JP2012050408A - 糖化原料、その製造方法およびエタノール製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エタノール製造方法は、イネ全草(地上部全体)のペレット化により含まれるデンプンがα化している糖化原料1を用い、これを粉砕する粉砕過程P1と、粉砕過程P1により粉砕されたペレット1の酵素処理によってグルコース2を得る糖化過程P2と、グルコース2を用いて発酵処理するための発酵処理過程P3を備えて構成される。
【選択図】 図P1
Description
〔2〕 前記バイオマスはイネ科植物であることを特徴とする、〔1〕に記載の糖化原料。
〔3〕 前記バイオマスはイネであることを特徴とする、〔1〕に記載の糖化原料。
〔4〕 ペレット化過程で発生する熱によりデンプンがα化しており、使用時にα化処理が不要であることを特徴とする、〔1〕ないし〔3〕のいずれかに記載の糖化原料。
〔5〕 〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の糖化原料の糖化処理によって製造されるグルコース。
〔6〕 デンプンおよびセルロースを含有するバイオマスの地上部全体を用いて、これを加圧成形処理するペレット化過程によってペレットを得る、糖化原料の製造方法。
〔8〕 〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の糖化原料を用いるエタノール製造方法であって、該方法は、該糖化原料を粉砕する粉砕過程と、該粉砕過程により粉砕された該エタノール製造用原料の酵素処理によってグルコースを得る糖化過程とを備えており、得られたグルコースの発酵処理によってエタノールを得る、エタノール製造方法。
〔9〕 前記糖化過程においては、セルラーゼ産生糸状菌による麹もしくはアミラーゼ産生糸状菌による麹、またはその両者を用いることを特徴とする、〔8〕に記載のエタノール製造方法。
〔10〕 〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の糖化原料を用いるバイオエタノール生産システムであって、
該システムは、デンプンおよびセルロースを含有する糖化原料とするためのバイオマスが栽培される圃場である複数の栽培サイトと、
該栽培サイトごとにその内部に設けられていて最終的な該バイオエタノールの中間産物を得るための中間処理サイトと、
該中間産物を処理して該バイオエタノールとするための最終処理サイト
とを備えてなる、バイオエタノール生産システム。
本発明は、最終的にエタノール製造を実現するために用いる糖化原料およびその製造方法を基本とするが、特に、デンプンおよびセルロースを含有するバイオマスの地上部全体をペレット化してなる糖化原料を最も基礎的な構成とするものである。ここで、バイオマスとしては特に、イネその他のイネ科植物を好適に用いることができるが、その他のバイオマスであっても本発明の範囲内である。また、当該糖化原料の糖化処理によって製造されるグルコース自体もまた、本発明の範囲内である。
<1 目的と検討項目>
本研究開発は、物理化学的処理によらず、発酵法のみを使って、産業として成り立つバイオエタノール生産システムを確立することを目的とした。
イネ全草を対象とし、デンプン質とセルロース質の同時糖化・同時発酵システムの検討、セルロース分解処理コスト削減のためのセルラーゼ高生産糸状菌の選抜、イネ全草高発酵酵母の選抜により、高効率・低コストのエタノール発酵技術を開発することとした。なお「イネ全草」とは、通常の刈り取りで得られるイネの地上部(もみ、茎葉部)全体のことを示す。
具体的な検討項目を列挙する。
1.イネの品種等による繊維組成の比較。
2.市販酵素によるイネ全草試料の糖化。
3.糖化試料発酵用酵母の検討。
4.全草培地でのアミラーゼ生産の検討。
5.全草培地でのセルラーゼ生産の検討。
6.イネ全草試料の並行複発酵の検討。
特に、市販酵素剤を使わず、食品用酵素生産菌をイネ全草で培養することにより製造した麹を、糖化に利用する技術の検討を含む。
7.イネ全草の前処理技術として、ペレット化試料の製造およびそれを用いた糖化・発酵の検討。
8.イネ全草からのエタノール生産LCA(環境影響評価)。
特に、圃場と燃料用エタノール製造施設の間に、発酵と粗留を行う中間処理サイトを挾むことによる輸送等コストの削減の検討を含む。
品種「ムツホマレ」については、弘前市石渡の農家より食用として刈り取り適期に収穫したもの、および刈り取り適期の2週間前に青刈りしたものを提供頂いた。品種「うしゆたか」については、青森県農業総合研究所(現、独立行政法人産業技術センター農林総合研究所)にて栽培試験を行ったサンプルの中から、収穫量最大区と最小区の収穫物を用いた。
このうち、うしゆたかの栽培区分を表1に示す。
絶乾試料
↓(ジエチルエーテル:ソックスレー)
↓ →減質量を粗脂肪画分とする
脱脂試料n
↓ 蒸留水室温で4時間振盪抽出
↓ →減質量を水可溶画分とする
水不溶画分
↓+0.01%アミログルコシダーゼ(200mM酢酸バッファpH4.5)
↓ 37℃18時間反応
↓ →減質量をデンプン画分とする
脱デンプン試料
↓ 0.25%シュウ酸アンモニウム95℃ 3時間攪拌抽出
↓ →減質量をペクチン画分とする
脱ペクチン試料
↓ 5%硫酸(v/v)100℃4〜10分抽出
↓ →減質量をヘミセルロース画分とする
脱ヘミセルロース試料
↓ 72%硫酸(w/w)72時間2〜4℃)抽出
↓ →減質量をセルロース画分とする
脱セルロース試料
↓ 450℃で純白となるまで灰化
↓ →減質量をリグニン画分とする
残渣を灰分とする
市販酵素剤を用いてイネ全草試料(適期収穫ムツホマレ)を糖化した結果を表2に示した。イネ全草試料はアミラーゼ系の酵素剤の作用により試料乾物gあたり296.79〜373.49mgの還元糖を生成した。この量は、イネ全草試料に含まれるデンプンのほとんどがブドウ糖にまで分解された量に相当する。
イネ全草試料による発酵阻害の有無を検討するため、イネ全草試料抽出液(全草試料4gを200ml蒸留水に加えオートクレーブして抽出)を調製し、イネ全草試料1%濃度相当の抽出液を含むYMP−2%グルコース液体培地(ダラム管入り)を作製し、これに研究室保存の酵母(20株)を一白金耳量植菌して、生育および発酵の有無を観察した。
アミラーゼは、デンプン質をグルコースに分解する酵素である。この酵素を生産する菌として、青森県が所有する糸状菌12株の中から、イネ全草寒天培地で生育の良かった糸状菌2株(Aspergillus oryzae IFO30113,Aspergillus niger IFO1023)を選抜して、イネ全草培地で生育させ、生産されるアミラーゼ活性を経時的に測定した。
実験方法は以下のとおりである。
イネ全草試料2.5gに5mlの蒸留水を添加
↓
オートクレーブ滅菌
↓
糸状菌胞子をそれぞれ50000spore植菌し、30℃で静置培養
↓
所定日数培養後45mlの100mM NaAc buffer(pH5.0)を添加、55℃で24時間反応後、生成還元糖測定
イネ全草粉末を培地として、主としてセルロースを分解する酵素を生産するカビ(糸状菌)の選抜を行い、そのカビを用いてイネ全草を糖化する麹を作製した。
セルラーゼは、セルロース質をグルコースに分解する酵素である。この酵素を生産する菌として、食品用セルラーゼの生産によく使われる菌株であるTrichoderma viride NBRC31137株、およびTrichoderma reesei NBRC31326株、および弘前大学農学生命学部応用微生物研究室が白神山地から分離した子嚢菌2株(K菌株;Taralomyces,G菌株;Penicillum属)をイネ全草培地を培地として生育させ、生産されるセルラーゼ活性を経時的に測定した。なお、セルラーゼ活性は培地抽出液を粗酵素液として、CM−セルロースを基質とし、42℃24時間反応で生成するグルコース量により測定した。
以上の試験で、酵母菌株、アミラーゼ麹、セルラーゼ麹が揃ったことから、これらを組み合せてイネ全草試料からエタノールを生産する条件について検討した。
まず、アミラーゼ麹とセルラーゼ麹の混合比を変えて、全体重量10gの試料について30℃14日間発酵させて生成するエタノールを測定した。表4に、混合比を変えたアミラーゼ麹・セルラーゼ麹による発酵試験結果を示す。なお、表中の*エタノール収率は、イネ全草試料10g中に含まれるデンプンおよびセルロースから算出されるエタノール生産量(理論収量 下式のとおり)に対し、実際にどれだけのエタノールが得られたかを示すものである。
理論収量= 3.91g(エタノール) /10g(イネ全草試料)
エタノールの内訳:デンプン由来2.12g、セルロース由来1.79g
これらの結果は、市販酵素剤を使った試験と同様、セルロースが分解されないためにエタノール生成が理論値の40%程度に留まっていることを示しており、セルロース利用性の向上のためには、何らかの前処理方法が必要であると考えられた。
イネ全草をアルコール発酵原料として使用する場合、そのままでは嵩が大きく貯蔵や移動に不便であること、水分が15%程度含まれておりカビやペスト(害虫・ネズミ等)の発生、食害等の心配があることから、イネ全草の高度素材化、具体的には、イネ全草試料を粉砕加圧してペレット状に加工するペレット化を試みた。
<8−1 ペレットの製造>
イネ全草試料としては平成21年産「みなゆたか」(青森県農業総合研究所、現:独立行政法人産業技術センター農林総合研究所)を用いた。これを、シュレッダーで長さ4cm程度以下に断片化した後、ペレタイザー((株)土佐テック社製 フラットダイ方式ペレタイザー TS−55)を用いて、径10mm×25mm程度のペレットに加工した。すなわち、ペレット化のフローは下記のとおりである。
原料(イネ全草)
↓ シュレッダーで処理
4cm程度以下に裁断
↓ ペレタイザーで処理
イネ全草ペレット
次いでペレット化前後での、イネ全草試料の酵素作用の受けやすさについて、以下の方法にて比較検討を行った。
ペレット化前後の試料をミルサーで粉砕後、0.5mm以下の篩で細粉化した試料をとり、50mgの試料に、
1mlの酵素溶液(アミラーゼ:グルク吟(5mg/ml) in 50mM酢酸緩衝液(pH4.8)
セルラーゼ:SumizymeAC(5mg/ml) in 50mM酢酸緩衝液(pH4.8)
アミラーゼ・セルラーゼ:グルク吟とSumizymeACを各5mg/ml) in 50mM酢酸緩衝液(pH4.8))
を添加し、50℃で48時間保温の後、遠心分離によって上清を回収してグルコース量を定量した。
表7に、ペレット化前後の成分組成(%)を示す。表に示すように、ペレット化によって、リグニン、灰分およびヘミセルロース画分の減少とアミラーゼ可溶画分の顕著な増加、および水溶性画分の若干の増加が見られた。これらの変化について考察した。まず灰分の減少については、ペレット化により細胞壁を構成するシリカが微粉化し、ガラスフィルターを通り抜けたことによるものと考えられる。またリグニンの減少については、シリカ同様ペレット化によりリグニンが微粉化し、セルロース分解時にフィルターを抜けたことによるものと考えられる。
ペレット化前後試料およびその粉砕物を用いて、エタノール発酵を行い、アルコール収率を求めた。
ペレットおよびペレット化前試料は、バイブレーティングサンプルミルにより粉砕した試料(絶乾重量20g相当)に対して、水分量が40mlとなるように加水したもの(粉砕処理)、および、かかる粉砕処理を行わないもの(無処理)を用いた。また、ペレット化前試料については、温浴中30分間沸騰し、デンプンのα化を行った。酵母は、焼酎3号をYPD培地にて1昼夜、振とう培養し、試料重量あたり2×107個/gになるように汲み水の一部で希釈し、添加した。酵素剤はグルクSBG、SumizymeACをそれぞれ試料に対し、0.05%、1%添加し懸濁した。ペレット化前後試料からのアルコール生成結果を、表8に示す。
バイオマス作物によるエタノール生産の問題点、特にコストに関わる部分では次の2点がネックになっているといわれている。
・バイオマス作物の運搬コストが大きいこと。
(半径40km以内の運搬が望ましい)
・燃料エタノール精製プラントの設備投資コストが大きいこと。
(1.5万kl/年生産規模のプラントで約30億円:秋田県の試算)
このことから、燃料エタノール精製プラントとバイオマス作物を栽培する圃場との間に、発酵と粗留を行う中間処理サイトを挾むことと、酵素をオンサイト生産すること(サイト分割モデル)、さらに上述の造粒化(ペレット化)技術を組合わせ、バイオエタノール生産システムとしてシステム化した場合のコスト削減効果について、検討を行った。表9は、バイオエタノール生産システムの基本構成を示すものである。
2…グルコース
3…エタノール
P1…粉砕過程
P2…糖化過程
P3…発酵処理過程
Claims (10)
- デンプンおよびセルロースを含有するバイオマスの地上部全体をペレット化してなる、糖化原料。
- 前記バイオマスはイネ科植物であることを特徴とする、請求項1に記載の糖化原料。
- 前記バイオマスはイネであることを特徴とする、請求項1に記載の糖化原料。
- ペレット化過程で発生する熱によりデンプンがα化しており、使用時にα化処理が不要であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の糖化原料。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の糖化原料の糖化処理によって製造されるグルコース。
- デンプンおよびセルロースを含有するバイオマスの地上部全体を用いて、これを加圧成形処理するペレット化過程によってペレットを得る、糖化原料の製造方法。
- 前記ペレット化過程で発生する熱によりデンプンがα化していることを特徴とする、請求項6に記載の糖化原料の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の糖化原料を用いるエタノール製造方法であって、該方法は、該糖化原料を粉砕する粉砕過程と、該粉砕過程により粉砕された該エタノール製造用原料の酵素処理によってグルコースを得る糖化過程とを備えており、得られたグルコースの発酵処理によってエタノールを得る、エタノール製造方法。
- 前記糖化過程においては、セルラーゼ産生糸状菌による麹もしくはアミラーゼ産生糸状菌による麹、またはその両者を用いることを特徴とする、請求項8に記載のエタノール製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の糖化原料を用いるバイオエタノール生産システムであって、
該システムは、デンプンおよびセルロースを含有する糖化原料とするためのバイオマスが栽培される圃場である複数の栽培サイトと、
該栽培サイトごとにその内部に設けられていて最終的な該バイオエタノールの中間産物を得るための中間処理サイトと、
該中間産物を処理して該バイオエタノールとするための最終処理サイト
とを備えてなる、バイオエタノール生産システム。
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