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JP2010225469A - 有機el用透明陽極基板およびその製造方法 - Google Patents

有機el用透明陽極基板およびその製造方法 Download PDF

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JP2010225469A JP2009072784A JP2009072784A JP2010225469A JP 2010225469 A JP2010225469 A JP 2010225469A JP 2009072784 A JP2009072784 A JP 2009072784A JP 2009072784 A JP2009072784 A JP 2009072784A JP 2010225469 A JP2010225469 A JP 2010225469A
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Kunihiko Nakada
邦彦 中田
Kenichiro Sugawara
健一朗 菅原
Koji Nishioka
宏司 西岡
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】低抵抗で高い仕事関数を有し、透明陽極から発光層への正孔注入効率を高くすることが可能な有機EL用透明陽極基板、ならびに該透明陽極基板を簡便な塗布法にて製造することができる、有機EL用透明陽極基板の製造方法を提供する。
【解決手段】ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなり、比抵抗が9×10-3Ω・cm以下である透明導電性膜からなる有機EL用透明陽極基板であって、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を透明基材上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にて加熱するアニール処理を施して、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜を透明基材上に形成するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、光透過性が優れ、低抵抗で高仕事関数を有する有機EL用透明陽極基板および該透明陽極基板を簡便な塗布法にて製造する方法に関する。
従来から、有機EL等に用いられる透明陽極基板としては、例えば酸化インジウム錫(ITO)膜やAlをドープした酸化亜鉛(ZnO)膜などの導電性膜を設けたものが汎用されている(特許文献1、2参照)。しかし、ITO膜は希少金属であるIn(インジウム)を必須とするので、他の金属への代替が要望されているという実情がある。また、AlをドープしたZnO膜は両性元素を含むので吸湿しやすく用途が制限されることがあるという欠点があった。そこで、近年、酸化チタンを用いた透明導電性基板の開発が進められている(特許文献3、4参照)。
また、有機薄膜EL素子は、一般にITO膜や半透明金属蒸着膜からなる透明陽極上に正孔輸送層、発光層、電子注入層、金属陰極の順に形成されている。SiC等の無機半導体からなる面発光薄膜LEDは、一般に透明陽極上にp型半導体、i型発光層、n型半導体、金属陰極の順に構成されている。従来のITO膜や、基板加熱し100〜150nm程度の厚さで30Ω/□以下の低抵抗に成膜したITO膜の仕事関数は4.6〜4.8eV(理研計器(株)製:「表面分析装置AC−1」で光量約800nWで測定)であり、金属材料で最も仕事関数が大きい白金蒸着膜においても仕事関数4.9eV(理研計器(株)製:「表面分析装置AC−1」にて光量15nWで測定)である。透明陽極から発光層への正孔注入効率をより上げるためには、発光層材料の値(よく用いられるAlオキシン錯体では5.8eV程度)に近い5eV以上の仕事関数を持つ材料が望まれている。
ところで、一般に、金属酸化物の薄膜を形成する方法には、大別して、スパッタ法やPLD(パルスレーザーデポジション)法のように真空系で成膜する方法と、金属酸化物粒子を含むスラリーあるいは溶液を基材に塗布した後に加熱する方法とがある。前者は、大掛かりな装置が必要で設備的なコストが嵩み、ひいては製品コストが高騰するという問題があるのに対し、後者の塗布法は、既存の設備を用いて簡便な操作で安価に実施することができる方法であり、工業的な大量生産に適している。
しかしながら、これまで、透明導電性膜などの用途においては、通常、前者の真空系を利用した成膜方法が採用されていた。これは、前者の真空系での成膜方法であれば、後者の塗布法よりも高い導電性を有する膜を形成することができるからである。つまり、塗布法により形成された膜は、クラックが発生しやすく均一な膜を作製するのが困難であり、真空で形成された膜に比べて、膜の緻密性に劣る傾向があり、結晶粒同士のネッキングが弱くなるため、導電性が低下しやすかったのである。また、塗布法は、真空系にて成膜する方法に比べて、系外から不純物が混入する可能性が高く、形成された膜に不純物が混入すると、膜の緻密性を損なう原因となり、導電性の低下につながる。
特許第3849698号公報 特開2004−342618号公報 特開平10−226598号公報 特開2005−11737号公報
そこで、本発明の課題は、低抵抗で高い仕事関数を有し、透明陽極から発光層への正孔注入効率を高くすることが可能な有機EL用透明陽極基板、ならびに該透明陽極基板を簡便な塗布法にて製造することができる、有機EL用透明陽極基板の製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させてペルオキシ化した反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させてペルオキシ化した反応生成物とを含む混合物(前駆体液)を得、金属酸化物の前駆体である当該前駆体液を透明基材上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にてアニール処理を施すことにより、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなり、低抵抗で導電性に優れた透明導電性膜が高い仕事関数を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機EL用透明陽極基板は、以下の通りである。
(1)ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなり、比抵抗が9×10-3Ω・cm以下である透明導電性膜からなることを特徴とする有機EL用透明陽極基板。
(2)仕事関数が5eV以上である(1)記載の有機EL用透明陽極基板。
本発明の有機EL用透明陽極基板の製造方法は、以下の通りである。
(3)(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を、透明基材上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にて加熱するアニール処理を施して、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜を透明基材上に形成する、ことを特徴とする有機EL用透明陽極基板の製造方法。
(4)前記酸化チタン系透明導電性膜にUVオゾン処理または酸素プラズマ処理を施す(3)記載の有機EL用透明陽極基板の製造方法。
(5)前記(A)チタン化合物および前記(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物として水酸化物を用いる、前記(3)または(4)記載の透明陽極基板の製造方法。
本発明によれば、良好な導電性を発現し、高仕事関数を有する有機EL用透明導電性基板を簡便な塗布法にて製造することができる、という効果がある。つまり、本発明によれば、真空設備を要することなく簡便な操作で安価に有機EL用透明陽極基板を提供することが可能になる。さらに、本発明によれば、加熱処理時の温度を比較的低温に設定できるので、透明基材の選択における制約が低減され、例えば可撓性を有する耐熱温度が低い樹脂フィルムを透明基材として用いることで、いわゆるロールtoロール法での透明陽極基板の製造も可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の透明陽極基板の製造方法においては、まず、膜形成材料として、(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物(以下、「ニオブ化合物またはタンタル化合物」を纏めて「ドーパント化合物」と称し、「ニオブまたはタンタル」を纏めて「ドーパント」と称することもある)に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を得る。この前駆体液は、(A)チタン化合物および(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物がペルオキシ化されてなる錯体(ペルオキシ錯体)であり、加熱によりニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンとなる金属酸化物前駆体である。
本発明においては、膜形成を、周期律表のVA族に属する5価のニオブまたはタンタルが酸化チタンにドープされた金属酸化物で行うことによって、高仕事関数を有しかつ良好な導電性を発現させる。得られる有機EL用透明陽極基板である透明導電性膜の仕事関数は、5.0eV以上であり、さらに当該透明導電性膜にUVオゾン照射または酸素プラズマ照射することにより仕事関数を5.4eV以上にまで高めることができる。
前記前駆体液は、i)(A)チタン化合物に過酸化水素を反応させることにより得られた反応生成物であるチタンのペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物に過酸化水素を反応させることにより得られた反応生成物であるドーパントのペルオキシ錯体とを所望の割合で混合して得られたものであってもよいし、ii)(A)チタン化合物と(B)ドーパント化合物とを予め所望の割合で混合した混合物に対して過酸化水素を反応させることにより得られたものであってもよい。
前記前駆体液を得るに際し、(A)チタン化合物もしくは該チタン化合物由来のペルオキシ錯体と、(B)ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体との混合割合は、特に制限されないが、最終的に形成された酸化チタン膜におけるドーパント(ニオブまたはタンタル)の含有比率が0.1〜40モル%、好ましくは5〜30モル%となるようにすればよい。前記(B)(ドーパント化合物もしくは該ドーパント化合物由来のペルオキシ錯体)が前記範囲よりも少ないと、ドープ効果が不充分となり、導電性が低下するおそれがあり、一方、前記(B)が前記範囲よりも多いと、導電性が低下したり、膜の透明性が低下するおそれがある。
前記前駆体液を得るに際し、過酸化水素による反応(すなわち、ペルオキシ化反応)は、例えば、チタン化合物、ドーパント化合物またはこれらの混合物を適当な溶媒により溶解させ、必要に応じて攪拌しつつ、濃度1〜60重量%程度の過酸化水素水を添加することにより行うことができる。ペルオキシ化反応の反応時間は、通常1秒〜60分、好ましくは5分〜20分程度である。なお、過酸化水素によるペルオキシ化反応は、通常、激しい発熱を伴うので、反応は冷却しながら(具体的には、内温を−10℃以下に保つようにして)行うことが望ましい。反応後、さらに、−10℃以下に冷却しつつ熟成保持してもよい。
前記過酸化水素によるペルオキシ化反応に用いることのできる溶媒としては、特に制限はないが、水系やアルコール系等の水溶性溶剤が好ましく用いられる。具体的には、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。
前記(A)チタン化合物は、チタン源としてTi原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化チタン(二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン等)、チタンアルコキシド(メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド等)、硫酸チタニル、金属チタン、水酸化チタン(オルトチタン酸)、オキシ硫酸チタン等を用いることができる。
前記(B)ドーパント化合物のうちニオブ化合物は、ニオブ源としてNb原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化ニオブ、ニオブアルコキシド(メトキシド、エトキシド等)、金属ニオブ、水酸化ニオブ等を用いることができる。他方、前記(B)ドーパント化合物のうちタンタル化合物は、タンタル源としてTa原子を含むものであれば特に制限はなく、例えば、塩化タンタル、タンタルアルコキシド(メトキシド、エトキシド等)、金属タンタル、水酸化タンタル等を用いることができる。
なお、上記のうち、チタンアルコキシド、ニオブアルコキシド、タンタルアルコキシドは、水分と接触すると直ちに反応する不安定な物質なので、乾燥(低湿度)雰囲気で扱うことが好ましい。
本発明においては、前記(A)チタン化合物および前記(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物として水酸化物を用いることが好ましい。すなわち、前記(A)として水酸化チタンを用い、前記(B)として水酸化ニオブまたは水酸化タンタルを用いるか、もしくは、これら水酸化物以外のチタン化合物およびドーパント化合物を用い、過酸化水素と反応させる前に予めアルカリあるいは水を加えるなどして水酸化し、生じた水酸化物の沈殿を分取、洗浄すればよい。このように、水酸化物を過酸化水素と反応させて得られたペルオキシ錯体であれば、炭素原子を含む有機部位が全く存在しないことになり、高温に加熱して有機部位を分解・揮散させる必要がないため、酸化物に変換する際の加熱温度を比較的低温に設定することができるので好ましい。
なお、水酸化物以外のチタン化合物およびドーパント化合物をそのまま用いて過酸化水素と反応させてもよい。この場合には、得られたペルオキシ錯体の一部に有機部位が存在することになり、この有機部位を分解・揮散させるためには、少なくとも400℃以上、好ましくは500〜600℃程度の温度に加熱することが必要になる。
前記前駆体液の固形分濃度は、通常、10重量%以下とするのが好ましく、特に、前駆体液の保存安定性(ポットライフ)の観点からは、2重量%以下であるのがより好ましい。固形分濃度が10重量%を超えると、前駆体液の保存安定性が大幅に低下し、塗布時に粘度が上昇するので、透明基材上に均一に塗布することが困難になるおそれがある。
なお、ここでいう固形分濃度は、前駆体液を得る際に用いたチタン化合物およびドーパント化合物の合計重量が、前駆体液の全重量中に占める割合(重量%)を意味するものである。
本発明の透明陽極基板の製造方法においては、次に、前記前駆体液を透明基材上に塗布し、焼成した後、特定条件下でアニール処理を施す。
透明基材としては、後述する焼成およびアニール処理における加熱温度において形状を維持しうるものであり、かつ透明性を有するものであれば、特に制限はない。例えば、各種ガラス等の無機材料、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリイミドなどのプラスチック類)等の高分子材料などで形成された板状物、シート状物、フィルム状物等を用いることができる。透明基材の可視光透過率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上であるのがよい。
前記前駆体液を透明基材上に塗布する際の塗布方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法等を採用することができる。
前記前駆体液を塗布するに際し、塗布量は特に制限されるものではなく、例えば、最終的に形成される膜の厚み(ドライ膜厚)が10nm〜300nmとなるようにすればよい。最終的に形成されたドライ膜厚が前記範囲よりも小さいと、基材に凹凸が存在する場合などに部分的に塗布されにくい箇所や実際に塗布されていない箇所が生じるおそれがあり、一方、前記範囲よりも大きいと、透明性が低下するおそれがある。なお、このような厚みに前駆体液を塗布する際には、1回の塗布作業で行ってもよいし、複数回の塗布作業を重ねて行うようにしてもよい。
前駆体液を塗布した後の基板は、続いて焼成に付する。この焼成により、基材上のペルオキシ錯体(前駆体液)はNbまたはTaドープ酸化チタンに変化する。このときの結晶状態は、通常、アモルファス相からアナターゼ結晶相となる。
焼成の際の加熱温度は、例えば、500℃以下、好ましくは50〜400℃とするのがよい。焼成時の加熱温度が高すぎると、安定した結晶相が析出し、アニール処理効果の発現が見られなくなるおそれがある。また、焼成時間は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常、1分〜1時間程度である。なお、焼成は、どのような雰囲気下で行ってもよく、特に制限はされない。例えば、塗布した前駆体液の固形分濃度が低い場合には、焼成に際し、真空乾燥や減圧乾燥等の手段によって溶媒を均一に揮散させてもよい。
本発明においては、焼成した後の基板に対し、還元雰囲気下にてアニール処理を施す。これにより、膜を形成するNbまたはTaドープ酸化チタンに酸素欠損を生じさせて導電性を向上させることができる。アニール処理における加熱温度は、基板上に塗布し焼成されたニオブまたはタンタルをドープした酸化チタンの結晶相が高い導電性を発現するアナターゼ型に変化しうる温度であればよく、ドーパントの含有比率などに応じて適宜設定すればよい。アナターゼ結晶相に変化させるために必要な温度は、酸化チタンへのニオブまたはタンタルのドープ量が多いほど高くなるのであり、アニール処理の加熱温度の下限は、通常450℃以上、好ましくは500℃以上である。他方、加熱温度があまりに高いと、アナターゼ結晶相が抵抗の高いルチル結晶相に変化し始めて導電性が低下するとともに、膜の透明性も低下する傾向があるので、アニール処理の加熱温度の上限は、通常700℃以下、好ましくは600℃以下、より好ましくは550℃以下の範囲で設定することが望ましい。ただし、ルチル結晶相に変化し始めるときの温度は、ドーパントの含有比率によって異なるのであり、ドーパントの含有比率が比較的高い場合には、アニール処理の際の加熱温度がある程度高くても、結晶相が変化して導電性が低下することはない。具体的には、ドーパントの含有比率(形成される透明導電性膜におけるニオブまたはタンタルの含有比率)が10モル%超である場合には、前記アニール処理の加熱温度が550℃超であっても、結晶相がルチル型に変化することはなく、良好な導電性が得られる。
前記アニール処理の際の還元雰囲気には、特に制限はなく、例えば、窒素、一酸化炭素、アルゴンプラズマ、水素プラズマ、水素、真空、アンモニア、不活性ガス(アルゴン等)、あるいはこれらの混合ガスの雰囲気など、一般的な還元雰囲気であればよい。好ましくは、強還元雰囲気である水素雰囲気(水素ガス100%雰囲気)を採用するのがよい。
また、アニール処理の加熱温度の設定には、上記に加えて、使用する透明基材の耐熱温度も考慮される。例えば、無アルカリガラスを透明基材として用いる場合には、通常700℃以下、好ましくは600℃以下、より好ましくは550℃以下である。アニール処理時間(加熱時間)は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよいのであるが、通常、1分〜1時間、好ましくは3分〜30分間程度である。
以上のような方法によって、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜が透明基材上に形成される。この透明導電性膜は、NbまたはTaドープ酸化チタンの多結晶体からなる薄膜であり、良好な透明性を備えると同時に、高い導電性を発現するものである。具体的には、本発明の製造方法により得られた透明導電性基板の透過率は、可視光領域で、通常75%以上、好ましくは80%以上であり、赤外領域で、通常70%以上、好ましくは75%以上である。また、本発明の製造方法により得られた透明導電性基板の比抵抗は、通常9×10-3Ω・cm以下、好ましくは8×10-3Ω・cm以下である。なお、これらの透過率および比抵抗は、例えば実施例で後述する方法によって測定することができる。
前記透明導電性膜は、5.0eV以上の高仕事関数を有するので、有機EL用透明陽極基板として好適であるが、さらに透明導電性膜にUVオゾン処理または酸素プラズマ処理を施すことにより仕事関数を5.4eV以上にまで高めることができ、有機EL用透明導電性基板としてより好適である。
前記透明導電性膜へのUV/オゾン処理、酸素プラズマ処理は、紫外線による原子間結合の切断、分解の効果と紫外線が酸素と反応して生じるオゾンと原子状活性酸素による酸化の効果があり、膜表面に付着している有機物等を分解、除去する効果がある。
UVオゾン処理とは、UV光の照射による表面改質技術であり、紫外線ランプが生成するオゾンを併用する。光源には、例えば、185nmと254nmを発光する低圧水銀ランプと172nmを発光するキセノンエキシマランプが使用される。前記透明導電性膜へのUVオゾン処理は、例えば照射時間1分〜30分、好ましくは2分〜10分で行うことができる。
また、前記透明導電性膜への酸素プラズマ処理は、酸素プラズマの照射による表面改質技術であり、各種のプラズマ洗浄装置またはプラズマ表面改質装置が使用可能である。
本発明の有機EL用透明陽極基板は、透明導電性膜のみからなる単層構成であってもよいが、例えば従来の5.0eV以上の高仕事関数ではないが低抵抗、高透過率のITO膜が得られる条件で成膜しこれを下地とした上に、本発明に係る高仕事関数を有する透明導電性膜を成膜し、多層構造の透明陽極基板とすることも可能である。
また、ITO以外の5.0eV以上の仕事関数を持つ物質を、本発明に係る透明導電性膜の上層に用いてもよく、この場合には、例えばアモルファスシリコンカーバイト、セレン等のカルコゲナイト族の単体および化合物等の非晶質半導体等を20nm程度以下の厚さで成膜し、本発明に係る透明導電性膜とITO膜との間に介在させるのが好ましい。
UVオゾン処理または酸素プラズマ処理を行った透明導電性膜を透明陽極として、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を順次積層することにより有機EL素子を作製することができる。従来、透明陽極としてITOの仕事関数が4.7eVであったのに対して、本実施例で得られた透明陽極は仕事関数が5.0eV以上に高くなることにより、正孔注入効率が向上し、従来になく高輝度を保つことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
なお、実施例における各種物性の測定は、以下の方法で測定した。
<比抵抗> 比抵抗は、抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA−GP,MCP−T610」)を用いて、四探針法により測定した。詳しくは、サンプルに4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定の電流を流し、内側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し、抵抗を求めた。
<透過率> 透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて、190nm〜2700nmの範囲で測定した。
<結晶性> X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用いて、薄膜測定用のアタッチメントを使用して結晶性を評価した。
<仕事関数> 理研計器(株)製「表面分析装置AC−1」)を用いて、光量15nWで測定した。
<UV/オゾン処理> サムコ(株)製「UV/O3洗浄装置UV−1」を用いて、5分照射した。
[実施例1]
まず、アルゴンガス雰囲気中でチタンテトライソプロポキシド4.0gを脱水エタノール28.5g中に溶解させ、得られた溶液に濃度30重量%の過酸化水素水8.0gを攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、5分間攪拌して、ペルオキシ化反応させた。なお、反応は、溶液を入れたフラスコの周囲をドライアイスで冷却しながら行い、過酸化水素水の添加によって発熱した際に溶液の内温が−10℃を超えないように制御した。このようにして得られた反応生成物をチタンペルオキシ錯体(a1)とした。
他方、アルゴンガス雰囲気中でニオブペンタエトキシド1.5gを脱水エタノール19.2g中に溶解させ、得られた溶液に濃度30重量%の過酸化水素水1.6gを攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、5分間攪拌して、ペルオキシ化反応させた。なお、反応は、上記と同様に、溶液を入れたフラスコの周囲をドライアイスで冷却しながら行い、過酸化水素水の添加によって発熱した際に溶液の内温が−10℃を超えないように制御した。このようにして得られた反応生成物をニオブペルオキシ錯体(b1)とした。
次に、上記チタンペルオキシ錯体(a1)と、上記ニオブペルオキシ錯体(b1)とを、チタン:ニオブ=80:20(モル比)となるような割合で混合し、固形分濃度7重量%の前駆体液とした。この前駆体液を、透明基材(無アルカリガラス「コーニング社製1737」、厚さ0.7mm)上にドライ膜厚100nmとなるように、キャピラリコーターで1回塗布し、300℃で10分間焼成(プリベーク)し、その後、水素100%の還元雰囲気下にて500℃で60分間アニール処理を施して、透明導電性膜を得た。
得られた透明導電性膜の仕事関数は、5.04eVであった。この明導電性膜に対して、上記サムコ(株)製の「UV/O3洗浄装置UV−1」を用いてUVオゾン処理を行うと、仕事関数が5.44eVに増大した。得られた透明導電性基板の比抵抗は5.0×10-3Ω・cmであり、透過率は、可視領域で約80%、赤外領域で約80%であった。
この透明導電性膜の結晶相をX線回折により調べたところ、アナターゼ型であった。

Claims (5)

  1. ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなり、比抵抗が9×10-3Ω・cm以下である透明導電性膜からなることを特徴とする有機EL用透明陽極基板。
  2. 仕事関数が5eV以上である請求項1記載の有機EL用透明陽極基板。
  3. (A)チタン化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物と(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物に過酸化水素を反応させた反応生成物とを含む前駆体液を透明基材上に塗布し、焼成した後、還元雰囲気下にて加熱によるアニール処理を施して、ニオブまたはタンタルがドープされた酸化チタンからなる透明導電性膜を透明基材上に形成する、ことを特徴とする有機EL用透明陽極基板の製造方法。
  4. 前記酸化チタン系透明導電性膜にUVオゾン処理または酸素プラズマ処理を施す請求項3記載の有機EL用透明陽極基板の製造方法。
  5. 前記(A)チタン化合物および前記(B)ニオブ化合物またはタンタル化合物として水酸化物を用いる請求項3または4記載の有機EL用透明陽極基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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