以上より、本発明の目的は、FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、残留既燃ガス濃度についての失火限界を積極的に大きくして失火の発生を抑制し得る内燃機関の制御装置を提供することにある。
本発明に係る内燃機関の第1の制御装置は、内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記内燃機関の吸気通路と前記燃焼室とを連通・遮断する吸気弁の開弁時期を変更する吸気弁開弁時期制御手段と、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記燃料噴射手段からの燃料噴射を中断するFCを実行するフューエルカット手段とを備えている。
上記第1の制御装置の特徴は、前記吸気弁開弁時期制御手段が、前記FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、前記吸気弁の開弁時期が吸気行程中の時期であって前記内燃機関の排気通路と前記燃焼室とを連通・遮断する排気弁の閉弁時期よりも遅角側の時期になるように前記吸気弁の開弁時期を遅角する吸気弁遅開き制御を行う遅角手段を備えたことにある。
ここにおいて、前記吸気弁開弁時期制御手段は、吸気弁開弁時期を内燃機関の運転状態に基づいて決定される通常時期に制御するとともに、前記FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、吸気弁遅開き制御として、吸気弁開弁時期を、前記通常時期に代えて前記通常時期よりも遅角側の吸気行程中の時期であって排気弁の閉弁時期よりも遅角側の時期に制御するように構成され得る。
上記吸気弁遅開き制御により、吸気弁開弁時期が吸気行程中の時期であって排気弁閉弁時期よりも遅角側の時期に設定される場合、吸排気弁が共に閉状態に維持された状態(即ち、燃焼室が密閉された状態)でピストンが下降していく過程において吸気弁が開弁する。従って、吸気弁開弁直後では、燃焼室内のガスの圧力が低下していることで吸気弁の絞り部を通過するガスの通過前後の差圧が大きい。この結果、吸気弁開弁後(特に、開弁直後)にて燃焼室内に流入する吸気の流速(以下、「吸気流速」と称呼する。)が大きくなる。
これにより、吸気と混合する燃料噴霧の微粒子化が促進される。燃料の微粒子化が促進されると、燃料噴霧と吸気(に含まれる酸素)との混合度合いが高まり、燃料噴霧(混合気)が着火し易くなる。このことは、上述した残留既燃ガス濃度についての失火限界が大きくなることを意味する。
以上のことから、上記第1の制御装置によれば、FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、吸気弁遅開き制御の実行により上記失火限界が積極的に大きくされ得る。この結果、失火の発生が抑制され得る。
上記第1の制御装置においては、前記燃焼室内に残留している既燃ガスの濃度である残留既燃ガス濃度と相関する値を推定する残留既燃ガス濃度推定手段を備え、前記遅角手段が、前記残留既燃ガス濃度が大きいほど前記吸気弁の開弁時期の遅角量をより大きい量に決定するように構成されることが好適である。前記残留既燃ガス濃度と相関する値とは、例えば、残留既燃ガス濃度そのもの(燃焼室内のガス中の残留既燃ガスの質量濃度)、残留既燃ガス量(燃焼室内のガス中の残留既燃ガスの質量)等である。
(FCの終了により燃料噴射が再開されるときの)残留既燃ガス濃度が大きいほど、失火がより発生し易い。即ち、残留既燃ガス濃度が大きいほど、燃料の微粒子化の要求(従って、上記吸気流速の高速化の要求)が大きい。他方、吸気弁遅開き制御において吸気弁開弁時期の(前記通常時期からの)遅角量が大きいほど、上記差圧が大きくなって上記吸気流速が大きくなる。
一方、吸気弁遅開き制御において前記遅角量が大きいことは、吸排気弁が共に閉状態に維持された状態でピストンが下降していく時間が長いことを意味する。即ち、所謂ポンピングロスが増大して機関の燃費が悪化する。
以上より、上記構成によれば、残留既燃ガス濃度が小さい場合、前記遅角量が小さくされて、失火発生を抑制しつつポンピングロス増大による燃費の悪化を抑制できる。また、残留既燃ガス濃度が大きい場合、前記遅角量が十分に大きくされて、吸気流速を十分に高速化でき(従って、上記失火限界を十分に大きくでき)、失火発生を確実に抑制できる。
なお、この場合、前記遅角手段は、前記残留既燃ガス濃度に基づいて要求吸気流速を決定し、前記決定された要求吸気流速に基づいて前記吸気弁開弁時期の(前記通常時期からの)遅角量を決定するように構成され得る。また、前記遅角手段は、前記残留既燃ガス濃度が所定値よりも大きいときにのみ前記吸気弁遅開き制御を実行するように構成されてもよい。
また、上記第1の制御装置においては、前記FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、圧縮上死点での前記燃焼室内のガスの温度(圧縮端温度)を上昇させる圧縮端温度上昇制御を行う温度上昇手段と、前記内燃機関を冷却する冷却液の温度に相関する値を取得する温度取得手段と、前記FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、前記冷却液の温度に基づいて、前記遅角手段による前記吸気弁遅開き制御と前記温度上昇手段による前記圧縮端温度上昇制御とのうちで実行する制御を選択する選択手段とを備えることが好適である。
上記吸気弁遅開き制御により上記吸気流速を大きくすると、吸気弁開弁前での吸気ポートへの燃料噴射により吸気ポート等に付着していた液滴燃料が、液滴の状態で燃焼室内に流入して点火プラグに付着し易くなる。この結果、特に、低温時にて、良好な点火がなされ得ない事態(所謂、点火プラグのくすぶり)が発生し易くなる。従って、上記吸気弁遅開き制御は、比較的高温時にて実行されることが好ましい。
他方、上述したように、上記残留既燃ガス濃度についての失火限界は、燃焼室内ガス温度が高いほど大きくなる。従って、失火発生を抑制するために、前記圧縮端温度を上昇させる制御(即ち、上記圧縮端温度上昇制御)が実行されてもよい。しかしながら、特に、高温時にて前記圧縮端温度を上昇させると、ノッキングが発生し易くなる。従って、上記圧縮端温度上昇制御は、比較的低温時にて実行されることが好ましい。
以上のことから、上記構成によれば、高温時では、上記吸気弁遅開き制御を選択・実行して失火発生を抑制でき、低温時では、上記圧縮端温度上昇制御を選択・実行して失火発生を抑制できる。従って、点火プラグのくすぶりの発生及びノッキングの発生を抑制しつつ、冷却液の温度にかかわらず安定して失火の発生が抑制され得る。
本発明に係る内燃機関の第2の制御装置は、前記吸気弁開弁時期制御手段に代えて、前記燃料噴射手段から噴射される燃料の圧力を変更する燃料圧力制御手段を備え、且つ、前記燃料圧力制御手段が、前記FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、前記燃料圧力を増大する燃料圧力昇圧制御を行う昇圧手段を備えた点においてのみ、前記第1の制御装置と異なる。
ここにおいて、前記燃料圧力制御手段は、燃料圧力を内燃機関の運転状態に基づいて決定される通常圧力に制御するとともに、前記FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、燃料圧力昇圧制御として、燃料圧力を、前記通常圧力に代えて前記通常圧力よりも大きい圧力に制御するように構成され得る。
上記燃料圧力昇圧制御により、燃料圧力が増大すると、燃料噴射手段から噴射される燃料の噴射速度が上昇する。これにより、吸気と混合する燃料噴霧の微粒子化が促進される。従って、上記第1の制御装置と同様、上述した残留既燃ガス濃度についての失火限界が大きくなる。
以上のことから、上記第2の制御装置によれば、FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、燃料圧力昇圧制御の実行により上記失火限界が積極的に大きくされ得る。この結果、失火の発生が抑制され得る。
上記第2の制御装置においても、上記第1の制御装置と同様、前記昇圧手段が、前記残留既燃ガス濃度が大きいほど前記燃料圧力の昇圧量をより大きい量に決定するように構成されることが好適である。
上述と同様、残留既燃ガス濃度が大きいほど、燃料の微粒子化の要求(従って、上記燃料噴射速度の高速化の要求)が大きい。他方、燃料圧力昇圧制御において燃料圧力の(前記通常圧力からの)昇圧量が大きいほど、上記噴射速度が大きくなる。
従って、上記構成によれば、残留既燃ガス濃度が小さい場合、前記昇圧量が小さくされて、不必要に昇圧量を大きくすることなく失火発生を抑制できる。また、残留既燃ガス濃度が大きい場合、前記昇圧量が十分に大きくされて、前記噴射速度を十分に高速化でき(従って、上記失火限界を十分に大きくでき)、失火発生を確実に抑制できる。
なお、この場合、前記昇圧手段は、前記残留既燃ガス濃度が所定値よりも大きいときにのみ前記燃料圧力昇圧制御を実行するように構成されてもよい。また、前記燃料噴射手段が、吸気通路にて燃料を噴射するポート燃料噴射手段と、燃焼室内にて燃料を直接噴射する筒内燃料噴射手段とを備えている場合、前記燃料圧力昇圧制御として、前記ポート燃料噴射手段から噴射される燃料(ポート噴射燃料)の燃料圧力、及び前記筒内燃料噴射手段から噴射される燃料(筒内噴射燃料)の燃料圧力の何れか一方、又は両方が(前記通常圧力から)昇圧されてもよい。
本発明に係る内燃機関の第3の制御装置は、前記吸気弁開弁時期制御手段を備えない点、前記燃料噴射手段が前記筒内燃料噴射手段を少なくとも含む点、並びに、前記筒内燃料噴射手段が、前記フューエルカットの終了により燃料噴射が再開されるとき、(1燃焼サイクルあたりの)燃料の噴射回数を増大する噴射回数増大制御を行う分割噴射手段を備えた点においてのみ、前記第1の制御装置と異なる。
ここにおいて、前記筒内燃料噴射手段は、噴射回数を通常回数(例えば、1回)に制御するとともに、前記FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、噴射回数増大制御として、噴射回数を、前記通常回数に代えて前記通常回数よりも大きい回数に制御するように構成され得る。
上記噴射回数増大制御により、筒内燃料噴射手段からの噴射回数が増大すると、筒内噴射燃料の燃料噴霧の総表面積が増大する。これにより、燃料噴霧と吸気(に含まれる酸素)との混合度合いが高まり、燃料噴霧(混合気)が着火し易くなる。従って、上記第1、第2の制御装置と同様、上述した残留既燃ガス濃度についての失火限界が大きくなる。
以上のことから、上記第3の制御装置によれば、FCの終了により燃料噴射が再開されるとき、噴射回数増大制御の実行により上記失火限界が積極的に大きくされ得る。この結果、失火の発生が抑制され得る。
上記第3の制御装置においても、上記第1、第2の制御装置と同様、前記分割噴射手段が、前記残留既燃ガス濃度が大きいほど前記噴射回数の増大量をより大きい量に決定するように構成されることが好適である。
残留既燃ガス濃度が大きいほど、筒内噴射燃料の燃料噴霧の総表面積拡大の要求が大きい。他方、噴射回数増大制御において噴射回数の(前記通常回数からの)増大量が大きいほど、上記総表面積が大きくなる。
従って、上記構成によれば、残留既燃ガス濃度が小さい場合、前記噴射回数の増大量が小さくされて、不必要に噴射回数を大きくすることなく失火発生を抑制できる。また、残留既燃ガス濃度が大きい場合、噴射回数の増大量が十分に大きくされて、前記総表面積を十分に拡大でき(従って、上記失火限界を十分に大きくでき)、失火発生を確実に抑制できる。なお、この場合、前記筒内燃料噴射手段は、前記残留既燃ガス濃度が所定値よりも大きいときにのみ前記噴射回数増大制御を実行するように構成されてもよい。
以上、上記第1〜第3の制御装置において、前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通するEGRガス通路と、前記EGRガス通路に介装され開口面積が調整可能なEGRガス調整弁と、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記EGRガス調整弁の開口面積を調整する開口面積制御手段とが備えられている場合(即ち、上記外部EGR制御が実行される場合)、前記開口面積制御手段は、前記FC中において、前記EGRガス調整弁の開口面積を最小値(例えば、ゼロ)に固定するように構成されることが好適である。
これによれば、FC中において、吸気通路から燃焼室への既燃ガス(EGRガス)の流入が禁止される一方で、排気行程が到来する毎に残留既燃ガス(の一部)が排気通路へと掃気されていく。従って、FC中において残留既燃ガス濃度を効果的に減少させていくことができる。この結果、FCの終了により燃料噴射が再開される時点での残留既燃ガス濃度を小さくすることができて、失火の発生を抑制することができる。
以上、前記吸気弁遅開き制御、前記燃料圧力昇圧制御、及び前記噴射回数増大制御は、少なくとも前記FCの終了により燃料噴射が再開されるときに実行されていればよい。前記吸気弁遅開き制御、及び前記燃料圧力昇圧制御は、FC終了時点(即ち、燃料噴射の再開時点)からの所定期間内に亘って実行されてもよいし、FC中におけるFC終了時点の前の段階から、FC終了時点から所定期間経過後までに亘って実行されてもよいし、FC開始時点から、FC終了時点から所定期間経過後までに亘って実行されてもよい。前記噴射回数増大制御は、FC終了時点(即ち、燃料噴射の再開時点)からの所定期間内に亘って実行されてもよい。
また、上記第1〜第3の制御装置では、上記内部EGR制御及び上記外部EGR制御の一方が実行されてもよいし、上記内部EGR制御及び上記外部EGR制御が共に実行されなくてもよい。
以下、本発明による内燃機関の制御装置の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る制御装置(以下、「本装置」とも称呼する。)をデュアルインジェクションシステムを備えた火花点火式多気筒(4気筒)内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。この内燃機関10は、シリンダブロック、及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排気ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23、及びクランク軸24を含んでいる。シリンダ21とピストン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを含むとともに吸気弁32の開閉タイミング及び最大リフト量を連続的に変更する可変吸気タイミング装置33、可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38、燃料を吸気ポート31内にて噴射するポート噴射弁39P(ポート噴射手段)、燃料を燃焼室25内にて直接噴射する筒内噴射弁39C(筒内噴射手段)を備えている。
吸気系統40は、吸気ポート31に連通し同吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁43、及びスロットル弁駆動手段を構成するスロットル弁アクチュエータ43aを備えている。
排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51(実際には、各排気ポート34に連通したそれぞれのエキゾーストマニホールド51が集合した集合部)に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)52、エキゾーストパイプ52に配設(介装)された三元触媒53、EGRガス通路54を備えている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51、及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
EGRガス通路54は、三元触媒53よりも上流の排気通路と、スロットル弁43よりも下流の吸気通路とを連通するように構成されている。EGRガス通路54には、EGRガスクーラ55、EGR弁56、EGR弁56のアクチュエータ56aが介装されている。EGR弁56のアクチュエータ56aにより、EGR弁56の開口面積が調整可能となっている。以上により、排ガスの一部が吸気通路へ供給され得るようになっている。
一方、このシステムは、エアフローメータ61、スロットルポジションセンサ62、カムポジションセンサ63、クランクポジションセンサ64、水温センサ65、三元触媒53の上流の排気通路(本例では、上記各々のエキゾーストマニホールド51が集合した集合部)に配設された空燃比センサ66、EGR弁開度センサ67、アクセル開度センサ68を備えている。
エアフローメータ61は、吸気通路を流れる新気の流量(質量流量)を検出し、新気流量Gaを表す信号を出力するようになっている。スロットルポジションセンサ62は、スロットル弁43の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。カムポジションセンサ63は、吸気弁32の開閉タイミングを検出し、開閉タイミングVVTを表す信号を出力するようになっている。クランクポジションセンサ64は、クランク軸24の回転速度を検出し、エンジン回転速度NEを表す信号を出力するようになっている。水温センサ65は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。空燃比センサ66は、排ガスの空燃比を検出し、空燃比を表す信号を出力するようになっている。EGR弁開度センサ67は、EGR弁56の開度を検出し、EGR弁開度Aegrを表す信号を出力するようになっている。アクセル開度センサ68は、運転者によって操作されるアクセルペダル81の操作量を検出し、アクセルペダル81の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置70は、互いにバスで接続されたCPU71、CPU71が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(マップ)、及び定数等を予め記憶したROM72、RAM73、バックアップRAM74、並びにADコンバータを含むインターフェース75等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース75は、前記センサ61〜68に接続され、CPU71にセンサ61〜68からの信号を供給するとともに、同CPU71の指示に応じて可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、イグナイタ38、ポート噴射弁39P、筒内噴射弁39C、スロットル弁アクチュエータ43a、EGR弁56のアクチュエータ56a、及び燃料ポンプ82へ駆動信号を送出するようになっている。
これにより、吸気弁32の開閉タイミング、噴射弁39P,39Cの燃料噴射パターン、EGR弁56の開度、噴射弁39P,39Cから噴射される燃料の圧力等が、機関の運転状態に応じて変更されるようになっている。
(失火発生の抑制)
本装置では、EGR弁56の開度を調整してEGRガスの流量を調整する制御(上述した外部EGR制御)が実行される。このため、排気行程後において燃焼室25内に残留する既燃ガスの濃度(残留既燃ガス濃度)が大きい。残留既燃ガス濃度が大きいほど、燃焼室25内にて燃料噴霧と新気(に含まれる酸素)との混合が阻害され易い。残留既燃ガス濃度が或る上限値(失火限界)を超えると、失火が発生し得る。
また、本装置では、減速時において噴射弁39P,39Cからの燃料の噴射を共に中断するフューエルカット(FC)が実行される。FC中では、燃料の燃焼による熱が発生しないから、再加速等によるFCの終了により燃料噴射が再開されるとき(以下、「FCからの復帰時」とも称呼する。)、燃焼室25内のガスの温度が低い。上記残留既燃ガス濃度についての失火限界は、燃焼室内ガス温度が低いほど小さい。
以上より、例えば、FC開始前にて外部EGR制御により大量のEGRガスが吸気通路に還流されている状態にて減速によりFCが実行された場合等では、再加速によるFCからの復帰時、残留既燃ガス濃度が大きく且つ燃焼室内ガス温度が低くなっている。この結果、特に失火が発生し易い。
本装置では、このようにFCからの復帰時にて発生し易い失火の発生を抑制するため、以下に説明する吸気弁遅開き制御が実行される。以下、この点について図2にフローチャートにて示したルーチンを参照しながら説明する。なお、以下に説明するルーチンは、全て、CPU71により実行される。
(吸気弁遅開き制御)
先ず、ステップ205では、FC条件が成立中であるか否かが判定される。本例では、例えば、FC条件は、アクセルペダル操作量Accpがゼロに維持されること(減速中)を含む所定の状態が継続している期間においてのみ成立する。
先ず、FC条件が成立していない場合について説明する。この場合、ステップ205にて「No」と判定され、ステップ210にて、噴射弁39P,39Cから噴射される燃料の量が対応する通常量にそれぞれ設定される。具体的には、各通常量は、アクセルペダル操作量Accp、及びエンジン回転速度NE等に基づいてそれぞれ決定される。この結果、噴射弁39P,39Cから、その後の対応する所定時期にて対応する通常量の燃料がそれぞれ噴射される。
次に、ステップ215にて、FC終了から所定時間が経過したか否かが判定される。この場合、「Yes」と判定され、ステップ220にて、EGR弁56の開度が通常開度に設定される。通常開度は、アクセルペダル操作量Accp、及びエンジン回転速度NE等に基づいて決定される。具体的には、EGR弁開度Aegrが現在の通常開度に一致するようにアクチュエータ56aがフィードバック制御される。
続いて、ステップ225にて、吸気弁32の開閉タイミングが通常タイミングに設定される。通常タイミングは、アクセルペダル操作量Accp、及びエンジン回転速度NE等に基づいて決定される。具体的には、開閉タイミングVVTが現在の通常タイミングに一致するように可変吸気タイミング装置33がフィードバック制御される。
なお、本例では、排気弁35の開閉タイミングは固定されていて、排気弁35の閉弁タイミングは、吸気行程中の吸気上死点近傍に設定されている。上記通常タイミングにおいては、吸気弁32の開弁タイミングが、運転状態に応じて、吸気上死点近傍において排気行程から吸気行程に渡って変動し得る。従って、運転状態によっては、吸気弁32の開弁タイミングが排気弁35の閉弁タイミングよりも進角側になって、オーバーラップ期間(吸排気弁が共に開状態に維持される期間)が形成される場合もある。
このように、FC条件が成立していない場合、機関の運転状態(具体的には、Accp,NE)に応じて、噴射量、EGR弁開度、及び吸気弁開閉タイミングが制御されて、機関の通常運転が実行される。
次に、FC条件が成立している場合について説明する。この場合、ステップ205にて「Yes」と判定され、ステップ230にて、噴射弁39P,39Cから噴射される燃料の量が共にゼロに設定される。この結果、噴射弁39P,39Cから共に燃料が噴射されない。即ち、FCが実行される。
次いで、ステップ235にて、EGR弁56の開度がゼロに設定され、続くステップ240にて、現在の残留既燃ガス濃度(質量濃度)Rが推定される。Rは、周知の手法の一つに基づいて、通常運転中では、スロットル弁開度TA、EGR弁開度Aegr、開閉タイミングVVT、及びエンジン回転速度NEに基づいて推定される。FC中では、EGR弁56の開度がゼロであることを利用して、Rは、周知の手法の一つに基づいて、FC開始直前での推定値、及びFC開始からの経過時間等に基づいて推定される。FC中では、Rは、FC開始直前での推定値から徐々に減少していく。
次に、ステップ245では、Rが所定値Rthよりも大きいか否かが判定される。Rthは、例えば、上述の失火限界と等しい値である。ステップ245にて「No」と判定される場合、即ち、Rが失火限界を超えていない場合、上述のステップ225にて、吸気弁32の開閉タイミングが通常タイミングに設定される。即ち、FC中であっても、R≦Rthの場合、失火が発生しない(し難い)から、吸気弁遅開き制御が実行されない。
一方、ステップ245にて「Yes」と判定される場合、即ち、Rが失火限界を超えている場合、ステップ250にて、吸気弁遅開き制御が実行される。具体的には、吸気弁32の開弁タイミングが通常タイミングよりも遅角側の吸気行程中であって、且つ、排気弁35の閉弁タイミングよりも遅角側に設定される。通常タイミングからの遅角量は、一定であっても可変であってもよい。
このようにして、FC条件が成立している間、即ち、FCの開始時点からFCの終了時点までの間、EGR弁56の開度がゼロに固定され、且つ、(R>Rthの場合には)吸気弁遅開き制御が継続される。加えて、再加速等によりFCが終了した場合、FCからの復帰時から所定時間が経過するまでの間、ステップ215で「No」と判定されて、ステップ235以降の処理が実行される。従って、FCからの復帰時以降も所定時間が経過するまでの間、EGR弁56の開度がなおもゼロに固定され、且つ、(R>Rthの場合には)吸気弁遅開き制御がなおも継続される。
ここで、吸気弁遅開き制御について説明する。吸気弁遅開き制御により、吸気弁32の開弁タイミングが吸気行程中の時期であって排気弁35の閉弁タイミングよりも遅角側に設定される場合、排気弁35が閉弁し、その後、吸排気弁32,35が共に閉状態に維持された状態でピストンが下降していく過程(従って、密閉された燃焼室25の容積が増大していく過程)において吸気弁32が開弁する。従って、吸気弁32の開弁直後では、燃焼室25内のガスの圧力が吸気通路内の圧力よりも低下していることで吸気弁32の絞り部を通過するガスの通過前後の差圧が大きい。この結果、吸気弁32の開弁後(特に、開弁直後)にて燃焼室25内に流入する吸気の流速(吸気流速)が大きくなる。
吸気流速が大きいと、吸気と混合する燃料噴霧の微粒子化が促進される。燃料の微粒子化が促進されると、燃料噴霧と吸気(に含まれる酸素)との混合度合いが高まり、燃料噴霧(混合気)が着火し易くなる。このことは、残留既燃ガス濃度についての失火限界が大きくなることを意味する。
以上のことから、吸気弁遅開き制御の実行により、吸気流速の増大により失火限界が大きくなる。従って、上記第1実施形態のように、FC開始時点から、FC終了時点から所定時間が経過した時点までに間に亘って吸気弁遅開き制御が実行・継続されると、この期間内において、吸気流速の増大により失火限界が大きくなる。この結果、FCからの復帰時においても、失火限界が大きくされている。この結果、FCからの復帰時における失火の発生が抑制され得る。
加えて、上記第1実施形態では、吸気弁遅開き制御の実行中は、EGR弁56の開度がゼロに固定される。従って、FC中に亘ってEGR弁56の開度がゼロに維持される。この結果、FC中において、吸気通路から燃焼室25へのEGRガスの流入が禁止される一方で、排気行程が到来する毎に残留既燃ガス(の一部)が排気通路へと掃気されていく。従って、FC中において残留既燃ガス濃度を効果的に減少させていくことができる。この結果、FCからの復帰時での残留既燃ガス濃度を小さくすることができる。これによっても、FCからの復帰時における失火の発生が抑制され得る。
図3は、FC開始前にて外部EGR制御により大量のEGRガスが吸気通路に還流されている高負荷運転状態にて減速(Accp=0)によりFCが開始され、その後、再加速(Accp>0)によりFCが終了する場合における残留既燃ガス濃度の変化の一例を示している。図3に示すように、FC開始前では、残留既燃ガス濃度が大きい値に維持されている。しかしながら、高負荷運転状態により燃焼室25内のガス温度が高いから失火限界も高い。従って、この状態では、失火が発生しない。
一方、FCが開始されると、上述したように、EGR弁56の開度がゼロに維持される。これに起因して、上述のように残留既燃ガス濃度が急激に減少していく。加えて、FC中では、燃料の燃焼による熱が発生しないから、燃焼室25内のガス温度も次第に減少していき、従って、失火限界も次第に減少していく。
ここで、上述の吸気弁遅開き制御が実行されない場合において、FCからの復帰時での失火限界が破線で示す値になっている場合を想定する。この場合、上述の吸気弁遅開き制御が実行されないと、FCからの復帰時での残留既燃ガス濃度が失火限界を超えているから、失火が発生し易い。これに対し、上記第1実施形態では、上記吸気弁遅開き制御の実行により、FCからの復帰時において、失火限界が図3に一点鎖線で示す値まで大きくされている。この結果、FCからの復帰時における失火の発生が抑制され得る。
本発明は、上記第1実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第1実施形態においては、吸気弁遅開き制御において、吸気弁32の開閉タイミングを変更することで吸気弁32の開弁タイミングを変更しているが、吸気弁32の最大リフト量を変更することで吸気弁32の開弁タイミングを変更してもよい。また、吸気弁遅開き制御において、吸気弁32の開閉タイミング、及び吸気弁32の最大リフト量を変更することで、吸気弁32の開弁タイミングを変更してもよい。
また、上記第1実施形態では、残留既燃ガス濃度RがRthを超えている場合にのみ吸気弁遅開き制御が実行されているが、RとRthとの大小関係にかかわらず吸気弁遅開き制御が実行されるとともに、Rに基づいて前記通常タイミングからの前記遅角量が決定されてもよい。この場合、図2に示したルーチンに代えて図4にフローチャートにて示したルーチンが実行される。
図4に示したルーチンは、ステップ245を省略した点、並びに、ステップ240と250との間にステップ405、410を挿入した点においてのみ、図2に示したルーチンと異なる。ステップ405では、ステップ240にて推定された残留既燃ガス濃度Rと、図5に示したテーブルとに基づいて要求吸気流速Vが決定される。ステップ410では、この要求吸気流速Vと、エンジン回転速度NE及び吸気弁32の開弁タイミングとから吸気流速を求める予め取得された関数と、前記通常タイミングに基づいて、通常タイミングからの遅角量Aが決定される。これにより、残留既燃ガス濃度Rが大きいほど遅角量Aがより大きい量に決定される。
そして、ステップ250にて、吸気弁遅開き制御として、吸気弁32の開弁タイミングが通常タイミングから遅角量Aだけ遅角側に設定される。これにより、残留既燃ガス濃度Rが小さい場合、遅角量Aが小さくされて、失火発生を抑制しつつ上述のようにポンピングロス増大による燃費の悪化を抑制できる。また、残留既燃ガス濃度Rが大きい場合、遅角量Aが十分に大きくされる。従って、吸気流速を十分に高速化できて、失火限界を十分に大きくでき、この結果、失火発生を確実に抑制できる。
また、上記第1実施形態では、FCからの復帰時での失火発生の抑制のため、吸気弁遅開き制御のみが実行されているが、失火発生の抑制のため、燃焼室内のガスの圧縮端温度を上昇させる制御(圧縮端温度上昇制御)が実行されてもよい。この場合、図2に示したルーチンに代えて図6にフローチャートにて示したルーチンが実行される。
図6に示したルーチンは、ステップ250を、ステップ605、610、615に置き換えた点においてのみ、図2に示したルーチンと異なる。ステップ605では、冷却水温THWが所定値THWthより高いか否かが判定される。ここで「Yes」と判定される場合、ステップ610にて、上記第1実施形態と同様、吸気弁遅開き制御が実行される。一方、「No」と判定される場合、ステップ615にて、圧縮端温度上昇制御が実行される。
ここで、圧縮端温度上昇制御としては、例えば、吸気弁32の閉弁時期を吸気下死点近傍になるように進角する制御が採用され得る。これにより、実圧縮比が増大して圧縮端温度が上昇する。また、複数気筒のうちの一部の気筒を休止させる機構が備えられている場合、圧縮端温度上昇制御として、一部の気筒を休止させる制御が採用され得る。これにより、1気筒あたりの吸気行程における吸入空気量が増大して圧縮端温度が上昇する。また、噴射前の燃料(例えば、燃料タンク内の燃料)を加熱する装置が備えられている場合、圧縮端温度上昇制御として、噴射前の燃料を過熱する制御が採用され得る。これにより、混合気の温度が高くなり圧縮端温度が上昇する。
図6に示したルーチンの実行により、高温時では、吸気弁遅開き制御が選択・実行されてFCからの復帰時での失火発生が抑制され、低温時では、圧縮端温度上昇制御が選択・実行されてFCからの復帰時での失火発生が抑制される。この結果、低温時に吸気弁遅開き制御を実行することによる上述した点火プラグのくすぶりの発生、並びに、高温時に圧縮端温度上昇制御を実行することによる上述したノッキングの発生が抑制され得る。加えて、冷却水温THWにかかわらずFCからの復帰時での失火の発生が安定して抑制され得る。
図6に示したルーチンでは、冷却水温THWを2領域に分けて、高温時(THW>THWth)に吸気弁遅開き制御が実行され、低温時(THW≦THWth)に圧縮端温度上昇制御が実行されるが、冷却水温THWを3領域に分けて、高温時(THW>THWth1)に吸気弁遅開き制御が実行され、中温時(THWth2<THW≦THWth1)に吸気弁遅開き制御及び圧縮端温度上昇制御が共に実行され、低温時(THW≦THWth2)に圧縮端温度上昇制御が実行されてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。この第2実施形態は、FCからの復帰時での失火発生の抑制のために燃料圧力昇圧制御が実行される点においてのみ、FCからの復帰時での失火発生の抑制のために吸気弁遅開き制御が実行される上記第1実施形態と異なる。
この第2実施形態では、図2に示したルーチンに代えて図7にフローチャートにて示したルーチンが実行される。図7に示したルーチンは、ステップ225をステップ705に置き換え、ステップ250をステップ710に置き換えた点においてのみ、図2に示したルーチンと異なる。
ステップ705は、通常運転中(即ち、FC開始時点から、FC終了から所定時間が経過した時点までを除いた期間)に実行される。ステップ705では、噴射弁39P,39Cから噴射される燃料の圧力(燃料圧力)が通常圧力に設定される。通常圧力は、アクセルペダル操作量Accp、及びエンジン回転速度NE等に基づいて決定される。具体的には、燃料圧力が通常圧力に一致するように燃料ポンプ82がフィードバック制御される。
ステップ710は、FC開始時点から、FC終了から所定時間が経過した時点までの期間に実行される。ステップ710では、燃料圧力昇圧制御が実行される。具体的には、燃料圧力が通常圧力よりも大きい値に設定される。通常圧力からの昇圧量は、一定であっても可変であってもよい。
このようにして、FC開始時点から、FC終了から所定時間が経過した時点までの期間、EGR弁56の開度がゼロに固定され、且つ、(R>Rthの場合には)燃料圧力昇圧制御が継続される。
ここで、燃料圧力昇圧制御について説明する。燃料圧力昇圧制御により、燃料圧力が増大すると、噴射弁39P,39Cから噴射される燃料の噴射速度が上昇する。これにより、吸気と混合する燃料噴霧の微粒子化が促進される。よって、上記第1実施形態と同様、残留既燃ガス濃度についての失火限界が大きくなる。
以上のことから、燃料圧力昇圧制御の実行により、噴射速度の増大により失火限界が大きくなる。従って、上記第2実施形態のように、FC開始時点から、FC終了時点から所定時間が経過した時点までの間に亘って燃料圧力昇圧制御が実行・継続されると、この期間内において、噴射速度の増大により失火限界が大きくなる(FC中では燃料が噴射されないから、FC中では実際には失火限界に変化はない)。この結果、FCからの復帰時において、失火限界が大きくされる。この結果、FCからの復帰時における失火の発生が抑制され得る。
図8は、上述した図3に対応する図である。図8において、上述の燃料圧力昇圧制御が実行されない場合において、FCからの復帰時での失火限界が破線で示す値になっている場合を想定する。この場合、上述の燃料圧力昇圧制御が実行されないと、FCからの復帰時での残留既燃ガス濃度が失火限界を超えているから、失火が発生し易い。これに対し、上記第2実施形態では、上記燃料圧力昇圧制御の実行により、FCからの復帰時において、失火限界が図8に一点鎖線で示す値まで大きくされている。この結果、FCからの復帰時における失火の発生が抑制され得る。
本発明は、上記第2実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第2実施形態においては、残留既燃ガス濃度RがRthを超えている場合にのみ燃料圧力昇圧制御が実行されているが、RとRthとの大小関係にかかわらず燃料圧力昇圧制御が実行されるとともに、Rに基づいて前記通常圧力からの前記昇圧量が決定されてもよい。この場合、図7に示したルーチンに代えて図9にフローチャートにて示したルーチンが実行される。
図9に示したルーチンは、ステップ245を省略した点、並びに、ステップ240と710との間にステップ905を挿入した点においてのみ、図7に示したルーチンと異なる。ステップ905では、ステップ240にて推定された残留既燃ガス濃度Rと、図10に示したテーブルとに基づいて通常圧力からの昇圧量Bが決定される。これにより、残留既燃ガス濃度Rが大きいほど昇圧量Bがより大きい量に決定される。
そして、ステップ710にて、燃料圧力昇圧制御として、燃料圧力が通常圧力から昇圧量Bだけ大きい値に設定される。これにより、残留既燃ガス濃度Rが小さい場合、昇圧量Bが小さくされて、不必要に昇圧量を大きくすることなく失火発生を抑制できる。また、残留既燃ガス濃度Rが大きい場合、昇圧量Bが十分に大きくされる。従って、噴射速度を十分に高速化できて、失火限界を十分に大きくでき、この結果、失火発生を確実に抑制できる。
また、上記第2実施形態では、燃料圧力昇圧制御として、噴射弁39P,39Cから噴射される燃料の燃料圧力が共に昇圧されるが、噴射弁39P,39Cから噴射される燃料の燃料圧力が個別に調整できるように構成されている場合、燃料圧力昇圧制御として、噴射弁39P,39Cから噴射される燃料の燃料圧力のうちの一方のみが昇圧されてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。この第3実施形態は、FCからの復帰時での失火発生の抑制のために噴射回数増大制御が実行される点においてのみ、FCからの復帰時での失火発生の抑制のために吸気弁遅開き制御が実行される上記第1実施形態と異なる。
この第3実施形態では、図2に示したルーチンに代えて図11にフローチャートにて示したルーチンが実行される。図11に示したルーチンは、ステップ225をステップ1105に置き換え、ステップ250をステップ1110に置き換えた点においてのみ、図2に示したルーチンと異なる。
ステップ1105は、通常運転中(即ち、FC開始時点から、FC終了から所定時間が経過した時点までを除いた期間)に実行される。ステップ1105では、筒内噴射弁39Cから噴射される燃料の(1燃焼サイクルあたりの)噴射回数が通常回数(=1回)に設定される。即ち、筒内噴射弁39Cからの1回の噴射で、ステップ210にて決定されている筒内噴射弁39Cに対応する通常量の燃料の全てが噴射される。なお、本例では、ポート噴射弁39Pから噴射される燃料の(1燃焼サイクルあたりの)噴射回数は、常に1回に設定されている。
ステップ1110は、FC開始時点から、FC終了から所定時間が経過した時点までの期間に実行される。ステップ1110では、噴射回数増大制御が実行される。具体的には、筒内噴射弁39Cからの(1燃焼サイクルあたりの)噴射回数が複数回に設定される。この複数回の噴射で、ステップ210にて決定されている筒内噴射弁39Cに対応する通常量の燃料の全てが分割して噴射される。通常回数(=1回)からの回数の増大量は、一定であっても可変であってもよい。
このようにして、FC開始時点から、FC終了から所定時間が経過した時点までの期間、EGR弁56の開度がゼロに固定され、且つ、(R>Rthの場合には)噴射回数増大制御が継続される。
ここで、噴射回数増大制御について説明する。噴射回数増大制御により、筒内噴射弁39Cからの噴射回数が増大すると、筒内噴射弁39Cから噴射された燃料の燃料噴霧の総表面積が増大する。これにより、燃料噴霧と吸気(に含まれる酸素)との混合度合いが高まり、燃料噴霧(混合気)が着火し易くなる。従って、上記第1、第2実施形態と同様、残留既燃ガス濃度についての失火限界が大きくなる。
以上のことから、噴射回数増大制御の実行により、筒内噴射弁39Cからの燃料噴霧の総表面積の増大により失火限界が大きくなる。従って、上記第3実施形態のように、FC開始時点から、FC終了時点から所定時間が経過した時点までの間に亘って噴射回数増大制御が実行・継続されると、この期間内において、筒内噴射弁39Cからの燃料噴霧の総表面積の増大により失火限界が大きくなる(FC中では燃料が噴射されないから、FC中では実際には失火限界に変化はない)。この結果、FCからの復帰時において、失火限界が大きくされる。この結果、FCからの復帰時における失火の発生が抑制され得る。
図12は、上述した図3に対応する図である。図12において、上述の噴射回数増大制御が実行されない場合において、FCからの復帰時での失火限界が破線で示す値になっている場合を想定する。この場合、上述の噴射回数増大制御が実行されないと、FCからの復帰時での残留既燃ガス濃度が失火限界を超えているから、失火が発生し易い。これに対し、上記第3実施形態では、上記噴射回数増大制御の実行により、FCからの復帰時において、失火限界が図12に一点鎖線で示す値まで大きくされている。この結果、FCからの復帰時における失火の発生が抑制され得る。
本発明は、上記第3実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第3実施形態においては、残留既燃ガス濃度RがRthを超えている場合にのみ噴射回数増大制御が実行されているが、RとRthとの大小関係にかかわらず噴射回数増大制御が実行されるとともに、Rに基づいて噴射回数が決定されてもよい。この場合、図11に示したルーチンに代えて図13にフローチャートにて示したルーチンが実行される。
図13に示したルーチンは、ステップ245を省略した点、並びに、ステップ240と1110との間にステップ1305を挿入した点においてのみ、図11に示したルーチンと異なる。ステップ1305では、ステップ240にて推定された残留既燃ガス濃度Rと、図14に示したテーブルとに基づいて噴射回数Nが決定される。これにより、残留既燃ガス濃度Rが大きいほど噴射回数Nがより大きい値に決定される。
そして、ステップ1110にて、噴射回数増大制御として、噴射回数がN回に設定される。これにより、残留既燃ガス濃度Rが小さい場合、噴射回数Nが小さくされて、不必要に噴射回数を大きくすることなく失火発生を抑制できる。また、残留既燃ガス濃度Rが大きい場合、噴射回数Nが十分に大きくされる。従って、前記総表面積を十分に拡大できて、失火限界を十分に大きくでき、この結果、失火発生を確実に抑制できる。
また、上記第1(第2)実施形態では、吸気弁遅開き制御(燃料圧力昇圧制御)が、FC開始時点から、FCからの復帰時点から所定期間が経過した時点までに亘って実行されているが、少なくともFCからの復帰時点にて実行されていればよく、FCからの復帰時点からの所定期間内に亘って実行されてもよいし、FC中の途中の段階から、FCからの復帰時点から所定期間が経過した時点までに亘って実行されてもよい。
また、上記第3実施形態では、噴射回数増大制御が、FC開始時点から、FCからの復帰時点から所定期間が経過した時点までに亘って実行されているが、少なくともFCからの復帰時点にて実行されていればよく、FCからの復帰時点からの所定期間内に亘って実行されてもよい。
また、上記第1〜第3の制御装置では、EGR弁56の開度が、FC中のみならず、FCからの復帰時点からの所定期間内も、ゼロに維持されているが、EGR弁56の開度が、FC中のみゼロに維持され、FCからの復帰時点以降、前記通常開度に設定されてもよい。
加えて、上記第1〜第3の制御装置では、外部EGR制御が実行されているが、外部EGR制御に代えて内部EGR制御が実行されてもよいし、外部EGR制御も内部EGR制御も実行されなくてもよい。
10…火花点火式多気筒内燃機関、25…燃焼室、32…吸気弁、33…可変吸気タイミング装置、35…排気弁、39C…筒内噴射弁、39P…ポート噴射弁、54…EGRガス通路、56…EGR弁、70…電気制御装置、71…CPU、82…燃料ポンプ