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JP2012088101A - 原子力プラント構成部材への皮膜形成方法 - Google Patents

原子力プラント構成部材への皮膜形成方法 Download PDF

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JP2012088101A JP2010233488A JP2010233488A JP2012088101A JP 2012088101 A JP2012088101 A JP 2012088101A JP 2010233488 A JP2010233488 A JP 2010233488A JP 2010233488 A JP2010233488 A JP 2010233488A JP 2012088101 A JP2012088101 A JP 2012088101A
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Takeshi Ito
伊藤  剛
Hideyuki Hosokawa
秀幸 細川
Yukio Hirama
幸夫 平間
Makoto Nagase
誠 長瀬
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Hitachi GE Nuclear Energy Ltd
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Abstract

【課題】原子力プラント構成部材の腐食をさらに抑制できる原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を提供する。
【解決手段】皮膜形成装置の収納容器に燃料スペーサ及びスペーサスプリングを収納する(S1)。ニッケルイオン及びギ酸を含む薬液、過酸化水素及びヒドラジンを、循環配管内に流れる、60〜100℃の範囲内の温度の皮膜形成水溶液に注入する(S3〜S5)。循環配管内に流れる、ニッケルイオン、ギ酸、過酸化水素及びヒドラジンを含む、60〜100℃の範囲内の温度の膜形成水溶液に、鉄(II)イオン及びギ酸を含む溶液を注入する(S6)。60〜100℃の範囲内の温度で5.5〜9.0のpHの、ニッケルイオン、ギ酸、過酸化水素、ヒドラジン及び鉄(II)イオンを含む皮膜形成水溶液を、収納容器内に供給し、燃料スペーサ及びスペーサスプリングの表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子力プラント構成部材への皮膜形成方法に係り、特に、沸騰水型原子力発電プラントに適用するのに好適な原子力構成部材への皮膜形成方法に関する。
発電プラントとして、例えば、沸騰水型原子力発電プラント(以下、BWRプラントという)及び加圧水型原子力発電プラント(以下、PWRプラントという)が知られている。例えば、沸騰水型原子力発電プラントは、原子炉圧力容器(RPVと称する)内に炉心を内蔵した原子炉を有する。再循環ポンプ(またはインターナルポンプ)によって炉心に供給された冷却水は、炉心内に装荷された燃料集合体内の核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、原子炉からタービンに導かれ、タービンを回転させる。タービンから排出された蒸気は、復水器で凝縮され、水になる。この水は、給水として原子炉に供給される。給水は、原子炉内での放射性腐食生成物の発生を抑制するため、給水配管に設けられたろ過脱塩装置で主として金属不純物が除去される。
BWRプラント及びPWRプラント等の発電プラントでは、原子炉圧力容器などの主要な構成部は、腐食を抑制するために、水が接触する接水部にステンレス鋼及びニッケル基合金などを用いている。また、原子炉冷却材浄化系、余熱除去系、原子炉隔離時冷却系、炉心スプレイ系、給水系及び復水系などの構成部は、プラントの製造所要コストを低減する観点、あるいは給水系や復水系を流れる高温水に起因するステンレス鋼の応力腐食割れを避ける観点などから、主として炭素鋼部材が用いられる。
また、放射性腐食生成物の元となる腐食生成物は、燃料スペーサやスペーサスプリング、RPV及び再循環系配管等の接水部からも発生することから、主要な一次系の構成部材には腐食の少ないステンレス鋼、ニッケル基合金、ジルコニウム合金などの不銹鋼が使用されている。また、低合金鋼製のRPVは内面にステンレス鋼の肉盛りが施され、低合金鋼が、直接、炉水(RPV内に存在する冷却水)と接触することを防いでいる。炉水とは、原子炉内に存在する冷却水である。さらには、炉水の一部を原子炉浄化系のろ過脱塩装置によって浄化し、炉水中に僅かに存在する金属不純物を積極的に除去している。
しかし、上述のような腐食対策を講じても、炉水中における極僅かな金属不純物の存在は避けられないため、一部の金属不純物が、金属酸化物として、燃料集合体に含まれる燃料棒の表面に付着する。燃料棒表面に付着した金属不純物(例えば、金属元素)は、燃料棒内の核燃料から放出される中性子の照射により原子核反応を起こし、コバルト60、コバルト58、クロム51、マンガン54等の放射性核種になる。これらの放射性核種は、大部分が酸化物の形態で燃料棒表面に付着したままであるが、一部の放射性核種は、取り込まれている酸化物の溶解度に応じて炉水中にイオンとして溶出したり、クラッドと呼ばれる不溶性固体として炉水中に再放出されたりする。炉水に含まれる放射性物質は、原子炉浄化系の浄化装置によって取り除かれる。しかしながら、除去されなかった放射性物質は炉水とともに再循環系などを循環している間に、構成部材の炉水と接触する表面に蓄積される。その結果、構成部材表面から放射線が放射され、定検作業時の従事者の放射線被曝の原因となる。その従業者の被曝線量は、各人毎に規定値を超えないように管理されている。近年この規定値が引き下げられ、各人の被曝線量を経済的に可能な限り低くする必要が生じている。
そこで、配管への放射性核種の付着を低減する方法、及び炉水中の放射性核種の濃度を低減する方法が様々検討されている。例えば、亜鉛などの金属イオンを炉水に注入して、炉水と接触する再循環系配管内面に亜鉛を含む緻密な酸化皮膜を形成させることにより、酸化皮膜中へのコバルト60及びコバルト58等の放射性核種の取り込みを抑制する方法が提案されている(特開昭58−79196公報参照)。
また、化学除染後の原子力プラント構成部材表面にフェライト皮膜を形成することによって、原子力プラントの運転後においてその構成部材表面に放射性核種が付着することを抑制する方法が、特開2006−38483号公報で提案されている。この方法は、鉄(II)イオンを含むギ酸水溶液、過酸化水素及びヒドラジンを含み、常温から100℃の範囲に加熱された処理液を、その構成部材表面に接触させてその表面にマグネタイトを含む皮膜を形成するものである。特開2006−38483号公報に記載されたマグネタイト皮膜の形成では、鉄(II)イオンを含むギ酸水溶液、過酸化水素及びヒドラジンの順に各薬液が、構成部材である、原子力プラントの配管系に接続された循環配管に注入される。
さらに、マグネタイト皮膜よりも安定なニッケルフェライトを含む皮膜もしくは、亜鉛フェライトを含む皮膜を原子力プラント構成部材表面に形成し、プラントの運転後においてその構成部材表面に放射性核種が付着することをさらに抑制する方法が提案されている(特開2008−304381号公報参照)。特開2008−304381号公報に記載されたフェライト皮膜の形成では、鉄(II)イオンを含むギ酸水溶液、ニッケルイオン(または亜鉛イオン)を含む溶液、過酸化水素及びヒドラジンの順に各薬液が、構成部材である配管系に接続された循環配管に注入される。
フェライト皮膜を原子力プラントの炭素鋼製の構成部材の表面に形成して、その構成部材の腐食を抑制することも提案されている(特開2007−182604号公報)。特開2007−182604号公報は、鉄(II)イオンを含む水溶液、過酸化水素及びヒドラジンの順に各薬液が、構成部材である配管系に接続された循環配管に注入される。また、特開2007−182604号公報は、構成部材表面へのニッケルフェライト皮膜の形成についても説明している。この場合には、特開2008−304381号公報と同様に、鉄(II)イオンを含むギ酸水溶液、ニッケルイオンを含む溶液、過酸化水素及びヒドラジンの順に各薬液が、構成部材である配管系に接続された循環配管に注入される。
また、原子力プラントの構成部材である燃料棒の被覆管外面にマグネタイト皮膜を形成することが、特開2009−229388号公報に記載されている。
Characterization of Ferrite in Actual Fuel CRUD in Japanese BWRs, K. Ishida, Proceedings of international conference of Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 8, p. 275-277, 22, October, 2000は、原子炉の運転後における燃料棒外面に付着したクラッドの組成について述べている。
特開昭58−79196号公報 特開2006−38483号公報 特開2008−304381号公報 特開2007−182604号公報 特開2009−229288号公報
Characterization of Ferrite in Actual Fuel CRUD in Japanese BWRs, K. Ishida, Proceedings of international conference of Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 8, p. 275-277, 22, October, 2000
発明者らは、原子力プラントに適用するのに好適な構成部材の表面に緻密なマグネタイトを含む皮膜を形成し腐食量を抑制する、特開2009−229288号公報に記載されたマグネタイト皮膜を燃料スペーサ及びスペーサスプリングに形成し、燃料スペーサ及びスペーサスプリングの溶出を低下させる方法を詳細に検討した。その結果、皮膜の腐食抑制効果が低下することを確認した。
本発明の目的は、原子力プラント構成部材の腐食をさらに抑制することができる原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液へのpH調整剤及び鉄(II)イオンを含む溶液の注入、及びニッケルイオン、酸化剤及びpH調整剤を含む溶液への鉄(II)イオンを含む溶液の注入のいずれかによって、pHが5.5〜9.0の範囲内にあってニッケルイオン、酸化剤、pH調整剤及び鉄(II)イオンを含む皮膜形成液を生成し、
この皮膜形成液を原子力プラントの構成部材の表面に接触させて構成部材の表面に、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することことにある。
ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液へのpH調整剤及び鉄(II)イオンを含む溶液の注入、及びニッケルイオン、酸化剤及びpH調整剤を含む溶液への鉄(II)イオンを含む溶液の注入のいずれかによって、pHが5.5〜9.0の範囲内にあってニッケルイオン、酸化剤、pH調整剤及び鉄(II)イオンを含む皮膜形成液を生成するので、この皮膜形成液に接触する構成部材の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することができ、原子力プラント構成部材の腐食をさらに抑制することができる。
本発明によれば、原子力プラント構成部材の腐食をさらに抑制することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子力プラント構成部材への皮膜の形成方法の手順を示すフローチャートである。 実施例1の原子力プラント構成部材への皮膜の形成方法に用いられる皮膜形成装置の構成図である。 実施例1の原子力プラント構成部材への皮膜の形成方法でヘマタイトを含むフェライト皮膜が表面に形成された原子炉プラント構成部材が用いられる沸騰水型原子力プラントの構成図である。 BWRプラントに用いられる燃料被覆管表面に形成された皮膜をラマンスペクトルで分析した結果を示す説明図である。 燃料スペーサ及びスペーサスプリングのそれぞれの表面に従来の方法Aにより形成したマグネタイト皮膜の形成量と実施例1の方法Bにより形成したヘマタイトを含む皮膜の形成量を比較した説明図である。 実施例1の方法Bにより形成されたヘマタイトを含む皮膜を、ラマンスペクトル法を用いて分析した結果を示す説明図である。 表面にヘマタイトを含む皮膜を形成した燃料スペーサ及びスペーサスプリングの腐食抑制効果を示す説明図である。 表面にヘマタイトを含む皮膜を形成した燃料スペーサ及びスペーサスプリングの放射能付着抑制効果を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例2の原子力プラント構成部材への皮膜の形成方法に用いられる皮膜形成装置の構成図である。 本発明の他の実施例である実施例3の原子力プラント構成部材への皮膜の形成方法に用いられる皮膜形成装置の構成図である。 本発明の他の実施例である実施例4の原子力プラント構成部材への皮膜の形成方法を示す説明図である。
発明者らは、特開2006−38483号公報に記載されたフェライト皮膜であるマグネタイト皮膜を、原子力プラントの構成部材であるジルコニウム合金製の燃料スペーサ及びスペーサスプリングの表面にそれぞれ形成したとき、そのマグネタイト皮膜の防食性能が低下する原因を突き止めるため、詳細な検討を行った。その結果、燃料スペーサ及びスペーサスプリングの装荷される炉心の強酸化環境でマグネタイトを含む皮膜が変質することが原因であると分かった。
そこで、発明者らは炉心の強酸化環境で安定な皮膜について検討した。図4に、Characterization of Ferrite in Actual Fuel CRUD in Japanese BWRs, K. Ishida, Proceedings of international conference of Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 8, p. 275-277, 22, October, 2000に報告されている、原子炉運転中に燃料棒外面に形成された酸化皮膜の分析結果を示している。この燃料棒は、原子炉内に装荷され、原子炉の運転を経験したものである。原子炉運転中に配管から溶出したイオンが燃料棒表面に付着することにより燃料棒外面に形成された酸化皮膜は、ヘマタイト、ニッケルフェライト及びマグネタイトによって形成されていた。
特開2006−38483号公報及び特開2009−229288号公報は、原子力プラントの構成部材の表面へのマグネタイトの単相皮膜の形成方法を記載している。また、特開2008−304381号公報は、その構成部材の表面に亜鉛フェライト皮膜またはニッケルフェライト皮膜の形成を記載している。しかし、これらの公開公報には、ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成方法は記載されていない。そこで、原子力プラントの構成部材の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する方法について検討した。特開2006−38483号公報及び特開2009−229288号公報に記載されたマグネタイトを含む皮膜形成方法は、皮膜形成液に、鉄(II)イオンを含む第4薬剤、鉄(II)イオンを鉄(III)イオンに酸化する第2薬剤及びpHを調整する第3薬剤の添加している。また、特開2007−182604号公報及び特開2008−304381号公報では、第4薬剤、ニッケルイオンを含む第1薬剤、第2薬剤及び第3薬剤を、この順に、皮膜形成液に添加し、原子力プラントの構成部材の表面にニッケルフェライト皮膜を形成している。
そこで、ヘマタイト(Fe)、ニッケルフェライト、及びマグネタイトを含む皮膜の形成について検討した。以後、ヘマタイト、ニッケルフェライト及びマグネタイトを含む皮膜、及びヘマタイト及びニッケルフェライトを含みマグネタイトを含まない皮膜を、ヘマタイトを含むフェライト皮膜という。このヘマタイトを含むフェライト皮膜を原子力プラントの構成部材の表面に形成するためには、式(1)、式(2)及び式(3)の反応を同時に起こせばよい。
2Fe3++Fe2++4HO → Fe+8H ……(1)
2Fe3++Ni2++4HO → NiFe+8H ……(2)
2Fe3++3HO → Fe+6H ……(3)
以上に述べた検討の結果、発明者らは、特開2007−192745号公報及び特開2008−304381号公報に記載されたニッケルフェライト皮膜の形成方法では、鉄(II)イオンを含む薬剤、ニッケルイオンを含む薬剤、酸化剤、及びpH調整剤の順で薬剤を添加しているのに対して、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成するためには、水に、ニッケルイオンを含む第1薬剤、酸化剤を含む第2薬剤、pH調整剤を含む第3薬剤及び鉄(II)イオンを含む第4薬剤をこの順に添加すればよいことを新たに見出した。
また、発明者らは、特開2007−192745号公報及び特開2008−304381号公報のように、ニッケルイオンを含む薬剤の注入の前に、鉄(II)イオンを含む薬剤を注入した場合には、ニッケルフェライト皮膜が構成部材の表面に形成されたが、ヘマタイトを含むフェライト皮膜が構成部材の表面に形成されないことを実験により確認した。このような結果を受けて、発明者らは、鉄(II)イオンを含む薬剤、ニッケルイオンを含む薬剤、酸化剤及びpH調整剤の注入順序を検討した。
各薬剤の注入順序が、鉄(II)イオンを含む薬剤、ニッケルイオンを含む薬剤、酸化剤及びpH調整剤である場合、及びニッケルイオンを含む薬剤、鉄(II)イオンを含む薬剤、酸化剤及びpH調整剤である場合には、緻密なニッケルフェライト皮膜が構成部材の表面に形成されたが、ヘマタイトを含むフェライト皮膜はその表面に形成されなかった。これに対し、各薬剤の注入順序を、ニッケルイオンを含む薬剤、酸化剤、鉄(II)イオンを含む薬剤及びpH調整剤とした場合には、構成部材の表面にヘマタイトを含む緻密なフェライト皮膜が形成された。しかしながら、所定量の、ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成に長時間を要した。このとき、ニッケルイオンを含む薬剤及び酸化剤の注入順序を入れ替えても、構成部材の表面にヘマタイトを含む緻密なフェライト皮膜が形成された。
前述したように、各薬剤の注入順序を、ニッケルイオンを含む第1薬剤、酸化剤を含む第2薬剤、pH調整剤を含む第3薬剤及び鉄(II)イオンを含む第4薬剤とした場合には、構成部材の表面にヘマタイトを含む緻密なフェライト皮膜が形成され、所定量の、ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成に要する時間が、薬剤の注入順序を、ニッケルイオンを含む薬剤、酸化剤、鉄(II)イオンを含む薬剤及びpH調整剤とした場合に比べて短くなった。鉄(II)イオンを含む薬剤を注入する前において、ニッケルイオンを含む第1薬剤、酸化剤を含む第2薬剤及びpH調整剤を含む第3薬剤の注入順序を変えても、注入順序が、ニッケルイオンを含む第1薬剤、酸化剤を含む第2薬剤、pH調整剤を含む第3薬剤及び鉄(II)イオンを含む第4薬剤である場合と同じ結果になった。
以上の実験結果から、ニッケルイオンを含む第1薬剤及び酸化剤を含む第2薬剤を先に注入して、その後、鉄(II)イオンを含む第4薬剤を注入する、換言すれば、混合されたニッケルイオンを含む第1薬剤及び酸化剤を含む第2薬剤を含む溶液に、鉄(II)イオンを含む第4薬剤を混合することによって、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を構成部材の表面に形成できることが分かった。特に、ニッケルイオンを含む第1薬剤、酸化剤を含む第2薬剤及びpH調整剤を含む第3薬剤を先に注入して、その後、鉄(II)イオンを含む第4薬剤を注入する、換言すれば、混合されたニッケルイオンを含む第1薬剤、酸化剤を含む第2薬剤及びpH調整剤を含む第3薬剤を含む溶液に、鉄(II)イオンを含む第4薬剤を混合することによって、所定量の、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を、構成部材の表面に形成する時間を短くできることが分かった。
発明者らが新たに見出した上記の方法(方法B)で構成部材の表面に形成されたヘマタイトを含むフェライト皮膜の量を、図5に示す。図5には、特開2006−384319号公報に記載された方法(方法A)で構成部材の表面に形成されたマグネタイト皮膜の皮膜形成量を同時に示した。この結果、水に、ニッケルイオンを含む第1薬剤、酸化剤を含む第2薬剤、pH調整剤を含む第3薬剤及び鉄(II)イオンを含む第4薬剤をこの順に添加して生成された皮膜形成液を用いてヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する方法Bで構成部材の表面に形成されたそのフェライト皮膜の量は、従来の特開2006−384319号公報に記載された方法(方法A)で構成部材の表面に形成されたマグネタイト皮膜の量と実質的に同じであった。
ステンレス鋼製の構成部材の表面に方法Bで形成したヘマタイトを含むフェライト皮膜の組成をラマンスペクトルで分析した結果を、図6に示す。図6の分析結果により、形成された皮膜がヘマタイト(Fe)を含む皮膜であることが確認できる。
発明者らは、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成したステンレス鋼製の試験片Cの腐食抑制効果及び放射能付着抑制効果を実験により確認した。得られた腐食抑制効果を、図7を用いて説明する。図7の縦軸は、試験片A,B及びCの腐食量の相対値を示している。図7には、方法Bでヘマタイトを含むフェライト皮膜を表面に形成したステンレス鋼製の試験片C以外に、方法Aでマグネタイト皮膜を表面に形成したステンレス鋼製の試験片B、及びヘマタイトを含むフェライト皮膜及びマグネタイト皮膜を形成していないステンレス鋼製の試験片Aの腐食量も併せて示している。試験片A及びBのそれぞれの腐食量よりも、試験片Cの腐食量が少なくなっている。これは、試験片Cに形成されたヘマタイトを含むフェライト皮膜による腐食抑制大きいことを示している。
得られた放射能付着抑制効果を、図8を用いて説明する。図6の縦軸は、試験片A,B及びCのそれぞれのコバルト60の付着量の相対値を示している。試料はマグネタイト皮膜を形成した試験片とヘマタイトを含む皮膜を形成した試験片である。図6から明らかなように、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を表面に形成した試験片Cは、試験片A及びBよりもコバルト60の付着量が少なくなっている。すなわち、試験片Cは、試験片A及びBよりも放射性核種の付着が抑制される。
ヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成した場合に、放射性核種が付着しにくい理由を以下に説明する。マグネタイトはFe2+Fe3+ という鉄の価数で形成されている。コバルト60はCo2+の価数を有するので、Fe2+Fe3+ のFe2+に置き換わり、コバルト60が酸化物に付着する。一方、ヘマタイトはFe3+ の形態であり、Fe2+が存在しない。よって、コバルト60が酸化物に付着しにくく、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成した場合に放射性核種が付着しにくくなる。
構造部材の表面に形成されたフェライトに含まれるヘマタイト(Fe3+ )の量が多ければ多いほど、構造部材への放射性核種の付着量が抑制される。なお、試験片Cでは、ラマン散乱のFeとFeのピーク強度比によれば、Feが50%以上存在している。
以上に述べた検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を、図1及び図2を用いて説明する。
本実施例を適用することによって作成された燃料スペーサ(図示せず)及びスペーサスプリング(図示せず)を有する燃料集合体が炉心に装荷された、原子力プラントである沸騰水型原子力プラント(BWRプラント)1は、図1に示すように、原子炉2、タービン7、復水器8及び給水配管9を備えている。原子炉2は、原子炉圧力容器(以下、RPVという)3及びRPV3内に配置された炉心4を有する。複数の燃料集合体5が炉心4に装荷されている。燃料集合体5は、核燃料物質で構成された複数の燃料ペレットをジルコニウム合金製の被覆管内に充填している複数の燃料棒(図示せず)を有する。これらの燃料棒は、軸方向に配置された複数の燃料スペーサによって相互間に間隙を形成して束ねられており、燃料スペーサに設けられたスペーサスプリングによって支持されている。燃料スペーサ及びスペーサスプリングの表面には、本実施例の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法によりヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成されている。
複数のジェットポンプ(図示せず)がRPV3と炉心4の間に形成された環状のダウンカマ内に配置される。RPV3に接続された主蒸気配管6はタービン7に接続される。給水配管9は、復水器8とRPV3を連絡している。中空糸フィルタ(復水フィルタ)10、復水脱塩器11、給水ポンプ12及び給水加熱器13が、この順に上流より給水配管9に設置される。中空糸フィルタ10の替りにろ過脱塩装置を用いてもよい。ろ過脱塩装置は、粉末イオン交換樹脂を給水が通過可能な支持部材にプリコートして構成されている。主蒸気配管6に接続される抽気蒸気配管14が給水加熱器13に接続されている。水素注入装置19が、復水脱塩器11と給水ポンプ12の間で給水配管9に接続される。
BWRプラント1に設けられる再循環系は、再循環系配管15及び再循環系配管15に設けられた再循環ポンプ16を有している。再循環系配管15の一端は、RPV3に設けられたノズル(図示せず)に接続され、ダウンカマに連絡される。再循環系配管15の他端は、RPV3のダウンカマ内に配置されてジェットポンプのノズルに接続されるライザ管(図示せず)に接続される。炉水浄化系は、炉水浄化系配管17及び炉水浄化系配管17に設置された炉水浄化装置18を有する。炉水浄化系配管17は再循環系配管15と給水配管9に接続される。サンプリング配管20が、水素注入装置19の給水配管9への接続点と復水脱塩器11との間で、給水配管9に接続されている。サンプリング配管21が炉水浄化系配管17に接続される。
BWRプラント1が運転されているとき、再循環ポンプ16の駆動によりRPV3内のダウンカマから再循環系配管15内に吸引された炉水は、再循環ポンプ16で昇圧され、ライザ管を通ってジェットポンプのノズルから噴出される。ノズルの周囲でダウンカマ内に存在する炉水が、その噴出流によってジェットポンプ内に吸い込まれ、ジェットポンプから吐出される。ジェットポンプから吐出された炉水は、炉心4内に導かれ、燃料集合体5内の各燃料棒の間を上昇する。この炉水は、各燃料棒内に存在する核燃料物質の核分裂によって発生する熱で加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、RPV3内の気水分離器(図示せず)及び蒸気乾燥器(図示せず)で水分を除去されて主蒸気配管6を通ってタービン7に導かれ、タービン7を回転させる。タービン7に連結された発電機(図示せず)が回転して電力が発生する。タービン7から排出された蒸気は、復水器8で凝縮される。この凝縮によって発生した水は、給水として、給水ポンプ12で昇圧されて給水配管9を通りRPV3内のダウンカマに供給される。
給水は、給水配管9内を流れる間に、中空糸フィルタ10、復水脱塩器11及び給水加熱器13を通過する。中空糸フィルタ10は、復水器8内で発生し、給水に含まれている腐食生成物(例えば、鉄酸化物である三酸化二鉄)を除去する。中空糸フィルタは除鉄性能が高いので、中空糸フィルタ10を通過した給水に含まれる鉄酸化物の濃度は、1×10−9mol/kg以下に抑制される。このため、給水と共にRPV3内に持ち込まれる鉄酸化物の濃度が低下する。復水脱塩器11は、復水器8において伝熱管内を流れて蒸気の凝縮に使用される海水が漏洩したとき、海水成分(ナトリウムイオン及び塩化物イオン)がRPV3内に入り込むのを防ぐためにその海水成分を除去する。抽気蒸気配管14は、主蒸気配管6内を流れる蒸気の一部を抽気する。給水加熱器13は、抽気蒸気配管14によって抽気された蒸気を用いて給水配管9内を流れる給水を加熱する。加熱された給水がRPV3内に供給される。
RPV3内の炉水は、再循環系配管15を経て炉水浄化系配管17内に導かれる。この炉水に含まれた不純物(放射性核種を含む酸化物等)が炉水浄化装置17で除去され、給水配管9を介してRPV3に戻される。
BWRプラントの運転中、水素注入装置19から水素が給水配管9内を流れる給水に注入される。注入された水素は給水と共にRPV3内に導かれる。この水素は、RPV3内で炉水中に存在する酸素及び過酸化水素と反応し、水を生成する。このため、炉水に含まれる酸素及び過酸化水素のそれぞれの量が減少される。結果として、RPV3、再循環系配管15及び炉水浄化系配管17内での鉄酸化物(例えば、三酸化二鉄)の生成が抑制される。
ヘマタイトを含むフェライト皮膜が外面に形成された燃料スペーサ及びスペーサスプリングを用いた複数の燃料棒を有する燃料集合体5は、炉心4に装荷される前に製造される。この燃料集合体5の製造を、以下に説明する。燃料集合体5の製造に当たって、燃料スペーサ及びスペーサスプリングの表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成される。このヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成に用いられる皮膜形成装置25の詳細な構成を、図2により説明する。皮膜形成装置25は、収納容器26、循環配管27、鉄(II)イオン注入装置28、pH調整剤注入装置33、酸化剤注入装置38、ニッケルイオン注入装置43、循環ポンプ48、加熱器49及び脱塩器52を備えている。弁53、循環ポンプ48、弁54、加熱器49、弁55,56、ニッケルイオン注入装置43、酸化剤注入装置38、pH調整剤注入装置33、鉄(II)イオン注入装置28及び弁57が、上流よりこの順に循環配管27に設けられている。循環配管27の両端が収納容器26に接続される。弁58、冷却器50及び弁59が、弁54、加熱器49及び弁54をバイパスして循環配管27に接続される配管60設置される。弁56をバイパスする配管63が循環配管27に接続される。弁61、フィルタ51、脱塩器52及び弁62が配管63に設置される。弁64が設けられた排水管65が循環配管27に接続される。
鉄(II)イオン注入装置28が、薬液タンク29、注入ポンプ30及び注入配管31を有する。薬液タンク29は、注入ポンプ30及び弁32が設置された注入配管31によって循環配管27に接続される。薬液タンク29は、鉄をギ酸で溶解して調製した2価の鉄(II)イオンを含む溶液が充填されている。この溶液はギ酸を含んでいる。なお、鉄を溶解させる薬剤としては、ギ酸に限らず、鉄(II)イオンの対アニオンとなる有機酸又は炭酸を用いることができる。
pH調整剤注入装置33が、薬液タンク34、注入ポンプ35及び注入配管36を有する。薬液タンク34は、注入ポンプ35及び弁37が設けられた注入配管36によって循環配管27に接続される。薬液タンク34はpH調整剤であるヒドラジンを充填する。酸化剤注入装置38が、薬液タンク39、注入ポンプ40及び注入配管41を有する。薬液タンク39は、注入ポンプ40及び弁42が設置された注入配管41によって循環配管27に接続される。薬液タンク39は、酸化剤である過酸化水素が充填されている。
ニッケルイオン注入装置43が、薬液タンク44、注入ポンプ45及び注入配管46を有する。薬液タンク44は、注入ポンプ45及び弁47が設置された注入配管46によって循環配管27に接続される。薬液タンク44は、金属ニッケルをギ酸で溶解して調製したニッケルイオンを含む溶液が充填されている。この薬剤もギ酸を含んでいる。pH計68が、注入配管31と循環配管27の接続点よりも下流で且つ弁57よりも上流で循環配管27に設置されている。
皮膜形成装置25を用いた本実施例の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を、詳細に説明する。皮膜形成装置に被覆形成対象物を入れる(ステップS1)。蓋を開けて収納容器26内に被覆形成対象物である複数の燃料スペーサ66及び複数のスペーサスプリング67を入れ、その蓋をして収納容器26を密封する。なお、本明細書において、燃料スペーサとは、燃料スペーサからスペーサスプリングを除外した部分を意味している。燃料スペーサ66はジルコニウム合金(例えば、ジルカロイ2)製であり、スペーサスプリングはニッケル基合金(例えば、インコネル)性である。弁53〜57,58,59,61及び62を開く。弁32,37,42は閉じている。弁64を開けて排水管65から収納容器26内に水を供給する。水が収納容器26内に満たされ、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67が収納容器26内において水に浸漬される。循環配管27及び配管60,63内も水で満たされる。この水の供給時には、収納容器26及び循環配管27等の配管内の空気は、収納容器26に接続されたベント管(図示せず)から排出される。水の供給が終了したとき、弁65が閉じられる。窒素(またはアルゴン)が不活性ガス導入管(図示せず)から収納容器26内に供給され、収納容器26内の水に含まれている酸素が除去される。
皮膜形成液を加熱し皮膜形成液の温度を調節する(ステップS2)。弁58,59,61及び62を閉じて循環ポンプ48を駆動させる。収納容器26及び循環配管27に存在する水は、循環配管27を通して循環される。加熱器49を起動して循環する水を加熱し、その水の温度を90℃まで上昇させる。
ニッケルイオンを含む溶液を注入する(ステップS3)。弁47を開いて注入ポンプ45を駆動し、薬液タンク44内のニッケルイオン及びギ酸を含む溶液を、注入配管46を通して循環配管27内を流れている90℃の水(または収納容器26から戻ってきた90℃の皮膜形成水溶液)に注入する。酸化剤を注入する(ステップS4)。弁42を開いて注入ポンプ40を駆動し、酸化剤である過酸化水素を、薬液タンク39から注入配管41を通して循環配管27内に注入する。酸化剤としては、過酸化水素以外に、オゾンまたは酸素を溶解した溶液を用いてもよい。
pH調整剤を注入する(ステップS5)。弁37を開いて注入ポンプ35を駆動し、薬液タンク34内のヒドラジンを、注入配管36を通して循環配管27内に注入する。鉄(II)イオンを含む溶液を注入する(ステップS6)。弁32を開いて注入ポンプ30を駆動し、薬液タンク29内の鉄(II)イオン及びギ酸を含む溶液を、注入配管31を通して循環配管27内に注入する。
具体的には、酸化剤、pH調整剤及び鉄(II)イオンを含む溶液の注入は、以下のようにして行われる。ステップS3で注入されたニッケルイオンを含む溶液を含む水溶液(または皮膜形成水溶液)が循環配管27と注入配管41の接続部に到達したとき、ステップS4において、過酸化水素が、循環配管27内の、ニッケルイオンを含む水溶液に注入される。ニッケルイオン及び過酸化水素を含む水溶液が循環配管27と注入配管36の接続部に到達したとき、ステップS5において、ヒドラジンが、循環配管27内の、ニッケルイオン及び過酸化水素を含む水溶液に注入される。ニッケルイオン、過酸化水素及びヒドラジンを含む水溶液が循環配管27と注入配管31の接続部に到達したとき、ステップS6において、鉄(II)イオンを含む溶液が、循環配管27内の、ニッケルイオン、過酸化水素及びヒドラジンを含む水溶液に注入される。鉄(II)イオンを含む溶液の注入により、循環配管27内で、ニッケルイオン、鉄(II)イオン、過酸化水素及びヒドラジンを含む水溶液である皮膜形成水溶液が生成される。90℃の皮膜形成水溶液が、循環配管27を通して、被覆形成対象物である複数の燃料スペーサ66及び複数のスペーサスプリング67を収納した収納容器26に供給される。
pH計68が収納容器26に供給する皮膜形成水溶液のpHを測定する。pH計68で測定したpHを基づいて注入ポンプ30の回転速度(または弁32の開度)を制御して、収納容器26に供給する皮膜形成水溶液のpHを、5.5〜9.0の範囲内の値、例えば、7.0に調節する。この結果、温度が90℃でpHが7.0の、ニッケルイオン、鉄(II)イオン、過酸化水素及びヒドラジンを含む皮膜形成水溶液(皮膜形成液)が、収納容器26に供給される。
収納容器26内において、皮膜形成水溶液が、それぞれの燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面に接触する。このため、式(1)、式(2)及び式(3)の反応が生じ、皮膜形成水溶液と接触する燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67のそれぞれの表面に、ヘマタイト、ニッケルフェライト及びマグネタイトを含む皮膜、すなわち、ヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成される。このフェライト皮膜の形成は、以下のようにして行われる。皮膜形成水溶液が収納容器26内に供給されることによって、皮膜形成水溶液に含まれたニッケルイオン及び鉄(II)イオンが燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の外面に吸着される。吸着された鉄(II)イオンが、皮膜形成水溶液に含まれる過酸化水素と反応し、ヘマタイトを含む皮膜が、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の外面に形成される。
ヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成されるのは、ニッケルイオンを含む溶液及び過酸化水素を、鉄(II)イオンを含む溶液よりも前に循環配管27内に注入し、ニッケルイオンを含む溶液及び過酸化水素が、鉄(II)イオンを含む溶液の注入前に循環配管27内で混合されるからである。
皮膜形成時において、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面にヘマタイトを含む緻密なフェライト皮膜を形成させる化学反応を促進させるため、皮膜形成水溶液の温度は60℃以上にする必要がある。皮膜形成水溶液の温度が200℃を超えた場合には、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の外面に、ヘマタイトを含む緻密なフェライト皮膜を形成することができなくなる。このため、ヘマタイトを含む緻密なフェライト皮膜を形成するためは、皮膜形成水溶液の温度を200℃以下にする必要がある。皮膜形成水溶液の温度が100℃を超えた場合には、皮膜形成水溶液の沸騰を抑制するため、加圧しなければならず、皮膜形成装置25を耐圧構造にしなければならない。これにより、皮膜形成装置が大型化する。したがって、皮膜形成処理における皮膜形成水溶液の温度は、皮膜形成装置25を耐圧構造にしなくて済む100℃以下が好ましい。
収納容器26内に供給された皮膜形成水溶液は、循環配管27に排出され、循環ポンプ48により、循環配管27及び収納容器26で構成される閉ループ内を循環する。この閉ループ内を循環する間、皮膜形成水溶液に、ニッケルイオン注入装置43からニッケルイオンを含む溶液が、酸化剤注入装置38から過酸化水素が、pH調整剤注入装置33からヒドラジンが、鉄(II)イオン注入装置28から鉄(II)イオンを含む溶液がそれぞれ注入される。新たに注入された各薬剤も収納容器26に供給される。各薬剤を含む皮膜形成水溶液が、閉ループを循環することによって、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面に形成されるヘマタイトを含む緻密なフェライト皮膜の厚みが増大する。
構成部材の表面に所定量(所定厚み)のヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成されたかが判定される(ステップS7)。燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成されたときには、加熱器49による加熱を停止すると共に、注入ポンプ30,35,40及び45の駆動を停止し、弁32,37,42及び47を閉じる。燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面に所定厚みのヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成されたことは、例えば、循環配管27内へのニッケルイオンを含む溶液の注入を開始した後の経過時間によって判断する。加熱器44による加熱を停止した後、弁58,59を開いて弁54,55を閉じる。上記の閉ループ内を流れる皮膜形成水溶液が、配管60を通って流れ、冷却器50で冷却される。皮膜形成水溶液の温度が約20℃まで低下したとき、冷却器50による皮膜形成水溶液の冷却を停止する。そして、弁61、62を開いて弁56を閉じる。温度が低下した皮膜形成水溶液は、配管63内を流れて、フィルタ51及び脱塩器52に供給される。フィルタ51は皮膜形成水溶液に含まれる粒子等の固形分を除去する。皮膜形成水溶液に含まれるイオン成分は、脱塩器52で除去される。
ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成に用いられた皮膜形成水溶液を、排出する(ステップS8)。皮膜形成水溶液内の固形分及びイオン成分がフィルタ51及び脱塩器52で除去された後、循環ポンプ48の駆動を停止する。弁54,55,56を開き、さらに、弁64を開いて、収納容器26、循環配管27及び配管60,63内の水を、排水管65を通して廃液処理装置(図示せず)に排出する。なお、収納容器26内に水を残す必要がある場合には、収納容器26の下方に位置する弁53は、排水時に閉じた状態にする。
以上の操作により、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面に形成することができる。複数の燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67を収納容器26内に収納することによって、一度に複数の燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することができる。
収納容器26の上蓋を取り外してヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成された燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67を収納容器26から取り出す。その後、別の複数の燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67を収納容器26内に収納して、前述の操作を繰り返すことによって、ヘマタイトを含むフェライト皮膜をそれらの燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面に形成する。
収納容器26から取り出された、表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成されたそれらの燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67は、乾燥される。乾燥されたそれらの燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67を用いて燃料集合体5が製造される。
複数の燃料棒の下端部が下部タイプレートに保持され、それらの燃料棒の上端部が上部タイプレートで保持される。これらの燃料棒は、軸方向の複数箇所で、ヘマタイトを含むフェライト皮膜が表面に形成された複数の燃料スペーサによって相互の間隔が所定の間隔になるように保持されている。ヘマタイトを含むフェライト皮膜が表面に形成されたスペーサスプリングが、その燃料スペーサに組み込まれている。ヘマタイトを含むフェライト皮膜が表面に形成された複数の燃料スペーサで束ねられた複数の燃料棒の周囲を取り囲むチャンネルボックスが、上部タイプレートに取り付けられる。外面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成された複数の燃料スペーサを有する燃料集合体5が完成する。燃料集合体5の横断面の中央部には水ロッドが配置されている。より高燃焼度化された燃料集合体5は、濃縮度をより高めた核燃料物質で製造された燃料ペレットを燃料棒内に収納することによって実現可能である。
以上のようにして製造された複数の燃料集合体5は、BWRプラントの運転を停止した後の定期検査の期間において、RPV3の炉心4に装荷される。すなわち、RPV3の蓋(図示せず)が取り外され、RPV3内に設置されている蒸気乾燥器及び気水分離器等がRPV3内に取り出される。炉心4に装荷されている複数の燃料集合体5のうち寿命が来た複数の使用済の燃料集合体5が取り出され、RPV3外の燃料貯蔵プール(図示せず)に移送される。複数の燃料棒、及びヘマタイトを含むフェライト皮膜が表面に形成された複数の燃料スペーサを有する新しい複数の燃料集合体5が、炉心4に装荷される。このような燃料交換が終了し、定期検査が終了した後、取り出された機器がRPV3内に設置され、RPV3に蓋が取り付けられる。その後、BWRプラントの運転が開始される。
本実施例によれば、ニッケルイオンを含む溶液、過酸化水素及びヒドラジンを循環配管27に注入してこれらの薬剤が混合された後に、鉄(II)イオンを含む溶液を循環配管27内に注入しているので、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜(ヘマタイト、ニッケルフェライト及びマグネタイトを含む皮膜)を形成することができ、且つこのヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成に要する時間を短縮することができる。
表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成された燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67を有する燃料集合体5を炉心4に装荷した場合には、BWRプラントの運転中において、燃料集合体5の燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67が炉心の強酸化環境に曝されるが、表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成された燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の腐食を、図7に示すように、抑制することができる。また、その燃料集合体5の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成された燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67へのCo−60等の放射性核種の付着量を抑制することができる。燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の腐食を抑制することができるので、燃料集合体5に供給される冷却水への燃料集合体5からの放射性核種の放出量を低減することができ、BWRプラントの構成部材、例えば、再循環系配管の表面線量率を低減することができる。燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67への放射性核種の付着量を抑制することによって、燃料交換作業時における作業員の被ばくをさらに低減することができる。
また、本実施例に使用される皮膜形成装置25の収納容器26内に超音波発振装置を設置してもよい。超音波発振装置を収納容器26内に設置することによって、皮膜形成装置25は以下に説明する機能を発揮することができる。収納容器26内に収納した燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面へのヘマタイトを含む所定厚みのフェライト皮膜の形成が終了し(ステップS7の判定がYESのとき)、収納容器26及び循環配管27内の皮膜形成水溶液をフィルタ46及び脱塩器47に供給しているとき、超音波発振装置から超音波を発信して、収納容器26内の燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の超音波洗浄を実施する。この超音波洗浄によって、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面にルーズに付着したフェライトを除去することができる。除去されたフェライトはフィルタ46等で除去される。
本実施例に用いられる皮膜形成装置25において、pH調整剤注入装置33を鉄(II)イオン注入装置28の下流で循環配管25に接続し、ニッケルイオン注入装置43から注入されたニッケルイオン及び酸化剤注入装置38から注入された過酸化水素を含み、循環配管27内を流れる溶液に、鉄(II)イオン注入装置28から鉄(II)イオンを含む溶液を注入し、その後、ニッケルイオン、過酸化水素及び鉄(II)イオンを含み、循環配管27内を流れる溶液に、pH調整剤注入装置33からヒドラジンを注入してもよい。このようにして、循環配管27内で生成された皮膜形成水溶液を、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67が収納された収納容器26内に供給することによって、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67のそれぞれの表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することができる。このような各薬剤の循環配管27への注入は、後述の実施例2及び4に適用してもよい。
本発明の他の実施例である実施例2の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を、図9を用いて説明する。
本実施例の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法に用いられる皮膜形成装置25Aを、図9を用いて説明する。皮膜形成装置25Aは、実施例1で用いられる皮膜形成装置25に、対極82、参照極83及び電位制御装置(ポテンショスタット)85を付加した構成を有する。皮膜形成装置25Aの他の構成は皮膜形成装置25と同じである。
対極82及び参照電極83が収納容器26内に設置されている。対極82及び参照電極83にそれぞれ接続された配線84が電位制御装置85に接続されている。中央制御装置86が電位制御装置85に接続される。
皮膜形成装置25Aを用いた本実施例の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を説明する。本実施例においても、実施例1で実施されたステップS1〜S8の各工程が実行される。ステップS1において、ジルコニウム合金であるジルカロイ2製の複数の燃料スペーサ66、及びニッケル基合金であるインコネル製の複数のスペーサスプリング67が、上蓋が開けられた収納容器26内に収納される。各燃料スペーサ66は、電位制御装置85に接続されている複数の配線84に別々に接続される。各スペーサスプリング67は配線84に接続されない。燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67が収納容器26内に収納された後、上蓋が収納容器26に取り付けられ、収納容器26が密封される。
その後、ステップS2〜S6の各工程が、実施例1と同様に実行される。温度が90℃でpHが7.0の、ニッケルイオン、鉄(II)イオン、過酸化水素及びヒドラジンを含む皮膜形成水溶液が、循環配管27及び収納容器26によって形成された閉ループを循環している間、収納容器26内の各燃料スペーサ66の電位が−0.5Vから0Vの範囲に含まれるある電位に制御される。この電位制御は、電位制御装置85を用いて以下のように行われる。
燃料スペーサ66と参照電極83との間の電位(基準電位)が電位制御装置85によって測定され、電位制御装置85が、この基準電位を基に燃料スペーサ66と対極82との間の電位を−0.5Vから0Vの範囲に含まれるある電位(例えば、−0.4V)に制御する。このような電位の制御によって、ヘマタイトを含むフェライト皮膜が、燃料スペーサ66の表面に形成される。本実施例では、燃料スペーサ66の表面の全面に亘ってヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成されても、皮膜形成水溶液のpHは7.0に調節される。
燃料スペーサ66の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成している間、電位制御装置85が燃料スペーサ66と対極82の間に流れる電流を常時測定する。測定された電流が電位制御装置85から中央制御装置86に入力される。中央制御装置86は、入力した電流の各測定値を用いてその電流の変化を示す近似式を求める。中央制御装置86は、得られた近似式を用いて積分を行い、ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成開始時点からの各燃料スペーサ66に供給したそれぞれの総電流量に基づいて総電荷量を求める。中央制御装置86は、さらに、総電荷量に基づいて燃料スペーサ66の表面に形成されたヘマタイトを含むフェライト皮膜の量を算出し、その表面に形成されたヘマタイトを含むフェライト皮膜の厚みを求める。中央制御装置86は、上記の近似式をある周期で求め、形成されたヘマタイトを含むフェライト皮膜の厚みも周期的に算出する。求められたヘマタイトを含むフェライト皮膜の厚みが設定厚みになったとき(ステップS7の判定)、中央制御装置86は電位制御装置85に通電停止信号を出力する。電位制御装置85は、通電停止信号に基づいて各燃料スペーサ66への通電を停止させ、循環ポンプ48の駆動を停止する。これにより、収納容器26内の燃料スペーサ66の表面へのヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成が停止される。当然のことながら、スペーサスプリング67の表面へのヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成も停止される。
中央制御装置86は、燃料スペーサ66の表面に形成されたヘマタイトを含むフェライト皮膜の厚みが設定厚みになったことを、総電荷量ではなく、循環配管27内への薬剤の注入を開始した後の経過時間に基づいて判定してもよい。
ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成が終了した後、ステップS8が実行される。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は、燃料スペーサ66の表面が皮膜形成水溶液に接触している間、燃料スペーサ66と対極82との間の電位を−0.5Vから0Vの範囲に含まれるある電位(例えば、−0.4V)に制御するので、ジルコニウム合金製の燃料スペーサ66の表面へのヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成に要する時間を、実施例1におけるその時間よりも短縮することができる。
発明者らは、ジルコニウム合金製の試験片を容器内に充填した皮膜形成水溶液に浸漬させてこの皮膜形成水溶液のpHを変化させたところ、pHが6.5以上の範囲でその試験片の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成できることを確認した。その容器内には、実施例1で述べたように、ニッケルイオンを含む溶液、過酸化水素及びヒドラジンを混合して、その後、鉄(II)イオンを含む溶液を混合して生成された皮膜形成水溶液が供給される。pHが6.5未満のその皮膜形成水溶液をその容器内に供給した場合には、ヘマタイトを含むフェライト皮膜が試験片の表面に形成されなかった。この結果、ジルコニウム合金部材の表面がヘマタイトを含むフェライト皮膜で覆われるまでは、その皮膜形成水溶液のpHを6.5以上で9.0以下の範囲内の値に調節することが望ましい。
以上述べた結果に基づいて、ジルコニウム合金部材の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成するために、好ましくは、ジルコニウム合金部材に加える電位を−0.5V〜0Vの範囲に制御し、ジルコニウム合金部材の表面に接触する上記の皮膜形成水溶液のpHを6.5以上で9.0以下の範囲に調整するとよい。ただし、ジルコニウム合金部材の上記の皮膜形成水溶液と接触する表面の全面がヘマタイトを含むフェライト皮膜で覆われた後では、上記の皮膜形成水溶液のpHを5.5以上で9.0以下の範囲に調整してもよい。ジルコニウム合金部材の上記の皮膜形成水溶液と接触する表面の全面がヘマタイトを含むフェライト皮膜で覆われた後では、そのフェライト皮膜の厚みが設定厚みになるまで、ジルコニウム合金部材を覆っているヘマタイトを含むフェライト皮膜の表面を上記の皮膜形成水溶液に接触させる。この過程においては、ヘマタイトを含むフェライト皮膜が、ジルコニウム合金部材の表面に直接ではなく、ジルコニウム合金部材の表面を覆っているヘマタイトを含むフェライト皮膜の表面にさらに形成される。このため、ジルコニウム合金部材がヘマタイトを含むフェライト皮膜で覆われた後では、上記の皮膜形成水溶液のpHを5.5以上で6.5未満の範囲に調整しても、ジルコニウム合金部材に加える電位が−0.5V〜0Vの範囲に制御されるのであれば、ヘマタイトを含むフェライト皮膜の厚みが増大し、その厚みが設定厚みに到達するまでに要する時間は短くなる。ジルコニウム合金部材の表面が覆われるまでヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する場合には、上記の皮膜形成水溶液のpHは6.5以上に調節しなければならない。
本発明の他の実施例である実施例3の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を、図10を用いて説明する。
実施例1及び2のそれぞれにおける原子力プラント構成部材への皮膜形成方法は、収納容器内に燃料スペーサ及びスペーサスプリングを出し入れしてバッチ式で燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成している。これに対し、本実施例の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法は、皮膜形成装置25Bを用いて、連続的に、複数の燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することができる。
本実施例で用いる皮膜形成装置25Bを、図10を参照して説明する。皮膜形成装置25Bは、鉄(II)イオン注入装置28、pH調整剤注入装置33、酸化剤注入装置38、ニッケルイオン注入装置43、チャンバー70、駆動装置71,72、噴霧ノズル75〜78及び回収タンク73を備えている。鉄(II)イオン注入装置28、pH調整剤注入装置33、酸化剤注入装置38及びニッケルイオン注入装置43は、実施例1で用いられる皮膜形成装置25のそれらと同じ構成を有する。
チャンバー70は燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67を通す開口部79,80を形成する。噴霧ノズル75〜78がチャンバー70内に設置される。噴霧ノズル78,77,76,75が、この順番で、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の入口である開口部79からそれらの出口である開口部80に向って配置されている。ニッケルイオン注入装置43の注入配管46が噴霧ノズル75に接続され、酸化剤注入装置38の注入配管41が噴霧ノズル76に接続され、pH調整剤注入装置33の注入配管36が噴霧ノズル77に接続され、鉄(II)イオン注入装置28の注入配管31が噴霧ノズル78に接続される。駆動装置71,72で移動される無端体のベルト87が、チャンバー70内に配置されて開口部79,80を貫通している。回収タンク73は、皮膜形成液排出管74によってチャンバー70の底部に接続される。
皮膜形成装置25Aを用いた本実施例の燃料スペーサ及びスペーサスプリングへのヘマタイトを含む皮膜形成方法を以下に説明する。
ジルコニウム合金(例えば、ジルカロイ2)製の燃料スペーサ66及びニッケル基合金(例えば、インコネル)製のスペーサスプリング67が、チャンバー70の外側で、ベルト87の上に順次置かれる。駆動装置71,72を駆動することによって、ベルト87が開口部79から開口部80に向って移動する。これに伴い、ベルト87上に置かれた燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67が、水平方向に移動し、開口部79を通ってチャンバー70内に移送される。
チャンバー70内では、ニッケルイオンを含む溶液、過酸化水素溶液、ヒドラジン溶液及び鉄(II)イオンを含む溶液が噴霧されている。薬液タンク44,39,34及び29には、それぞれヒータ(図示せず)が設けられ、各薬液タンク内の薬液を、例えば、90℃に加熱する。弁47を開いて注入ポンプ45を駆動し、薬液タンク44内の90℃のニッケルイオンを含む溶液を、注入配管46を通して噴霧ノズル78に供給し、噴霧ノズル78からチャンバー70内に噴霧する。弁42を開いて注入ポンプ40を駆動し、薬液タンク39内の酸化剤である90℃の過酸化水素溶液を、注入配管41を通して噴霧ノズル77に供給し、噴霧ノズル77からチャンバー70内に噴霧する。弁37を開いて注入ポンプ35を駆動し、薬液タンク34内の90℃のヒドラジン溶液を、注入配管36を通して噴霧ノズル76に供給し、噴霧ノズル76からチャンバー70内に噴霧する。弁32を開いて注入ポンプ30を駆動し、薬液タンク29内の90℃の鉄(II)イオンを含む溶液を、注入配管31を通して噴霧ノズル75に供給し、噴霧ノズル75からチャンバー70内に噴霧する。
ベルト87に置かれて開口部79からチャンバー70内に移送された燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67は、開口部80に向かって移動するに伴い、各噴霧ノズルから噴霧されたニッケルイオンを含む溶液、過酸化水素溶液、ヒドラジン溶液、及び鉄(II)イオンを含む溶液が、この順番に、掛けられる。燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67には、ニッケルイオンを含む溶液、過酸化水素溶液及びヒドラジン溶液が掛けられた後に、鉄(II)イオンを含む溶液が掛けられる。このため、実施例1と同様に、ヘマタイトを含むフェライト皮膜が、噴霧された各溶液が接触する、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67のそれぞれの表面全面に亘って形成される。ヒドラジン溶液が燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の各構造部材に掛けられた時点で、それらの構造部材に付着している溶液のpHが、5.5〜9.0の範囲内、例えば、7.0になる。
チャンバー70内で各噴霧ノズルから噴霧されて燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67に掛けられた各溶液は、落下してチャンバー70の底部に集まり、皮膜形成液排出管74を通して回収タンク73に回収される。
チャンバー70内での燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の移動速度は、駆動装置71,72によりベルと87の移動速度を制御することによって調節され、噴霧された各溶液と接触してチャンバー70内で、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面全面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成されるように調節される。表面全面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成された燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67が、開口部80を通ってチャンバー70外に移送される。
燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67がチャンバー70内を移動するとき、燃料スペーサ及びスペーサスプリング66及び67において、噴霧された各溶液によって濡れていない部分が、存在しないように各溶液を噴霧する必要がある。
燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67が開口部79から開口部80に向かう間に、それらの表面全面に、ヘマタイトを含む所定量のフェライト皮膜が形成されないときには、ベルと87の移動方向を反転させて、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67をチャンバー70内で必要回数だけ往復させることにより、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面全面に亘ってに接触することによって、ヘマタイトを含む所定量のフェライト皮膜が燃料スペーサ及びスペーサスプリング66及び67の表面全面に亘って形成されるようにする。
チャンバー70内で各溶液をそれぞれの噴霧ノズルから噴霧している間、チャンバー70内には、不活性ガスが不活性ガス供給管(図示せず)を通してパージされる。これは、チャンバー70内を不活性ガス雰囲気にして、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成している間に、外部の空気(特に、酸素)が燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67の表面に接触することを防ぐためである。
チャンバー70を貫通する複数のベルト87を並列に配置し、それぞれのベルト87の真上に噴霧ノズル75〜78を配置し、それぞれのベルト87上に置かれて移動するそれぞれの燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67に対して、各薬液を噴霧してもよい。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、実施例1及び2に比べて、連続して燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67のそれぞれの表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することができる。
本実施例において、チャンバー70内で構造部材の移動する方向における噴霧ノズルの配置を、開口部79から開口部80に向って、薬液タンク44に接続された噴霧ノズル78、薬液タンク39に接続された噴霧ノズル77、薬液タンク29に接続された噴霧ノズル75、薬液タンク34に接続された噴霧ノズル76の順にしても良い。このような噴霧ノズルの配置によって、構造部材の表面に付着しているニッケルイオン及び過酸化水素を含む溶液に、構造部材の表面上で、鉄(II)イオンを含む溶液及びヒドラジン溶液を混合することになる。
前述した実施例1〜3は、燃料スペーサ及びスペーサスプリングだけでなく、燃料棒の被覆管の外面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する場合にも適用することができる。さらに、前述した実施例1〜3は、BWRプラントに用いられる燃料集合体を構成する燃料スペーサ、スペーサスプリング及び被覆管以外の、加圧水型原子力プラント(PWRプラント)に用いられる燃料集合体を構成する燃料スペーサ、スペーサスプリング及び被覆管にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する場合にも、適用することができる。
実施例3は、噴霧した各薬剤を構造部材の表面で混合し、この構造部材表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成するものである。実施例3を以下のように原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を以下のようにすることも可能である。この場合には、図10に示す皮膜形成装置25Bの構成が以下のように変更される。
注入配管46,41及び36が、直接、チャンバー70に接続されず、第1混合タンクに接続される。注入配管31も、直接、チャンバー70に接続されず、第1混合タンクが接続される第2混合タンクに接続される。第2混合タンクに接続された、例えば、4本の注入配管がチャンバー70内に配置された噴霧ノズル75,76,77及び78に別々に接続される。さらに、回収タンク73が戻り配管により第2混合タンクに接続される。
実施例3と同様に、ベルと87の上に置かれた燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67が、順次、チャンバー70内に搬送される。薬液タンク44,39,34内の90℃のニッケルイオンを含む溶液、90℃の過酸化水素溶液、90℃のヒドラジン溶液が、第1混合タンク内に供給されて第1混合タンク内で混合される。90℃のニッケルイオン、過酸化水素及びヒドラジンを含む溶液が、第2混合タンクに供給される。第2混合タンクには、薬液タンク29内の90℃の鉄(II)イオンを含む溶液が供給され、第1混合タンクから供給された溶液と混合される。第2混合タンク内で生成された90℃のニッケルイオン、過酸化水素、ヒドラジン及び鉄(II)イオンを含む溶液(皮膜形成水溶液)が、噴霧ノズル75〜78から噴霧されてチャンバー70内で燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67のそれぞれの表面に掛けられる。この結果、燃料スペーサ66及びスペーサスプリング67のそれぞれの表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成される。
チャンバー70内で噴霧されて回収タンク73に回収された皮膜形成水溶液が、戻り配管を通して第2混合タンクに戻され、再利用される。
本例でも、実施例3で生じた各効果を得ることができる。本例は、チャンバー70から回収した皮膜形成液を再利用することができる。
本例において、注入配管46及び41を第1混合タンクに接続し、注入配管36及び31を第2混合タンクに接続しても良い。
本例も、燃料スペーサ及びスペーサスプリングだけでなく、燃料棒の被覆管の外面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する場合にも適用することができる。さらに、本例は、BWRプラントに用いられる燃料集合体を構成する燃料スペーサ、スペーサスプリング及び被覆管以外の、加圧水型原子力プラント(PWRプラント)に用いられる燃料集合体を構成する燃料スペーサ、スペーサスプリング及び被覆管にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する場合にも、適用することができる。
本発明の他の実施例である実施例4の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法を、図11を用いて説明する。
前述した実施例1〜3は、燃料集合体を構成する部品(燃料スペーサ及び被覆管等)の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する実施例である。本実施例では、原子力プラントを構成する配管系の内面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する。本実施例の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法が適用されるBWRプラント(図11参照)は、図3に示すBWRプラントと実質的に同じである。
図11に示されたBWRプラントの概略を、図3に示されていない構造を中心に以下に説明する。原子炉2が原子炉格納容器90内に設置される。復水器8とRPV3を接続する給水配管9に、復水ポンプ91、復水浄化装置92、給水ポンプ12、低圧給水加熱器13A及び高圧給水加熱器13Bをこの順に設置している。原子炉浄化系は、再循環系配管15と給水配管9を連絡する浄化系配管17に、浄化系ポンプ94、再生熱交換器95、非再生熱交換器96及び炉水浄化装置18をこの順に設置している。浄化系配管17は、再循環ポンプ16の上流で再循環系配管15に接続される。
本実施例では、BWRプラントの構成部材である、例えば、再循環系配管15の内面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する。本実施例で用いられる皮膜形成装置25は、実施例1で用いられた皮膜形成装置25から収納容器26を削除した構成を有する。本実施例で用いられる皮膜形成装置25の循環配管27の両端(実施例1で収納容器26に接続された循環配管27の両端)が、皮膜形成対象物である再循環系配管15に連絡される。
本実施例の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法において、まず、皮膜形成装置を皮膜形成対象物である配管系に接続する。BWRプラントの定期検査を実施するためにBWRプラントの運転が停止された後、仮設設備である、本実施例で用いられる皮膜形成装置25の循環配管(皮膜形成液配管)27の一端が浄化系配管17に接続され、循環配管27の他端が再循環系配管15に接続される。具体的には、再循環系配管15に接続された浄化系配管17のバルブ93のボンネットを開放してボンネットの浄化装置18側を閉止する。循環配管27の一端がバルブ93のフランジに接続される。このような作業によって、循環配管27が浄化系配管17の一部を介して再循環ポンプ16の下流で再循環系配管15に接続される。再循環ポンプ16の下流で再循環系配管15に接続されたドレン配管(または計装配管)に循環配管27の他端を接続する。このようにして、本実施例で用いる皮膜形成装置25が、内面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成すべき配管である再循環系配管15に接続される。上記のような循環配管27の接続によって、循環配管27、浄化系配管17の一部、再循環系配管15及び循環配管27と繋がる、皮膜形成液の循環流路(閉ループ)が形成される。
次に、少なくとも1つの運転サイクルにおける運転を経験したBWRプラントでは、皮膜形成対象物の皮膜形成対象箇所に対する化学除染を実施する。この化学除染は、酸化除染及び還元除染を含んでおり、再循環系配管15の内面に対して、特開2008−304381号公報に記載されたステップS2と同様に行われる。なお、運転を経験していない新設のBWRプラントの皮膜形成対象物、例えば、再循環系配管の内面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成する場合には、その再循環系配管の内面に対しては化学除染が行われない。
再循環系配管15の内面に対する化学除染が終了した後、実施例1と同様に、ステップS2〜S8の各工程が順次実行される。このため、本実施例も、実施例1と同様に、例えば、温度が90℃でpHが7.0の、ニッケルイオン、鉄(II)イオン、過酸化水素及びヒドラジンを含む皮膜形成水溶液(皮膜形成液)が、再循環系配管15内に供給される。本実施例でも、ステップS3〜S5により、循環配管27内にニッケルイオンを含む水溶液、過酸化水素及びヒドラジンが注入された後に、鉄(II)イオンを含む溶液が循環配管27内に注入される。このため、再循環系配管15の、皮膜形成水溶液に接触する内面全面に亘って、実施例1と同様に、ヘマタイトを含む所定量のフェライト皮膜が形成される。皮膜形成水溶液は、上記の閉ループ内を循環する。
ステップS8の工程が終了した後、循環配管27が、浄化系配管17及び再循環系配管15に接続されたドレン配管(または計装配管)から取り外され、浄化系配管17及びドレン配管(または計装配管)が元の状態に復帰される。BWRプラントに対する定期検査が終了した後、BWRプラントが起動される。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
本実施例は、特開2007−192672号公報の図5に示すようにBWRプラントの他の配管系である浄化系配管17、及び特開2007−182604号公報の図4に示すようにBWRプラントの給水配管9に適用することができる。さらに、本実施例は、PWRプラントの原子炉に接続される一次系配管等にも適用することができる。
実施例1で用いられる皮膜形成装置25、実施例2で用いられる皮膜形成装置25A及び実施例4で用いられる皮膜形成装置25は、以下のように構成してもよい。ニッケルイオン注入装置43、酸化剤注入装置38及びpH調整剤注入装置33を1つの薬剤注入装置としてこの薬剤注入装置を循環配管27に接続し、鉄(II)イオン注入装置28をその薬剤注入装置よりも下流側で循環配管27に接続する。このような皮膜形成装置において、その薬剤注入装置から循環配管27にニッケルイオン、酸化剤及びpH調整剤を含む第1の薬剤を注入し、循環配管27内を流れるこの第1の薬剤を含む溶液に、鉄(II)イオン注入装置28から鉄(II)イオンを含む第2薬剤を注入して、皮膜形成対象物である、原子力プラントの構成部材に接触させる皮膜形成液を生成する。
また、実施例1で用いられる皮膜形成装置25、実施例2で用いられる皮膜形成装置25A及び実施例4で用いられる皮膜形成装置25は、以下のように構成してもよい。ニッケルイオン注入装置43及び酸化剤注入装置38を1つの薬剤注入装置としてこの薬剤注入装置を循環配管27に接続し、pH調整剤注入装置33及び鉄(II)イオン注入装置28をその薬剤注入装置よりも下流側で循環配管27に接続する。このような皮膜形成装置において、その薬剤注入装置から循環配管27にニッケルイオン及び酸化剤を含む第1の薬剤を注入し、循環配管27内を流れるこの第1の薬剤を含む溶液に、pH調整剤注入装置33からpH調整剤を含む第2薬剤を、鉄(II)イオン注入装置28から鉄(II)イオンを含む第3薬剤をそれぞれ注入して、皮膜形成対象物である、原子力プラントの構成部材に接触させる皮膜形成液を生成する。
本発明は、原子力プラントのステンレス鋼製及び炭素鋼製の配管、及び燃料集合体に適用することができる。
1…沸騰水型原子力プラント、2…原子炉、4…炉心、5…燃料集合体、7…タービン、8…復水器、9…給水配管、15…再循環系配管、16…再循環ポンプ、17…浄化系配管、25,25A,25B…皮膜形成装置、26…収納容器、27…循環配管、28…鉄(II)イオン注入装置、29,34,39,44…薬液タンク、31,36,41,46…注入配管、33…pH調整剤注入装置、38…酸化剤注入装置、43…ニッケルイオン注入装置、48…循環ポンプ、49…加熱器、50…冷却器、66…燃料スペーサ、67…スペーサスプリング、82…対極、83…参照電極、85…電位制御装置、70…チャンバー、71,72…駆動装置、73…回収タンク、87…ベルト。

Claims (19)

  1. ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液へのpH調整剤及び鉄(II)イオンを含む溶液の注入、及び前記ニッケルイオン、前記酸化剤及び前記pH調整剤を含む溶液への鉄(II)イオンを含む溶液の注入のいずれかによって、pHが5.5〜9.0の範囲内にあって前記ニッケルイオン、前記酸化剤、前記pH調整剤及び前記鉄(II)イオンを含む皮膜形成液を生成し、
    この皮膜形成液を原子力プラントの構成部材の表面に接触させて前記構成部材の表面に、ヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することを特徴とする原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  2. 前記構成部材を密封された容器内に収納し、
    前記皮膜形成液を前記容器内に供給し、
    前記構成部材の表面への前記ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成が、前記容器内で行われる請求項1に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  3. 前記構成部材であるジルコニウム合金部材が収納された前記容器に供給される前記皮膜形成液のpHを6.5〜9.0の範囲内に調節し、
    前記ジルコニウム合金部材の表面への前記ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成が、前記皮膜形成液と接触している前記ジルコニウム合金部材に加える電位を−0.5V〜0Vの範囲内に制御して行われる請求項2に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  4. 前記ジルコニウム合金部材に前記電位を加えているとき、前記ジルコニウム合金部材に流れる電流を測定し、測定された前記電流に基づいて、前記ジルコニウム合金部材の前記表面に形成された前記フェライト皮膜の厚みを求める請求項3に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  5. 前記求められた前記フェライト皮膜の厚みが設定厚みになったとき、前記ジルコニウム合金部材の表面への前記フェライト皮膜の形成を停止する請求項4に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  6. 前記構成部材の表面への前記ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成が、前記皮膜形成液を、前記構成部材である、が原子力プラントの配管系の内面に接触させて、この内面に前記ヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することである請求項1に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  7. 前記構成部材の表面に接触する前記皮膜形成液の温度を60℃〜100℃の範囲内の温度に調節する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  8. 容器内に原子力プラントの構成部材を収納して前記容器を密封し、
    前記容器に接続された配管内を流れるニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液へのpH調整剤及び鉄(II)イオンを含む溶液の注入、及び前記配管内を流れる前記ニッケルイオン、前記酸化剤及び前記pH調整剤を含む溶液への鉄(II)イオンを含む溶液の注入のいずれかによって、pHが5.5〜9.0の範囲内にあって前記ニッケルイオン、前記酸化剤、前記pH調整剤及び前記鉄(II)イオンを含む皮膜形成液を生成し、
    前記皮膜形成液を、前記配管を通して前記容器に供給し、
    前記容器内で前記構成部材に前記皮膜形成液を接触させて前記構成部材の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することを特徴とする原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  9. 前記皮膜形成液が、前記循環配管及び前記容器によって形成される閉ループ内を循環する請求項8に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  10. 原子力プラントの構成部材である配管系に配管を接続し、
    前記配管内を流れるニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液へのpH調整剤及び鉄(II)イオンを含む溶液の注入、及び前記配管内を流れる前記ニッケルイオン、前記酸化剤及び前記pH調整剤を含む溶液への鉄(II)イオンを含む溶液の注入のいずれかによって、pHが5.5〜9.0の範囲内にあって前記ニッケルイオン、前記酸化剤、前記pH調整剤及び前記鉄(II)イオンを含む皮膜形成液を生成し、
    前記皮膜形成液を、前記配管を通して前記配管系に供給し、
    前記配管系の内面に前記皮膜形成液を接触させて前記配管系の内面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成し、
    前記配管の配管系への接続、前記皮膜形成液の生成、前記皮膜形成液の前記配管系への供給及び前記ヘマタイトを含むフェライト皮膜の形成が、前記原子力プラントの運転を停止してその後、前記原子旅行プラントを起動するまでの間の期間で行われることを特徴とする原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  11. 前記皮膜形成液を前記配管系に供給する前に、前記配管系の内面の化学除染を行う請求項10に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  12. 前記皮膜形成液が、前記循環配管及び前記配管系によって形成される閉ループ内を循環する請求項10または11に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  13. 前記配管内を流れる前記ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液への前記pH調整剤及び前記鉄(II)イオンを含む溶液の注入による前記皮膜形成液の生成が、前記配管に接続された第1薬剤注入装置から前記配管への前記ニッケルイオンを含む第1薬剤の注入及び前記配管に接続された第2薬剤注入装置から前記配管への前記酸化剤を含む第2薬剤の注入により前記配管内で生成された前記ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液に、前記配管に接続された第3薬剤注入装置から前記pH調整剤を含む第3薬剤を注入し、前記ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液に、前記配管に接続された第4薬剤注入装置から前記鉄(II)イオンを含む第4薬剤を注入することによって行われる請求項8、10及び11のいずれか1項に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  14. 前記配管内を流れる前記ニッケルイオン、酸化剤及びpH調整剤を含む溶液への前記鉄(II)イオンを含む溶液の注入による前記皮膜形成液の生成が、前記配管に接続された第1薬剤注入装置から前記配管への前記ニッケルイオンを含む第1薬剤の注入、前記配管に接続された第2薬剤注入装置から前記配管への前記酸化剤を含む第2薬剤の注入及び前記配管に接続された第3薬剤注入装置から前記配管への前記pH調整剤を含む第3薬剤の注入により前記配管内で生成された前記ニッケルイオン、酸化剤及びpH調整剤を含む溶液に、前記配管に接続された第4薬剤注入装置から前記鉄(II)イオンを含む第4薬剤を注入することによって行われる請求項8、10及び11のいずれか1項に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  15. 前記配管内を流れる前記ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液への前記pH調整剤及び前記鉄(II)イオンを含む溶液の注入による前記皮膜形成液の生成が、前記配管に接続された第1薬剤注入装置から前記配管への前記ニッケルイオン及び前記酸化剤を含む第1薬剤の注入により前記配管内で生成された前記ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液に、前記配管に接続された第2薬剤注入装置から前記pH調整剤を含む第2薬剤を注入し、前記ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液に、前記配管に接続された第3薬剤注入装置から前記鉄(II)イオンを含む第3薬剤を注入することによって行われる請求項8、10及び11のいずれか1項に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  16. 前記配管内を流れる前記ニッケルイオン、酸化剤及びpH調整剤を含む溶液への前記鉄(II)イオンを含む溶液の注入による前記皮膜形成液の生成が、前記配管に接続された第1薬剤注入装置から前記配管への前記ニッケルイオン、前記酸化剤及び前記pH調整剤を含む第1薬剤の注入により前記配管内で生成された前記ニッケルイオン、酸化剤及びpH調整剤を含む溶液に、前記配管に接続された第2薬剤注入装置から前記鉄(II)イオンを含む第2薬剤を注入することによって行われる請求項8、10及び11のいずれか1項に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  17. 前記配管に設けられた加熱装置によって、前記皮膜形成液を加熱する請求項8ないし16のいずれか1項に記載の原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  18. 前記チャンバー内で、前記チャンバーに形成された構成部材入口から構成部材出口に向かって、原子力プラントの構成部材を移動させ、
    前記チャンバー内における、移動する前記構成部材の表面への薬剤の噴霧が、ニッケルイオンを含む溶液及び酸化剤を含む溶液のそれぞれの噴霧及びこれらの噴霧の後におけるpH調整剤を含む溶液及び鉄(II)イオンを含む溶液のそれぞれの噴霧、及び前記ニッケルイオンを含む溶液、前記酸化剤を含む溶液及び前記pH調整剤を含む溶液のそれぞれの噴霧及びこれらの噴霧の後における鉄(II)イオンを含む溶液の噴霧のいずれかによって、行われ、
    噴霧されたそれぞれの前記薬液の、前記構成部材の表面への接触によって、前記構成部材の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜が形成され、
    前記ニッケルイオンを含む溶液、前記酸化剤を含む溶液、前記pH調整剤を含む溶液及び前記鉄(II)イオンを含む溶液が前記構成部材の表面に接触しているとき、前記構成部材の表面においてこれらの溶液が混合されて生成された溶液のpHが5.5〜9.0の範囲内になっていることを特徴とする原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
  19. 前記チャンバー内で、前記チャンバーに形成された構成部材入口から構成部材出口に向かって、原子力プラントの構成部材を移動させ、
    ニッケルイオン及び酸化剤を含む溶液へのpH調整剤及び鉄(II)イオンを含む溶液の注入、及び前記ニッケルイオン、前記酸化剤及び前記pH調整剤を含む溶液への鉄(II)イオンを含む溶液の注入のいずれかによって、pHが5.5〜9.0の範囲内にあって前記ニッケルイオン、前記酸化剤、前記pH調整剤及び前記鉄(II)イオンを含む皮膜形成液を生成し、
    前記チャンバー内で、移動する前記構成部材の表面に前記皮膜形成液を噴霧し、
    前記噴霧された皮膜形成液の、前記構成部材の表面への接触によって、前記構成部材の表面にヘマタイトを含むフェライト皮膜を形成することを特徴とする原子力プラント構成部材への皮膜形成方法。
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