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JP2013001772A - 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品 - Google Patents

難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品 Download PDF

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JP2013001772A
JP2013001772A JP2011132930A JP2011132930A JP2013001772A JP 2013001772 A JP2013001772 A JP 2013001772A JP 2011132930 A JP2011132930 A JP 2011132930A JP 2011132930 A JP2011132930 A JP 2011132930A JP 2013001772 A JP2013001772 A JP 2013001772A
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Kentaro Tsuchikawa
健太郎 土川
Hiromitsu Ishii
博光 石井
Sadanori Kumazawa
貞紀 熊澤
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】高度な難燃性を維持しながら、成形品の引張物性、ウェルド物性および熱変形温度に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品を得ること。
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂60〜95重量%と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂5〜40重量%との合計100重量部に対し、(C)リン系難燃剤1〜40重量部、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩1〜50重量部および(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物0.01〜5重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれを成形して得られる成形品に関する。特に、エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物を配合することにより、成形品の引張物性およびウェルド物性を大幅に改善した難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれを成形して得られる成形品に関するものである。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた射出成形性や機械物性などの諸特性を生かし、機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品などの幅広い分野に利用されている。熱可塑性ポリエステル樹脂は、高い融点を持つ結晶性プラスチックスであるため、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の溶融混練や射出成形には、高い加工温度が必要とされている。また、熱可塑性ポリエステル樹脂は、本質的に可燃性であるため、機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品などの工業用材料として使用するためには、一般の化学的、物理的諸特性のバランスに加えて、火炎に対する安全性、すなわち難燃性が要求され、UL−94規格のV−0を示す高度な難燃性が必要とされる場合が多い。
熱可塑性ポリエステル樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に配合する方法が一般的であるが、環境意識の高まりから、ハロゲン系難燃材料の環境に及ぼす影響を懸念する動きがある。そこで、これらハロゲンを全く含まない非ハロゲン系難燃剤を用いることが強く望まれるようになり、熱可塑性樹脂にリン系難燃剤を配合することが提案されている。
例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂および/またはポリフェニレンスルフイド樹脂を含有するポリエステル樹脂組成物に、リン酸エステル化合物とシアヌル酸メラミンを配合することが開示されている(例えば、特許文献1参照。)しかしながら、特許文献1に開示されたポリエステル樹脂組成物は、成形品引張強度や伸びに劣る課題があった。
さらに近年、成形品の形状が複雑化する傾向にあり、溶融樹脂と溶融樹脂が成形金型内で接合するウェルド部が発生し、得られる成形品がそのウェルド部から破壊し易い課題があり、ウェルド強度やウェルド伸びなどのウェルド物性に優れる材料が望まれていた。ウェルド強度に優れた熱可塑性樹脂組成物として、ゴム変性スチレン系樹脂に熱可塑性ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、およびアタパルジャイト(珪酸マグネシウム系の粘土鉱物)を含有する組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)が、非ハロゲン系難燃剤を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物において、ウェルド強度のさらなる向上が求められていた。
特開平10−77396号公報(特許請求の範囲) 特開2004−182827号公報(特許請求の範囲)
本発明は、高度な難燃性を維持しながら、成形品の引張物性、ウェルド物性および熱変形温度に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品を得ることを課題とする。
本発明者らは、上記した課題を解決するために検討を重ねた結果、(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物を特定量配合することにより、上記した課題を解決できることを見いだし本発明に到達した。すなわち、かかる課題を解決するための本発明は、次の構成を特徴とするものである。
(1)(A)熱可塑性ポリエステル樹脂60〜95重量%と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂5〜40重量%との合計100重量部に対し、(C)リン系難燃剤1〜40重量部、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩1〜50重量部および(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物0.01〜5重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
(2)前記(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中15〜25重量%配合してなる(1)に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
(3)さらに、(F)エステル交換防止剤0.01〜5重量部を配合してなる(1)または(2)に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形品。
(5)多点ゲートで得られる電気・電子部品またはハウジングに用いられる(4)に記載の成形品。
(6)IEC60695−2−13規格のグローワイヤー試験に合格する(4)または(5)に記載の成形品。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物によれば、高度な難燃性を維持しながら、引張強度や伸びなどの引張物性、ウェルド物性、および熱変形温度に優れる成形品を得ることができる。本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品は、機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品などの成形品として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、(イ)ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体、(ロ)ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、(ハ)ラクトンから選択された一種以上を主構造単位とする重合体または共重合体である。ここで、主構造単位とするとは、全構造単位中(イ)〜(ハ)から選択された一種以上を50モル%以上有することを指し、80モル%以上有することが好ましい。
上記ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
上記ジオールまたはそのエステル形成性誘導体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ダイマージオールなどの炭素数2〜20の脂肪族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの分子量200〜100000の長鎖グリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどの芳香族ジオキシ化合物およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンイソフタレート、ポリへキシレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/サクシネート、ポリプロピレンテレフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/サクシネート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレンテレフタレート/セバケート、ポリプロピレンテレフタレート/セバケート、ポリブチレンテレフタレート/セバケート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/セバケートなどの芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレンオキサレート、ポリプロピレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルグリコールアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート/アジペート、ポリプロピレンサクシネート/アジペート、ポリブチレンサクシネート/アジペートなどの脂肪族ポリエステル樹脂などが挙げられる。
また、上記ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。また、これらを構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸/乳酸、ポリヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ吉草酸などの脂肪族ポリエステル樹脂などが挙げられる。
また、上記ラクトンとしては、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどが挙げられる。また、これらを構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリカプロラクトン/バレロラクトンなどが挙げられる。
これらの中で、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体が好ましく、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体がより好ましく、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールから選ばれる脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体がさらに好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましく、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートから選ばれる一種の芳香族ポリエステル樹脂が最も好ましい。また、これらを二種以上任意の配合量で用いることもできる。
本発明において、上記ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体中の全ジカルボン酸に対するテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の割合が30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂として、溶融時に異方性を形成し得る液晶性ポリエステルを用いてもよい。液晶性ポリエステルの構造単位としては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位、芳香族イミノオキシ単位などが挙げられる。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量は、流動性、耐加水分解性および耐熱性の点で、50eq/t以下であることが好ましく、30eq/t以下であることがより好ましく、20eq/t以下であることがさらに好ましく、10eq/t以下であることが特に好ましい。下限は0eq/tである。
前記の(A)熱可塑性ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量は、o−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解させた後、エタノール性水酸化カリウムで滴定し測定した値である。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂のヒドロキシ末端基量は、成形性および流動性の点で、50eq/t以上であることが好ましく、80eq/t以上であることがより好ましく、100eq/t以上であることがさらに好ましく、120eq/t以上であることが特に好ましい。なお、上限は180eq/tである。
本発明の(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の粘度は、成形性の点で、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.50〜1.50dl/gの範囲であることが好ましい。
本発明で用いる(A)成分の熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、耐熱性の点で、重量平均分子量(Mw)8000を超え500000以下の範囲であることが好ましく、8000を超え300000以下の範囲であることがより好ましく、8000を超え250000以下の範囲であることがさらに好ましい。本発明において、ポリエステル樹脂のMwは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値である。
本発明における(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、公知の重縮合法や開環重合法などにより製造することができる。バッチ重合および連続重合のいずれでもよく、また、エステル交換反応および直接重合による反応のいずれでも適用することができるが、カルボキシル末端基量を少なくすることができ、かつ、流動性向上効果が大きくなるという点で、連続重合が好ましく、コストの点で、直接重合が好ましい。
本発明の(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応することにより製造することができる。なお、エステル化反応またはエステル交換反応および重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合反応触媒を添加することが好ましい。重合反応触媒の具体例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステル、あるいはこれらの混合エステルなどの有機チタン化合物、ジブチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキシド、シクロヘキサヘキシルジスズオキシド、ジドデシルスズオキシド、トリエチルスズハイドロオキシド、トリフェニルスズハイドロオキシド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキシド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸などのスズ化合物、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドなどのジルコニア化合物、三酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。これらの中でも有機チタン化合物およびスズ化合物が好ましく、さらに、チタン酸のテトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステルおよびテトライソプロピルエステルが好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステルが特に好ましい。これらの重合反応触媒を2種以上併用することもできる。重合反応触媒の添加量は、機械特性、成形性および色調の点で、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.005〜0.5重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.2重量部の範囲がより好ましい。
本発明において、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂を配合することにより、射出成形時の成形収縮率が小さくなり寸法精度が向上した成形品が得られる。また、熱変形温度に優れる成形品が得られる。また、(C)リン系難燃剤が成形品表面に析出するブリードアウトを抑制する効果がある。
本発明における(B)芳香族ポリカーボネート樹脂としては、例えば、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲン、または炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる芳香族ホモまたはコポリカーボネートが挙げられる。
芳香族二価フェノール系化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。これらを2種以上使用することができる。
(B)芳香族ポリカーボネート樹脂は、重量平均分子量が10000〜1100000の範囲、ガラス転移温度が約150℃のものが好ましい。2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を併用してもよい。重量平均分子量60000〜1100000の範囲の芳香族ポリカーボネート樹脂がとくに好ましく用いられる。ここで、重量平均分子量とは、溶媒にテトラヒドロフランを用い、ゲル透過クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で測定して得られる値である。
また、300℃の温度で荷重1.2kgの条件でASTM D1238に準じてメルトインデキサーで測定した溶融粘度指数(メルトフローインデックス)が1〜100g/10分の範囲のものが好ましく、とくに機械特性の点から1〜50g/10分の芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく用いられる。
また、本発明の特性を損なわない範囲の量であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂オリゴマーを併用配合してもよく、三菱瓦斯化学(株)社製から重量平均分子量約4000の“ユーピロン”(登録商標)ALなどが市販されている。
本発明における(B)ポリフェニレンエーテル樹脂は、ベンゼン環と酸素が結合した非晶性のポリマーであり、限定されるものではないが、ガラス転移温度が約200℃のものが好ましく、また、分子量が5千〜3万のものが好ましく用いられる。具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2、6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルなどが挙げられる。また、上記ポリフェニレンエーテル樹脂にアルキル三置換フェノールを共重合、スチレン系化合物をグラフト共重合、酸無水物をグラフト共重合してもよい。また、市販されている変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いてもよく、これらを2種以上併用して用いてもよい。
本発明における(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量%中、5重量%以上40重量%以下である。(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂の配合量の配合量が5重量%未満であると、成形品の熱変形温度の低下や(C)リン系難燃剤のブリードアウトが発生しやすくなる。10重量%以上が好ましい。一方、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂の配合量の配合量が40重量%を超えると、成形品のウェルド物性が低下する。35重量%以下がより好ましい。
本発明における(C)リン系難燃剤は、リン成分を含有する難燃剤であり、芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物、ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミン、リン酸エステルアミドおよび赤リンなどが挙げられる。これらの中でも、芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物、ホスフィン酸金属塩が好ましく用いられる。芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物がより好ましい。これらを2種以上配合してもよい。
前記の芳香族リン酸エステル化合物としては、レゾルシノールジフェニルホスフェート、ハイドロキノンジフェニルホスフェート、ビスフェノールAジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。その市販品としては、大八化学工業(株)社製PX−202、CR−741、PX−200、PX−201、(株)アデカ社製FP−500、FP−600、FP−700およびPFRなどを挙げることができる。
前記のホスファゼン化合物としては、ホスホニトリル線状ポリマーおよび/または環状ポリマーを挙げることができ、特に直鎖状のフェノキシホスファゼンを主成分とするものが好ましく用いられる。ホスファゼン化合物は、著者梶原『ホスファゼン化合物の合成と応用』などに記載されている公知の方法で合成することができ、例えば、りん源として五塩化リンあるいは三塩化リン、窒素源として塩化アンモニウムあるいはアンモニアガスを公知の方法で反応させて(環状物を精製してもよい)、得られた物質をアルコール、フェノールおよびアミン類で置換することで合成することができる。また、市販品として、(株)伏見製薬所製“ラビトル”(登録商標)FP−110などが好ましく用いられる。
前記のフォスファフェナントレン化合物は、分子内に少なくとも1個のフォスファフェナントレン骨格を有するリン系難燃剤であり、市販品としては、三光(株)社製HCA、HCA−HQ、BCA、SANKO−220およびM−Esterなどが挙げられる。とくにM−Esterは、溶融混練時に末端の水酸基と(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の末端との反応が期待でき、高温多湿下でのブリードアウト抑制に効果があり好ましく用いられる。
前記のホスフィン酸金属塩は、ホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩および/またはその重合体であり、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の難燃剤として有用な化合物である。前記の塩としては、カルシウム、アルミニウム、および亜鉛などの塩が挙げられる。ホスフィン酸金属塩の市販品としては、クラリアントジャパン製“Exolit”(商標登録)OP1230やOP1240などが挙げられる。
前記のリン酸エステルアミドは、リン原子と窒素原子を含む芳香族アミド系難燃剤である。高い融点を持つ常温で粉末状の物質であることから、配合時のハンドリング性に優れ、成形品の熱変形温度をより向上させることができる。リン酸エステルアミドの市販品としては、四国化成(株)社製SP−703などが好ましく用いられる。
前記のポリ燐酸アンモニウムとしては、ポリ燐酸アンモニウム、メラミン変性ポリ燐酸アンモニウム、およびカルバミルポリ燐酸アンモニウムなどが挙げられる。熱硬化性を示すフェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂などによって被覆されていてもよい。
前記のポリ燐酸メラミンとしては、リン原子燐酸メラミン、ピロ燐酸メラミンおよびメラミン、メラム、メレムとのリン酸塩などのポリ燐酸メラミンが挙げられる。(株)三和ケミカル製“MPP−A、日産化学(株)製PMP−100やPMP−200などが好ましく用いられる。
前記の赤リンとしては、未処理の赤リンのみでなく、熱硬化性樹脂被膜、金属水酸化物被膜、金属メッキ被膜から成る群より選ばれる1種以上の化合物被膜により処理された赤リンを好ましく使用することができる。熱硬化性樹脂被膜の熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、アルキッド系樹脂などが挙げられる。金属水酸化物被膜の金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンなどを挙げることができる。金属メッキ被膜の金属としては、赤リンを被膜できる樹脂であれば特に制限はなく、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Mn、Ti、Zr、Alまたはこれらの合金などが挙げられる。さらに、これらの被膜は2種以上組み合わせて、あるいは2種以上に積層されていてもよい。
本発明における(C)リン系難燃剤の配合量は、難燃性とブリードアウトの点から(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、1〜40重量部である。(C)リン系難燃剤の配合量が1重量部未満であると、樹脂組成物および成形品の難燃性が不十分となる。3重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。一方、(C)リン系難燃剤の配合量が40重量部を超えると、成形品の表面にリン系難燃剤が析出するブリードアウトが発生しやすくなる。35重量部以下が好ましい。
本発明における(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩は、トリアジン骨格を有する含窒素複素環化合物であり、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレートが好ましく用いられる。かかる化合物を配合することにより、冷却効果により樹脂組成物および成形品の難燃性をより向上させることができる。これらを2種以上配合してもよい。
前記のメラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートとしては、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン化合物との付加物が好ましく、通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)などの組成を有する付加物を挙げることができる。また、メラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートは、公知の方法で製造することができる。例えば、メラミンとシアヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリーとし、よく混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥することにより、一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要は無く、多少未反応のメラミンないしシアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していてもよい。また、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤やポリビニルアルコールおよびシリカなどの金属酸化物などの公知の表面処理剤などにより処理してもよく、分散性を向上させることができる。また、メラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートの樹脂に配合される前後の平均粒径はいずれも、成形品の難燃性、機械的強度、表面性の観点から0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは0.2〜50μmであり、さらに好ましくは0.3〜10μmである。ここでいう平均粒径とは、レーザーミクロンサイザー法による累積分布50%粒子径で測定される平均粒径である。また、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩の市販品としては、日産化学(株)製MC−4000、MC−4250、MC−4500およびMC−6000などが好ましく用いられる。
本発明における(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩の配合量は、難燃性と引張物性の観点から(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、1〜50重量部である。(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩の配合量が1重量部未満であると、樹脂組成物および成形品の難燃性が不十分となる。3重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。一方、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩の配合量が50重量部を超えると、成形品の引張物性が低下する。45重量部以下がより好ましい。
さらに、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩の配合量は、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中15〜25重量%であることがより好ましく、直火に対する難燃性に加えて、電気火災に対する難燃性も向上させることができる。このため、電気火災の安全性規格IEC60335−1規格第4版のグローワイヤー試験に合格する成形品を容易に得ることができる。
ここで、安全性規格IEC60335−1規格第4版とは、国際電気標準会議(InternationalElectrotechnicalCommission、通称IEC)が2001年に改訂した耐火性の安全規格である。この規格は、UL(UnderwritersLaboratoriesInc)が定めた直火起因のUL−94規格に対し、電気的発火起因の安全性規格であり、前記の電気的発火する物とは、ドライヤー、掃除機など人の注意可能な電気部品やエアコン、冷蔵庫、洗濯機およびテレビなど人の注意が行き届かない白物家電の電気部品に適用され、とくに、エアコン、冷蔵庫、洗濯機およびテレビなど人の注意が行き届かない白物家電の電気部品に対しては、過酷な条件における難燃性試験(グローワイヤー試験)に合格することが要求される。
前記のグローワイヤー試験に合格するとは、0.75mm、1.5mm、3mmの3つの推奨厚みの試験片を用い、850℃のグローワイヤー(赤熱棒)を接した時に30秒以内で消火することと、750℃のグローワイヤー(赤熱棒)を30秒間接した後、5秒以内で消火することである。
本発明における(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物は、エポキシ基またはイソシアネート基の少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランなどの有機シラン化合物である。一般に、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を含有する難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物においては、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩との親和性が、成形品の引張物性やウェルド物性に影響すると考えられる。本発明においては、(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物を配合することにより、(A)/(D)界面の親和性を向上させることができると推測される。その結果、成形品の引張物性およびウェルド物性を飛躍的に向上させることができる。(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物の具体例としては、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。また、(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物の市販品としては、信越化学工業(株)製エポキシ変性有機シラン化合物KBM−303、イソシアネート変性有機シラン化合物KBM−9007などが好ましく用いられる。
本発明における(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物の配合量は、難燃性と引張物性およびウェルド物性の点から(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、0.01〜5重量部である。(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物の配合量が0.01重量部未満であると、成形品の引張物性およびウェルド物性が低下する。0.1重量部以上が好ましい。一方、(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物の配合量が5重量部を超えると、樹脂組成物および成形品の難燃性が低下する。1.0重量部以下がより好ましい。
本発明における(F)エステル交換防止剤は、エステル交換反応触媒を失活させる化合物であり、ホスフェート系化合物が好ましく用いられる。(F)エステル交換防止剤を配合することにより、成形品の熱変形温度をより向上させることができる。前記のホスフェート系化合物は、アルコール類と燐酸との部分エステル化合物の総称で、低分子量のものは無色液体、高分子量のものは白色ロウ状、フレーク状固体である。ホスフェート系化合物の具体例としては、モノメチルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノイソプロピルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノラウリルアシッドホスフェート、モノステアリルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノベヘニルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジベヘニルアシッドホスフェート、トリメチルアシッドホスフェート、トリエチルアシッドホスフェート、および前記のモノとジの混合物、モノ、ジおよびトリとの混合物が挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。好ましく用いられるホスフェート系化合物としては、モノおよびジステアリルアシッドホスフェートの混合物などの長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。かかる化合物は、例えば(株)ADEKAから“アデカスタブ”(登録商標)AX−71の名称で市販され、融点を持つフレーク状固体である。
本発明における(F)エステル交換防止剤の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、0.01重量部以上が好ましく、成形品の熱変形温度をより向上させることができる。0.03重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。一方、(F)エステル交換防止剤の配合量は、5重量部以下が好ましく、樹脂組成物および成形品の高い難燃性を維持することができる。成形品の引張物性、ウェルド物性および熱変形温度をより向上させるために、4重量部以下がより好ましい。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに、多官能エポキシ化合物を配合することが好ましく、加水分解性を向上させるができる。ここで多官能エポキシ化合物は、エポキシ基を分子中に2個以上含むものであり、前記(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物を除く。多官能エポキシ化合物としては、液体または固体状のものを使用することができる。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィンとアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどのα,β−不飽和酸グリシジルエステルとの共重合体、不飽和二重結合を有する高分子の二重結合部をエポキシ化したエポキシ基含有高分子化合物、ビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン等のビスフェノール−グリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系エポキシ化合物、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させたノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。これらを2種以上配合してもよい。α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルの共重合体、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させたノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、なかでもノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させたノボラック型エポキシ樹脂は加水分解性とウェルド物性をさらに向上できるため特に好ましい。多官能エポキシ化合物の配合量は、難燃性と加水分解性の点から(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜3重量部であり、より好ましくは0.02〜2.5重量部、さらに好ましくは0.03〜2重量部である。0.01重量部以上で加水分解性の向上効果が得られ、5重量部以下で良好な難燃性が得られる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに、3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む公知の多価アルコール化合物を配合することが好ましく、射出成形など成形加工時の流動性を向上させることができる。ここで、多価アルコールとは、水酸基を2つ以上有する化合物を指す。前記3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物は、3官能性化合物、4官能性化合物および5官能性化合物など、3つ以上の官能基を有し、さらにアルキレンオキシド単位を一つ以上含む化合物であれば、いずれでも好ましく用いられる。
3つ以上の官能基の官能基は、水酸基、アルデヒド基、カルボン酸基、スルホ基、アミノ基、エステル基、アミド基から選択された少なくとも1種であることが好ましく、これらの中から同一あるいは異なる3つ以上の官能基を有していることがより好ましく、とくに流動性、機械物性、耐久性、耐熱性および生産性の点で、同一の官能基であることがさらに好ましい。
アルキレンオキシド単位の例として、炭素原子数1〜4である脂肪族アルキレンオキシド単位が挙げられる。流動性、リサイクル性、耐久性、耐熱性および機械物性に優れることから、プロピレンオキシド単位がより好ましい。また、流動性および機械物性に優れることから、1官能基当たりのアルキレンオキシド単位は1〜5が好ましい。
3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物の分子量または重量平均分子量(Mw)は、流動性の点で、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定され、ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算値で数値化された値が、200〜6000の範囲であることが好ましい。
3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、0.1〜1重量部が好ましい。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、前記(A)成分および(B)成分以外の熱可塑性樹脂を、本発明の特性を損なわない範囲の量で配合することができる。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、フェノキシ樹脂、セルロースエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン系共重合体、ポリエーテルイミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニルスルフィド樹脂、フェノール樹脂およびポリアセタール樹脂などが挙げられる。難燃性の観点から、ポリアミド樹脂やポリフェニルスルフィド樹脂が好ましい。一方、耐トラッキング性、耐アーク性および耐電圧特性などの電気特性の向上や衝撃強度などの靭性を向上させる観点から、ビニル系樹脂が好ましい。
前記、ビニル系樹脂としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、およびマレイミド系単量体からなる群より選択される一種以上の単量体を重合してなる樹脂、あるいは、ポリブタジエン系ゴムなどのゴム系成分にこれら単量体をグラフト重合あるいは共重合してなる樹脂であって、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、およびマレイミド系単量体からなる群より選択される一種以上の単量体成分を50重量%以上含有する樹脂が挙げられる(以下これらを「(共)重合体」と総称することがある)。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、および、ジビニルベンゼンなどが挙げられ、シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸nーブチル、およびアクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、およびその誘導体などのN−置換マレイミドなどが挙げられる。また、上記のビニル系樹脂と共重合が可能な成分との共重合体も本発明に用いることができる。かかる共重合が可能な成分の具体例としては、ジエン化合物、マレイン酸ジアルキルエステル、アリルアルキルエーテル、不飽和アミノ化合物、およびビニルアルキルエーテルなどが挙げられる。
また、ビニル系樹脂の好ましい(共)重合体の例としては、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/アクリロニトリル、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS樹脂)、スチレン/ブタジエン樹脂、スチレン/Nーフェニルマレイミド樹脂、スチレン/アクリロニトリル/Nーフェニルマレイミド樹脂などのビニル系(共)重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/メタクリル酸メチル/スチレン樹脂(MABS樹脂)、ハイインパクト−ポリスチレン樹脂等のゴム質重合体で変性されたスチレン系樹脂、およびブロック共重合体としてスチレン/ブタジエン/スチレン樹脂、スチレン/イソプレン/スチレン樹脂、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン樹脂などが挙げられる。とくに、ポリスチレン樹脂およびアクリロニトリル/スチレン樹脂が好ましく、アクリロニトリルとスチレンを共重合せしめてなる共重合体であるアクリロニトリル/スチレン共重合体がより好ましい(/は共重合を示す)。アクリロニトリル/スチレン樹脂としては、アクリロニトリルを15重量%以上35重量%未満含有するものが特に好ましい。
また、ビニル系樹脂には、不飽和モノカルボン酸類、不飽和ジカルボン酸類、不飽和酸無水物あるいはエポキシ基含有ビニル系単量体がグラフト重合もしくは共重合されていてもよい。なかでも不飽和酸無水物あるいはエポキシ基含有ビニル系単量体がグラフト重合もしくは共重合されたビニル系樹脂であることが好ましい。
前記の不飽和酸無水物類は、一分子中にラジカル重合可能なビニル基と酸無水物の両者を共有する化合物であり、具体例としては無水マレイン酸等が好ましく挙げられる。
また、エポキシ基含有ビニル系単量体は、一分子中にラジカル重合可能なビニル基とエポキシ基の両者を共有する化合物であり、具体例としてはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどの不飽和有機酸のグリシジルエステル類、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類および2−メチルグリシジルメタクリレートなどの上記の誘導体類が挙げられ、なかでもアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが好ましく使用できる。またこれらは単独ないし2種以上を組み合わせて使用することができる。
不飽和モノカルボン酸類、不飽和ジカルボン酸類、不飽和酸無水物あるいはエポキシ基含有ビニル系単量体をグラフト重合もしくは共重合する際の使用量は、ビニル系樹脂に対して0.05重量%以上であることが好ましい。多量に共重合すると流動性低下やゲル化の傾向があり、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
また、ビニル系樹脂に過酸化物類、過ギ酸、過酢酸、および過安息香酸などのエポキシ化剤でエポキシ変性したビニル系樹脂であってもよい。この場合、エポキシ変性を有効に行わせるためにビニル系樹脂にはジエン系のモノマーがランダム共重合もしくはブロック共重合されていることが好ましい。ジエン系のモノマーの例としては、ブタジエン、イソプレン等が好ましく用いられる。これらのエポキシ変性ビニル系樹脂の好適な製造法の例は、特開平6−256417、特開平6−220124等に示されている。
また、ゴム層を有する最内層(コア層)とそれを覆うビニル系樹脂が外層(シェル層)の1種として構成されるビニル系樹脂も好ましく用いられ、いわゆるコアシェル型と呼ばれる構造を有する公知のコアシェル型ゴムも好ましく用いられる。
また、ビニル系樹脂をグラフト共重合体の分岐鎖として含むビニル系樹脂を用いてもよく、主鎖となる樹脂の例としてはポリオレフィン、アクリル系樹脂、およびポリカーボネート樹脂などを挙げることができ、分岐鎖および主鎖のいずれかがメタクリル酸グリシジルや酸無水物などで変性されていてもよく、具体例としては、ポリ(エチレン/グリシジルメタクリレート)−g−ポリメタクリル酸メチル(E/GMA−g−PMMA)、ポリ(エチレン/グリシジルメタクリレート)−g−ポリスチレン(E/GMA−g−PS)、ポリ(エチレン/グリシジルメタクリレート)−g−アクリロニトリル/スチレン(E/GMA−g−AS)、ポリ(エチレン−g−アクリロニトリル/スチレン(E−g−AS)、ポリカーボネート−g−アクリロニトリル/スチレン(PC−g−AS)などが挙げられる(“−g−”は、グラフトを表し、“−/−”は共重合を表す。)。また、前記の市販品としては、例えば、日本油脂社製“モディパー”(登録商標)などが挙げられ、単独ないし、他のビニル系樹脂と混合して用いてもよい。
また、ビニル系樹脂の配合量は、電気特性や靭性と機械特性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜8重量部、さらに好ましくは1〜6重量部である。0.1重量部以上とすることで電気特性や靭性が改善され、10重量部以下で良好な機械特性が得られる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに、シリコーン系難燃剤および無機系難燃剤などの公知の難燃剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
また、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに、フッ素系樹脂を配合することが好ましく、燃焼時の樹脂組成物の溶融落下を抑制し、難燃性をより向上させることができる。
前記のフッ素系樹脂とは、物質分子中にフッ素を含有する樹脂であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられる。中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
また、フッ素系樹脂の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは、0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜2重量部、さらにより好ましくは0.15〜1.5重量部である。0.05重量部以上で燃焼時の溶融落下を防止する効果が得られ、2重量部以下で良好な機械特性が得られる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに、衝撃強度を改善する樹脂を配合することができる。衝撃強度を改善する樹脂としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴムおよびエチレンに無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジルメタクリレートおよびエポキシ化剤でエポキシ変性された変性オレフィン系樹脂などが挙げられる。更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するものなどが挙げられる。前記のエチレンに無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジルメタクリレートおよびエポキシ化剤でエポキシ変性された変性オレフィン系樹脂としては、エチレン/グリシジルメタクリレート、エチレン/ブテン−1/無水マレイン酸、エチレン/プロピレン/無水マレイン酸、エチレン/無水マレイン酸およびエチレンに過酸化物などでエポキシ化させたエポキシ化オレフィン系樹脂などが具体例として挙げられる。市販品の例としては、住友化学(株)製“ボンドファースト”(登録商標)E(エチレン/グリシジルメタクリレート)、三井石油化学工業(株)製MH−5010やMH−5020(エチレン/ブテン−1/無水マレイン酸)などが挙げられ、ビニル系樹脂を併用配合してもしなくともよい。とくに、エチレン/ブテン−1/無水マレイン酸が衝撃強度を大きく改善するため、好ましく用いられる。
また、衝撃強度を改善する樹脂の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜8重量部、さらに好ましくは1〜6重量部である。0.1重量部以上で衝撃強度が改善され、10重量部以下で良好な機械特性が得られる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛などのアルカリ土類の金属石鹸、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルの塩(一部を塩にした物も含む)、エチレンビスステアリルアマイドなどの脂肪酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸からなる重縮合物あるいはフェニレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物からなる脂肪酸アミド、ポリアルキレンワックス、酸無水物変性ポリアルキレンワックスおよび上記の滑剤とフッ素系樹脂やフッ素系化合物の混合物などの公知のプラスチックス用離型剤を配合することができ、射出成形時の離型性を改善することができる。とくにステアリン酸亜鉛などのアルカリ土類の金属石鹸や脂肪酸エステルの塩(一部を塩にした物も含む)は、射出成形時の離型性改善効果以外に滞留安定性にも寄与することから好ましく用いられる。
また、離型剤の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.02〜0.8重量部、さらに好ましくは0.03〜0.6重量部である。0.01重量部以上で十分な離型性効果が得られ、1重量部以下では良好な機械特性が得られる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、繊維強化材を配合することが好ましく、成形品の機械強度と熱変形温度をより向上させることができる。前記の繊維強化材の具体例としては、ガラス繊維、アラミド繊維、および炭素繊維などが挙げられる。上記のガラス繊維としては、チョップドストランドタイプやロービングタイプのガラス繊維でありアミノシラン化合物やエポキシシラン化合物などのシランカップリング剤および/またはウレタン、酢酸ビニル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック系エポキシ化合物などの一種以上のエポキシ化合物などを含有した集束剤で処理されたガラス繊維が好ましく用いられ、シランカップリング剤および/または集束剤はエマルジョン液に混合されて使用されていてもよい。また、繊維径は通常1〜30μm、好ましくは5〜15μmである。また、前記の繊維断面は通常円形状であるが、任意の縦横比の楕円形ガラス繊維、扁平ガラス繊維およびまゆ型形状ガラス繊維など任意な断面を持つ繊維強化材を用いることもでき、射出成形時の流動性向上と、ソリの少ない成形品が得られる特徴がある。
また、繊維強化材の配合量は、射出成形時の流動性と射出成形機や金型の耐久性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは、1〜100重量部であり、より好ましくは2〜95重量部、さらに好ましくは3〜90重量部である。1重量部以上で機械強度と熱変形温度をより向上させる効果が得られ、100重量部以下では良好な機械強度と熱変形温度が得られる。
また、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに繊維強化材以外の無機充填材を配合することができ、成形品の結晶化特性、耐アーク性、異方性、機械強度、難燃性あるいは熱変形温度などの一部を改良することができ、とくに、異方性に効果があるためソリの少ない成形品が得られる。かかる繊維強化材以外の無機充填材としては、針状、粒状、粉末状および層状の無機充填材が挙げられ、具体例としては、ガラスビーズ、ミルドファイバー、ガラスフレーク、チタン酸カリウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、ワラステナイト、シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの混合物、微粉ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイト、ヘクトライト)、バーミキュライト、マイカ、フッ素テニオライト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウム、およびドロマイトなどが挙げられ、一種以上で用いられる。とくに、ミルドファイバー、ガラスフレーク、カオリン、タルクおよびマイカを用いた場合は、異方性に効果があるためソリの少ない成形品が得られる。また、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの混合物、微粉ケイ酸、ケイ酸アルミニウムおよび酸化ケイ素を(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、0.01〜1重量部の範囲で配合した場合は、滞留安定性に効果が得られた。
また、上記の繊維強化材以外の無機充填材には、カップリング剤処理、エポキシ化合物、あるいはイオン化処理などの表面処理が行われていてもよい。また、粒状、粉末状および層状の無機充填材の平均粒径は衝撃強度の点から0.1〜20μmであることが好ましく、特に0.2〜10μmであることが好ましい。また、繊維強化材以外の無機充填材の配合量は、成形時の流動性と成形機や金型の耐久性の点から繊維強化材の配合量と合わせて(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、100重量部を越えない量が成形時の流動性の観点から好ましく、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは1〜50重量部であり、より好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。1重量部以上で十分な異方性もしくは滞留安定性を向上させる効果が得られ、50重量部以下では良好な機械強度が得られる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、加水分解性改良を目的に、オキサゾリン化合物、カルボジイミド変性イソシアネート化合物およびカルボジイミド化合物などの一種以上を配合することができる。
また、オキサゾリン化合物、カルボジイミド変性イソシアネート化合物およびカルボジイミド化合物の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.01〜2.5重量部、さらに好ましくは0.01〜2重量部である、0.01重量部以上で加水分解性を向上させる効果が得られ、3重量部以下では良好な機械強度が得られる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、およびチオエーテル系酸化防止剤を配合でき、それらは併用して配合してもよく、樹脂組成物が長期間高温にさらされても極めて良好な耐熱エージング性を与えることができる。その配合量は、耐熱エージング性向上の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部であり、より好ましくは0.02〜1.5重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部である。0.01重量部以上で耐熱エージング性を向上させる効果が得られ、2重量部以下では良好な機械特性が得られる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、さらに、カーボンブラック、酸化チタン、および種々の色の顔料や染料を1種以上配合することにより種々の色に樹脂を調色、耐候(光)性、および導電性を改良することも可能である。顔料や染料の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜3重量部であり、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部である。0.01重量部で調色、耐候(光)性、および導電性に効果があり、3重量部以下で良好な機械特性が得られる。
また、前記のカーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、アントラセンブラック、油煙、松煙、および、黒鉛などが挙げられ、平均粒径500nm以下、ジブチルフタレート吸油量50〜400cm/100gのカーボンブラックが好ましく用いられ、処理剤として酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ポリオール、シランカップリング剤などで処理されていてもよい。
また、上記の酸化チタンとしては、ルチル形あるいはアナターゼ形などの結晶形を持ち、平均粒径5μm以下の酸化チタンが好ましく用いられ、処理剤として酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ポリオール、シランカップリング剤などで処理されていてもよい。また、上記のカーボンブラック、酸化チタン、および種々の色の顔料や染料は、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物との分散性向上や製造時のハンドリング性の向上のため、種々の熱可塑性樹脂と溶融ブレンドあるいは単にブレンドした混合材料として用いてもよい。
さらに、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、および帯電防止剤などの公知の添加剤などを1種以上配合してもよい。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形して得られるからなる成形品は、高度な難燃性が維持されながら、引張強度や伸びなどの引張物性、ウェルド物性、および熱変形温度に優れることから、機械機構部品、電気電子部品または自動車部品の成形品として好適に用いることができる。さらに、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中15〜25重量%配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形することにより、グローワイヤー性に優れ、電気火災の安全性規格IEC60335−1規格第4版のグローワイヤー試験に合格する成形品を容易に得ることができる。かかる成形品は、とくに電気と接触する部品や機器に有用であり、多点ゲートで得られる電気・電子部品またはハウジングに好適に用いられる。
また、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品の具体的な成形品としては、ブレーカー、電磁開閉器、フォーカスケース、フライバックトランス、複写機やプリンターの定着機用成形品、一般家庭電化製品、OA機器などのハウジング、バリコンケース部品、各種端子板、変成器、プリント配線板、ハウジング、端子ブロック、コイルボビン、コネクター、リレー、ディスクドライブシャーシー、トランス、スイッチ部品、コンセント部品、モーター部品、ソケット、プラグ、コンデンサー、各種ケース類、抵抗器、金属端子や導線が組み込まれる電気・電子部品、コンピューター関連部品、音響部品などの音声部品、照明部品、電信・電話機器関連部品、エアコン部品、VTRやテレビなどの家電部品、複写機用部品、ファクシミリ用部品、光学機器用部品、自動車点火装置部品、自動車用コネクター、および各種自動車用電装部品などの成形品が挙げられる。これらの中でも、本発明の成形品は、ウェルド部のできやすい、多点ゲートで得られる電気・電子部品またはハウジングに好適に用いられる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、前記(A)〜(E)の各成分および必要に応じて含有する配合材料などを予備混合して押出機などに供給して十分溶融混練する方法、あるいは、重量フィダーなどの定量フィダーを用いて各成分を所定量押出機などに供給して十分溶融混練する方法などにより、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が製造される。
上記の予備混合の例として、ドライブレンドする方法や、タンブラー、リボンミキサーおよびヘンシェルミキサー等の機械的な混合装置を用いて混合する方法が挙げられる。また、繊維強化材や繊維強化材以外の無機充填材は、二軸押出機などの多軸押出機の元込め部とベント部の途中にサイドフィーダーを設置して添加する方法であってもよい。また、液体の添加剤の場合は、二軸押出機などの多軸押出機の元込め部とベント部の途中に液添ノズルを設置してプランジャーポンプを用いて添加する方法や元込め部などから定量ポンプで供給する方法などであってもよい。
また、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を製造するに際し、例えば“ユニメルト”あるいは“ダルメージ”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機、コニカル押出機およびニーダータイプの混練機などを用いてストランド状に吐出し、ストランドカッターでカッティングすることにより、ペレット状の形状で得ることができる。
かくして得られるペレット状の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を、公知の方法で射出成形することによって、本発明の成形品が得られる。前記の射出成形方法としては、通常の射出成形方法以外にガスアシスト成形、2色成形、サンドイッチ成形、インモールド成形、インサート成形およびインジェクションプレス成形などが知られているが、いずれの成形方法も適用できる。
以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。実施例および比較例に用いる原料を以下に示す。ここで%および部とはすべて重量%および重量部をあらわし、下記の参考例の樹脂名中の「/」は、共重合を意味する。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂
<A−1>ポリブチレンテレフタレート樹脂、東レ(株)社製“トレコン”(登録商標)1401−X31固有粘度が0.80のPBTを用いた(以下、PBT樹脂と略す)。
(B)芳香族ポリカーボネート樹脂
<B−1>芳香族ポリカーボネート樹脂、出光石油化学(株)社製“A−1900”を用いた(以下、PC樹脂と略す)。
<B−2>ポリフェニレンエーテル樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製“YPX−100L”を用いた(以下、PPE樹脂と略す)。
(C)リン系難燃剤
<C−1>リン酸エステル化合物、大八化学工業(株)社製縮合リン酸エステル化合物“PX−200”を用いた(以下、PX−200と略す)。
<C−2>ホスファゼン化合物、(株)伏見製薬所製「ラビトル」(登録商標)FP−110を用いた(以下、ホスファゼン化合物と略す)。
<C−3>フォスファフェナントレン化合物、三光(株)社製M−Esterを用いた(以下、フォスファフェナントレン化合物と略す)。
(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩
<D−1>トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩、日産化学(株)社製“MC−4000”を用いた(以下、MC塩と略す)。
(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物
<E−1>エポキシ変性有機シラン化合物、信越化学工業(株)社製KBM−303を用いた(以下、エポキシシランと略す)。
<E−2>イソシアネート変性有機シラン化合物、信越化学工業(株)社製KBM−9007を用いた(以下、イソシアネートシランと略す)。
(F)エステル交換防止剤
<F−1>長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物、旭電化(株)社製“アデカスタブ”(登録商標)AX−71を用いた(以下、AX−71と略す)。
(G)さらに、必要に応じて配合する成分
<G−1>3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物、ポリオキシエチレンペンタエリスリトール、日本乳化剤(株)社製PNT−60U(分子量400、1官能基当たりのアルキレンオキシド(エチレンオキシド)単位数1.5を用いた(以下、多価アルコールと略す)。
<G−2>ビニル系樹脂、スチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート=70/29.5/0.5重量%のエポキシ変性AS樹脂(以下、エポキシ化ASと略す)。
<G−3>ビニル系樹脂以外の衝撃強度を改善する樹脂、エチレン/ブテン−1/無水マレイン酸共重合体、三井石油化学工業(株)製MH−5020を用いた(以下、MH−5020と略す)。
<G−4>燃焼時溶融落下(ドリップ)防止剤として作用するフッ素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、三井・デュポンフロロケミカル(株)社製「テフロン」(登録商標)6−Jを用いた(以下、フッ素系樹脂と略す)。
<G−5>繊維強化材、繊維径約10μmのチョップドストランド状のガラス繊維、日東紡績(株)社製“CS3J948”を用いた(以下、GFと略す)。
<G−6>ヒンダードフェノール系酸化防止剤、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チバガイギー社製「IRGANOX」 (登録商標)1010を用いた(以下、IR−1010と略す)。
<G−7>離型剤、脂肪酸エステルの塩(一部を塩にした物も含む)、モンタン酸ワックスの部分カルシウム塩、クラリアントジャパン(株)社製リコワックスOPを用いた(以下、リコ−OPと略す)。
[各特性の測定方法]
本実施例、比較例においては以下に記載する測定方法によって、その特性を評価した。
1.引張物性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度260℃、金型温度80℃の温度条件、射出時間と保圧時間は合わせて10秒、冷却時間10秒の成形サイクル条件で試験片厚み1/8インチ(約3.2mm)のASTM1号ダンベルの引張物性評価用試験片を得た。前記の引張物性評価用試験片を用い、ASTMD638(2005年)に従い、引張強度と伸びを測定した。なお、値は3本の測定値の平均値とした。
2.ウェルド物性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度260℃、金型温度80℃の温度条件で2点のゲート(流路)を持つ金型を用い、試験片厚み1/8インチ(約3.2mm)のASTM1号ダンベルの射出成形品を得た。この時の2点のゲート位置はASTM1号ダンベルの長尺方向の左右に設け、ASTM1号ダンベルの中央部にウェルド部位を有する成形品が得られた。このASTM1号ダンベルを用い、ASTMD638(2005年)に従い、引張試験を行い、引張強度の値をウェルド強度とし、引張伸びをウェルド伸びとした。なお、値は3本の測定値の平均値とした。
3.熱変形温度
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度260℃、金型温度80℃の温度条件、射出時間と保圧時間は合わせて10秒、冷却時間10秒の成形サイクル条件で試験片厚み1/8インチ(約3.2mm)の試験片を得た。前記の試験片を用い、ASTMD648(2005年)に従い、試験荷重1.82MPaの条件で熱変形温度を測定した。なお、値は3本の測定値の平均値とした。
4.難燃性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度260℃、金型温度80℃の条件で試験片厚み1/32インチ(約0.79mm)の燃焼試験片を得た。前記の燃焼試験片を用い、UL94垂直試験に定められている評価基準に従い、難燃性を評価した。難燃性はV−0>V−1>V−2の順に低下しランク付けされる。また、燃焼性に劣り上記のV−2に達せず、上記の難燃性ランクに該当しなかった材料は規格外とした。
また、燃焼試験時において、第1接炎後と第2接炎後の燃焼試験片が熱で溶融して試験片の一部が落下するか落下しないかを観察し、落下しない材料をノンドリップと評価した。
5.グローワイヤー試験
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度260℃、金型温度80℃の条件で射出成形された80mm×80mm×厚み3mm、1.5mm、0.75mmの3厚みの角板を試料とし、IEC60695−2−10規格に準拠する日化テクノサービス(株)社製、型式HAT−214の試験装置を用い、IEC60695−2−13規格の試験方法に準拠してグローワイヤー試験を行った。850℃のグローワイヤー(赤熱棒)を接した後、30秒以内で消火し、かつ、750℃のグローワイヤー(赤熱棒)を30秒間接した後、5秒以内で消火した場合に合格、いずれかの条件で消火しない場合に不合格とした。
6.流動性
前記4項の難燃性において、1/32インチ(約0.79mm)厚みの燃焼試験片を射出成形した時の成形品が充填する最低圧力である成形下限圧力を求めた。成形下限圧力が小さいほど小さな圧力で成形品が得られ、流動性に優れる。
7.色調
前記1項の引張物性に用いたASTM1号ダンベル成形品の色調をスガ試験機(株)製SMカラーコンピューター、型式SM−3を用いて、黄色度(YI値)を測定した。数値が高くなるほど黄味を増し、数値が小さいほど白色に近い色調を示す。
8.離型性
射出成形時の離型力を測定して離型性を判断する値とした。射出成形時の成形金型の構成は、固定側と金型を開閉する稼働側の2プレートからなり、稼働側のプレートに成形品が充填され、成形品は突き出しピンで突き出されて金型から離型して取り出される。また、突き出しピン部に荷重を検知するロードセルを挿入し、離型時の離型力を測定できる構造とした。成形品5個の離型力を測定し、離型力値は5個の平均値を用いた。なお、離型力の値が小さい程、離型性に優れる。
9.ブリードアウト試験
ASTM1号ダンベルを80℃×95%RHの温度と湿度に設定されたエスペック(株)社製“ヒューミデイキャビネツト”LHL−113の恒温高湿試験器に400時間投入し湿熱処理を行い、成形品外観の目視観察により次のブリードアウトの判定を行った。
なお、ブリードアウトする成形品は商品価値を大きく損なう成形品である。
×:成形品の一部もしくは随所に液状または白粉状のブリードアウトが観察される。
○:成形品に液状もしくは白粉状のブリードアウトが観察されない。
[実施例1〜24]、[比較例1〜10]
スクリュー径30mm、L/D35の同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30α)を用いて、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂、(C)リン系難燃剤、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩、(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物、および必要に応じてその他配合材料などを表1〜表3に示した配合組成で混合し、2軸押出機の元込め部から添加した。なお、(G)成分のうち繊維強化材のガラス繊維<G−5>は、元込め部とベント部の途中にサイドフィーダーを設置して添加した。さらに、混練温度260℃、スクリュー回転150rpmの押出条件で溶融混合を行い、ストランド状に吐出し、冷却バスを通し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを110℃の熱風乾燥機で6時間乾燥後、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用い、各種成形品を得た。前記の測定方法で種々の値を測定し、表1〜表3にその結果を示した。
Figure 2013001772
Figure 2013001772
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表1の実施例1〜13と表3の本発明の(E)成分を含有しない比較例4〜5の比較から、本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、および(E)成分からなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、優れたUL−94の難燃性、引張物性、ウェルド物性および熱変形温度を示す難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であると言える。とくに、比較例4〜5の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、ウェルド強度が低くいため、成形品に大きな力が加わった場合、破壊するおそれがある。
表1の実施例1と実施例5および7、実施例3と実施例6の比較から、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中15〜25重量%配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、グローワイヤー特性にも優れることがわかる。
表2の実施例14〜23の本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、および(E)成分に(G)公知の添加剤を配合した難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、優れたUL−94の難燃性、引張物性、ウェルド物性および熱変形温度を示す難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であると言える。詳しくは、実施例14の多価アルコールを配合した難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の流動性は、28MPa・ゲージ圧力を示し、実施例2の38MPa・ゲージ圧力よりも大きく低下することから、流動性に優れる特徴を有していた。また、実施例15と16のエポキシ化AS、MH−5020を配合した難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、対応する実施例3と実施例2と比較すると引張物性とウェルド物性に優れる特徴を有していた。また、実施例17のフッ素系樹脂を配合した難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、難燃性試験の燃焼時にノンドリップの性能を有していた。また、実施例18の酸化防止剤のIR−1010を配合した難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物と実施例2の成形品の色調をしたところ、18の値を示し、実施例2の25より低い値を示した。つまり、黄味が低下し白くなっていることを意味し、色調が向上する性能を有していた。また、実施例19の離型剤のリコ−OPを配合した難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物と実施例2の射出成形で成形品を得るときの離型力を測定したところ、12MPaを示し、実施例2の45MPaより低い値を示した。つまり、離型性が向上する性能を有していた。
また、実施例20〜23のGFを配合した難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、強度と熱変形温度が極端に改善された性能を有していた。
次に、本発明における(B)成分を配合しない比較例1は熱変形温度が低く、ブリードアウトが発生した。また、実施例1〜24、比較例2〜10について、ブリードアウト試験を行ったところ、(C)リン系難燃剤を多く配合する比較例8においてのみブリードアウトが認められ、実施例の成形品にはブリードアウトが認められなかった。つまり、比較例1〜10の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、ブリードアウト、引張物性、ウェルド物性、熱変形温度、難燃性、およびグローワイヤー性のいずれかの性能もしくは複数の性能が著しく劣っていた。

Claims (6)

  1. (A)熱可塑性ポリエステル樹脂60〜95重量%と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはポリフェニレンエーテル樹脂5〜40重量%との合計100重量部に対し、(C)リン系難燃剤1〜40重量部、(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩1〜50重量部および(E)エポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物0.01〜5重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記(D)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中15〜25重量%配合してなる請求項1に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  3. さらに、(F)エステル交換防止剤0.01〜5重量部を配合してなる請求項1または請求項2に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形品。
  5. 多点ゲートで得られる電気・電子部品またはハウジングに用いられる請求項4に記載の成形品。
  6. IEC60695−2−13規格のグローワイヤー試験に合格する請求項4または請求項5に記載の成形品。
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