JP2010027409A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した出力特性を発揮することができ、しかも、その状態(充電状態や異常など)を検知し易いリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池100に含まれる正極活物質は、同一の組成式(例えば、LiFePO4)で表される化合物からなり、2相共存型の充放電を行う正極活物質であって、リチウムイオン拡散係数が異なる2種以上の正極活物質(第1正極活物質153b及び第2正極活物質153c)である。
【選択図】図3
【解決手段】リチウムイオン二次電池100に含まれる正極活物質は、同一の組成式(例えば、LiFePO4)で表される化合物からなり、2相共存型の充放電を行う正極活物質であって、リチウムイオン拡散係数が異なる2種以上の正極活物質(第1正極活物質153b及び第2正極活物質153c)である。
【選択図】図3
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯機器の電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として注目されている。現在、リチウムイオン二次電池としては、LiMO2(Mは、Co,Ni,Mn,V,Al,Mgなど)からなる正極活物質と、グラファイトからなる負極活物質と、Li塩と非水系溶媒からなる非水電解液とを有するものが主流となっている(例えば、特許文献1〜3参照)。このリチウムイオン二次電池は、高い放電電圧を示し、高出力であるという利点がある。
ところで、特許文献1〜3に開示されているリチウムイオン二次電池は、充電時には充電するにしたがって徐々に電池電圧が上昇し、逆に、放電時には放電するにしたがって徐々に電池電圧が低下する特性を有している。このため、充放電時の電池電圧の変化が大きくなるので、出力変動が大きく、電池の充電状態(蓄電量)により出力特性が変化して使いにくいという課題があった。
これに対し、特許文献4,5には、正極活物質として、組成式LiFePO4等で表されるオリビン構造のリチウム遷移金属複合酸化物を用いた二次電池が提案されている。LiFePO4等で表されるオリビン構造のリチウム遷移金属複合酸化物は、充放電電位が充放電の際にも略一定であり、リチウムイオンを脱離・吸蔵してもほとんど変化しない。その理由は、例えば、LiFePO4で表されるオリビン構造のリチウム遷移金属複合酸化物は、Liの吸蔵・脱離時に、LiFePO4とFePO4との2相共存状態となるからであると考えられる。
従って、LiFePO4等の2相共存型の充放電を行う正極活物質を用いることで、充電状態の変化に伴う入力密度や出力密度の変化が少なく、出力特性の安定したリチウム二次電池を構成することが可能となる。しかしながら、このようなリチウムイオン二次電池は、充放電の際、電池電圧の変化が小さくなる。このため、電池電圧に基づいて、その状態(充電状態や異常など)を検知(判断)することが難しかった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、安定した出力特性を発揮することができ、しかも、その状態(充電状態や異常など)を検知し易いリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
その解決手段は、正極活物質を含むリチウムイオン二次電池であって、上記正極活物質は、同一の組成式で表される化合物からなり、2相共存型の充放電を行う正極活物質であって、リチウムイオン拡散係数が異なる2種以上の正極活物質であるリチウムイオン二次電池である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極活物質として、同一の組成式で表される化合物からなり、2相共存型の充放電を行う正極活物質を用いている。このため、充電状態の変化に伴う入力密度や出力密度の変化が少なく、出力特性の安定したリチウム二次電池となる。
しかしながら、従来、このようなリチウムイオン二次電池は、充放電の際、電池電圧の変化が小さいので、その状態(充電状態や異常など)を検知することが難しかった。
これに対し、本発明のリチウムイオン二次電池では、同一の組成式で表される化合物からなるが、リチウムイオン拡散係数が異なる正極活物質を2種類以上混在させている。これにより、充放電時における電池電圧の挙動を下記のようにすることができるので、安定した出力特性を確保しつつも、二次電池の状態を検知し易くなる。
これに対し、本発明のリチウムイオン二次電池では、同一の組成式で表される化合物からなるが、リチウムイオン拡散係数が異なる正極活物質を2種類以上混在させている。これにより、充放電時における電池電圧の挙動を下記のようにすることができるので、安定した出力特性を確保しつつも、二次電池の状態を検知し易くなる。
具体的には、例えば、第1正極活物質と、第1正極活物質よりもリチウムイオン拡散係数が大きい第2正極活物質とを混在させている場合、蓄電量0%の状態から充電を開始すると、第2正極活物質に先立って、リチウムイオン拡散係数の小さい第1正極活物質においてリチウムイオンの拡散が進行する。従って、充電初期の電池電圧は、第1正極活物質での反応(Liイオンの脱離)のみに基づいた電池電圧となり、所定の充電範囲にわたって、電池電圧値がほぼ一定となる(この範囲を第1フラット範囲とする)。その後、第1正極活物質での反応(Liイオンの脱離)が終了すると、今度は、第2正極活物質での反応(Liイオンの脱離)に基づいた電池電圧となり、所定の充電範囲にわたって、電池電圧値がほぼ一定となる(この範囲を第2フラット範囲とする)。放電時は、充電時の逆になる。
ところで、リチウムイオン拡散係数が大きくなるにしたがって、リチウムイオン拡散抵抗が大きくなるので、第2正極活物質での反応に基づく電池電圧は、第1正極活物質での反応に基づく電池電圧よりも大きくなる。例えば、第2正極活物質のリチウムイオン拡散係数が、第1正極活物質のリチウムイオン拡散係数の6倍である場合、第2正極活物質での反応に基づく電池電圧は、第1正極活物質での反応に基づく電池電圧よりも50mV程度大きくなる。
このため、このリチウムイオン二次電池を充電すると、第1フラット範囲と第2フラット範囲との間で、リチウムイオン拡散抵抗差に起因した電圧差ΔVが生じることになる。換言すれば、蓄電量変化に伴う電池電圧の挙動を示す電池電圧曲線において、第1フラット範囲と第2フラット範囲との間の位置に段差Sが生じる。この電圧差ΔV(曲線上の段差S)を検知することは容易であるので、この電圧差ΔV(段差S)を検知することで、二次電池の状態を容易に検知することができる。
例えば、本発明のリチウムイオン二次電池の蓄電量を推定するコントローラに、予め、電池電圧曲線上の段差Sの位置における蓄電量Qの値(基準値QKとする)を記憶させておく。そして、充放電時に、コントローラが、電圧差ΔV(曲線上の段差S)を検知したとき、リチウムイオン二次電池の蓄電量が基準値QKに達したと判断することができる。
なお、コントローラにより、電圧差ΔV(段差S)を検知する手法としては、例えば、パターンマッチング法を挙げることができる。具体的には、コントローラにおいて、所定時間毎に検出される電池電圧値に基づいてリアルタイムに電池電圧曲線を描きつつ、この電池電圧曲線と、予めコントローラに記憶させている基準の電池電圧曲線とを対比(パターンマッチング)する。これにより、充放電を行っているリチウムイオン二次電池において、電圧差ΔV(段差S)が発生したかどうかを検知することができる。
さらに、二次電池の蓄電量Qの変化量dQに対する電池電圧Vの変化量dVの割合であるdV/dQの値を利用して、電圧差ΔV(段差S)の発生を検知するのが好ましい。dV/dQの値の変化量は、電池電圧Vの変化量よりも大きくなる傾向にあるので、電圧差ΔVの発生を精度良く検知できる。これにより、リチウムイオン二次電池の蓄電量が基準値QKに達したときを、正確に判断することができる。
また、前述のパターンマッチング法を用いて、電池の異常を検出することも可能である。具体的には、例えば、コントローラにおいて、所定時間毎に検出される電池電圧値に基づいて描いた電池電圧曲線上の段差Sの位置と、予めコントローラに記憶させている基準電池電圧曲線K上の段差Sの位置とが大きくずれていた場合は、電池の異常と判断することができる。また、コントローラにおいて、所定時間毎に検出される電池電圧値に基づいて描いた電池電圧曲線上に、段差Sが発生しない場合も、電池の異常と判断することができる。
なお、正極活物質としては、例えば、LiFe(1-X)MXPO4(Mは、Mn,Cr,Co,Cu,Ni,V,Mo,Ti,Zn,Al,Ga,B,Nbの少なくともいずれかであり、0≦X≦0.1)で表される化合物を挙げることができる。LiFe(1-X)MXPO4で表される化合物であって、リチウムイオン拡散係数が異なるものを、2種以上混在させれば良い。なお、正極活物質を作製するときの焼成条件(焼成温度や焼成時間など)を異ならせることで、リチウムイオン拡散係数を異ならせることができる。
また、正極活物質として、LiMn(1-X)MXPO4(Mは、Cr,Co,Cu,Ni,V,Mo,Ti,Zn,Al,Ga,B,Nbの少なくともいずれかであり、0≦X≦0.1)、あるいは、LiCo(1-X)MXPO4(Mは、Cr,Cu,Ni,V,Mo,Ti,Zn,Al,Ga,B,Nbの少なくともいずれかであり、0≦X≦0.1)で表される化合物を用いても良い。LiMn(1-X)MXPO4あるいはLiCo(1-X)MXPO4であって、リチウムイオン拡散係数が異なるものを、2種以上混在させれば良い。
さらに、上記のリチウムイオン二次電池であって、前記正極活物質は、いずれも、LiFe(1-X)MXPO4(Mは、Mn,Cr,Co,Cu,Ni,V,Mo,Ti,Zn,Al,Ga,B,Nbの少なくともいずれかであり、0≦X≦0.1)で表される化合物であるリチウムイオン二次電池とすると良い。
正極活物質としてLiFe(1-X)MXPO4 を用いたリチウムイオン二次電池では、約3.4Vのほぼ一定の電池電圧で、電池理論容量の約80%に相当する電気量を充放電することができる。従って、電池理論容量の80%程度の広範囲にわたって、変動の小さい安定した出力を得ることができる。
ところが、従来、このような二次電池では、電池理論容量の80%程度の広い範囲にわたって、電池電圧の変動が極めて小さくなるので、この電池理論容量の80%程度の広い範囲にわたって、電池の状態(充電状態など)を検知することができなくなる虞があった。
これに対し、本発明のリチウムイオン二次電池では、リチウムイオン拡散係数の異なる2種以上の正極活物質を混在させている。すなわち、組成式がLiFe(1-X)MXPO4 と同一であるが、リチウムイオン拡散係数が異なる関係にある2種以上の正極活物質を混在させている。
これにより、電池理論容量の80%程度の広い範囲にわたって、電池電圧の変動を極めて小さくしつつも、この電池電圧変動が極めて小さくなる範囲(以下、電圧小変動範囲Mともいう)の途中に、リチウムイオン拡散係数の違いに基づく電圧差ΔV(曲線上の段差S)を発現させることができる。このため、電圧小変動範囲M内でも、この電圧差ΔV(曲線上の段差S)を検知することで、二次電池の状態(充電状態など)を適切に検知することができる。従って、本発明のリチウムイオン二次電池は、極めて安定した出力特性を確保しつつも、状態検知し易い二次電池となる。
さらに、上記のリチウムイオン二次電池であって、前記正極活物質は、いずれも、LiFePO4で表される化合物であるリチウムイオン二次電池とすると良い。
正極活物質として、LiFePO4を用いたリチウムイオン二次電池は、特に、電池電圧の変動が小さくなり、電池理論容量の80%程度の広い範囲にわたって、極めて安定した出力特性を発揮する。ところが、従来、このような二次電池では、電池電圧の変動が極めて小さくなるので、電池の状態(充電状態など)を検知することができなくなる虞があった。
これに対し、本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン拡散係数の異なる2種以上の正極活物質を用いている。すなわち、リチウムイオン拡散係数の異なるLiFePO4を2種以上混在させている。これにより、電圧小変動範囲Mの途中に、リチウムイオン拡散係数の違いに基づく電圧差ΔV(曲線上の段差S)を発現させることができる。このため、電圧小変動範囲M内でも、この電圧差ΔV(曲線上の段差S)を検知することで、二次電池の状態(充電状態など)を適切に検知することができる。
さらに、上記いずれかのリチウムイオン二次電池であって、前記正極活物質は、第1正極活物質と、上記第1正極活物質よりもリチウムイオン拡散係数が大きい第2正極活物質と、を含むリチウムイオン二次電池とすると良い。
本発明のリチウムイオン二次電池は、第1正極活物質と第2正極活物質とのリチウムイオン拡散係数の違いに基づく電圧差ΔV(段差S)が現れるので、二次電池の状態を検知し易くなる。
さらに、上記のリチウムイオン二次電池であって、前記第2正極活物質のリチウムイオン拡散係数は、前記第1正極活物質のリチウムイオン拡散係数の5倍以上であるリチウムイオン二次電池とすると良い。
第1正極活物質と第2正極活物質とのリチウムイオン拡散係数の違いが小さすぎると、電圧差ΔV(段差S)が明確に現れない虞がある。
これに対し、本発明のリチウムイオン二次電池では、第2正極活物質のリチウムイオン拡散係数を、第1正極活物質のリチウムイオン拡散係数の5倍以上としている。これにより、リチウムイオン拡散係数の違いに基づいて電圧差ΔV(段差S)が明確に現れるので、二次電池の状態を適切に検知することができる。
これに対し、本発明のリチウムイオン二次電池では、第2正極活物質のリチウムイオン拡散係数を、第1正極活物質のリチウムイオン拡散係数の5倍以上としている。これにより、リチウムイオン拡散係数の違いに基づいて電圧差ΔV(段差S)が明確に現れるので、二次電池の状態を適切に検知することができる。
さらに、上記いずれかのリチウムイオン二次電池であって、前記正極活物質は、前記第1正極活物質及び前記第2正極活物質に加えて、第3正極活物質及び第4正極活物質を含み、上記第1正極活物質のリチウムイオン拡散係数をD1、上記第2正極活物質のリチウムイオン拡散係数をD2、上記第3正極活物質のリチウムイオン拡散係数をD3、上記第4正極活物質のリチウムイオン拡散係数をD4としたとき、5D1≦D2≦20D1 、5D2≦D3≦20D2 、5D3≦D4≦20D3 の関係を満たすリチウムイオン二次電池とするのが好ましい。
このような関係を満たす第1〜第4正極活物質を混在させることで、第1〜第4フラット範囲の各フラット範囲の間(3カ所)に電圧差ΔV(段差S)が明確に現れる、電圧小変動範囲Mを確保することができる。これにより、電圧小変動範囲Mにおいて、3カ所の電圧差ΔV(段差S)を利用(検知)して、より適切に、二次電池の状態(充電状態など)を検知することが可能となる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1にかかるリチウムイオン二次電池100について、図面を参照しつつ説明する。
リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、直方体形状の電池ケース110と、正極端子120と、負極端子130とを備える、角形密閉式のリチウムイオン二次電池である。このうち、電池ケース110は、金属からなり、直方体形状の収容空間をなす角形収容部111と、金属製の蓋部112とを有している。電池ケース110(角形収容部111)の内部には、電極体150、正極集電部材122、負極集電部材132などが収容されている。
次に、本発明の実施例1にかかるリチウムイオン二次電池100について、図面を参照しつつ説明する。
リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、直方体形状の電池ケース110と、正極端子120と、負極端子130とを備える、角形密閉式のリチウムイオン二次電池である。このうち、電池ケース110は、金属からなり、直方体形状の収容空間をなす角形収容部111と、金属製の蓋部112とを有している。電池ケース110(角形収容部111)の内部には、電極体150、正極集電部材122、負極集電部材132などが収容されている。
電極体150は、断面長円状をなし、シート状の正極板155、負極板156、及びセパレータ157を捲回してなる扁平型の捲回体である(図2及び図3参照)。この電極体150は、その軸線方向(図1において左右方向)の一方端部(図1において右端部)に位置し、正極板155の一部のみが渦巻状に重なる正極捲回部155bと、他方端部(図1において左端部)に位置し、負極板156の一部のみが渦巻状に重なる負極捲回部156bとを有している。
正極板155には、正極捲回部155bを除く部位に、正極活物質(第1正極活物質153b及び第2正極活物質153c)を含む正極合材152が塗工されている(図3参照)。また、負極板156には、負極捲回部156bを除く部位に、負極活物質154を含む負極合材159が塗工されている(図3参照)。正極捲回部155bは、正極集電部材122を通じて、正極端子120に電気的に接続されている。負極捲回部156bは、負極集電部材132を通じて、負極端子130に電気的に接続されている。
特に、本実施例1では、正極活物質として、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cとを混合したものを用いている。第1正極活物質153b及び第2正極活物質153cは、いずれも、組成式LiFePO4で表される化合物である。LiFePO4で表される化合物(正極活物質)は、2相共存型の充放電を行う活物質であり、結晶構造が異なる2つの結晶が共存した状態で充放電の反応が行われるものである。
ところで、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cは、いずれも、組成式LiFePO4で表される化合物でありながら、リチウムイオン拡散係数が異なっている。具体的には、第1正極活物質153bのリチウムイオン拡散係数D1は、2.0×10-14(cm2/S)であり、第2正極活物質153cのリチウムイオン拡散係数D2は、12×10-14(cm2/S)である。従って、第2正極活物質153cのリチウムイオン拡散係数D2は、第1正極活物質153bのリチウムイオン拡散係数D1の5倍以上(具体的には、6倍)となっている。
なお、本実施例1のリチウムイオン二次電池100では、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cは、20:80(重量比)で混在している。
なお、本実施例1のリチウムイオン二次電池100では、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cは、20:80(重量比)で混在している。
また、本実施例1では、負極活物質154として、天然黒鉛系の炭素材料を用いている。詳細には、平均粒子径が20μm、格子定数C0が0.67nm、結晶子サイズLcが27nm、黒鉛化度0.9以上の天然黒鉛系材料を用いている。
次に、リチウムイオン二次電池100の充電特性図を図4に、放電特性図を図5に示す。図4は、3Cの大きさの電流でリチウムイオン二次電池100を充電したときの、電池電圧V(本実施例1では、正極端子120と負極端子130との間の端子間電圧)の挙動を示している。また、図5は、3Cの大きさの電流でリチウムイオン二次電池100を放電させたときの、電池電圧Vの挙動を示している。なお、図4及び図5には、比較例として、正極活物質として第1正極活物質153bのみを用いて作製したリチウムイオン二次電池の電池電圧曲線を、二点差線で示している。
本実施例1のリチウムイオン二次電池100に含まれる第1正極活物質153b及び第2正極活物質153c(LiFePO4)が理論的に最大限蓄積できる理論電気容量(リチウムイオン二次電池100は正極規制であるため、これが電池理論容量となる)を1時間で充電することができる電流値を、1Cとする。また、蓄電率(%)は、電池理論容量に対する蓄電量(リチウムイオン二次電池100に充電されている電気量)の割合である。
図4及び図5からわかるように、リチウムイオン二次電池100は、3.4V付近の電池電圧で、電池電圧変動幅を0.2Vと小さくして、電池理論容量(図4において蓄電率0〜100%の範囲)の約80%に相当する電気量を充放電することができる。従って、電池理論容量の80%程度の広範囲にわたって、変動の小さい安定した出力を得ることができる。なお、電池電圧の変動が極めて小さく、電池理論容量の80%程度に相当する範囲を、電圧小変動範囲Mとする(図4及び図5参照)。
ところで、図4及び図5に二点差線で示すように、比較例のリチウムイオン二次電池(正極活物質として、リチウムイオン拡散係数が2.0×10-14cm2/Sである第1正極活物質153bのみを使用)では、電池理論容量の80%程度の広い範囲にわたって、電池電圧の変動が極めて小さくなる。このため、この電池理論容量の80%程度の広い範囲にわたって、電池の状態(充電状態など)を適切に検知できないことがあった。
これに対し、本実施例1のリチウムイオン二次電池100では、リチウムイオン拡散係数の異なる2種の正極活物質(第1正極活物質153bと第2正極活物質153c)を混在させている。すなわち、組成式がLiFePO4 と同一であるが、リチウムイオン拡散係数が異なる関係にある2種の正極活物質(第1正極活物質153bと第2正極活物質153c)を混在させている。
これにより、図4及び図5に実線で示すように、電池理論容量の80%程度の広い範囲にわたって、電池電圧の変動を極めて小さくし(電圧小変動範囲Mを有し)ながらも、電圧小変動範囲Mの途中に、リチウムイオン拡散係数の違いに基づく電圧差ΔV(曲線上の段差S)を発現させることができる。
具体的には、電池電圧がほぼ一定である第1フラット範囲F1と第2フラット範囲F2との間に、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cとのリチウムイオン拡散抵抗差に起因した電圧差ΔVが生じることになる。換言すれば、電池電圧の挙動を示す電池電圧曲線(図4及び図5参照)において、第1フラット範囲F1と第2フラット範囲F2との間の位置に段差Sが生じる。この段差Sにおける電池電圧の変化率は、第1フラット範囲F1及び第2フラット範囲F2の電池電圧の変化率に比べてかなり大きくなるので、段差S(電圧差ΔV)の発生を容易に検知することができる。従って、電圧差ΔV(段差S)を検知することで、リチウムイオン二次電池100の状態を検知し易くなる。
なお、本実施例1のリチウムイオン二次電池100では、図4及び図5に示すように、電圧差ΔV(段差S)が、蓄電率20%(放電深度80%)付近に出現する。これは、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cの混合比を、20:80(重量比)としているからである。すなわち、リチウムイオン拡散係数の小さい第1正極活物質153bの割合を20wt%としているので、これに対応して、蓄電率20%付近の位置に電圧差ΔV(段差S)が出現したものである。従って、充放電時に、電圧差ΔV(段差S)の発生を検知したとき、リチウムイオン二次電池100の蓄電率が20%に達したと判断することができる。
ここで、電圧差ΔV(段差S)の検出方法について、具体的に説明する。例えば、リチウムイオン二次電池100の充放電時に、リチウムイオン二次電池100の電池電圧を所定時間毎に検出する。そして、検出された電池電圧に基づいて、リアルタイムに電池電圧曲線(図4及び図5参照)を描きつつ、この電池電圧曲線と、リチウムイオン二次電池100を制御するコントローラに予め記憶させている基準の電池電圧曲線とを対比(パターンマッチング)する。この対比により、充放電しているリチウムイオン二次電池100において段差Sが発生したと判断された場合、リチウムイオン二次電池100の蓄電率が20%に達したと判断することができる。
また、リチウムイオン二次電池100の蓄電量Qの変化量dQに対する電池電圧Vの変化量dVの割合であるdV/dQの値を利用することで、電圧差ΔV(段差S)を精度良く検知することができる。ここで、リチウムイオン二次電池100の蓄電量QとdV/dQとの関係を表す、Q−dV/dQ曲線(充電時)を図6に示す。図6に示すように、dV/dQの値の変化量は、電池電圧Vの変化量よりも大きくなるので、電圧差ΔV(段差S)の発生を精度良く検知することができる。具体的には、電圧差ΔV(段差S)が発生したとき、Q−dV/dQ曲線上に明確なピークPが現れる。
従って、リチウムイオン二次電池100の充放電時に、リチウムイオン二次電池100の電池電圧及び充電(放電)電気量を検出し、検出された電池電圧及び充電(放電)電気量に基づいてdV/dQの値を算出する。そして、算出されたdV/dQの値に基づいて、リアルタイムにQ−dV/dQ曲線(図6参照)を描きつつ、このQ−dV/dQ曲線と、コントローラに予め記憶させている基準のQ−dV/dQ曲線とを対比(パターンマッチング)する。この対比により、リチウムイオン二次電池100が、Q−dV/dQ曲線上のピークPに対応する状態に至ったかどうかを判断する。ピークPに対応する状態に至ったと判断された場合は、電圧差ΔV(段差S)が発生したと判断できるので、リチウムイオン二次電池100の蓄電率が20%に達したと判断することができる。
また、パターンマッチング法を用いて、リチウムイオン二次電池100の異常を検出することも可能である。具体的には、リチウムイオン二次電池100を制御するコントローラにおいて、所定時間毎に検出される電池電圧値に基づいてリアルタイムに電池電圧曲線(図4及び図5参照)を描きつつ、この電池電圧曲線と、予めコントローラに記憶させている基準の電池電圧曲線とを対比(パターンマッチング)する。所定時間毎に検出される電池電圧値に基づいて描いた電池電圧曲線上の段差Sの位置と、予めコントローラに記憶させている基準電池電圧曲線上の段差Sの位置とが大きくずれていた場合は、リチウムイオン二次電池100の異常と判断することができる。また、コントローラにおいて、所定時間毎に検出される電池電圧値に基づいて描いた電池電圧曲線上に、段差Sが発生しない場合も、リチウムイオン二次電池100の異常と判断することができる。
また、複数のリチウムイオン二次電池100を電気的に接続した組電池において、各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧を所定時間毎に検出し(さらにはdV/dQの値を算出し)て、各々のリチウムイオン二次電池100の電圧差ΔV(曲線上の段差S)の発生を検知する。このとき、他のリチウムイオン二次電池100に比べて、電圧差ΔV(曲線上の段差S)の発生が大きくずれたリチウムイオン二次電池100があった場合、そのリチウムイオン二次電池100は異常であると判断することができる。
以上のように、電圧小変動範囲M内でも、電圧差ΔV(曲線上の段差S)を検知することで、リチウムイオン二次電池100の状態(蓄電率やSOC等の充電状態や異常など)を適切に検知することができる。従って、本実施例1のリチウムイオン二次電池100は、極めて安定した出力特性を確保しつつも、状態検知し易いリチウムイオン二次電池であるといえる。
ここで、本実施例1のリチウムイオン二次電池100の製造方法について説明する。
まず、リチウムイオン拡散係数が2.0×10-14cm2/SであるLiFePO4 (第1正極活物質153b)と、リチウムイオン拡散係数が12×10-14cm2/SであるLiFePO4 (第2正極活物質153c)を用意した。
まず、リチウムイオン拡散係数が2.0×10-14cm2/SであるLiFePO4 (第1正極活物質153b)と、リチウムイオン拡散係数が12×10-14cm2/SであるLiFePO4 (第2正極活物質153c)を用意した。
次いで、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cとを、20:80(重量比)の割合で混合して、混合正極活物質とした。その後、この混合正極活物質と(第1正極活物質153b及び第2正極活物質153c)とアセチレンブラック(導電助剤)とポリフッ化ビニリデン(バインダ樹脂)とを、85:5:10(重量比)の割合で混合し、これにN−メチルピロリドン(分散溶媒)を混合して、正極スラリを作製した。次いで、この正極スラリを、アルミニウム箔151の表面に塗布し、乾燥させた後、プレス加工を施した。これにより、アルミニウム箔151の表面に正極合材152が塗工された正極板155を得た(図3参照)。
なお、リチウムイオン拡散係数の異なるLiFePO4 (第1正極活物質153bと第2正極活物質153c)は、公知の固相合成法(例えば、特開2002−15735参照)を用いて、600〜1000℃の範囲で焼成温度を調整することで、粒子の成長状態を制御して得ることができる。
具体的には、リチウム源として炭酸リチウムを用い、鉄源としてシュウ酸第一鉄二水和物(FeC2O4・2H2O)を用い、リン源としてリン酸水素アンモニウムを用いて、焼成前駆体を生成する。その後、得られた前駆体を異なる温度で焼成して、LiFePO4で表される第1正極活物質153bと第2正極活物質153cを得ることができる。
具体的には、リチウム源として炭酸リチウムを用い、鉄源としてシュウ酸第一鉄二水和物(FeC2O4・2H2O)を用い、リン源としてリン酸水素アンモニウムを用いて、焼成前駆体を生成する。その後、得られた前駆体を異なる温度で焼成して、LiFePO4で表される第1正極活物質153bと第2正極活物質153cを得ることができる。
また、天然黒鉛系の炭素材料(負極活物質154)と、スチレン−ブタジエン共重合体(バインダ樹脂)と、カルボキシメチルセルロース(増粘剤)とを、95:2.5:2.5(重量比)の割合で水中で混合して、負極スラリを作製した。次いで、この負極スラリを、銅箔158の表面に塗布し、乾燥させた後、プレス加工を施した。これにより、銅箔158の表面に負極合材159が塗工された負極板156を得た(図3参照)。本実施例1では、天然黒鉛系の炭素材料として、平均粒子径が20μm、格子定数C0が0.67nm、結晶子サイズLcが27nm、黒鉛化度0.9以上の天然黒鉛系材料を用いている。なお、本実施例1では、正極の理論容量と負極の理論容量との比が1:1.5となるように、正極スラリ及び負極スラリの塗布量を調整している。
次に、正極板155、負極板156、及びセパレータ157を積層し、これを捲回して断面長円状の電極体150を形成した(図2,図3参照)。但し、正極板155、負極板156、及びセパレータ157を積層する際には、電極体150の一端部から、正極板155のうち正極合材152を塗工していない未塗工部が突出するように、正極板155を配置しておく。さらには、負極板156のうち負極合材159を塗工していない未塗工部が、正極板155の未塗工部とは反対側から突出するように、負極板156を配置しておく。これにより、正極捲回部155b及び負極捲回部156bを有する電極体150(図1参照)が形成される。なお、本実施例1では、セパレータ157として、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層構造複合体多孔質膜を用いている。
次に、電極体150の正極捲回部155bと正極端子120とを、正極集電部材122を通じて接続する。さらに、電極体150の負極捲回部156bと負極端子130とを、負極集電部材132を通じて接続する。その後、これを角形収容部111内に収容し、角形収容部111と蓋体112とを溶接して、電池ケース110を封止した。次いで、蓋体112に設けられている注液口(図示しない)を通じて電解液を注液した後、注液口を封止することで、本実施例1のリチウムイオン二次電池100が完成する。なお、本実施例1では、電解液として、EC(エチレンカーボネート)とDEC(ジエチルカーボネート)とを、4:6(体積比)で混合した溶液中に、六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)を1モル溶解したものを用いている。
ここで、第1正極活物質153b及び第2正極活物質153cのリチウムイオン拡散係数の算出方法について説明する。本実施例1では、正極活物質として第1正極活物質153bのみを用いて二次電池Bを作製し、この二次電池Bについて、参考文献(文献名:Solid State Ionics vol.148 P45、著作者:P.P.prosiniなど)に記載されている手法に基づいて、リチウムイオン拡散係数D1を算出した。同様に、正極活物質として第2正極活物質153cのみを用いて作製した二次電池Cについて、上記参考文献に記載されている手法に基づいて、リチウムイオン拡散係数D2を算出した。以下に詳述する。
(二次電池の作製)
まず、正極活物質として第1正極活物質153bのみを用いて、正極板を作製した。具体的には、第1正極活物質153bとアセチレンブラック(導電助剤)とポリフッ化ビニリデン(バインダ樹脂)とを、85:5:10(重量比)の割合で混合し、これにN−メチルピロリドン(分散溶媒)を混合して、正極スラリを作製した。次いで、この正極スラリを、アルミニウム箔151の表面に塗布し、乾燥させた後、プレス加工を施して、正極板を得た。また、正極板の対向極板として、リチウム金属板を用意した。その後、正極板とリチウム金属板とをセパレータを介在させて積層して電極体を作製し、この電極体を用いて二次電池Bを作製した。
また、正極活物質として第2正極活物質153cのみを用いて、上述のようにして、二次電池Cを作製した。
まず、正極活物質として第1正極活物質153bのみを用いて、正極板を作製した。具体的には、第1正極活物質153bとアセチレンブラック(導電助剤)とポリフッ化ビニリデン(バインダ樹脂)とを、85:5:10(重量比)の割合で混合し、これにN−メチルピロリドン(分散溶媒)を混合して、正極スラリを作製した。次いで、この正極スラリを、アルミニウム箔151の表面に塗布し、乾燥させた後、プレス加工を施して、正極板を得た。また、正極板の対向極板として、リチウム金属板を用意した。その後、正極板とリチウム金属板とをセパレータを介在させて積層して電極体を作製し、この電極体を用いて二次電池Bを作製した。
また、正極活物質として第2正極活物質153cのみを用いて、上述のようにして、二次電池Cを作製した。
(インピーダンス測定)
次に、作製した二次電池B,Cについて、それぞれ、ソーラトロン製の1255WB型電気化学測定システム(周波数アナライザ+ポテンショガルバノスタット)を用いて、インピーダンスの測定を行った。具体的には、蓄電量を、正極理論容量より予想した電池容量(電池理論容量(Ah))の60%に相当する電気量(蓄電率60%)に調整した二次電池について、5mVの電位振幅を与えつつ、測定周波数を0.01Hz〜100kHzの範囲で変動させて、同期した電流値からインピーダンスの測定を行った。これにより、二次電池B,Cについて、それぞれ、(2πf/sec-1 )-1/2 とZ成分とを描画し、描画したグラフの傾きからδE/δxを算出した。
次に、作製した二次電池B,Cについて、それぞれ、ソーラトロン製の1255WB型電気化学測定システム(周波数アナライザ+ポテンショガルバノスタット)を用いて、インピーダンスの測定を行った。具体的には、蓄電量を、正極理論容量より予想した電池容量(電池理論容量(Ah))の60%に相当する電気量(蓄電率60%)に調整した二次電池について、5mVの電位振幅を与えつつ、測定周波数を0.01Hz〜100kHzの範囲で変動させて、同期した電流値からインピーダンスの測定を行った。これにより、二次電池B,Cについて、それぞれ、(2πf/sec-1 )-1/2 とZ成分とを描画し、描画したグラフの傾きからδE/δxを算出した。
(リチウムイオン拡散係数の算出)
次に、得られたインピーダンス測定結果を用いて、参考文献(文献名:Solid State Ionics vol.148 P45、著作者:P.P.prosiniなど)に記載されている算出方法により、第1正極活物質153bのリチウムイオン拡散係数D1と第2正極活物質153cのリチウムイオン拡散係数D2を算出した。具体的には、下記式(1)に基づいて、それぞれのリチウムイオン拡散係数を算出した。
次に、得られたインピーダンス測定結果を用いて、参考文献(文献名:Solid State Ionics vol.148 P45、著作者:P.P.prosiniなど)に記載されている算出方法により、第1正極活物質153bのリチウムイオン拡散係数D1と第2正極活物質153cのリチウムイオン拡散係数D2を算出した。具体的には、下記式(1)に基づいて、それぞれのリチウムイオン拡散係数を算出した。
D=1/2[{VM/(S×F×A)}×(δE/δx)]2・・・(1)
ここで、Dは、リチウムイオン拡散係数、VMは正極活物質1モル当たりの体積、Sは正極活物質と電解液との接触面積、Fはファラデー定数、AとδE/δxは、上述のインピーダンス測定結果より得られる値である。なお、正極活物質と電解液との接触面積Sは、例えば、正極板の空隙率に基づいて算出することができる。あるいは、公知の細孔分布測定装置を用いて測定することもできる。
ここで、Dは、リチウムイオン拡散係数、VMは正極活物質1モル当たりの体積、Sは正極活物質と電解液との接触面積、Fはファラデー定数、AとδE/δxは、上述のインピーダンス測定結果より得られる値である。なお、正極活物質と電解液との接触面積Sは、例えば、正極板の空隙率に基づいて算出することができる。あるいは、公知の細孔分布測定装置を用いて測定することもできる。
式(1)より、第1正極活物質153bのリチウムイオン拡散係数D1は、2.0×10-14(cm2/S)と算出された。また、第2正極活物質153cのリチウムイオン拡散係数D2は、12×10-14(cm2/S)と算出された。
(実施例2)
本実施例2では、実施例1と比較して、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cとの混合比のみを異ならせて、リチウムイオン二次電池200を作製した。
具体的には、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cとを、50:50(重量比)の割合で混合して、混合正極活物質とした。その後、この混合正極活物質を用いて、実施例1と同様の手法により、アルミニウム箔151の表面に正極合材252が塗工された正極板255を作製した(図3参照)。次いで、正極板255、負極板156、及びセパレータ157を積層し、これを捲回して断面長円状の電極体250を形成した(図2,図3参照)。その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池200(図1参照)を作製した。
本実施例2では、実施例1と比較して、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cとの混合比のみを異ならせて、リチウムイオン二次電池200を作製した。
具体的には、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cとを、50:50(重量比)の割合で混合して、混合正極活物質とした。その後、この混合正極活物質を用いて、実施例1と同様の手法により、アルミニウム箔151の表面に正極合材252が塗工された正極板255を作製した(図3参照)。次いで、正極板255、負極板156、及びセパレータ157を積層し、これを捲回して断面長円状の電極体250を形成した(図2,図3参照)。その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池200(図1参照)を作製した。
ここで、リチウムイオン二次電池200の充電特性図を図7に、放電特性図を図8に示す。図7は、3Cの大きさの電流でリチウムイオン二次電池200を充電したときの、電池電圧V(正極端子120と負極端子130との間の端子間電圧)の挙動を示している。また、図8は、3Cの大きさの電流でリチウムイオン二次電池200を放電させたときの、電池電圧Vの挙動を示している。なお、図7及び図8には、比較例として、正極活物質として第1正極活物質153bのみを用いて作製したリチウムイオン二次電池の電池電圧曲線を、二点差線で示している。
本実施例2のリチウムイオン二次電池200に含まれる第1正極活物質153b及び第2正極活物質153c(LiFePO4)が理論的に最大限蓄積できる理論電気容量(リチウムイオン二次電池200は正極規制であるため、これが電池理論容量となる)を1時間で充電することができる電流値を、1Cとする。また、蓄電率(%)は、電池理論容量に対する蓄電量(リチウムイオン二次電池200に充電されている電気量)の割合である。
図7及び図8に示すように、本実施例2のリチウムイオン二次電池200は、実施例1のリチウムイオン二次電池100と同様に、3.4V付近の電池電圧で、電池電圧変動幅を0.2Vと小さくして、電池理論容量(図7において蓄電率0〜100%の範囲)の約80%に相当する電気量を充放電することができる。従って、電池理論容量の80%程度の広範囲にわたって、変動の小さい安定した出力を得ることができる。
本実施例2のリチウムイオン二次電池200でも、リチウムイオン拡散係数の異なる2種類のLiFePO4 (第1正極活物質153bと第2正極活物質153c)を混在させている。これにより、図7及び図8に実線で示すように、電池理論容量の80%程度の広い範囲にわたって、電池電圧の変動を極めて小さくし(電圧小変動範囲Mを有し)ながらも、電圧小変動範囲Mの途中に、リチウムイオン拡散係数の違いに基づく電圧差ΔV(曲線上の段差S)を発現させることができる。
具体的には、電池電圧がほぼ一定である第1フラット範囲F1と第2フラット範囲F2との間に、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cとのリチウムイオン拡散抵抗差に起因した電圧差ΔVが生じる。換言すれば、電池電圧の挙動を示す電池電圧曲線(図7及び図8参照)において、第1フラット範囲F1と第2フラット範囲F2との間の位置に段差Sが生じる。この電圧差ΔV(曲線上の段差S)は、実施例1で説明したように、容易に検知することができる。従って、電圧差ΔV(段差S)を検知することで、リチウムイオン二次電池200の状態を検知し易くなる。
なお、本実施例2のリチウムイオン二次電池200では、図7及び図8に示すように、電圧差ΔV(段差S)が、蓄電率50%(放電深度50%)付近に出現する。これは、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cの混合比を、50:50(重量比)としているからである。すなわち、リチウムイオン拡散係数の小さい第1正極活物質153bの割合を50wt%としているので、これに対応して、蓄電率50%付近の位置に電圧差ΔV(段差S)が出現したものである。従って、電圧差ΔV(段差S)を検知したとき、リチウムイオン二次電池200の蓄電率が50%に達したと判断することができる。
このように、実施例1,2の結果より、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cの混合比を調整することで、電圧差ΔV(段差S)が出現する蓄電率(放電深度)の値を調整することができるといえる。すなわち、第1正極活物質153bと第2正極活物質153cの混合比の調整により、電池電圧曲線上の所望の位置に、電圧差ΔV(段差S)を出現させることができる。
以上において、本発明を実施例1,2に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1,2のリチウムイオン二次電池100,200では、正極活物質として、リチウムイオン拡散係数の異なる2種類のLiFePO4を用いたが、3〜5種類のリチウムイオン拡散係数の異なるLiFePO4を用いるようにしても良い。これにより、リチウムイオン二次電池の充放電時に複数の電圧差ΔV(段差S)が生じるので、この複数の電圧差ΔV(段差S)を検知することで、複数の状態(蓄電率やSOCなど)を検知することができる。
また、実施例1,2のリチウムイオン二次電池100,200では、正極活物質として、LiFePO4を用いたが、LiMnPO4またはLiCoPO4を用いても良い。正極活物質として、リチウムイオン拡散係数が異なる2種以上のLiMnPO4、または、リチウムイオン拡散係数が異なる2種以上のLiCoPO4 を用いることで、明確な電圧差ΔV(曲線上の段差S)を発現させることができる。この電圧差ΔV(段差S)を検知することで、リチウムイオン二次電池の状態が検知し易くなる。
100,200 リチウムイオン二次電池
150,250 電極体
153b 第1正極活物質
153c 第2正極活物質
154 負極活物質
155,255 正極板
156 負極板
157 セパレータ
150,250 電極体
153b 第1正極活物質
153c 第2正極活物質
154 負極活物質
155,255 正極板
156 負極板
157 セパレータ
Claims (5)
- 正極活物質を含むリチウムイオン二次電池であって、
上記正極活物質は、
同一の組成式で表される化合物からなり、2相共存型の充放電を行う正極活物質であって、リチウムイオン拡散係数が異なる2種以上の正極活物質である
リチウムイオン二次電池。 - 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
前記正極活物質は、いずれも、LiFe(1-X)MXPO4(Mは、Mn,Cr,Co,Cu,Ni,V,Mo,Ti,Zn,Al,Ga,B,Nbの少なくともいずれかであり、0≦X≦0.1)で表される化合物である
リチウムイオン二次電池。 - 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池であって、
前記正極活物質は、いずれも、LiFePO4で表される化合物である
リチウムイオン二次電池。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池であって、
前記正極活物質は、
第1正極活物質と、
上記第1正極活物質よりもリチウムイオン拡散係数が大きい第2正極活物質と、を含む
リチウムイオン二次電池。 - 請求項4に記載のリチウムイオン二次電池であって、
前記第2正極活物質のリチウムイオン拡散係数は、前記第1正極活物質のリチウムイオン拡散係数の5倍以上である
リチウムイオン二次電池。
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20111004 |