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JP2010281494A - 地中熱の回収利用システム - Google Patents

地中熱の回収利用システム Download PDF

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JP2010281494A JP2009134763A JP2009134763A JP2010281494A JP 2010281494 A JP2010281494 A JP 2010281494A JP 2009134763 A JP2009134763 A JP 2009134763A JP 2009134763 A JP2009134763 A JP 2009134763A JP 2010281494 A JP2010281494 A JP 2010281494A
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Akihiko Iwasawa
昭彦 岩澤
Masaaki Furukawa
雅章 古川
Hiromi Higashikata
陽 東方
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Abstract

【課題】
施工や設備のコスト、並びに施工上の労力等の負担を大幅に軽減して、簡便に低コストで、しかも熱利用の効率、合理性にも優れた新しい地中熱の回収利用システムを提供する。
【解決手段】
地中深さ6mまでを有効採熱域とし、掘削した地中開口への挿入と掘削残土の埋め戻しによって地中埋設される採熱管による地中熱の回収利用システムであって、採熱管ユニットが連結されてU字状に地中埋設されることで前記採熱管が配置されるとともに、採熱管には液媒体が流通されて地中熱の回収が行われ地中熱の利用が可能とされることを特徴とする地中熱の回収利用システムとする。
【選択図】 図2

Description

本発明は地中熱を回収してこれを冷暖房等として利用するための新規なシステム、並びにこのシステムを採用した地下室等の構造に関するものである。
近年、地球温暖化への対策として自然エネルギーの利用が大きな社会的テーマになっており、このような自然エネルギーの利用方策の一つとして地中熱の利用がある。しかしながら、この地中熱利用に際しては地下に地中熱採熱設備を埋設する必要がありそのための埋設費用が高いことが大きなネックとなって、わが国の現状においてはその普及が阻害されている。
これまで地中熱の利用について先例とされてきたのは、およそ100mという長尺の採熱管を地中に埋設するというものである。このように100mという長い採熱管を使う理由は、もともと地中熱利用が北欧等の寒冷地で暖房用として普及したことに見ることができる。これら寒冷地では極寒期には地表に近いところが凍ってしまい地表付近からは熱が採れないという事状があった。そしてこのような北欧等の寒冷地での地中熱利用のあり方が先例となって、地中熱の利用では地中深く採熱管を埋設することが望ましいとされてきた歴史がある。
この100mの採熱管の場合には、鞘管としてスチールパイプを地中深く垂直に埋設し、その内部に長尺の特製の樹脂パイプを挿入し、熱媒体を流通させて採熱している。このためその埋設の施工、そして設備品のためのコスト負担は大きく、施工そのものが容易ではないという問題があった。
一方、このような寒冷地における地中熱利用の先例を踏まえての工夫も提案されている。たとえば、地上建物の近傍の地中に鋼管を打ち込み、この鋼管内に空気や不凍液等の熱媒体を循環させて熱交換し、鋼管に伝わる地中熱を熱媒体で採熱し、建物内の空気と熱交換させて冷暖房に利用すること(特許文献1−3)等が提案されている。
しかしながら、これらはいずれも鋼管を用いての採熱であって、地中深部へのその打ち込み施工は必ずしも簡便でなく、振動、騒音等の問題を生じる。しかもこのような鋼管打込みによる採熱では、深い地中ほど地中熱利用の面では効果があるとの先験性から、どうしても深い打ち込みになり、施工のコスト、労力の負担は大きい。つまり、従来では、地表面や地中浅いところでは外気温の影響を受けやすいので、地中深く、年間を通じて安定した温度域の深さで採熱管を埋設するのが望ましく、しかもより深く埋設するためにも、強度のある鋼管を打込むことが必須であると考えられてきている。また、できるだけ多くの地中熱を利用するためには地中に打込む鋼管の数を多くするのが必要であるとされてきた。このため、採熱管の埋設施工の大きな負担は、実際的な地中熱利用の普及を困難にしてきたと言える。
特開2004−177013号公報 特開2006−10098号公報 特開2006−207919号公報
本発明は、前記のとおりの背景から、従来の問題点を解消して、施工や設備のコスト、並びに施工上の労力等の負担を大幅に軽減して、簡便に低コストで、しかも熱利用の効率、合理性にも優れた新しい地中熱の回収利用システムを提供することを課題としている。
本発明者は、北欧寒冷地での先例を踏まえつつも、わが国の実状に沿った地中熱の利用について検討を進めてきた。その過程において、人口が集中する首都圏では夏季に温められた地表温度は冬季にもさほど下らずむしろ地表に近いところのほうが採熱は有利であって、主として首都圏以西では地中熱採熱による冷暖房を行う場合には採熱管は短くてよく、実際的な平均の有効採熱域を地表から6mまでを目安としてよいとの極めて重要な知見を得た。また、しかもこの採熱には、熱効率、そして地中強度等の観点からも従来のような鋼管とすることなく通常の、市販品としての樹脂製管でよいとの確認も得ている。
このような、これまでに知られていない知見に基づいて、本発明の地中熱の回収利用システムは以下のことを特徴としている。
第1:地中深さ6mまでを有効採熱域とし、掘削した地中開口への挿入と掘削残土の埋め戻しによって地中埋設される採熱管による地中熱の回収利用システムであって、採熱管ユニットが連結されてU字状に地中埋設されることで前記採熱管が配置されるとともに、採熱管には液媒体が流通されて地中熱の回収が行われ地中熱の利用が可能とされる。
第2:採熱管ユニットは、樹脂製、金属製またはその複合体により形成されており、直管状、曲管状、もしくは蛇腹状である。
第3:鋼材の打込みにともなうアースドリル地中開口への挿入と掘削残土埋め戻しによって、鋼材に寄り添って採熱管が地中埋設されて配置される。
第4:地下室構築のための鋼材の打込みである。
第5:採熱管ユニットは、エルボにより連結されている。
第6:採熱管中には液媒体の流れを乱流にする流形調整部が設けられている。
第7:採熱管の地中埋設域もしくはその周囲には地中熱伝導率上昇のための散水が行われる散水部が配置されている。
第8:採熱管は、建物への循環パイプシステムに連結され、液媒体の供給利用が行われる。
第9:住宅の床下に配設した循環パイプシステムによって床放射冷暖房が行われる。
第10:採熱管はヒートポンプに連結され、ヒートポンプによって液媒体の供給利用のための温度調整が行われる。
第11:採熱管は液媒体の蓄熱槽と連結され、混合バルブによって蓄熱槽からの液媒体の供給利用のための温度調整が行われる。
第12:採熱管は液媒体の蓄熱槽とともにヒートポンプに連結され、採熱管と蓄熱槽の少くとも一方からの液媒体はヒートポンプによって供給利用のための温度調整が行われる。
第13:液媒体の蓄熱槽は、地下室構築にともなう地下構造の一部として一体配置されている。
第14:採熱管は地下室構築にともなう外壁の周囲または近傍に配置されている。
また、本発明は、以上の特徴を有する地中熱の回収利用システムを採用した建造物、特に地下室の構造をも提供する。
前記第1の発明の地中熱回収利用システムによれば、従来の地中深部への打込みによる鋼管埋設での採熱管システムとは本質的に相違して、採熱管は、
1)地中深さ6mまでを有効採熱域とし、
2)アースドリル等による簡便な掘削により開口した穴に挿入し、掘削残を埋め戻すだけの施工で埋設されるU字状とする
ことで、従来に比べて施工、設備のコストを大幅に低減し、施工を容易とし、住宅、地下構造体、地下室等の各種の構造に付設し、あるいは独立の採熱ステーションとして広く採用可能とされる。
また、第2の発明によれば、地中深さが従来に比べてはるかに浅いので樹脂製の採熱管ユニットでも強度的十分であり、金属製であっても、これらの施工は低コストで容易となる。
そして第3の発明によれば、各種の目的、用途で地中に打込まれる鋼材に寄り添って、採熱管が簡便かつ容易な施工として地中配置されることになる。さらに具体的には、第4の発明のように、この鋼材の打込みは、地下室構築の施工として簡便かつ容易に、しかも地中熱利用の利便性の良好なものとして可能となる。
第5の発明では、採熱管ユニットの連結を、エルボを用いることで、施工性、そして伝熱液媒体の流通精度の向上が図られる。
採熱管中で乱流形成するための流形調整部を設ける第6の発明によれば液媒体の伝熱効率はより向上される。
第7の発明では、散水によって地中熱伝熱性の上昇がより図られることになる。
第8ないし第12の発明では、循環パイプシステムやヒートポンプ、さらには液媒体の蓄熱槽の配置と採熱管との連結によって、住宅等の冷暖房をはじめとして各種目的、用途のための地中熱利用がより効率的、効果的なものとなる。
第13の発明では、地下室構築と蓄熱槽とを構造一体化することで、施工性、利便性の向上が図られる。
そして、第14の発明によれば、本出願人が開発してきた、いわゆる鋼製地下室の構造をはじめとする地下室構造の新しい展開が図られる。
季節による気温と地中温度の関係を示した概要図である。 採熱管のH型鋼の打込みにともなう配設について例示した概要斜視図である。 採熱管による回収利用システムの概要構成図である。 地下室構築にともなう採熱管の配置と住宅用冷暖房システムとしての利用を例示した概要断面図である。 図4のシステムの構成概要図である。
<深さ6mの有効採熱域>
本発明においては、地中熱の有効採熱域の深さを6mまでとしている。その理由についてまず説明する。
(1)地中熱を利用する場合においても暖房・給湯に有利な部分から採熱することが必要である。
今まで地中熱使用の採熱は年間安定した部分から行うこととされている。地中10m以深で年間温度の変化が0.1℃以下の部分を不易層と呼び採熱管は不易層以深へ通常100m埋設している。
不易層の温度は広田知良の提案の式から(「身近な気象・気候調査の基礎」牛山素行著)
Ts=0.97Ts+0.23(Ts:不易層温度 Ta:年間平均気温)
その地域の年間平均気温から地中温度を計算できる。(実測との誤差0.1℃以内)
年間平均気温より少し低い温度が地中の不易層の温度である。
地表から10mより浅い部分では太陽熱の影響を受けて年間規則的に温度が変化している。
アメリカの学者 ウイリアム・ジェリーとロバート・ホートンの提案(「土壌物理学」築地書館刊)から、地中の温度の年間の変化は、年間平均気温を横軸中心として、深度に応じて遅れる正弦曲線で説明できるとされている。しかし実態はどうかを知るために、実際の測定データから年間の温度変化曲線より冷暖房時に使用する地中熱を検討した。
(2)住宅では暖房と冷房を行う期間がほぼ決まっているから、その期間の地中の温度を検討した。
■暖房は11月2日から4月29日まで(172日)、平均気温が15℃以下を想定して運転する。
■冷房は6月22日から9月19日まで(90日)、日最高気温26℃以上を想定して運転する。
日本の気象データ内容で地中熱温は1982年以降は公表されていない。冷暖房時における地中温度を、入手できた3資料から検討した。深さ3m部分の温度を求めた。
<a>東京地方(自然エネルギー利用のための「パッシブ建築設計手法」彰国社)
暖房時地中温度
11月2日の地中3mの温度は18.6℃、4月29日では同じく13.2℃で平均15.9℃
東京地方年間平均気温が14.4℃、前記式より地中年間温度は14.2℃
地中3m部分の暖房期間の平均温度は不易層部分より1.7℃高い。
<b>水戸市(1982年農業気象資料)
暖房時地中温度
11月2日の地中3mの温度は17.4℃、4月29日では同じく13.3℃で、平均15.4℃
水戸地方年間平均気温は13.4℃、前記式より地中年間温度は13.2℃
地下3m部分の暖房期間の平均温度は不易層部分より2.2℃高い。
<c>橿原市(高松塚古墳における30年間の気温変動・保存科学No.44)
農林水産省・気象庁:農業気象資料 第3号 地中温度に関する資料(1972)
中央気象台:累年気候表(日本および極東地域)(1954)
暖房時地中温度
11月2日の地中3mの温度は18.8℃、4月29日では同じく12.8℃で平均15.8℃
橿原市地方年間平均気温は14.4℃、前記式より 地中年間温度は14.2℃
地下3m部分の暖房期間の平均温度は不易層部分より1.6℃高い。
(3)一方、深さが3mより浅い地表近傍について見ると地上温度の影響を受けやすく暖房期間は3m部分より地中温度が低い傾向である。
また3mより深いところについて見ると不易層温度に近い傾向にあり3m部分より地中温度は低い傾向である。
このことから、地中熱の利用については深さ3mを中心域として、その倍数としての6mまでを地中熱回収のための有効域とすることが考慮される。
このことを暖房、冷房の観点から整理してみると次のように言える。
1)暖房運転
図1に示したように、地下3m地点は夏季の外気温のピークから3か月程度経過した時期に温度がピークを迎える。暖房を運転開始する時期がちょうどこの時期に当るため、地中が一番暖まっている時期に地中熱を使用することになる。暖房運転の期間の中間における地中温度は地中の不易層の年間変わらない温度より1.6〜2.0℃以上高い傾向にある。暖房運転では短い6mの採熱管は不易層以下に入れる長い採熱管より有利である。
2)冷房運転
地下3mの位置は冬季の気温が最低になる時期から4か月ほど遅れて地中温度が一番低くなる。冷房はそれから2か月ほど経過した時期に運転を始めるから、地中が2℃ほど温まった時期に冷房運転を行う。冷房運転を行う期間の中間における地下3mの温度は不易層の温度より2.5℃程度高い傾向にある。地中温度の比較からは冷房運転に6mの採熱管は不易層以下に入れる長い採熱管より不利である。
しかし家庭内の暖房と冷房に使用するエネルギー比率20:1と暖房と冷房の期間比が約2:1であること、また給湯にも地中熱を採用することも考慮すべきである。
東京地区で暖房に使う地熱温度は平均15.9℃で、床暖房に使用するために作る温水は40℃程度であるから温度差は24℃程度である。冷房時に使用する地熱温度の平均は16.7℃で作る冷水は22℃程度で温度差は5℃程度であるから、冷房時のヒートポンプの仕事量は非常に小さい。地中熱の採熱においては暖房と冷房を比較すると、暖房の採熱を優先して採熱方式を決めるべきである。
以上のように、今まで採熱管は不易層を考慮して地下10mから100mまでに入れることが常識的と言われてきたが、採熱管に短い6mの長さを使用することは採熱量だけでなく住宅の地中熱利用では打ち込みの容易さやコストを考えるとむしろ有利であり、今後身近な技術として6m程度の採熱管を使用して、住宅の温熱環境の省エネ化に貢献させるべきである。
<採熱管とその埋設>
本発明の地中熱の回収利用システムにおいては、採熱管としては、樹脂製であってもよいし、スチール等の金属製あるいはこれらの複合体によって形成されたものであってよい。その形状は直管、曲管、蛇腹状でもよい。
たとえば、樹脂製の、一般品としてのポリエチレン管等の採熱管ユニットを連結して深さ直下方向にU字状になるように地中埋設することができる。
図2は、この採熱管の埋設を、地中への鋼材打込みとして山留めH型鋼3を用いた場合として例示している。採熱管ユニット1は、この例においては直管形状を有し、その下端部において樹脂製のエルボ2を介して連結し、U字状に地中埋設される。採熱管10を構成する採熱管ユニット1については施工現場への搬入、埋設施工等の点からは、より低コストでの入手と施工が可能な直管形状とすることが好ましく考慮されるが、これに限定されることはなく、あらかじめU字状に成形されたものであってもよい。
図2の例では、山留めH型鋼3の打込みにともなうアースドリル地中開口4内への樹脂製の採熱管10を挿入し、次いで掘削残土を埋め戻す。採熱管10は、山留めH型鋼3に寄り添うように地中埋設されることになる。その施工は簡便である。山留めH型鋼3の存在によって施工が容易となるだけでなく、採熱管10の地中強度も補強されることになる。
本発明の地中熱の回収利用システムでは、図3の例のように、鋼材の打込みと組合わせて配置してもよいが、前記のとおりの有効採熱域として深さ6mを目安とすると、補強の観点からの鋼材等は必須ではなく、採熱管10を単独で地中埋設してもよい。採熱管ユニット1やエルボ2に用いる一般の樹脂製部材の強度は、通常、深さ6m、さらに施工上10m未満程度までの地中深さには耐えることができる。このような場合も、掘削した地中開口への採熱管10の挿入と掘削残土の埋め戻しという簡便な施工として埋設が可能とされる。
図3にも示したように、U字形の採熱管10は、そのU字形ユニットが所要数連結されたものとすることができる。採熱管ユニット1の上端部において、下端部のエルボ2Aとは別のエルボ2Bや、さらには樹脂製パイプを介して相互に連結されたものとすることができる。
ここで、図3に示した採熱管の地表からの埋設深さHについては、前記のとおり、有効採熱域を深さ6mを目安とすることから、6m前後とすることが好適に考慮される。ただ、地中熱伝導を左右する含水率や土質、あるいは施工現場の地中状況、本発明システムの全体の規模等の観点から、10m未満程度まで深くすること、あるいは4m程度まで短くすることも適宜に考慮される。
複数のU字状ユニットが連結される採熱管10においての全長や、図3に示したU字形を構成する採熱管での幅W1、そしてU字形ユニットの隣接幅W2 については、管径や内部に流通させる液媒体の種類と流速、さらには、地中での熱拡散や回収の効率等も考慮して、回収された地中熱の利用目的や規模に応じて必要とされる熱量、利用効率から設計、施工されることになる。
図2および図3に示したエルボ2、2A、2Bと樹脂製の採熱管ユニット1との連結を行う場合には、通常の接着、あるいは電気加熱等による溶着、もしくは連結のための止着具等の周知の各種手段を用いることができる。採熱管ユニット1相互の連結の場合も同様である。電気溶着の場合には現場処理が可能であって、簡便で、かつ密着性も良好であることから好適なものとして考慮される。
熱伝導を良好にするとの観点からは、採熱管10の流路には適宜な箇所に液媒体の流れを乱流にするためのじゃま板部やスパイラル部、あるいは羽根部等の流形調整部を設けることも有効性のあるものとして考慮される。
そしてまた、本発明の地中熱の回収利用システムについては、深さ6mまでを有効採熱域としていることにおいて、採熱管10の配置周囲の土中に散水することが有効であることも注目される。散水としての雨水の利用も考慮されてよく、適宜な散水部の設置がなされてよい。
土の熱伝導率は含水率によって変化するからである。通常の土の地中での体積含水率は約16%程度であるが、これが散水によって25%程度まで上げられる。すると、この含水率の上昇にともなって、熱伝導率は20%程度向上させることができるからである。地中熱の回収効率はこれによって大幅に向上することになる。
以上のような地中熱利用のシステムとしては冷暖房、あるいは給湯、冷水等としての様々な利用が可能とされるが、たとえば図3に例示したように、採熱管10内を伝熱媒体としての水や不凍液等の液媒体5を循環させるとともに、ポンプ6により冷暖房、給湯等として液媒体5を介して地中熱を外部利用7することができる。また液媒体5は、タンク8に貯留しておき、前記循環と組合わせることもできる。タンク8には、液媒体の外部からの新たな供給と外部への排出のための交換システムも適宜に採用される。なお、液媒体としては水や不凍液、さらには、管内へのスケール付着等を防止する成分を混合した調整水等の各種であってよい。
もとろん液媒体の種類については、採熱管循環のためのものと、ポンプやタンク利用にともなう熱交換による循環利用のためのもの等を別としてもよい。
ポンプ6については、地中熱を回収した液媒体の液温をその利用の目的、用途にあわせて温度調整するためのヒートポンプ機能を有するものとしてもよい。また、ポンプ6には、その機能として、あるいは別体として混合バルブを配置し、循環する液媒体5と、タンク8からの液媒体とのミキシングによって所要の外部利用温度に調整できるようにしてもよい。タンク8は、蓄熱槽としての機能を有するものとすることができる。
<回収利用システムの例>
本発明の地中熱の回収利用システムは、その回収利用のための集中ステーションとして配置し、広く公共利用できるようにしてもよいし、個別の住宅、工場、事業所等向けに配置してもよい。住宅等の建物に付設する省エネルギーシステムとして、地下室構築と組合わせることも考慮される。この地下室の構築については、コンクリートRC造の場合にも組合わせ利用できるが、本出願人が開発して数多くの施工実績を有している、いわゆる鋼製地下室構造との組合わせが積極的に考慮される。この地下室構造においては、H型鋼の打込みによる土留めと、これに続く外面に鉄板を貼った鉄骨パネルの構造躯体を採用し、従来のRC造地下室に比べて、はるかに防水、防湿性に優れ、しかも施工性をも向上させていることを大きな特徴としている。
この鋼製地下室においては、前記の土留め用に打込まれるH型鋼の配置にともなって、たとえば図1のように配置してもよいし、あるいは、前記の鉄骨パネルの鉄骨材に沿って配置されるようにしてもよい。
たとえば図4および図5は、土留のH型鋼3の打込みにともなって、U字状の採熱管10を配置した場合の鋼製地下室構造と、地中熱を住宅床における放射冷暖房に利用したシステムの例を示している。
採熱管10より液媒体5に回収された地中熱は、ヒートポンプ60によって所定の温度に設定され、また、蓄熱槽80に連結され、循環ポンプ6並びに循環パイプ11を通じて床70での放射冷暖房を実現する。ここで蓄熱槽80は地下室構造の一部として一体化されることで、施工も簡便かつ容易となる。
地中熱は、液媒体の循環によって直接冷暖房に使用してもよいが、いったん液媒体として地中熱を回収した冷温水を地下の蓄熱槽(水槽)に貯蔵し、これを循環してもよい。後者においては深夜に貯えた冷温水に対して深夜電力を利用して加温、もしくは冷却して、より電気代を低減させての冷暖房が可能ともなる。試算によればトータルとして30%以上の電気代の削減が可能となる。
1 採熱管ユニット
2 エルボ
2A 下端部エルボ
2B 上端部エルボ
3 H型鋼
4 アースドリル地中開口
5 液媒体
6 ポンプ
7 外部利用
8 タンク
9 外部交換システム
10 採熱管
11 循環パイプ
60 ヒートポンプ
70 床
80 蓄熱槽

Claims (15)

  1. 地中深さ6mまでを有効採熱域とし、掘削した地中開口への挿入と掘削残土の埋め戻しによって地中埋設される採熱管による地中熱の回収利用システムであって、採熱管ユニットが連結されてU字状に地中埋設されることで前記採熱管が配置されるとともに、採熱管には液媒体が流通されて地中熱の回収が行われ地中熱の利用が可能とされることを特徴とする地中熱の回収利用システム。
  2. 採熱管ユニットは、樹脂製、金属製またはその複合体により形成されており、直管状、曲管状、もしくは蛇腹状であることを特徴とする請求項1に記載の地中熱の回収利用システム。
  3. 鋼材の打込みにともなうアースドリル地中開口への挿入と掘削残土埋め戻しによって、鋼材に寄り添って採熱管が地中埋設されて配置されることを特徴とする請求項1に記載の地中熱の回収利用システム。
  4. 地下室構築のための鋼材の打込みであることを特徴とする請求項3に記載の地中熱の回収利用システム。
  5. 採熱管ユニットは、エルボにより連結されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の地中熱の回収利用システム。
  6. 採熱管中には液媒体の流れを乱流にする流形調整部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の地中熱の回収利用システム。
  7. 採熱管の地中埋設域もしくはその周囲には地中熱伝導率上昇のための散水が行われる散水部が配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の地中熱の回収利用システム。
  8. 採熱管は、建物への循環パイプシステムに連結され、液媒体の供給利用が行われることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の地中熱の回収利用システム。
  9. 住宅の床下に配設した循環パイプシステムによって床放射冷暖房が行われることを特徴とする請求項8に記載の地中熱の回収利用システム。
  10. 採熱管はヒートポンプに連結され、ヒートポンプによって液媒体の供給利用のための温度調整が行われることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の地中熱の回収利用システム。
  11. 採熱管は液媒体の蓄熱槽と連結され、混合バルブによって蓄熱槽からの液媒体の供給利用のための温度調整が行われることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の地中熱の回収利用システム。
  12. 採熱管は液媒体の蓄熱槽とともにヒートポンプに連結され、採熱管と蓄熱槽の少くとも一方からの液媒体はヒートポンプによって供給利用のための温度調整が行われることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の地中熱の回収利用システム。
  13. 液媒体の蓄熱槽は、地下室構築にともなう地下構造の一部として一体配置されていることを特徴とする請求項11または12に記載の地中熱の回収利用システム。
  14. 採熱管は地下室構築にともなう外壁の周囲または近傍に配置されていることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の地中熱の回収利用システム。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載のシステムが採用されていることを特徴とする地下室構造。
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Cited By (4)

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