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JP2012028181A - 酵素電極およびそれを備える燃料電池 - Google Patents

酵素電極およびそれを備える燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】酵素電極における酵素反応を効率化し、従来のものより高出力の酵素電極およびそれを用いたバイオ燃料電池を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明により、導電性基材に、炭素微粒子と、酵素と、酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンの少なくとも一方を含む金属酸化物とを含む混合物が固定された酵素電極、およびそれを用いた燃料電池が提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は酵素電極ならびに酵素電極をアノード極およびカソード極の少なくとも一方に有する燃料電池に関する。
近年、環境問題や資源問題への対策の一つとして、燃料電池に対する関心が高まっている。燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に燃料と酸化剤を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。電気化学的にエネルギーを取り出す燃料電池は、火力発電などとは異なってカルノーサイクルの制約を受けないため、高いエネルギー変換効率を示す。一般的に知られている燃料電池の種類としては、固体高分子型燃料電池(PEFC)、アルカリ電解質形燃料電池(AFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)およびダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)などがある。これらの燃料電池は、触媒として白金(Pt)を使用することが多い。しかし、白金は非常に高価な材料であるため、そのことが燃料電池普及の障害の一つとなっている。
一方、触媒として白金を使用しない燃料電池として、バイオ燃料電池が注目されている。バイオ燃料電池は、生体内の代謝メカニズムを応用した燃料電池である。バイオ燃料電池では、アノード電極およびカソード電極の少なくとも一方に、酸化還元酵素が固定された酵素電極が一般的に用いられる。酵素の固定は、例えば導電性の電極基材に、炭素微粒子と結着剤の混合物に酵素を加えたものを塗布するなどして行われる。
バイオ燃料電池の出力を向上させるため、酵素電極を改良する様々な試みがなされている。例えば、特許文献1には生体触媒型直接アルコール燃料電池において、酵素反応により生じる電子を受け取り電極に伝達する電子メディエータを安定させる目的で、酵素電極にTiOなどの金属酸化物を添加することが提案されている。
特開2004−165142号
カーボンブラックに代表される炭素微粒子は、比表面積が大きく電極材料として有用であるため、酵素電極の調製に用いられることが多い。しかし、炭素微粒子は一般に疎水性を示し、酵素との親和性が低いため、そのままでは電極上に酵素を十分な量担持させることは難しかった。また、電極触媒に用いる酵素は通常反応に水を必要とするため、疎水環境では十分な性能を発揮することは難しかった。バイオ燃料電池の課題として出力の低さが掲げられており、酵素電極、そしてバイオ燃料電池の出力向上のために、酵素反応の効率をより高める手段が求められている。
本発明者は、炭素微粒子と酵素に加えて特定の金属酸化物を含む混合物が導電性基材に固定された酵素電極では、酵素反応が効率化し、出力が向上することを見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)導電性基材に、炭素微粒子、酵素、ならびに酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンの少なくとも一方を含む金属酸化物を含む混合物が固定された酵素電極。
(2)炭素微粒子1gに対し15〜130mmolの金属酸化物を含む、(1)に記載の酵素電極。
(3)炭素微粒子および金属酸化物を溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを導電性基材に塗布した後、酵素を固定化させることにより製造される、(1)または(2)に記載の酵素電極。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の酵素電極をアノード極およびカソード極の少なくとも一方に有する燃料電池。
(5)炭素微粒子と、酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンの少なくとも一方を含む金属酸化物とを溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを導電性基材に塗布した後、酵素を固定化させることを含む、酵素電極の製造方法。
本発明によれば、従来と比較して電極出力が向上した酵素電極を提供することができる。そして、本発明の酵素電極を用いることにより、従来よりも高出力なバイオ燃料電池を提供することができる。
酵素電極を評価するために用いた評価用の燃料電池セルの概略図である。 実施例および比較例の電極のクロノアンペロメトリー測定の結果を示すグラフである。 電極に固定された酵素量とクロノアンペロメトリー測定で得られた電流値との関係を示すグラフである。 酸化モリブデンを含む電極において、酵素を含む場合と含まない場合のクロノアンペロメトリー測定の結果を示すグラフである。 酸化モリブデン混合量と出力電流の関係を示すグラフである。
本発明の酵素電極は、導電性基材に、炭素微粒子と、酵素と、酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンの少なくとも一方を含む金属酸化物とを含む混合物が固定されていることを特徴とする。該混合物には、さらに結着剤が含まれていてもよい。結着剤としては、テフロン(登録商標)の他、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などに代表される高分子有機化合物溶液や、ナフィオン(登録商標)などの水素イオン伝導性を有する樹脂の分散溶液を用いることができる。例えば、酸素を基質とする酵素を用いた酵素電極の場合、酸素の通気道を確保する目的から、結着剤は結着性に加えて撥水性を有するもの(疎水性であるもの)が好ましいが、親水性の結着剤に撥水性を示す物質を混合して用いることもできる。また、結着剤は導電性を示す物質でもよいし、非導電性を示す物質でもよい。ただし、結着剤は過剰に添加すると炭素微粒子を覆って、表面に存在する微細孔を塞いでしまい、酵素の吸着を阻害するおそれがある。従って、酵素電極の出力向上のためには、その使用量は最小限とすることが好ましい。結着剤の使用量は炭素微粒子1gに対して1g以下、0.9g以下、0.8g以下、さらに0.7g以下とするのが好ましい。なお、導電性基材上に固定された該混合物において、炭素微粒子、酵素および金属酸化物などの各成分は完全に均一に分散していなくてもよい。
本発明で用いる導電性基材としては、例えばグラファイト、カーボンブラック、活性炭、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等の導電性炭素質からなるものや、金、白金、チタン、ニッケル等の金属からなるものなど、一般的なものを用いることができる。
本発明で用いる炭素微粒子としては、例えばカーボンブラック、活性炭をはじめ、表面にナノスケールの細孔を有するナノポーラスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンなどを用いることができる。
本発明で用いる酵素としては、例えばデヒドロゲナーゼや、オキシダーゼなどの酸化還元酵素を用いることができる。酸化還元酵素の具体例としては、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、フルクトースデヒドロゲナーゼ(FDH)、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ(GOD)、アルコールオキシダーゼ(AOD)、アルデヒドオキシダーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ギ酸オキシダーゼ、ジアホラーゼ、マルチ銅オキシダーゼなどが挙げられる。酵素は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の酵素電極は燃料電池のアノード極およびカソード極のいずれとしても用いることができる。本発明の酵素電極をアノード極として使用する場合、酵素は基質を酸化する酵素である。一方、本発明の酵素電極をカソード極として使用する場合、酵素は基質を還元する酵素である。
本発明で用いる金属酸化物は、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化モリブデン(MoOまたはMoO)の少なくとも一方を含む。本発明で用いる金属酸化物は、酸化ジルコニウム(ZrO)と酸化モリブデン(MoOまたはMoO)の両方を含んでいてもよく、また他の金属酸化物を含んでいてもよい。酸化ジルコニウムや酸化モリブデンに加えて含みうる金属酸化物としては、酸化マンガン(MnO)、酸化イットリウム(Y)、酸化チタン(TiO)、酸化鉄(Fe)、酸化アルミニウム(Al)などが挙げられる。本発明で用いる金属酸化物は、好ましくは酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化モリブデン(MoOまたはMoO)から、あるいは酸化ジルコニウム(ZrO)または酸化モリブデン(MoOまたはMoO)のいずれかからなる。
酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンは、炭素微粒子と混合すると、通常は疎水性である炭素微粒子に親水性(保水性)を付与する。その結果、電極と酵素の親和性が向上し、電極上に固定される酵素量が増えると考えられる。また、酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンは、電極上に固定された酵素を活性化させ、酵素電極の出力を向上させる作用を有すると考えられる。酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデン、特に酸化モリブデンは、オキシダーゼ、とりわけビリルビンオキシダーゼ(BOD)の活性を高めるのに特に適していると考えられる。酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンの少なくとも一方を含む金属酸化物は、炭素微粒子1gに対し15〜130mmol、さらに30〜120mmol、特に40〜100mmol、とりわけ50〜80mmolの範囲で用いるのが、酵素活性化効果の観点から好ましい。
本発明の酵素電極は、例えば炭素微粒子および金属酸化物、ならびに所望により結着剤を溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを導電性基材に塗布し、溶媒を蒸発させた後、酵素を固定化させることにより製造することができる。あるいは、酵素が失活しないようにできるのであれば、予め酵素もスラリーに混合させておき、酵素を含むスラリーを導電性基材に塗布し、溶媒を蒸発させて酵素電極を製造してもよい。スラリーを調製するための溶媒としては、炭素微粒子などを分散可能であり、導電性基材にスラリーを塗布した後に蒸発させて除去可能なものであれば特に限定されない。利用可能な溶媒の具体例としては、例えば2−プロパノール、エタノール、メタノールなどのアルコール系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、およびトルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒といった有機溶媒、水、ならびにリン酸ナトリウムバッファーやリン酸カリウムバッファーなどの各種バッファー水溶液が挙げられる。酵素の電極への固定化は、炭素微粒子および金属酸化物を含むスラリーを導電性基材に塗布した後、溶媒を蒸発させて電極を乾燥させた後に、電極を酵素溶液に浸漬させることにより、あるいは電極に酵素溶液を塗布あるいは滴下するなどした後に静置し、溶液に含まれる酵素を電極に物理吸着させることにより行うことができる。また、酵素の固定化は、物理吸着に限らず、グルタルアルデヒドなどの化学薬品を用いた架橋反応による化学固定法や、ポリエルリジンやキトサンなどを用いたポリイオンコンプレックス法など、酵素固定化法として知られているあらゆる手法を用いることができる。酵素溶液は、例えばリン酸カリウムバッファーなどの緩衝溶液に酵素を溶解させたものを用いることができる。
本発明の酵素電極は、燃料電池におけるアノード極およびカソード極の少なくとも一方として用いることができる。すなわち、本発明は上述したような酵素電極をアノード極およびカソード極の少なくとも一方に有する燃料電池(すなわちバイオ燃料電池)にも関する。
本発明の酵素電極をアノード極として用いる場合、電極に用いた酵素の反応の基質となる物質が燃料としてアノード極側に供給される。燃料の具体例としては、メタノールやエタノールなどのアルコール類、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、ギ酸や酢酸などのカルボン酸類、グルコース、フルクトースなどの糖類などが挙げられる。燃料は電極に固定された酵素に応じて適宜選択することができ、例えば水溶液の状態で系中に供給される。一方、カソード極では大気中から酸素を取り込み、水を生成する。本発明の燃料電池の構成は、酵素電極の他は当業者に公知の構成とすることができる。
本発明の燃料電池には、さらに電子メディエータが用いられていてもよい。電子メディエータとは、酵素又は補酵素と電子を授受し、さらに導電性基材とも電子を授受することができる物質を意味する。電子メディエータとして用いることができる化合物の例としては、例えば、Os、Fe、Ru、Co、Cu、Ni、V、Mo、Cr、Mn、Pt、Wなどの金属元素またはこれら金属のイオンを中心金属とする金属錯体(フェロセン、フェリシアン化カリウム、フェリシアン化リチウム、フェリシアン化ナトリウムなどのフェリシアン化アルカリ金属、またはこれらのアルキル置換体(メチル置換体、エチル置換体、プロピル置換体等)、オクタシアノタングステン酸カリウムなど);キノン、ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノンなどのキノン類;ビオローゲン、メチルビオローゲン、ベンジルビオローゲン、フェナジンメトサルフェート、フェナジンエトサルフェート、ビピリジンまたはその誘導体などの複素環式化合物;その他、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、メチレンブルー、β−ナフトキノン−4−スルホン酸カリウム、ビタミンKなどが挙げられる。電子メディエータは、酵素と共に酵素電極に固定されていてもよいし、燃料溶液中に加えられていてもよい。
本発明の燃料電池には、さらに酵素の働きを補助する補酵素が用いられていてもよい。補酵素としては、例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型:NAD、還元型:NADH、NAD/NADHとも称する)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型:NADP、還元型:NADPH、NADP/NADPHとも称する)、シトクロム、キノン類(例えば、ピロロキノリンキノン)などが挙げられる。これらの中でも様々な酵素に対して補酵素として機能するNAD/NADHあるいはNADP/NADPH(これらを併せてNAD(P)/NAD(P)Hとも称する)が特に好ましい。補酵素は酵素と共に酵素電極に固定されていてもよいし、燃料溶液中に加えられていてもよい。
本発明の酵素電極は、燃料電池の他にも例えばバイオセンサー用の電極としても用いることができる。本発明の酵素電極を用いると高い出力が得られるため、そのような用途においても有利である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.酵素固定化電極の作製
(1)炭素微粒子スラリーの調製
超音波破砕機を用いて炭素微粒子スラリーを調製した。結着剤としてはテフロン(登録商標)を用いた。ガラスバイアル瓶に下記分量で各成分を計りとり、十分に分散するまで超音波処理した。表1に超音波処理に供したスラリー組成を示す。
Figure 2012028181
各実施例および比較例で用いた金属酸化物は以下のとおりである:酸化ジルコニウム(ZrO、実施例1)、酸化モリブデン(MoO、実施例2)、酸化マンガン(MnO、比較例2)、酸化イットリウム(Y、比較例3)、酸化チタン(TiO、比較例4)、酸化鉄(Fe、比較例5)。なお、比較例1では金属酸化物を用いなかった。
(2)酵素固定化用基板電極の作製
1cmの面積となるようにコルクボーラーで切り抜いたカーボンクロス(日本カーボン社製)の両面に、上記(1)で調製したそれぞれのカーボンスラリーを適量塗布し、60℃の乾燥機にて溶媒を乾燥除去した。
(3)酵素触媒の電極固定化
上記(2)で調製したそれぞれの電極を、予め0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7)で50mg/mlとなるように調製したビリルビンオキシダーゼ(BOD:天野エンザイム社製)溶液に浸漬させた。4℃で1晩静置して、電極上にBODを物理吸着法によって固定化した。金属酸化物を用いた電極の場合、特に酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンを用いた電極の場合、酵素溶液が速やかに浸透する様子が観察された。
2.電極の評価
上記1(1)〜(3)の手順に従って作製した酵素固定化電極を、集電板であるチタン製メッシュと共にアクリル板で作製した評価用の燃料電池セル(概略図を図1に示す)に組込み、単極での出力を評価した。測定には電気化学アナライザーLS/CH 708c(ALS社製)を用い、0.1Vにおける定電位電流測定(クロノアンペロメトリー法)を行った。また、上記1(3)で実施したBOD固定化により電極上に固定化されたBOD量を測定し、各電極の出力電流値との関係を調べた。また、金属酸化物の混合量について条件検討を実施し、最適値を調べた。
(1)クロノアンペロメトリー測定
電解液として0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7)を用い、電気化学アナライザーLS/CH 708c(ALS社製)を用いて測定を行った。測定は作用電極、参照電極、カウンター電極の3電極式で行った。ここで作用電極には今回作製した酵素電極を、参照電極には銀−塩化銀電極(ALS社製:RE−1B参照電極)を、カウンター電極には白金電極(ALS社製:VC−2用Ptカウンター電極)をそれぞれ用いた。全ての測定は室温で実施し、0.1VにおけるBOD触媒電流の定常電流値(測定開始後500秒を目安として)を測定した。
各金属酸化物の混合効果を調べた結果を図2に示す。金属酸化物を混合しなかった場合(比較例1)と比べると、金属酸化物を混合した場合ではいずれも出力が向上し、電極への混合効果が確認できた。中でも酸化ジルコニウムを混合した場合(実施例1)および酸化モリブデンを混合した場合(実施例2)では、電極材料として多用されている酸化マンガンなどの他の金属酸化物を混合した場合(比較例2〜5)に対してより高い効果が得られた。特に酸化モリブデンを混合した場合(実施例2)、飛躍的な出力向上効果が得られた。
(2)電極の酵素親和性の評価
上記1(3)で実施した酵素固定化処理によって各電極上に固定化された酵素タンパク量を測定し、比較した。測定にはBioRad社製のタンパク質含有量測定キットを使用し、Bradford法によってタンパク量を算出した。電極に固定された酵素量とクロノアンペロメトリー測定で得られた電流値との関係を示すグラフを図3に示す。
金属酸化物を混合した電極では、混合しない電極と比べて吸着したタンパク質の量が多く、金属酸化物を添加することで電極に対する酵素の親和性が改善されていることがわかった。中でも、酸化ジルコニウムを混合した場合(実施例1)、良好な電極材料として既知である酸化マンガンを混合した場合(比較例2)に比べて、タンパク吸着量が相対的に少ないにもかかわらず出力は約40%以上向上した。また、酸化モリブデンを混合した場合(実施例1)、電極への酵素吸着が最も多く、かつその他の金属酸化物を混合した場合に比べて飛躍的な出力向上効果が認められた。
酸化モリブデンの混合効果を確認するために、酸化モリブデンは含むが酵素を固定しない電極を作製し、上記2(1)と同様にクロノアンペロメトリー測定を行った。その結果を図4に示す。同じ酸化モリブデンを混合した電極であっても酵素を固定しない場合は出力が得られないことがわかった。酸化モリブデン自体が触媒作用を有することも考えられたが、酵素を含まない場合は出力が得られないことから、酸化モリブデンを混合した電極における出力向上は、酸化モリブデンと酵素の触媒活性の間の相互作用に起因するものと考えられる。
(3)酸化モリブデン混合量の最適化
上記1の手順に従って、酸化モリブデン混合量を変えた酵素電極(0mmol、0.49mmol、0.98mmol、1.95mmol、3.9mmolの4条件)を作製し、出力電流を評価した。その結果を図5に示す。酸化モリブデンについては1.95mmol前後に混合量の最適値が存在することがわかった。
酵素電極を用いたバイオ燃料電池は、低コストかつ低環境負荷電池として、現行のリチウムイオン電池の代替として利用される可能性がある。用途としては医療機器やモバイル機器のほか、小型モビリティの電源などが考えられており、その場合の市場規模は極めて大きい。

Claims (5)

  1. 導電性基材に、炭素微粒子、酵素、ならびに酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンの少なくとも一方を含む金属酸化物を含む混合物が固定された酵素電極。
  2. 炭素微粒子1gに対し15〜130mmolの金属酸化物を含む、請求項1に記載の酵素電極。
  3. 炭素微粒子および金属酸化物を溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを導電性基材に塗布した後、酵素を固定化させることにより製造される、請求項1または2に記載の酵素電極。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酵素電極をアノード極およびカソード極の少なくとも一方に有する燃料電池。
  5. 炭素微粒子と、酸化ジルコニウムおよび酸化モリブデンの少なくとも一方を含む金属酸化物とを溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを導電性基材に塗布した後、酵素を固定化させることを含む、酵素電極の製造方法。
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