JP2010168572A - ガスバリア用材料及びガスバリア性成形体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材となる成形体表面に架橋構造が形成されたセルロース繊維層を有しており、前記架橋構造が形成されたセルロース繊維層が、セルロース繊維と反応性官能基を有する架橋剤との反応により形成されたものであり、前記セルロース繊維が、平均繊維径が200nm以下のものを含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gのものである、ガスバリア性成形体。
【選択図】 なし
Description
特許文献1は、微結晶セルロースを含有するコーティング剤と、それを基材に塗布した積層材料に関する発明である。原料となる微結晶セルロース粉末は、平均粒径が100μm以下のものが好ましいことが記載され、実施例では、平均粒径が3μmと100μmのものが使用されているだけであり、後述の繊維の微細化処理についての記載は一切なく、塗布したコーティング剤層の緻密性や膜強度、基材との密着性に改善の余地がある。
(1)平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維と反応性官能基を有する架橋剤を含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gであるガスバリア用材料。
(2)前記平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維の平均アスペクト比が10〜1,000である、請求項1記載のガスバリア用材料。
(3)前記反応性官能基を有する架橋剤が、エポキシ基、アルデヒド基、アミノ基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドラジド基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アゼチジニウム基、アルコキシド基、メチロール基、シラノール基、水酸基から選ばれる官能基であり、前記架橋剤が二つ以上の官能基を含む化合物である、請求項1又は2記載のガスバリア用材料。
(4)前記反応性官能基を有する架橋剤が、分子量が500以下のものである、請求項1〜3のいずれか1項記載のガスバリア用材料。
(5)前記反応性官能基を有する架橋剤が、分子量が500以下のものであり、アルデヒド基、カルボキシル基を2つ以上含む化合物である、請求項1〜3のいずれか1項記載のガスバリア用材料。
(6)前記反応性官能基を有する架橋剤が、グリオキサール、グルタルアルデヒド、クエン酸から選ばれる少なくとも1つ以上を含むものである、請求項1〜3のいずれか1項記載のガスバリア用材料。
(7)請求項1〜6のいずれか1項記載のガスバリア用材料から形成された、ガスバリア性成形体。
(8)基材となる成形体表面に、請求項1〜6のいずれか1項記載のガスバリア用材料から形成された層を有する、ガスバリア性成形体。
(9)請求項7又は8記載のガスバリア性成形体の製造方法であって、成形用の硬質表面に対して又は基材となる成形体に対して、セルロース繊維と反応性官能基を有する架橋剤を含むガスバリア用材料を供給し、該硬質表面または該成形体に付着させる工程、その後、乾燥する工程を有している、ガスバリア性成形体の製造方法。
(10)請求項9記載の製造方法であって、乾燥する工程の後に、ガスバリア性成形体を加熱する工程を有するガスバリア性成形体の製造方法。
本発明におけるガスバリア材は、前記の各種ガス全てに対してバリア性の向上を目的とするものだけでなく、ある特定のガスに対してのみバリア性を向上するものであっても良い。例えば酸素バリア性は低下するが、水蒸気バリア性が向上するガスバリア材は、水蒸気の透過を選択的に阻害するガスバリア材であり、本発明に含まれる。バリア性向上の対象となるガスは用途によって適宜選択される。
本発明のガスバリア用材料は、特定のセルロース繊維と反応性官能基を有する架橋剤を含んでいる。
本発明で用いるセルロース繊維は、平均繊維径が200nm以下のものを含み、好ましくは1〜200nm、より好ましくは1〜100nm、更に好ましくは1〜50nmのものである。平均繊維径は、実施例に記載の測定方法により、求められるものである。
(I):固形分0.1質量%に希釈したセルロース繊維懸濁液中のセルロース繊維質量に対して、目開き16μmのガラスフィルターを通過できるセルロース繊維の質量分率が5%以上である、性能の良好なセルロース繊維を得ること。
(II):固形分1質量%に希釈したセルロース繊維懸濁液中に、粒子径が1μm以上のセルロースの粒状体を含まないこと。
(III):固形分1質量%に希釈したセルロース繊維懸濁液の光透過率が、0.5%以上になること。
上記の酸化したセルロース繊維表面は、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基を有しており、これらと反応できる官能基を有した架橋剤によってセルロース繊維間に架橋構造を形成することができる。
本発明のガスバリア性成形体は、
(i)基材を使用しないで、ガスバリア用材料を成形して得られるもの、
(ii)基材となる成形体の表面にガスバリア用材料からなる層を有するもの、
のいずれかにすることができる。
ガスバリア性成形体が基材となる成形体を含まないものである場合には、ガラス板等の基板上に、ガスバリア用材料を流延塗布した後、自然乾燥又は送風乾燥等の乾燥法により乾燥して膜を形成する。その後、基板から膜を剥がして、本発明のガスバリア性成形体(ガスバリア性膜)を得る。
この工程で用いるガスバリア用材料は、上記の特定のセルロース繊維を含む懸濁液と官能基を有する反応性架橋剤を混合したセルロース繊維の懸濁液である。この懸濁液の上記特定のセルロース繊維の濃度は0.05〜30質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%の範囲がより好ましい。
(1-1)平均繊維径、及び平均アスペクト比
セルロース繊維の平均繊維径は、0.0001質量%に希釈した懸濁液をマイカ上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製,プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)使用)で繊維高さを測定した。セルロース繊維が確認できる画像において、5本以上抽出し、その繊維高さから平均繊維径を求めた。
(1-2)カルボキシル基含有量(mmol/g)
酸化したパルプの絶乾重量約0.5gを100mlビーカーにとり、イオン交換水を加えて全体で55mlとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加えてパルプ懸濁液を調製し、パルプが十分に分散するまでスタラーにて攪拌した。そして、0.1M塩酸を加えてpH2.5〜3.0としてから、自動滴定装置(AUT−501、東亜デイーケーケー(株)製)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で注入し、パルプ懸濁液の1分ごとの電導度とpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続けた。そして、得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、カルボキシル基含有量を算出した。
分光光度計(UV−2550、株式会社島津製作所製)を用い、濃度1質量%の懸濁液の波長660nm、光路長1cmにおける光透過率(%)を測定した。
セルロース繊維懸濁液を0.1質量%に調製して、その固形分濃度を測定した。続いて、そのセルロース繊維懸濁液を目開き16μmのガラスフィルター(25G P16,SHIBATA社製)で吸引ろ過した後、ろ液の固形分濃度を測定した。ろ液の固形分濃度(C1)をろ過前の懸濁液の固形分濃度(C2)で除した(C1/C2)値を微細セルロース繊維含有率(%)として算出した。
固形分1質量%に希釈した懸濁液をスライドガラス上に1滴滴下し、カバーガラスをのせて観察試料とした。この観察試料の任意の5箇所を光学顕微鏡(ECLIPSE E600 POL NIKON社製)を用いて倍率400倍で観察し、粒子径が1μm以上のセルロース粒状体の有無を確認した。粒状体とは、略球状であり、その形状を平面に投影した投影形状を囲む長方形の長軸と短軸の比(長軸/短軸)が最大でも3以下であるものとする。粒状体の粒子径は、長軸と短軸の長さの相加平均値とする。このときクロスニコル観察によって、より明瞭に確認することもできる。
(2-1)酸素透過度(等圧法)(cm3/m2・day・Pa)
JIS K7126−2 付属書Aの測定法に準拠して、酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21(型式ML&SL、MODERN CONTROL社製)を用い、23℃、湿度50%RHの条件で測定した。具体的には、23℃、湿度50%RHの酸素ガス、23℃、湿度50%の窒素ガス(キャリアガス)環境下で測定を行った。また一部比較例において23℃、湿度0%RHの条件で測定した。具体的には、23℃、湿度0%RHの酸素ガス、23℃、湿度0%の窒素ガス(キャリアガス)環境下で測定を行った。
JIS Z0208に基づき、カップ法を用いて、40℃、90%RHの環境下の条件で測定した。
〔セルロース繊維懸濁液の製造〕
(1)原料、触媒、酸化剤、共酸化剤
天然繊維:針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名 「Machenzie」、CSF650ml)
TEMPO:市販品(製造会社:ALDRICH、Free radical、98%)
次亜塩素酸ナトリウム:市販品(製造会社:和光純薬工業(株) Cl:5%)
臭化ナトリウム:市販品(製造会社:和光純薬工業(株))。
まず、上記の針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分攪拌後、パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム質量12.5%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加し、pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムの滴下にてpHを10.5に保持し、温度20℃で酸化反応を行った。
〔架橋剤含有セルロース繊維懸濁液(ガスバリア用材料)の調製〕
次に、得られたセルロース繊維懸濁液を100g採取し、架橋剤として、5質量%に希釈されたPAE水溶液(ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、製品名WS4030、星光PMC社製)を1.3g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が5質量部)加えてよく攪拌した。
基材シートとしてポリエチレンテレフタレート(PET)シート(商品名:ルミラー、東レ社製、シート厚み25μm)の片側面上に、前記のガスバリア用材料をバーコーター(#50)で塗布した後、23℃で120分間乾燥して、ガスバリア性積層体を得た。次いで、表1に示す各項目の測定をした。
実施例1と同様にしてガスバリア用材料を得た。次に、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を得たのち、150℃に維持した恒温槽で30分間加熱処理した。常温で2時間以上放熱した後、表1に示す各項目の測定をした。
実施例1と同様にしてセルロース繊維懸濁液を得た。
実施例3と同様にしてガスバリア用材料を得た。次に、実施例3と同様にして、ガスバリア性積層体を得たのち、110℃に維持した恒温槽で30分間加熱処理した。常温で2時間以上放熱した後、表1に示す各項目の測定をした。
実施例3と同様にしてガスバリア用材料を得た。次に、実施例3と同様にして、ガスバリア性積層体を得たのち、150℃に維持した恒温槽で30分間加熱処理した。常温で2時間以上放熱した後、表1に示す各項目の測定をした。
架橋剤として、5質量%に希釈されたADH(アジピン酸ジヒドラジド、大塚化学(株)社製)水溶液を2.6g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が10質量部)加えた以外は実施例4と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表1に示す各項目の測定をした。
架橋剤として、5質量%に希釈されたポリイソシアネート(製品名:デュラネートWB30-100、旭化成ケミカルズ(株)社製)水溶液を2.6g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が10質量部)加えた以外は実施例4と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表1に示す各項目の測定をした。
架橋剤として、5質量%に希釈されたアクリルアミド―アクリル酸ヒドラジド共重合体(製品名:APA−P280、大塚化学(株)社製)水溶液を2.6g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が10質量部)加えた以外は実施例4と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表1に示す各項目の測定をした。
架橋剤として、5質量%に希釈されたソルビトールポリグリシジルエーテル(製品名:デナコールEX-614B、ナガセケムテック(株)社製)水溶液を2.6g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が10質量部)加えた以外は実施例4と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表1に示す各項目の測定をした。
架橋剤として、5質量%に希釈されたポリカルボジイミド(製品名:E−02、日清紡(株)社製)水溶液を2.6g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が10質量部)加えた以外は実施例4と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表1に示す各項目の測定をした。
比較例1はPETフィルム(厚さ25μm)の表2に示す各項目を測定した。
比較例2は架橋剤を添加しないこと以外は実施例1と同様にして積層体を得た後、表2に示す各項目を測定した。
ADH:アジピン酸ジヒドラジド、大塚化学(株)社製
WB30:ポリイソシアネート、製品名デュラネートWB30-100、旭化成ケミカルズ(株)社製
APA280:アクリルアミド−アクリル酸ヒドラジド共重合体,大塚化学(株)製
EX−614B:ソルビトールポリグリシジルエーテル、製品名デナコールEX-614B、ナガセケムテック(株)社製
E−02:ポリカルボジイミド、製品名E−02、日清紡(株)製
実施例1と同様にしてセルロース繊維懸濁液を調製し、5質量%に希釈されたグリオキサール(製造会社:和光純薬工業(株))水溶液を1.3g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が5質量部)加えた以外は実施例2と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表3に示す各項目の測定をした。
5質量%に希釈されたグルタルアルデヒド(製造会社:和光純薬工業(株))水溶液を1.3g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が5質量部)加えた以外は実施例11と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表3に示す各項目の測定をした。
5質量%に希釈されたADH(アジピン酸ジヒドラジド、大塚化学(株)社製)を1.3g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が5質量部)加えた以外は実施例11と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表3に示す各項目の測定をした。
5質量%に希釈されたクエン酸(製造会社:和光純薬工業(株))社製)水溶液を1.3g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が5質量部)加えた以外は実施例11と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表3に示す各項目の測定をした。
5質量%に希釈されたアクリルアミド―アクリル酸ヒドラジド共重合体(製品名:APA−P280、大塚化学(株)社製)水溶液を1.3g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が5質量部)加えた以外は実施例11と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表3に示す各項目の測定をした。
5質量%に希釈されたポリカルボジイミド(製品名:E−02、日清紡(株)社製)水溶液を1.3g(セルロース繊維固形分100質量部に対する架橋剤量が5質量部)加えた以外は実施例11と同様にしてガスバリア性積層体を得て、表3に示す各項目の測定をした。
Claims (10)
- 平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維と反応性官能基を有する架橋剤を含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gであるガスバリア用材料。
- 前記平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維の平均アスペクト比が10〜1,000である、請求項1記載のガスバリア用材料
- 前記反応性官能基を有する架橋剤が、エポキシ基、アルデヒド基、アミノ基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドラジド基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アゼチジニウム基、アルコキシド基、メチロール基、シラノール基、水酸基から選ばれる官能基であり、前記架橋剤が二つ以上の官能基を含む化合物である、請求項1又は2記載のガスバリア用材料。
- 前記反応性官能基を有する架橋剤が、分子量が500以下のものである、請求項1〜3のいずれか1項記載のガスバリア用材料。
- 前記反応性官能基を有する架橋剤が、分子量が500以下のものであり、アルデヒド基、カルボキシル基を2つ以上含む化合物である、請求項1〜3のいずれか1項記載のガスバリア用材料。
- 前記反応性官能基を有する架橋剤が、グリオキサール、グルタルアルデヒド、クエン酸から選ばれる少なくとも1つ以上を含むものである、請求項1〜3のいずれか1項記載のガスバリア用材料。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のガスバリア用材料から形成された、ガスバリア性成形体。
- 基材となる成形体表面に、請求項1〜6のいずれか1項記載のガスバリア用材料から形成された層を有する、ガスバリア性成形体。
- 請求項7又は8記載のガスバリア性成形体の製造方法であって、成形用の硬質表面に対して又は基材となる成形体に対して、セルロース繊維と反応性官能基を有する架橋剤を含むガスバリア用材料を供給し、該硬質表面または該成形体に付着させる工程、その後、乾燥する工程を有している、ガスバリア性成形体の製造方法。
- 請求項9記載の製造方法であって、乾燥する工程の後に、ガスバリア性成形体を加熱する工程を有するガスバリア性成形体の製造方法。
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