以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
説明は以下の順序で行なう。
1.基本構成(第1例〜第5例)
2.第1実施形態(PLLによる基準タイミング生成、リングバッファによる多相タイミング信号の再生、PLL出力での位相合せ、高速処理はパラシリ変換)
3.第2実施形態(PLLによる基準タイミング生成、リングバッファによる多相タイミング信号の再生、外部基準クロックでの位相合せ、高速処理はパラシリ変換)
4.第3実施形態(PLLによる基準タイミング生成、ディレイラインによる多相タイミング信号の再生、PLL出力での位相合せ、高速処理はパラシリ変換)
5.第4実施形態(DLLによる基準タイミング生成、リングバッファによる多相タイミング信号の再生、DLL出力での位相合せ、高速処理はパラシリ変換)
6.第5実施形態(PLLによる基準タイミング生成、リングバッファによる多相タイミング信号の再生、PLL出力での位相合せ、高速処理はカウンタ)
7.第6実施形態(第1〜第4実施形態に対してデータ保持タイミング用のクロック配線を1本に変更)
8.各実施形態の作用効果の纏め
9.電子機器への適用例(固体撮像装置への適用)
<基本構成>
図1は、本発明の一実施形態を適用した電子回路の一例であるタイミング生成回路の基本構成を説明する図である。タイミング生成回路100の各基本構成は何れも、基準タイミング生成部110と、局所タイミング再生部120と、高速信号処理部140とを備えている。基準タイミング生成部110は、基準タイミング信号J0を局所タイミング再生部120に供給する基準タイミング信号供給部として機能する。
図1(1)に示す第1基本構成例のタイミング生成回路100_1は、単一の高速信号処理部140を備える。
図1(2)に示す第2基本構成例のタイミング生成回路100_2は、複数の高速信号処理部140を備え、複数の高速信号処理部140のそれぞれについて局所タイミング再生部120が1対1で設けられており、複数の局所タイミング再生部120に対して1つの基準タイミング生成部110が共通に設けられている。以下では「1:1配置の構成」とも称する。
基準タイミング生成部110を複数(この例では全ての)の局所タイミング再生部120で共用することで全体構成をコンパクトにしている。基準タイミング生成部110を複数の局所タイミング再生部120で共用する構成であればよく、局所タイミング再生部120の全てについて基準タイミング生成部110を共用することは必須でなく、基準タイミング生成部110を複数備える構成にしてもよいが、その場合、その分だけ回路規模が大きくなる。
図1(3)に示す第3基本構成例のタイミング生成回路100_3は、複数(M個)の高速信号処理部140を備える点は第2基本構成例と同じであるが、1つの局所タイミング再生部120に対して複数(m個:M>m:図ではm=2)の高速信号処理部140が設けられる点が第2基本構成例と異なる。M>mを満たすことは、高速信号処理部140の総数Mよりも少ないm個の局所タイミング再生部120を使用することを意味する。このような構成を、以下では「1:m配置の構成」とも称する。
たとえば、各局所タイミング再生部120は、その近場にあるm個の高速信号処理部140に多相タイミング信号J2を分配するようにする。遠くの高速信号処理部140は、その高速信号処理部140の近場に設けた局所タイミング再生部120から多相タイミング信号J2の分配を受けるようにする。
「1:1配置の構成」の第1基本構成例では、局所タイミング再生部120が複数の高速信号処理部140に多相タイミング信号J2を分配するということはないが、局所タイミング再生部120を高速信号処理部140ごとに設けるためのスペースが問題となる。このような場合、第3基本構成例を適用すれば、M>mを満たすことで、1箇所からM個の全ての高速信号処理部140に多相タイミング信号J2を分配する場合(「1:M配置の構成」とも称する)の問題を解消しつつ、局所タイミング再生部120を設けるためのスペースの問題も解消できる。
図1(4)に示す第4基本構成例のタイミング生成回路100_4は、「1:1配置の構成」の第2基本構成例の考え方と「1:m配置の構成」の第3基本構成例の考え方の双方を組み合わせたものである。局所タイミング再生部120と高速信号処理部140との距離に応じて、第2基本構成例と第3基本構成例とを使い分けることで、多相タイミング信号J2を遠くへ分配することの問題を避けつつ、局所タイミング再生部120を設けるためのスペースの問題を解消する場合に好適な事例である。
たとえば、局所タイミング再生部120と高速信号処理部140とが相対的に離れている箇所では「1:1配置構成」の第2基本構成例を適用することで、遠距離の複数箇所の高速信号処理部140に多相タイミング信号J2を分配することの問題を避ける。一方、局所タイミング再生部120と高速信号処理部140とが相対的に近い箇所では「1:m配置構成」の第3基本構成例を適用することで、局所タイミング再生部120の設置数を少なくできる。
図1(5)に示す第5基本構成例のタイミング生成回路100_5は、第1基本構成例のタイミング生成回路100_1をベースに、標準信号処理部150をさらに備える。図示しないが、第2〜第4基本構成例のタイミング生成回路100_2,100_3,100_4をベースに、標準信号処理部150をさらに備える構成とすることもできる。高速処理が求められない信号処理についてまで局所タイミング再生部120と高速信号処理部140を対応付けて(好ましくは1:1で)設けて対処するのは無駄(過剰な対処)であるので、その場合は、基準タイミング信号J0そのものものに基づいて標準信号処理部150が信号処理を行なうようにする。
基準タイミング生成部110は、システム全体の基準となるタイミング信号であって、たとえば局所タイミング再生部120や標準信号処理部150へ供給される基準タイミング信号J0を生成するものである。この基準タイミング生成部110は、高速信号処理部140から離れた所に配置される。基準タイミング生成部110は基準タイミング信号J0を生成できるものであればよく、種々の回路構成を採り得るが、たとえば、PLL(Phase-Locked Loop :位相同期ループ)やDLL(Delay-Locked Loop :遅延同期ループ)などで構成するのが好適である。
基準タイミング生成部110から各局所タイミング再生部120へ供給される基準タイミング信号J0は、高速信号処理部140全体のトグル頻度(周波数)よりもトグル頻度の低い信号が使用される。
高速信号処理部140全体のトグル頻度とは、たとえば、高速信号処理部140が周波数の高い信号を出力する場合はその出力信号の周波数が該当する。また、高速信号処理部140が信号を出力するか否かに関わらず(出力する信号の周波数が低い場合もある)、高速信号処理部140内部の動作周波数が高い場合は、内部の動作周波数が該当する。
基準タイミング信号J0としては、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled oscillator )の制御電圧や電流制御発振器(CCO:Current Controlled Oscillator )の制御電流が利用できる。また、PLLやDLLやその他の発振回路から出力される比較的低速な出力クロック、PLLやDLLやその他の発振回路に外部から入力される基準クロックなどを利用することができる。
外部から入力される基準クロックのみを基準タイミング信号J0として使用することも考えられる。この場合、実態的には、基準タイミング生成部110が不要であり、各箇所の局所タイミング再生部120に基準タイミング信号J0を供給するための配線が基準タイミング信号供給部として機能する。
局所タイミング再生部120側から見た場合、基準タイミング信号J0は、局所タイミング再生部120が多相タイミング信号J2を生成するに当たって必要とされる発振制御情報や遅延量制御情報や多相タイミング信号J2の位相合せを行なうためのタイミング情報(同期をとるためのパルス:同期パルス)などが該当する。発振制御情報や遅延量制御情報としては電圧や電流の信号が使用され、同期パルスとしては高速信号処理部140で使用される信号のトグル頻度よりもトグル頻度の低いパルス信号が使用される。
本実施形態では、基準タイミング信号J0として、これらの内の何れか1つあるいは全部を用いることができるなど、各種の基準タイミング信号J0を任意に組み合わせて使用することができる。この場合、少なくとも、基準タイミング生成部110の発振回路と、局所タイミング再生部120の回路では、制御電圧や制御電流を共用するようにする。両者の回路で使用されるデバイス特性にバラツキがなければ、その2つの回路から出力されるパルス信号の周波数は、制御電圧や制御電流を共用することで同一にできる。
ただし、デバイス特性にバラツキがあると、制御電圧や制御電流を共用しても、その2つの回路から出力されるパルス信号の周波数を同一にできない虞れがある。その対策としては、制御電圧や制御電流に加えて、位相合せ用のタイミング信号(同期パルス)も局所タイミング再生部120に供給するのがよい。
局所タイミング再生部120は、高速信号処理部140の近傍に配置され、基準タイミング生成部110からの基準タイミング信号J0に基づいて高速信号処理部140が必要とする多相タイミング信号J2を再生(生成)する。局所タイミング再生部120は、位相がそれぞれ異なる複数のクロック信号でなる多相タイミング信号J2(多相クロック)を生成する多相クロック生成部の一例である。
局所タイミング再生部120は多相タイミング信号J2を生成できるものであればよく、種々の回路構成を採り得るが、たとえば、リングバッファによる発振回路、遅延制御されたバッファチェーンによるディレイラインなどで構成するのが好適である。リングバッファやディレイラインなどの何れの場合でも好ましくは、基準タイミング生成部110の発振部210と局所タイミング再生部120の各デバイス特性にバラツキがあっても、制御電圧や制御電流を共用することで各回路から出力されるパルス信号の周波数を同一にできるように、位相合せ用のタイミング信号(同期パルス)の供給を受けられるようにするのがよい。
局所タイミング再生部120から高速信号処理部140へ供給される多相タイミング信号J2は、高速信号処理部140における高速な処理を行なうための基準となるタイミング情報である。ただし、多相タイミング信号J2を構成する各タイミング信号は、高速信号処理部140で使用される信号のトグル頻度よりもトグル頻度の低い信号である。より具体的には、多相タイミング信号J2は、複数のクロック信号の組合せにより複数のクロック位相を持つものである、換言すると、各々のクロック信号の周波数は低速であるが、各クロック信号の位相を組み合わせることで、全体としては高速なタイミング情報を高速信号処理部140へ供給できるようになっている信号である。この多相タイミング信号J2は高速信号処理部140側が必要とする位相関係を持つ複数本のクロック信号で構成されるが、典型的には、等間隔に位相の異なる複数本のクロック信号で構成される。
局所タイミング再生部120が多相タイミング信号J2を基準タイミング信号J0に基づいて生成することにより、正確で高速なタイミング情報を生成しつつ、高速信号処理部140で使用される信号のトグル頻度よりも各タイミング信号のトグル頻度を下げることができ、消費電力を低減するとともに最大動作周波数を上げることができる。
高速信号処理部140は、高速な処理が求められる機能を実現する機能ブロックや回路部である。高速信号処理部140はたとえば、高速パラレル・シリアル変換回路、高速シリアル・パラレル変換回路、カウンタ回路、CPU(Central Processing Unit :中央演算処理装置)などで使われる演算回路などが該当する。
標準信号処理部150は、基準タイミング生成部110からの基準タイミング信号J0に基づいて動作する回路部であり、高速信号処理部140よりも低速のデジタル信号処理を行なう低速信号処理部の一例である。換言すると、標準信号処理部150は、高速でない標準的な速度の処理が求められる機能を実現する機能ブロックや回路部である。
このような構成のタイミング生成回路100は、高速信号処理部140から離れた位置に基準タイミング生成部110を配置する一方で、高速信号処理部140の近傍に局所タイミング再生部120を配置するようにしている。そして先ず、基準タイミング生成部110から局所タイミング再生部120に向けて、高速信号処理部140で使用される信号のトグル頻度(周波数)よりもトグル頻度の低い基準タイミング信号J0を送り、この基準タイミング信号J0に基づいて高速信号処理部140における高速な処理の基準となる多相タイミング信号J2を局所タイミング再生部120で生成する。
このトグル頻度の低い多相タイミング信号J2を高速信号処理部140に供給することで、高速信号処理部140で使用される信号のトグル頻度と同じトグル頻度の基準タイミング信号を基準タイミング生成部110から高速信号処理部140に供給する場合に比べて、消費電力を抑えつつ高速な処理を実現できるようになる。
たとえば、回路動作を高速化したい場合や消費電力を低減化したい場合、高速動作の基準となるクロック信号として等間隔に位相の異なる多相タイミング信号J2を基準タイミング生成部110で生成して、比較的離れた位置に配置された高速信号処理部140が使用することが考えられる。こうすることで、回路のトグル頻度を下げて低消費電力化するとともに、多相クロック信号の各エッジを組み合わせて高速なタイミング基準を得ることができる。
しかしながら、この場合、基準タイミング生成部110で多相クロック信号を生成し、各位相関係を正しく保ったまま高速動作が要求される高速信号処理部140まで分配するには、回路設計や回路配置(レイアウト)などの実装が複雑になる。そのため、調整作業に時間が掛り、結果的に多相クロック信号の特性劣化(位相バラツキ、ジッタなど)やそのクロック分配のためのレイアウト面積増大などの不利益を引き起こしてしまうため、回路の高速化や低消費電力化の効果を得ることが難しくなる。
特に、高速信号処理部140を複数設ける場合には、基準タイミング生成部110と全ての高速信号処理部140とを近距離に配置することは一般的に困難になるから、このことの問題がより顕在化してくる。
また、高速信号処理部140が1つの場合でも、レイアウトの制限から、必ずしも、高速信号処理部140の近傍に基準タイミング生成部110を配置できるとは限らない。さらに、基準タイミング生成部110は、高速信号処理部140用の多相タイミング信号J2を生成するだけでなく、他の機能ブロックや回路部(たとえば標準信号処理部150など)が使用する基準タイミング信号を生成することもある。このような場合は、多相クロック信号の特性劣化やそのクロック分配のためのレイアウト面積増大などの不利益のため回路の高速化や低消費電力化の効果を得ることが難しくなる。
一方、本実施形態の仕組みでは、多相タイミング信号J2を各高速信号処理部140に分配することなしに、その代わりとして、基準タイミング生成部110では基準となる周波数や位相情報を各高速信号処理部140の近傍に配置された局所タイミング再生部120に分配して、高速な機能処理を低消費電力で実現したい各高速信号処理部140の近傍にて局所的に多相タイミング信号J2を高精度に再生して供給する。このことにより、多相クロック信号の特性劣化やそのクロック分配のためのレイアウト面積増大などの不利益が解消され、回路の高速化や低消費電力化の効果を得ることができるようになる。
以下、具体的な仕組みについて説明する。各機能要素について形態別に区別する際には大文字の英語の参照子を付して記載し、特に区別しないで説明する際にはこの参照子を割愛して記載する。図面においても同様である。
<第1実施形態>
[全体構成]
図2は、タイミング生成回路100の第1実施形態を説明する図である。第1実施形態のタイミング生成回路100Dは先ず、基準タイミング生成部110Dとして、PLLを利用した構成のものを利用している。
第1実施形態の基準タイミング生成部110Dは、発振部210(OSC)と、分周部220と、位相周波数比較部230(PFD)と、チャージポンプ部240(CP)と、ループフィルタ部250と、バッファ部260を備えている。
発振部210は、電圧制御発振回路(VCO)と電流制御発振回路(CCO;Current Control Oscillator)の何れを採用してもよい。以下では、特段の断りのない限り、電流制御発振回路を採用するものとして説明する。
電流制御発振回路で構成された発振部210は、複数の発振器構成要素の段が、環状構造に縦続接続されたリングバッファによる発振回路を用いており、具体的には、発振器構成要素として単位遅延素子212(ディレイセルやディレイステージとも称される)が使用され、それらが縦続接続されている。ここでは、一例として、5つの単位遅延素子212を使用し、その単位遅延素子212としてバッファ回路を使用する例で示す。α段目の単位遅延素子212を区別する場合には参照子αを付して記載する。後述の他の単位遅延素子においても同様である。
発振部210は、全体として差動リング発振器を構成するように、たとえば接続としては負帰還となり、動作時は内部のRC成分(抵抗成分および容量成分)による位相ずれで正帰還となる。たとえば、各単位遅延素子212は縦続配置され、さらに最終段の単位遅延素子212の出力信号を、1段目の単位遅延素子212の入力に戻す。基準タイミング生成部110Dの発振部210の各単位遅延素子212からは差動のクロック信号(500Mhz)が出力され、それらが後段の単位遅延素子212に供給される。「接続としては負帰還となる」ことを明示するため、何れかの段(一例として、1段目)の単位遅延素子212の入力に「反転入力」の記号を付して示す。
各単位遅延素子212(バッファ回路)は遅延制御が可能な構成のものであればよく、たとえば、2つのトランジスタ(たとえば電界効果トランジスタ)を使用した差動回路で構成すればよい。図示しないがたとえば、一方のトランジスタのゲートGを非反転入力(Vin+)とし、そのドレインDを抵抗素子を介して電源Vddに接続し、そのドレインDを反転出力(Vout− )とする。また、他方のトランジスタのゲートGを反転入力(Vin−)とし、そのドレインDを抵抗素子を介して電源Vddに接続し、そのドレインDを非反転出力(Vout+ )とする。また、各トランジスタのソースSを共通にして、電流値可変型の電流源を介して基準電位(たとえば接地電位GND )に接続する。
電流値可変型の電流源は、制御入力端子212inに供給される発振制御信号CN_1(=ループフィルタ出力電流Ilp)をカレントミラー形式(カレントミラー比は1:1でよい)で受けてトランジスタにバイアス電流を供給するようにする。電流値可変型の電流源により差動回路のバイアス電流を制御することで、各単位遅延素子212による遅延量が制御され、また、全体としての発振周波数が制御される。
各単位遅延素子212の各制御入力端子212inは、共通に周波数制御入力端子210inに接続される。周波数制御入力端子210inを介して各制御入力端子212inに供給されるループフィルタ出力電流Ilpが発振制御信号CN_1として使用される。発振制御信号CN_1は、電流制御発振回路のときは発振制御電流Icnt であり、電圧制御発振回路のときには発振制御電圧Vcnt である。
分周部220は、必要に応じて(局所タイミング再生部120Dとの間で逓倍機能を実現する場合に)備えればよく、発振部210の出力端子から出力された出力発振信号Vout の発振周波数fcco を1/αに分周して分周発振信号Vout1を取得する。αは、PLL逓倍数(分周比とも称する)であって、1以上の正の整数で、かつ、PLL出力クロックCK_PLLの周波数を変更できるように可変にするのがよい。
後述する第4実施形態との対比では、基準タイミング生成部110DをPLL構成とするので、逓倍機能は簡易な構成の分周部220を備えることで実現でき、回路規模がより小さくて済む利点がある。
位相周波数比較部230は、外部から供給される基準クロックと発振部210からの出力発振信号Vout もしくは分周部220からの分周発振信号Vout1(以下、断りのない限り分周発振信号Vout1で説明する)の位相および周波数を比較し、比較結果である位相差および周波数差を示す誤差信号を比較結果信号Vcompとして出力する。位相周波数比較部230の一方の入力端に外部から供給される基準クロックを外部基準クロックCLK0と称し、位相周波数比較部230の他方の入力端に供給される他方の信号は、断りのない限り分周発振信号Vout1であるとする。
チャージポンプ部240は、位相周波数比較部230から出力された比較結果信号Vcompに応じた駆動電流(チャージポンプ電流Icpと称する)を入出力する。チャージポンプ部240は、たとえば、位相周波数比較部230から出力されたチャージポンプ電流Icpを入出力するチャージポンプと、チャージポンプにバイアス電流Icpbiasを供給する電流値可変型の電流源とを備えて構成される。
ループフィルタ部250は、チャージポンプ部240を介して位相周波数比較部230から出力された比較信号を平滑化する平滑化部の一例である。ループフィルタ部250は、たとえばローパスフィルタであって、チャージポンプ部240により生成されたチャージポンプ電流Icpを積分し、発振部210の発振周波数fcco を制御するためのループフィルタ出力電流Ilpを生成する。ループフィルタ出力電流Ilpは、発振部210の発振制御信号CN_1として使用されるとともに、局所タイミング再生部120の発振制御信号CN_2としても使用される。
ループフィルタ部250は、電流制御発振回路で構成された発振部210に適合するように電流出力に対応した構成とする。図示しないが具体的には、ループフィルタ部250は、ループフィルタ容量Cpのコンデンサ(容量素子)と、電圧電流変換ゲインGmの電圧電流変換部(トランスコンダクタンス)とを有するものとする。
チャージポンプの出力は、コンデンサの一方の端子と電圧電流変換部の入力とに共通に接続される。コンデンサの他方の端子は基準電位である接地(GND )に接続される。なお、PLL構成の基準タイミング生成部110DをIC(半導体集積回路)で構成する場合、コンデンサは、そのICの外部で接続することもあるし、MOSトランジスタTRのゲート容量をコンデンサとして用いることもある。
ループフィルタ部250では、チャージポンプから出力されたチャージポンプ電流Icpに基づいてコンデンサの一方の端子(つまり電圧電流変換部の入力)に電圧信号(チャージポンプ電圧Vcpと称する)が生成される。
コンデンサへの充放電動作となるので、ループフィルタ部250は、位相周波数比較部230からの比較結果信号Vcomp中の所定のカットオフ周波数(ロールオフ周波数やポールともいう)以上の周波数成分を減衰させて、発振部210に供給される発振制御電流Icnt を平滑化するように、少なくとも1つのカットオフ周波数を呈する低域通過フィルタとして機能する。
なお、コンデンサだけでなくループフィルタ抵抗Rpの抵抗素子を直列に接続することで、低域通過フィルタとしての機能を高めるようにしてもよい。1つのチャージポンプを備える構成を採る場合、通常は、この抵抗素子を備えた構成を採用する。
電圧電流変換部は、チャージポンプから出力されたチャージポンプ電流Icpに基づいてコンデンサの一方の端子(つまり電圧電流変換部の入力)に生成されるチャージポンプ電圧Vcpを電圧電流変換ゲインGmに従って電流信号(ループフィルタ出力電流Ilp)に変換する。
バッファ部260は、ループフィルタ部250と局所タイミング再生部120Dとの間のインタフェースをなすもので、必要に応じて備えればよく、たとえば電流バッファとして機能する電流電流変換回路で構成される。電流電流変換回路は、ループフィルタ部250からのループフィルタ出力電流IlpをK倍(Kはカレントミラー比であり、1を含む任意の値でよく、1よりも大きくてもよいし小さくてもよい)に変換する機能を持つ。
このような構成の基準タイミング生成部110Dは、位相誤差情報である位相周波数比較部230の出力電圧Vcompが、チャージポンプ部240およびループフィルタ部250を通じて発振制御電流Icnt に変換され発振部210に供給される。そして、発振部210から出力される出力発振信号Vout の発振周波数(=発振周波数fcco )が制御されるとともに、出力発振信号Vout であるPLL出力クロックCK_PLLのデジタルデータ列に位相がロックされる。ここでは、外部基準クロックCLK0と同期した500Mhzのパルス信号(PLL出力クロックCK_PLL)を出力するものとする。このPLL出力クロックCK_PLLは、局所タイミング再生部120Dへの位相同期パルスJ0_2として使用されるとともに、高速信号処理部140へのシステムクロックCK_sysとしても使用される。
第1実施形態の局所タイミング再生部120Dは、基準タイミング生成部110Dが備える発振部210と同様に、単位遅延素子272を使用したリングバッファによる発振回路で構成されており、位相同期パルスJ0_2のエッジを入力できる回路になっている。つまり、局所タイミング再生部120Dは、ループ構成であり、基準位相エッジを入力できる回路を含んだリングバッファによる発振回路(局所発振部と称する)を用いている。
因みに、基準タイミング生成部110Dの単位遅延素子212と局所タイミング再生部120Dの単位遅延素子272は全く同じ物を用いることが好ましく、両者の間には回路の変形がないのがよい。よって、本実施形態では、基準タイミング生成部110Dの単位遅延素子212もエッジ入力できる回路にするが、そのエッジ入力を使わないようにするのがよい。
単位遅延素子272は、単位遅延素子212と同様に、遅延制御が可能な構成のものであればよく、ここでは、5つの単位遅延素子272を使用し、その単位遅延素子272としては、詳細説明を割愛するが、一例として、バッファ回路を使用する例で示す。局所タイミング再生部120Dの各単位遅延素子272からは差動の多相タイミング信号J2(500Mhzのクロック信号P0〜P9)が出力され、それらが後段の単位遅延素子272に供給されるとともに、後述のように高速信号処理部140Dにも供給される。
PLL構成の基準タイミング生成部110Dから局所タイミング再生部120Dに供給される基準タイミング信号J0としては、発振周波数を決める発振制御電流J0_1と位相同期パルスJ0_2の役割を持つ500MhzのPLL出力クロックCK_PLLを用いる。
局所タイミング再生部120Dは、発振制御電流J0_1によって発振周波数が「外部基準クロックCLK0の周波数×PLL逓倍数(α)」の周波数、すなわちPLL出力クロックCK_PLLの周波数である500Mhzに合うよう制御され、かつPLL出力クロックCK_PLLを局所タイミング再生部120Dに位相同期パルスJ0_2としてエッジ入力することで、その位相がPLL出力クロックCK_PLLの位相に合うよう制御される。
基準タイミング生成部110Dの発振部210と局所タイミング再生部120Dを、実質的に共通の発振制御信号で制御しているし、また、PLL出力クロックCK_PLLを位相同期パルスJ0_2として局所タイミング再生部120に供給して位相合せを行なっているので、デバイス特性にバラツキがあっても、補正回路などなしで、両者の周波数を一致させることができる。
局所タイミング再生部120Dは、ループ構成になっているので、各単位遅延素子272で発生するランダムノイズが蓄積して比較的大きな位相ノイズとして現れる。しかしながら、本実施形態では、位相同期パルスJ0_2を局所タイミング再生部120に供給することで、ループ構成の局所タイミング再生部120であっても、そのループによる位相雑音の蓄積を低減でき、正確な多相タイミング信号J2を再生することができる。
ここで、局所タイミング再生部120Dに位相同期パルスJ0_2のエッジを入力する回路素子としては、NAND回路やセレクタ回路のように論理的にエッジを切り替える回路や、アンプ回路で構成された加算回路やミキサ回路のようにアナログ的にエッジを加算して中間のエッジを作り出すような回路などを用いる。
局所タイミング再生部120Dの近傍に配置された高速な処理が求められる高速信号処理部140Dとしては、簡単な組合せロジック回路が考えられ、たとえばパラレルのビットデータを1ビットのシリアルデータに変換するパラシリ変換回路が適用される。
たとえば、高速信号処理部140Dは、システムロジック部310と、パラシリ変換部320と、出力バッファ330を備える。
システムロジック部310はたとえば、基準タイミング生成部110からのシステムクロックCK_sysに基づいて8ビットのパラレルデータを10ビットのパラレルデータに変換するエンコーダ回路(8B10Bエンコーダ)などを有する。
パラシリ変換部320は、たとえば5Gbpsの高速なデータ送信回路に応用されるもので、10ビットのパラレルデータを1ビットのシリアルデータに変換する機能を持つ。
出力バッファ330は、パラシリ変換部320によりパラシリ変換されたシリアルデータを、後段の回路へ、差動信号で供給する。たとえば、ビット数に対応した数のバッファ素子を有し、バッファ素子を多相クロックによるセレクト信号で切り替える構成にすることが考えられる。具体的には、バッファ素子がスイッチ部420の前段、フリップフロップ部410の後段に(この場合10個)配置されている構成になる。
局所タイミング再生部120D(の各単位遅延素子272)からは多相タイミング信号J2として5対(10本)の差動の多相のクロック信号(P0〜P9の10相の500Mhzのクロック信号)がパラシリ変換回路である高速信号処理部140Dに供給される。たとえば、1段目の単位遅延素子272_1からはP0相とP5相のクロック信号が出力され、2段目の単位遅延素子272_2からはP1相とP6相のクロック信号が出力され、3段目の単位遅延素子272_3からはP2相とP7相のクロック信号が出力され、4段目の単位遅延素子272_4からはP3相とP8相のクロック信号が出力され、5段目の単位遅延素子272_5からはP4相とP9相のクロック信号が出力される。
[高速信号処理部の詳細構成]
図3は、第1実施形態の高速信号処理部140Dの構成例を説明する図である。ここでは前述のように、高速かつ低消費電力な動作が求められるパラシリ変換部320を備える構成例で説明する。
高速信号処理部140Dのパラシリ変換部320は、データを保持する複数のD型のフリップフロップ412を具備するデータ保持部410と、各フリップフロップ412と対応して設けられフリップフロップ412の出力を択一的に順次選択するスイッチ素子422を具備するスイッチ部420と、各スイッチ素子422のオンオフ動作を制御するデコード部430を備える。フリップフロップ412およびスイッチ素子422は、10ビットのパラレルデータのそれぞれについて設けられる。αビット目のフリップフロップ412やスイッチ素子422を区別する場合には参照子αを付して記載する。後述の他のフリップフロップやスイッチ素子などにおいても同様である。
各フリップフロップ412は、クロック入力端に供給されるクロック信号の立上りエッジに同期して入力データを取り込み保持する。この際、フリップフロップ412に入力されるデータを保持するタイミング(データ保持タイミング)を決めるタイミング信号の配線を全てのフリップフロップ412で共通に使用することでタイミング信号の配線の引回し数を少なくすることが考えられるが、タイミングエラーの問題が懸念される(詳しくは後述する)。
そこで、第1実施形態では、最初に選択されるビット分のフリップフロップ412にはデータ保持タイミングを規定するパルスとして、最後に選択されるスイッチ素子422のオンタイミングを制御する選択信号Sを規定するクロック信号を供給し、残りのビット分のフリップフロップ412にはデータ保持タイミングを規定するパルスとして、最初に選択されるスイッチ素子422のオンタイミングを制御する選択信号を規定するクロック信号を共通に供給する。
図示の例では、10ビットの内の0ビット目を最初に選択し9ビット目を最後に選択するように構成しており、10ビットデータの内のDATA0 が入力される0ビット目のフリップフロップ412_0のクロック入力端にはP9相のクロック信号が供給され、DATA1 〜DATA9 が入力される残りの1ビット目〜9ビット目のフリップフロップ412_1〜412_9のクロック入力端にはP0相のクロック信号が共通に供給されるようにしている。
デコード部430は、局所タイミング再生部120Hから供給される多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)に基づいて各スイッチ素子422のオンタイミングを制御する並列回路選択信号J3(選択信号S0〜S9)を生成する選択信号生成部の一例である。デコード部430は、多相タイミング信号J2の相数(ここでは10個)のゲート回路432(ここではANDゲートとインバータが組み合わされた複合ゲート)を有する。ANDゲートの他方の入力端に供給されるP@相のクロック信号を論理反転するインバータを図ではANDゲートの他方の入力端に○印を付けて示す。
デコード部430は、局所タイミング再生部120Dからの多相タイミング信号J2(10相の500Mhzのクロック信号)を受けて、各ゲート回路432により並列回路選択信号J3(S0〜S9の10相の選択信号)を生成し、対応するスイッチ素子422の制御入力端に供給する。
具体的には、0ビット目のゲート回路432_0は、一方の入力端にP0相のクロック信号が供給され、他方の入力端にP1相のクロック信号をインバータで論理反転したクロック信号が供給され、選択信号S0を生成する。1ビット目のゲート回路432_1は、一方の入力端にP1相のクロック信号が供給され、他方の入力端にP2相のクロック信号をインバータで論理反転したクロック信号が供給され、選択信号S1を生成する。
以下同様に、nビット目のゲート回路432_nは、一方の入力端にPn相のクロック信号が供給され、他方の入力端にPn+1相のクロック信号をインバータで論理反転したクロック信号が供給され、選択信号Snを生成する。9ビット目のゲート回路432_9は、一方の入力端にP9相のクロック信号が供給され、他方の入力端にP0相のクロック信号をインバータで論理反転したクロック信号が供給され、選択信号S9を生成する。
スイッチ素子422_nは、対応するゲート回路432_nからの選択信号がHレベルのときにオンすることで、対応するフリップフロップ412_nの非反転出力端子Qから出力されたデータを選択して出力バッファ340に供給する。
このような構成の高速信号処理部140Dのパラシリ変換部320は、局所タイミング再生部120Dからの多相タイミング信号J2を受けて、デコード部430により並列回路選択信号S0〜S9を生成することで、10ビットのパラレルデータを保持したフリップフロップ412_1〜412_9から1ビット分のデータを順次選択することで、高速なパラシリ変換機能を実現するようになっている。パラシリ変換されたシリアルデータは出力バッファ340を介して差動信号で出力される。
[動作]
図4は、第1実施形態のタイミング生成回路100Dの動作を説明するタイミングチャートである。
図中の最下段には、局所タイミング再生部120Dに供給される500Mhzの位相同期パルスJ0_2(=PLL出力クロックCK_PLL)の状態が示されている。その次の段には、局所タイミング再生部120Dから出力される多相タイミング信号J2としての各クロック信号P0〜P9の状態が示されている。定期的に位相同期パルスJ0_2のエッジを局所タイミング再生部120D(の1段目の単位遅延素子272)に入力することで、各クロック信号P0〜P9間の位相は発振制御電流J0_1および位相同期パルスJ0_2によって精密に等間隔に制御され、局所タイミング再生部120Dのループ内に蓄積される位相雑音が低減できている。
因みに、後述の第2実施形態との対比では、外部基準クロックCLK0と同期して基準タイミング生成部110Dより出力されるPLL出力クロックCK_PLLを位相同期パルスJ0_2として使用しているので、外部基準クロックCLK0の位相雑音(位相ノイズ)の影響がPLL動作によって緩和される構成になるので第2実施形態よりも外部基準クロックCLK0に由来する位相雑音の低減効果が高い。ただし、PLL全体としてのループによる位相ジッタの影響が位相同期パルスJ0_2に影響を与える。
図中の中段には、多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)を用いて高速信号処理部140Dのデコード部430で生成される並列回路選択信号J3としての各選択信号S0〜S9の状態が示されている。多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)と同様に、各選択信号S0〜S9間の位相も位相雑音が低減できている。
図中の上段には、システムロジック部310からパラシリ変換部320へ供給される10ビットのパラレルデータDATA0 〜DATA9 とパラシリ変換部320から出力バッファ330を介して出力されるシリアルデータの状態が示されている。
図3に示したように、10ビットのパラレルデータDATA0 〜DATA9 は、一旦、ビット対応するフリップフロップ412_0〜412_9により保持される。ここで、一例としては、クロック信号P0〜P9の内の1つ(クロック信号P0)の立上りエッジを用いて全てのフリップフロップ412_0〜412_9でビットデータを保持することが考えられる。基本的には、保持された10ビットデータをデコード部430で生成した並列回路選択信号J3(選択信号S0〜S9)によって順次選択して出力すれば10ビットから1ビットのパラシリ変換動作が実現できる。
しかしながら、データ保持タイミングを決めるタイミング信号としてクロック信号P0を全てのフリップフロップ412で共通に用いた場合、各スイッチ素子422に入力されるパラレルデータの遷移タイミングは、タイミング信号P0の立上りエッジとほぼ同じになる。このため、クロック信号P0の立上りエッジから作られる選択信号S0によって保持データDATA0 を選択して出力すると、保持データDATA0 が十分に確定する前に選択されるようなタイミングエラーが発生し、正確にシリアルデータを出力できない虞れがある。
そこで第1実施形態では、0ビット目のビットデータDATA0 をフリップフロップ412_0で保持するクロックとしては、クロック信号P0ではなく、その1つ前の位相のクロック信号P9を用いるようにする。こうすることで、確実に選択信号S0によって0ビット目のビットデータDATA0 を選択できるタイミング設計になる。1ビット目〜9ビット目についても、同様の関係を保って順次、フリップフロップ412_@で保持するクロックとしてクロック信号P@-1 を用いるようにすることも考えられる。しかしながらそれではタイミング信号の配線の引回し数が多くなってしまうので、1ビット目〜9ビット目についてはクロック信号P0を共通に使用することでタイミング信号の配線数を2つにしている。
クロック信号P0とクロック信号P9の間の位相関係は、発振制御電流J0_1や位相同期パルスJ0_2によって制御されているので、デバイスのバラツキや温度・電圧条件の変化に対しても保証できるため、フリップフロップ412の最大遅延時間を確認するだけで確実なタイミング設計ができる。
第1実施形態では、多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)を用いることで、パラシリ変換部320全体の動作周波数(トグル頻度、この例ではシリアルデータの周波数)に対して、パラシリ変換部320の各構成要素(データ保持部410、スイッチ部420、デコード部430の各要素)の動作周波数を半分以下にできる。パラシリ変換部320の各構成要素(フリップフロップ412、スイッチ素子422)は、パラシリ変換部320がシリアルデータを出力する動作周波数の半分以下(この例では10分の1)で動作できるため、パラシリ変換回路としての最大動作周波数を上げられる、換言すると、トグル頻度を半分以下にできるので低消費電力で動作させることができる。
第1実施形態では、基準タイミング生成部110Dの発振部210や局所タイミング再生部120Dを電流制御発振器で構成し、局所タイミング再生部120Dにおいて、タイミング情報としての周波数を再生するためにループフィルタ出力電流Ilpと対応する発振制御電流J0_1を用い、位相を再生するために基準タイミング生成部110D内の発振部210から出力される比較的低速なPLL出力クロックCK_PLLを用いる。発振部210の単位遅延素子212を制御するループフィルタ出力電流Ilpと発振制御電流J0_1が実質的に同一のものであり、基準タイミング生成部110Dは、自身の発振部210の各単位遅延素子212を制御する発振制御信号を、局所タイミング再生部120Dの各単位遅延素子272のそれぞれの遅延量を制御するための発振制御電流J0_1として供給する。
図2では示していないが、基準タイミング生成部110Dの発振部210や局所タイミング再生部120Dを電圧制御発振器にすることもでき、この場合は、局所タイミング再生部120Dにおいて、タイミング情報としての周波数を再生するため発振制御電流J0_1に代えて発振制御電圧を用い、位相を再生するために基準タイミング生成部110D内の発振部210から出力される比較的低速なPLL出力クロックCK_PLLを用いる。
何れの場合も、多相タイミング信号J2の周波数を再生するために発振制御電流J0_1や発振制御電圧を用いることで、局所タイミング再生部120D内の発振回路と基準タイミング生成部110D内の発振部210の僅かな周波数偏差を修正できる。また、多相タイミング信号J2の位相を再生するために基準タイミング生成部110D内の発振部210で生成される比較的低速なPLL出力クロックCK_PLLを用いることで、局所タイミング再生部120D内の発振回路ループに位相雑音のようなノイズが蓄積してしまうことを低減できる。
加えて、第1実施形態では、局所タイミング再生部120Dの構成要素である発振回路の構成要素(単位遅延素子272)と同じものを、基準タイミング生成部110Dの発振部210の構成要素(単位遅延素子212)として用いている。このため、ループフィルタ出力電流Ilpに対応する(実質的に同一の)発振制御電流J0_1を使用しても、単位遅延素子272と単位遅延素子212を異なる回路構成要素にする場合に比べて、各クロック信号P0〜P9間の位相関係が適切な多相タイミング信号J2を再生させることができるし、基準タイミング生成部110Dの消費電力低減や最大動作周波数を向上させることもできる。
<第2実施形態>
[全体構成]
図5は、タイミング生成回路100の第2実施形態を説明する図である。第2実施形態のタイミング生成回路100Eは、基準タイミング生成部110Eとして、第1実施形態と同様にPLLを利用した構成のものを利用している。そして、第1実施形態の構成をベースに先ず、PLL構成の基準タイミング生成部110Eから局所タイミング再生部120Eに供給される位相同期パルスJ0_2を、PLL出力クロックCK_PLLに代えて、基準タイミング生成部110E(の位相周波数比較部230)に供給される外部基準クロックCLK0を用いるように変形している。
タイミング生成回路100Eはさらに、システムロジック部310に供給されるシステムクロックCK_sysを、PLL出力クロックCK_PLLに代えて、局所タイミング再生部120Eから出力される多相タイミング信号J2の1つ(ここではクロック信号P9)を用いるように変形している。
[動作]
位相同期パルスJ0_2が定期的に局所タイミング再生部120Eに供給されればよく、位相同期パルスJ0_2として使用される外部基準クロックCLK0の周波数は、必ずしも、多相タイミング信号J2の周波数(ここでは500Mhz)と同じにする必要はない。
ここで、第2実施形態でも、基準タイミング生成部110Eの発振部210から出力されるPLL出力クロックCK_PLLの周波数に対して位相同期パルスJ0_2の周波数は1/αとなる。PLL出力クロックCK_PLLの周波数を多相タイミング信号J2の周波数(ここでは500Mhz)と同じにする場合、PLL逓倍数αが1でないときには、局所タイミング再生部120Eへの同期サイクルが、第1実施形態よりも少なくなる、つまり、多相タイミング信号J2の周波数(ここでは500Mhz)よりも低下する。
しかしながら、この場合でも、定期的に位相同期パルスJ0_2のエッジを局所タイミング再生部120E(の1段目の単位遅延素子212)に入力していることには変わりがなく、各クロック信号P0〜P9間の位相は、発振制御電流J0_1および位相同期パルスJ0_2によって等間隔に制御され、局所タイミング再生部120Eのループ内に蓄積される位相雑音を低減できる。
ただし、同期サイクルが第1実施形態よりも少なくなるので、第1実施形態よりも位相雑音の低減効果が低くなる可能性がある。この点を踏まえると、必須ではないが、位相同期パルスJ0_2の周波数を多相タイミング信号J2の周波数(ここでは500Mhz)と同じにするべく、外部基準クロックCLK0の周波数も多相タイミング信号J2の周波数(ここでは500Mhz)と同じにする方がよい。
また、第2実施形態では、PLL全体としてのループによる位相ジッタは位相同期パルスJ0_2に影響を与えないが、外部基準クロックCLK0の位相雑音の影響が直接に位相同期パルスJ0_2の位相雑音として反映される。したがって、第2実施形態では、第1実施形態よりも比較的ノイズの少ない外部基準クロックCLK0を用いて位相合わせを行なうようにするのがよい。こうすることで、第2実施形態でも、局所タイミング再生部120Eのループ内で発生する位相雑音などを低減することができる構成となる。
つまり、第2実施形態では、PLL構成の基準タイミング生成部110Dに外部から入力される外部基準クロックCLK0を位相同期パルスJ0_2として用いて局所タイミング再生部120Dにおける位相の再生を行なうようにする。こうすることで、局所タイミング再生部120D内の発振回路で発生する位相雑音のようなランダムなタイミングエラーを低減することができる。
因みに、後述の第3実施形態との対比では、局所タイミング再生部120Eとしては基準位相エッジを入力できる回路を含んだリングバッファによる発振回路を使用しているので、位相同期パルスJ0_2の周波数を下げることができる。
<第3実施形態>
[全体構成]
図6は、タイミング生成回路100の第3実施形態を説明する図である。第3実施形態のタイミング生成回路100Fは、基準タイミング生成部110Fとして、第1実施形態と同様にPLLを利用した構成のものを利用している。そして、第1実施形態の構成をベースに先ず、局所タイミング再生部120Fを、基準位相エッジを入力できる回路を含んだリングバッファによる発振回路に代えて、遅延制御されたディレイラインを用いた回路を用いるように変形している。
第3実施形態の局所タイミング再生部120Fはたとえば、複数の単位遅延素子274(ディレイセルやディレイステージとも称される)が縦続接続された遅延回路で構成されている。ここでは、一例として、5つの単位遅延素子274を使用し、その単位遅延素子274として単位遅延素子272と同様のバッファ回路を使用する例で示す。
局所タイミング再生部120Fは、各単位遅延素子274から差動のクロック信号(500Mhz)が出力され、それらが後段の単位遅延素子274に供給される。構成としては、第1実施形態の発振部210や局所タイミング再生部120Dと似通っているが、最終段の単位遅延素子274_5の出力信号は、1段目の単位遅延素子274_1の入力に戻していない点が異なる。
局所タイミング再生部120Fのディレイライン(各単位遅延素子274から出力される500Mhzのクロック信号P0〜P9)の遅延量を制御する信号として、PLL構成の基準タイミング生成部110Fから出力される遅延量制御電流または遅延量制御電圧(纏めて遅延量制御電流/電圧J0_3と記す)を用いる。遅延量制御電流/電圧J0_3は、遅延量制御電流を用いる場合は第1実施形態と同様でよいが、遅延量制御電圧を用いる場合は、バッファ部260は、電流バッファとして機能する電流電流変換回路に代えて、電圧バッファとして機能する電流電圧変換回路を用いる、または電流電流変換回路の後段に電流電圧変換回路を備える構成にする。
また、局所タイミング再生部120Fのディレイライン(各単位遅延素子274から出力される500Mhzのクロック信号P0〜P9)の位相を制御する信号として、PLL構成の基準タイミング生成部110Fから局所タイミング再生部120Fに供給される位相同期パルスJ0_2として、第1実施形態と同様に、PLL出力クロックCK_PLLを使用する。この場合は、外部基準クロックCLK0の位相雑音の影響が直接に位相同期パルスJ0_2の位相雑音として反映されるようなことはない。
図示しないが、位相同期パルスJ0_2として、第2実施形態と同様に、外部基準クロックCLK0を使用してもよい。ただし、第2実施形態と同様に、外部基準クロックCLK0の位相雑音の影響が直接に位相同期パルスJ0_2の位相雑音として反映されるので、比較的ノイズの少ない外部基準クロックCLK0を用いて位相合わせを行なうようにするのがよい。
各単位遅延素子274(バッファ回路)はたとえば、第1実施形態の単位遅延素子212と同様に、2つのトランジスタ(たとえば電界効果トランジスタ)を使用した差動回路と電流値可変型の電流源を備えた構成にすればよい。
電流値可変型の電流源に対する制御を電流モードで行なう場合は、遅延量制御電流/電圧J0_3として遅延量制御電流を用いる。電流値可変型の電流源に対する制御を電圧モードで行なう場合は、遅延量制御電流/電圧J0_3として遅延量制御電圧を用いる。何れの場合も、電流値可変型の電流源により差動回路のバイアス電流を制御することで各単位遅延素子274による遅延量が制御される。
[動作]
第3実施形態では、局所タイミング再生部120Fの1段目の単位遅延素子274に供給される位相同期パルスJ0_2が各単位遅延素子274で順次遅延されて多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)として出力されるだけであるので、位相同期パルスJ0_2の周波数は、多相タイミング信号J2の周波数(ここでは500Mhz)と正確に同じにする必要がある。
したがって、原理的には、第2実施形態と同様に、外部基準クロックCLK0を位相同期パルスJ0_2として使用し、その外部基準クロックCLK0の周波数を多相タイミング信号J2の周波数(ここでは500Mhz)と同じにすることも考えられる。ただしこの場合、外部基準クロックCLK0の位相雑音の影響が直接に位相同期パルスJ0_2の位相雑音として反映され(第2実施形態と同様)、それがさらに多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)の位相雑音として反映される。
第3実施形態は、局所タイミング再生部120Fが単位遅延素子274を縦続接続したディレイライン構成であるので、そこで発生する位相雑音はそもそも無視できるレベルと言える。単位遅延素子274自体が発生するランダムノイズが位相ノイズに変換される量は非常に小さいため、第3実施形態のような単に単位遅延素子274が連なっただけの構成であれば無視できる位相雑音となる。これに対して、他の実施形態のようにループ構成(リング構成)の場合は、前記の小さな位相雑音がグルグル回って大きな雑音となり、比較的長い周期で見ると大きな位相のズレ(ノイズ)となって現れる。
また、第3実施形態では、局所タイミング再生部120Fの構成要素である遅延回路の構成要素(単位遅延素子274)と同じものを、基準タイミング生成部110Fの発振部210の構成要素(単位遅延素子212)として用いている。発振部210の単位遅延素子212を制御するループフィルタ出力電流Ilpと遅延量制御電流/電圧J0_3が実質的に同一のものであり、基準タイミング生成部110Fは、自身の発振部210の各単位遅延素子212を制御する発振制御信号を、局所タイミング再生部120Fの各単位遅延素子274のそれぞれの遅延量を制御するための遅延量制御電流/電圧J0_3として供給する。このため、ループフィルタ出力電流Ilpに対応する(実質的に同一の)遅延量制御電流/電圧J0_3を使用しても、単位遅延素子274と単位遅延素子212を異なる回路構成要素にする場合に比べて、各クロック信号P0〜P9間の位相関係が適切な多相タイミング信号J2を再生させることができる。
<第4実施形態>
[全体構成]
図7〜図7Cは、タイミング生成回路100の第4実施形態を説明する図である。第4実施形態のタイミング生成回路100G(100Ga,100Gb,100Gc)は、基準タイミング生成部110Gとして、発振部210を具備しPLLを利用した第1実施形態とは異なり、遅延部280を具備しDLLを利用するように変形している。
図7に示す第4実施形態(第1例)のタイミング生成回路100Gaおよび図7Aに示す第4実施形態(第2例)のタイミング生成回路100Gbは、局所タイミング再生部120Ga,120Gbとして、第1実施形態と同様に、基準位相エッジを入力できる回路を含んだリングバッファによる発振回路(局所発振部)を用いている。図7Bに示す第4実施形態(第3例)のタイミング生成回路100Gcおよび図7Cに示す第4実施形態(第4例)のタイミング生成回路100Gdは、局所タイミング再生部120Gc,120Gdとして、第3実施形態と同様に、遅延制御されたディレイラインを用いた回路を用いている。
第4実施形態の遅延部280はたとえば、第3実施形態の局所タイミング再生部120Fと同様に、複数の単位遅延素子282(ディレイセルやディレイステージとも称される)が縦続接続されている。ここでは、一例として、5つの単位遅延素子282を使用し、その単位遅延素子282としてバッファ回路を使用する例で示す。単位遅延素子282は、第3実施形態の単位遅延素子274と同様の構成のものでよい。
1段目の単位遅延素子282_1には、位相周波数比較部230の一方の入力端に外部から供給される外部基準クロックCLK0が共通に供給される。最終段の単位遅延素子282_endの出力信号が、外部基準クロックCLK0と同期したパルス信号(DLL出力クロックCK_DLL)として、位相周波数比較部230の他方の入力端に供給されるとともに、局所タイミング再生部120Dへの位相同期パルスJ0_2としても使用される。
第4実施形態(第1例)のタイミング生成回路100Gaと第4実施形態(第3例)のタイミング生成回路100Gcは、第1実施形態と同様に、位相同期パルスJ0_2としてDLL出力クロックCK_DLLを用いて局所タイミング再生部120Gにおける位相の再生を行なうようにする。この場合は、外部基準クロックCLK0の位相雑音の影響が直接に位相同期パルスJ0_2の位相雑音として反映されるようなことはない。
一方、第4実施形態(第2例)のタイミング生成回路100Gbと第4実施形態(第4例)のタイミング生成回路100Gdは、第2実施形態と同様に、外部基準クロックCLK0を位相同期パルスJ0_2として用いて局所タイミング再生部120Gにおける位相の再生を行なうようにする。ただし、第2例や第4例の場合は、第2実施形態と同様に、外部基準クロックCLK0の位相雑音の影響が直接に位相同期パルスJ0_2の位相雑音として反映されるので、第1例や第3例よりも比較的ノイズの少ない外部基準クロックCLK0を用いて位相合わせを行なうようにするのがよい。こうすることで、第2例や第4例でも、局所タイミング再生部120Gb,120Gdは、単位遅延素子282でループを持たないため、そこでの位相雑音は無視できる。
タイミング生成回路100Gはさらに、システムロジック部310に供給されるシステムクロックCK_sysを、第2実施形態と同様に、局所タイミング再生部120Gから出力される多相タイミング信号J2の1つ(ここではクロック信号P9)を用いるように変形している。
第4実施形態の場合、DLL構成の基準タイミング生成部110Gの遅延部280が有するディレイライン(単位遅延素子282)の段数(β1とする)と、局所タイミング再生部120Gが有する単位遅延素子272の段数(β2とする)を異ならせることで、外部から入力される外部基準クロックCLK0の周波数f_CLK0に対して所望の逓倍数βで局所タイミング再生部120Gから出力される多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)の周波数f_J2 を設定する逓倍機能を実現できる。
逓倍数β、外部基準クロックCLK0の周波数f_CLK0 、局所タイミング再生部120Gから出力される多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)の周波数f_J2 の間には、β=β1/β2=f_J2 /f_CLK0 の関係がある。たとえば、外部基準クロックCLK0の周波数f_CLK0 が100Mhzであり、局所タイミング再生部120Gの単位遅延素子274が5段で周波数f_J2が500Mhzでの発振を必要とされる場合は、遅延部280のディレイライン(単位遅延素子282)は25段で構成することになる。
[動作]
第4実施形態では、外部基準クロックCLK0を単位遅延素子282で遅延させた(同期した)基準タイミング生成部110Gより出力されるDLL出力クロックCK_DLLを位相同期パルスJ0_2として使用しているので、第1実施形態のようにPLL全体としてのループによる位相ジッタが位相同期パルスJ0_2に影響を与えるようなことはない。
しかしながら、第4実施形態の基準タイミング生成部110Gは、局所タイミング再生部120Gとの間で逓倍機能を実現するには、遅延部280の単位遅延素子282の段数β1が、「逓倍数β×単位遅延素子272の段数β」となり、PLL構成で分周部220により逓倍機能を実現する場合よりも大きくなる。
<第5実施形態>
[全体構成]
図8は、タイミング生成回路100の第5実施形態を説明する図である。第5実施形態のタイミング生成回路100Hは、局所タイミング再生部120Hの近傍に配置された高速な処理が求められる高速信号処理部140Hとして、高速かつ低消費電力な動作が求められるカウンタ処理を適用した回路(カウンタ回路)を適用するものである。
以下では、第1実施形態のタイミング生成回路100Dをベースに適用する例で説明する。図示しないが、高速信号処理部140は、第2〜第4実施形態にも同様に適用することができる。
基準タイミング生成部110Hおよび局所タイミング再生部120Hの基本的な考え方は、第1実施形態に準じて、基準タイミング生成部110HとしてはPLL構成を利用し、局所タイミング再生部120Hとしては基準位相エッジを入力できる回路を含んだリングバッファによる発振回路(局所発振部)を用いている。ただし、それらの詳細構成は、高速信号処理部140Hに合わせて変更を加えている。
たとえば、第5実施形態の基準タイミング生成部110Hは、発振部210に代えて発振部290を備える。発振部290は、リングバッファによる発振回路を用いる点では第1実施形態と同様であるが、そこで使用される複数の単位遅延素子292としては、バッファ回路に代えて、ゲート回路(ここではANDゲート)を使用する例で示す。
発振部290は、全体として差動リング発振器を構成するように、たとえば接続としては負帰還となり、動作時は内部のRC成分(抵抗成分および容量成分)による位相ずれで正帰還となる。たとえば、各単位遅延素子292(ANDゲート)は縦続配置され、ANDゲートの一方の入力端はプルアップされている。さらに最終段の単位遅延素子292の出力信号を、1段目の単位遅延素子292の入力に戻す。基準タイミング生成部110Hの発振部290の各単位遅延素子292からはシングルエンドのクロック信号(500Mhz)が出力され、それらが後段の単位遅延素子292に供給される。「接続としては負帰還となる」ことを明示するため、一例として、1段目の単位遅延素子292の入力に「反転入力」の記号を付して示す。
分周部220、位相周波数比較部230、チャージポンプ部240、ループフィルタ部250は、第1実施形態と同様である。
局所タイミング再生部120Hの発振周波数を制御する信号として、PLL構成の基準タイミング生成部110Hから出力される発振制御電流または発振制御電圧(纏めて発振制御電流/電圧J0_4と記す)を用いる。発振制御電流/電圧J0_4は、発振制御電流を用いる場合は第1実施形態と同様でよいが、発振制御電圧を用いる場合は、バッファ部260は、電流バッファとして機能する電流電流変換回路に代えて、電圧バッファとして機能する電流電圧変換回路を用いる、または電流電流変換回路の後段に電流電圧変換回路を備える構成にする。
このような構成の基準タイミング生成部110Hは、位相誤差情報である位相周波数比較部230の出力電圧Vcompが、チャージポンプ部240およびループフィルタ部250を通じて発振制御電流Icnt に変換され発振部290に供給される。そして、発振部290から出力される出力発振信号Vout の発振周波数(=発振周波数fcco )が制御されるとともに、出力発振信号Vout であるPLL出力クロックCK_PLLのデジタルデータ列に位相がロックされる。PLL出力クロックCK_PLLは、局所タイミング再生部120Hへの位相同期パルスJ0_2として使用される。
第5実施形態の局所タイミング再生部120Hは、ゲート回路276と局所発振部278を備える。
ゲート回路276は、カウント開始信号J4と位相同期パルスJ0_2の論理演算をして、その論理出力を局所発振部278に供給する。ここでは、ゲート回路276としてANDゲートを用いる例で示す。この場合、カウント開始信号J4がHレベルのときに、位相同期パルスJ0_2の立上りエッジが局所発振部278に供給される。
局所発振部278は、基準タイミング生成部110Hが備える発振部290と同様に、リングバッファによる発振回路を用い、さらに、位相同期パルスJ0_2のエッジをゲート回路276を介して入力できる回路に変形している。つまり、局所タイミング再生部120Hは、基準位相エッジを入力できる回路を含んだリングバッファによる局所発振部278を用いている。
局所発振部278は、その詳細説明を割愛するが、一例として、そこで使用される複数の単位遅延素子279としては、発振部290と同様にゲート回路(ここではANDゲート)を使用する例で示す。局所発振部278の各単位遅延素子279からはシングルエンドの多相タイミング信号J2(500Mhzのクロック信号P0〜P3)が出力され、それらが後段の単位遅延素子279に供給されるとともに、後述のように高速信号処理部140Hにも供給される。
ループ構成の基準タイミング生成部110Hから局所タイミング再生部120Hに供給される基準タイミング信号J0としては、局所発振部278の発振周波数を決める発振制御電流/電圧J0_4と位相同期パルスJ0_2の役割を持つゲート回路276への500MhzのPLL出力クロックCK_PLLを用いる。
ここで、局所タイミング再生部120Hに位相同期パルスJ0_2のエッジを入力する回路素子としては、第5実施形態では、カウント開始信号J4との論理演算をも行うようにANDゲートで構成されたゲート回路276を用いている。
局所タイミング再生部120Hの局所発振部278(の各単位遅延素子279)からは多相タイミング信号J2として4本のシングルエンドの多相のクロック信号(P0〜P3の4相の500Mhzのクロック信号)がカウンタ回路である高速信号処理部140Hに供給される。たとえば、1段目の単位遅延素子279_1からはP0相のクロック信号が出力され、2段目の単位遅延素子279_2からはP1相のクロック信号が出力され、3段目の単位遅延素子279_3からはP2相のクロック信号が出力され、4段目の単位遅延素子279_4からはP3相のクロック信号が出力される。
[高速信号処理部の詳細構成]
局所タイミング再生部120Hの近傍に配置された高速な処理が求められる高速信号処理部140Hは、デコード部530とデータ保持部540を有するクレイコードカウンタ520と図示を割愛した出力バッファを備える。
デコード部530は、局所タイミング再生部120Hから供給される多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P3)に基づいてカウント出力のビットデータを生成するビットデータ生成部の一例である。この例では、高速信号処理部140Hがグレイコードカウンタとして機能するように、局所タイミング再生部120Hから出力される多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P3)を使って論理処理を行なうことで、グレイコードの各ビットデータを生成する。
たとえば、デコード部530は、EX−ORゲート532(排他的論理和ゲート)と、D型のフリップフロップ534およびD型のフリップフロップ536と、インバータ538を有する。インバータ538は、フリップフロップ536のクロック入力端に設けられる。フリップフロップ536のクロック入力端への信号を論理反転するインバータ538を図ではクロック入力端に○印を付けて示す。
データ保持部540は、デコード部530から出力されるグレイコードデータを保持するD型のフリップフロップ542をビット数分(ここでは4つ)備える。各フリップフロップ542のクロック入力端にはカウント停止信号J5が共通に供給される。
デコード部530は、局所タイミング再生部120Hからの多相タイミング信号J2(4相の500Mhzのクロック信号P0〜P3)を受けて、各論理素子(EX−ORゲート532、フリップフロップ534、フリップフロップ536、インバータ538)によりグレイコードデータを生成し、データ保持部540の対応するフリップフロップ542に供給する。因みに、クロック信号P1については、デコード部530は、特段の論理処理をすることなく、そのままスルーさせて1ビット目のカウントデータD1としてデータ保持部540の1ビット目のフリップフロップ542_1に渡す。
具体的には、EX−ORゲート532は、一方の入力端にクロック信号P0が供給され、他方の入力端にクロック信号P2が供給され、双方の論理値が異なるときに出力をHレベルにする。EX−ORゲート532の出力が、0ビット目のカウントデータD0として、0ビット目のフリップフロップ542_0に供給される。
フリップフロップ534とフリップフロップ536はそれぞれ、自身の反転出力NQが自身のD入力端に供給されるように接続され、1/2分周動作(トグル動作)をするように構成されている。この状態を、図では、フリップフロップ534やフリップフロップ536の非反転出力Qをインバータで論理反転してD入力端に供給されるように、そのインバータをD入力端に○印を付けて示す。
フリップフロップ534とインバータ538には、クロック信号P3が共通に供給される。したがって、フリップフロップ534はクロック信号P3の立上りエッジに同期して1/2分周動作をし、その非反転出力Qが、2ビット目のカウントデータD2として、2ビット目のフリップフロップ542_2に供給される。フリップフロップ536はクロック信号P3の立下りエッジに同期して1/2分周動作をし、その非反転出力Qが、3ビット目のカウントデータD3として、3ビット目のフリップフロップ542_3に供給される。
各フリップフロップ542は、デコード部530からの4ビットのカウント出力D0〜D3をカウント停止信号J5の立上りエッジで保持する。
このような構成の高速信号処理部140Hのクレイコードカウンタ340は、局所タイミング再生部120Hからの多相タイミング情報(4相500Mhzのクロック信号P0〜P3)を受けて、デコード部530によりカウントデータD0〜D3を生成する。局所タイミング再生部120Hの局所発振部278から供給される多相クロック信号(クロック信号P0〜P3)を用いることで、高速かつ低消費電力なカウント動作を実現するようになっている。
本構成例では、クロック信号P0〜P3がデコード部530に入力されることによって、直接グレイコードカウント結果がデータD0〜D3の4ビット出力として生成される。つまり、カウント出力を生成する簡単な構成のデコード部530と、そのカウント出力を保持するフリップフロップ542によって、4ビットのグレイコードカウンタを実現している。データ保持部540で保持されたグレイコードのカウントデータD0〜D3は図示を割愛した出力バッファを介して出力される。
[動作]
図9は、第5実施形態のタイミング生成回路100Hの動作を説明するタイミングチャートである。
図中の下段には、局所タイミング再生部120Hから出力される多相タイミング信号J2としてのクロック信号P0〜P3の状態が示されており、その上段には、多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P3)を論理反転した状態の反転多相タイミング信号J2B(反転クロック信号P0B〜P3B)が示されている。
定期的に位相同期パルスJ0_2のエッジをゲート回路276を介して局所タイミング再生部120H(の1段目の単位遅延素子279)に入力することで、各クロック信号P0〜P3間や反転クロック信号P0B〜P3B間の位相は発振制御電流/電圧J0_4および位相同期パルスJ0_2によって精密に等間隔に制御され、局所タイミング再生部120Hのループ内に蓄積される位相雑音が低減できている。
反転クロック信号P0B〜P3Bのさらに上段には、データ保持部540で生成されるグレイコードのカウントデータとしてのビットデータD0〜D3の状態が示されている。多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9、反転クロック信号P0B〜P3B)と同様に、ビットデータD0〜D3間の位相も位相雑音が低減できている。
図中の最上段には、データ保持部540から出力されるカウンタ出力値(グレイコードのカウントデータ)の状態が示されている。
カウント開始信号J4がゲート回路276(ANDゲート)を介して局所発振部278に入力されることで、多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P3)が再生され始める。
その様子が、図9の下段の多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P3)の波形に示されている。クロック信号P0〜P3がデコード部530に入力されることによって、直接にグレイコードカウント結果がカウントデータD0〜D3の4ビット出力として生成される。
4ビットのカウント出力D0〜D3をデータ保持部540の対応するフリップフロップ542に入力し、カウント停止信号J5によって保持することで、カウント出力が保持されて出力される。
第5実施形態では、多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P3)を用いることで、クレイコードカウンタ520全体の動作周波数(トグル頻度:この例ではカウント周波数)に対して、クレイコードカウンタ520の各構成要素(フリップフロップ542やデコード部530の各要素)の動作周波数を半分以下にできる。全ての信号/回路の動作周波数をカウント周波数の半分以下にできるため、カウンタ回路としての最大動作周波数を上げられる、換言すると、トグル頻度を半分以下にできるので低消費電力で動作させることができる。
前述の説明では、基準タイミング生成部110Hや局所タイミング再生部120Hとして、第1〜第4実施形態とは異なる構成のものを適用していたが、第1〜第4実施形態のものを利用し、変形を加えることで適用することも可能である。たとえば、単位遅延素子272や単位遅延素子274の前段に第5実施形態のゲート回路276を追加することが考えられる。こうすることで、第5実施形態の高速信号処理部140Hに第1〜第4実施形態の高速信号処理部140D〜140Gも適用すると、パラレルのカウント出力データをシリアルデータに変換して後段回路へ出力する構成にすることができる(後述の固体撮像装置1を参照)。
<第6実施形態>
[高速信号処理部の詳細構成]
図10は、第6実施形態の高速信号処理部140Iの構成例を説明する図である。図示しないが、第6実施形態のタイミング生成回路100Iの全体構成は第1実施形態と同様である。ただし、高速信号処理部140Iは、パラシリ変換部320に代えて、パラシリ変換部370を備える。パラシリ変換部370の前段にはシステムロジック部310と同様の構成のシステムロジック部360(図示せず)が設けられ、パラシリ変換部370の後段には、出力バッファ330と同様の構成の出力バッファ380が設けられる。
高速信号処理部140Iのパラシリ変換部370は、データを保持する複数のD型のフリップフロップ462および単位遅延素子464を具備するデータ保持部460と、各フリップフロップ462と対応して設けられフリップフロップ462の出力を択一的に順次選択するスイッチ素子472を具備するスイッチ部470と、各スイッチ素子472のオンオフ動作を制御するデコード部480を備える。フリップフロップ462およびおよび単位遅延素子464並びにスイッチ素子472は、10ビットのパラレルデータのそれぞれについて設けられる。
第1実施形態との対比では、データ保持部460がデータ保持部410に対応するが単位遅延素子464を備える点が異なり、スイッチ部470はスイッチ部420と同様の構成であり、デコード部480はデコード部430と同様の構成である。
単位遅延素子464は、並列回路選択信号J3(S0〜S9の10相の選択信号)とパラレルデータとの間のタイミングマージンを確保するために設けたものであり、好ましくは単にデータを遅延するだけでなくパラレルデータの遅延調整をする機能を持つものを使用する。遅延調整をする機能を持つ単位遅延素子464としては、局所タイミング再生部120Iで用いられる遅延制御された単位遅延素子272と同じ回路を用いるのが好ましい。この場合、各単位遅延素子には、単位遅延素子272と同様に、発振制御電流J0_1を供給することで、正しく制御された遅延量にてタイミング調整ができるようにする。以下では、独断の断りのない限り、単位遅延素子464は単位遅延素子272と同様のものであるとする。
データ保持部460がフリップフロップ462の後段に単位遅延素子464を備えることに合わせて、データ保持タイミングを決めるタイミング信号の配線を第1実施形態とは異なるようにしている。
具体的には、全てのビット分のフリップフロップ462にはデータ保持タイミングを規定するパルスとして、最後に選択されるスイッチ素子472のオンタイミングを制御する選択信号を規定するクロック信号を共通に供給する。図示の例では、10ビットの内の0ビット目を最初に選択し9ビット目を最後に選択するように構成しており、10ビットデータの全てのフリップフロップ462_0〜462_9のクロック入力端にはP9相のクロック信号が共通に供給される。
このような構成の高速信号処理部140Iのパラシリ変換部370は、局所タイミング再生部120Iからの多相タイミング情報(10相500Mhzのクロック信号)を受けて、デコード部480により並列回路選択信号S0〜S9を生成することで、10ビットのパラレルデータを保持したフリップフロップ462_1〜462_9から1ビット分のデータを順次選択することで、高速なパラシリ変換機能を実現するようになっている。
[動作]
図11は、第6実施形態のタイミング生成回路100Iの動作を説明するタイミングチャートである。
図中の最下段には、局所タイミング再生部120Iに供給される500Mhzの位相同期パルスJ0_2(=PLL出力クロックCK_PLL)の状態が示されている。その次の段には、局所タイミング再生部120Iから出力される多相タイミング信号J2としての各クロック信号P0〜P9の状態が示されている。定期的に位相同期パルスJ0_2のエッジを局所タイミング再生部120I(の1段目の単位遅延素子272)に入力することで、各クロック信号P0〜P9間の位相は発振制御電流J0_1および位相同期パルスJ0_2によって精密に等間隔に制御され、局所タイミング再生部120Iのループ内に蓄積される位相雑音が低減できている。
図中の中段には、多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)を用いて高速信号処理部140Iのデコード部480で生成される並列回路選択信号J3としての各選択信号S0〜S9の状態が示されている。多相タイミング信号J2(クロック信号P0〜P9)と同様に、各選択信号S0〜S9間の位相も位相雑音が低減できている。
図中の上段には、システムロジック部360からパラシリ変換部370へ供給される10ビットのパラレルデータDATA0 〜DATA9 とパラシリ変換部370から出力バッファ380を介して出力されるシリアルデータの状態が示されている。
図10に示したように、10ビットのパラレルデータDATA0 〜DATA9 は、一旦、ビット対応するフリップフロップ462_0〜462_9により保持される。
クロック信号P0〜P9の内の1つ(クロック信号P0)の立上りエッジを用いて全てのフリップフロップ462_0〜462_9でビットデータを保持することが考えられる。基本的には、保持された10ビットデータをデコード部480で生成した並列回路選択信号J3(選択信号S0〜S9)によって順次選択して出力すれば10ビットから1ビットのパラシリ変換動作が実現できる。
しかしながら、10ビットデータ保持のクロックとしてクロック信号P0を全てのフリップフロップ462で共通に用いた場合、クロック信号P0の立上りエッジから作られる選択信号S0によって保持データDATA0 を選択して出力すると、保持データDATA0 が十分に確定する前に選択されるようなタイミングエラーが発生して、正確にシリアルデータを出力できない虞れがある。
その対策として、第1実施形態では、0ビット目のビットデータDATA0 をフリップフロップ462_0で保持するクロックとしては、クロック信号P0ではなく、その1つ前の位相のクロック信号P9を用いていた。この場合、データ保持タイミングを決めるタイミング信号の配線が2種類必要となり、タイミング信号の配線の引回しが問題となり得る。
これに対して、第6実施形態では、データ保持タイミングを決めるタイミング信号の配線を1種類で済ますことができるように、フリップフロップ462の後段に単位遅延素子272と同様の単位遅延素子464を設け、データ保持タイミングを決めるタイミング信号としてはP9相のタイミング信号を使用している。そのため、各スイッチ素子472に入力されるパラレルデータの遷移タイミングは、タイミング信号P9の立上りエッジよりも単位遅延素子464による遅延量の分だけ確実に遅れる。しかも、単位遅延素子464として単位遅延素子272と同様のものを使用し、単位遅延素子464も単位遅延素子272と同様に発振制御電流J0_1で遅延量を制御すると、正しく制御された遅延量にてタイミング調整ができる。
こうすることで、パラレルデータ保持のクロックとしてクロック信号P9を全てのフリップフロップ462で共通に用いて、クロック信号P9の立上りエッジから作られる選択信号S0によって保持データDATA0 を選択して出力しても、保持データDATA0 が十分に確定してから選択でき、正確にシリアルデータを出力できる。第6実施形態も、確実に選択信号S0によって0ビット目のビットデータDATA0 を選択できるタイミング設計になる。
<各実施形態の作用効果の纏め>
第1〜第6実施形態で説明したことから、次のようなことがいえる。
1)本実施形態では、基準タイミング生成部110を各高速信号処理部140からは離れた位置に配置してもよい。基準タイミング生成部110からは、各高速信号処理部140のそれぞれの近傍に配置された局所タイミング再生部120に基準タイミング信号J0を供給する。そして、局所タイミング再生部120において、局所的に多相タイミング信号J2を再生し高速信号処理部140に供給するする。こうすることで、高速な処理が求められる高速信号処理部140(たとえば、パラシリ変換回路やシリパラ変換回路、カウンタ回路、CPUなどで使われる演算回路など)において、クロック信号などのトグル頻度を低くでき、各回路の最大動作速度を上げることができる。
2)位相同期パルスJ0_2として使用される基準タイミング生成部110への外部基準クロックCLK0や多相タイミング信号J2のトグル頻度が下がるので、基準タイミング生成部110や局所タイミング再生部120の活性化率が下がり、低消費電力な回路動作が可能になる。
3)一般に、大規模集積回路(LSI:Large Scale Integrated Circuit)などの半導体集積回路の内部に点在する高速回路ブロックに対しては、その高速動作のために高速クロック信号を生成し、それを各回路まで分配するクロック分配回路にて消費される電力が大きくなってしまう。これに対して、本実施形態の仕組みでは、高速クロック信号を分配する必要がなくなるため、半導体集積回路全体の低消費電力化が達成できる。
4)高速クロック信号の代わりに多相クロック信号を基準タイミング生成部110で生成することも考えられるが、多相クロック信号を基準タイミング生成部110から分配する場合にも、各クロック信号間の位相を正しく保つためには、回路設計やレイアウトにおける実装や調整作業に多くの労力が必要となり、結果的に回路面積が大きくなる、消費電力が増えてしまう虞れがある。これに対して、本実施形態では、多相クロック信号としての多相タイミング信号J2を基準タイミング生成部110から直接に各高速信号処理部140に分配する必要がないため、前記のような不利益なしに、低消費電力化や小面積化を実現できる。
5)4)との関係において、基準クロックを生成する基準タイミング生成部110においても、各高速信号処理部140で求められる高速なクロックの代わりに低速なパルス信号を発生させればよいので、基準タイミング生成部110(PLLやDLLなど)の最高動作周波数の向上や低消費電力化も達成できる。
6)基準タイミング生成用のPLLやDLLなどで使われる発振回路と、局所タイミング再生部120の回路との間のデバイス特性バラツキなどにより、その2つの回路から出力されるパルス信号の周波数は、制御電圧や制御電流を共用しても同一にできない虞れがあり、周波数補正回路などが必要になることがある。
これに対して、本実施形態では、制御電圧や制御電流に加えて低速な位相同期パルスJ0_2も局所タイミング再生部120に供給して位相合せを行なうようにしており、局所タイミング再生部120から出力される多相タイミング信号J2の周波数と、位相同期パルスJ0_2の周波数が同一の場合、補正回路などなしで、両者の周波数を一致させることができる。
なお、多相タイミング信号J2の周波数が500Mhzの場合に、位相同期パルスJ0_2の周波数として、たとえば500Mhzよりも低いものを使うこともできるが、その場合は基準タイミング生成部110の発振回路の周波数と、局所タイミング再生部120の発振回路の周波数のズレにより、動作不良を起こすと考えられる。たとえば試作例や、一般文献の報告例では、約2%程度の発振周波数のズレが発生すると考えられる。500Mhz(2ns)の場合、局所タイミング再生部120の発振器では2.04nsになり得る、ということであり、50サイクルすれば1周期になるので、位相同期パルスJ0_2が1/50以下の周波数の場合は、周波数がずれてしまう、と言える。たとえば、5Mhzの外部基準クロックを100逓倍して500Mhzを作る例で、5Mhzを位相同期パルスJ0_2として用いた場合、などで起こり得る。また、1/50以上でも低い周波数を位相同期パルスJ0_2で使うと、位相合わせのときに大きな位相変化(ノイズ)となるので、周波数は一致できても、高速信号処理部でのタイミングエラーなどの問題が起きると考えられる。
7)位相同期パルスJ0_2を局所タイミング再生部120に供給することで、さらに追加の効果として、局所タイミング再生部120をループ構成にした場合、そのループによる位相雑音の蓄積を低減でき、正確な多相タイミング信号J2を再生することができる。
8)本実施形態では、高速信号処理部140をその出力信号の周波数よりも低速の多相タイミング信号J2で高速動作させる場合に、回路動作のタイミングマージンを確保するため、その近傍に局所タイミング再生部120を配置している。そして、局所タイミング再生部120のデバイスとしては、基準タイミング生成部110の発振回路(発振部210,280,290)を制御する信号と実質的に同じ信号で遅延制御された単位遅延素子272などを用いてタイミング調整を行なうようにしている。このため、高速動作における少ないタイミングマージン内に抑えたタイミング設計を実現できる。
<電子機器への適用例>
図12は、第1〜第6実施形態で説明したタイミング生成回路100が適用される電子機器の一例である固体撮像装置を説明する図である。ここでは、固体撮像装置の一実施形態であるCMOS型の固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の基本構成図を示している。
また、固体撮像装置が組み込まれた撮像装置にも適用可能である。この場合、撮像装置として、固体撮像装置と同様の効果が得られる。ここで、撮像装置は、たとえば、カメラ(あるいはカメラシステム)や撮像機能を有する機器のことを示す。また「撮像」は、通常のカメラ撮影時の像の撮り込みだけではなく、広義の意味として、指紋検出なども含むものである。因みに、固体撮像装置は半導体装置の一例でもある。固体撮像装置は、たとえば携帯電話や携帯型のノートパソコンなどの携帯端末の撮像部などに利用される。
固体撮像装置1は、複数個の単位画素3が2次元マトリクス状に配列された画素アレイ部10を有する。図12では、簡単のため行および列の一部を省略して示しているが、現実には、各行や各列には、数十から数千の単位画素3が配置される。単位画素3からは、列ごとに垂直信号線19を介して画素信号電圧Vxが出力される。
垂直信号線19の画素信号電圧Vxは、時間系列として、基準レベルとしての画素信号の雑音を含むリセットレベルSrst の後に信号レベルSsig が現れるものである。信号レベルSsig はリセットレベルSrst に信号成分Vsig を加えたレベルであり、Ssig (=Srst +Vsig )−Srst で信号成分Vsig が得られる。
固体撮像装置1はさらに、CDS(Correlated Double Sampling)処理やデジタル変換をなすAD変換部750が列並列に設けられているカラムAD変換部26を有する。
固体撮像装置1はさらに、駆動制御部7と、単位画素3に画素信号読出用の動作電流を供給する負荷MOSを具備した読出電流源部24と、カラムAD変換部26にAD変換用の参照信号SLP_ADC を供給する参照信号生成部27と、出力部28を備えている。
駆動制御部7は、画素アレイ部10の信号を順次読み出すための制御回路機能の実現のため水平走査部12(列走査回路)、垂直走査部14(行走査回路)、および通信・タイミング制御部20を備えている。
水平走査部12は、図示しないが、列アドレスや列走査を制御する水平アドレス設定部や水平駆動部などを有し、データ転送動作時に読み出すべきデータのカラム位置を指示する。垂直走査部14は、図示しないが、行アドレスや行走査を制御する垂直アドレス設定部や垂直駆動部などを有する。水平走査部12や垂直走査部14は、通信・タイミング制御部20から与えられる制御信号CN1,CN2に応答して行・列の選択動作(走査)を開始する。
通信・タイミング制御部20は、端子5aを介して入力されるマスタークロックMCK に同期したクロックをデバイス内の各部(走査部12,14やカラムAD変換部26)に供給するタイミングジェネレータ(読出アドレス制御装置の一例)の機能ブロックを備える。さらに、端子5aを介して外部の主制御部から供給されるマスタークロックMCK を受け取り、また端子5bを介して外部の主制御部から供給される動作モードなどを指令するデータを受け取り、さらに固体撮像装置1の情報を含むデータを外部の主制御部に出力する通信インタフェースの機能ブロックを備える。
通信・タイミング制御部20は、内部クロックを生成するクロック変換部の一例であるクロック変換部20aと通信機能や各部をタイミング制御する機能を持つシステム制御部20bを有する。クロック変換部20aは、端子5aから入力されるマスタークロックMCK に基づきマスタークロックMCK よりも高周波数のパルスを生成する逓倍回路を内蔵しており、ADクロックCKcnt やDACクロックCKdac などの内部クロックを生成する。
出力部28は、信号増幅部802(S・A)と、デジタルインタフェース部806(DIF)を有する。信号増幅部802は、データ転送用の信号線(転送配線)である水平信号線18上の信号(デジタルデータではあるが小振幅)を検出する。デジタルインタフェース部806は、信号増幅部802と外部回路の間に介在し外部回路とのインタフェース機能をなす。デジタルインタフェース部806の出力は出力端5cに接続されており、映像データが後段回路に出力される。
出力部28は、図中に破線で示すように、信号増幅部802とデジタルインタフェース部806との間に、各種のデジタル演算処理を行なうデジタル演算部804を必要に応じて設けてもよい。たとえば、デジタル演算部804は、P相とD相のデータを各別に水平転送してからCDS処理を行なう場合に使用されるし、また、水平方向の加減算処理を行なう場合にも使用される。
単位画素3は、行選択のための行制御線15を介して垂直走査部14と、また垂直信号線19を介してカラムAD変換部26の垂直列ごとに設けられているAD変換部750と、それぞれ接続される。行制御線15は垂直走査部14から画素に入る配線全般を示す。
AD変換部750におけるAD変換方式としては、回路規模や処理速度(高速化)や分解能などの観点から様々な方式が考えられているが、一例として、参照信号比較型、スロープ積分型、あるいはランプ信号比較型などとも称されるAD変換方式を採用する。この手法は、簡単な構成でAD変換器が実現できるため、並列に設けても回路規模が大きくならないという特徴を有している。参照信号比較型のAD変換に当たっては、変換開始(比較処理の開始)から変換終了(比較処理の終了)までの時間に基づいてカウント動作有効期間Tenを決定し(ここではその期間を示すカウントイネーブル信号ENとする)、その期間のクロック数に基づき処理対象信号をデジタルデータに変換する。
参照信号比較型AD変換方式を採用する場合に、考え方としては、参照信号生成部27も列並列で(画素列ごとに)設けることも考えられる。たとえば、各画素列に比較器と参照信号発生器を設け、自列の比較器の比較結果を基に、逐次、参照信号の値を対応する列の参照信号発生器で変化させていく構成を採る場合である。しかしながらこれでは回路規模や消費電力が増える。そこで、本実施形態では、参照信号生成部27を全列共通に使用する構成を採り、参照信号生成部27から発生される参照信号SLP_ADC を各画素列のAD変換部750が共通に使用する構成にする。
このため、参照信号生成部27は、DA変換部770(DAC;Digital Analog Converter)を有する。DA変換部770は、通信・タイミング制御部20からの制御データCN4で示される初期値からDACクロックCKdac に同期して、制御データCN4で示される傾き(変化率)の参照信号SLP_ADC を生成する。その詳細構成は説明を割愛するが、たとえばカウンタ回路のカウント出力データを利用する構成にすることが考えられる。参照信号SLP_ADC は、全体的にある傾きを持って線形に変化する波形を持つものであればよく、その変化が滑らかなスロープ状を呈するものであってもよいし、階段状に順次変化するものであってもよい。
参照信号比較型のAD変換を行なうため、AD変換部750は、比較部752(COMP)、カウント動作期間制御部753(EN生成)、カウンタ部754を備える。
参照信号比較型のAD変換では、比較部752による参照信号SLP_ADC と画素信号電圧Vxとの比較結果に基づきカウント動作有効期間Ten(その期間を示す信号はカウントイネーブル信号EN)を決定し、カウントイネーブル信号ENがアクティブな期間のADクロックCKcnt のクロック数に基づきアナログの処理対象信号をデジタルデータに変換する。
基準レベル(リセットレベルSrst )の処理をプリチャージ相(P相と省略して記すこともある)の処理と称し、信号レベルSsig の処理をデータ相(D相と省略して記すこともある)の処理と称する。P相処理後にD相処理を行なう場合、D相処理はリセットレベルSrst に信号成分Vsig を加えた信号レベルSsig についての処理となる。
カウント動作有効期間Tenをどうとるかや、AD変換部750内で差分処理(CDS処理)を行なうかなど、本願出願人は、参照信号比較型のAD変換方式を種々提案しており、それらも基本的にはこの固体撮像装置1で採用し得るものである。
何れの処理例でも、電圧比較器に参照信号SLP_ADC を供給し、垂直信号線19を介して入力されたアナログの画素信号を参照信号SLP_ADC と比較する。カウント動作有効期間Tenに入るとクロック信号でのカウント(計数)を開始することによって、指定されているカウント動作有効期間Tenにおけるクロック数をカウントすることでAD変換を行なう。
カウンタ部754は、アップカウントモードとダウンカウントモードを切替可能なもの(アップダウンカウンタ)にする。アップダウンカウンタを用いることにより、回路規模を大きくすることなく高フレームレート化を達成できる。本例ではさらに、列ごとのカウンタ部754の後段に水平転送用のラッチ757(メモリ)を内蔵したデータ記憶部756を備える。
比較部752は、参照信号生成部27で生成される参照信号SLP_ADC と、選択行の単位画素3から垂直信号線19(H1,H2,…,Hh)を経由し得られるアナログの画素信号電圧Vxを比較する。比較部752は、参照信号SLP_ADC と画素信号電圧Vxが一致したとき比較パルスCo(コンパレート出力)を反転する。
通信・タイミング制御部20から各AD変換部750のカウンタ部754には、カウンタ部754がP相・D相のカウント処理をダウンカウントモードで動作するのかアップカウントモードで動作するのかや、P相のカウント処理における初期値Dini の設定やリセット処理など、その他の制御情報を指示する制御信号CN5が入力されている。
比較部752の一方の入力端子(+)は、他の比較部752の入力端子(+)と共通に、参照信号生成部27で生成される参照信号SLP_ADC が入力され、他方の入力端子(−)には、それぞれ対応する垂直列の垂直信号線19が接続され、画素アレイ部10からの画素信号電圧Vxが個々に入力される。
カウンタ部754のクロック端子CKには、他のカウンタ部754のクロック端子CKと共通に通信・タイミング制御部20からADクロックCKcnt が入力される。データ記憶部756を設けない場合、カウンタ部754には、水平走査部12から制御線12cを介して制御パルスが入力される。カウンタ部754は、カウント結果を保持するラッチ機能を有し、制御線12cからの制御パルスによる指示があるまでカウンタ値を保持する。
水平走査部12や垂直走査部14などの駆動制御部7の各要素は、画素アレイ部10とともに、半導体集積回路製造技術と同様の技術を用いて単結晶シリコンなどの半導体領域に一体的に形成されたいわゆる1チップもの(同一の半導体基板上に設けられているもの)として、本実施形態の固体撮像装置1が構成される。
固体撮像装置1は、このように各部が半導体領域に一体的に形成された1チップとして形成された形態であってもよいし、図示を割愛するが、画素アレイ部10、駆動制御部7、カラムAD変換部26などの各種の信号処理部の他に、撮影レンズ、光学ローパスフィルタ、あるいは赤外光カットフィルタなどの光学系をも含む状態で、これらを纏めてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態としてもよい。
個々のAD変換部750の出力側は、たとえば、カウンタ部754の出力を水平信号線18に接続することができる。あるいは、図示のように、カウンタ部754の後段に、このカウンタ部754の保持したカウント結果を保持するラッチを具備したメモリ装置としてのデータ記憶部756を備える構成を採ることもできる。データ記憶部756は、決められたタイミングでカウンタ部754から出力されたカウントデータを保持・記憶する。
水平走査部12は、カラムAD変換部26の各比較部752とカウンタ部754とが、それぞれが担当する処理を行なうのと並行して、各データ記憶部756が保持していたカウント値を読み出す読出走査部の機能を持つ。データ記憶部756の出力は、水平信号線18に接続されている。水平信号線18は、AD変換部750のビット幅分もしくはその2倍幅分(たとえば相補出力とするとき)の信号線を有し、それぞれの出力線に対応した信号増幅部802を有する出力部28に接続される。カウンタ部754、データ記憶部756、および水平信号線18はそれぞれ、Nビットに対応した構成を採っている。
ここで、デジタルインタフェース部806は、データ記憶部756から水平信号線18を介して水平転送されたパラレルデータをシリアルデータに変換するべく、第1〜第4、第6実施形態のタイミング生成回路100D〜100G,100Iが適用可能である。また、AD変換部750のカウンタ部754は、第5実施形態のタイミング生成回路100Hを適用可能である。さらに、DA変換部770を構成するカウンタ回路についても第5実施形態のタイミング生成回路100Hを適用可能である。
デジタルインタフェース部806およびカウンタ部754やDA変換部770を構成するカウンタ回路のそれぞれに前記の実施形態を適用してもよい。この場合、基準タイミング生成部110や局所タイミング再生部120などとしては、第1〜第4・第6実施形態と第5実施形態をそれぞれに各別に適用してもよいし、第1〜第4・第6実施形態と第5実施形態の何れかを適用して共用するようにしてもよい。
ここでは、電子機器の一例として固体撮像装置1を例に説明したが、第1〜第6実施形態で説明したタイミング生成回路100が適用される電子機器は、機器内で生成される又は外部から入力される画像や音声その他のデータを高速で処理する機能を搭載していればよく、特定の分野の機器には限定されない。たとえば、高速データリンクやRFトランシーバ始めとする無線装置などで多相クロックを使用する様々な用途に適用することが可能であるし、オーディオ再生装置、ゲーム機、電子ブック、電子辞書などにおいて高速のデータ転送が要求される場合に、前記実施形態で説明したパラシリ変換部320,370を適用することが考えられる。