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JP2011038089A - イオン伝導体、重合性化合物、マクロ開始剤 - Google Patents

イオン伝導体、重合性化合物、マクロ開始剤 Download PDF

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JP2011038089A JP2010157871A JP2010157871A JP2011038089A JP 2011038089 A JP2011038089 A JP 2011038089A JP 2010157871 A JP2010157871 A JP 2010157871A JP 2010157871 A JP2010157871 A JP 2010157871A JP 2011038089 A JP2011038089 A JP 2011038089A
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Teruaki Hayakawa
晃鏡 早川
Yoshihito Ishida
良仁 石田
Rina Maeda
利菜 前田
Takeshi Ishiyama
武 石山
Hideyuki Higashimura
秀之 東村
Arihiro Yashiro
有弘 八代
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Tokyo Institute of Technology NUC
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Tokyo Institute of Technology NUC
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Abstract

【課題】イオン伝導特性に優れるイオン伝導体及び、当該イオン伝導体を構成するポリマーの製造に有用な重合性化合物の提供。
【解決手段】環状有機基で置換された炭化水素基を有する繰返し単位を含むポリマーからなるイオン伝導体であって、上記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に、エステル基、アミド基、リン酸基、スルフォン酸基などの極性基のいずれかが結合している、イオン伝導体。
【選択図】なし

Description

本発明は、イオン伝導体、重合性化合物及びマクロ開始剤に関する。
イオン伝導体は、全固体型リチウムイオンポリマー電池に用いられるリチウムイオン伝導性ポリマー電解質や、固体高分子型燃料電池に用いられるプロトン伝導性ポリマー電解質に代表されるように、これら電池の特性を大きく左右する重要な部材として用いられる。リチウムイオン伝導性ポリマー電解質としては、短いポリエチレンオキシド側鎖と当該側鎖に結合するアルキル基とを有するくし型高分子化合物が、プロトン伝導性ポリマー電解質としては、パーフルオロスルホン酸ポリマーが具体的なイオン伝導体として知られている(非特許文献1)。
「第5版実験化学講座27−機能性材料−」、社団法人日本化学会編、丸善株式会社、p.109−133
イオン伝導体を構成するポリマー中で長距離のイオン移動を起こさせるには、ポリマー鎖の局所運動と協働的なイオンの局所移動に加え、イオンに溶媒和するポリマー配位子(ポリマーが有するイオン伝導性基、例えば、カルボキシル基)の交換が必須の過程となる。
上記リチウムイオン伝導性ポリマー電解質では、短いポリエチレンオキシド側鎖と当該側鎖に結合するアルキル基とを有するくし型高分子化合物という特定の構造を備えることで、ポリマー配位子交換の過程が促進されると考えられる。
また、上記プロトン伝導性ポリマー電解質では、疎水的主鎖部分、イオン伝導性基(例えば、カルボキシル基)からなるイオン基部分、そしてその境界領域、といったミクロ相分離高次構造を形成するため、連続したイオン伝導性基部分を通してのプロトン伝導が促進されると考えられる。
しかしながら、イオン伝導体としては、特に上述のような電池分野において、更なる高イオン伝導特性が求められている。
そこで、本発明は、イオン伝導特性に優れるイオン伝導体を提供することを目的とする。また、本発明は、当該イオン伝導体を構成するポリマーの製造に有用な重合性化合物及びマクロ開始剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、環状有機基で置換された炭化水素基を有する繰返し単位を含むポリマーからなるイオン伝導体であって、上記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)又は(1−11)で示される極性基のいずれかが結合している、イオン伝導体を提供する。

[式中、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。]
上記ポリマーは、環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に上記極性基のいずれかが結合している構造を有することから、当該ポリマー中で長距離のイオン移動が効率的に行われると考えられる。そして、このようなポリマーからなる本発明のイオン伝導体は、イオン伝導特性に優れるものとなる。
本発明のイオン伝導体においては、上記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する4又はそれ以上の原子に、上記極性基が結合していることが好ましい。このようにポリマーの一次構造中(すなわち、上記繰返し単位構造中)に、多数のイオン伝導性基(すなわち、上記極性基)が連なった隣接基として高密度に配置することで、イオン伝導特性が一層優れる。
また、本発明のイオン伝導体においては、上記極性基が、上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で示される極性基であることが好ましい。このようなイオン伝導体は、製造が比較的容易となる点で優れる。
また、本発明のイオン伝導体においては、上記炭化水素基が、フェニレン基であることが好ましい。このようなイオン伝導体は、フェニレン基同士の相互作用により、ミクロ相分離構造が形成し易く、イオン伝導特性が向上する傾向がある。
本発明のイオン伝導体においては、上記繰返し単位が、下記一般式(1)で表される繰返し単位であることが好ましい。

[式中、A環は上記環状有機基、Rは上記極性基、Xは上記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Wは三価の有機基、nは3以上の整数、をそれぞれ示す。なお、n個存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
このような繰返し単位を含むイオン伝導体は、主鎖部分と、極性基を備える環状有機基とを備えるために、ミクロ相分離構造を形成しやすく、イオン伝導特性が一層向上する傾向がある。
また、上記繰返し単位が、下記一般式(2)で表される繰返し単位であることがより好ましい。

[式中、Rは上記極性基、Xは上記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Wは三価の有機基、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、をそれぞれ示す。なお、複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
上記繰返し単位が、一般式(2)で表される繰返し単位であるイオン伝導体としては、上記R及びZが、上記式(1−1)で示される極性基であることが好ましい。また、Zが、上記式(1−1)で示される極性基であることが好ましい。このようなイオン伝導体は、Zが上記極性基であることにより、上記繰返し単位中で、多数の極性基が連なった隣接基として高密度に配置され、これによりイオン伝導特性が一層優れる。また、極性基が上記式(1−1)で示される基であることで、製造が比較的容易となる点で優れる。
上記繰返し単位が、一般式(2)で表される繰返し単位であるイオン伝導体においては、上記Xがフェニレン基であることが好ましく、上記Yが単結合又はアルキレン基であることが好ましく、上記Wがアルカントリイル基であることが好ましい。上記Xがフェニレン基であることにより、ビフェニル構造が繰返し単位に含まれ、該ビフェニル構造同士の相互作用によりミクロ相分離構造の形成が促進されるという効果が奏される。また、上記Yが単結合又はアルキレン基であること、あるいは上記Wがアルカントリイル基であることにより、ポリマーに適度な弾性、柔軟性が付与され、電池化に適したイオン伝導体となり得るという効果が奏される。
上記ポリマーとしては、ブロック共重合体が好適に使用できる。このようなポリマーからなるイオン伝導体は、ブロック構造に由来する高次構造の形成が可能となり、連続したイオン基部分を通してのイオン伝導が促進される。
また、本発明は、下記一般式(3)で表される重合性化合物であって、環状有機基で置換された炭化水素基を有し、上記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)又は(1−11)で示される極性基のいずれかが結合している、重合性化合物を提供する。

[式中、A環は上記環状有機基、Rは上記極性基、Xは上記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Uは重合性基、nは3以上の整数、をそれぞれ示す。なお、n個存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]

[式中、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。]
本発明の重合性化合物は、上記本発明のイオン伝導体を構成する上記ポリマーの製造に有用である。
本発明の重合性化合物としては、下記一般式(4)で表される重合性化合物が好ましい。

[式中、Rは上記極性基、Xは上記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Uは上記重合性基、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、をそれぞれ示す。なお、複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
また、一般式(4)で表される重合性化合物においては、R及びZが、上記式(1−1)で示される極性基であることが好ましく、Zが上記式(1−1)で示される極性基であることが好ましく、Xがフェニレン基であることが好ましく、Yが単結合又はアルキレン基であることが好ましく、Uがエチレン性不飽和結合を有する炭化水素基であることが好ましい。これらの好ましい態様を備える本発明の重合性化合物は、上記本発明のイオン伝導体を構成する上記ポリマーの製造に一層有用である。
また、本発明は、下記一般式(2)で表される構造を有するマクロ開始剤を提供する。

[式中、Rは下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)又は(1−11)で示される極性基、Xは炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Wは三価の有機基、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、をそれぞれ示す。なお、複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]

[式中、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。]
本発明のマクロ開始剤は、上記本発明のイオン伝導体を構成する上記ポリマーの製造に有用である。
また、本発明は、上記本発明のイオン伝導体を含有するイオン伝導膜、並びに、該イオン導電膜を備えるアルカリイオンポリマー2次電池(特に、リチウムイオンポリマー2次電池、ナトリウムイオンポリマー2次電池)及び燃料電池を提供する。
また、本発明は、燃料電池の触媒層を形成するための触媒インクであって、上記本発明のイオン伝導体を含有する触媒インクを提供する。
さらに、本発明は、触媒層とイオン伝導膜とを備える燃料電池であって、前記触媒層が、上記本発明のイオン伝導体を含有する、燃料電池を提供する。
本発明によれば、イオン伝導特性に優れるイオン伝導体を提供することができる。また、本発明によれば、上記イオン伝導体を構成するポリマーの製造に有用な重合性化合物及びマクロ開始剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、上記イオン伝導体を含有するイオン伝導膜、アルカリイオンポリマー2次電池(特に、リチウムイオンポリマー2次電池、ナトリウムイオンポリマー2次電池)、触媒インク及び燃料電池を提供する。
実施例2で得られたマクロ開始剤(c−1)のHNMRチャートである。 実施例4〜7におけるイオン伝導膜のAFM(原子力間顕微鏡)写真を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るイオン伝導体は、環状有機基で置換された炭化水素基(以下、当該炭化水素基を、場合により「連結基」と称する。)を有する繰返し単位を含むポリマーからなるイオン伝導体であって、上記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)又は(1−11)で示される極性基のいずれかが結合していることを特徴とする。
式中、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。
上記連結基における水素原子は、環状有機基で置換され、さらに上記ポリマーを構成するその他の原子団と少なくとも一箇所で結合している。このような連結基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、オクタン、デカン、イコサン、トリアコンタン、ペンタコンタン、シクロヘプタン、シクロへキサン等の炭素数1〜50の飽和炭化水素分子から二個以上の水素原子を除いてなる基;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ビフェニル、アセナフチレン、フェナレン、ピレン等の炭素数1〜50の芳香族炭化水素分子から二個以上の水素原子を除いてなるアリーレン基;等が挙げられる。なお、本実施形態においては、例えばポリマーの主鎖に結合する側鎖が全て炭化水素からなる基である必要はなく、少なくとも環状有機基と直接結合する基が炭化水素基であればよい。
上記連結基が上述のような炭化水素基であることで、環状有機基と連結基との間の結合が比較的不活性となり、耐久性のよいイオン伝導体が得られるという効果が奏される。
上記環状有機基は、上記連結基に結合し、環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に上記極性基のいずれかが結合している。このような環状有機基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ピロリジン、ピペリジン、シクロヘプタン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ビフェニル、アセナフチレン、フェナレン、ピレン、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン等の環状化合物から四個以上の水素原子を除いてなる基が挙げられる。これらのうち、好ましくはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ベンゼン、ピリジン、ビフェニル又はアセナフチレンから四個以上の水素原子を除いてなる基であり、さらに好ましくはベンゼン又はピリジンから四個以上の水素原子を除いてなる基であり、特に好ましくはベンゼンから四個以上の水素原子を除いてなる基である。
ここで、環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3の原子に上記極性基のいずれかが結合しているとは、例えば環状有機基がベンゼンから四個の水素原子を除いてなる基である場合、ベンゼン環の1位、2位及び3位にそれぞれ上記極性基のいずれかが結合していることを示す。このとき、上記連結基は、ベンゼン環の4位、5位、6位のいずれと結合していてもよい。
上記環状有機基は、環状有機基の環を構成する原子のうち連続する4又はそれ以上の原子に上記極性基が結合していることが好ましく、連続する5の原子に上記極性基が結合していることがより好ましい。このようなイオン伝導体は、繰返し単位構造中で、多数の極性基が、連なった隣接基として高密度に配置され、これによりイオン伝導特性が一層優れる。
上記極性基は、イオン伝導性基もしくは保護されたイオン伝導性基として機能し、これらの基を隣接させて密に配置することで、上記イオン伝導体が良好なイオン伝導特性を発現すると考えられる。上記極性基は、環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に結合され、好ましくは連続する3以上20以下の原子に結合され、より好ましくは連続する4以上8以下の原子に結合され、さらに好ましくは連続する4以上5以下の原子に結合され、特に好ましくは連続する5の原子に結合される。連続する原子に結合する極性基の数が上記範囲より多いものは、上記ポリマーの製造が困難となる場合がある。
10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。ここで炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、イコシル基、トリアコンチル基、ペンタコンチル基、シクロへプチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基;ベンジル基、ナフチル基、アントラセニル基、テトラセニル基、ビフェニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、ピリジニル基等のアリール基;等が挙げられる。また、置換基を有していてもよい炭化水素としては、例えば、−(CHCHO)120(ここで、hは1〜80の整数、R120は水素原子又は炭化水素基を示す。)、−(CHCH(CH)O)121(ここで、iは1〜80の整数、R121は水素原子又は炭化水素基を示す。)が挙げられる。なお、炭化水素基が有し得る置換基としては、シアノ基、−(Si(R130O)−R131(ここで、jは1〜80の整数、R130は炭化水素基、R131は水素原子又は炭化水素基を示す。)、−(OCHCH120、−(OCHCH(CH))121等が挙げられる。
また、上記金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、好ましくはリチウム、ナトリウム又はカリウムであり、より好ましくはリチウム又はナトリウムである。これらの金属原子は、金属カチオンとしてイオン解離していてもよい。
上記極性基におけるR10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102、R103及びR110は、イオン伝導体を使用対象によって適宜変更することが好ましい。イオン伝導体により伝導するイオンの種類によって、プロトンを伝導する場合、水素原子が好ましく、金属イオンを伝導する場合、−(CHCHO)120、−(CHCH(CH)O)121又は伝導する金属イオンと同じ元素の金属原子が好ましい。
上記極性基としては、上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)又は(1−10)で示される基が好ましく、より好ましくは上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で示される基であり、さらに好ましくは上記式(1−1)、(1−2)又は(1−3)で示される基であり、特に好ましくは上記式(1−1)で示される基である。
上記ポリマーにおいて、上記繰返し単位の数(重合度)は、好ましくは1〜1×10であり、より好ましくは5〜1×10であり、さらに好ましくは2×10〜1×10であり、特に好ましくは1×10〜5×10である。
本実施形態に係るイオン伝導体は、金属イオンを伝導する際には、ポリマー中に伝導させる金属イオンの金属塩を分散させておくことが好ましい。上記金属塩を構成する金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等のアルカリイオン等が挙げられ、好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンであり、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンである。上記金属塩を構成する対アニオンとしては、CFSO ,ClO 、BF 、PF 、N(SOCF 、N(SOCFCF 、N(SOF) 等が挙げられる。上記金属イオンはポリマー中の極性基の配位を介してイオン伝導に寄与することができる。また、プロトンを伝導させる際には、ポリマーを加湿してもよい。
上記繰返し単位は、下記一般式(1)で表される繰返し単位であることが好ましい。
式中、A環は上記環状有機基、Rは上記極性基、Xは上記連結基、Yは単結合又は二価の有機基、Wは三価の有機基、nは3以上の整数、をそれぞれ示す。なお、n個存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(1)中、Xは二価の炭化水素基であることが好ましく、Xとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、オクタン、デカン、イコサン、トリアコンタン、ペンタコンタン、シクロヘプタン、シクロへキサン等の炭素数1〜50の飽和炭化水素分子から二個の水素原子を除いてなるアルキレン基;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ビフェニル、アセナフチレン、フェナレン、ピレン等の炭素数1〜50の芳香族炭化水素分子から二個の水素原子を除いてなるアリーレン基;等が挙げられる。Xの炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましい。これらのうち、Xとしてはフェニレン基が特に好ましい。
で表される二価の有機基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、オクタン、デカン、イコサン、トリアコンタン、シクロヘプタン、シクロへキサン等の炭素数1〜40の飽和炭化水素分子から二個の水素原子を除いてなる基;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ビフェニル、アセナフチレン、フェナレン、ピレン等の炭素数1〜50の芳香族炭化水素分子から水素原子を二つ取り去って得られるアリーレン基;下記式(E−1)、(E−2)、(E−3)、(E−4)、(E−5)、(E−6)、(E−7)、(E−8)、(E−9)又は(E−10)で示される基;等が挙げられる。また、これらの基を任意に複数組み合わせた基であってもよい。Yとしては、単結合又はアルキレン基が特に好ましい。
式中、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。ここで炭化水素基としては、上記の炭化水素基が挙げられる。
で表される三価の有機基としては、メタン、エタン、プロパン、2−メチルプロパン、ブタン、シクロヘプタン、シクロへキサン等の炭素数1〜30の飽和炭化水素分子から三個の水素原子を除いてなるアルカントリイル基;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ビフェニル、アセナフチレン、フェナレン、ピレン、ピリジン等の芳香族炭化水素分子から三個の水素原子を除いてなる基;等が挙げられる。Wの炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜16であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。これらのうち、Wとしてはアルカントリイル基が特に好ましい。
上記繰返し単位は、下記一般式(2)で表される繰返し単位であることがより好ましい。
式中、Rは上記極性基、Xは上記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Wは三価の有機基、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、をそれぞれ示す。なお、複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
、Y、Wとしては、一般式(1)で表される繰返し単位と同様のものが挙げられる。また、Z、Zで示される極性基、置換基を有していてもよい炭化水素としては、上述のものと同様のものが挙げられる。Z及びZは、極性基であることが好ましく、上記式(1−1)で示される基であることがより好ましい。
上記繰返し単位としては、例えば、下記式(2−1)で表される繰返し単位が挙げられる。式(2−1)中、Xは上記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、をそれぞれ示し、X、Yとしては上記と同様のものが挙げられる。R200は、炭素数1〜10のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R201は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。
上記繰返し単位を含むポリマーの合成手法としては、ポリマーに上記環状有機基で置換された炭化水素基を修飾導入する方法、上記環状有機基で置換された炭化水素基を有する重合性化合物を重合させる方法等が挙げられる。これらのうち、上記環状有機基で置換された炭化水素基を有する重合性化合物を重合して合成することが好ましい。このような方法によれば、ポリマーの分子量やイオン伝導性基(極性基)の導入率を制御して、所望のイオン伝導特性を備えるポリマーを合成することができる。
なお、上記環状有機基は、環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に、上記極性基を有する。このような環状有機基を有する化合物の合成方法としては、例えば、下記(I)〜(IV)の方法が挙げられる。これらの方法を適宜組み合わせることで、所望の環状有機基を有する化合物を合成することができる。
(I)硫酸等を用いた芳香族基のスルホ化
(II)ハロゲノ基をもつ芳香族基のハロゲノ基を置換するホスホニル化(参考文献:Eur.J.Inorg.Chem.1998,1029等)
(III)アルキル基をもつ芳香族基を酸化することによるカルボニル化
(IV)極性基で置換されたアセチレンを用いた芳香環形成反応(参考文献:Tetrahedron Letter,1994,35,9323等)
上記重合性化合物としては、下記一般式(3)で表される重合性化合物であって、環状有機基で置換された炭化水素基を有し、上記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)又は(1−11)で示される極性基のいずれかが結合している重合性化合物、が挙げられる。
式中、A環は上記環状有機基、Rは上記極性基、Xは上記連結基、Yは単結合又は二価の有機基、Uは重合性基、nは3以上の整数、をそれぞれ示す。なお、n個存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
式中、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。
環状有機基、R、X、Y、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102、R103及びR110としては、上記と同様のものが例示できる。
で表される重合性基としては、エポキシ基、エチレン性不飽和結合を有する炭化水素基等が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ブタジニル基、スチリル基、2−ビニルベンジル基、3−ビニルベンジル基、4−ビニルベンジル基、−COCHCH基、−COC(CH)CH基等が挙げられ、これらのうち、ビニル基、スチリル基、2−ビニルベンジル基、3−ビニルベンジル基、4−ビニルベンジル基、−COCHCH基、−COC(CH)CH基が好ましく、ビニル基、スチリル基がより好ましい。
重合性化合物は、A環上に複数の重合性基を有していてもよく、例えば、A環上に−X−Y−Uで表される基を複数有していてもよい。
重合性化合物としては、下記一般式(4)で表される重合性化合物が好ましい。
式中、Rは上記極性基、Xは上記連結基、Yは単結合又は上記二価の有機基、Uは重合性基、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、Zは上記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、をそれぞれ示す。なお、複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
、Yとしては、上記と同様のものが挙げられる。また、Z、Zで示される極性基及び置換基を有していてもよい炭化水素としては、上記と同様のものが挙げられる。Z及びZは、極性基であることが好ましく、上記式(1−1)で示される基であることがより好ましい。
上記重合性化合物としては、例えば、下記式(4−1)で表される繰返し単位が挙げられる。式(4−1)中、Xは上記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、をそれぞれ示し、X、Yとしては上記と同様のものが挙げられる。R200は、炭素数1〜10のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R201は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。
上記重合性化合物から、上記ポリマーを合成する方法は、重合性基に応じて適宜選択することができる。また、上記ポリマーは、上記重合性化合物の単独重合体であってもよく、適宜選択された共重合成分(コモノマー)との共重合体であってもよい。共重合体とすることで、コモノマー由来の特性をポリマーに付与することができる。
重合性基がエチレン性不飽和結合を有する炭化水素基である場合、熱、光、電解、放射線、酸化等の様々な手法により重合反応を行うことができ、ラジカル発生触媒、ラジカル重合開始剤等を用いてもよい。これらの中でも、ラジカル重合開始剤を用いた重合法が好ましい。ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系のラジカル重合開始剤等が挙げられる。また、後述するリビングラジカル重合法で使用されるラジカル重合開始剤を用いてもよい。
上記共重合成分としては、エチレン性不飽和結合を有するコモノマーが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニル安息香酸及びその塩、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン系モノマー;ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール、アクロレイン、メタクロレイン、ビニルホスホン酸及びその塩が挙げられる。これらのコモノマーは、単独で、または2種類以上を組み合わせて共重合反応に使用してもよい。なお、ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を意味する。
重合反応としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状・懸濁重合等を選択することができる。上記重合性化合物の重合反応では、溶媒として、反応を阻害しないものであれば何れでも使用することができ、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキシアニソール等のエーテル系溶媒;1−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルホルムアミド、酢酸、水を使用することができる。これらの溶媒は、単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
重合反応としては、リビングラジカル重合が好ましい。リビングラジカル重合によれば、上記重合性化合物を重合するにあたり、合成されるポリマーの分子量分布が小さく、分子量を容易に制御することができる。リビングラジカル重合法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(A)ニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤を用いるニトロキシド媒介重合(Nitroxide Mediated Polymerization:NMP)。
(B)有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)。
これらのうち、より簡便に重合反応を行うことができることから、(A)ニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤を用いるニトロキシド媒介重合が好適に使用できる。
((A)ニトロキシド媒介重合)
ニトロキシド媒介重合は、例えば、Chemical Reviews,2001,Vol.101,No.12,3661で開示されているようなニトロキシド化合物を重合開始剤として用いて行うことができる。ニトロキシド化合物とは、ニトロキシ基を有する化合物又は重合反応条件下でニトロキシ基を生成する化合物を示す。ニトロキシ基としては、N−t−ブチル−2−メチル−1−フェニルプロピルアミン−N−オキシ基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシ(TEMPO)基、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシ基、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ基、3−アミノ−2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ基、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ基、ジ−t−ブチルニトロキシ基等が挙げられる。
((B)原子移動ラジカル重合)
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物をラジカル重合開始剤とし、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒として、重合性化合物をラジカル重合する方法である。このような方法として、例えば、Chem.Rev.,101,2921(2001)、Chem.Rev.,101,3689(2001)に記載の方法が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、有機ハロゲン化物やハロゲン化スルホニル化合物が挙げられるが、これらのうち、炭素−炭素二重結合のα位にハロゲン基を有する化合物、炭素−酸素二重結合のα位にハロゲン基を有する化合物等が好適に使用できる。これらの化合物の炭素−ハロゲン結合は、ラジカル重合開始剤に含まれる構造として好適である。
原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては、周期律表第7族、8族、9族、10族又は11族元素を中心金属とする金属錯体が好ましく、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする金属錯体がより好ましく、1価の銅又は2価の鉄を中心金属とする金属錯体が特に好ましい。このような金属錯体としては、1価の銅を中心金属とし、2,2’−ビピリジル又はその誘導体、1,10−フェナントロリン又はその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等の窒素原子含有化合物を配位子としたクロロ銅錯体、ブロモ銅錯体、及びカチオン性銅錯体;2価の鉄を中心金属とし、トリフェニルホスフィン、トリブチルアミン等を配位子としたジクロロ鉄(II)錯体、及びジブロモ鉄(II)錯体が好ましい。
なお、リビングラジカル重合反応が進行しにくい場合は、酢酸、硫酸、蟻酸、パラトルエンスルホン酸等のブレンステッド酸、無水酢酸、塩化アルミニウム等のルイス酸;等を触媒として用いることがある。
(A)、(B)のいずれの重合反応においても、重合温度はラジカル重合反応が進行する温度であればよく、所望するポリマーの重合度、使用するラジカル重合開始剤の種類及び量、溶媒の種類及び量、等によって適宜選択することができるが、通常−100℃〜250℃であり、好ましくは−50℃〜180℃であり、より好ましくは0℃〜160℃である。重合反応は、減圧、常圧、加圧の何れでも実施できる。また、重合反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
上記の方法により生成したポリマーは、重合に用いた溶媒や未反応のモノマーの留去あるいは非溶媒による再沈殿等の公知の方法を用いることにより単離される。
上記重合性化合物のリビングラジカル重合により、マクロ開始剤を得ることもできる。ここで得られたマクロ開始剤は、重合性化合物由来の単位構造と、ラジカル重合開始剤由来の重合開始部位とを有し、例えば、下記一般式(5)で表される。
式中、A環、X、Y、W、R及びnは、上記と同様であり、R300及びR301は、ラジカル重合開始剤残基を示し、mは1〜1×10の整数を示す。R300及びR301のうち、少なくとも一方は重合性基であり、このような基としては、ニトロキシ基、ハロゲノ基等が挙げられる。なお、ラジカル重合開始剤残基とは、ラジカル重合開始剤由来の部分構造を示し、例えば、下記式(5−1)で表されるラジカル重合開始剤を用いたリビングラジカル重合によれば、下記式(5−2)で表されるマクロ開始剤が得られる。mは、好ましくは5〜1×10であり、より好ましくは2×10〜1×10であり、さらに好ましくは1×10〜5×10である。
上記マクロ開始剤と共重合成分との反応により、ブロック共重合体を得ることができる。このようなブロック共重合体は、高次構造を形成可能であり、当該高次構造に由来して、連続したイオン基部分による高イオン伝導特性等の特性を有する。そのため、上記イオン伝導体を構成するポリマーとして好適に使用することができる。
上記重合性化合物の合成方法としては、上述したように、下記(I)〜(IV)の方法等が挙げられる。これらの方法を適宜組み合わせることで、所望の環状有機基を有する重合性化合物を合成することができる。A環が芳香環である場合には、合成の簡便さの観点から、(IV)の方法が好適である。
(I)硫酸等を用いた芳香族基のスルホ化(参考文献1:Polymer,2004,45,3037等)
(II)ハロゲノ基をもつ芳香族基のハロゲノ基を置換するホスホニル化(参考文献2:Eur.J.Inorg.Chem.1998,1029等)
(III)アルキル基をもつ芳香族基を酸化することによるカルボニル化(参考文献3:Journal of Organic Chemistry,1958,23,1002等)
(IV)極性基で置換されたアセチレンを用いた芳香環形成反応(参考文献4:Tetrahedron Letter,1994,35,9323等)
以下に、上記重合性化合物の合成方法の例を示す。なお、上記重合性化合物の合成方法は、下記スキーム1、スキーム2、スキーム3及びスキーム4中で示される試薬、反応時間、反応温度等に限定されるものではない。
まず、下記一般式(6−4)で表される重合性化合物の合成方法の一例を示す。下記スキーム1に示すように、極性基で置換されたアセチレン(6−1)と、アセテート化合物(6−2)との反応により、重合性化合物前駆体(6−3)を合成する。スキーム1中、R401は、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、スキーム2中、R402は、上記R200と同様の基を示す。また、DMAPは4−(ジメチルアミノ)ピリジンを示し、DMEは1,2−ジメトキシエタンを示す。
ついで、スキーム2に示すように、重合性化合物前駆体(6−3)に重合性基を導入することにより、重合性化合物(6−4)が得られる。
次に、下記一般式(7−4)で表される重合性化合物の合成方法の一例を示す。下記スキーム3に示すように、化合物(7−1)を酸化し、極性基を導入した化合物(7−2)を得た後、重合性化合物前駆体(7−3)へ誘導し、重合性基を導入することにより重合性化合物(7−4)が得られる。
さらに、下記一般式(8−3)で表される重合性化合物及び下記一般式(8−4)で表される重合性化合物の合成方法の一例を示す。下記スキーム4に示すように、極性基をもつアセチレン化合物から化合物(8−1)を合成し、重合性化合物前駆体(8−2)へ誘導し、重合性基を導入することにより重合性化合物(8−3)、(8−4)がそれぞれ得られる。
本実施形態に係るイオン伝導体は、固体高分子形燃料電池、リチウムイオンポリマー2次電池、ナトリウムイオンポリマー2次電池等の電解質用途として、好適に使用できる。また、本実施形態に係る重合性化合物は、上記イオン伝導体を構成するポリマーを製造するのに好適である。また、上記ポリマーは、イオン伝導体を構成するポリマーとして有用である。
本実施形態に係るイオン伝導体は、イオン伝導膜として用いることができる。以下、本実施形態に係るイオン伝導体を含有するイオン伝導膜について説明する。
本実施形態に係るイオン伝導膜の製造方法は特に制限は無いが、イオン伝導体をキャスト溶媒に溶解させてポリマー溶液とした後、該ポリマー溶液を支持基材に塗布して乾燥させて製膜する方法が好ましい。このような製造方法によれば、容易にイオン伝導膜を製造することができる。なお、支持基材としては、ポリマー溶液に対する耐久性を有するものであれば特に限定はなく、例えば、シリコン基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ガラス板、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)板を用いることができる。
キャスト溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン、シクロヘキサン、それらの混合物が挙げられる。
ポリマー溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート、キャスティング、ディップコート、グラビアコート、バーコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷及びオフセット印刷が挙げられ、これらのうちスピンコート、キャスティング、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷及びオフセット印刷が好ましく、ロールコート、スプレーコート及びフレキソ印刷がより好ましい。
支持基材に塗布されたポリマー溶液を乾燥する方法としては、例えば、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥及び窒素ガスを吹き付けて行う乾燥が挙げられ、これらのうち風乾及び加熱乾燥が好ましく、加熱乾燥がより好ましい。
イオン伝導膜の膜厚は、特に制限はないが、3nm〜300μmが好ましく、5nm〜100μmがより好ましく、10nm〜50μmがさらに好ましい。膜厚が10nm以上では実用的な強度がより優れるため好ましく、50μm以下では膜抵抗が小さくなり、電気化学デバイスの特性がより向上する傾向にあるので好ましい。なお、イオン伝導膜の膜厚は、ポリマー溶液の固形分濃度及び支持基材上への塗布厚により制御できる。
本実施形態に係るイオン伝導膜としては、上記環状有機基で置換された炭化水素基を有する繰返し単位からなる第一のブロックと、上記共重合成分由来の繰返し単位からなる第二のブロックとを有するブロック共重合体からなるイオン伝導体を含有するイオン伝導膜が好ましい。
このようなイオン伝導体は、ミクロ相分離構造を形成可能であり、当該ミクロ相分離構造に起因して高いイオン伝導特性を発現することができる。
上記共重合成分としては、エチレン性不飽和結合を有するコモノマーが好ましい。エチレン性不飽和結合を有するコモノマーを繰返し単位とする第二のブロックは、第一のブロックとの相分離性に優れる。そのため、エチレン性不飽和結合を有するコモノマーを繰返し単位とする第二のブロックを有するブロック共重合体によれば、より確実にミクロ相分離構造が形成される。
ミクロ相分離構造としては、海島構造、シリンダ構造、共連続構造、ラメラ構造等が挙げられる。例えば、海島構造では、島領域が主に第一のブロックにより構成され、海領域が主に第二のブロックにより構成されたものとすることができる。
本実施形態に係るイオン伝導膜においては、第二のブロックを構成する共重合成分、イオン伝導体を形成するポリマーが有する官能基、キャスト溶媒、等を適宜変更することで、イオン伝導膜の利用目的に応じて適切なミクロ相分離構造を形成することができる。
例えば、ブロック共重合体における共重合組成(第一のブロックと第二のブロックとの含有比)を変更することによって、海領域及び島領域を構成するブロックを逆転させたり、他のミクロ相分離構造に変化させたりすることができる。
また、キャスト溶媒を変更して、第一のブロックと第二のブロックとの溶解性の差を利用することで、他のミクロ相分離構造に変化させることができる。
具体例としては、上記式(2−1)で表される繰返し単位からなる第一のブロックと、上述のエチレン性不飽和結合を有するコモノマー由来の繰返し単位からなる第二のブロックと、を有するブロック共重合体であって、上記式(2−1)で表される繰返し単位の含有量Cと上述のエチレン性不飽和結合を有するコモノマー由来の繰返し単位の含有量Cとの比(モル比、C:C)が、100:1〜1:100(好ましくは50:1〜1:50、より好ましくは20:1〜1:20)であるブロック共重合体からなるイオン伝導体を用いて、該イオン伝導体の2質量%トルエン溶液をシリコン基板上でスピンコートした場合は、イオン伝導膜の表面に30〜50nm幅の周期的な海島状のミクロ相分離構造が形成される。このとき、海領域は主として第二のブロックからなり、島領域は主として第一の領域からなるものであった。このような海島構造を有するイオン伝導膜は、固体高分子形燃料電池、アルカリイオンポリマー2次電池(特に、リチウムイオンポリマー2次電池、ナトリウムイオンポリマー2次電池)等の電解質用途に、より好適である。
本実施形態に係るイオン伝導膜は、有機溶媒蒸気で満たされた密閉容器に入れて溶媒蒸気にさらす「溶媒アニーリング法」により、膜の表面状態を変化せしめることができる。このように膜の表面状態を変化せしめることで、例えば二次電池、燃料電池用途においては、膜と電極触媒との接触性を高めることができる。また、膜と電極触媒との界面抵抗が下がることにより、電池の性能が向上する。
例えば、上述の具体例として挙げたイオン伝導膜(式(2−1)で表される繰返し単位からなる第一のブロックと上述のエチレン性不飽和結合を有するコモノマー由来の繰返し単位からなる第二のブロックとを有するブロック共重合体からなるイオン伝導体を成膜してなるもの)では、トルエンでアニーリングした場合は、膜表面のミクロ相分離構造に起因するドット状の凹凸構造を強めることができる。また、クロロホルム又はアセトンでアニーリングした場合は、膜表面のミクロ相分離構造に起因するドット状の凹凸構造を弱めることができる。ここでドット状の凹凸構造の変化は、イオン伝導膜内の相分離の変化を反映しているものと考えられる。このように、溶媒アニーリング法によれば、利用目的に応じてイオン伝導膜の膜表面及び膜内部のミクロ相分離構造を適宜変化させることができる。
溶媒アニーリング法における、アニーリング時間(溶媒蒸気にさらす時間)、溶媒の種類、アニーリング時の温度等は特に制限は無く、利用目的に応じて好ましいミクロ相分離構造、表面構造を形成する目的において最適な条件を選ぶことができる。
本実施形態に係るイオン伝導膜は、イオン伝導体以外に、イオン伝導膜の各種物性改良を目的として、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等を含有していてもよい。また、同一溶媒に混合共キャストする、等の方法により、イオン伝導体と他のポリマーとを複合アロイ化してもよい。また、イオン伝導膜の機械的強度の向上等を目的として、電子線・放射線等を照射して架橋することもできる。これら以外にも、公知の方法を本発明の目的に反しない限り使用できる。
本実施形態に係るイオン伝導膜は、高強度化、柔軟化等の機械特性の改良のために、イオン伝導体を多孔質基材に含浸させ複合化して、複合膜とすることもできる。複合化は、公知の方法により行うことができる。
多孔質基材としては、上述の使用目的を満たすものであれば特に制限は無く、例えば多孔質膜、織布、不織布、フィブリル等が挙げられる。多孔質基材は、その形状や材質によらず用いることができる。多孔質基材の材質としては、耐熱性及び物理的強度の補強効果に優れるという観点からは、脂肪族系高分子、芳香族系高分子又は含フッ素高分子が好ましい。
本実施形態に係るイオン伝導膜は、例えば、アルカリイオンポリマー2次電池(特に、リチウムイオンポリマー2次電池又はナトリウムイオンポリマー2次電池)において、正極と負極との間に備えられるセパレータとして用いることができる。
リチウムイオンポリマー2次電池における正極及び負極は、それぞれ公知のものを使用することができる。例えば、負極としては、リチウム金属からなる電極、リチウムとアルミニウム等との合金からなる電極、リチウムイオンを吸収・放出し得る炭素電極等が挙げられる。また、正極としては、二酸化マンガンからなる電極等が挙げられる。
ナトリウムイオンポリマー2次電池における正極及び負極は、それぞれ公知のものを使用することができる。例えば、負極としては、金属ナトリウムが挙げられる。また、正極としては、マリサイト型NaMnO等が挙げられる。
また、本実施形態に係るイオン伝導膜は、燃料電池にも用いることができる。燃料電池としては、高分子伝導膜と触媒層とを備えるものが知られているが、該高分子伝導膜として本実施形態に係るイオン伝導膜を用いることができる。
燃料電池における触媒層には、水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できる触媒物質が含有されている。かかる触媒物質としては、白金又は白金系合金の微粒子を用いることが好ましい。白金又は白金系合金の微粒子は、活性炭や黒鉛などの粒子状又は繊維状のカーボンに担持されていてもよい。
触媒層は、例えば、カーボンに担持された白金と、高分子電解質としてのパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂のアルコール溶液とを、共に混合してペースト化したものを触媒インクとして使用して、この触媒インクにより製造される。具体的な方法としては、J.Electrochem.Soc.:Electrochemical Science and Technology,1988,135(9),2209に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
次に、本実施形態に係る触媒インクについて説明する。
本実施形態に係る触媒インクは、上記の本実施形態に係るイオン伝導体を含有する。このような触媒インクによれば、本実施形態に係るイオン伝導体を含有する触媒層が形成される。そして当該触媒層は、本実施形態に係るイオン伝導体を含有するため、優れたプロトン伝導性を有するものとなる。
本実施形態に係る触媒インクは、公知の触媒インクが含有する成分を、適宜含有することができる。また、本実施形態に係る触媒インクは、公知の触媒インクにおける高分子電解質の一部又は全部を、本実施形態に係るイオン伝導体に置き換えて製造することができる。
本実施形態に係る触媒インクによれば、上述のとおり、触媒層とイオン伝導膜とを備える燃料電池であって、前記触媒層が上記イオン伝導体を含有する、燃料電池を得ることができる。
このような燃料電池においては、集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができる。集電体としては、原料ガスを触媒へ効率的に輸送することができる点で、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布又はカーボンペーパーが好ましい。また、このようにして製造された燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造例1)[重合性化合物前駆体(a−1)の合成]
アルゴン気流下、500mL三口フラスコにエチル(4−ブロモベンゾイル)アセテート(3.93g,14.5mmol)、1,2−ジメトキシエタン(340mL)、ジエチルアセチレンジカルボキシレート(6.14g,36.1mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.45g,3.7mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応溶媒を減圧下で除去した後に、酢酸エチル/ヘキサン(3:7,v/v)を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーを行った。得られた固体をメタノールで再結晶することにより無色の重合性化合物前駆体(a−1)の結晶を得た(収量7.11g、収率83%)。
HNMR(300MHz,CDCl)δ7.52(d,J=8.4Hz,2H),7.11(d,J=8.4Hz,2H),4.39−4.29(m,6H),4.00(q,J=7.2Hz,4H),1.38−1.31(m,9H),0.95(t,J=7.2Hz,6H).
13CNMR(75MHz,CDCl)δ165.8,165.4,165.0,138.9,136.2,134.9,132.6,131.6,131.2,130.1,122.9,62.5,62.4,61.9,13.8,13.7,13.4.
IR(KBr,cm−1)2984(w),2936(w),1743(vs),1490(w),1470(w),1427(m),1391(w),1374(w),1341(m),1326(w),1298(w),1224(s),1206(s),1175(w),1165(w),1139(w),1100(w),1072(w),1018(m),885(w),856(w),827(w),695(w).
(実施例1)[重合性化合物(b−1)の合成]
窒素気流下の300mL三口フラスコに重合性化合物前駆体(a−1)(7.01g,11.8mmol)、乾燥トルエン(100mL)、トリブチルビニルスズ(4.85g,15.3mmol)、パラジウムテトラ(トリフェニルホスフィン)(0.20g,0.17mmol)、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール(42mg,0.19mmol)を加え、48時間加熱還流を行った。原料の消失をHNMRスペクトルにより確認した後に、反応溶液を室温まで冷却し、5NKF水溶液を150mL加えて12時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチルで抽出した後に塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。溶液をMgSOで乾燥し溶媒を除去した後に、酢酸エチル/ヘキサン(3:7v/v)を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーによる精製操作を二回行った。得られた固体をヘキサンで洗浄することにより無色の重合性化合物(b−1)の結晶を得た(収量2.50g,収率40%)。
HNMR(300MHz,CDCl)δ7.42(d,J=8.3Hz,2H),7.18(d,J=8.3Hz,2H),6.72(dd,J=17.6Hz,J’=10.9Hz,1H),5.80(d,J=17.6Hz,1H),5.23(d,J=10.9Hz,1H),4.39−4.30(m,6H),3.98(q,J=7.1Hz,4H),1.38−1.31(m,9H),0.91(t,J=7.1Hz,6H).
13CNMR(75MHz,CDCl)δ167.0,165.5,165.1,139.9,137.7,136.3,135.9,135.6,132.1,131.5,128.6,125.7,114.7,62.4,62.2,61.7,13.7,13.6,13.3.
IR(KBr,cm−1)2984(w),2934(w),2908(w),1738(vs),1720(vs),1569(w),1512(w),1468(w),1443(w),1420(m),1402(w),1367(w),1325(w),1299(w),1252(vs),1218(vs),1170(w),1116(w),1096(w),1022(s),920(w),884(w),859(w),840(w),769(w),593(w).
(実施例2)[マクロ開始剤(c−1)の合成]
重合開始剤として下記(7−1)で表される化合物(2,2,5−トリメチル−3−(1−フェニルエトキシ)−4−フェニル−3−アザヘキサン)を用いて、下記スキームAに従ってマクロ開始剤(c−1)を得た。
ストップコック付きの2口フラスコに重合性化合物(b−1)(0.541g,1mmol)、下記式(7−1)で表される化合物(5.4mg,0.017mmol)、及び無水酢酸(3.5mg,0.033mmol)、o−ジクロロベンゼン(2.16g)を加え、凍結脱気を3回繰り返した後に、フラスコ内部を減圧にし、密封した。その後、予め100℃に加熱しておいたオイルバス内で24時間加熱しながら撹拌を行った。反応終了後、フラスコをそのまま氷浴につけ、撹拌することにより重合を停止させた。得られた反応溶液をメタノール50mLに入れることにより、マクロ開始剤(c−1)を白色粉末として得た(収量0.341g,収率63%)。
マクロ開始剤(c−1)のポリスチレン換算の数平均分子量及び分子量分散度(以下、PDIと言う。)をGPCにより以下の条件で測定したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は12300であり、PDIは1.26であった。
GPC装置はRI検出器を備えたJASCO社製のHBPX 880Pu(商品名)を用いて、送液速度を1.0mL/分、カラムオーブンを40℃に設定して測定を行った。溶媒はTHFを用い、分析カラムはShodex社製のKF−803L及びKF−804L(商品名)を用いた。標準サンプルとしては、ポリスチレン(1300,3000,5000,11000,50000,90000,200000,490000,900000)を用いた。
また、図1は、マクロ開始剤(c−1)のHNMRチャートである。図1によれば、重合性化合物(b−1)のビニル基に由来するピークが消失しており、重合が進行したことが分かった。
(実施例3)[ジブロックポリマー(d−1)の合成]
ストップコック付きの2口フラスコにマクロ開始剤(c−1)(0.2g)、無水酢酸(1.3mg,0.033mmol)、及びスチレン(1.0g)を加え、凍結脱気を3回繰り返した後に、フラスコ内部を減圧にし、密封した。その後、予め100℃に加熱しておいたオイルバス内で24時間加熱しながら撹拌を行った。反応終了後、フラスコをそのまま氷浴につけ、撹拌することにより重合を停止させた。得られた反応溶液を3mLのジクロロメタンで希釈し、メタノール50mLに入れることにより、ジブロックポリマー(d−1)を白色粉末として得た(収量0.4890g,収率41%)。
得られたジブロックポリマー(d−1)のポリスチレン換算の数平均分子量及びPDIを実施例2と同様にしてGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は74600であり、PDIは1.16であった。これらの測定結果によれば、マクロ開始剤(c−1)よりも数平均分子量が増大しており、かつ、PDIの値も比較的小さいことから、下記スキームBに示されるようにジブロックポリマー(d−1)が得られたことが分かった。また、上記数平均分子量より換算すると、ジブロックポリマー(d−1)におけるmとnとの比は、m:n=1:5程度であった。
マクロ開始剤(c−1)又はジブロックポリマー(d−1)のエステル部分を加水分解することで、フェニル基上に複数のカルボキシル基を隣接基として有する構造を持つ繰返し単位からなるポリマーが得られる。このポリマーは良好なプロトン伝導性を示し、プロトンを伝導するイオン伝導体として有用である。
(実施例4)[イオン伝導膜の製造]
実施例3で得られたジブロックポリマー(d−1)をトルエンに溶解し、2質量%の溶液とした。当該溶液を用いてシリコン基板上でスピンキャスト(回転数4000rpm、30秒)を行い成膜して、イオン伝導膜を得た。AFM(原子力間顕微鏡)による表面観察を行ったところ、周期的な海島状のミクロ相分離構造が観測された。また、海領域は主としてポリスチレンブロックで構成されており、島領域は主として重合性化合物(b−1)由来の繰返し単位からなるブロックで構成されていることが確認された。なお膜表面には一部ドット状の凹凸構造が見られた。得られた膜のミクロ相分離構造の恒等周期は35−46nm、平均して約41nmであった。イオン伝導膜のAFM写真を、図2(a)に示す。
(実施例5)[イオン伝導膜のアニーリング処理1]
実施例4で得られたイオン伝導膜を、トルエン蒸気充満条件下、室温で30分間放置した。得られた膜についてAFMによる表面観察を行ったところ、膜表面のドット状の凹凸構造がさらに強められた。得られた膜の表面のドットの高さは1.3nmであった。また得られた膜のミクロ相分離構造の恒等周期は約45nmであった。また、放置時間を30分間から10分間に変更して、同様の操作を行い、AFMによる表面観察を行った。10分間放置時のAFM写真と、30分間放置時のAFM写真とを、それぞれ図2(b)及び図2(c)に示す。
(実施例6)[イオン伝導膜のアニーリング処理2]
実施例4で得られたイオン伝導膜を、アセトン蒸気充満条件下、室温で30分間放置した。得られた膜についてAFMによる表面観察を行ったところ、膜表面のミクロ相分離構造のコントラストが弱まったことが観察された。また、放置時間を30分間から10分間に変更して、同様の操作を行い、AFMによる表面観察を行った。10分間放置時のAFM写真と、30分間放置時のAFM写真とを、それぞれ図2(d)及び図2(e)に示す。
(実施例7)[イオン伝導膜のアニーリング処理3]
実施例4で得られたイオン伝導膜を、クロロホルム蒸気充満条件下、室温で30分間放置した。得られた膜についてAFMによる表面観察を行ったところ、膜表面のミクロ相分離構造のコントラストが弱まったことが目視で観察された。また、放置時間を30分間から10分間に変更して、同様の操作を行い、AFMによる表面観察を行った。10分間放置時のAFM写真と、30分間放置時のAFM写真とを、それぞれ図2(f)及び図2(g)に示す。
本発明のイオン伝導膜について溶媒アニーリング法で膜の表面状態を変化させることにより、イオン伝導膜と電極触媒との接触性が向上して界面抵抗が低下する。これにより、本発明のイオン伝導膜を備えるアルカリイオンポリマー二次電池や固体高分子形燃料電池の発電特性を向上させることができる。

Claims (25)

  1. 環状有機基で置換された炭化水素基を有する繰返し単位を含むポリマーからなるイオン伝導体であって、
    前記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)又は(1−11)で示される極性基のいずれかが結合している、イオン伝導体。

    [式中、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。]
  2. 前記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する4又はそれ以上の原子に、前記極性基が結合している請求項1記載のイオン伝導体。
  3. 前記極性基が、前記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で示される請求項1又は2記載のイオン伝導体。
  4. 前記炭化水素基が、フェニレン基である請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン伝導体。
  5. 前記繰返し単位が、下記一般式(1)で表される請求項1記載のイオン伝導体。

    [式中、A環は前記環状有機基、Rは前記極性基、Xは前記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Wは三価の有機基、nは3以上の整数、をそれぞれ示す。なお、n個存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  6. 前記繰返し単位が、下記一般式(2)で表される請求項5記載のイオン伝導体。

    [式中、Rは前記極性基、Xは前記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Wは三価の有機基、Zは前記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、Zは前記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、をそれぞれ示す。なお、複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  7. 前記R及びZが、前記式(1−1)で示される極性基である請求項6に記載のイオン伝導体。
  8. 前記Zが、前記式(1−1)で示される極性基である請求項6又は7に記載のイオン伝導体。
  9. 前記Xが、フェニレン基である請求項6〜8のいずれか一項に記載のイオン伝導体。
  10. 前記Yが、単結合又はアルキレン基である請求項6〜9のいずれか一項に記載のイオン伝導体。
  11. 前記Wが、アルカントリイル基である請求項6〜10のいずれか一項に記載のイオン伝導体。
  12. 前記ポリマーが、ブロック共重合体である請求項1〜11のいずれか一項に記載のイオン伝導体。
  13. 下記一般式(3)で表される重合性化合物であって、
    環状有機基で置換された炭化水素基を有し、
    前記環状有機基の環を構成する原子のうち連続する3又はそれ以上の原子に、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)又は(1−11)で示される極性基のいずれかが結合している、重合性化合物。

    [式中、A環は前記環状有機基、Rは前記極性基、Xは前記炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Uは重合性基、nは3以上の整数、をそれぞれ示す。なお、n個存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]

    [式中、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。]
  14. 下記一般式(4)で表される請求項13記載の重合性化合物。

    [式中、Rは前記極性基、Xは前記炭化水素基、Yは単結合又は前記二価の有機基、Uは前記重合性基、Zは前記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、Zは前記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、をそれぞれ示す。なお、複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  15. 前記R及びZは、前記式(1−1)で示される極性基である請求項14記載の重合性化合物。
  16. 前記Zは、前記式(1−1)で示される極性基である請求項14又は15記載の重合性化合物。
  17. 前記Xは、フェニレン基である請求項14〜16のいずれか一項に記載の重合性化合物。
  18. 前記Yは、単結合又はアルキレン基である請求項14〜17のいずれか一項に記載の重合性化合物。
  19. 前記Uは、エチレン性不飽和結合を有する炭化水素基である請求項14〜18のいずれか一項に記載の重合性化合物。
  20. 下記一般式(2)で表される構造を有するマクロ開始剤。

    [式中、Rは下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)又は(1−11)で示される極性基、Xは炭化水素基、Yは単結合又は二価の有機基、Wは三価の有機基、Zは前記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、Zは前記極性基、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水素原子、をそれぞれ示す。なお、複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。]

    [式中、R10、R20、R21、R30、R40、R41、R50、R51、R52、R53、R60、R70、R71、R80、R90、R91、R100、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示し、R110は置換基を有していてもよい炭化水素基又は金属原子を示す。]
  21. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のイオン伝導体を含有する、イオン伝導膜。
  22. 請求項21に記載のイオン伝導膜を備えるアルカリイオンポリマー2次電池。
  23. 請求項21に記載のイオン伝導膜を備える燃料電池。
  24. 燃料電池の触媒層を形成するための触媒インクであって、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載のイオン伝導体を含有する、触媒インク。
  25. 触媒層とイオン伝導膜とを備える燃料電池であって、
    前記触媒層が、請求項1〜12のいずれか一項に記載のイオン伝導体を含有する、燃料電池。
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