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JP2013124769A - 車両用クラッチ装置 - Google Patents

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JP2013124769A JP2011275977A JP2011275977A JP2013124769A JP 2013124769 A JP2013124769 A JP 2013124769A JP 2011275977 A JP2011275977 A JP 2011275977A JP 2011275977 A JP2011275977 A JP 2011275977A JP 2013124769 A JP2013124769 A JP 2013124769A
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Minoru Ikeda
実 池田
Shinichi Ito
真一 伊藤
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

【課題】簡易な構成で遠心力の影響を受けずに迅速にクラッチの接続操作が行なえる車両用クラッチ装置を提供する。
【解決手段】シリンダ部材58に設けられピストン部材52と弾性部材62の反対側で対向する区切り部材90と、ピストン部材52と区切り部材90との間に区画形成される加圧室30と、加圧室30へ作動油の供給を制御する制御弁20と、を備える車両用クラッチ装置であって、区切り部材90は、シリンダ部材58にピストン部材52に対して当接可能に回転軸線方向に移動可能に設けられ、区切り部材90とシリンダ部材58との間に、区切り部材90をピストン部材52に当接することで加圧室30の作動油を排出するために、区切り部材90をピストン部材52に接近する方向に付勢する付勢部材96が設けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジン及び電動モータを駆動源とするハイブリット車両において、エンジンの駆動力を車軸に伝達する車両用クラッチ装置に関する。
従来、車両用駆動装置には駆動源に連結される入力軸と、車軸へ連結される出力軸との断続を行なうためのクラッチ装置が設けられている。例えば、特許文献1に記載されているハイブリッド車両用駆動装置においては、モータケースの内周面にステータが取り付けられ、ステータに対向してモータケースにロータが回転可能に取り付けられている。クラッチ装置は、ロータの内径側に設けられており、エンジンの出力軸側に設けられた第1クラッチ部(摩擦プレート)と、変速機の入力軸側に設けられた第2クラッチ部(セパレートプレート)とを有する。摩擦プレートとセパレートプレートとは、対面しつつ交互に配置されており、互いに圧着させて圧着状態である接続状態とすることができ、かつ、互いに離間して圧着解除である遮断状態とすることができる。複数のセパレートプレートは、ドラム室を構成する外筒部の先端部に相対回転不能かつ軸線方向に移動可能に嵌合されている。ドラム室には、作動油が流入されて前記遮断状態にさせる加圧室と、ばね部材が収容されてばねによる付勢力で前記接続状態にさせるばね室と、を仕切るピストン部材が軸線方向に移動可能に設けられている。通常は、ばね室に設けられたばね部材の付勢力によってピストン部材をセパレートプレートと摩擦プレートとが互いに圧着する方向に移動させ接続状態となっている。加圧室に作動油が流入されることで加圧室の作動油の圧力がばね部材の付勢力に抗してピストン部材をセパレートプレートと摩擦プレートとが離間して遮断状態とする方向に移動させるように構成される。
そして、再び接続状態とする場合には加圧室の作動油を排出して、ばね部材に付勢力によってピストン部材をセパレートプレートと摩擦プレートとが互いに圧着する方向に移動させて行なう。ここで加圧室に作動油が残留していると、加圧室を高速回転させる入力軸等の回転による遠心力によって、加圧室内の作動油がピストン部材をセパレートプレートと摩擦プレートとが離間して遮断状態とする方向に移動させる力が働くおそれがある。そのためピストン部材には加圧室と外部との間を連通する穴にボール弁が設けられ、ボール弁は加圧室の油圧が所定値以上の場合には閉じ、加圧室の油圧が所定値以下の場合には開いて加圧室内の作動油を外部に排出するようになっている。
しかし、このようなボール弁を使った作動油の排出は、入力軸等ととも加圧室が高回転する場合や低温で作動油の粘性度が高くなった場合に充分ではないという問題があった。
そのため、出願人らは、先の出願において、加圧室に対してピストン部材を挟んで反対側に位置するばね室に作動油を流入させ、ばね室に流入した作動油によって、加圧室に残留した作動油による影響を相殺する構造の発明を提案した(特願2010−246864)。
特開2011−105188号公報
しかしながら、提案した先の出願の発明において、ばね室内の作動油が排出されているのに、加圧室から作動油を排出する油路の構造により、加圧室内の作動油が残留していると、従来と同様に加圧室内の作動油の影響でクラッチ容量が不足する可能性が考えられた。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で遠心力の影響を受けずに迅速にクラッチの接続操作が行なえる車両用クラッチ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、第1駆動源に回転可能に連結される入力軸と、該入力軸と同一回転軸線上に配置され第2駆動源に回転可能に連結された出力軸と、前記入力軸及び前記出力軸を前記回転軸線上で軸受を介して回転可能に軸承するケースと、前記入力軸及び前記出力軸の一方に前記回転軸線方向に移動可能に係合された複数のセパレートプレートと、前記複数のセパレートプレートと交互に接離可能に配置され前記入力軸及び前記出力軸の他方に前記回転軸線方向に移動可能に係合された複数の摩擦プレートと、前記出力軸又は前記入力軸に一体的に形成されたシリンダ部材と、該シリンダ部材のシリンダ部に前記回転軸線方向に摺動可能に嵌合されたピストン部材と、前記ピストン部材と前記シリンダ部材との間に設けられたばね室に配置され、前記ピストン部材を前記セパレートプレート及び前記摩擦プレートに向かって付勢し前記ピストン部材に設けられた押圧部によって前記セパレートプレートと摩擦プレートとを圧接させる弾性部材と、前記シリンダ部材に設けられ前記ピストン部材と前記弾性部材の反対側で対向する区切り部材と、前記ピストン部材と前記区切り部材との間に区画形成される加圧室と、前記加圧室へ作動油の供給を制御する制御弁と、を備える車両用クラッチ装置であって、前記区切り部材は、前記シリンダ部材に前記ピストン部材に対して当接可能に前記回転軸線方向に移動可能に設けられ、前記区切り部材と前記シリンダ部材との間に、前記区切り部材を前記ピストン部材に当接させることで前記加圧室の作動油を排出するために、前記区切り部材を前記ピストン部材に接近する方向に付勢する付勢部材が設けられていることである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記弾性部材の付勢力は、前記セパレートプレートと前記摩擦プレートとを圧接させるのに必要な圧接力と、前記付勢部材の付勢力との合計とすることである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記ばね室は、作動油が貯留可能に形成され、前記セパレートプレートと前記摩擦プレートとを圧接させる際に、前記ばね室には、前記加圧室に作用する作動油による遠心力に対向する力を、前記ばね室に発生させつつ、前記ばね室の作動油を該ばね室の外部に排出する排出孔を備えたことである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記加圧室に連通して設けられ、前記加圧室の作動油の圧力が前記所定値より高いときに閉弁し、前記所定値よりも低いときに開弁して前記加圧室の作動油を排出する弁部材を備えたことである。
請求項1に係る発明によれば、セパレートプレートと摩擦プレートとを圧接させる方向にピストン部材を付勢させる弾性部材が配置されているので、加圧室に作動油が貯留されていない場合には、セパレートプレートと摩擦プレートとが圧接されたクラッチ装置の接続状態となる。作動油が加圧室に流入されて貯留されると、作動油の油圧によって弾性部材の付勢力に抗してピストン部材をセパレートプレートと摩擦プレートとの圧接を解除する方向に移動させ、クラッチ装置が遮断状態となる。そして、再びクラッチを接続状態とするために、加圧室に貯留された作動油を排出する。
本件発明においては、弾性部材とは反対側にピストン部材に対向し、加圧室をピストン部材とともに構成する区切り部材を移動可能に設け、さらに区切り部材をピストン部材に当接するよう付勢する付勢部材を設けている。そして、貯留された作動油を加圧室から排出する際、区切り部材をピストン部材に当接するよう付勢部材で付勢するので、作動油を残留させることなく加圧室から排出することができる。これにより、入力軸等の高速回転に伴う遠心力に起因してピストン部材に作用する油圧が、加圧室に生じるのを防止し、クラッチ容量不足の発生を防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、ピストン部材を付勢する弾性部材の付勢力は、セパレートプレートと摩擦プレートとを圧接させるのに必要な圧接力と、付勢部材の付勢力との合計となっている。そのため、シリンダ部材と区切り部材の間に取り付けられた付勢部材によって、セパレートプレートと摩擦プレートとを圧接させるのに必要な圧接力が減少することがない。このような簡単な構成で、クラッチ装置の確実な接続状態を実現することができる。
請求項3に係る発明によれば、ピストン部材を挟んで加圧室と反対側に位置するばね室に作動油を貯留させることで、加圧室に作用する作動油による遠心力に対向する力を、ばね室に発生させる構造としている。しかし、ばね室から作動油がすべて排出されたときに、まだ、加圧室に作動油が残留していると、入力軸等の高速回転に伴う遠心力に起因してピストン部材に作用する油圧が、加圧室に生じてしまう。
本件発明では、付勢部材によって加圧室から作動油を残留することなく排出することで、加圧室を高速回転させる入力軸等の回転による遠心力に起因してピストン部材に作用する油圧が、加圧室に生じるのを防止し、クラッチ容量不足の発生を防止することができる。また、ばね室に作動油が流入されることで、ばね室の圧力が高まるので、クラッチ装置の接続状態を強めることができる。
請求項4に係る発明によると、セパレートプレートと摩擦プレートとを圧接する場合には、制御弁を切替えることによって加圧室に貯留された作動油を排出するので、弁部材は遠心力により開いて加圧室内の作動油を外部に排出する。しかし、入力軸等の高回転に伴い加圧室が回転すると、弁部材の開閉が不安定となり、また、低温で作動油の粘性度が高くなると、弁部材からの排出が充分に行なわれないおそれがある。
本件発明では、加圧室が高速回転している場合や低温で作動油の粘性度が高くなっている場合でも、付勢部材によって加圧室から作動油を残留させることなく排出することで、入力軸等の高速回転に伴う遠心力に起因してピストン部材に作用する油圧が加圧室に生じるのを防止し、クラッチ容量不足の発生を防止することができる。また、加圧室から作動油を排出する場合に、弁部材からも作動油が排出されることで、クラッチ装置の接続状態を迅速に実現することができる。
本実施形態における車両用駆動装置を示す概略図である。 本発明に係る第1の実施形態の車両用クラッチ装置の断面図である。 図2に示す車両用クラッチ装置の接続状態を示す部分拡大図である。 図2に示す車両用クラッチ装置の遮断状態を示す部分拡大図である。 本発明に係る第2の実施形態の車両用クラッチ装置の断面図である。 図5に示す車両用クラッチ装置の接続状態を示す部分拡大図である。 図5に示す車両用クラッチ装置の遮断状態を示す部分拡大図である。
本発明に係る車両用クラッチ装置の第1の実施形態を、ハイブリッド車両に具体化し図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係る車両用クラッチ装置を適用したハイブリッド車両用駆動装置1の概略を示している。図1において、実線による矢印は、各装置間をつなぐ油圧配管を示しており、破線による矢印は、制御用の信号線を示している。また、図1において車両用クラッチ装置の接続・遮断を行う電磁切替弁(制御弁)20、電動オイルポンプ42及びリザーバ44は電動モータ6と別体に記載されている。しかし実際には電磁切替弁20及び電動オイルポンプ42はクラッチ装置2とともに電動モータ6に一体化され、リザーバ44はクラッチ装置2を囲むケース3内に形成されている。
図1に示したように、車両の駆動源としてのエンジン(EG)4と電動モータ6とは、湿式多板クラッチであるクラッチ装置2を介して直列に接続されている。クラッチ装置2は、エンジン4と電動モータ6との間の接続を接離してトルク伝達を断続している。また、電動モータ6には、車両の自動変速装置8が直列に接続されており、自動変速装置8には、図示しない車両の駆動輪が図示しないディファレンシャル装置を介して接続されている。エンジン4、電動モータ6、自動変速装置8、電磁切替弁20及び電動オイルポンプ42は制御装置(ECU)7によって制御されている。
自動変速装置8は、例えば、変速機(図略)及びトルクコンバータ10からなり、トルクコンバータ10の出力が、変速機の入力軸に入力されている。
図1に示される電動モータ6とトルクコンバータ10とは、出力軸(クラッチドラム)12及びトルクコンバータ10の入力軸であるセンタピース16(図2参照)を介して回転連結されている。トルクコンバータ10の入力軸であるセンタピース16は、図2に示すように、エンジン4からの入力軸14と同一回転軸上に並んで配置されている。センタピース16はトルクコンバータ10のフロントカバー(図示せず)に連結され、フロントカバーとともに一体に回転される。そして、センタピース16とともにフロントカバーが回転することにより、フロントカバーと連結されるトルクコンバータ10内のポンプインペラ(図示せず)が回転される。これによりポンプインペラによって油流が発生し、発生した油流によって変速機の入力軸(図示せず)に連結されたタービンランナ(図示せず)が回転して変速機の入力軸に回転力が伝達される。出力軸12、センタピース16及びフロントカバーの回転軸は、変速機の入力軸と同一回転軸に配置されている。
エンジン4は、炭化水素系の燃料により出力を発生させる通常の内燃機関である。ただし、これに限定されるものではなく、回転軸を駆動させる駆動源であればどのようなものでもよい。また電動モータ6は、車輪駆動用の同期モータであるがこれに限定されるものではない。自動変速装置8は、通常の遊星歯車式自動変速機であり、これに限定されるものではない。クラッチ装置2は、普段はエンジン4と電動モータ6との間を接続しているノーマルクローズタイプのクラッチ装置である。
電磁切替弁20は、図3及び図4に示すように、ソレノイド及びコイルばねにより第1位置P1と第2位置P2とに切替えられる。第1位置P1は、図3に示すように、クラッチ装置2を接続させる位置であり、油路34と電動オイルポンプ42の吐出ポート46とを連通させる通路32と、油路24とリザーバ44とを連通させる通路48とを有する。第2位置P2は、図4に示すように、クラッチ装置2を遮断させる位置であり、油路24と電動オイルポンプ42の吐出ポート46とを連通させる通路22と、閉鎖ポートとを有する。なお、電動オイルポンプ42と電磁切替弁20の間にはリリーフ弁25が設けられ、いずれも後述する加圧室30やばね室40を増圧させる場合において、過度の負荷が電動オイルポンプ42にかからぬよう圧力調整がなされる。電動オイルポンプ42が作動しているとき、制御装置7により電磁切替弁20が、第1位置P1に切替えられると、電動オイルポンプ42の吐出ポート46から作動油が通路32、いずれも後述する油路34、環状溝36、貫通口38を介してばね室40に供給され、ばね室40を増圧させ、後述するピストン部材52をクラッチ装置2を接続させる矢印F1方向(図3参照)に付勢する力を後述するコイルばね62に付加する。この場合、加圧室30の作動油は貫通口28、油路24、通路48を介してリザーバ44に排出される。
これに対して、制御装置7により電磁切替弁20が第2位置P2に切替えられると、図4に示すように、加圧室30は貫通口28、環状溝26、油路24及び通路22を介して電動オイルポンプ42の吐出ポート46に連通するため、電動オイルポンプ42の作動油が吐出ポート46から加圧室30に供給され、加圧室30を増圧させ、ピストン部材52を矢印F2方向に移動させ、クラッチ装置2を遮断させる。この場合、ばね室40に繋がる油路34は閉鎖ポートで閉鎖されているため、ばね室40の作動油は、電磁切替弁20側には流れず、排出孔51からばね室40の外に矢印X1方向に排出され、リザーバ44に溜まる。排出孔51の開口径および距離は、ばね室40の油の排出速度に影響を与え、ばね室40の遠心油圧力に影響を与え、ひいてはクラッチ装置2を接続状態から遮断状態に切替える応答性、さらには電力回生効率に影響を与える。なお、電動オイルポンプ42は電動式であるため、エンジン4の駆動に拘わらず作動油を供給することができる。また、電磁切替弁20は、ケース3に内臓されている方式でも、ケース3に外付けされている方式でもよい。
電磁切替弁20及び電動オイルポンプ42には、制御装置(ECU)7が電気的に接続されている。制御装置7は、電動オイルポンプ42および電磁切替弁20を作動させて、クラッチ装置2に適正な油圧を供給し、クラッチ装置2を目標とする接続・遮断状態に制御している。
また、制御装置7は、エンジン4または電動モータ6の回転を制御し、車両を走行させている。さらに、制御装置7は、自動変速装置8のシフトバルブを作動させる電磁ソレノイド(図示せず)と接続されており、エンジン4の回転速度、車両速度、シフト位置等に基づき、自動変速装置8の作動を制御している。
次に、クラッチ装置2について図2、図3に基づいて詳細に説明する。クラッチ装置2は、エンジン4に回転可能に連結される入力軸14と、電動モータ6のロータ15と同一軸線上に回転軸が配置されてロータ15と一体的に連結された上述の出力軸(クラッチドラム)12とを有している。
また、クラッチ装置2は、入力軸14及び出力軸12のうち一方の軸である出力軸12の係合部に係合された複数のセパレートプレート54と、他方の軸である入力軸14の係合部14dに係合された複数の摩擦プレート56と、を有している。
また、クラッチ装置2は、電動モータ6、セパレートプレート54及び摩擦プレート56等を囲繞するケース3と、出力軸12に一体的に形成されたシリンダ部材58と、該シリンダ部材58に設けられたシリンダ部60に回転軸線方向に摺動可能に嵌合され、複数のセパレートプレート54及び摩擦プレート56を押圧する押圧部52aを備えたピストン部材52とを有している。
さらにクラッチ装置2は、ピストン部材52の自動変速装置8側の面とシリンダ部材58との間に縮設され、ピストン部材52をエンジン4側に向かって付勢する弾性部材としてのコイルばね62と、シリンダ部60に設けられ、ピストン部材52とコイルばね62の反対側で対向する区切り部材90と、ピストン部材52と区切り部材90との間に区画形成される前述の加圧室30と、を有している。クラッチ装置2は、コイルばね62により付勢されたピストン部材52によって、セパレートプレート54及び摩擦プレート56が、通常は圧接された状態にあるノーマルクローズタイプのものである。
入力軸14は、図示しないフライホイール及び回転振動を吸収するためのダンパを介してエンジン4の出力軸12に回転連結されている。図2に示すように入力軸14はダンパとの固定部14aと、ケース3の後述するフロントケース部3bの貫通孔66に回転支持される連結部14bと、大径の係合部である支持部14cと、を有している。以後、入力軸14が支持されるフロントケース3b側を入力軸側と称す。支持部14cの外周側は回転軸線CL方向に拡幅され、前述した複数の円環上の摩擦プレート56が、外周面の係合部14dに相対回転を規制されかつ回転軸線方向に相対移動可能に係合されている。
出力軸12は、トルクコンバータ10の入力軸であるセンタピース16に回転連結されている。センタピース16はケース3の後述する支持壁部3cに形成された貫通孔68に回転可能に軸承されている。以後、出力軸12と連結されるセンタピース16が軸承される支持壁部3cの側を出力軸側と称す。
出力軸(クラッチドラム)12は、図2に示すように、大径中径小径の3重の円筒壁部12a,12b,12cを有している。大径円筒壁部12a及び中径円筒壁部12bと、大径円筒壁部12a及び中径円筒壁部12bの出力軸側の端部に連続する段付の各底壁部70a,70bとにより前述のシリンダ部60が形成され、シリンダ部60は、入力軸側の端部が開口している。中径円筒壁部12b及び小径円筒壁部12cと、中径円筒壁部12b及び小径円筒壁部12cの入力軸側の端部が連続する連続壁74とにより軸受支承部72が形成され、軸受支承部72は出力軸側の端部が開口している。なお、シリンダ部材58は、シリンダ部60、後述する固定リング92及び取付環板98により構成されている。大径円筒部12aの入力軸側の先端部内周面の係合部には、前述した複数の円環状のセパレートプレート54が相対回転を規制され回転軸線CL方向に相対移動可能に嵌合されている。
そして複数のセパレートプレート54と、入力軸14の大径の係合部14dである支持部14cの外周面に支持された複数の摩擦プレート56とが交互に接離可能に配置されている。ピストン部材52によってセパレートプレート54が回転軸線CL方向の入力軸側に押付けられるとセパレートプレート54が軸方向に移動(スライド)する。これによって摩擦プレート56とセパレートプレート54とが押付け合って当接し(クラッチ装置2の接続状態)、入力軸14と出力軸12とが回転連結されて、エンジン4の出力軸と自動変速装置8の入力軸とが一体回転する。
出力軸26の小径円筒部12cの内側には、センタピース16と一体回転可能にスプライン結合される係合穴78が形成されている。前記軸受支承部72には、ケース3の外周壁部3aから径方向内側に突出するとともに、入力軸方向に屈曲形成された円筒壁を有する支持壁部3cが嵌入されている。支持壁部3cの先端部には小径円筒部12cの外周面に対向する内周面が形成されている。そして小径円筒部12cの外周面と支持壁部3cの内周面との間にボール軸受76が配設され、支持壁部3cに対して出力軸12がセンタピース16とともにスムーズに相対回転するようになっている。
ケース3は、外周を形成する外周壁部3aと、電動モータ6及びクラッチ装置2とトルクコンバータ10との間に形成された前述の支持壁部3cと、エンジン側の外周壁部3aの開口を覆う前述のフロントケース部3bとを有している。また、ケース3では外周壁部3aが支持壁部3cの基端部から自動変速装置8側に向って所定量延在され、トルクコンバータ10の一部を覆っている。そして延在された外周壁部3aはトルクコンバータ10の残りの部分を覆う図略のケースとボルトによって固定され、自動変速装置8のハウジング(図示せず)を形成している。
支持壁部3cの内部には、前述した電磁切替弁20と加圧室30との接続、及び電磁切替弁20とばね室40との接続をする油路24,34が形成されている。
油路34の一端は電磁切替弁20に接続し、油路34の他端は支持壁部3cの外周面全周に刻設された環状溝36と接続している。回転軸線CL方向における環状溝36の両側には溝が刻設され、該溝内には例えば樹脂製の環状リング37が設けられ環状溝36からの作動油の漏洩を抑制している。環状溝36は、シリンダ部の中径円筒壁12bに貫設される貫通口38を介してばね室40に連通している。
また、油路24の一端は電磁切替弁20に接続し、油路24の他端は支持壁部3cの外周面全周に刻設された環状溝26と接続している。回転軸線CL方向における環状溝26の両側には溝が刻設され、該溝内には同様に樹脂製の環状リング37が設けられ環状溝26からの作動油の漏洩を抑制している。環状溝26は、シリンダ部60の中径円筒壁12bに貫設される貫通口28を介して加圧室30に連通している。
前記フロントケース3bは、外周壁部3aに対してボルトによって固定されている。フロントケース3bの前側中心部には入力軸14が支承されるよう前述の貫通孔66が設けられている。そして貫通孔66と入力軸14との間にはボール軸受80が介在され、入力軸14を回転自在に支承している。
ピストン部材52は、前述したシリンダ部60内に収容されている。ピストン部材52は、略円板状に形成され中心部には貫通孔82が形成されている。ピストン部材52は、ピストン部材52の外周に設けられ大径円筒壁12aの内周面との間をシールする例えばゴム製のOリング84と、ピストン部材52の内周に設けられ中径円筒壁12bの外周面との間をシールする例えばゴム製のOリング86とを有し、シリンダ部60内を回転軸線CL方向に摺動して移動可能に構成される。
ピストン部材52の背面側である出力軸側では、軸方向断面において内径部である貫通孔82側の肉厚が厚く、該肉厚はピストン部材52の外径側に向かって漸減している。またピストン部材52の入力軸側においては、入力軸14の回転軸線CLと直交する平面である受圧面88を有している。なお、ここでいう受圧面88とは油圧が作用したときにピストン部材52を回転軸線CL方向に付勢する効果を有する面のことをいう。
ピストン部材52は受圧面88の大径側位置(回転軸線CLから離れた側の位置)に軸方向入力軸側に向かって突設される押圧部52aを有している。押圧部52aは受圧面88の外周部に円環状に設けられ、押圧部52aの円環内周面には、ピストン部材52が回転軸線CL方向に摺動可能なように後に詳述する区切り部材90の外周面90aと嵌合するための摺動面52bが形成されている。
区切り部材90は、略円環状に形成され、図3に示すように、外周面90aと、内周面90bと、入力軸側平面90cと、出力軸側平面90dと、を有している。そして中径円筒壁部12bの外周面の入力軸側には溝が形成され、該溝には例えばCリング等の固定リング92が嵌入される。これによって区切り部材90の入力軸側方向への所定位置以上の移動を規制している。
区切り部材54の入力軸側平面90cの内側には例えば10個の嵌着孔94が設けられ、各嵌着孔94には付勢部材としての小コイルばね96の一方端が嵌着されている。そして、固定リング92の出力軸側には固定リングの92外径方向に突出する取付環板98が固定され、取付環板98には小コイルばね96の他方端が係止されている。これらの小コイルばね96は、圧縮された状態で区切り部材90と取付環板98との間に設けられ、区切り部材90を出力軸側に付勢して区切り部材90とピストン部材52とを当接するよう構成されている。
区切り部材90の内周面90bには例えばゴム製のOリング100が配設され加圧室30を液密に封止している。区切り部材90の外周面90aは、ピストン部材52の押圧部52aの内周面である摺動面52bに例えばゴム製のOリング102を介して嵌合している。このOリング102により加圧室30を液密に封止している。
ピストン部材52と、区切り部材90との間には加圧室30が区画形成されている。具体的には加圧室30は、区切り部材90の出力軸側平面90cと、ピストン部材52の受圧面88と、押圧部52aの摺動面52bと、中径円筒壁部12bの外周面とによって囲繞され形成されている。
加圧室30は、前述したように電磁切替弁20、電動オイルポンプ42とリザーバ44とに連通する貫通口28を有している。貫通口28は中径円筒壁部12bの円周上に例えば3カ所等配に設けられている。ただし、貫通口28の個数は3カ所に限らず、加圧室30に供給する油圧の大きさや、加圧室30から油を排出するときの排出能力を考慮して適宜決定すればよい。加圧室30に油圧を供給する側である電磁切替弁20の第2位置P2と、加圧室30から油圧を抜くための第1位置P1とは電磁切替弁20を操作することによって切替えられ、第1位置P1に切替えられることによって加圧室30は貫通口28を介してリザーバ44と連通される。
弾性部材であるコイルばね62は、図2、図3に示すように、ピストン部材52の背面である出力軸側の面と、シリンダ部60の底壁部70bとの間に縮設されている。コイルばね62は本実施形態においてはピストン部材52の回転軸における同一半径上に10個、均等な間隔で配置されピストン部材52の押圧部52aを入力軸側に付勢し、摩擦プレート56と、セパレートプレート54とを所定の荷重で押圧し圧接する。これらのコイルばね62の付勢力は、セパレートプレート54と摩擦プレート56とを圧接させるのに必要な圧接力と、前述の小コイルばね96の付勢力との合計となるよう設定されている。
コイルばね62が配置されるピストン部材52の出力軸側の面には、10個の各コイルばね62が配置されるように、コイルばね62のコイル外径より若干大きな径の円筒穴104が穿設され、各コイルばね62が該円筒穴104に係入されている。これらの円筒穴104、ピストン部材52の前記背面、大径円筒壁部12aの内周面、中径円筒壁部12bの外周面及び底壁部70a,70bの間に形成される空間によりばね室40が構成される。ばね室40は、ピストン部材52と大径円筒壁部12aとの間に設けられたOリング84,86によってシールされ、作動油が貯留可能になっている。ばね室40の内径方向には前述の貫通口38及び油路34が連通している。ばね室40を構成する底壁部70bには排出孔51が穿設され、排出孔51によってばね室40の内外が連通される。この排出孔51は流量絞りとして機能するもので、ばね室40内に作動油を貯留させた状態に維持する。ばね室40が、入力軸14等の回転に伴って回転軸線CL回りに回転すると、排出孔51は作動油をばね室40の外に排出させつつも、ばね室40に作動油を残留させる。これによって、ピストン部材52を挟んでばね室40の反対側に位置する加圧室30に残留する作動油の遠心力に起因する圧力に対して、ばね室40に残留する作動油の遠心力に起因する圧力を対向させることができるよう構成されている。ここで、遠心力に起因するばね室40と加圧室30との圧力は互いに逆方向に作用するため、両方の圧力は相殺される。これによって、特に加圧室30に対する遠心力に起因してセパレートプレート54と摩擦プレート65とを圧接させるのに必要な圧接力が減少することを防止することができる。
なお、本実施形態においてはコイルばね62を10個配置した。しかし、これに限らず摩擦プレート56及びセパレートプレート54を押圧して接続させることが可能な付勢力を付与でき、且つ押圧部52aが摩擦プレート56及びセパレートプレート54を当接部全周に亘って均等に押圧できればコイルばねはいくつ配置してもよい。
次に電動モータ6について図2に基づいて説明する。3相交流モータ等からなる電動モータ6は、出力軸12の大径円筒壁部12aの外周側に配置されている。電動モータ6は、円筒状のロータ15と、ロータ15の外周に配置され、珪素鋼板(図示せず)を積層してなるステータ17と、ステータ17の突出部に巻回されるコイル19とを備えている。
ステータ17は、外周側がケース3の外周壁部3aの内周面に固定されている。またロータ15は、出力軸側端面から板部材23が径方向内方に延在されて出力軸12の底壁部70aの出力軸側側面にボルトによって固定されている。これにより電動モータ6はロータ15のみが出力軸12と一体回転される。またコイル19は制御装置7と電気的に接続されており、制御装置7は、各種状態を検出するいずれも図示しない各センサ(車速センサ、スロットル開度センサ、シフト位置センサ等)からの信号に基づいてコイル19への通電量、或いはコイル19の非通電を制御している。
次に、上述した車両用駆動装置1の作動について説明する。今、車両が停止状態にある場合に、図略のイグニッションスイッチをONにして運転者がアクセルペダルを踏む(低スロットル開度時)と、エンジン4が始動される。つまり、発進するためにアクセルペダルが踏まれてスロットルが一定開度以上開かれると、燃料噴射装置が作動されるとともに、点火プラグが点火され、ケース3に固定されるスタータモータ(図示せず)の出力軸が駆動される。そしてスタータモータの出力軸と噛合するフライホイール(図示せず)外周のリングギア(図示せず)が、フライホイール、及び出力軸12とともに回転されエンジン4が始動される。
また、同時にバッテリ(図示せず)から電動モータ6へ電流が流れ、電動モータ6は駆動モータとして機能する。このときクラッチ装置2は接続されており、これによりエンジン4と電動モータ6の両方の駆動力が加算され出力軸12を介してトルクコンバータ10に伝達される。そしてトルクコンバータ10にて所定のトルク比にて増大された上で自動変速装置8の入力軸に伝達されて車両が走行される。
車両が定常の高速走行状態にある場合には、電動モータ6が無負荷運転(モータに生じる逆起電力により生じるトルクを相殺させるようにモータ出力を制御する)され、電動モータ6を空転させる。これにより、クラッチ装置2は接続されたままで、車両は、専らエンジン4のみの駆動力によって走行する。
また、車両減速時にあっては、クラッチ装置2の接続が遮断されてエンジン4が切り離され、エンジン4のエンジンブレーキによる減速の影響を排除した状態で電動モータ6によって効率的に回生電力を回収している。
次に、上述した車両用駆動装置のクラッチ装置2の作動について以下に説明する。車両が停止しているときには、クラッチ装置2はノーマルクローズタイプであって、通常は接続状態にある。この場合、図3に示すように、コイルばね62によってピストン部材52が、セパレートプレート54と摩擦プレート56とが圧接する方向F1に付勢されている。従来、区切り部材90はシリンダ部60に固定されていたため、ピストン部材52がセパレートプレート54を摩擦プレート56に当接するまで押圧するためには、ピストン部材52と区切り部材90の間は、隙間が必要であった。そして、この隙間(加圧室30に相当)には貯留された作動油が残留するため、車両の走行時等に入力軸等の回転に伴う遠心力によって、加圧室30の作動油にピストン部材52に対する油圧が生じ、ピストン部材52が出力軸側に付勢され、クラッチ装置2の伝達トルクが低下する虞があった。しかし、本実施形態では、図3に示すように、区切り部材90のエンジン側の取付環板98に、区切り部材90をピストン部材52に接近させる方向に付勢する小コイルばね96が設けられているので、区切り部材90をピストン部材52に当接するように付勢させて、加圧室30の作動油を油路24を介してリザーバ44に強制排出させる。これにより、加圧室30内の作動油を充分に排出し、遠心力による加圧室30内の油圧の発生を防止し、ピストン部材52が出力軸側に付勢されることなくクラッチ装置2の接続状態を確実にする。
次に、車両の走行状態に応じたクラッチ装置2の作動について、以下に説明する。
エンジン4の駆動力を自動変速装置8の入力軸に伝達する場合、クラッチ装置2は接続状態とされる。制御装置7は電磁切替弁20を第1位置P1に位置決めして加圧室30をリザーバ44に連通させる。その時、電動オイルポンプ42から作動油が電磁切替弁20を介してばね室40に流入されるので、ばね室40が増圧されて、クラッチ装置2の接続状態を確実な状態とする。この際、電動オイルポンプ42は一定時間駆動後に停止する。
車両の減速時においては、電動モータ6による回生電力の回収を効率的に行なうため、クラッチ装置2の接続を遮断し、エンジン4を電動モータ6から切り離す必要がある。そこで、通常の走行状態では接続しているクラッチ装置2の複数の各摩擦プレート56、及びセパレートプレート54の接続を遮断させる。そのため、制御装置7は、図4に示すように、まず電磁切替弁20を駆動して加圧室30に接続する電磁切替弁20を第1位置P1から第2位置P2に切替える。そして、電動オイルポンプ42から所定圧の油圧を電磁切替弁20及び貫通口28を介して加圧室30内に供給する。加圧室30に供給された油圧によって、ピストン部材52はコイルばね62のばね力に抗して出力軸側F2方向に向って移動する。これにより、クラッチ装置2の摩擦プレート56及びセパレートプレート54からピストン部材52の押圧部52aが離間して摩擦プレート56とセパレートプレート54との間の接続が脱離される。なお、この場合、過大な負荷が電動オイルポンプ42にかからぬよう、電動オイルポンプ42と電磁切替弁20の間に設けられたリリーフ弁25により圧力調整がなされる。
次に、クラッチ装置2が遮断されて走行していた状態から、エンジン4を駆動して加速する場合には、クラッチ装置2を接続状態とし入力軸14と出力軸12とを再び連結する必要がある。そのため電磁切替弁20を、加圧室30がリザーバ44に連通する第1位置P1に切替える。これによって加圧室30内の圧力は大気圧まで低下する。そしてピストン部材52は入力軸方向へのコイルばね62の付勢力によって押圧され、加圧室30の多くの作動油は貫通口28を介してリザーバ44に強制的に排出される。しかし、このとき加圧室30は、出力軸12の回転軸を中心として一体的に回転しているため加圧室30内の作動油の一部は遠心力の影響等により加圧室30内に残留する虞がある。また、加圧室30に作動油が残留していても、ばね室40に作動油が残留していれば、加圧室30とばね室40とに生じる遠心力に起因する圧力は相殺されるが、ばね室40の作動油が排出孔51よりすべて排出される可能性がある。この場合、この加圧室30内に残留した作動油に遠心力により油圧が生じるとピストン部材52が出力軸側に付勢され、クラッチ装置2の伝達トルクを低下させる虞がある。
しかし、本実施形態における発明においては、図3に示すように、区切り部材90のエンジン側の取付環板98に、区切り部材90をピストン部材52に接近させる方向に付勢する小コイルばね96が設けられているので、加圧室30内の圧力が小コイルばね96の付勢力より小さくなった段階で、区切り部材90を移動させピストン部材52に当接させる。これにより、加圧室30内の作動油を充分に排出し、遠心力による加圧室30内の油圧の発生を防止し、ピストン部材52が出力軸側(F2方向)に付勢されることなくクラッチ装置2の接続状態を確実に実現することができる。
上述の説明から明らかなように、第1の実施形態においては、セパレートプレート54と摩擦プレート56とを圧接させる方向にピストン部材52を付勢させるコイルばね62がばね室40に配置されているので、加圧室30に作動油が貯留されていない場合には、セパレートプレート54と摩擦プレート56とが圧接されたクラッチ装置2の接続状態となる。作動油が加圧室30に流入されて貯留されると、作動油の油圧によってコイルばね62の付勢力に抗してピストン部材52をセパレートプレート54と摩擦プレート56との圧接を解除する方向(F2方向)に移動させ、クラッチ装置2が遮断状態となる。そして、再びクラッチ装置2を接続状態とするために、加圧室30に貯留された作動油を排出する。
従来、この排出すべき加圧室30の作動油が充分に排出されずに残留していると、入力軸14の回転に伴って加圧室30が回転することで、加圧室30に残った作動油が遠心力で回転軸線CLの外向に押付けられ、ピストン部材52に対してはクラッチ装置2の接続を解除する方向に圧力を生じるため、クラッチ容量が不足するおそれがあった。
本実施形態においては、コイルばね62とは反対側にピストン部材52に対向し、加圧室30をピストン部材52とともに構成する区切り部材90を移動可能に設け、さらに区切り部材90をピストン部材52に当接するよう付勢する小コイルばね96を設けている。そして、貯留された作動油を加圧室30から排出する際、区切り部材90をピストン部材52に当接するよう小コイルばね96で付勢するので、例えば加圧室30からの排出する油路24の一部に、上方に向かう経路があるとか、狭小となっている経路がある等の構造があっても、作動油を残留させることなく加圧室30から充分に排出することができる。これにより、入力軸14等の高速回転に伴う遠心力に起因してピストン部材52に作用する油圧が、加圧室30に生じるのを防止し、クラッチ容量不足の発生を防止することができる。
また、ピストン部材52を付勢するコイルばね62の付勢力は、セパレートプレート54と摩擦プレート56とを圧接させるのに必要な圧接力と、小コイルばね96の付勢力との合計となっている。そのため、シリンダ部材(固定リング92、取付環板98)と区切り部材90の間に取り付けられた小コイルばね96によって、セパレートプレート54と摩擦プレート56とを圧接させるのに必要な圧接力が減少することがない。このような簡単な構成で、クラッチ装置2の確実な接続状態を実現することができる。
また、ピストン部材52を挟んで加圧室30と反対側に位置するばね室30に作動油を貯留させることで、加圧室30に作用する作動油による遠心力に対向する力を、ばね室40に発生させる構造としている。しかし、ばね室40から作動油がすべて排出された場合に、加圧室30に作動油が残留していると、加圧室30には入力軸等の高速回転に伴う遠心力に起因してピストン部材52に作用する油圧が生じてしまう。
本実施形態では、ばね室40から排出孔51によって作動油が排出される際に、加圧室30から小コイルばね96によって作動油を残留させることなく排出することで、入力軸等の高速回転に伴う遠心力による油圧が、加圧室30に生じるのを防止し、クラッチ容量不足の発生を防止することができる。
次に、車両用クラッチ装置の第2の実施形態について図5乃至図7に基いて説明する。図5は第1の実施形態の図2に相当する図である。第2の実施形態の車両用クラッチ装置122は、第1の実施形態に対し、ばね室124に作動油が流入されるようになっていない。そのため、ばね室124に連通する貫通口、油路、通路が設けられていない。また、同様な理由で底壁部70bに排出孔が存在しない。一方、区切り部材126に、加圧室30に連通して設けられ、加圧室30の作動油の圧力が所定値より高いときに閉弁し、所定値よりも低いときに開弁して加圧室30の作動油を排出する弁部材としてのボール弁128が設けられている。電磁切替弁134は加圧室30とリザーバ44とを連通させる通路136と、電動オイルポンプ42の吐出ポート46を加圧室30に連通させる通路138とを有している。これらの点について第1実施形態と相違し、その他の構成は同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
ボール弁128は、ボール130と、ケース132とを有している。ボール130は真球度が精度よく確保された一般的にチェックバルブに利用される例えばステンレス等の金属製のボールであり、ケース132内の空間内に収容されている。ケース132は略円筒状に形成され、ケース132の円筒外周面が区切り部材126に穿設された深孔の内周面に油密に嵌入されている。ケース132内の空間の出力軸側の開口部は、出力軸側に向かって広がるテーパ壁が形成され、開口部の出力軸側の端部は開口が狭小となるよう環状に突起が設けられてボール130が開口部より離脱しないようになっている。圧力が所定値以上となった油圧によってボール130が入力軸側に付勢されたときボール130の所定の位置と線接触して油圧を封止するようになっている。なお、ここで圧力の所定値は実施者によって決定されるものであり、適宜決定すればよい。
車両の減速時において、クラッチ装置122を遮断状態にする場合には、制御装置7は、電磁切替弁を第2位置P2に切替え、第1実施形態同様に、電動オイルポンプ134により加圧室30に作動油を流入させる。加圧室30の油圧を上昇させることで、コイルばね62の付勢力に抗してピストン部材52を出力軸側のF2方向に移動させ、セパレートプレート54と摩擦プレート56との接続を脱離させる。この際、ボール弁128には所定値以上の圧力が付加されており、作動油の流出を封止する。
エンジン4の駆動力を自動変速装置8の入力軸に伝達する場合、クラッチ装置122を接続状態にする。制御装置7は、電磁切替弁134を第1位置P1に切替え、第1実施形態同様に、加圧室30から作動油をリザーバ44へ排出する。この際、ボール弁128に付加される圧力は所定値以下となり、入力軸等の回転にともなう加圧室30の遠心力によってボール130の開口部の所定位置での線接触をとき開弁状態となって作動油をボール弁128からも加圧室30より外方へ排出する。このボール弁128からの作動油の排出で早く加圧室30から作動油を排出できるので、クラッチ装置122の接続を迅速に行うことができる。さらに、小コイルばね96によって、区切り部材126をピストン部材52に当接することで、加圧室30からの作動油の排出を充分行なう。
本実施形態の発明によると、ボール弁128は、加圧室30に作動油が流入された油圧が所定値以上の場合には閉じる。加圧室30から作動油が排出しないようにすることで、加圧室内の油圧が増圧し、ピストン部材52をコイルばね62に抗してセパレートプレート54と摩擦プレート56との接続を離脱するF2方向に移動させる。再びセパレートプレート54と摩擦プレート56とを圧接する場合には、加圧室30の油圧が所定値以下になるので、ボール弁128は開弁状態となり加圧室30内の作動油を外部に排出する。しかし、入力軸等の高回転に伴い加圧室30が回転すると、ボール弁128の開閉が不安定となり、また、低温で作動油の粘性度が高くなると、ボール弁128からの排出が充分に行なわれないおそれがある。
本実施形態では、入力軸等が高回転で回転している場合や低温で作動油の粘性度が高くなっている場合でも、小コイルばね96によって加圧室30から作動油を残留することなく排出することで、入力軸等の高速回転に伴う遠心力に起因してピストン部材52に作用する油圧が加圧室30に生じるのを防止し、クラッチ容量不足の発生を防止することができる。
なお、本実施形態における入力軸14と出力軸12とを反転させる構成としてもよい。本実施形態における出力軸12にエンジンを連結して新入力軸とし、入力軸14を電動モータのロータと一体的に回転する構成とし新出力軸としてもよい。これによっても同様の効果が得られる。
また、本発明における自動変速装置は、一般的に変速機として用いられる遊星歯車変速機以外にも、無段変速機や、一般的に手動変速機で採用される同期噛合式歯車変速機であってもよい。
また、弾性部材としてコイルばね62を適用し、付勢部材として小コイルばね96を適用したが、これに限らず板バネ等によって構成してもよい。さらに、ゴムや気体を弾性部材として利用してもよい。
また、弁部材としてボール弁(ボールチェック弁)を適用したが、これに限定されず、油圧が所定値より高いときに閉弁し、油圧が所定値よりも低いときに開弁して加圧室の作動油を排出する既知の弁部材を任意に選択して使用することができる。
また、オイルポンプを電動オイルポンプとしたが、これに限定されず、例えばエンジン等で作動する機械式でもよい。
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
2・・・クラッチ装置、3・・・ケース、3・・・ケース、4・・・駆動源(エンジン)、12・・・出力軸、14・・・入力軸、20・・・制御弁(電磁切替弁)、30・・・加圧室、40・・・ばね室、51・・・排出孔、52・・・ピストン部材、52a・・・押圧部、54・・・セパレートプレート、56・・・摩擦プレート、58・・・シリンダ部材、62・・・弾性部材(コイルばね)、90・・・区切り部材、96・・・付勢部材(小コイルばね)、122・・・クラッチ装置、124・・・ばね室、126・・・区切り部材、128・・・弁部材(ボール弁)。

Claims (4)

  1. 第1駆動源に回転可能に連結される入力軸と、
    該入力軸と同一回転軸線上に配置され第2駆動源に回転可能に連結された出力軸と、
    前記入力軸及び前記出力軸を前記回転軸線上で軸受を介して回転可能に軸承するケースと、
    前記入力軸及び前記出力軸の一方に前記回転軸線方向に移動可能に係合された複数のセパレートプレートと、
    前記複数のセパレートプレートと交互に接離可能に配置され前記入力軸及び前記出力軸の他方に前記回転軸線方向に移動可能に係合された複数の摩擦プレートと、
    前記出力軸又は前記入力軸に一体的に形成されたシリンダ部材と、
    該シリンダ部材のシリンダ部に前記回転軸線方向に摺動可能に嵌合されたピストン部材と、
    前記ピストン部材と前記シリンダ部材との間に設けられ、前記ピストン部材を前記セパレートプレート及び前記摩擦プレートに向かって付勢し前記ピストン部材に設けられた押圧部によって前記セパレートプレートと摩擦プレートとを圧接させる弾性部材と、
    前記シリンダ部材に設けられ前記ピストン部材と前記弾性部材の反対側で対向する区切り部材と、
    前記ピストン部材と前記区切り部材との間に区画形成される加圧室と、
    前記加圧室へ作動油の供給を制御する制御弁と、を備える車両用クラッチ装置であって、
    前記区切り部材は、前記シリンダ部材に前記ピストン部材に対して当接可能に前記回転軸線方向に移動可能に設けられ、
    前記区切り部材と前記シリンダ部材との間に、前記区切り部材を前記ピストン部材に当接することで前記加圧室の作動油を排出するために、前記区切り部材を前記ピストン部材に接近する方向に付勢する付勢部材が設けられている車両用クラッチ装置。
  2. 請求項1において、前記弾性部材の付勢力は、前記セパレートプレートと前記摩擦プレートとを圧接させるのに必要な圧接力と、前記付勢部材の付勢力との合計とする車両用クラッチ装置。
  3. 請求項1又は2において、前記弾性部材は、前記ピストン部材と前記シリンダ部材との間に設けられたばね室に設けられ、該ばね室は、作動油が貯留可能に形成され、
    前記セパレートプレートと前記摩擦プレートとを圧接させる際に、前記ばね室には、前記加圧室に作用する作動油による遠心力に対向する力を、前記ばね室に発生させつつ、前記ばね室の作動油を該ばね室の外部に排出する排出孔を備えた車両用クラッチ装置。
  4. 請求項1又は2において、前記加圧室に連通して設けられ、前記加圧室の作動油の圧力が前記所定値より高いときに閉弁し、前記所定値よりも低いときに開弁して前記加圧室の作動油を排出する弁部材を備えた車両用クラッチ装置。
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