JP2010273655A - 細胞保持方法、細胞試験方法及び細胞処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明が提供するのは、貫通した空孔が複数配置されているシートを用意するシート用意工程と、用意された細胞を担持させた粒子の懸濁液体を前記シートに接触させる接触工程とを含む細胞保持方法であって、前記空孔が液体とともに前記粒子の1つのみをその孔内に保持する大きさであることを特徴とする細胞保持方法である。
【選択図】 図1
Description
バイオアッセイシステムで大量・迅速な処理を行うためには、検出手法に適した数の細胞集団を決められた位置に配列させ、細胞集団に対して所定の物質の投与、液体交換、計測や分別など所定の操作を、効率よく行わなければならない。
従来、バイオアッセイおいて細胞集団を取り扱うために、また、バイオアッセイをハイスループットに行うために、384個又は1536個の高密度マイクロウェルプレートが開発され市販されている。
こうしたマイクロプレートを用いたバイオアッセイのスループットを向上させる方法として、ウェルプレートの替わりに、フィルターを用いるものや、マイクロ流体流路を用いるものが知られている。特許文献1には、細胞のサイズよりも小さいフィルター孔を用いた細胞の保持方法が例示され、細胞は孔の内部ではなく、フィルター孔の表面に保持される。特許文献2には、テーパー付けした貫通孔アレイに細胞を保持する例が開示されている。
また、特許文献2に記載のテーパー付けした貫通孔アレイに細胞を保持する方法では、細胞と貫通孔とが同程度のサイズであるため、各貫通孔に保持される細胞数が後のアッセイに要する細胞数よりも少ないという課題がある。
(A)前記シートの空孔に細胞を担持させた粒子を配置させるための配置手段、
(B)前記シートの周囲環境を所定の環境に制御するための制御手段、
(C)前記シートの空孔に液滴を付与するための付与手段、
(D)前記シートの空孔に保持された前記粒子の状態を観察するための観察手段、
(E)前記シートの空孔に保持された前記粒子を前記シートから移送するための移送手段、
(F)前記シートの空孔の位置を認識する認識手段、
(G)前記シートの空孔内の液体交換を行うための液体交換手段。
本発明の細胞保持方法は、貫通した空孔2が複数配置されているシートを用意するシート用意工程と、用意された、細胞を担持させた粒子3の懸濁液体を前記シートに接触させる接触工程とを含み、空孔2が1つの粒子3のみを保持することを特徴とする。
ただし、本発明は、1つシートに2種類以上の細胞を担持させることを制限するものではない。また、異なる種類の細胞を1つのシートに担持させる場合には、シートの保持領域を区分し、区分された各領域に、それぞれ異なる種類の細胞を担持する粒子を配置するとよい。また、領域ごとに区分せずにランダムに粒子を配置する場合は、各粒子に標識(着色等)処理を施し、該標識によって担持される細胞を判別してもよい。また、同一粒子に2種以上の細胞を担持させてもよい。
また、粒子3の素材は、顕微鏡観察には光の透過性に優れた素材、さらに蛍光顕微鏡観察などを行う場合は自家蛍光のない素材が好ましい。
その1例として、空孔2の開口部が円形である場合にほぼ球体である粒子3が空孔2内に液体4と共に保持される様子を模式化した断面図と平面図を図2に示す。
また、空孔2の形状は、図1で例示された円形以外、四角形等の多角形、楕円形、星型等いずれかの形状でも良い。
貫通した空孔2が複数配置されているシートを用いれば、前記細胞を担持した粒子3を簡便に配置することができる。具体的には前記細胞を担持した粒子3を分散した液体(懸濁液体)を前記シート上に接触させることで、液体と共に簡単に空孔2に前記細胞を担持した粒子3を1つずつ配置することができる。 本発明の大きな特徴は、貫通した空孔2において1つの粒子3と共に液体4を保持することである。貫通した空孔2内にその空孔の一部の断面が粒子サイズより小さくなるように突起部分を形成したり、底板を組み合わせて形状で粒子を支えたりする公知の従来技術とは明確に差別される。
前記シートにおいて、液体4の表面張力で粒子3を保持するためには、おおむね25mN/m以上の表面張力を有することが好ましい。25mN/m未満であれば、粒子3が液体4と共に空孔2内に保持されにくくなり、わずかな振動で落下することも多くなる。粒子3と共に前記シートに保持させる液体4は、前記細胞を担持した粒子3と親和性が高くかつ空孔2の内壁に付着しやすい水性の液体4が好ましい。
表面張力調整剤の例としては、水溶性のアニオン性、カチオン性、両性もしくはノニオン性の界面活性剤を一種類または複数種を添加することが出来る。但し液体の表面張力が25mN/m以上の添加量が好ましい。
本発明の細胞試験方法は、前記細胞保持方法で細胞を保持する保持工程と、前記細胞に対する試験を行うために物質を投与する投与工程とを含むことを特徴とする。前記細胞試験方法は、貫通した空孔2が複数配置されているシートを使用するため従来の底のあるウェルと比較して、次のような利点があげられる。これは、i)粒子3を配列することが容易である、ii)粒子3を取り出すことが容易である、iii)粒子3が底板に接触することはないので、細胞試験時に底板からの刺激等の影響を受けない、iv)空孔2内の液体4が外気と接触する面積が大きくガス交換が行われやすい、v)観察工程において、底板がないため底板による反射光や自家蛍光などのノイズ要因がない等である。
前記細胞に対する試験を行うために、前記シートの空孔2に液体4と共に保持された粒子上の細胞に物質を投与する投与工程について詳細に説明する。
本実施形態で細胞に投与する物質としては、なんら限定されるものではないが、有機、無機の化学物質、金属及びその化合物、生体の構成物質、生体由来の生理活性物質やDNA、菌、ウイルスなど、またそれら化学物質との複合体や複数の化学物質の混合物などを包含する。前記物質の投与は、前記シートの空孔2に1種類の生理活性物質もしくは複数種類の生理活性物質を含む液滴を付与することが好ましい。
本実施形態においては、細胞に投与した物質の作用期間を制御する目的や細胞から分泌する物質を除去する目的で、細胞を担持した粒子3を保持した空孔2内の液体を交換することができる。その場合、空孔に保持された粒子3が、空孔2から脱落しないように円滑に液体交換を行うことが必要である。円滑に液体交換を行うためには、前記シートの粒子3を保持する空孔2に連通した液体交換部位を設けることが好ましい。
本発明の第三実施形態は、細胞処理装置で、少なくとも、貫通した空孔が複数配置されているシートを保持するための保持手段を有するうえ、(A)前記シートの空孔に細胞を担持させた粒子を配置させるための配置手段と、(B)前記シートの周囲環境を所定の環境に制御するための制御手段と、(C)前記シートの空孔に液滴を付与するための付与手段と、(D)前記シートの空孔に保持された前記粒子の状態を観察するための観察手段と、(E)前記シートの空孔に保持された前記粒子を前記シートから移送するための移送手段と、(F)前記シートの空孔の位置を認識する認識手段と、及び(G)前記シートの空孔内の液体交換を行うための液体交換手段と、から少なくとも1つの手段を有する。
本実施形態の観察手段は、照明部22及びモニター15等で構成され、細胞の状態及び変化を画像として捉える手段である。
具体的には、細胞の形状については、前記シートに保持されている細胞に対して、照明部22から可視光(白色光:波長300〜900nm)を貫通孔アレイシート9に保持した粒子3に照射しながら貫通孔アレイシート9の下方に具備したCCDカメラ(撮像部)23などで明視野画像を撮影する。CCDカメラ(撮像部)23は、貫通孔アレイシート9の上方、すなわち照明部22と同じ側に設けることもできる。また、CCDカメラと細胞との間にレンズ系を備えて細胞を拡大してより細部を観察することもできる。
本実施形態の液体交換手段として、Z軸方向28に可動させることのできる液体交換装置29を備えている。液体交換装置29にはガラス製のキャピラリー24(外径0.68mm、内径0.20mm)が2本取り付けてあり、送液ポンプ25を介して、一方は供給液容器26に、他方は廃液容器27に接続されている。液体交換を行う場合には、液体交換装置をZ軸方向に移動させて、キャピラリーの先端を貫通孔アレイシート9の液体交換部位に、接触させる。次に送液ポンプ25を駆動して、供給液容器内の液体を供給すると同時に排出させて除く。交換する液体は、電磁バルブ30を切り替えることにより種類を選択することができる。また。複数の貫通孔の液体交換を同時に行うために、液体交換装置に複数のキャピラリーを配置することもできる。
(保持、観察)
厚さ0.9mmの100mm角のステンレスシートを加工して貫通した空孔2が複数配置されているシート1(貫通した空孔アレイシート)を以下の仕様で作成した。空孔2の形状は、図6に示すように円形の空孔2が等間隔になるように、空孔2の直径(R=1.2mm)と、空孔2間の距離(L=2.25mm)とで2236個の空孔2を最密になるように調整した。対象となる細胞は、ヒト子宮頸癌細胞系HeLa細胞(human cervix adenocarcinoma epithelial adherent ATCC CCL-2)を培養した細胞を用いた。粒子は、ガラスビーズ(ユニチカ社製SPL‐1000、平均粒径1030±30μm、標準偏差25以下、ソーダ石灰ガラス、真比重:2.5、屈折率:1.5)を用いた。
Calcein AM水溶液を添加することで生細胞を蛍光染色した。
HeLa細胞が表面に付着されたガラスビーズの懸濁液100ml(20個/ml)を前記シートに上部から静かに注ぎ、接触させた後、前記シートから余剰の液体を除去することで、前記空孔中に存在する液体とともに前記シートの空孔の各々に前記ガラスビーズを保持させた。前記シート上の余剰の液体はシートを傾けて落とし、開口部以外の場所に水滴が残らないようにした。
上記の方法で得られたガラスビーズを配置した前記シートの各開口部(空孔)を実体顕微鏡(ライカ社製、S8AP0)で観察して各空孔内のガラスビーズの保持状態を観察した。図7に示す様に、ガラスビーズが配置されていることを明瞭に観察することができた。また、共焦点顕微鏡(Zeiss社製 Pascal Exciter)を用いてガラスビーズ上のHeLa細胞を観察した。図8に示す様にガラスビーズ上の細胞の形態を明瞭に観察することができた。
(処理・試験 診断装置)
ポリスチレン系粒子径標準粒子(モリテックス社製、4400A、保証平均粒子径1004±20μm、粒子密度1.05g/cm3)を1級アミノシランカップリング剤により処理し、アミノ基を導入した。洗浄後、45℃の乾燥器中で乾燥させた。コラーゲン濃度を0.015%に調製したコラーゲン酸性溶液を分注し、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合アルカリ溶液を加えて中和し、一時間放置した。純水により洗浄し、純水を吸引除去し、37℃の乾燥器中で乾燥することにより、コラーゲンコートポリスチレン粒子を調製した。
adenocarcinoma epithelial adherent、ATCC HTB-131) と、BT‐20(1+/0, human breast adenocarcinoma、ATCC
HTB-19)であった。
図5に示す寸法の液体交換部位を設けたシート(貫通孔アレイシート)を使用し、前記コラーゲンポリスチレン粒子を含む懸濁液を前記シート上へ静かに注ぎ、接触させた後、前記シートから余剰の液体を除去することで、前記空孔中に存在する液体と共に前記シートの各空孔に前記コラーゲンポリスチレン粒子を保持させた。前記シート上の余剰の液体はシートを傾けて落とし、開口部以外の場所に水滴が残らないようにした。この操作を各3種類の細胞に対してそれぞれ別のシートを用いて行った。
(1)1次抗体溶液:ウサギ抗HER2/ErbB2モノクローナル抗体(Cell Signaling Technology社製)を、抗体希釈バッファー(1xTBS、0.1%Tween−20、5%BSA)に、1:1000で希釈して調製した。
(2)ブロッキングバッファー(1xTBS、0.1%Tween−20、5%w/v脱脂粉乳)
(3)2次抗体:HRP標識抗ウサギIgG抗体(Cell Signaling Technology社製)を、抗体希釈バッファー(1xTBS、0.1%Tween−20、5%BSA)に、1:1000で希釈して調製した。
(4)HRPの化学発光基質(ECLシステム、GEヘルスケア社製)
(5)Calcein AM水溶液:1μg/mL水溶液
また洗浄バッファー(1xTBS、0.1%Tween−20)と培養メディウム(10%ウシ胎児血清含有DMEM培地)とを供給液容器26に充填した。
Calcein AM水溶液を各細胞系のシリーズに滴下した。培養メディウムに液体交換後、494nmの波長の光を照射し、517nmの蛍光量をCCDカメラにて検出した。
ブロッキングバッファーへの置換、洗浄、1次抗体溶液滴下、洗浄、2次抗体溶液滴下、洗浄、HRPの化学発光基質の滴下操作を順次行い、発光量をCCDカメラにて検出した。前記生細胞数パラメータで規格化したHER2発現量パラメータの値はBT−20<MDA−MB−453<SK−BR−3となり、細胞で発現しているタンパク質(HER2発現量)を評価定量する試験を行うことができた。上記試薬を滴下せずに、培養メディウムのみで保持した粒子に対して、圧縮空気供給装置18から電磁バルブ19を経由してガス噴射ノズル20(移送手段(E))から空気を噴射して、下部に設置された個々の収集容器21に粒子を落下させた。容器には、培養メディウムが入っていて、回収した細胞をさらに増殖させることができた。
(各空孔2に保持された細胞数のばらつき)
実施例2と同様にして、コラーゲンコートポリスチレン粒子に3種類のヒト乳癌細胞(BT−20、MDA−MB−453、及びSK−BR−3)を個別に担持させ培養した。図6に示す2236個の空孔2が最密に形成されたシート(貫通孔アレイシート)に、コラーゲンコートポリスチレン粒子の懸濁液100ml(20個/ml)を上部から静かに注ぎ、接触させた後、余剰の液体を除去することで、貫通孔アレイシートの空孔の各々に細胞担持ビーズを保持させた。
すなわち各貫通孔の蛍光量計測値をfiとすると、下記数1で算出した平均蛍光量(ただしnは計測した貫通孔の数であり、n=2236である)を用いて、下記数2で計算した。
一方比較例として、次の操作によりマルチウェルプレートに細胞を保持した系を調整した。前記トリプシン−EDTA処理により回収した各細胞系の、10%ウシ胎児血清含有DMEM懸濁液を、粒子に細胞を固定することなく1536ウェルプレート(NUNC社製)に各ウェルあたり約2500個の細胞が入るように分注した。各ウェルの液量は10μLであり、250個/μLの細胞懸濁液を10μLずつ分注した。37℃、5%二酸化炭素の条件下培養した後、生細胞数パラメータ(517nmの蛍光量)を各ウェルについて計測し、各ウェル内に保持された細胞数のばらつきσ2を次のようにして計算した。
すなわち各ウェルの蛍光量計測値をfi’とすると、下記数3で算出した平均蛍光量(ただしn=1536である)を用いて、下記数4で計算した。
またマルチウェルプレートを用いる系では各ウェルへの分注作業に時間を要し、この間に細胞の懸濁状態が変化してしまうため、ばらつきが大きくなってしまうものと推察される。すなわち本発明の細胞保持方法によれば、2200個以上のアドレス可能な貫通孔に迅速にばらつき少なく細胞を保持することが可能となる。
2: 貫通した空孔
3: 粒子
4: 液体
5: 化学物質の着弾位置
6: 粒子保持部位
7、8: 液体交換部位
9: 貫通孔アレイシート
10: 可動性ホルダー
11: X軸方向
12: チャンバー
13: 温湿度制御装置
14: インクジェット装置
15: モニター
16: 制御部
17: センサー部
18: 圧縮空気供給装置
19: 電磁バルブ
20: ガス噴射ノズル
21: 収集容器
22: 照明部
23: CCDカメラ
24: キャピラリー
25: 送液ポンプ
26: 供給液容器
27: 廃液容器
28: Z軸方向
29: 液体交換装置
30: 電磁バルブ
Claims (5)
- 貫通した空孔が複数配置されているシートを用意するシート用意工程と、
用意された細胞を担持させた粒子の懸濁液体を前記シートに接触させる接触工程とを含む細胞保持方法であり、前記空孔が液体とともに前記粒子の1つのみをその孔内に保持する大きさであることを特徴とする細胞保持方法。 - 前記空孔が、対象となる1個の試料を保持可能であり、且つ2個以上の前記試料は保持できない大きさであることを特徴とする請求項1細胞保持方法。
- 前記空孔の開口面積が前記粒子の最大断面積の1.05倍から2.63倍の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞保持方法。
- 請求項1に記載の細胞保持方法で細胞を保持する保持工程と、
前記細胞に対する試験を行うために前記細胞に物質を投与する投与工程とを含む細胞試験方法。 - 貫通した空孔が複数配置されているシートを保持するための保持手段と、
以下の手段(A)から手段(G)の少なくとも1つの手段とを有する細胞処理装置。
(A)前記シートの空孔に細胞を担持させた粒子を配置させるための配置手段、
(B)前記シートの周囲環境を所定の環境に制御ための制御手段、
(C)前記シートの空孔に液滴を付与するための付与手段、
(D)前記シートの空孔に保持された前記粒子の状態を観察するための観察手段、
(E)前記シートの空孔に保持された前記粒子を前記シートから移送するための移送手段、
(F)前記シートの空孔の位置を認識する認識手段、
(G)前記シートの空孔内の液体交換を行うための液体交換手段。
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