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JP2013529089A - インターロイキン−6受容体を阻害するモノクローナル抗体による薬剤治療に対する応答を予測するための遺伝子発現マーカー - Google Patents

インターロイキン−6受容体を阻害するモノクローナル抗体による薬剤治療に対する応答を予測するための遺伝子発現マーカー Download PDF

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Abstract

本発明は、遺伝子発現レベルが、IL−6受容体アンタゴニスト、例えばIL6−R抗体を用いた治療に対する関節リウマチ患者の治療応答と相関する、遺伝子産物バイオマーカーに関連する方法、組成物及びキットを提供する。本発明の方法、組成物及びキットは、IL−6受容体アンタゴニスト治療に対して応答性の可能性がある、又は非応答性の可能性がある関節リウマチ患者を同定するために使用され得る。

Description

発明の背景
トシリズマブ(Tocilizumab)は、関節リウマチを治療するために開発された、インターロイキン−6受容体(IL−6R)を阻害する最初のヒト化モノクローナル抗体である。他の治療と同様に、抗体は、患者において様々な範囲の治療効果を示す。したがって、トシリズマブを用いた治療に対して、陽性に応答する(respond positively)可能性がより高い患者、及び/又は、当該治療に応答しない可能性が高い患者を決定する必要性がある。本発明をこの必要性に対処する。
発明の概要
本発明は、一部分において、IL−6調節性シグナルの変換を調節する薬剤を用いた治療に対する陽性治療応答に関係している、遺伝子発現の変化の発見に基づく。当該薬剤は、例えば、当該変換を阻害する抗IL−6抗体、又はトシリズマブのようなIL−6R阻害性モノクローナル抗体である。
したがって、1つの態様において、本発明は、トシリズマブを用いた治療に対して応答する可能性がある関節リウマチ患者を同定するか、又はトシリズマブを用いた治療に対して応答する可能性がない患者を同定する方法であって、表1、表2又は表3に記載された遺伝子の発現レベルを同定するステップを含む前記方法を提供する。かかる遺伝子は、アレイプローブセット及び増幅技術を含む、種々の技術を使用して同定され得る。マーカー遺伝子の発現レベルはその後、相関関係を証明するために使用されるデータセット中に示された発現レベルと比較される。
さらなる態様において、本発明は、IL−6R抗体、例えばトシリズマブの投与を含む治療計画に対してリウマチ患者の治療応答を予測するためのキットを提供する。幾つかの実施形態において、当該キットはまた、表1、表2又は表3に記載されたバイオマーカー遺伝子の、患者におけるマーカー遺伝子発現レベルを、データセットと比較するための、電子デバイス又はコンピュータソフトウェアを含む。治療応答を評価するためのエンドポイントは、関節リウマチの任意の症状であり得る。例えば、実施例1において評価されたエンドポイントであり得る。
幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表1に記載された遺伝子のいずれか1つである。幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表1に記載された少なくとも2つの遺伝子である。したがって幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表1に記載された2〜20個、2〜30個、2〜40個、2〜50個、2〜60個、2〜70個、2〜80個又は2〜全てのいずれか1つである。
幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表2に記載された遺伝子のいずれか1つである。幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表2に記載された少なくとも2つの遺伝子である。したがって幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表2に記載された2〜20個、2〜30個、2〜40個、2〜50個、2〜60個、2〜70個、2〜80個又は2〜全てのいずれか1つである。
幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表3に記載された遺伝子のいずれか1つである。幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表3に記載された少なくとも2つの遺伝子である。したがって幾つかの実施形態において、マーカー遺伝子は、表3に記載された2〜20個、2〜30個、2〜40個、2〜50個、2〜60個、2〜70個、2〜80個又は2〜全てのいずれか1つである。
幾つかの実施形態において、バイオマーカー遺伝子の発現レベルを決定するステップは、マーカー遺伝子によって発現されたRNAのレベルを測定することを含む。発現されたRNAの量は、例えば、増幅領域反応(amplification area reaction)、例えばqPCRを使用することによって、又はプローブアレイを使用することによって決定され得る。例えば、プローブセットを形成する核酸アレイが、バイオマーカー遺伝子から発現されたRNAを検出するために使用されてもよい。RNA発現レベルは通常、患者から単離されたRNAから転写されたcDNAレベルを測定することによって決定される。RNA発現レベルは、発現レベルを定量するための既知のプローブセットを使用して決定され得る。当技術分野において周知である通り、かかるプローブは、対象の標的配列とハイブリダイズするマルチプルプローブを含んでもよい。或いは、マーカー遺伝子の発現は、当該遺伝子によってコードされたタンパク質の発現レベルを測定することによって決定され得る。
発現レベルは、標準対照データ(standard control data)、例えば実施例1及び2において得られた発現データセットと比較される。バイオマーカー遺伝子の発現が、トシリズマブのようなIL−6R抗体を用いた治療に対する患者の治療応答の指標となるか否かを決定するための統計モデルを使用することによって、マーカー遺伝子の発現レベルの増大、又はバイオマーカー遺伝子の発現レベルの低下が決定されてもよい。幾つかの場合において、本発明は、治療応答の見込み(likelihood)を決定するための統計モデルの使用を行う、電子デバイス又はコンピュータソフトウェアを提供する。
幾つかの実施形態において、トシリズマブのようなIL−6Rアンタゴニストを用いた治療に対して、応答性の可能性がある、又は非応答性の可能性がある関節リウマチ患者を同定するために、表5に記載された遺伝子の発現レベルが評価される。典型的な実施形態において、列(column)C、列D、列E、列F、列G、列H、列I又は列Jにおいて、2〜10、2〜20、2〜30、2〜40、2〜50、2〜60、2〜70、2〜80、若しくは2〜90、又は2〜全てである遺伝子は、分析されて治療応答の見込みが決定される。
発明の詳細な説明
本明細書中に使用される場合、「陽性の治療応答」又は「治療上の利点(therapeutic benefit)」は、関節リウマチのいずれかの症状の改善及び/又はその発症の遅れを指す。
本明細書中で使用される場合、「陰性の治療応答」は、関節リウマチの1若しくは2以上の症状の改善の不足を指す。
「インターロイキン‐6受容体(IL‐6R)阻害抗体」は、その抗体がIL‐6受容体に結合し、そしてIL‐6受容体活性に拮抗する(すなわち、阻害する)ところのIL‐6受容体に対する抗体を指す。かかる抗体の例は、関節リウマチの治療に使用されるトシリズマブ、つまり、ヒト化IL‐6Rモノクローナル抗体(例えば、Sato et al., Cancer Res 1993; 53: 851-6;及び米国特許第7479543号を参照)である。
当該発明において、「表1に記載された遺伝子」は、表1に注釈したプローブセットに相当する遺伝子を指す。同様に、表2、3、又は5「に記載の遺伝子セット」は、それぞれの表に注釈されたプローブセットに相当する遺伝子を指す。表1〜3に関しては、「代表的な公的ID」は、表1に受入番号として記載されている。「代表的な公的ID」は代表的な配列の受入番号である。コンセンサスに基づくプローブセットに関して、代表的な配列は、実施例において使用されるプローブセットの中でコンセンサス配列を構築するのに使用されるいくつかの配列(配列サブクラスター)のうちの一つにすぎないので、それがプローブ配列を導き出すのに直接使用されるわけではない。代表的な配列は、プローブセットによって照合される(interrogated)転写領域に最も関連する配列としてアレイ設計中に選ばれる。当該技術分野で理解されている通り、多くの遺伝子配列に関して天然に存在する多型(polymorphism)が存在する。本願発明の目的のための天然に存在する対立遺伝子変異である遺伝子は、同じ遺伝子座によってコードされたそれらの遺伝子である。表1、表2、又は表3に記載された遺伝子の対立遺伝子変異によってコードされたタンパク質は通常、互いに少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有している、すなわち、表1、表2、又は表3で示した遺伝子の対立遺伝子変異体は通常、その遺伝子についての表に示した受入番号によって規定されたヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性、多くの場合、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、又はそれを上回る同一性を有するタンパク質産物をコードしている。例えば、Eph受容体B2(遺伝子:EPHB2、代表的な受入番号AF025304)をコードする遺伝子の対立遺伝子変異体は通常、受入番号AF025304により入手可能な配列によってコードされたEph受容体b2タンパク質に対して少なくとも95%の同一性、多くの場合、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、又はそれを上回る同一性を有する。
用語「同一」又は「100%の同一性」は、2以上の核酸又はタンパク質との関連において、同じ配列である2以上の配列又は部分配列を指す。比較し、そして規定値のパラメーターを使用した公知の配列比較アルゴリズム、例えば、BLASTを使用して計測した場合に、又は手動の整列(alignment)と目視検査によって、比較ウィンドウ又は指定された領域を通じた最大の一致のために整列させたとき、2個の配列が指定されたパーセンテージの同じアミノ酸残基又はヌクレオチドを有するのであれば、2個の配列は「実質的に同一」であるか、又は特定のパーセントの同一性(すなわち、指定された領域にわたる、若しくは指定されていないときには配列全体にわたる70%の同一性、任意で、75%、80%、85%、90%、又は95%の同一性)がある。
「遺伝子産物」又は「遺伝子発現産物」は、本願発明との関連において、遺伝子によってコードされたRNA又はタンパク質を指す。
関節リウマチの患者における「バイオマーカーの評価」という用語は、表1、表2、表3、又は表5で列挙した遺伝子又はその遺伝子の対立遺伝子変異体(allelic variant)によってコードされた遺伝子産物の発現レベルを決定することを指す。通常、RNA発現レベルは確定されている。
序論
本発明は、一部分において、薬剤投与前又は投薬の8週間後、その遺伝子発現レベルがトシリズマブへの応答と関連する特定の遺伝子/転写産物の同定に基づいている。
そのため、本発明は、患者に薬物を与える前のバイオマーカーの発現レベルの計測に関する。いくつかの実施形態において、かかる転写産物を検出するプローブを、どの関節リウマチ患者がIL‐6受容体アンタゴニスト、例えばIL‐6受容体拮抗抗体、例えば、トシリズマブに応答するのか又は応答しないのかを予測するための診断装置の形で適用し得る。転写産物もまた、どのRA患者がもっと遅い時点でトシリズマブに応答性であるかを予測するために計測され得る。さらに、実施例の項の中で、本明細書中で同定された転写産物に対して経路、細胞型又は組織発現によって関係づけられるタンパク質/代謝産物、及び/又はつながりのある転写産物及び関連産物の同定が、トシリズマブへの応答の測定のための代替バイオマーカーとして使用され得る。
表1、表2、又は表3に記載の遺伝子のうちの一種類の任意の遺伝子発現産物の発現レベルを計測してもよいが、しかしながら、通常、複数の遺伝子の発現が評価される。遺伝子発現レベルは、当該技術分野で知られている様々な方法を使用することで計測することができる。典型的な実施形態において、その方法はRNAのレベルを計測することを伴う。RNA発現は、例えば、qPCRなどの定量的な増幅方法を用いた、任意の方法を使用することで定量化できる。他の実施形態において、その方法はアレイベースのアッセイを用いる。さらに他の実施形態において、タンパク質産物を検出してもよい。遺伝子発現パターンは、患者からの全血又は末梢血リンパ球試料を使用して測定される。
いくつかの実施形態において、表1、表2、又は表3に示したバイオマーカーと同じ経路にある遺伝子によってコードされる遺伝子産物、通常RNAが定量化され得る。いくつかの実施形態において、トシリズマブによる治療の候補である関節リウマチ患者を同定するために評価される少なくとも一種類のバイオマーカーは、JAM3、CD41、CD61、エフリン受容体B2から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、評価のために選択されるバイオマーカーのうちの少なくとも1個は、JAM3、CD41、又はCD61であり、そして評価される第2のバイオマーカーがエフリン受容体B2である。いくつかの実施形態において、患者で評価されるバイオマーカーは、インフラマソーム、カスパーゼ1、カスパーゼ5、IL‐1受容体、又はCARD16の構成要素(component)である。いくつかの実施形態において、評価される少なくとも1種類のバイオマーカーは、セリン・パルミトイルトランスフェラーゼ長鎖塩基サブユニット2又はスフィンゴシン‐1‐ホスフェート(S1P)、セラミド又は関連スフィンゴ脂質である。
いくつかの実施形態において、本発明の方法には、列C〜Jのうちの1つに示された「0」超の値を有する表5の2個以上のバイオマーカーの遺伝子発現産物を解析するステップが含まれる。かかるバイオマーカーは、トシリズマブなどのIL‐6Rアンタゴニストにおける治療に対する関節リウマチ患者の応答の可能性を予測するのに組み合せて使用できる。したがって、例えば、列Cに「0」超の値を有する少なくとも2個のバイオマーカー、好ましくは3個、4個、5個、又は最大100個までの任意の数のバイオマーカーの遺伝子発現レベルの解析は、トシリズマブによる治療に対する応答を予測するのに組み合せて使用できる。同様に、「0」超の値を有する列Dからの少なくとも2個のバイオマーカー、好ましくは3個、4個、5個、若しくはそれ以上、又はすべてのバイオマーカーを、トシリズマブなどのIL‐6Rアンタゴニストを用いた治療に応答する又は応答しない可能性がある関節リウマチ患者を同定するために発現レベルについて解析できる。典型的な実施形態において、より少ない数のそれらの遺伝子のそれらの発現レベルが評価される。したがって、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の値を有する列Cの遺伝子が、例えば、遺伝子発現解析に通常含まれる。いくつかの態様において、本発明の方法には、列Cの2個以上の遺伝子の発現レベルを解析し;そして列Dの2個以上の遺伝子又は列Eなどの2個以上の遺伝子について発現レベルを解析するステップが含まれる。
表5において、列の「ID」は、対応遺伝子のためにプローブセットを指す(表5B)。当業者は、表5B及び表5Aの列Lのプローブセットの注釈がこの解析に使用されるチップのメーカー(Affymetrix)のデータベースを通して得られることを理解している。
RNAの定量方法
表1に記載された遺伝子によってコードされたRNAの量は、RNAの定量の分野で知られている任意の方法に従って容易に測定できる。増幅反応、及び/又はプローブが固体支持体(solid support)に連結され、そしてRNAを定量化するのに使用される反応を伴う様々な方法が使用できる。あるいは、RNAを固体支持体に連結し、そして着目の配列に対するプローブを使用することで定量化することもできる。
本発明で分析される「RNA核酸試料」は、末梢血リンパ球から得られる。「RNA核酸試料」にはRNAが含まれているが、純粋なRNAである必要はなく、例えば、DNAもまたその試料中に存在していてもよい。末梢血リンパ球からRNA試料を得る技術は、当該技術分野で周知である。
いくつかの実施形態において、標的RNAはまず逆転写され、そして得られたcDNAが定量化される。いくつかの態様において、RT‐PCR又は他の定量的な増幅法が、標的RNAを定量化するのに使用される。PCRを使用したcDNAの増幅は周知である(米国特許第4683195号及び同第4638202号;並びにPCR PROTOCOLS: A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS(Innis et al., eds, 1990)を参照)。定量的な増幅の方法は、例えば、米国特許第618349号;同第6033854号;及び同第5972602号、並びに、例えば、Gibson et al., Genome Research 6:995-1001 (1996);DeGraves, et al., Biotechniques 34(1):106-10, 112-5 (2003);Deiman B, et al., Mol Biotechnol. 20(2):163-79 (2002)に開示される。あるいは、試料中の着目のmRNAのレベルを決定するための方法は、例えば、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193)、自律型配列複製(Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Qβレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリング・サークル・レプリケーション(米国特許第5854033号)又はその他の核酸増幅法などの他の核酸増幅法と、それに続く当業者に周知の技術を使用した増幅分子の検出を伴ってもよい。
一般に、定量的な増幅は、増幅(例えば、PCR)反応のサイクル中に鋳型のコピー数に相当するシグナル(例えば、プローブの蛍光)を観察することに基づいている。増幅産物の検出方法の1つは、5’‐3’エキソヌクレアーゼ「加水分解」PCRアッセイ(TaqMan(商標)アッセイとも呼ばれる)(米国特許第5210015号及び同第5487972号;Holland et al., PNAS USA 88: 7276-7280 (1991);Lee et al., Nucleic Acids Res. 21: 3761-3766 (1993))。このアッセイは、増幅反応中に、二重に標識した蛍光プローブ(「TaqMan(商標)」プローブ)のハイブリダイゼーションと切断(cleavage)により特異的PCR産物の蓄積を検出する。蛍光プローブは、蛍光レポーター色素とクエンチャー色素の両方で標識されたオリゴヌクレオチドから成る。PCRの間、このプローブは、それが増幅されたセグメントにハイブリダイズした場合かつその場合に限り、DNAポリメラーゼの5’‐エキソヌクレアーゼ活性によって切断される。プローブの切断はレポーター色素の蛍光強度の増大を引き起こす。
エネルギー移動の使用に依存する別の増幅産物の検出方法は、Tyagi and Kramer, Nature Biotech, 14:303-309 (1996)によって記載された「ビーコンプローブ」法であり、そしてそれは、米国特許第5119801号及び同第5312728号の主題でもある。この方法は、ヘアピン構造を形成することができるオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブを用いる。ハイブリダイゼーションプローブの片端(5’又は3’末端のいずれか)に、ドナーフルオロフォアがあり、そしてもう一方の末端に、アクセプター部分がある。Tyagi and Kramer法の場合では、このアクセプター部分はクエンチャーである、すなわち、アクセプターはドナーによって放出されたエネルギーを吸収するが、そのとき自身は蛍光を発しない。したがって、ビーコンが開環型立体構造にあるとき、ドナーフルオロフォアの蛍光は検出可能である一方、ビーコンがヘアピン(閉鎖型)立体構造にあるとき、ドナーフルオロフォアの蛍光はクエンチされる。PCRで用いられると、(PCR産物の鎖の一方にハイブリダイズしている)分子ビーコンプローブは「開環型立体構造」にあるので、蛍光が検出されるが、ハイブリダイズしないままで残っているものは蛍光を発しない(Tyagi and Kramer, Nature Biotechnol. 14: 303-306 (1996))。その結果、蛍光の量は、PCR産物の量の増加に従って増強するので、したがって、それをPCRの進み具合の指標として使用できる。当業者は、他の定量的な増幅方法もまた利用可能であることを認識している。
核酸の定量的な増幅を実施するためのその他の様々な技術もまた知られている。例えば、いくつかの方法論では、1又は2以上のオリゴヌクレオチドが標的核酸にハイブリダイズしたとき、蛍光の変化が生じるように構築された1若しくは2以上のプローブオリゴヌクレオチドを用いる。例えば、かかる方法の一つは、2個のオリゴ・プローブが増幅産物にアニールする、例えば、LightCycler(商標)ハイブリダイゼーションプローブの蛍光共鳴エネルギー移動を利用する二重フルオロフォア・アプローチ(FRET)である。前記オリゴヌクレオチドは、有効エネルギー移動に適合した距離だけ離れたフルオロフォアに頭尾(head-to-tail)方向でハイブリダイズするように設計されている。核酸に結合したか又は伸長産物内に取り込まれた際にシグナルを放つように構築された標識オリゴヌクレオチドのその他の例には:Scorpions(商標)プローブ(例えば、Whitcombe et al., Nature Biotechnology 17:804-807, 1999, and U.S. Pat. No. 6,326,145)、Sunrise(又はAmplifluor)プローブ(例えば、Nazarenko et al., Nuc. Acids Res. 25:2516-2521, 1997及び米国特許第6117635号)、並びにクエンチャーなしにシグナルを低減をもたらし、そして標的にハイブリダイズすると増大したシグナルを放つ二次構造を形成するプローブ(例えば、Lux probes(商標))が含まれる。
他の実施形態において、二本鎖DNA内にインターカレートしたときにシグナルを生じるインターカレート剤を使用することもできる。代表的な作用物質には、SYBR GREEN(商標)やSYBR GOLD(商標)が含まれる。これらの作用物質は鋳型特異的でないので、シグナルが鋳型特異的増幅に基づいて産生されていると仮定する。このことは、鋳型配列の融解温度が一般に、例えば、プライマー二量体などよりはるかに高くなるので、温度の関数としてシグナルを観察することによって確認できる。
他の実施形態において、例えば、ドットブロット又はノーザンの形式では、mRNAを固体表面上に固定し、そしてプローブと接触させる。代替の実施形態において、例えば、DNAチップアレイでは、プローブを固体表面上に固定し、そしてmRNAを1若しくは2以上のプローブと接触させる。当業者は、着目のバイオマーカー又は他のタンパク質をコードするmRNAのレベルを検出する際に使用するための既知のmRNA検出法を容易に適合させることができる。
いくつかの態様において、例えば、マイクロアレイが用いられる。DNAマイクロアレイは、多数の遺伝子の発現レベルを同時測定するための一つの方法を提供する。各アレイは、固体支持体に取り付けられた再生可能なパターンの捕獲プローブから成る。標識RNA又はDNAをアレイ上で相補的なプローブにハイブリダイズさせ、次に、レーザー走査によって検出する。アレイ上の各プローブのハイブリダイゼーション強度が測定され、そして相対遺伝子発現レベルを表す定量値に変換される。米国特許第6040138号、同第5800992号、及び同第602135号、同第6033860号、並びに同第6344316号を参照。高密度オリゴヌクレオチドアレイは、試料中の多くのRNAの遺伝子発現様式を測定するのに特に有用である。
機械的な合成法を使用したこれらのアレイの合成のための技術は、例えば、米国特許第5384261号に記載されている。平面アレイ表面が使用されることが多いが、実質的にどんな形状の表面上にも又は表面が多様であってもアレイを調製できる。アレイは、ビーズ、ゲル、高分子表面、光学繊維などの繊維、ガラス又はその他の適当な基質上のペプチド又は核酸であり得る。米国特許第577358号、同第5789162号、同第5708153号、同第6040193号及び同第5800992号を参照。アレイは、診断上又は包括的なデバイスの他の操作を可能にするような様式でパッケージ化され得る。
着目の標的配列を増幅及び検出するのに使用するためのプライマーやプローブは、周知の技術を使用して選択できる。
本願発明との関連において、着目のRNAの「発現レベルを決定すること」は、当該技術分野で知られている、着目のRNAを定量化するあらゆる方法を包含する。
タンパク質レベルの確認
いくつかの実施形態において、例えば、表1に記載されたバイオマーカーの遺伝子によってコードされたタンパク質の発現レベルを計測する。多くの場合、免疫学的アッセイを使用することでかかる測定を実施できる。あるいは、タンパク質発現レベルは、例えば末梢血リンパ球試料などの細胞試料を使用して測定することができるが、タンパク質の発現は血清試料を使用して通常測定される。
適切な技術の概要は、Harlow & Lane, Antibodies: A Laboratory Manual (1988)及びHarlow & Lane, Using Antibodies (1999)に見ることができる。特異的な対立遺伝子変異体と反応するポリクロナール抗体及びモノクローナル抗体を産生する方法は、当業者に知られている(例えば、Coligan, Current Protocols in Immunology (1991);Harlow & Lane、前掲;Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed. 1986);及びKohler & Milstein, Nature 256:495-497 (1975)を参照)。かかる技術には、ファージ又は同様のベクターによる組換え抗体に関するライブラリーからの抗体の選択による抗体調製、並びにウサギ又はマウスを免疫化することによるポリクロナール抗体やモノクローナル抗体の調製が含まれる(例えば、Huse et al., Science 246:1275-1281 (1989);Ward et al, Nature 341:544-546 (1989)を参照)。
多型対立遺伝子(polymorphic allele)は様々な免疫アッセイ法で検出できる。免疫学的及び免疫学的試験手順の総説に関して、Basic and Clinical Immunology(Stites & Terr eds., 7th ed. 1991)を参照のこと。そのうえ、免疫学的アッセイは、いくつかの構成のいずれかで実施でき、そしてそれは、Enzyme Immunoassay (Maggio, ed., 1980);及びHarlow & Lane、前掲に幅広く概説されている。一般的な免疫学的アッセイの総説に関して、Methods in Cell Biology: Antibodies in Cell Biology, volume 37 (Asai, ed. 1993);Basic and Clinical Immunology (Stites & Terr, eds., 7th ed. 1991)を参照のこと。
一般的に使用されるアッセイには、非競合アッセイ、例えば、サンドイッチアッセイ、及び競合アッセイが含まれる。通常、ELISAアッセイなどのアッセイが使用できる。ポリペプチド変異体の量は、定量分析法を実施することによって測定できる。
他の検出方法、例えば、MALDIを、直接的治療結果に関連するタンパク質の存在を検出するのに使用できる。
デバイスとキット
更なる態様において、本発明は、IL‐6R抗体、例えば、トシリズマブなどのIL‐6受容体のシグナル伝達を中和する治療薬に対する関節リウマチ患者の改善された応答性に関連している遺伝子発現産物を同定するための診断装置及びキットを提供する。
いくつかの実施形態において、診断装置には、表1に記載されている遺伝子発現産物のうちの少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、50個、60個、70個、若しくは80個、又はそのすべてを検出するためのプローブが含まれている。いくつかの態様において、本発明は、例えば、DNA Microarrays: A Molecular Cloning Manual, 2003, Eds. Bowtell and Sambrook, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載の通り、アレイスライド又はチップなどの固体支持体に取り付けられたオリゴヌクレオチドプローブを提供する。かかるデバイスの構造は、例えば、米国特許及び米国特許公開第5837832号;PCT出願WO95/11995;米国特許第5807522号;米国特許第7157229号、同第7083975号、同第6444175号、同第6375903号、同第6315958号、同第6295153号、及び同第5143854号、同第2007/0037274号、同第2007/0140906号、同第2004/0126757号、同第2004/0110212号、同第2004/0110211号、同第2003/0143550号、同第2003/0003032号、及び同第2002/0041420号に記載の通り、当該技術分野で周知である。核酸アレイもまた、以下の参考文献の中で概説されている:Biotechnol Annu Rev 8:85-101 (2002);Sosnowski et al, Psychiatr Genet 12(4): 181-92 (Dec. 2002);Heller, Annu Rev BiomedEng 4: 129-53 (2002);Kolchinsky et al, Hum. Mutat 19(4):343-60 (Apr. 2002);及びMcGail et al, Adv Biochem Eng Biotechnol 77:21-42(2002)。
アレイには、固体支持体に固定された、通常合成のアンチセンス・ポリヌクレオチド又はcDNAの断片のいずれかである、多数の独特な1本鎖ポリヌクレオチドから成る。典型的なポリヌクレオチドは、好ましくは長さが約6〜60ヌクレオチド、より好ましくは長さが約15〜30ヌクレオチド、そして最も好ましくは長さが約18〜25ヌクレオチドである。特定のタイプのアレイ又は他の検出キット/システムに関して、長さが約7〜20ヌクレオチドしかないオリゴヌクレオチドを使用することが望ましいこともある。他のタイプのアレイ、例えば、化学発光検出技術に関連して使用されるアレイなどでは、好ましいプローブの長さは、例えば、長さが約15〜80ヌクレオチド、好ましくは長さが約50〜70ヌクレオチド、より好ましくは長さが約55〜65ヌクレオチド、そして最も好ましくは長さが約60ヌクレオチドである。
当業者は、既知の配列情報に基づいて、検出試薬を開発し、そして表1、表2、又は表3に記載されるあらゆる遺伝子発現産物のアッセイに使用でき、しかも、かかる検出試薬をキットに組み込むことができることを認識している。「キット」という用語は、本明細書中で使用される場合、バイオマーカー検出試薬との関連において、複数のバイオマーカー検出試薬の組合せ、又は他の1若しくは2以上のタイプの部材又は部品(例えば、他のタイプの生化学的試薬、コンテナ、パッケージ、例えば商業販売のためのパッケージなど、バイオマーカー検出試薬が取り付けられた基質、電子部品など)と組合せた1若しくは2以上のバイオマーカー検出試薬といったものを指す。したがって、本発明は、これだけに限定されるものではないが、パッケージ化プローブとプライマーセット(例えば、TaqManプローブ/プライマーセット)、核酸分子のアレイ/マイクロアレイ(ここで、アレイ/マイクロアレイはバイオマーカー転写産物のレベルを検出するためのプローブを含んでなる)、並びに本発明の1若しくは2以上のバイオマーカーを検出するための1若しくは2以上のプローブ、プライマー、又は他の検出試薬を含むビーズを含めた、バイオマーカー検出キットとシステムを提供する。前記キットは、任意に、様々な電子機器部品を含んでいる;例えば、様々な製造業者によって提供されたアレイ(「DNAチップ」)やマイクロ流体システム(「lab‐on‐a‐chip」システム)は通常、機器部品を含んでなる。他のキット(例えば、プローブ/プライマーセット)は電子機器部品を含むことができないが、例えば、1若しくは2以上のコンテナ内にパック化された(任意に他の生化学的試薬を伴った)1若しくは2以上のバイオマーカー検出試薬を含んでなることもある。
いくつかの実施形態において、バイオマーカー検出キットは通常、1若しくは2以上の検出試薬、並びにアッセイ又は反応、例えば、バイオマーカー転写産物のレベルを検出するための増幅などをおこなうのに必要な他の構成要素(例えば、バッファー、酵素、例えば、DNAポリメラーゼなど)を含んでいる。キットはさらに、標的核酸の量を測定するために手段、及びその量を標準と比べるための手段を含んでいて、そしてキットを使用して着目のバイオマーカー核酸分子を検出するための取扱説明書を含むことができる。本発明の一実施形態において、本明細書中に開示された1若しくは2以上のバイオマーカーを検出するための1若しくは2以上のアッセイをおこなうのに必要な試薬を含むキットが提供される。本発明の一実施形態において、バイオマーカー検出キット/システムは、核酸アレイ、又はマイクロ流体/lab−on−a−chipシステムを含めた区画化キットの形態をとる。
バイオマーカー検出キット/システムは、例えば、表1、表2、又は表3に記載された遺伝子でコードされた核酸分子にハイブリダイズする1若しくは2以上のプローブ、又はプローブの対若しくはセットを含むことができる。いくつかの実施形態において、2個以上のバイオマーカーの存在は、アッセイで同時に評価できる。例えば、いくつかの実施形態において、異なったバイオマーカーに対するプローブ又はプローブセットがアレイとして又はビーズ上に固定される。例えば、同じ基質に、表1、表2、又は表3に記載されるバイオマーカーのうちの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、若しくは20個、又はより多くを検出するためのバイオマーカープローブを含むことができる。
かかるアレイ又は他のキット/システムを使用して、本発明は、試験試料中の、本明細書中に記載されたバイオマーカーを同定する方法を提供する。かかる方法は通常、患者からの末梢血リンパ球から得られた核酸の試験試料を、表1、表2、又は表3に記載された遺伝子によってコードされた核酸に選択的にハイブリダイズする1若しくは2以上のプローブを含んでなるアレイとインキュベートするステップを伴う。バイオマーカー検出試薬(又は1若しくは2以上のかかるバイオマーカー検出試薬を用いるキット/システム)をインキュベートする条件は試験試料により異なる。インキュベーション条件は、アッセイで使用される形式、用いられた検出法、アッセイで用いられた検出試薬のタイプと性質に依存する。当業者は、一般的に利用可能なハイブリダイゼーション、増幅、及びアレイアッセイ形式のいずれか一つを、表1、表2、又は3に記載されたバイオマーカーを検出するために容易に適合させることができることを認識している。
本発明のバイオマーカー検出キットは、バイオマーカー核酸分子のその後の増幅及び/又は検出のために試験試料から核酸を調製するのに使用される構成要素を含むこともできる。
治療応答と相関する遺伝子発現レベル
本発明は、関節リウマチ患者がトシリズマブなどのIL‐6R抗体を用いた治療に応答する可能性を評価するために遺伝子発現産物のレベルを決定する方法を提供する。男性の関節リウマチ患者でも女性の関節リウマチ患者でも遺伝子発現レベルについて解析できる。
特定のマーカー(例えば、治療結果における改善に関連する表1のベースライン発現マーカー)の存在は、トシリズマブなどのIL‐6R抗体を用いた治療に対して陽性の治療応答を示すと予想される患者の指標となる。したがって、陽性の治療応答の可能性は、通常、遺伝子発現マーカーの量の増大と共に高まる。
同様に、患者は、陰性の治療結果に関連する遺伝子発現マーカー、例えば、表1に記載されたバイオマーカーのベースライン発現を有することもある。したがって、かかる患者は、IL‐6R抗体、例えば、トシリズマブに対して応答しない可能性がある。通常、陰性の治療応答の可能性はバイオマーカーの量の増加と共に高まる。
表1、2、及び3では、「係数(co-efficient)」の列は、ベースラインDASについて調整されたDAS28スコアの変化によって計測された応答に対する遺伝子発現値の効果を表す(表3のデータはまたベースライン血小板数についても調整されている)。係数の符号は効果の方向を表す。例えば、‐1.6という係数は、より高い発現がより良い応答に関連することを意味する。遺伝子発現値の2倍ごとの増大が、1.6単位でのDASスコアの更なる低減に相当している。同様に、正の係数は、より高い発現値がより乏しい応答(より高いDAS28スコア)に関連することを示している。表1は、バイオマーカーのベースライン発現(すなわち、トシリズマブなどのIL‐6R抗体で治療を受ける前のレベル)が治療応答の予測となるバイオマーカーを示す。したがって、例えば、表1に記載された遺伝子によってコードされた遺伝子発現産物のレベルは、関節リウマチ患者から入手された末梢血試料で決定できる。バイオマーカーの陽性/陰性群は、遺伝子発現レベルに閾値を使用することで規定される。各マーカーに関する適確な閾値は、当該技術分野で周知のアルゴリズムを使用することで決定でき、特定のプラットフォームや使用されるアッセイ、及び所望の性能パラメーター、例えば、アッセイの感度、特異性に依存する。
例えば、患者は、表1のバイオマーカーの発現レベルが閾値を上回れば(陽性の治療応答を示すと予測される)又は下回れば(陽性の治療応答を示さないと予測される)、IL‐6アンタゴニスト、例えば、トシリズマブに対する治療応答を示すか又は治療応答を示さない可能性が判定される。
表2に記載された遺伝子発現レベルの計測はまた、後の時点で、IL‐6R抗体、例えば、トシリズマブなどのIL‐6‐Rアンタゴニストでの治療に応答する患者の可能性を計測する能力を提供する。例えば、表2に記載された遺伝子セットの発現の計測はベースラインと、例えば、治療の8週間後に行われる。2つの測定値の間の遺伝子発現の変化が、例えば16週間又は24週間などの後の時点での応答の可能性を計算するのに使用される。ここで再び、応答における変化の閾値を適用できる。
あるいは、治療開始後、例えば、8週目に計測をおこなうことができ、そして所定の値に対する、観察された遺伝子発現レベルの「正規化(normalization)」を応答の予測に使用できる。
遺伝子発現はまた、表5で列挙された遺伝子に関しても評価できる。表5の列A〜Jのそれぞれは、列の先頭に記した臨床応答について解析した遺伝子を表す。ACRに関して上位100個の遺伝子を、>0のランクで表中に列挙する。値が0であれば、遺伝子はACRには選択されない。>0の値を示した遺伝子のうちの少なくとも2個、通常大部分、又はすべてのそれぞれの列に関して解析できる。遺伝子発現値は、表5に関連する説明の中の実施例の項の「クラス指数(class index)」に概説されているように、臨床応答の分類を予測するための同義遺伝子からの発現シグナルの線形結合(linear combination)として使用される。遺伝子発現レベルのこれらの線形結合に関する切り捨ては、当該技術分野で既知の分類アルゴリズム、例えば、サポートベクターマシン(SVM)などによって判定される(例えば、Vapnik, The Nature of Statistical Learning, Springer, NY, 1995;Cristianini & Shawe-Taylor, An Introduction to Support Vector Machines, Cambridge University Press, Cambridge, UK, 2000を参照)。
本発明の方法は通常、トシリズマブなどのIL‐6R抗体で治療された関節リウマチ患者における有益な治療結果又は陰性の治療結果に関連している遺伝子発現産物レベルを記録することを伴う。この情報を、コンピューターが読み取り可能な形式で保存することもできる。かかるコンピュータシステムには通常、主要なサブシステム、例えば、中央処理機構、システムメモリ(通常RAM)、入出力(I/O)コントローラ、外部デバイス、例えば、ディスプレーアダプターを介してディスプレイ画面、シリアルポート、キーボード、記憶装置インタフェイスを介して固定ディスクデバイスやフロッピー(登録商標)ディスクを受け入れるよう作動するフロッピー(登録商標)ディスクドライブなど、及びCD‐ROMを受け入れるように作動するCD‐ROM(又は、DVD‐ROM)デバイスを通常含んでなる。多くの他のデバイスが、シリアルポートを介して接続されたネットワークインタフェースなどに接続され得る。
コンピュータシステムはまた、データリンク、例えば、イーサネット(登録商標)ケーブル(coax又は10BaseT)、電話回線、ISDNライン、ワイヤレスネットワーク、光ファイバー、又は他の好適な信号伝達媒体、を介して、多くの演算デバイスを含んでなるネットワークに連結されてもおり、それにより、少なくとも1つのネットワークデバイス(例えば、コンピューター、ディスクアレイなど)が、本発明のアッセイから取得したデータをコードするビットパターンを含む磁区(例えば、磁気ディスク)及び/又は荷電ドメイン(例えば、DRAMセルのアレイ)のパターンを含んでなる。
コンピュータシステムは、表1に記載の遺伝子によってコードされた1若しくは2以上の遺伝子発現産物のベースラインレベルを評価する発現解析の結果を読み取るためのコードを含んでなることができる。したがって、代表的な実施形態において、中央処理機構がIL‐6受容体抗体での治療に対する治療応答の傾向を測定するためのコンピュータプログラムを実行するコンピューターに、発現解析の結果を提供する。
本発明はまた、次の:(1)コンピューター;(2)本発明の方法で得られた発現結果をコードする保存ビットパターン、そしてそれはコンピューターに保存され得る;(3)そして任意に;(4)陽性の治療応答の可能性を判定するためのプログラム、を含んでなるコンピュータシステム、例えば、先に記載したものなどの使用を提供する。
本発明はさらに、関節リウマチを患っている患者の遺伝子発現産物の検出に基づき報告を作成する方法を提供する。かかる報告は、陽性又は陰性の治療結果に関連する表1に記載された遺伝子によってコードされた遺伝子発現産物の検出に基づいている。
IL‐6R抗体での治療に対して陽性の治療応答を有する可能性が高い患者は、陽性の治療応答に関連する表1の遺伝子発現産物の少なくとも1個を持っている。通常、そういった患者は、表1に記載された遺伝子によってコードされた産物の少なくとも2個が測定される発現様式を有している。いくつかの実施形態において、患者は、表1に記載される遺伝子のうちの3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、若しくは10個、又はそれ以上によってコードされた産物の発現レベルについて評価され得る。
実施例1.トシリズマブで治療した関節リウマチ患者の遺伝子発現プロフィールの解析
DAS28スコアの変化に対する応答との関連についての遺伝子発現データの解析
AMBITION研究(Jones, et al., Ann Rheum Dis 2 69:88-96, 2010)において単剤療法として8mg/kgのトシリズマブを投薬する進行中のRAを患っている患者から採取するRNA試料を、ベースラインと投薬後8週目に採取した。209個の試料(113個のベースライン試料と96個の「8週目」試料)を、Affymetrix GeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayの使用により遺伝子発現プロファイリングにかけた。
遺伝子発現データに対する多くの品質管理ステップの後に、2個の試料が、品質が低くいために目を引き、そして207個の試料を更なる解析にかけた。
Affymetrix RMAアルゴリズムを、更なる解析のための正規化遺伝子発現データを作成する際に使用した。高い発現レベル(最大値>4)を有するプローブセット、かつ、より広いダイナミックレンジ(最大値−最小値>2)を有するものだけを含んだ。最大値と最小値をすべての試料に関して求めた。線形回帰法を次の解析のために実施した。すべての解析において、16週目における疾患活動性スコア28(DAS28)の変化(cDAS28)を応答エンドポイントとして使用した。最も多くのトシリズマブ臨床試験においてそこがエスケープ療法(escape therapy)のための最も早い時点であったので、16週目を選んだ。それがcDASに対して有意な効果を有しているので、ベースラインDASをすべての解析における共変量として使用した。
1.ベースライン遺伝子発現、対cDAS28。111個の被験体を解析に組み入れた。
2.ベースライン発現データを使用したLASSO変数選択による線形回帰法。これは、目的関数に追加されたプローブセットの係数に対してL1ペナルティーを加えるモデルにすべてのプローブセットを含める多変量解析法である(Tibshirani, R. (1996). J. Royal Statist. Soc B., Vol. 58(1): 267-288)。プローブセットのサブセットをモデルによって選択した。モデルによって選択されるプローブセットの数はペナルティーのレベルに依存する。最適予測を達成するために選択されるプローブセットの最適数が続いて決定される、ペナルティーの最適レベルを10分割交差検定を使用して決定した。
3.8週目の遺伝子発現変化、対cDAS28。94個の被験体が解析に組み入れた。
4.遺伝子発現の変化を使用したLASSO変数選択を用いた線形回帰法。
5.ベースライン血小板に関して調整したベースライン遺伝子発現、対cDAS28。
活性化された血小板発現遺伝子、例えば、ITGA2B(CD41)、ITGB3(CD61)、JAM3、を示す多くのプローブセットを同定した解析(1)は、p値によって順序付けられたデータリストの冒頭に存在している(表1を参照)。これらの遺伝子の発現はCDAS28と相関関係がある。
この観察は、DAS28の変化に対するベースライン血小板数の回帰解析をうながした。解析は、それほど大きくなかったが、ベースライン血小板数との統計的に有意なつながりを実証した。はるかに強い効果サイズは、ITGA2、ITGB3、JAM3BのcDAS28に対する相関関係を通して注目され、そして血小板活性化のマーカーが血小板数よりも優れた応答の予測因子であることを示唆した。
解析(1)によって、EPHB2(エフリン受容体B2)のベースライン発現レベルがcDAS28に相関関係を有することが見つけ出された。EPHB2は、細胞の付着と遊走を調整するシグナルを変換し、そしてRAにおいて滑液線維芽細胞と滲出液リンパ球において、OAからのそれらに比べてより高いレベルで発現される。そのリガンドであるEphrinB1は、健康対照者に比べてRA末梢血リンパ球(PBL)中により高いレベルで発現される。
組換えEphrinB1は、正常なPBLに高い遊走とTNF産生を示すように刺激し、そしてRA滑液細胞にはIL‐6を産生するように刺激する。これらの結果は、それもまたトシリズマブに対する応答を予測するための有用なバイオマーカーであることを示唆している。
我々は、解析(1)で観察された血小板発現遺伝子のcDASとの高い相関関係が他の重要な応答シグナルの同定を「マスキング」している可能性があると推論した。そのため、回帰モデルにおける血小板数のベースライン補正を実施した。この解析から、NALP1インフラマソームの4個の構成要素のうちのp値によって順序付けした3個を同定した。インフラマソームは、炎症誘発性カスパーゼの活性化を媒介する多タンパク質細胞質複合体である。NALP1インフラマソームは、カスパーゼ1とカスパーゼ5を活性化する。カスパーゼ1は、プロIL‐1βを切断してIL‐1βとし、また、IL‐18と潜在的IL‐33を活性化する。我々はさらに、CARD16のベースライン発現の会合、カスパーゼ1の負の調節因子、及びIL‐1受容体のベースライン発現のcDASとの関連を同定した。IL‐1β/IL‐18/IL‐33の血清レベルと先に同定した転写産物の遺伝子発現特性もまた、トシリズマブに対する応答を予測するバイオマーカーとして使用できる。
解析(3)から、トシリズマブ投与から8週間後の遺伝子発現の変化によって応答を予測するのに使用できる多くの転写産物を同定した(表2)。これらには、カスパーゼ1、IL‐1β/IL‐18/IL‐33経路との関連性(及び前記(4)を参照)、セリン・パルミトイルトランスフェラーゼ、長鎖塩基サブユニット2、セラミドやスフィンゴシン‐1‐ホスフェート(S1P)などの分子のデノボ・スフィンゴ脂質生合成との関連性、並びに血小板発現遺伝子、例えば、CD41、CD61、及びJAM3などが含まれる。
Lasso変数選択多変量法(解析2及び4)は、様々な「構成要素」が応答の予測にそれぞれ寄与する転写産物の同定を可能にする。プローブセットの最適数(それぞれn=12とn=13)を10分割交差検定によって決定した。この解析で、予測的バイオマーカーとして使用できる多くの遺伝子を同定した。
これらの解析によって同定したプローブセット/遺伝子の一覧を表1に示す。表1のcDAS、対bExpは、そのベースライン発現がトシリズマブ治療応答の予測となるプローブセット/遺伝子を含んでいる。この一覧は、95個のプローブセットから成り、そのうち12個はマッピングされておらず、残りのプローブセットは72個の独特な遺伝子記号にマッピングされた。プローブセットの中で、両解析によって同定された5つのプローブセットを含め、88個を一変量線形回帰法(解析1)によって同定し、そして、12個を、多変量LASSO解析(解析2)を使用することで同定した。
表2のcDAS、対cEXPは、トシリズマブ治療応答の予測となるベースラインから8週目までプローブセット/遺伝子発現の変化を含む。この一覧は、104個のプローブセットから成り、そのうちの6個はマッピングされておらず、残りのものは92個の独特な遺伝子記号にマッピングされた。プローブセットの中で、両解析によって同定された6つのプローブセットを含めて、97個は一変量線形回帰法(解析3)によって同定し、そして、13個は多変量LASSO解析(解析4)を使用することで同定した。
表3(cDAS、対bEXP、血小板に関して補正)はベースライン血小板数と組み合わせたベースライン発現がトシリズマブ治療応答の予測となるプローブセット/遺伝子を含む。この一覧は、81個のプローブセットから成り、そのうち10個はマッピングされておらず、残りのものは61個の独特な遺伝子記号にマッピングされた。プローブセットのすべてを一変量線形回帰解析(解析5)によって同定した。
バイオマーカーのすべてを、一変量的に使用しても、多変量モデル内に組み合せて使用してもよい。
実施例2.トシリズマブに対する強い応答の予測値を有するプローブセット群の同定
トシリズマブに対する強い応答(すなわち、ACR応答やEULAR応答)の予測値を有するプローブセット群を同定する解析もまたおこなう。
209個のCELファイル(Affymetrix発現データファイル)をトシリズマブによって治療した患者について作成した。2個のCELファイルを技術的な理由によりデータセットから除外した。残った207個のCELファイルのうち111個をベースラインの時点で試料用とした。この実施例は、データセットN111に注目する。
我々は、表4に示す米国リウマチ学会(ACR)の4つのクラスの応答を検討した。
Figure 2013529089
我々はまた、16週目の欧州リウマチ学会(EULAR)の3つのクラスの応答(1が応答なし、2が中程度、そして、3が良好な応答)も検討した。DAS28の開始時とDAS28の16週目との変化(「dDAS28」又は「cDAS28」)、並びに16週目のDAS28も評価した。DAS28で1つの欠測データ点があり、そのため、我々は16週目のDAS28とcDAS28についてデータセットN110を持っている。
16週目のDAS28に関しては、我々は、DAS28値x>=4(応答なし)を有するクラスとしてC1を、2.6〜4の範囲のxを有するクラスとしてC2を、そして2.6<x(良い応答)を有するクラスをC3と規定する。ΔDAS28に関しては、我々は、ΔDAS28値y<=2.5(低い応答性)を有するクラスとしてC1を、2.5〜3.6の範囲内にあるyを有するクラスとしてC2を、そしてy>3.6(良い応答)を有するクラスとしてC3を規定する。
前記のクラス指定のすべてにおいて、C1は低い応答性を有する群を表し、そしてC4(ACR)又はC3(他の指標)は優れた応答を示す群を表す。C2(又はACRのC2及びC3)は中程度の応答のクラスである。
プローブセット選択のためのアプローチ
各指標(ACR、EULAR、ΔDAS28、及び16週目のDAS28)について、我々はDn3発現シグナル(Liu, et al., J. Theortical Biol 243:273-278, 2006;及び係属中の米国特許出願第12/578417号を参照)と2つの異なった組み分け方法を使用した。一つの組み分けが、低い応答性クラス、対他のクラス(良好及び中程度の応答性クラス)である。もう片方の組み分けは、極端なクラス(低い応答性クラス、対良好な応答性クラス)だけを使用するためのものである。最初の組み分け方法のための試料サイズは、以前に定められたN111又はN110である。極端なクラスの組み分けのための試料サイズは、N62(ACR)、N45(EULAR)、N70(16週目のDAS28)及びN80(ΔDAS28)である。
(完全一致とミスマッチの強さの違いを使用してMAS5を改善した)Dn3シグナルは通常、分類法結果に関してロバスト(robust)である。完全性に関して、我々はまた、(RMAに対する完全一致強度と類似だけを使用した)Pn3シグナルを用いて選択したプローブセットも含む。
それぞれ方法を分類するために、我々は、t統計量の絶対値を計算し、そしてt統計量の最も高い絶対値を有する上位100個のプローブセットを選択した。4つの異なった指標、2個の異なったシグナル、及び2つの異なった組み分け法(合計8群)に関するそれらの合併は、628個のプローブセットを含み、そして表5に列挙されている。「4つの異なった指標の合併」に関して、その4つの異なった指標(又は4つの異なったタイプの応答)は、ACR、EULAR、DAS及びcDASである。合併とは、反復したものをカウントすることのない、すべてのプローブセットの組み合せである。例えば、セット1が{1、3、5、7、9}であり、セット2が{1、2、3、4}であり、セット3が{3、5}であり、セット4が{9、10、11}であれば、そのとき、これらの4セットの合併は{1、2、3、4、5、7、9、10、11}である。
表5の説明
表5において、「N1:54630」という最初の列は、HG U133Plus2.0マイクロアレイ上でヒト遺伝子を標的とする54630個のプローブセットの1塩基表記を列挙している。「ID」という第2列は、AffymetrixプローブセットのIDを列挙している。
隣の8つの列は、8群のプローブセットの順位、及びプローブセットが特定の群に選択されるという情報が提供される。列名は、指標名前(indicator name)、試料サイズ、及びシグナル(Dn3)である。値0は、プローブセットが特定の群で選択されていないことを意味する。値1〜100は選択したプローブセットのランクを与え、ここでは、1が最高のもの(最も有効)である。
「平均スコア(average score)」という列は、前の8つの列の集計に関するスコアを提供する。値0は、スコアに全く貢献していない(すなわち、スコアは0である)。他のすべての値(1〜100)について、(差は1〜100の範囲内にあるが、逆順では、最大の差である100が最も有意なランク1に相当するように)我々は計算した(101−値)。我々は、8つの列に関して平均スコアを計算し、そして列のすべての平均スコアを列挙した。通常、スコアが高ければ高いほど、すべての群に関してより重要なプローブセットである。
「遺伝子記号(gene symbol)」及び「遺伝子名(gene title)」という列は、選択したプローブセットに関する注釈をAffymetrixウェブサイトから提供する。
表5に関して、表5の列C〜Jで同定した遺伝子の各群を、行0080〜0084の「クラス指標」の説明に概説されている臨床応答を予測するために同義遺伝子からの発現シグナルの1若しくは2以上の線形結合を形成するのに使用できる。遺伝子発現レベルのこれらの線形結合のための切り捨ては、例えば、サポートベクターマシン(SVM, The Nature of Statistical Learning, Springer, NY, 1995;Cristianini and Shawe-Taylor, An Introduction to Support Vector Machines, Cambridge University Press, Cambridge, UK, 2000)などの分類アルゴリズムによって決定される。表5に関して、それぞれの表示は数を示し;(同じ列の中で)0より大きい数を有する少なくとも2個の遺伝子の発現を使用できる。
以下の実施例3及び4は、IL‐6R抗体、例えば、トシリズマブなどのIL‐6Rアンタゴニストを用いた治療に対する患者の応答を予測するのに、2個及び3個の遺伝子転写物がどのように使用されるかに関する例を提供する。当該技術分野で理解されている通り、本明細書中に同定した追加の遺伝子、例えば、表1、表2、又は表3に記載されるそれらに相当するプローブセットを伴った多変量モデルを利用できる。
実施例3.応答レベルを予測するための3つのプローブセットの組合せ
患者のベースライン血液試料中の遺伝子転写物を、AffymetrixヒトゲノムU133プラスv2アレイを使用して計測する。未加工データファイルを、アルゴリズムが引き出した1セットの参照試料からのデータに対して正規化する。患者がメトトレキサート(MTX)と併用して8mg/kgにてトシリズマブ(TCZ)治療を受けるのであれば、この実施例では、3つのプローブセット12345_at、12346_at、及び12347_at(e1、e2、及びe3と示される)について、遺伝子転写レベル(RMAタイプのデータ)の発現が抽出され、そしてベースラインDAS28スコア(cDAS)から24週目の変化を予測するための線形モデルに使用される。
TCZ治療に関して:cDAS=a0*DAS_ベースライン+a1*e1+a2*e2+a3*e3
患者に関するDASの予測平均変化は1〜−7であり、ベースラインDAS並びにe1、e2、及びe3の遺伝子発現値に依存する。患者がMTXのみでの治療を受けたのであれば、DASの予測平均変化は以下の通り与えられる:
MTX治療に関して:cDAS=b0*DAS_ベースライン
DASの予測平均変化は0〜−3であり、患者のベースラインDASだけに依存する。
そして、各患者の治療選択を、これらの予測の差に基づいて行う。例えば、患者Aがトシリズマブに対して−4.5、及びMTXに対して−2のDASにおける予測変化がある場合には、医師はTCZ治療を薦めることができる。患者Bが、TCZに対して−3、及びMTXに対して−2.5のDASにおける予測変化がある場合には、わずかな追加的治療効果が別途費用とあらゆる潜在的リスクに値しない可能性があるので、医師はMTXでの治療を薦めることができる。
実施例4.治療に対する患者の応答を予測するための2つの転写産物の組み合せ
患者のベースライン血液試料中の2つの遺伝子の発現レベルを、定量的PCR(qPCR)を使用して計測する。相対発現レベルをΔCTによって表す。バイオマーカー群を以下の通り規定する:
陽性:a1*ΔCT1+a2*ΔCT2>=2.1
陰性:a1*ΔCT1+a2*ΔCT2<2.1
バイオマーカー陽性の患者は、バイオマーカー陰性の患者と比較して、トシリズマブ治療でのより高い奏功率を有する可能性が高いが(55%対38%のACR50奏功率)、35%のACR50奏功率を有するメトトレキサートで治療されるときには、両群は同じような奏功率を有する。
本明細書中に記載した実施例及び実施形態は例示のためだけのものであること、並びにそれを考慮した様々な修飾形態又は変形形態が当業者に示唆され、そしてそれが本出願の要旨と権限、及び添付の請求項の範囲内に含まれることは理解されている。
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Claims (10)

  1. ヒトインターロイキン−6受容体抗体を用いた治療に対する候補者である関節リウマチ患者を同定するか、又は前記治療から除外されるべきである関節リウマチ患者を同定する方法であって、以下のステップ:
    患者由来の末梢血リンパ球から得られるRNA核酸試料を提供し;
    IL−6受容体抗体を用いた治療に対する治療応答と関係する、表1、表2又は表3に記載された遺伝子によってコードされた少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルを決定すること;
    を含み、ここで、前記発現レベルが閾値を越えるとき、バイオマーカーの発現レベルはヒトインターロイキン−6受容体抗体を用いた治療に対する候補者である患者の指標となるか、又は前記治療から除外されるべきである患者の指標となる、前記方法。
  2. 表1、表2又は表3に記載された、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個若しくは40個又はそれ以上の遺伝子によってコードされた遺伝子産物の発現レベルを検出するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 発現レベルを決定する前記ステップが増幅反応を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記増幅反応が定量RT−PCRである、請求項3に記載の方法。
  5. SNPの存在と、IL−6受容体抗体を用いた治療に対する陽性応答との相関を記録することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 患者へIL−6受容体抗体を投与することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. ヒトインターロイキン−6受容体抗体を用いた治療に対する候補者である関節リウマチ患者を同定するか、又は前記治療から除外されるべきである関節リウマチ患者を同定する方法であって、以下のステップ:
    患者由来の血清試料、又は末梢血リンパ球由来のタンパク質を含む試料を提供し;
    IL−6受容体抗体を用いた治療に対する治療応答と関係する、表1、表2又は表3に記載された遺伝子によってコードされた少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルを決定すること;
    を含む、前記方法。
  8. 表1、表2又は表3に記載された、2個又は3個以上のバイオマーカーのRNA発現レベルを検出するための、固体表面に取り付けられた2個又は3個以上の核酸プローブを含む、診断装置。
  9. 表1、表2又は表3に記載された、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個若しくは40個又はそれ以上のバイオマーカーのRNA発現レベルを検出するためのプローブを含む、請求項8に記載の診断装置。
  10. ヒトインターロイキン−6受容体抗体を用いた治療に対する候補者である関節リウマチ患者を同定するか、又は前記治療から除外されるべきである関節リウマチ患者を同定する方法であって、以下のステップ:
    患者由来の末梢血リンパ球から得られるRNA核酸試料を提供し;
    表5の列Cにおける値が0超である、少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルを決定するか、又は、表5の列Dにおける値が0超である、少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルを決定するか、又は、表5の列Eにおける値が0超である、少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルを決定するか、又は、表5の列Fにおける値が0超である、少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルを決定するか、又は、表5の列Gにおける値が0超である、少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルを決定するか、又は、表5の列Hにおける値が0超である、少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルを決定するか、又は、表5の列Iにおける値が0超である、少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルを決定するか、又は、表5の列Jにおける値が0超である、少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルを決定すること;
    を含み、ここで、閾値を超える前記少なくとも2つの遺伝子産物の発現レベルの線形結合が、ヒトインターロイキン−6受容体抗体を用いた治療に対する候補者である患者の指標となるか、又は前記治療から除外されるべきである患者の指標となる、前記方法。
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