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JP2010248392A - 重合性化合物およびこれを含む組成物、樹脂材料、光学素子並びに光ヘッド装置 - Google Patents

重合性化合物およびこれを含む組成物、樹脂材料、光学素子並びに光ヘッド装置 Download PDF

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JP2010248392A JP2009100311A JP2009100311A JP2010248392A JP 2010248392 A JP2010248392 A JP 2010248392A JP 2009100311 A JP2009100311 A JP 2009100311A JP 2009100311 A JP2009100311 A JP 2009100311A JP 2010248392 A JP2010248392 A JP 2010248392A
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総 石戸
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弘樹 保高
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裕之 有嶋
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Abstract

【課題】高屈折率で耐光性に優れた光学用の樹脂材料を提供する。また、耐光性に優れた光学素子と、それを用いた光ヘッド装置を提供する。
【解決手段】重合性化合物は、ケイ素と4つの環基が直接または酸素を介して結合したSiAで表される。A、A、AおよびAは、それぞれ独立して−(O)−Xであり、mは0または1を表す。Xは、環基で、特にフェニル基が好ましい。Yは、単結合または炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Wはエポキシ基、オキセタン基またはエポキシシクロヘキシル基を表す。樹脂材料は、この重合性化合物を用いて得られた組成物を硬化させて得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、重合性化合物およびこれを含む組成物、この組成物を重合してなる樹脂材料、この樹脂材料を用いてなる光学素子並びにこの光学素子を用いてなる光ヘッド装置に関する。
光学用樹脂材料は、光学フィルム、レンズ、光ディスクや光ピックアップ用の光学素子などの用途に広く用いられている。近年、照度の増大や使用波長の短波長化により、耐光性の改善が求められており、耐光性が不十分な場合、透過率の低下や光学歪みの増加が発生し、長期間安定に部品や素子を使用することができないという問題がある。
特に、光ディスクの大容量化のため、DVD(Digital Versatile Disc)方式から、より波長の短い青色半導体レーザ(以下、青色LDともいう)を光源に用いるBD(Blu−ray Disk)方式では、波長が405nm前後と紫外域に近いため、光ヘッド装置用光学素子には、耐光性に優れる樹脂材料が求められている。特許文献1には、屈折率と波長分散の異なる材料を組み合わせた波長選択性回折素子が提案されているが、青色LD用途に関する樹脂材料は具体的に記載されていない。屈折率や波長分散を制御する上で、芳香族、例えば、フェニル基は有用である。屈折率を高くする場合、フェニル基の数を増やせばよいが、耐光性が悪くなる傾向がある。また、耐光性を優先するとフェニル基の数は少ない方がよく、屈折率は高くできない問題がある。
従来の高屈折率樹脂材料の例としては、フルオレン、テトラフェニルメタン、1,1,2,2−テトラフェニルエタンまたはビフェニルなどの骨格を持つ化合物が挙げられる(例えば、特許文献2および特許文献3を参照。)。これらの化合物の耐光性を向上させるには、分子中の重合基の数を増やしたり、光安定化剤を添加したりすることが考えられる。しかしながら、こうした方法によっても十分な耐光性は得られず、さらなる向上が求められていた。
また、フェニル基に連結する元素として炭素以外にケイ素(Si)を用いた化合物が非特許文献1〜3に記載されているが、屈折率および耐光性に関する記載はない。また、非特許文献3の化合物を用いた場合、基板上で重合し得られた樹脂材料は、クラックを発生する場合があり、光学材料として用いることはできないという問題があった。
特開2002−318306号公報 特開2004−315744号公報 特開2005−298665号公報
Journal of Organic Chemistry 1960, 25, p.807 Journal of Organic Chemistry 1960, 25, p.1063 Journal of Organic Chemistry 1961, 26, p.3031
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、屈折率が高く、且つ、耐光性に優れた光学用の樹脂材料を提供することにある。そして、かかる特性を備えた樹脂材料を実現するための重合性化合物およびそれを含んでなる組成物を提供することである。そしてまた、本発明の目的は、その樹脂材料を使用し、耐光性に優れた光学素子、ならびにこれを用いた光ヘッド装置を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、ケイ素と4つの環基が直接または酸素を介して結合した下記式(1)で表されることを特徴とする重合性化合物に関する。


(式(1)において、A、A、A、およびAはそれぞれ独立して−(O)−Xであり、4個のmはそれぞれ独立して0または1を表し、4個のXはそれぞれ独立して、フェニル基、シクロヘキシルフェニル基およびフェニルシクロヘキシル基のいずれかの環基であり、且つ、その環基はA〜Aで合計して少なくとも2個の水素原子が下記式(2)で表される置換基で置換されており、且つ、A〜Aでそれぞれ独立して環基の残りの水素原子の一部または全部の水素原子がメチル基、メトキシ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基に置換されていてもよく、

W−Y− (2)

式(2)中のYは、単結合または炭素数1〜12のアルキレン基を表し、そのアルキレン基の一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、そのアルキレン基の隣接する炭素−炭素結合の間または環基と結合する末端に酸素原子を有していてもよく、Wはエポキシ基、オキセタン基またはエポキシシクロヘキシル基を表し、Wの基の一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。)
本発明の第1の態様において、Xは、置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、Yは、C2qOで表されるアルキレンオキシ基であって、qは1〜6の整数であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、A〜AでXの有する、式(2)で表される置換基の数の総和は2〜4であることが好ましい。
この場合、上記式(2)のWがエポキシ基であることが好ましい。
本発明の第1の態様では、A〜Aの全てにおいて、その環基が置換基を有していてもよいフェニル基であり、mが0であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の重合性化合物を含むことを特徴とする重合性の組成物に関する。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の重合性組成物を硬化してなる樹脂材料に関する。
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様の樹脂材料を用いてなることを特徴とする光学素子に関する。
本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様の光学素子を用いてなることを特徴とする光ヘッド装置に関する。
本発明の重合性化合物は、組成物に含有されて、それを硬化することにより、高い屈折率を有するとともに、耐光性にも優れ、優れた特性を有する樹脂材料を提供することができる。さらに、本発明の重合性化合物は、複数の重合性官能基を含むことから、これを用いてクラックのない樹脂材料を得ることができる。この樹脂材料は、光学部品や光学素子に好適に用いることができ、信頼性に優れた高性能の光学素子やそれを使用した光ヘッド装置を提供できる。
本実施形態の波長選択性回折素子の一例を示す模式的な断面図である。 本実施形態の波長選択性回折素子の別の例を示す模式的な断面図である。 本実施形態の波長選択性回折素子の他の例を示す模式的な断面図である。 本実施形態の光ヘッド装置の構成図である。
本発明者は、鋭意研究した結果、式(1)に示すケイ素誘導体重合性化合物を用いることにより、それを含有する組成物を得ることができ、そして、その組成物を硬化させることで、屈折率が高く、耐光性に優れ、且つ、クラックのない樹脂材料が得られることを見出した。この樹脂材料は光学素子用途、特に光ヘッド装置用に好適である。
以下、本発明について、その実施の形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態であるケイ素誘導体重合性化合物は、式(1)で示されるように、ケイ素と4つの環基が直接または酸素を介して結合した骨格を有する化合物である。

、A、AおよびAは、それぞれ独立して−(O)−Xである。4個のmは、それぞれ独立して、0または1を表す。A、A、AおよびAを構成する4個のXは、それぞれ独立して、フェニル基、シクロヘキシルフェニル基およびフェニルシクロヘキシル基のいずれかの環基であり、且つ、その環基はA〜Aで合計して少なくとも2つ以上の水素原子が下記式(2)で表される置換基で置換されている。この場合、A〜Aでそれぞれ独立してその環基の残りの水素原子の一部または全部の水素原子がメチル基、メトキシ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基に置換されていてもよい。
尚、本実施形態では、末端のフェニル基またはシクロヘキシル基については、その水素原子の一部または全部がメチル基、メトキシ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基に置換されている場合、本来はフェニレン基またはシクレヘキシレン基と称する方が正確ではある。しかし、未置換の場合と置換の場合とで、全てフェニル基またはフェニレン基というように区別して表記することの煩雑さを避けるために、置換基を有している場合もフェニル基またはシクロヘキシル基と称している。

W−Y− (2)
式(2)において、Yは、単結合または炭素数1〜12のアルキレン基を表し、そのアルキレン基の一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、そのアルキレン基の隣接する炭素−炭素結合の間または環基と結合する末端に酸素原子を有していてもよい。特に、Yは、C2qOで表されるアルキレンオキシ基であって、qは1〜6の整数である、すなわち炭素数1〜6のアルキレンオキシ基であることが、屈折率の制御性に優れ且つ合成が簡便であることから、好ましい。
Wは重合性官能基を示し、エポキシ基、オキセタン基またはエポキシシクロヘキシル基を表す。また、Wの基の一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。本発明の化合物は式(2)で表される置換基が少なくとも2つ以上有するが、上記のWおよびYについては同じであってもよいし、それぞれ上記の範囲の中で異なっていてもよい。特に、必要充分な架橋密度が得られやすいこと及びクラックや光学歪みが発生しにくくなることから、式(2)で表される置換基の数は2〜4であることが好ましい。
エポキシ基、オキセタン基またはエポキシシクロヘキシル基は、重合時に開環反応を伴うため重合時の硬化収縮がアクリル基、メタクリル基と比較して小さい。従って、エポキシ基、オキセタン基またはエポキシシクロヘキシル基を用いることにより、硬化収縮に起因する歪みを軽減することができる。
さらに、エポキシ基、オキセタン基またはエポキシシクロヘキシル基は、重合の酸素阻害が小さく、空気中などの酸素存在下においても、容易に重合できるという長所も併せ持つ。
本発明の実施形態である重合性化合物は、下記式(3)に示す構造であることが好ましい。


すなわち、式(1)のXは、高屈折率を得やすいことから、フェニル基であることが好ましい。式(3)中、Z、Z、Z、およびZと置換した残りのフェニル基中の水素原子は一部または全部の水素原子がメチル基、メトキシ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基に置換されていてもよい。例えば、紫外波長域での透過率を高くできることから、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基で置換されていてもよく、融点を低くできることから、メチル基またはメトキシ基で置換されていてもよい。これらは、目的に応じて種々選択し得る。但し、置換によって屈折率が低下するので、高い屈折率を得るには水素原子とすることが好ましい。
式(3)中、4個のフェニル基における置換基Z、Z、Z、およびZは、式(2)に対応する置換基であり、具体的には、置換基Z〜Zは下記式(4)で表される。

W−Y− (4)
式(4)において、Yは、単結合またはC2pで表されるアルキレン基(但し、pは1〜12までの整数)、C2qOで表されるアルキレンオキシ基(但し、qは1〜12までの整数)、(CHCHO)で表されるエチレンオキシ基を繰り返し単位で含む基(但し、rは1〜6までの整数)、または、(CHCH(CH)O)で表されるプロピレンオキシ基を繰り返し単位で含む基(但し、sは1〜4までの整数)のいずれかを表す。屈折率を調整するために、基中の水素原子の一部または全てをハロゲン原子、フェニル基またはシクロヘキシル基などで置換してもよい。例えば、大きな波長分散を維持しつつ屈折率を下げる場合には水素原子をフッ素原子にすることができる。これらのなかでも屈折率が高いこと、耐光性に優れることの両バランスに優れることから水素原子とすることが特に好ましい。
は、その分子長が短い場合は、重合率が上がらない場合があり、単結合以外の上記基が好ましく、また、p、q、r、およびsは、大き過ぎると屈折率が小さくなることから、pは6以下、qは6以下、rおよびsは2以下であることがさらに好ましい。
上記のアルキレン基およびアルキレンオキシ基は、直鎖状および分岐状のいずれであってもよいが、屈折率の制御性に優れることから、直鎖状であることが好ましい。屈折率の制御性に優れ且つ合成が簡便であることから、特に直鎖状のアルキレンオキシ基であることが好ましい。
式(4)において、Wは、エポキシ基、オキタセン基またはエポキシシクロヘキシル基のいずれかを表す。なお、エポキシシクロヘキシル基としては、1,2−エポキシシクロヘキシル基、2,3−エポキシシクロヘキシル基または3,4−エポキシシクロヘキシル基が使用できる。その中でも屈折率が高くできることからエポキシ基であることが好ましい。
式(3)において、a、b、c、およびdは、それぞれ独立に0〜3の整数であり、少なくとも1つは1以上であって、同時に0(ゼロ)となることはない。また、その総和は2以上である。総和が1の場合には成膜後にクラックが見られる場合があるが、2以上とすることでクラックの発生を抑制することができる。架橋密度が高くなると、耐光性は改善される場合があるので、a、b、c、およびdのうち、少なくとも2つは1以上とすることが好ましい。但し、Z、Z、Z、およびZの数が多過ぎると、相対的にフェニル基の密度が下がり屈折率が低下するため、a、b、c、およびdの総和は4以下であることが好ましい。そして、a、b、c、およびdの総和であるa+b+c+dは2〜4であることが特に好ましい。
本実施の形態の好ましい重合性化合物は、式(3)で示されるように、ケイ素と4つのフェニル基が直接または酸素を介して結合した骨格を有する化合物である。高い屈折率を得るために、分極率の大きなフェニル基が用いられる。シクロヘキシルフェニル基およびフェニルシクロヘキシル基もフェニル基が含まれる点では好ましいが、フェニル基の密度が下がり屈折率が低下するため、フェニル基であることが好ましい理由である。また、フェニル基は数が多くなると、屈折率を高くできることから、結合可能な最大数、すなわち、4つであることが好ましい。
式(3)におけるi、j、k、およびlは、それぞれ独立に0または1を表す。ここで、i、j、k、およびlが0の場合であっても、青色LD波長帯において耐光性に優れること、すなわち、フェニル基との結合において、それらが結合する中心の元素が炭素である場合とケイ素である場合とを比較すると、耐光性はケイ素の場合の方が優れていることを我々は見出した。このような事実は従来知られていなかった。これより、フェニル基の数を最大4つまで増やし高い屈折率を得る一方で、それらフェニル基に結合する元素としてケイ素を用いることで耐光性に優れる化合物ならびに樹脂材料を得ることができる。化合物中のフェニル基の密度が相対的に高くでき、屈折率を高くできることから、i、j、k、およびlは、全て0(ゼロ)になることが特に好ましい。
本発明の重合性化合物は、厳密には全てがエポキシ基を有する化合物ではないが、エポキシ基またはエポキシ基に類似した構造を持ち、エポキシ基と略同等に反応をする。このため、以下の説明では、特に断らない限りは、エポキシ基である場合を代表にして説明をする。
通常のエポキシ基の硬化反応を用いることができ、反応は熱重合、光重合ともに用いることが出来る。熱重合の反応硬化剤としては、例えば、公知の技術文献である「総説エポキシ樹脂(エポキシ樹脂技術協会)」に記載されているように、アミノ基、カルボキシル基、フェノール基、チオール基などを有する酸性あるいは塩基性の活性水素化合物や酸無水物基を有する化合物などの既知の材料を用いることができ、それぞれ単独、および組み合わせて用いても構わない。透明性に優れることから、酸無水物基を有する化合物が好ましく、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が特に好ましく用いられる。
熱重合は、通常の方法に従って行なえばよく、限定されるものではない。重合温度が低いと反応に要する時間が長くなり、重合温度が高すぎると樹脂が着色する場合があるため、120℃から200℃で行なうのが好ましく、赤外吸収スペクトル(以下、IRスペクトルと記載)において、例えば、エポキシ基(870cm−1における吸収)が消失するよう、温度、時間を適宜決めればよい。
光重合の場合、照射光線としては、紫外線または可視光線が挙げられるが、重合速度が速いことから紫外線が好ましい。紫外線硬化剤としては芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホードニウム塩、メタロセン系化合物、芳香族ホスホニウム塩など既知の材料を用いることができ、それぞれ単独、および組み合わせて用いても構わない。紫外線硬化剤の量は、重合性組成物の総量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜2質量%が好ましい。重合時間などの反応条件は熱重合同様、IRスペクトルにてエポキシ基が消失するよう、決めればよい。
さらに、本発明においては、本実施形態にかかる上述の重合性化合物を含む組成物を提供することが可能である。組成物中に含まれる式(1)の化合物は1種類であっても複数であっても構わない。融点、粘度、屈折率など調整する目的に応じて適宜選定すればよい。その他の化合物として、上述の熱重合や光重合に使用される硬化剤が挙げられる。また、成膜時の粘度を下げるため有機溶剤や、式(1)以外の重合性化合物を含んでもよい。式(1)以外の重合性化合物は粘度以外に屈折率を調整する目的で用いてもよく、重合性官能基は1つであっても、複数であっても構わない。
その他の成分として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤が含まれてもよい。これらは樹脂中の総量に対して5質量%以下が好ましく、2質量%以下が特に好ましく、このように重合性組成物を調整すればよい。
さらに、屈折率を制御する目的で、金属酸化物からなるナノ粒子を含んでもよい。高い屈折率を有する樹脂を得るために、La、Y、Gd、Yb、ZrO、Ta、Nb、TiO、WO、Biなどを例示することができる。金属酸化物からなるナノ粒子は屈折率の波長分散を大きくする目的で用いてもよく、このような場合にはNb、TiO、WO、Biを、より好ましくはNb、TiOを用いることができる。屈折率の波長分散を小さくする目的で、La、Y、Gd、Yb、ZrO、Al、SiOなどを用いてもよい。
ナノ粒子は凝集しやすく、光の透過損失を招く場合があり、このような場合には上記ナノ粒子を均一に分散させる目的で、表面処理剤を含んでもよい。表面処理剤としては市販のシランカップリング剤を用いることができ、特にエポキシ基やアミノ基を有する化合物を好適に用いることができる。このような化合物として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
以上、説明した組成物において、本発明の化合物はその効果が現れることから硬化後の樹脂中に10モル%以上含まれるように、組成物を調整することが好ましい。
さらに、本発明においては、本発明の重合性化合物を含んで構成された重合性の上述の組成物、そしてそれを硬化してなる樹脂材料を提供することが可能である。そして、本発明の実施形態であるその樹脂材料を用い光学素子を提供することが可能であり、さらに、その光学素子を使用して光ヘッド装置を構成することが可能である。
本発明の重合性化合物を用いた場合、屈折率の高い樹脂を得ることができ、それは波長589nmでの屈折率が1.55以上必要とされる用途において好ましく用いることができる。従来は、屈折率1.55以上で耐光性に優れる光学樹脂材料はなく、耐光性を優先した場合、屈折率が1.55以上となる光学樹脂材料は得られなかった。また、本発明の実施形態である重合性化合物を用いて実現された樹脂材料は、屈折率が高い場合、屈折率の波長分散を大きくすることができることから、そのような大きな波長分散に対応する用途においても好ましく用いられる。
例えば、光ヘッド装置の偏光分離素子として使用される偏光回折素子(偏光ホログラム素子ともいう)は、複屈折性材料と等方性材料とが積層された構造を持つ。偏光回折素子の偏光特性と回折効率の向上を図るため、複屈折性材料の常光線方向の屈折率または異常光線方向の屈折率は、等方性材料の屈折率と略等しくなるように構成される。しかし、1.55以上の高い屈折率を持つ複屈折性材料の場合、これにマッチングした高屈折率の等方性材料である等方性樹脂の耐光性は十分でなく、透過率や収差に劣化が起こるという問題があった。したがって、本発明の実施形態である樹脂材料は、このような偏光回折素子において、好適に用いることができる。
また、波長選択性回折素子の場合には、回折格子と回折格子の凹部を充填する充填材とを、それぞれ第1の材料と第2の材料とで構成し、両者の屈折率差が波長λでは略等しくなり、波長λでは異なるようにして、波長λでは回折せずに、波長λでは回折することになる。本発明の材料は、耐光性に優れ、屈折率が高く、かつ、屈折率の波長分散を大きくすることができることからこのような回折素子の材料として好適である。
また、その他の例として、本発明の樹脂材料を用いた本発明の光学素子として、波長選択性回折素子について説明する。以下の説明においては、入射する光の波長をλと波長λ(λ<λ)とする。
図1は、本発明の実施形態である波長選択性回折素子の第1の態様を示す模式的な横断面図である。そして、図1(a)は、波長λの光が波長選択性回折素子1Aに入射したときの作用を示す模式的な横断面図であり、図1(b)は、波長λの光が波長選択性回折素子1Aに入射したときの作用を示す模式的な横断面図である。
図1に示す波長選択性回折素子1Aは、格子の凹凸部である回折格子12A(凹凸部材からなる)を表面に形成している透明基板11Aと、その間に充填される充填部材13Aとを備える回折素子であり、透明基板14Aで充填部材13Aが保護されているそして、図1(a)では、波長λの光が入射する様子を示し、図1(b)では、波長λの光が入射する様子を示している。波長λの光に対しては回折格子12Aと充填部材13Aの屈折率が等しく、波長λの光に対しては回折格子12Aと充填部材13Aの屈折率が異なっている。
すなわち、回折格子12A(凹凸部材からなる)と充填部材13Aとの波長λの光に対する屈折率をそれぞれn12A(λ)、n13A(λ)とし、λの光に対する屈折率をそれぞれn12A(λ)、n13A(λ)とし、波長λに対してn12A(λ)=n13A(λ)、波長λに対してn12A(λ)>n13A(λ)>0となるようにする。
波長λの光が回折格子12Aを通過するときには、屈折率が等しいため、図1(a)に示すように、回折格子の機能は発生せず直進透過する。一方、波長λの光が透過するときには、屈折率が異なるため回折格子として機能し、図1(b)に示すように、回折格子12Aの高さdと格子形状により回折効率を変化させることができ、また回折格子12Aの格子ピッチを変化させることにより回折角度を変化させることができる。このように波長λの光に対してのみ回折の効果を有する波長選択性回折素子を実現することができる。
ここで、吸収による透過損失が少ないことから、12Aおよび13Aのいずれの材料も波長λと波長λの範囲で正常分散を示すことが好ましく、n12A(λ)>n12A(λ)、n13A(λ)>n13A(λ)であるとする。すなわち、n12A(λ)=n13A(λ)>n12A(λ)>n13A(λ)の関係となり、13Aは12Aより波長分散が大きく(アッベ数が小さく)なるが、このような材料として本発明の実施形態である樹脂材料は好適に用いられる。
本発明では上記例に限らず、材料の波長分散を変えて、n12A(λ)=n13A(λ)>n13A(λ)>n12A(λ)の関係にしてもよい。
次に、図2に示す波長選択性回折素子1Bついて説明する。図2は、本発明の実施形態である波長選択性回折素子の第2の態様を示す模式的な横断面図である。そして、図2(a)は、波長λの光が波長選択性回折素子1Bに入射したときの作用を示す模式的な横断面図であり、図2(b)は、波長λの光が波長選択性回折素子1Bに入射したときの作用を示す模式的な横断面図である。
図2に示す本発明の実施形態である波長選択性回折素子1Bは、凹凸部材からなる回折格子12Bを表面に形成している透明基板と、その間に充填される充填部材13Bとを備える回折素子である。波長λの光に対しては回折格子12Bと充填部材13Bの屈折率が異なり、波長λの光に対しては回折格子12Bと充填部材13Bの屈折率が等しい。11B、14Bなど11A、14Aとは符号中のアルファベットは異なっているが、同じ数字のものは図1と同じ構成要素を示し、透明基板である。
すなわち、回折格子12Bと充填部材13Bとの波長λの光に対する屈折率をそれぞれn12B(λ)、n13B(λ)とし、波長λの光に対する屈折率をそれぞれn12B(λ)、n13B(λ)とし、波長λに対してn13B(λ)>n12B(λ)>0、また波長λに対してn12B(λ)=n13B(λ)となるようにする。波長λの光に対しては回折の効果を有さず、波長λの光に対して回折の効果を有する。
回折格子12Bを波長λの光が通過するときには、波長選択性回折素子1Bは回折格子として機能し、図2(a)に示すように、格子ピッチの大きさに応じて特定の角度で回折される。直進光の透過効率と回折光の回折効率は、回折格子12Bの高さdや格子形状を変えることで変化できる。一方、波長λの光が通過するときは図2(b)に示すように、回折されることなく直進透過する。すなわち、波長λの光に対してのみ回折の効果を有する波長選択性回折素子を実現することができる。
ここで、吸収による透過損失が少ないことから、12Bおよび13Bのいずれの材料も波長λと波長λの範囲で正常分散を示すことが好ましく、n12B(λ)>n12B(λ)、n13B(λ)>n13B(λ)であるとする。すなわち、n12B(λ)>n13B(λ)>n12B(λ)=n13B(λ)の関係となり、12Bは13Bより波長分散が大きく(アッベ数が小さく)なるが、このような材料として本発明の実施形態である樹脂材料は好適に用いられる。
この場合も、材料の波長分散を変えて、n13B(λ)>n12B(λ)>n12B(λ)=n13B(λ)の関係にしてもよい。
次に図3に示す波長選択性回折素子1Cについて説明する。図3は、本発明の実施形態である波長選択性回折素子の第3の態様を示す模式的な横断面図である。そして、図3(a)は、波長λの光が波長選択性回折素子1Cに入射したときの作用を示す模式的な横断面図であり、図3(b)は、波長λの光が波長選択性回折素子1Cに入射したときの作用を示す模式的な横断面図である。
図3に示す本発明の実施形態である波長選択性回折素子1Cは、上述の波長選択性回折素子1Aと1Bとを積層して組み合わせたものである。具体的には、波長選択性回折素子1Cは、回折格子12Cを表面に形成している透明基板11Cと、回折格子15Cを表面に形成している透明基板16Cとを備え、充填部材13Cと14Cとにより透明基板17Cが挟まれている積層構造を有する。ここで、波長λの光に対しては回折格子12Cと充填部材13Cの屈折率が等しく、波長λの光に対しては回折格子12Cと充填部材13Cの屈折率が異なる。
また、波長λの光に対しては回折格子15Cと充填部材14Cの屈折率が異なり、波長λの光に対しては回折格子15Cと充填部材14Cの屈折率が等しい。したがって、図3(a)が示す波長選択性回折素子1Cの上側の部分は図2(a)、下側の部分は図1(a)がそれぞれ示すように、波長λの光は回折格子15Cで回折され、回折格子12Cを透過し、15Cのみが回折格子として作用する。
一方、図3(b)が示す波長選択性回折素子1Cの上側の部分は図2(b)、下側の部分は図1(b)がそれぞれ示すように、波長λの光は回折格子15Cを透過し、回折格子12Cで回折され、12Cのみが回折格子として作用する。したがって、ひとつの複合化された素子で2種の波長に対して、それぞれ独立に回折素子として機能する。
ここで、波長λおよび波長λがそれぞれBDで使用される405nm波長帯およびDVDで使用される660nm波長帯であるとする。図1において説明した関係にある場合には、405nm波長帯を透過し、660nm波長帯を回折する波長選択性回折素子を作製することができる。さらに、CD(Compact Disk)で使用される785nm波長帯は660nm波長帯と屈折率が近いことから、785nm波長帯においても回折する波長選択性回折素子を作製することができる。
また、図2において説明した関係にある場合には、405nm波長帯を回折し、660nm波長帯を透過する波長選択性回折素子を作製することができる。さらに、785nm波長帯は660nm波長帯と屈折率が近いことから、785nm波長帯においても透過する波長選択性回折素子を作製することができる。
以上説明をした本発明の実施形態である波長選択性回折素子においては、各素子の格子高さd、dまたは格子形状を変化させることで回折効率を変ることができるので、3ビーム発生用素子またはホログラムビームスプリッタとして、好適な効率が得られる格子高さを用いればよい。また、波長選択性回折素子の凹凸部をブレーズド格子形状またはマルチレベル構造の階段状格子形状にすることにより、特定の次数の回折効率を高めて用いてもよい。回折角度についても、所望の回折角度となるような格子ピッチとすればよく、これらは従来の3ビーム発生用素子やホログラムビームスプリッタに用いられている手法をそのまま、波長選択性回折素子に採用できる。
さらに、本発明の組成物を重合してなる樹脂材料は、上述の回折素子以外に、その他の回折素子、レンズなどの光学素子に用いることができる。本樹脂材料はこれら光学素子の作製方法には限定されず、従来知られた方法であってよい。さらに、光学素子同士の積層や、光学部品の固定のための接着剤としても使用できる。
本発明の実施形態である樹脂材料は青色レーザに対する耐光性が優れていることから、光ピックアップ用途において好ましく用いられる。すなわち、本発明の実施形態である樹脂材料を用いた光学素子は、光記録媒体に情報を記録する、および/または、光記録媒体に記録された情報を再生する光ヘッド装置に適し、特にBD(Blu−ray Disk)やHDDVD(High−Definition Digital Versatile Disk)のような青色レーザを用いた光情報記録再生装置用の光ヘッド装置に好適である。具体的には、光ヘッド装置のレーザ光の光路中に好ましく配置される。また、従来高屈折率樹脂が必要とされたその他用途においても、好適に用いられる。
以下に、本発明の実施の形態である光ヘッド装置について説明する。
図4は、本発明の実施形態である光ヘッド装置の構成図である。この図に示すように、光ヘッド装置111は、レーザ光を出射する光源112と、波長選択性回折格子113と、レーザ光を透過するビームスプリッタ114と、レーザ光を平行化するコリメータレンズ115と、光ディスク116の記録層117に集光する対物レンズ118と、光ディスク116からの反射光を検出する光検出器119とを有する。光ヘッド装置111は、BDなどに記録された情報を読み取る際のトラッキング制御において3ビームを用いる。波長選択性回折格子113は、3ビーム発生用回折格子であり、本発明の実施の形態である光学素子(図2の波長選択性回折格子1B)が適用される。
尚、図4では、光源112とビームスプリッタ114の間に波長選択性回折格子113が設けられているが、ビームスプリッタ114と対物レンズ118との間に波長選択性回折格子113を設けてもよく、光源112と対物レンズ118の間の光路中に波長選択性回折格子113を設ける構成であればよい。尚、図4のように波長選択性回折格子113を光源112とビームスプリッタ114の間に配置すれば、光ディスクからの反射光が波長選択性回折格子113で回折されないで光検出器119に導かれるため、光の利用効率が高くなり、好ましい。
光源112は、例えば半導体レーザダイオードで構成され、光ディスク116の種類に応じた波長のレーザ光を生成して波長選択性回折格子113に出射するようになっている。光源112には、通常の光ヘッド装置に使用される通常のレーザ光源が使用される。具体的には、半導体レーザが好適であるが、他のレーザであってもよい。本発明で得られる樹脂材料は、青色レーザに対する耐光性が良好であるので、青色レーザを光源として使用することにより、光ヘッド装置の大容量化が図れる。
本実施の形態では、レーザ光の波長を、例えば、405nm(波長λ)と660nm(波長λ)とする。尚、互いに異なる波長のレーザ光を出射する光源を複数備え、各光源から波長選択性回折格子113にレーザ光が出射される構成としてもよい。
波長選択性回折格子113は、波長λのレーザ光を回折せずに透過した光(0次回折光)と、波長λのレーザ光を回折した光(±1次回折光)とを含む3つのビームをビームスプリッタ114に出力する。さらに、波長選択性回折格子113は、波長λのレーザ光を透過してビームスプリッタ114に出力する。
ビームスプリッタ114は、透過性の材料、例えば、ガラスまたはプラスチックなどで構成され、光ディスク116からの反射光を反射する反射面を備えている。
コリメータレンズ115も、透過性の材料、例えば、ガラスまたはプラスチックなどで構成され、入射したレーザ光を平行化するようになっている。
対物レンズ118は、所定の開口数NAを有し、コリメータレンズ115からの入射光を光ディスク116の記録層117に集光し、記録層117からの反射光を捕捉するようになっている。
光検出器119は、レンズやフォトダイオードなどを含み、ビームスプリッタ114の反射面によって反射された光ディスク116からの反射光を電気信号に変換する。また、光検出器119は、波長λの3ビームの反射光を受光し、0次回折光により生成された主ビームと、±1次回折光により生成された2つの副ビームとを受光し、2つの副ビーム間の光量差に基づいてトラッキングエラーを検出し、トラッキング制御部(図示せず)に出力する。
光ディスク116がBDである場合、光ヘッド装置111は次のように動作する。
まず、光源112から出射された波長λの光は、波長選択性回折格子113によって出射光の一部が回折される。これにより、波長選択性回折格子113からは、0次回折光と±1次回折光を含む光が出射され、ビームスプリッタ114を透過してコリメータレンズ115によって平行光にされる。
コリメータレンズ115から出射された平行光は、対物レンズ118により、0次回折光と±1次回折光が3ビームとなって光ディスク116の情報記録トラック上に集光される。次に、光ディスク116によって反射された光は、再び対物レンズ118よりコリメータレンズ115を透過しビームスプリッタ114で反射されて、0次回折光により生成された主ビームと、±1次回折光により生成された2つの副ビームとが光検出器119の受光面に集光される。そして、光検出器119によって、2つの副ビーム間の光量差に基づいてトラッキングエラー信号が検出され、トラッキング制御部(図示せず)に出力される。
光ディスク116がDVDである場合には、光ヘッド装置111は次のように動作する。
まず、光源112から出射された波長λの光は、波長選択性回折格子113で回折されることなく透過した後、さらにビームスプリッタ114を透過して、コリメータレンズ115で平行光にされる。その後、この平行光は、対物レンズ118によって光ディスク116の情報記録トラック上に集光される。そして、光ディスク116で反射された光は、再び対物レンズ118とコリメータレンズ115を透過し、ビームスプリッタ114で反射されて光検出器119の受光面に集光される。
以上述べたように、本発明の重合性化合物を含む組成物を硬化し、得られる樹脂材料を使用した光学素子を用いることにより、大容量化に適した高信頼の光ヘッド装置を構成することができる。
以下、本発明の実施形態について、実施例をあげて具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
実施例1
<重合性化合物Aの合成>
重合性化合物A

重合性化合物Aは、下記の合成スキームに示す方法により合成した。

以下、重合性化合物Aを合成する上記合成スキームの各工程について詳細に説明する。
[化合物A―1の合成(工程1−1)]
テトラヒドロフラン(以下、THFと記載)100mlに4−ブロモフェノールを18g(105mmol)、トリエチルアミン(NEt)を12.7g(126mmol)、それぞれ溶解させて攪拌し、10分かけてゆっくりとt−ブチルジメチルクロロシラン(t−BuMeSiCl)23.6g(157mmol)のTHF溶液(150ml)を滴下して室温で12時間反応させた。その後、水、ジクロロメタンを加え、有機層を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて十分に乾燥させた後、溶媒を留去させた。酢酸エチル/ヘキサンでカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、無色透明液体の化合物A−1を33g得た。収率86%であった。
[化合物A−2の合成(工程1−2)]
THF400mlに化合物A−1を10g(35mmol)溶解させ、窒素雰囲気下、−78℃にて攪拌をし、1.6mol/lのn−ブチルリチウム(n−BuLi)ヘキサン溶液22ml(35mmol)を20分程度かけてゆっくりと滴下した。−78℃にて60分の反応の後、ジフェニルジクロロシラン(PhSiCl)3.6ml(17mmol)を5分程度かけてゆっくりと滴下した。室温にて15時間反応させた後、水、ジクロロメタンを加え、有機層を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて十分に乾燥させた後、溶媒を留去させた。酢酸エチル/ヘキサンでカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、白色固体の化合物A−2を5.2g得た。収率は50%であった。
[化合物A−3の合成(工程1−3)]
THF100mlに化合物A−2を5.2g(8.7mmol)と、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)5.5g(21mmol)を溶解させ、室温にて15時間攪拌した。その後、水、ジクロロメタンを加え、有機層を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて十分に乾燥させた後、溶媒を留去させた。酢酸エチル/ヘキサンでカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、白色固体の化合物A−3を1.5g得た。収率は47%であった。
[重合性化合物Aの合成(工程1−4)]
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100mlに化合物A−3を1.5g(4.1mmol)と、エピクロロヒドリン3.7g(41mmol)と、炭酸カリウム(KCO)5.6g(41mmol)とを加えて攪拌し、80℃で7時間反応させた。その後、水、ジクロロメタンを加え、有機層を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて十分に乾燥させた後、溶媒を留去させた。酢酸エチル/ヘキサンでカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、無色透明で粘張な重合性化合物A、ビス(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)ジフェニルシランを0.58g得た。収率は30%であった。以下、得られた重合性化合物AのH−NMRスペクトルのスペクトルデータを示す。
重合性化合物AのH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl、内部標準:テトラメトキシシラン(TMS))のスペクトルデータは、δ(ppm):2.56(1H,s),2.75(1H,dd),2.90(1H,dd),3.99(1H,dd),4.21(1H,dd),6.93−6.95(2H,d),7.38−7.56(18H,m)であった。
実施例2
<重合性化合物Bの合成>
重合性化合物B

重合性化合物Bは、下記の合成スキームに示す方法により合成した。

以下、重合性化合物Bを合成する上記合成スキームの各工程について詳細に説明する。
[化合物B−1の合成(工程2−1)]
DMF400mlに4−ブロモフェノール35g(204mmol)、エピクロロヒドリン74.9g(814mmol)、炭酸カリウム(KCO)112.4g(814mmol)を加えて攪拌し、100℃で12時間反応させた。その後、水、ジクロロメタンを加え、有機層を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて十分に乾燥させた後、溶媒を留去させた。酢酸エチル/ヘキサンでカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、白色固体の化合物B−1を38g得た。収率82%であった。
[重合性化合物Bの合成(工程2−2)]
THF150mlに化合物B−1を5g(22mmol)溶解させ、窒素雰囲気下、−78℃にて攪拌をし、1.6mol/lのn−ブチルリチウム(n−BuLi)ヘキサン溶液15ml(24mmol)を20分程度かけてゆっくりと滴下した。−78℃にて60分の反応の後、テトラクロロシラン(SiCl)0.59ml(5.2mmol)を5分程度かけてゆっくりと滴下した。室温にて15時間反応させた後、水、ジクロロメタンを加え、有機層を抽出し、硫酸マグネシウムを加えて十分に乾燥させた後、溶媒を留去させた。酢酸エチル/ヘキサンでカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、無色透明で粘張な銃合性化合物B、テトラキス(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)シランを0.90g得た。収率は27%であった。
重合性化合物BのH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl、内部標準:TMS)のスペクトルデータは、δ(ppm):2.74(1H,d),2.88(1H,d),3.30(1H,d),3.94(1H,d),4.21(1H,dd),6.93−6.95(2H,d),7.53(2H,d)であった。
実施例3
<重合性化合物Cの合成>
重合性化合物C

重合性化合物Cは、上記した重合性化合物Aの合成スキームにおける工程1−1において、4−ブロモフェノールを用いる代わりに3−ブロモフェノールを用いる以外は同様にして、合成を行った。その結果、無色透明で粘張な重合性化合物C、(ビス(3-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)ジフェニルシラン)を得た。化合物CのH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl、内部標準:TMS)のスペクトルデータは、δ(ppm):2.56(1H,s),2.75(1H,dd),2.90(1H,dd),3.99(1H,dd),4.21(1H,dd),6.93−6.95(2H,d),7.05−7.56(18H,m)であった。
実施例4
<重合性化合物Aを用いた組成物の調整、および樹脂材料の作製とその光学評価>
重合性化合物Aを100重量部、硬化剤として4-メチルヘキサハイドロフタル酸無水物(以下、MeHHPAと表記、東京化成工業株式会社製)を64重量部(0.9エポキシ等量)、ジアザビシクロウンデセン(以下、DBUと表記、Aldrich社製)を3.8重量部(0.05エポキシ等量)加え、加熱しながら均一になるまで攪拌した。一方、直径10μmのガラスビーズを混ぜた接着剤を用いて2枚のガラス板を角4箇所で留めて張り合わせ、上下ガラス基板間隔を該10μmとした空のガラスセルを作製した。そして、その空セルの中(すなわち、ガラス基板間)に、上記組成物を液体状態で注入した。続いて、ガラスセルを120℃で2時間、さらに150℃で2時間加熱することによって、ガラスセル内の組成物を硬化させた。その後、2枚のガラス板の一方を剥離し、片側に硬化した本実施例に係る樹脂材料が付いた試験片を得た。プリズムカプラ(Metricon社製:Model2010)を用い、30℃で波長404nmにおける屈折率を測定したところ1.601であった。さらに波長633nmおよび791nmの屈折率を測定し、
Cauchyの式:(n(λ))=A+B/λ+C/λ
(nは屈折率、λは波長、A、B、Cはそれぞれ定数)
を用いて、波長589nmの屈折率(n)とアッベ数(ν)を算出したところ、n=1.57、ν=31であり、高屈折率な樹脂であることが確認できた。
実施例5
<重合性化合物Bを用いた組成物の調整、および樹脂材料の作製と光学評価>
重合性化合物Bを100重量部、MeHHPAを97重量部(0.9エポキシ等量)、DBUを2.4重量部(0.05エポキシ等量)加える以外は実施例4と同様にして、本実施例に係る重合性化合物Bを用いた樹脂材料の試験片を作製した。実施例4の欄に記載の方法で、30℃で波長404nmにおける屈折率を測定したところ1.575、また、n=1.55、ν=35であり、高屈折率な樹脂であることが確認できた。
実施例6
<重合性化合物Cを用いた組成物の調整、および樹脂材料の作製と光学評価>
重合性化合物Cを100重量部、MeHHPAを64重量部(0.9エポキシ等量)、DBUを3.8重量部(0.05エポキシ等量)加える以外は実施例4と同様にして、本実施例に係る重合性化合物Cを用いた樹脂材料の試験片を作製した。30℃で波長404nmにおける屈折率を測定したところ1.599、また、n=1.57、ν=31であり、高屈折率な樹脂であることが確認できた。
実施例7
<重合性化合物A、BおよびCをそれぞれ用いた樹脂材料の耐光性評価サンプルである積層体A、BおよびCの作製>
波長406nmの光の反射率が0.5%未満となる反射防止膜が一方の表面にコーティングされた一対のガラス基板を用い、そのコーティング面と反対の面を互いに対向させ、基板間ギャップが20μmとなるようにし、その他の方法は上記実施例4の場合と同様の方法で空のガラスセルを作製した。そして、その空セルの中(上下基板の間)に、上記実施例4〜6記載の方法と同様にして、重合性化合物A、BおよびCを用いた樹脂材料をそれぞれ形成した。そして、表面が上記特性の反射防止膜でコーティングされた一対のガラス基板によって、重合性化合物A、BおよびCをそれぞれ用いた樹脂材料が挟持されてなる積層体A、積層体Bおよび積層体Cを得た。
実施例8
<積層体A、BおよびCの耐光性評価>
実施例7で得られた積層体A、B、およびCに対し、80℃の温度条件下にて、発振波長406nmのレーザ光を50kJ/mm照射した。照射前後で透過率を測定したところ、波長406nmにおける透過率変化△T(照射前透過率−照射後の透過率)は、何れの積層体についても1%未満であった。
比較例1
<化合物Dの合成>
化合物D

本発明の比較例として、非特許文献3に記載の方法にしたがい、化合物D、4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)トリフェニルシランを合成した。化合物Dは白色固体であった。化合物DのH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl、内部標準:TMS)のスペクトルデータは、δ(ppm):2.56(1H,s),2.75(1H,dd),2.90(1H,dd),3.99(1H,dd),4.21(1H,dd),6.93−6.95(2H,d),7.05−7.56(17H,m)であった。
比較例2
<化合物Dを用いた樹脂材料の作製とその評価>
実施例4において記載の重合性化合物Aを用いた樹脂材料の試験片の作製方法と同様に、化合物Dを100重量部、MeHHPAを38.3重量部(0.9エポキシ等量)、DBUを1.79重量部(0.05エポキシ等量)用い、それ以外の方法は実施例4の場合と同様にして、化合物Dを用いた樹脂材料の試験片を作製した。化合物Dを用いた組成物の硬化物である樹脂材料の試験片には、多数のクラックが発生し、光学用樹脂材料として用いることができなかった。
比較例3
<エピコート828を用いた樹脂材料の作製とその光学評価>
ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂材である商品名「エピコート828」を100重量部、MeHHPAを82重量部(0.9エポキシ等量)、DBUを4.1重量部(0.05エポキシ等量)用い、それ以外の方法は実施例4の場合と同様にして、「エピコート828」を用いた樹脂材料の試験片を作製した。実施例4に記載の方法で、30℃で波長404nmにおける屈折率を測定したところ1.562、また、n=1.54、ν=37であり、高屈折率な樹脂であることが確認できた。
比較例4
<「エピコート828」を用いた樹脂材料の耐光性評価サンプルである積層体Eの作製>
実施例7に記載した方法に従い、同様の反射防止膜をコーティングされた一対のガラス基板を用い、比較例3記載の方法と同様にして「エピコート828」を用いた樹脂材料を当該ガラス基板間に作製して、実施例7に記載の積層体A〜Cと同様の構造の積層体Eを得た。
比較例5
<積層体Eの耐光性評価>
比較例4で得られた積層体Eに対し、実施例8で示した方法に従う耐光性評価を行った。発振波長406nmのレーザ光を50kJ/mm照射した。照射前後で透過率を測定したところ、波長406nmにおける透過率変化△T(照射前透過率−照射後の透過率)は、約7%であった。積層体A、BおよびCの場合に比べ、「エピコート828」を用いた樹脂材料からなる積層体Eでは透過率変化△Tは顕著に大きかった。
以上の評価結果の一覧を表1にまとめて示す。表1には、エポキシ化合物として本発明の実施例である重合性化合物A(実施例4)、重合性化合物B(実施例5)、重合性化合物C(実施例6)を用いた樹脂材料について、クラック発生の有無、屈折率(n)、アッベ数(ν)、および対応する上記積層体A〜C(実施例7)の透過率変化△T(耐光性ΔT)をまとめた。そして、併せて、本発明の比較例である化合物D(比較例2)および「エピコート828」(比較例5)用いた樹脂材料について、クラック発生の有無、屈折率(n)、アッベ数(ν)、および対応する上記構造の積層体E(比較例4)の耐光性(耐光性ΔT)をまとめた。
この表1に示す評価結果から、本発明の重合性化合物はクラックを発生することなく樹脂材料を実現することができ、クラックの発生なく成膜が可能であることがわかった。そしてさらに、本発明の樹脂材料は、高屈折率であるにも関わらず、耐光性にも優れることがわかった。

本発明の重合性化合物を用いて実現された樹脂材料は光学用途に好適であり、光学フィルム、レンズ、光ディスクや光ピックアップ用の光学素子など、高屈折率材料が必要とされる用途に用いることができる。そして、さらに耐光性に優れているので、光照度が強い用途や青色レーザが使用される用途において、好適に用いることができる。
1A、1B、1C、113 波長選択性回折素子
11A、14A、11B、14B、11C、16C、17C 透明基板
12A、12B、12C、15C 回折格子
13A、13B、13C、14C 充填部材
111 光ヘッド装置
112 光源
114 ビームスプリッタ
115 コリメータレンズ
116 光ディスク
117 記録層
118 対物レンズ
119 光検出器

Claims (10)

  1. ケイ素と4つの環基が直接または酸素を介して結合した下記式(1)で表されることを特徴とする重合性化合物。


    (式(1)において、A、A、A、およびAはそれぞれ独立して−(O)−Xであり、4個のmはそれぞれ独立して0または1を表し、4個のXはそれぞれ独立して、フェニル基、シクロヘキシルフェニル基およびフェニルシクロヘキシル基のいずれかの環基であり、且つ、その環基はA〜Aで合計して少なくとも2個の水素原子が下記式(2)で表される置換基で置換されており、且つ、A〜Aでそれぞれ独立して環基の残りの水素原子の一部または全部の水素原子がメチル基、メトキシ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基に置換されていてもよく、

    W−Y− (2)

    式(2)中のYは、単結合または炭素数1〜12のアルキレン基を表し、そのアルキレン基の一部または全部の水素原子がフッ素原子またはヒドロキシ基に置換されていてもよく、そのアルキレン基の隣接する炭素−炭素結合の間または環基と結合する末端に酸素原子を有していてもよく、Wはエポキシ基、オキセタン基またはエポキシシクロヘキシル基を表し、Wの基の一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。)
  2. Xは、置換基を有していてもよいフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の重合性化合物。
  3. Yは、C2qOで表されるアルキレンオキシ基であって、qは1〜6の整数であることを特徴とする請求項1または2に記載の重合性化合物。
  4. 〜AでXの有する、式(2)で表される置換基の数の総和が2〜4であることを特徴とする請求項3に記載の重合性化合物。
  5. 上記式(2)のWがエポキシ基であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の重合性化合物。
  6. 〜Aの全てにおいて、その環基が置換基を有していてもよいフェニル基であり、且つ、mが0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合性化合物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物を含むことを特徴とする組成物。
  8. 請求項7に記載の組成物を硬化してなる樹脂材料。
  9. 請求項8に記載の樹脂材料を用いてなる光学素子。
  10. 請求項9に記載の光学素子を用いてなる光ヘッド装置。
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