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JP2012207360A - 防錆シート - Google Patents

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JP2012207360A
JP2012207360A JP2012051223A JP2012051223A JP2012207360A JP 2012207360 A JP2012207360 A JP 2012207360A JP 2012051223 A JP2012051223 A JP 2012051223A JP 2012051223 A JP2012051223 A JP 2012051223A JP 2012207360 A JP2012207360 A JP 2012207360A
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Osamu Yamashita
修 山下
Toshiichi Horibatake
敏一 堀畑
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HORITOMI SHOKO KK
Japan Exlan Co Ltd
Original Assignee
HORITOMI SHOKO KK
Japan Exlan Co Ltd
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Abstract

【課題】
気化性防錆剤の含有量を大幅に増加させずにJIS−Z−1535の60℃、120時間暴露後の初期及び長期防錆能を十分に達成することができる防錆シートを提供する。
【解決手段】
有機アミンの亜硝酸塩、有機アミンのカルボン酸塩、及び有機アミンの炭酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の気化性防錆剤を付与した基材を含む防錆シートにおいて、基材が、架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄鋼材製の各種機械部品や自動車部品などの酸化を受けやすい金属製品を保管し、搬送し、または輸送する際に、その表面が酸化を受けて発錆するのを防止するための防錆シートに関するものである。
従来より、金属製品の発錆を防止する目的で、防錆油に金属部品を浸漬あるいは塗布する方法が知られている。しかしながら、これらの方法では、使用前に、塗布した油の除去が必要であり、この作業に手間が掛かるばかりか、そのために使用する洗浄剤、洗浄ガスによる環境汚染等の問題から、これらの洗浄剤等の使用は控えられる傾向となっている。
そこで、洗浄の手間が掛からない気化性の防錆剤の使用が主流となっており、例えば、気化性の防錆剤を紙に塗布したいわゆる防錆紙や、ポリオレフィン系樹脂に代表される熱可塑性樹脂等に気化性の防錆剤を含有させたフィルムなどの防錆用樹脂成形体が知られている。前者の防錆紙では一定の防錆効果が得られるが、後者の防錆用樹脂成形体に比べてコストが高く、防錆シートに包まれた内容物の視認性の観点から後者の成形体が主に用いられている。
しかしながら、樹脂に対する防錆剤の飽和溶解度は低く(通常、最大数重量%)、十分な防錆効果を発現するだけの量を樹脂に含有させることは困難であり、さらに防錆効果を長期に持続させることも困難であった。また、防錆用樹脂成形体の製造では、防錆剤を熱可塑性樹脂に加熱しながら練り込み、さらに成形加工する必要があるが、気化性防錆剤は剤の性質上、製造工程において防錆有効成分が揮散し、初期においてもその防錆効果の発現が十分ではなく、さらに作業環境の面からもこのような製造方法は好ましいと言えなかった。
そこで、防錆有効成分の溶解度の高い極性基を有する樹脂をポリオレフィン系樹脂に配合し、防錆効果の持続性を改良する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このような極性基を有する樹脂をポリオレフィン系樹脂に配合すると、ポリオレフィン系樹脂の特性が損なわれ、得られる防錆用樹脂成形体は物性的に満足のいくものではなかった。
一方、気化性防錆剤を不織布に含有させたり、シートの層構造を工夫した防錆シートが従来から提案されている(特許文献2〜5参照)。これらの防錆シートは気化性防錆剤を従来より多く含有させることができるが、JIS−Z−1535で規定する60℃、120時間暴露後の初期及び長期防錆能を十分に発揮させるには防錆剤の担持量を大幅に増加する必要があり、コストの面で問題があった。
特公昭47−4295号公報 実開昭63−158869号公報 特開平1−100286号公報 特開平5−65168号公報 特開2007−44882号公報
本発明は、上述のような従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、気化性防錆剤の含有量を大幅に増加させずにJIS−Z−1535の60℃、120時間暴露後の初期及び長期防錆能を十分に達成することができる防錆シートを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、気化性防錆剤として鉄鋼用のアミン化合物を使用し、この気化性防錆剤を付与する不織布としてカルボキシル基を有する架橋構造を持つ高分子化合物を使用することにより、防錆剤のアミノ基と高分子化合物のカルボキシル基が強く結合され、結露しない乾燥状態において防錆剤の不要な揮散を抑制できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(11)の構成を有するものである。
(1)有機アミンの亜硝酸塩、有機アミンのカルボン酸塩、及び有機アミンの炭酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の気化性防錆剤を付与した基材を含む防錆シートにおいて、基材が、架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物を含むことを特徴とする防錆シート。
(2)基材に対する気化性防錆剤の付与量が2〜50g/mであることを特徴とする(1)に記載の防錆シート。
(3)基材における高分子化合物の含有量が1〜500g/mであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の防錆シート。
(4)高分子化合物のカルボキシル基量が1〜12mmol/gであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の防錆シート。
(5)高分子化合物の水膨潤度が0.2〜5g/gであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の防錆シート。
(6)高分子化合物が繊維の形態を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の防錆シート。
(7)高分子化合物が粒子の形態を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の防錆シート。
(8)気化性防錆剤が基材に含浸されていることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の防錆シート。
(9)基材が、気化性防錆剤が付与された高分子化合物を含浸させて得られたものであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の防錆シート。
(10)基材が、気化性防錆剤が付与された高分子化合物を練り込んで得られたものであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の防錆シート。
(11)気化性防錆剤および高分子化合物を含有させた基材が不織布、紙、またはフィルムであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の防錆シート。
本発明の防錆シートは、特定のアミン化合物を気化性防錆剤として使用し、この気化性防錆剤を付与する基材にカルボキシル基を有する架橋構造の高分子化合物を使用しているので、防錆剤のアミノ基と高分子化合物のカルボキシル基が強く結合され、結露しない乾燥状態では防錆剤の不要な揮散を抑制し、高湿度状態では高分子化合物の吸湿性により防錆剤のアミノ基と高分子化合物のカルボキシル基の結合が解離することができ、結果としてJIS−Z−1535の気化性錆止め紙1級の高い性能を達成することができる。
本発明の防錆シートは、特定の気化性防錆剤を付与した基材を含む防錆シートであって、基材が、架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物を含むことを特徴とし、JIS−Z−1535の60℃、120時間暴露後の初期及び長期防錆能を十分に達成できるものである。
本発明に採用する基材は、シート形状を有するものであり、例えば、フィルム、不織布、紙などを挙げることができる。また、本発明に採用する基材は、架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物を必須の構成材料とするものであり、基材を構成できる限り、該高分子化合物のみからなるものであってもよいし、その他の構成材料とともに基材を構成してもよい。
例えば、基材がフィルムである場合、フィルム形成性樹脂中に架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物を添加して成型することでフィルムとすることができる。また、かかる高分子化合物が造膜性を有するものであれば、該高分子化合物のみで成型しフィルムを得ることができる。なお、必要に応じて、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、防ダニ剤などの各種添加剤を併用してフィルムを得ることも可能である。
また、基材が不織布である場合、かかる高分子化合物が繊維の形態を有するものであれば、該高分子化合物のみの不織布としてもよいし、他の繊維材料を混用して不織布としてもよい。あるいは、かかる高分子化合物が粒子の形態やエマルジョンの形態を有するものであれば、予め準備しておいた不織布に該高分子化合物を固着させて、本発明に採用する基材とすることもできる。
ここで、上記の他の繊維材料あるいは予め準備する不織布の材料としては、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、無機繊維や合成繊維などを用いることができる。具体的には、綿、羊毛、レーヨン、ガラス繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などを挙げることができる。また、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維などの熱可塑性樹脂からなる繊維はバインダー繊維として使用してもよい。さらに、必要に応じて、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、防ダニ剤などの各種添加剤を併用することも可能である。
架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物のみの不織布または該高分子化合物と他の繊維材料を混用した不織布の製造方法としては、湿式法、乾式法のいずれでも採用することができる。湿式法としては、構成繊維を抄紙方式でシート化し、ケミカルボンド、サーマルボンドあるいはスパンレースなどを施す方法を挙げることができる。また、乾式法としては、カーディングやエアレイドでシート化し、ケミカルボンド、サーマルボンド、スパンレース、ニードルパンチあるいはステッチボンドなどを施す方法を挙げることができる。
予め準備しておいた不織布に該高分子化合物を固着させる場合の不織布についても、上記と同様に作成することができる。かかる不織布に該高分子化合物を固着させる方法としては、該高分子化合物の水分散体を該不織布に含浸、塗布あるいは噴霧などすることによる方法が挙げられる。このとき、バインダー樹脂を添加して同時に付与してもよい。
本発明に採用する基材となる不織布の坪量および厚さについては、不織布の強度や柔軟性、取り扱いのしやすさなどを考慮することで設定される。一般的には、坪量として20〜300g/m、好ましくは40〜200g/m、厚さとして0.1〜5mm、好ましくは0.5〜3mmで設定すれば、良好な結果を得られる場合が多い。
また、基材が紙である場合には、上述の不織布の場合とほぼ同様であり、該高分子化合物単独または上述の他の繊維材料や製紙用パルプを混用した紙や、予め準備しておいた紙に該高分子化合物を固着させた紙を本発明に採用する基材とすることができる。該高分子化合物以外の添加剤としても、上述の不織布の場合と同様である。
抄紙方法としては、該高分子化合物を単独でまたは他の繊維材料とともに分散させたスラリーを通常の抄紙方式で抄紙する方法が挙げられる。他の繊維材料を併用する場合、粒子の形態の高分子化合物を抄き込むことも可能である。また、予め準備しておいた紙に該高分子化合物を固着させる場合には、上述の不織布の場合と同様に該高分子化合物の水分散体を含浸、塗布あるいは噴霧などすることによる方法が挙げられる。このとき、バインダー樹脂を添加して同時に付与してもよい。なお、予め準備しておく紙としては、中性クラフト紙が代表的なものである。
上述してきた架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物の基材中の量は、基材の強度や柔軟性、取り扱いのしやすさなどに加えて、気化性防錆剤の付与量を考慮することで設定される。すなわち、本発明においては、かかる高分子化合物の有するカルボキシル基が気化性防錆剤と結合を形成することにより、長期防錆能を発揮する。従って、かかる高分子化合物の量が少なすぎれば、結合できる気化性防錆剤の量が少なくなり、その結果、長期防錆能を十分に発揮できなくなる。逆に、かかる高分子化合物の量が多すぎる場合には、長期防錆能が十分であっても、防錆シートの強度や柔軟性などに問題が生じる場合がある。これらの観点から、通常の場合、かかる高分子化合物の量を1〜500g/m、好ましくは1.5〜300g/m、さらに好ましくは10〜120g/mの範囲内で検討すれば、良好な結果が得られることが多い。
本発明に採用する高分子化合物は、架橋構造を有しかつカルボキシル基を有するものである。かかる高分子化合物としては、ポリエステル、ポリアミド、ビニル系高分子などが挙げられる。中でもビニル系高分子は、架橋構造やカルボキシル基を導入しやすいので好ましい。
本発明に採用する高分子化合物はカルボキシル基を多く含有し、親水性が高いものである。親水性の高い高分子は水に溶出する可能性があり、そのままでは本発明の防錆シートの性能に悪影響を与えることになるが、架橋構造を設けることにより、水に溶出することのないものとなる。
高分子化合物の架橋構造としては、共有結合による架橋、イオン架橋、ポリマー分子間相互作用または結晶構造による架橋等を挙げることができる。中でも共有結合による架橋は安定性が高く望ましい。また、架橋構造を導入する方法においても、特に限定はなく、重合段階での架橋性単量体による架橋導入、重合体を得た後での反応性化合物による架橋導入(以降、後架橋という)、物理的なエネルギーによる架橋導入など一般に用いられる方法によることができる。
例えば、架橋性単量体を用いる方法では、架橋性ビニル化合物を、カルボキシル基を有する単量体、あるいはカルボキシル基に変性できる官能基を有する単量体と共重合することにより、共有結合に基づく架橋構造を有する高分子化合物を得ることができる。
この様な方法により導入される架橋構造としては、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ビニル化合物により誘導されたものを挙げることができ、なかでもトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミドによる架橋構造は、カルボキシル基を導入するための加水分解等の際にも化学的に安定であるので望ましい。
また、後架橋による方法としても特に限定はなく、例えば、ニトリル基を有するビニル系単量体の含有量が40重量%以上であるニトリル系重合体に含有されるニトリル基と、1分子中の窒素数が2個以上である窒素含有化合物またはホルムアルデヒドを反応させる後架橋法を挙げることができる。
ここでいうニトリル基を有するビニル系単量体としては、ニトリル基を有する限り特に限定はなく、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。なかでも、コスト的に有利であり、また、単位重量あたりのニトリル基量が多いアクリロニトリルが最も好ましい。
また、1分子中の窒素数が2個以上である窒素含有化合物としては、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン、臭化水素酸ヒドラジン等のヒドラジン系化合物やエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、ラウリルイミノビスプロピルアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−ブチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブチレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等のアミノ基を複数有する化合物等が例示される。
架橋構造の量としては、高分子化合物が水に溶出しないようにできる量が最低限必要である。一方、架橋構造が多すぎるとカルボキシル基を必要量確保できなくなるので、上限については、必要なカルボキシル基量を確保できる量が目安となる。かかる量としては、高分子化合物の種類や架橋構造の種類によって様々であるが、例えば、架橋性ビニル化合物を共重合する場合であれば、全単量体に対して3〜40重量%となるように共重合することが望ましい。また、ニトリル系重合体にヒドラジン系化合物を反応させて架橋構造を形成させる場合であれば、この反応による窒素含有量の増加を0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%とすることが望ましい。
高分子化合物のカルボキシル基は、その吸湿性により、鉄鋼などの防錆対象物のまわりの雰囲気の湿度を低下させることができ、その結果、錆びの発生を抑制することができる。さらに、かかるカルボキシル基は、後述する気化性防錆剤と結合すると考えられる。かかる状態で気化性防錆剤が付与されていることにより、高分子化合物が雰囲気の湿度に応じて吸湿し、水分を取り込んだ際に、カルボキシル基から気化性防錆剤が解離して、雰囲気中に揮散し、気化性防錆剤の防錆効果が発現されるようになる。すなわち、発錆しにくい乾燥雰囲気下では気化性防錆剤の揮散を抑制し、高湿度雰囲気下では気化性防錆剤の揮散を促進するという機能が発現されるのである。これらの効果によって、長期にわたって高い防錆効果を持続させることができるようになる。
高分子化合物中のカルボキシル基量としては、カルボキシル基量が多いほど、より多くの気化性防錆剤を担持することができる。しかし、カルボキシル基量が多すぎると高分子化合物が激しく水膨潤するなどして、防錆シートの性能に悪影響を与える等の弊害が生じる。このため、カルボキシル基量としては、好ましくは1〜12mmol/g、より好ましくは1.5〜12mmol/g、さらに好ましくは1.5〜10mmol/gである。また、気化性防錆剤と結合しないカルボキシル基が存在する場合、かかるカルボキシル基を、Li、Na、K等のアルカリ金属やMg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属等の金属のイオンを対イオンとする塩型カルボキシル基とすると、より吸湿性が高くなるので望ましい。また、対イオンが水素イオンである場合、吸湿率が低くなるが、アンモニアなどのアルカリ性の臭気を捕捉して消臭性を発現するなどの別の機能が得られる。
カルボキシル基を有する高分子化合物を得る方法としては、カルボキシル基を含有する単量体を単独重合又は共重合可能な他の単量体と共重合する方法、化学変性によりカルボキシル基を導入する方法、あるいはグラフト重合によりカルボキシル基を導入する方法等が挙げられる。
カルボキシル基を有する単量体を重合してカルボキシル基を導入する方法としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルプロピオン酸等のカルボキシル基を含有するビニル系単量体の単独重合、あるいは2種以上の該単量体からなる共重合、あるいは、これらの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合により、共重合体を得る方法が挙げられる。
化学変性によりカルボキシル基を導入する方法としては、例えば加水分解処理をすればカルボキシル基が得られる官能基を有する単量体からなる重合体を得た後に、加水分解によって該官能基をカルボキシル基にする方法が挙げられる。このような方法をとることのできる単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基を有する単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ノルマルプロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸ノルマルオクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のエステル結合を有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、モノエチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有する単量体等が例示できる。
化学変性によりカルボキシル基を導入する他の方法としては、二重結合、ハロゲン基、水酸基、アルデヒド基等の酸化可能な極性基を有する重合体に酸化反応によりカルボキシル基を導入する方法も用いることができる。この酸化反応については、通常用いられる酸化反応を用いることができる。
上記の単量体と共重合する場合に用いられる他の単量体としては、特に限定はなく、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のビニリデン系単量体;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メチルイソブテニルケトン、メチルイソプロペニルケトン等の不飽和ケトン類;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ジクロロ酢酸ビニル、トリクロロ酢酸ビニル、モノフルオロ酢酸ビニル、ジフルオロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルメタクリレート、ビニルステアリン酸、ビニルスルフィン酸等のビニル基含有酸化合物またはその塩、その無水物、その誘導体;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレンおよびそのアルキルまたはハロゲン置換体;アリルアルコールおよびそのエステルまたはエーテル類;N−ビニルフタルイミド、N−ビニルサクシノイミド等のビニルイミド類;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン類等の塩基性ビニル化合物;アクロレイン、メタクリロレイン等の不飽和アルデヒド類等のビニル化合物を挙げることができる。
本発明に採用する高分子化合物の形態としては、繊維、粒子あるいは膜などの形態が挙げられる。膜の形態については、該高分子化合物を膜の形態となるようにするほかに、例えば、粒子の形態の高分子化合物のエマルジョンを上述した基材に固着させた際に造膜することにより採り得る形態である。
以上に述べてきた本発明に採用する架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物を製造する方法について、アクリル繊維とヒドラジン系化合物を用いた場合を例に挙げて以下説明する。かかる例は繊維の形態を有する高分子化合物に関する製造例である。
採用するアクリル繊維は、アクリロニトリルを40重量%以上、好ましくは50重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体により形成された繊維である。かかるアクリル繊維の製造手段に限定はなく、適宜公知の手段が用いられる。また、アクリル繊維の形態については、短繊維、トウ、糸、編織物、不織布等いずれの形態のものでも良く、製造工程中途品、廃繊維などでも構わない。
ヒドラジン系化合物による架橋処理の条件としては、窒素含有量の増加を0.1〜10重量%に調整しうる条件である限り採用できるが、ヒドラジン系化合物濃度5〜80重量%の水溶液中、温度50〜120℃で1〜5時間処理する手段が工業的に好ましい。ここで、窒素含有量の増加とは、ヒドラジン系化合物による架橋処理前のアクリル繊維の窒素含有量と該処理後のアクリル繊維の窒素含有量との差をいう。
かかる架橋処理を施された繊維は、該処理で残留した薬剤を十分に除去した後、酸処理を施しても良い。ここに使用する酸としては、硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸や、有機酸等が挙げられるが、特に限定されない。該酸処理の条件としては、特に限定されないが、大概酸濃度3〜20重量%、好ましくは7〜15重量%の水溶液に、温度50〜120℃で0.5〜10時間繊維を浸漬するといった例が挙げられる。
上述のようにして架橋処理を施された繊維、あるいは、さらに酸処理を施された繊維は、次に加水分解処理を施される。該処理により、架橋処理時に未反応のまま残存しているニトリル基などが加水分解され、カルボキシル基が生成される。かかる加水分解処理の手段としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア等の塩基性水溶液、あるいは、硝酸、硫酸、塩酸等の水溶液中に架橋処理を施された繊維を浸漬した状態で加熱処理する手段が挙げられる。
具体的な処理条件としては、目的とするカルボキシル基の量などを勘案し、処理薬剤の濃度、反応温度、反応時間等の諸条件を適宜設定すればよいが、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%の処理薬剤水溶液中、温度50〜120℃で1〜10時間処理する手段が工業的、繊維物性的にも好ましい。なお、上述した架橋処理と同時に加水分解処理を行うこともできる。また、必要に応じて硝酸、硫酸などの酸性溶液や金属塩水溶液などで処理するなどしてカルボキシル基の塩型の種類や量を調節してもよい。
以上のようにして得られる繊維は、本発明に採用する架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物として好適に使用することができるものである。また、上述の製造例において、出発原料の形態を粒子の形態に変更すれば、粒子の形態の高分子化合物を得ることもできる。
また、粒子の形態を有する高分子化合物に関しては、架橋性単量体を用いる製造方法も好適である。すなわち、上述したような架橋性ビニル化合物とカルボキシル基に変性できる単量体とを共重合し、次いで、上述の製造例と同様の加水分解処理、および必要に応じて酸性溶液や金属塩水溶液などの処理を行うことにより、共有結合に基づく架橋構造とカルボキシル基を有し、かつ粒子の形態を有する高分子化合物を得ることができる。
また、本発明に採用する高分子化合物は、ある程度の水膨潤性を有するものであることが望ましい。高分子化合物に気化性防錆剤を付与するにあたっては、かかる防錆剤の水溶液を高分子化合物に含浸させる方法を用いるが、このとき、高分子化合物が水膨潤性を有するものであれば、気化性防錆剤を該高分子化合物の内部にまで行き渡らせることができる。すなわち、気化性防錆剤の担体としての高分子化合物をより有効に利用でき、また、高分子化合物内部の気化性防錆剤は、揮散が抑制されるので、長期防錆能にも寄与することができる。
かかる効果を得るためには、高分子化合物の水膨潤度を好ましくは0.2〜5g/g、より好ましくは0.2〜3g/gとすることが望ましい。0.2g/g未満の場合、気化性防錆剤が高分子化合物内部に吸収されず、多量の気化性防錆剤を付与したとしても、カルボキシル基と結合をしない気化性防錆剤が高分子化合物の表層部に多く存在することとなり、長期防錆能が不十分となる場合がある。一方、5g/gを越えると、高分子化合物内部に吸収される気化性防錆剤の量は頭打ちとなり、加えて、水膨潤による形態や強度への悪影響や乾燥負荷の増大の懸念が生じる。水膨潤度は、高分子化合物中の塩型カルボキシル基の量および対イオンの種類、架橋構造の量などを調節することによって上記数値範囲とすることが可能である。
本発明に採用する気化性防錆剤としては、上述した機能を発現するという点から、水溶性であり、カルボキシル基と結合を形成できるものであることが必要であり、具体的には、有機アミンの亜硝酸塩、有機アミンのカルボン酸塩、有機アミンの炭酸塩である。
有機アミンの亜硝酸塩としては、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライトなどが挙げられる。有機アミンのカルボン酸塩としては、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート、カプリル酸ジシクロヘキシルアンモニウムなどが挙げられる。有機アミンの炭酸塩としては、シクロヘキシルアミンカーボネートなどが挙げられる。なお、本発明の防錆シートにおいては、上述したような気化性防錆剤を単独で用いるだけでなく、必要に応じて、複数種組み合わせて用いてもよいことは言うまでもない。
気化性防錆剤の基材への付与量は、所望の防錆効果が得られるように適宜設定すればよいが、好ましくは2〜50g/m、より好ましくは4〜40g/mとなるように付与することが望ましい。2g/m未満の場合には、多くの場合で防錆効果が不十分となり、50g/mを超えると、製造コストが極めて高くなる一方で、防錆効果の向上はあまり期待できなくなる。
気化性防錆剤を基材へ付与する方法としては、気化性防錆剤の水溶液を浸漬、塗布、噴霧などして基材に含浸させる方法が挙げられる。具体的には、該水溶液をバーコ−ター、ロールコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、メイヤーバーコーター等の塗工機を用いて基材に塗布する方法、あるいはかかる水溶液をスプレー噴霧機を用いて基材に噴霧する方法などが挙げられる。これらの方法においては、気化性防錆剤の水溶液を付与した後、必要に応じてニップローラーなどで余分な水溶液を落とし、乾燥させる。このとき、付与した気化性防錆剤ができるだけ揮散しないように乾燥温度を調節することが望ましい。これらの方法では、気化性防錆剤水溶液の濃度やコーターによる塗布量、ニップローラーの絞り圧などを調整することで、上記範囲の気化性防錆剤付与量とすることができる。
また、これらの方法のほかに、予め上述した高分子化合物に気化性防錆剤を付与しておき、得られた気化性防錆剤を含有する高分子化合物を用いて、フィルム、不織布、紙などを作成することも可能である。例えば、フィルムの原料となる樹脂に気化性防錆剤を含有する高分子化合物を添加混合し、インフレーション法やTダイ法によって射出成形してフィルムとする方法や、気化性防錆剤を含有する高分子化合物と樹脂などを含有する塗工液をフィルム、不織布あるいは紙などに塗布する方法を挙げることができる。これらの方法の場合、上記の方法に比べて、気化性防錆剤付与後の工程が長くなるので、付与した気化性防錆剤ができるだけ揮散しないようにより注意することが望ましい。
本発明の防錆シートは、高分子化合物のカルボキシル基と気化性防錆剤が結合することにより防錆剤の不要な揮散を抑制し、防錆剤使用量を大幅に増加させることなく長期防錆能を十分に達成するものである。従って、高分子化合物のカルボキシル基と気化性防錆剤が1:1のモル比となる使用割合が基本的な使用割合となる。カルボキシル基に対する気化性防錆剤のモル比が1よりも大きい場合には、結合していない気化性防錆剤が存在するので、これらは早期に揮散し、長期防錆能には有効ではないが、初期の防錆効果を高めるには有効となる場合がある。一方、カルボキシル基に対する気化性防錆剤のモル比が1よりも小さい場合には防錆剤の担持に関与しないカルボキシル基が存在することになるが、かかるカルボキシル基はその吸湿性により雰囲気の湿度を低下させるので、防錆効果に有効に寄与できる。このように、高分子化合物と気化性防錆剤の使用量については、これらの各成分の説明において述べた絶対的な使用量だけでなく、互いの成分のモル比の影響を考慮して、所望の効果が得られるように設定することが望ましい。
本発明の防錆シートの構造としては、上述してきた気化性防錆剤を付与した基材のみからなるものであってもよいし、該基材と他の素材を組み合わせたものであってもよい。他の素材と組み合わせたものとしては、上述した不織布や紙の形態の基材に合成樹脂をラミネートしたものや、かかるラミネートしたものに対して、さらに合成樹脂クロスを積層したものなどを挙げることができる。なお、気化性防錆剤の付与は、ラミネートやクロスを積層した後に行うことも可能である。
上述してきた本発明の防錆シートは、優れた防錆効果を有し、具体的には、JIS−Z−1535 5.5による暴露後の気化性さび止め性試験において、1級H型および1級L形の等級、すなわち、暴露時間120時間後の速効性および遅効性の気化性さび止め効果の持続性「大」の性能を達成することが可能である。
以下に本発明の理解を容易にするために実施例を示すが、これらはあくまで例示的なものであり、本発明の要旨はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例中、部及び百分率は特に断りのない限り重量基準で示す。
<カルボキシル基量>
十分乾燥した試料約1gを精秤し(W1[g])、これに200mlの1mol/l塩酸水溶液を加え30分間放置したのちガラスフィルターで濾過し水を加えて水洗する。この処理を3回繰り返したのち、濾液のpHが5以上になるまで十分に水洗する。次に、この試料を200mlの水に入れ、1mol/l塩酸水溶液を添加してpH2にした後、0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液で常法に従って滴定曲線を求める。該滴定曲線からカルボキシル基に消費された水酸化ナトリウム水溶液消費量(V1[ml])を求め、次式によって全カルボキシル基量を算出する。
カルボキシル基量[mmol/g]=0.1×V1/W1
<水膨潤度>
試料を熱風乾燥機にて70℃で3時間乾燥し、重量を測定する(X[g])。次に、該試料を水に30分以上浸漬させた後、遠心加速度160G(Gは重力加速度を示す)で5分間脱水し、脱水後の重量を測定する(Y[g])。水膨潤度は、以下の式で計算する。
水膨潤度[g/g]=(Y−X)/X
なお、高分子化合物Eのエマルジョンについては、上記の方法を直接適用することができないため、以下のようにして水膨潤度を算出した。
1.ろ紙を純水に浸漬し、遠心加速度160Gで5分間脱水し重量を測定する(Y1[g])。
2.1で脱水したろ紙を熱風乾燥機にて70℃で3時間乾燥し、重量を測定する(X1[g])。
3.2で乾燥したろ紙を高分子化合物Eのエマルジョンに浸漬し、遠心加速度160Gで5分間脱水し重量を測定する(Y2[g])。
4.3で脱水したろ紙を熱風乾燥機にて70℃で3時間乾燥し、重量を測定する(X2[g])。
これらの測定値より、下記式によって、上記XおよびYに相当する数値を算出し、水膨潤度を求めた。
X(乾燥時の高分子化合物の重量)=X2−X1
Y(吸水時の高分子化合物の重量)=Y2−Y1
<防錆性>
JIS−Z−1535 5.5の暴露後の気化性さび止め性試験に準拠して評価する。なお、暴露条件は60±2℃で120時間とし、水を注入するまでの保持時間はH形で1時間、L形20時間する。試料はN=3個で行い、下記の評価基準に従って防錆性を判定した。
○:いずれの試料でも錆が発生しない。
△:1つの試料で錆が発生する。
×:2つ以上の試料で錆が発生する。
かかる判定において、「×」であれば、気化性さび止め効果の持続性に乏しく、長期防錆能は期待できない。「△」であれば、気化性さび止め効果の持続性が高く、雰囲気の条件や使用方法の工夫により長期防錆能を期待できる。「○」であれば、気化性さび止め効果の持続性が優れており、様々な条件下で十分な長期防錆能が発現できる。
<繊維の形態の高分子化合物Aの製造例>
アクリロニトリル90%及びアクリル酸メチル10%からなるアクリロニトリル系重合体10部を48%ロダンソーダ水溶液90部に溶解した紡糸原液を、常法に従って紡糸、延伸、乾燥してアクリル繊維aを得る。アクリル繊維aに、15%ヒドラジン水溶液中で110℃、3時間架橋導入処理を行い水洗する。次に、8%硝酸水溶液中で110℃、1時間酸処理を行い水洗する。続いて5%水酸化ナトリウム水溶液中で、90℃、2時間加水分解処理を行い水洗する。これにより、繊維の形態の高分子化合物Aが得られる。かかる高分子化合物Aの特性値を表1に示す。
<繊維の形態の高分子化合物Bの製造例>
上述したアクリル繊維aに、35%ヒドラジン水溶液中で103℃×3時間架橋導入処理を行い水洗する。次に、5%水酸化ナトリウム水溶液中で90℃×2時間加水分解処理を行い水洗する。これにより、繊維の形態の高分子化合物Bが得られる。かかる高分子化合物Bの特性値を表1に示す。
<繊維の形態の高分子化合物Cの製造例>
上述したアクリル繊維aに、35%ヒドラジン水溶液中で103℃×3時間架橋導入処理を行い水洗する。次に、5%水酸化ナトリウム水溶液中で50℃×2時間加水分解処理を行い水洗する。これにより、繊維の形態の高分子化合物Cが得られる。かかる高分子化合物Cの特性値を表1に示す。
<粒子の形態の高分子化合物Dの製造例>
アクリロニトリル55部、アクリル酸メチル10部、ジビニルベンゼン35部からなるモノマー混合物を、0.5部の過硫酸アンモニウムを含む水溶液300部に添加し、次いでピロ亜硫酸ナトリウム0.6部を加え、攪拌機付きの重合槽で65℃、2時間重合する。得られた粒子15部を水85部中に分散し、これに水酸化ナトリウム10部を添加し、90℃で0.5時間加水分解反応を行った後、洗浄、脱水、乾燥を行う。これにより、粒子の形態の高分子化合物Dが得られる。かかる高分子化合物Dの特性値を表1に示す。なお、該粒子の体積平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−200V(島津製作所製)を用いて測定したところ30μmであった。
<粒子の形態の高分子化合物Eの製造例>
アクリロニトリル450部、アクリル酸メチル40部、p−スチレンスルホン酸ソーダ45部及び水1181部を、オートクレーブに仕込み、さらに重合開始剤としてジーtert−ブチルパーオキシドを単量体総量に対して0.5%添加した後、密閉する。次いで攪拌下において160℃の温度にて10分間重合させることにより、ポリアクリロニトリル系重合体粒子のエマルジョン(固形分28%)が得られる。得られたエマルジョン370部に60%ヒドラジン50部および水850部を混合し、90℃、16時間の条件で処理を行うことにより架橋を導入する。さらに100部の水酸化ナトリウムを添加し、95℃で36時間反応を行うことにより、ニトリル基を加水分解してカルボキシル基に変換する。得られた加水分解後のエマルジョンをセルロース半透膜に入れ、イオン交換水中に浸し脱塩を行うことにより、粒子の形態の高分子化合物Eのエマルジョンが得られる。かかる高分子化合物Eの特性値を表1に示す。なお、該粒子の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置ELS−800(大塚電子製)を用いて測定したところ0.1μmであった。
<実施例1>
繊維の形態の高分子化合物Aと低融点繊維メルティ#4080(ユニチカ株式会社製)を60:40の割合で混綿し、サーマルボンド方式で厚さ0.25mmで坪量70g/mの不織布を作成する。該不織布に気化性防錆剤としてジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトおよびジイソプロピルアンモニウムナイトライトを8:2の割合で含有する水溶液に浸漬し、気化性防錆剤の塗工量が10g/mとなるように搾液後、105℃で1分間乾燥することで、実施例1の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表2に示す。なお、該防錆シートの高分子化合物含有量は不織布の組成と坪量から42g/mと算出される。
<実施例2>
実施例1において、繊維の形態の高分子化合物Aの代わりに繊維の形態の高分子化合物Bを用いること以外は同様にして、実施例2の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表2に示す。
<実施例3>
実施例1において、繊維の形態の高分子化合物Aの代わりに繊維の形態の高分子化合物Cを用いること以外は同様にして、実施例3の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表2に示す。
<実施例4>
実施例1において、高分子化合物Aとメルティ#4080の割合を80:20に変更する以外は同様にして、実施例4の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表2に示す。
<実施例5>
実施例1において、不織布として、高分子化合物A、メルティ#4080およびアクリル繊維が20:40:40の割合で坪量が坪量70g/mの不織布を用いること以外は同様にして、実施例5の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表2に示す。
<実施例6>
実施例1において、不織布として、高分子化合物A、メルティ#4080およびアクリル繊維が5:40:55の割合で坪量が坪量70g/mの不織布を用いること以外は同様にして、実施例6の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表2に示す。
<実施例7>
実施例1において、気化性防錆剤をジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトおよびシクロヘキシルアミンカーボネートが8:2であるものに変更する以外は同様にして、実施例7の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
<実施例8>
実施例1において、気化性防錆剤をシクロヘキシルアミンベンゾエートおよびモノエタノールアミンベンゾエートが9:1であるものに変更する以外は同様にして、実施例8の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
<実施例9>
実施例1において、気化性防錆剤の塗工量が30g/mとなるように変更する以外は同様にして、実施例9の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
<実施例10>
実施例1において、気化性防錆剤の塗工量が5g/mとなるように変更する以外は同様にして、実施例10の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
<実施例11>
実施例1において、気化性防錆剤の塗工量が2.5g/mとなるように変更する以外は同様にして、実施例11の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
<実施例12>
粒子の形態の高分子化合物D、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレートおよび水分散型ウレタン樹脂VONDIC1320NS(大日本インキ化学工業株式会社製)を各成分の割合が重量比で4:1:1となるように水中で調製し加工液とする。かかる加工液を坪量70g/mの未晒クラフト紙(王子製紙株式会社製)にメイヤーバーコーターで塗工し、気化性防錆剤の塗工量が10g/mとなるように搾液後、100℃で3分間乾燥することで、実施例12の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
<実施例13>
粒子の形態の高分子化合物Eのエマルジョン、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレートおよび水分散型ウレタン樹脂VONDIC1320NS(大日本インキ化学工業株式会社製)を、高分子化合物Eの塗工量が2g/m、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレートの塗工量が12g/mとできるように水中で調整し加工液とする。かかる加工液を坪量60g/mの中性クラフト紙(大興製紙株式会社製)にメイヤーバーコーターで塗工し、100℃で3分間乾燥することで、実施例13の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
<比較例1>
実施例1において、繊維の形態の高分子化合物Aの代わりに、アクリル繊維を用いること以外は同様にして、比較例1の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
<比較例2>
実施例1において、気化性防錆剤DICHAN/DIPANの代わりに、安息香酸ナトリウムを用いること以外は同様にして、比較例2の防錆シートを得る。得られる防錆シートの評価結果を表3に示す。
Figure 2012207360
Figure 2012207360
Figure 2012207360
表2,3の結果から明らかなように、実施例1〜13においては、長期防錆能が期待できる防錆シートが得られた。実施例3では、用いた高分子化合物Cのカルボキシル基量が少なめで膨潤度も低めであること、また、実施例6では、高分子化合物Aの使用量が少ないことから、いずれもカルボキシル基に結合した防錆剤が少なくなり、防錆性が「△」の評価となったと考えられる。一方、実施例13では、実施例6よりも高分子化合物の使用量は少ないが、防錆性は「○」の評価であった。これは、用いた高分子化合物が粒子径の小さいエマルジョンであり、比表面積が大きいことから、カルボキシル基に結合した防錆剤が多くなったためではないかと考えられる。また、実施例11では、気化性防錆剤の付与量が少ないことから、防錆性が「△」の評価となったと考えられる。一方、比較例1では、高分子化合物を全く用いなかったため、また、比較例2では、有機アミンの塩ではない気化性防錆剤を用いたため、長期防錆能が得られなかったと考えられる。
本発明の防錆シートは、JIS−Z−1535の60℃、120時間暴露後の初期及び長期防錆能を十分に達成できるので、酸化を受けやすい金属製品の保管・搬送・輸送時の発錆の防止に極めて有用である。

Claims (11)

  1. 有機アミンの亜硝酸塩、有機アミンのカルボン酸塩、及び有機アミンの炭酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の気化性防錆剤を付与した基材を含む防錆シートにおいて、基材が、架橋構造を有しかつカルボキシル基を有する高分子化合物を含むことを特徴とする防錆シート。
  2. 基材に対する気化性防錆剤の付与量が2〜50g/mであることを特徴とする請求項1に記載の防錆シート。
  3. 基材における高分子化合物の含有量が1〜500g/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の防錆シート。
  4. 高分子化合物のカルボキシル基量が1〜12mmol/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防錆シート。
  5. 高分子化合物の水膨潤度が0.2〜5g/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防錆シート。
  6. 高分子化合物が繊維の形態を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防錆シート。
  7. 高分子化合物が粒子の形態を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防錆シート。
  8. 気化性防錆剤が基材に含浸されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防錆シート。
  9. 基材が、気化性防錆剤が付与された高分子化合物を含浸させて得られたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防錆シート。
  10. 基材が、気化性防錆剤が付与された高分子化合物を練り込んで得られたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防錆シート。
  11. 気化性防錆剤および高分子化合物を含有させた基材が不織布、紙、またはフィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防錆シート。
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