたように、本実施形態に係るバンドギャップの形成方法によれば、グラフェンに対して活性な凹凸面にグラフェン膜を形成し、同グラフェン膜にバンドギャップを形成することとしたため、グラフェンにおける実用的なバンドギャップの形成方法を提供することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態においてグラフェン膜を形成する基板は、アルミニウム系金属由来の酸化膜(陽極酸化膜や自然酸化膜)としたがこれに限定されるものではなく、グラフェンを定着可能な凹凸表面を備える基板であれば良い。
1 電源装置
2 陽極導線
3 陰極導線
4 処理槽
5 アルミニウム素材
6 対向電極部材
7 処理液
8 孔
9 酸化皮膜
9a 第1の陽極酸化膜
9b 第2の陽極酸化膜
10 グラフェン膜
11 折曲構造
12 バンドギャップ生起構造

Claims (14)

  1. グラフェンに対して活性なナノサイズのポーラス孔を有する面上にグラフェン膜を形成し、同グラフェン膜にバンドギャップを形成するバンドギャップの形成方法。
  2. 前記ポーラス孔を有する面は、所定形状の繰り返し構造を有することを特徴とする請求項1に記載のバンドギャップの形成方法。
  3. 前記ポーラス孔を有する面は、アルミニウム系金属の酸化膜表面であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバンドギャップの形成方法。
  4. 前記酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜であることを特徴とする請求項3に記載のバンドギャップの形成方法。
  5. 前記酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した陽極酸化膜を除去した後の自然酸化膜であることを特徴とする請求項3に記載のバンドギャップの形成方法。
  6. 前記陽極酸化膜は、前記アルミニウム系金属に陽極酸化を施して形成した第1の陽極酸化膜を除去し、同第1の陽極酸化膜が除去された面を再度陽極酸化して形成した第2の陽極酸化膜であることを特徴とする請求項4に記載のバンドギャップの形成方法。
  7. 前記陽極酸化を施すにあたり、同陽極酸化を施す面を平坦度1μm以下で予め研磨することを特徴とする請求項4〜6いずれか1項に記載のバンドギャップの形成方法。
  8. 前記アルミニウム系金属は、純度が99.9%以上のアルミニウムであることを特徴とする請求項3〜7いずれか1項に記載のバンドギャップの形成方法。
  9. 前記アルミニウム系金属は、純度が99.9%以上で99.5〜95重量部のアルミニウムと、0.5〜5重量部のマグネシウムとの合金であることを特徴とする請求項3〜7いずれか1項に記載のバンドギャップの形成方法。
  10. グラフェンに対して活性な凹凸面に成膜してバンドギャップ生成構造が形成されたグラフェン膜。
  11. グラフェンに対して活性な凹凸面を備える基板と、前記凹凸面に成膜されバンドギャップ生成構造が形成されたグラフェン膜とを備える基板−グラフェン複合体。
  12. アルミニウム系金属の陽極酸化膜表面に形成されるバンドギャップを備えたグラフェン膜のバンドギャップ幅の調整方法であって、
    前記陽極酸化面を形成するにあたり、前記アルミニウム系金属を浸漬する電解質溶液の種類、濃度、温度、粘度、組成、浸漬時間、印加電流、印加電圧から選ばれる少なくともいずれか1つを制御して、
    前記陽極酸化面に整然と複数形成される孔の孔径、孔間隔、孔の深さから選ばれる少なくともいずれか1つを調整することを特徴とするバンドギャップ幅の調整方法。
  13. アルミニウム系金属に陽極酸化を施して陽極酸化膜を形成し、この陽極酸化膜を除去した除去面に形成させた自然酸化膜のバンドギャップを有するグラフェン形成用基板としての使用。
  14. アルミニウム系金属に陽極酸化を施して第1の陽極酸化膜を形成し、この第1の陽極酸化膜を除去した除去面に再度陽極酸化を施して形成した第2の陽極酸化膜のバンドギャップを有するグラフェン形成用基板としての使用。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016072096A1 (ja) * 2014-11-06 2016-05-12 日本ゼオン株式会社 炭素ナノ構造体集合物およびその製造方法
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CN113215569A (zh) * 2021-06-08 2021-08-06 湖北欣洁顺幕墙材料有限公司 一种用于幕墙材料的铝制品表面环保处理加工工艺

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