JP2012117379A - 蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービンの鋳造部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温強度特性および鋳造性に優れた蒸気タービンの鋳造用Ni基合金、この蒸気タービンの鋳造用Ni基合金を用いて作製された蒸気タービンの鋳造部品を提供する。
【解決手段】実施形態の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金は、質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:15〜20、Co:7〜13、Mo:4〜7、Al:0.3〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、W+Mo(WとMoの合計):9〜12を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
【選択図】なし
【解決手段】実施形態の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金は、質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:15〜20、Co:7〜13、Mo:4〜7、Al:0.3〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、W+Mo(WとMoの合計):9〜12を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
【選択図】なし
Description
本発明の実施形態は、蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービンの鋳造部品に関する。
石炭火力発電設備から排出されるCO2を削減する手段として、石炭火力システムの高効率化を図ることが有効な手段であり、例えば、石炭火力発電設備に備えられている蒸気タービンの発電効率を向上させることで実現可能となる。蒸気タービンの発電効率の向上には、タービン蒸気温度を高温化することが最も効果的である。近年の火力発電プラントにおいて、その蒸気温度は600℃以上まで上昇しており、さらに現在、蒸気温度が700℃以上の火力発電システムの開発が世界的に行われている。
高温の蒸気に曝される蒸気タービンが備える、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスなどの鋳造部品は、高温になるとともに、高い応力が発生する。そのため、これらを構成する材料として、室温から高温の温度領域まで、優れた、強度、延性、靭性を有するものが求められている。
現在、蒸気タービンを構成する構成部品に使用されている材料は、Feを主成分とし、高温強度を向上させるためにCr、Mo等の元素を添加したFe基合金である。しかしながら、蒸気の温度が700℃以上となると、Fe基合金の耐熱温度を超えるため、さらに耐熱温度が高いNi基合金の適用が検討されている。
Ni基合金の代表例として、インコネル718合金(スペシャルメタル社製)やインコネル617合金(スペシャルメタル社製)が挙げられる。Ni基合金の強化機構は、大きく分けて析出強化型と固溶強化型に分けられる。析出強化型Ni基合金では、NiにAl、Ti、Ta、Nbを添加することによってγ’(ガンマプライム:Ni3(Al,Ti))相、あるいはγ”(ガンマダブルプライム:Ni3Nb)相 と呼ばれる析出相を析出させることによって高温での強度を向上させている。代表的な析出強化型Ni基合金としては、上記したインコネル718合金が挙げられる。一方、固溶強化型Ni基合金では、NiにCo、Mo、W等を添加することによって、母相そのものを強化している。代表的な固溶強化型Ni基合金としては、上記したインコネル617合金が挙げられる。
上記したように、700℃を超える蒸気環境下において使用される、蒸気タービンの構成部品の材料として、Ni基合金の適用が検討されている。蒸気タービンの構成部品の材料において、700℃を超える蒸気環境下における十分な高温強度が要求され、さらに、高温に長時間曝されるため、長時間に亘る材料の健全性が要求される。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、高温強度特性および鋳造性に優れた蒸気タービンの鋳造用Ni基合金、この蒸気タービンの鋳造用Ni基合金を用いて作製された蒸気タービンの鋳造部品を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金は、質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:15〜20、Co:7〜13、Mo:4〜7、Al:0.3〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、W+Mo(WとMoの合計):9〜12を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
以下、本発明の一実施の形態を説明する。
高温高圧の環境に設置される蒸気タービンの構成部品を構成する材料として、例えばインコネル617などのNi基合金は有用な材料であるが、蒸気温度の高温化に対応するために、強化元素を過剰添加すると、有害相と呼ばれる機械的特性の弱化を引き起こす相の析出が助長される。
例えば、従来のインコネル617にAl、Ti、Mo等の強化元素を複合添加すると、γ’相の析出量が増加してクリープ強度は向上する。しかしながら、強化元素の過剰な添加は、板状あるいは針状のσ相の析出を促進させる。このσ相は、主としてCr、Mo、Co、Niからなる金属間化合物である。硬くて脆いσ相が板状あるいは針状に析出することによって、き裂進展の起点となり、衝撃値、クリープ特性、低サイクル疲労などの機械的特性の低下を招くと考えられている。
本発明の一実施の形態の、蒸気タービンの鋳造用Ni基合金では、有害相を析出しない合金範囲において強化元素を添加することで、高温強度の向上が図られている。
本発明に係る一実施の形態における蒸気タービンの鋳造用Ni基合金は、以下に示す組成成分範囲で構成される。なお、以下の説明において組成成分を表す%は、特に明記しない限り質量%とする。
(M1)C:0.01〜0.15%、Cr:15〜20%、Co:7〜13%、Mo:4〜7%、Al:0.3〜2%、Ti:0.3〜2%、B:0.001〜0.006%、W+Mo(WとMoの合計):9〜12%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
(M2)C:0.01〜0.15%、Cr:15〜20%、Co:7〜13%、Mo:4〜7%、Al:0.3〜2%、Ti:0.3〜2%、B:0.001〜0.006%、Ta:0.1〜0.7%、W+Mo(WとMoの合計):9〜12%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
(M3)C:0.01〜0.15%、Cr:15〜20%、Co:7〜13%、Mo:4〜7%、Al:0.3〜2%、Ti:0.3〜2%、B:0.001〜0.006%、Nb:0.1〜0.4%、W+Mo(WとMoの合計):9〜12%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
(M4)C:0.01〜0.15%、Cr:15〜20%、Co:7〜13%、Mo:4〜7%、Al:0.3〜2%、Ti:0.3〜2%、B:0.001〜0.006%、Ta+2Nb(Ta含有量と、Nb含有量の2倍との合計):0.1〜0.7%、W+Mo(WとMoの合計):9〜12%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
また、上記した(M1)〜(M4)のNi基合金における不可避的不純物のうち、少なくとも、Siが0.1%以下、Mnが0.1%以下に抑制されていることが好ましい。なお、不可避的不純物としては、上記した、SiおよびMnの他に、例えば、Cu、FeおよびSなどが挙げられる。
上記した組成成分範囲のNi基合金は、運転時の温度が680〜750℃となる蒸気タービンの鋳造部品を構成する材料として好適である。蒸気タービンの鋳造部品として、例えば、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスなどが挙げられる。
ここで、タービンケーシングは、タービン動翼が植設されたタービンロータが貫通し、内周面にノズルが配設され、蒸気が導入されるタービン車室を構成するケーシングである。バルブケーシングは、蒸気タービンに供給する、高温高圧の蒸気の流量を調整したり、蒸気の流れを遮断したりする蒸気弁として機能するバルブのケーシングである。特に、温度が680〜750℃の蒸気が流動するバルブのケーシングなどが例示できる。ノズルボックスは、蒸気タービン内に導入された高温高圧の蒸気を、出口に設けられた第1段ノズルを介して第1段のタービン動翼に向けて導出する、タービンロータの周囲に亘って設けられた環状の蒸気流路である。これらのタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスは、いずれも高温高圧の蒸気に曝される環境に設置される。
ここで、上記した蒸気タービンの鋳造部品のすべての部位を上記したNi基合金で構成しても、また、特に高温となる蒸気タービンの鋳造部品の一部の部位を上記したNi基合金で構成してもよい。ここで、蒸気タービンの鋳造部品が高温となるのは、具体的には、例えば、高圧蒸気タービン部の全領域、または高圧蒸気タービン部から中圧蒸気タービン部の一部分までの領域などが挙げられる。さらに、蒸気タービンの鋳造部品が高温となるのは、高圧蒸気タービンに蒸気を導入する主蒸気ライン部などが挙げられる。なお、蒸気タービンの鋳造部品が高温となる部分は、これらに限られるものではなく、例えば、温度が680〜750℃程度となる部分であればこれに含まれる。
また、上記した組成成分範囲のNi基合金は、従来のNi基合金よりも、高温強度特性および鋳造性に優れている。すなわち、このNi基合金を用いて、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスなどの蒸気タービンの鋳造部品を構成することで、高温環境下においても高い信頼性を有するタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスなどの鋳造部品を提供することができる。
次に、上記した本発明に係る一実施の形態の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金における各組成成分範囲の限定理由を説明する。
(1)C(炭素)
Cは、強化相であるM23C6型炭化物の構成元素として有用であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23C6型炭化物を析出させることが合金のクリープ強度を維持させる要因の一つである。また、鋳造時の溶湯の流動性を確保する効果も併せ持つ。Cの含有率が0.01%未満の場合には、炭化物の十分な析出量を確保することができないため、機械的強度(高温強度特性、以下同じ)が低下するとともに、鋳造時の溶湯の流動性が著しく低下する。一方、Cの含有率が0.15%を超えると、大型鋳塊作製時の成分偏析傾向が増加するとともに、粗大な炭化物の粒界析出により衝撃値の低下を引き起こす。そのため、Cの含有率を0.01〜0.15%とした。また、Cの含有率のより好ましい範囲は、0.05〜0.1%である。
Cは、強化相であるM23C6型炭化物の構成元素として有用であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23C6型炭化物を析出させることが合金のクリープ強度を維持させる要因の一つである。また、鋳造時の溶湯の流動性を確保する効果も併せ持つ。Cの含有率が0.01%未満の場合には、炭化物の十分な析出量を確保することができないため、機械的強度(高温強度特性、以下同じ)が低下するとともに、鋳造時の溶湯の流動性が著しく低下する。一方、Cの含有率が0.15%を超えると、大型鋳塊作製時の成分偏析傾向が増加するとともに、粗大な炭化物の粒界析出により衝撃値の低下を引き起こす。そのため、Cの含有率を0.01〜0.15%とした。また、Cの含有率のより好ましい範囲は、0.05〜0.1%である。
(2)Cr(クロム)
Crは、Ni基合金の耐酸化性、耐食性および機械的強度を高めるのに不可欠な元素である。また、M23C6型炭化物の構成元素として不可欠であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23C6型炭化物を析出させることで、合金のクリープ強度が維持される。また、Crは、高温蒸気環境下における耐酸化性を高める。Crの含有率が15%未満の場合には、耐酸化性が低下する。一方、Crの含有率が20%を超えると、M23C6型炭化物の析出を著しく促進することによって粗大化傾向を高め、脆化相であるσ相の析出が増加する。そのため、Crの含有率を15〜20%とした。また、Crの含有率のより好ましい範囲は、18〜19%である。
Crは、Ni基合金の耐酸化性、耐食性および機械的強度を高めるのに不可欠な元素である。また、M23C6型炭化物の構成元素として不可欠であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23C6型炭化物を析出させることで、合金のクリープ強度が維持される。また、Crは、高温蒸気環境下における耐酸化性を高める。Crの含有率が15%未満の場合には、耐酸化性が低下する。一方、Crの含有率が20%を超えると、M23C6型炭化物の析出を著しく促進することによって粗大化傾向を高め、脆化相であるσ相の析出が増加する。そのため、Crの含有率を15〜20%とした。また、Crの含有率のより好ましい範囲は、18〜19%である。
(3)Co(コバルト)
Coは、Ni基合金において、母相内に固溶して母相の機械的強度を向上させる。しかしながら、Coの含有率が13%を超えると、湯流れ性が低下する。また、経済性が損なわれ、製造コストが増加する。一方、Coの含有率が7%未満の場合には、機械的強度が低下する。そのため、Coの含有率を7〜13%とした。また、Coの含有率のより好ましい範囲は、11〜13%である。
Coは、Ni基合金において、母相内に固溶して母相の機械的強度を向上させる。しかしながら、Coの含有率が13%を超えると、湯流れ性が低下する。また、経済性が損なわれ、製造コストが増加する。一方、Coの含有率が7%未満の場合には、機械的強度が低下する。そのため、Coの含有率を7〜13%とした。また、Coの含有率のより好ましい範囲は、11〜13%である。
(4)Mo(モリブデン)
Moは、Ni母相中に固溶して母相の機械的強度を向上させる効果を有し、また、M23C6型炭化物中に一部が置換することによって炭化物の安定性を高める。Moの含有率が4%未満の場合には、σ相の析出は抑制されるが、上記した効果が発揮されない。一方、Moの含有率が7%を超えると、σ相の析出量が増加し、衝撃値、クリープ特性、低サイクル疲労寿命などの機械的特性の低下が顕著になる。そのため、Moの含有率を4〜7%とした。また、Moの含有率のより好ましい範囲は、5〜7%である。
Moは、Ni母相中に固溶して母相の機械的強度を向上させる効果を有し、また、M23C6型炭化物中に一部が置換することによって炭化物の安定性を高める。Moの含有率が4%未満の場合には、σ相の析出は抑制されるが、上記した効果が発揮されない。一方、Moの含有率が7%を超えると、σ相の析出量が増加し、衝撃値、クリープ特性、低サイクル疲労寿命などの機械的特性の低下が顕著になる。そのため、Moの含有率を4〜7%とした。また、Moの含有率のより好ましい範囲は、5〜7%である。
(5)Al(アルミニウム)
Alは、Niとともにγ’(Ni3Al)相を生成し、析出によるNi基合金の機械的強度を向上させる。Alの含有率が0.3%未満の場合には、機械的強度が従来鋼と比べて向上されない。一方、Alの含有率が2%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。そのため、Alの含有率を0.3〜2%とした。また、Alの含有率のより好ましい範囲は、1〜1.5%である。
Alは、Niとともにγ’(Ni3Al)相を生成し、析出によるNi基合金の機械的強度を向上させる。Alの含有率が0.3%未満の場合には、機械的強度が従来鋼と比べて向上されない。一方、Alの含有率が2%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。そのため、Alの含有率を0.3〜2%とした。また、Alの含有率のより好ましい範囲は、1〜1.5%である。
(6)Ti(チタン)
Tiは、γ’(Ni3Al)相中のAlと置換して(Ni3(Al,Ti)となり、機械的強度を向上させる。Tiの含有率が0.3%未満の場合には、上記した効果が発揮されず、Tiの含有率が2%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。そのため、Tiの含有率を0.3〜2%とした。また、Tiの含有率のより好ましい範囲は、1〜1.5%である。
Tiは、γ’(Ni3Al)相中のAlと置換して(Ni3(Al,Ti)となり、機械的強度を向上させる。Tiの含有率が0.3%未満の場合には、上記した効果が発揮されず、Tiの含有率が2%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。そのため、Tiの含有率を0.3〜2%とした。また、Tiの含有率のより好ましい範囲は、1〜1.5%である。
(7)B(ホウ素)
Bは、粒界に偏析して機械的特性を向上させる。Bの含有率が0.001%未満の場合には、上記した効果が発揮されない。一方、Bの含有率が0.006%を超えると、粒界脆化を招き、溶接性が悪化する。そのため、Bの含有率を0.001〜0.006%とした。また、Bの含有率のより好ましい範囲は、0.003〜0.004%である。
Bは、粒界に偏析して機械的特性を向上させる。Bの含有率が0.001%未満の場合には、上記した効果が発揮されない。一方、Bの含有率が0.006%を超えると、粒界脆化を招き、溶接性が悪化する。そのため、Bの含有率を0.001〜0.006%とした。また、Bの含有率のより好ましい範囲は、0.003〜0.004%である。
(8)W(タングステン)
Wは、Moと同様に、Ni母相中に固溶して母相の機械的強度を向上させる効果を有する。また、Wは、Moよりもσ相の析出に与える影響は小さい。W+Mo(WとMoの合計)の含有率が12%を超えると、σ相の析出が顕著となり、機械的特性が低下する。一方、W+Moの含有率が9%未満の場合には、機械的強度を向上させる効果が発揮されない。そのため、W+Moの含有率を9〜12%とした。また、W+Moの含有率のより好ましい範囲は、10〜12%である。
Wは、Moと同様に、Ni母相中に固溶して母相の機械的強度を向上させる効果を有する。また、Wは、Moよりもσ相の析出に与える影響は小さい。W+Mo(WとMoの合計)の含有率が12%を超えると、σ相の析出が顕著となり、機械的特性が低下する。一方、W+Moの含有率が9%未満の場合には、機械的強度を向上させる効果が発揮されない。そのため、W+Moの含有率を9〜12%とした。また、W+Moの含有率のより好ましい範囲は、10〜12%である。
(9)Ta(タンタル)
Taは、γ’(Ni3(Al,Ti))相に固溶して、機械的強度を向上させ、γ’相の析出強度を安定させる。Taの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Taの含有率が0.7%を超えると、鋳造性が低下する。そのため、Taの含有率を0.1〜0.7%とした。また、Taの含有率のより好ましい範囲は、0.1〜0.3%である。
Taは、γ’(Ni3(Al,Ti))相に固溶して、機械的強度を向上させ、γ’相の析出強度を安定させる。Taの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Taの含有率が0.7%を超えると、鋳造性が低下する。そのため、Taの含有率を0.1〜0.7%とした。また、Taの含有率のより好ましい範囲は、0.1〜0.3%である。
(10)Nb(ニオブ)
Nbは、Taと同様に、γ’(Ni3(Al,Ti))相に固容して、機械的強度を向上させ、γ’相の析出強度を安定させる。Nbの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Nbの含有率が0.4%を超えると、溶解や鋳造の際に偏析を招く。そのため、Nbの含有率を0.1〜0.4%とした。また、Nbの含有率のより好ましい範囲は、0.2〜0.4%である。
Nbは、Taと同様に、γ’(Ni3(Al,Ti))相に固容して、機械的強度を向上させ、γ’相の析出強度を安定させる。Nbの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Nbの含有率が0.4%を超えると、溶解や鋳造の際に偏析を招く。そのため、Nbの含有率を0.1〜0.4%とした。また、Nbの含有率のより好ましい範囲は、0.2〜0.4%である。
ここで、上記したTaとNbを複合的に添加してもよい。Taの原子量は、Nbの原子量のおよそ2倍であることから、Ta換算等量として、Ta含有量と、Nb含有量の2倍との合計(Ta+2Nb)が広く使用されている。
例えば、Taを0.2%、Nbを0.1%含有した場合、Ta換算等量(Ta+2Nb)は、0.2+0.1×2=0.4%となり、Ta単独で0.4%含有した場合と同様の効果が得られると考えられる。また、Taを0.2%、Nbを0.1%含む合金100g中におけるTa、Nbのモル数は、Taにおいては0.0011mol(0.2/180.9)、Nbにおいては0.0011mol(0.1/92.9=0.0011)となる。すなわち、TaおよびNbを合計した原子は、0.0022mol存在することとなる。一方、Ta単独で0.4%含有した合金100g中におけるTaのモル数は、0.0022mol(0.4/180.9)であり、上記したTaおよびNbを合計した原子と、ほぼ同数のTa原子が含まれることとなる。
Taの含有量と、Nbの含有量の2倍とを合計した含有量の占める割合(含有率)が0.1〜0.7%の範囲で含有することで、γ’相(ガンマプライム相:Ni3(Al,Ti))の析出強度を向上させる。この含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、含有率が0.7%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。また、Ta+2Nbの含有率のより好ましい範囲は、0.3〜0.7%である。
(11)Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Fe(鉄)およびS(硫黄)
Si、Mn、Cu、FeおよびSは、本発明に係るNi基合金においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。また、これらの不可避的不純物のうち、少なくとも、SiおよびMnは、0.1%以下に抑制されることが好ましい。
Si、Mn、Cu、FeおよびSは、本発明に係るNi基合金においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。また、これらの不可避的不純物のうち、少なくとも、SiおよびMnは、0.1%以下に抑制されることが好ましい。
Siは、普通鋼の場合、耐食性を補うため添加される。しかしながら、Ni基合金はCr含有量が多く、十分に耐食性を確保できることから、本発明に係る一実施の形態における蒸気タービンの鋳造用Ni基合金では、Siの残存含有率を0.1%以下とし、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。
Mnは、普通鋼の場合、脆性に起因するS(硫黄)をMnSとして脆性を防止する。しかしながら、Ni基合金におけるSの含有量は極めて少なく、Mnを添加する必要はない。そのため、本発明に係る一実施の形態における蒸気タービンの鋳造用Ni基合金では、Mnの残存含有率を0.1%以下とし、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。
ここで、本発明に係る一実施の形態の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金、およびこの鋳造部品用Ni基合金を用いて製造される蒸気タービンの鋳造部品の製造方法について説明する。
本発明に係る一実施の形態の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金は、この鋳造部品用Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯を所定の型枠に注入して鋳塊を形成し、その鋳塊に溶体化処理および時効処理を施すことで作製される。
また、本発明に係る一実施の形態の鋳造部品であるタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスは、例えば、本発明に係る一実施の形態の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯をタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスの形状に形成するための型枠に注入して大気鋳造し、溶体化処理および時効処理を施すことで作製される。
また、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスは、本発明に係る一実施の形態の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金を構成する組成成分を電気炉溶解(EF)し、アルゴン−酸素脱炭(AOD)を行い、その溶湯をタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスの形状に形成するための型枠に注入して大気鋳造し、溶体化処理および時効処理を施すことで作製されてもよい。
ここで、溶体化処理では、1050〜1150の温度範囲で3〜15時間維持することが好ましい。ここで、溶体化処理温度は、γ’相析出物を均質に固溶化するために行われ、温度が1050℃を下回る温度では十分に固溶されず、1150℃を上回る温度では結晶粒の粗大化により強度が低下する。
また、時効処理では、700〜800℃の温度範囲で10〜48時間維持することが好ましい。これによって、γ’相を早期に析出させることができる。
なお、上記した、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスを作製する方法は、上記した方法に限定されるものではない。
以下に、本発明に係る蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金が、高温強度特性および鋳造性に優れていることを説明する。
(高温強度特性および鋳造性の評価)
ここでは、本発明の一実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金が、優れた、高温強度特性および鋳造性を有することを説明する。表1は、高温強度特性および鋳造性の評価に用いられた試料1〜試料32の化学組成を示す。なお、試料1〜試料17は、本発明の一実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金であり、試料18〜試料32は、その組成が本発明の一実施の形態の化学組成範囲にないNi基合金であり、比較例である。なお、ここで使用した本発明の一実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金には、不可避的不純物として、Si、Mn以外に、Fe、Cu、Sが含まれている。
ここでは、本発明の一実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金が、優れた、高温強度特性および鋳造性を有することを説明する。表1は、高温強度特性および鋳造性の評価に用いられた試料1〜試料32の化学組成を示す。なお、試料1〜試料17は、本発明の一実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金であり、試料18〜試料32は、その組成が本発明の一実施の形態の化学組成範囲にないNi基合金であり、比較例である。なお、ここで使用した本発明の一実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金には、不可避的不純物として、Si、Mn以外に、Fe、Cu、Sが含まれている。
高温強度特性をクリープ破断試験によって評価した。クリープ破断試験では、表1に示す化学組成を有する試料1〜試料32のNi基合金をそれぞれ真空誘導溶解炉にて溶解し、押し湯部分を切断し、20kgの鋳塊を作製した。続いて、この鋳塊に対して、1100℃で4時間溶体化処理を施して、780℃で30時間時効処理を施して、鋳造合金とした。そして、この鋳造合金から所定のサイズの試験片を作製した。
そして、各試料による試験片に対して、温度が700℃、10万時間におけるクリープ破断強度を測定した。なお、クリープ破断試験は、JIS Z 2271の規格に準じて行われた。
ここで、クリープ破断試験における温度条件である700℃は、蒸気タービンの通常の運転時の温度条件およびそれに安全率を見込んだ温度を考慮して設定した。クリープ破断試験の測定結果を表2に示す。
また、各試料に対して鋳造性の評価を行った。鋳造性の評価では、上記した鋳塊を縦に2分割に切断し、切断面についてJIS Z 2343−1(非破壊試験−浸透探傷試験−第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類)に基づいて、浸透探傷試験(PT)を行い、鋳造割れの有無を目視観察した。鋳造性の評価結果を表2に示す。ここで、表2において、鋳造割れがない場合には「無」と示し、さらに、鋳造性が優れていることを示すため、鋳造性の評価を「○」で示す。一方、鋳造割れがある場合には「有」と示し、さらに、鋳造性が劣ることを示すため、鋳造性の評価を「×」で示す。
表2に示すように、試料1〜試料17は、試料18〜試料32に比べて、高いクリープ破断強度を有し、かつ鋳造性が優れていることがわかった。
一方、比較例に係る試料18〜試料32では、高温強度特性および鋳造性の双方に優れた結果は得られなかった。
以上説明した実施形態によれば、高温強度特性および鋳造性に優れた蒸気タービンの鋳造用Ni基合金、この蒸気タービンの鋳造用Ni基合金を用いて作製された蒸気タービンの鋳造部品を提供することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:15〜20、Co:7〜13、Mo:4〜7、Al:0.3〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、W+Mo(WとMoの合計):9〜12を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
- 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:15〜20、Co:7〜13、Mo:4〜7、Al:0.3〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Ta:0.1〜0.7、W+Mo(WとMoの合計):9〜12を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
- 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:15〜20、Co:7〜13、Mo:4〜7、Al:0.3〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Nb:0.1〜0.4、W+Mo(WとMoの合計):9〜12を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
- 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:15〜20、Co:7〜13、Mo:4〜7、Al:0.3〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Ta+2Nb(Ta含有量と、Nb含有量の2倍との合計):0.1〜0.7、W+Mo(WとMoの合計):9〜12を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
- 前記不可避的不純物のうち、少なくとも、Siを0.1質量%以下、Mnを0.1質量%以下に抑制したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
- 請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金を用いて、少なくとも所定部位が鋳造により作製されたことを特徴とする蒸気タービンの鋳造部品。
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