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JP2010011370A - 歪補償増幅器 - Google Patents

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JP2010011370A JP2008171265A JP2008171265A JP2010011370A JP 2010011370 A JP2010011370 A JP 2010011370A JP 2008171265 A JP2008171265 A JP 2008171265A JP 2008171265 A JP2008171265 A JP 2008171265A JP 2010011370 A JP2010011370 A JP 2010011370A
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修 山本
Takayuki Ushikubo
隆之 牛窪
Tomoya Mogi
智哉 茂木
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Abstract

【課題】TDDなどの間欠的なRF動作においても線形性のよい高周波数の電力増幅器を実現しかつ安定した線形特性を維持できる電力増幅器を提供する。
【解決手段】トランジスタバイアス電圧可変回路、可変利得器と可変位相器によって歪補償量を制御するように構成したフィードフォワードまたはプレディストーション構成の歪補償増幅器において、前記トランジスタバイアス電圧可変回路19,33、可変利得器12,22と可変位相器13,23を筐体温度に対応して補償する第1の補償手段31と、前記歪補償増幅器の送信信号のデューティ比を検出する検出手段40を有し、検出されたデューティ比に対応して補償する第2の補償手段41を有することにより、前記第1と第2の補償手段で得られた補償量を加え合わせて総合的に歪を補償する。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信に用いられ時分割で無線信号を送信するための大電力増幅回路において、特にFF(フィードフォワード)方式またはPD(プレディストーション)方式の増幅特性における非線形歪みまたは位相歪みを補償する歪補償増幅器に関する。
PHS携帯電話などの無線装置の送信部に用いられている電力増幅器は、高周波信号をアンテナを介して空中に放射させるために、入力される送信信号を十分大きな電力レベルまでに増幅する回路である。
無線信号を時分割で送信する通信システムでは、電力増幅器の線形性と通過位相が伝送信号の信頼性に関係してくる。ディジタル線形変調方式によって変調された送信信号の位相及び振幅はディジタル信号を伝えることとから、受信側に情報を正確に伝送する送信部の電力増幅器に対して、振幅または位相特性の線形性が特に厳しく要求される。
従来は、電力増幅器の線形性を改善するために種々の方式が提案されている。これらの方式には、PD(プレディストーション)方式やFF(フィードフォワード)方式がある。
例えば、特許文献1には、フィードフォワード方式の電力増幅器が開示されている。このフィードフォワード電力増幅器は、2つの信号経路で構成され、第1の信号経路は経路IN−分岐器−ベクトル調整器−主増幅器−第7方向性結合器−Aで構成され、第2の信号経路は経路IN−分岐器−フィードフォワード経路−方向性結合器−Aで構成される。
入力端子に接続された分岐器により、第1の信号経路の主増幅器へ供給される入力信号の一部が第2の信号経路(フィードフォワード経路)に分岐される。分岐信号は、このフィードフォワード経路に設けられた遅延線によって遅延された後、第1の信号経路の主増幅器の後段に設けられた方向性結合器により主増幅器の出力信号の一部と逆位相で合成され、歪信号が導出される。
主増幅器と遅延線の各出力の信号振幅が等しくかつその信号の位相を逆にすることにより、遅延線の後段に接続された補助増幅器から主増幅器の歪成分のみが歪信号として取り出される。その結果、歪信号は補助増幅器によって増幅された後、方向性結合器において主増幅器の出力信号から減算され、主成分のみが導出されて主増幅器の線形歪は改善される。
また、特許文献2には、プレディストーション方式の歪補償電力増幅器が開示されている。この歪補償電力増幅器は、2つの信号経路で構成され、第1の信号経路は入力端子−分岐手段−ベクトル調整器−結合手段−主増幅器−結合手段で構成され、第2の信号経路は、入力端子−分岐手段−参照経路−結合手段−歪増幅器−結合手段(主増幅器前段)で構成される。主増幅器の後段に設けられた結合器で主増幅器と歪増幅器からの出力信号の信号振幅を同一としかつ位相を逆にすることにより、主増幅器の歪成分のみを取り出す。
取り出した歪信号を歪増幅器で増幅して主増幅器の入力側に供給することによって予め入力信号を逆補正する。逆補正された入力信号は、主増幅器で増幅されて相互変調歪成分がキャンセルされる。その結果、送信信号の主成分のみが導出されて主増幅器の非線形特性に起因する特性を改善している。
特開2004−247878号公報 特開2004−266700号公報
上記引用文献1〜2には、信号の減算により増幅器の歪みを補償する回路構成を開示してあるが、その歪を補償するための制御方法を開示してない。歪補償するための制御方法として、一般に筐体温度を用いて温度の変化に応じてトランジスタのバイアス点、利得などを制御する。
たとえば、TDD(Time Division Duplex)など間欠的にRF(Radio Frequency:無線周波数)信号を送信する電力増幅器に温度を用いて歪補償する例がある。しかしながら、この場合、電力増幅器のトランジスタの内部温度が急激に変動するので、トランジスタのバイアス点、利得、通過位相などもこれに追随して変動し、設定値が最適点からずれるために歪が増加して電気的特性が劣化するという欠点があった。
例えば、電力増幅器において、連続送信状態でトランジスタのバイアス点などの歪補償量を最適化した場合、送信の時間比率が下がってくるとトランジスタの発熱量が減るためにT(トランジスタジャンクション温度)が低下してドレイン電流が変動し、その結果、歪が劣化するといった不具合がある。
また一般的に電力増幅器の筐体の熱抵抗はトランジスタ内部の熱抵抗に比べて低いため、トランジスタの内部温度上昇があっても筐体温度の上昇はわずかにとどまり、筐体温度の上昇で内部温度上昇を推定するのは困難であること、また筐体の熱時定数はトランジスタのそれに比べて大きく、トランジスタの内部の温度上昇よりはるかに遅れて温度が上昇するので筐体温度を検出して歪補償するのでは間に合わないなど、時間遅れが発生するので筐体温度だけで歪補償量を決めるには限界がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、TDDなどの間欠的なRF動作においても線形性のよい高周波数の電力増幅器を実現しかつ安定した線形特性を維持できる電力増幅器を提供することにある。
本発明の歪補償増幅器は、入力信号を増幅する第1の増幅器に接続され、該第1の増幅器の特性を制御する制御手段と、前記第1の増幅器からの発熱が該第1の増幅器が実装された筺体に伝達され、温度検出器で検出した前記筺体の温度変化に対応して前記制御手段と前記第1の増幅器を制御するための補償量を算出する第1の演算手段と、前記第1の増幅器から出力される送信信号のデューティ比を検出する検出手段と、前記検出手段で検出されたデューティ比に対応して前記制御手段と前記第1の増幅器を制御するための補償量を算出する第2の演算手段と、前記第1と第2の演算手段から得られた演算結果を合成し前記制御手段と前記第1の増幅器の制御端子に供給する合成手段と、を有する。
本発明の歪補償増幅器は、トランジスタバイアス電圧可変回路、可変利得器と可変位相器によって歪補償量を制御するように構成したフィードフォワードまたはプレディストーション構成の歪補償増幅器において、前記トランジスタバイアス電圧可変回路、可変利得器と可変位相器を前記歪補償増幅器が実装された筐体の温度に対応して補償する第1の補償手段と、前記歪補償増幅器の送信信号のデューティ比を検出する検出手段を有し、検出されたデューティ比に対応して補償する第2の補償手段を有し、前記第1と第2の補償手段で得られた補償量を加え合わせて総合的に歪を補償することを特徴とする。
本発明の歪補償増幅器は、第1の可変利得器と第1の可変位相器が入力側に直列接続された第1の増幅器と、前記第1の可変利得器の入力側に並列に接続された遅延回路と、該遅延回路の後段に前記第1の増幅器の出力信号が供給される第2の可変利得器と第2の可変位相器とが直列に接続されて入力端子に接続される第2の増幅器と、前記第1の増幅器の第1のトランジスタバイアス、第1と第2の可変利得器と第1と第2の可変位相器の少なくとも1つを前記第1の増幅器が実装された筐体の温度に対応して補償する第1の補償手段と、上記出力信号のデューティ比を検出する検出手段を有し、検出されたデューティ比に対応して前記第1と第2の増幅器の第2のトランジスタバイアス、第1と第2の可変利得器と第1と第2の可変位相器の少なくとも1つを補償する第2の補償手段と、前記第1と第2の補償手段からの出力を合成して前記第1と第2の可変利得器、前記第1と第2の可変位相器と前記第1と第2の増幅器の制御端子に供給する制御信号合成手段と、前記第1と第2の増幅器の出力信号を合成して前記送信信号を得る合成手段と、を有する。
また、本発明の歪補償増幅器は、入力信号を遅延する遅延回路と、前記遅延回路に並列に接続され、可変利得器と可変位相器が入力側に直列接続された第1の増幅器と、前記遅延回路の出力と前記第1の増幅器の出力が合成され、該合成された信号が供給される第2の増幅器と、前記第1または第2の増幅器のトランジスタバイアス、前記可変利得器と前記可変位相器の少なくとも1つを前記第2の増幅器が実装された筐体の温度に対応して補償する第1の補償手段と、送信信号のデューティ比を検出する検出手段を有し、検出されたデューティ比に対応して前記第1または第2の増幅器のトランジスタバイアス、前記可変利得器と可変位相器の少なくとも1つを補償する第2の補償手段と、前記第1と第2の補償手段からの出力を合成して前記第1または第2の増幅器のトランジスタバイアス、前記可変利得器と可変位相器の少なくとも1つに供給し、前記第2の増幅器から出力される送信信号の歪を補償する制御信号合成手段と、を有する。
本発明の歪補償増幅器は、筐体温度の補償に加えて送信信号のデューティ比を検出しこれに見合った量の補償を追加することにより周囲温度変化と送信信号の波形のデューティ比によらず最良の歪特性を得ることができる。
図1(a)に本発明の実施形態である歪補償増幅器100の回路構成を示す。
歪補償増幅器100は、アンプ10、方向性結合器11,15,17,18,21、可変利得器12,22、可変位相器13,23、メインアンプ14、バイアス制御回路(またはトランジスタバイアス電圧可変回路とも称する)19,33、サブアンプ24、出力信号検出器(DET1)25、温度検出器(図1においては温度と略記する)30、ルックアップテーブル(LUT1)31,(LUT2)41、加算器32−1〜32−6、デューティ(DUTY)比検出器(図1においてはDUTYと略記する)40で構成され、さらに上述したメインアンプ14は、アンプ14−1,14−2で構成され、また、サブアンプ24はアンプ24−1,24−2で構成される。
次に、歪補償増幅器100の回路接続構成について説明する。まず、送信信号を増幅する主信号経路について説明する。
入力端子がアンプ10の入力に接続され、このアンプ10の出力端子は方向性結合器11の入力端子に接続され、方向性結合器11の第1の出力端子は、可変利得器12の入力端子に接続される。
可変利得器12の出力端子は、可変位相器13の入力端子に接続され、この可変位相器13の出力端子はメインアンプ14を構成するアンプ14−1の入力端子に接続される。また、可変利得器12の制御端子は加算器32−1の出力端子に接続され、可変位相器13の制御端子は、加算器32−2の出力端子に接続される。
アンプ14−1の出力端子は、電力増幅器などで構成されるアンプ14−2の入力端子に接続され、アンプ14−2の出力端子は方向性結合器15の入力端子に接続される。また、アンプ14−2のバイアスを制御する制御端子はバイアス制御回路19の出力端子に接続される。
方向性結合器15の第1の出力端子は、遅延素子16の入力端子に接続され、遅延素子16の出力端子は、方向性結合器17の第1の入力端子に接続される。
方向性結合器17の出力端子は方向性結合器18の入力端子に接続され、この方向性結合器18の第1の出力端子から送信信号が出力される。
方向性結合器において、方向性結合器11,15,18の第2の出力端子は、これらの方向性結合器の入力端子に供給された信号の結合波を出力する。この他、並行に配置された2個のマイクロストリップラインが結合されて一方のマイクロストリップから入力された信号を他方のマイクロストリップラインから信号の一部を取り出すこともできる。
方向性結合器17,21の第2の入力端子は、方向性結合器の入出力を逆にして異なる2信号を結合(合成)する。あるいは、並行に配置された2個のマイクロストリップラインを設け、このマイクロストリップラインのカップリング特性により一方のマイクロストリップラインから信号を入力し他方のマイクロストリップラインで2つの入力信号を合成することもできる。
次に、歪補償用の副信号を導出する副信号経路について説明する。
方向性結合器11の第2の出力端子は、遅延素子20の入力端子に接続され、この遅延素子20の出力端子は、方向性結合器21の第1の入力端子に接続される。方向性結合器21の第2の入力端子は、方向性結合器15の第2の出力端子に接続され、出力端子は、可変利得器22の入力端子に接続される。可変利得器22の出力端子は可変位相器23の入力端子に接続され、利得を制御する制御端子は加算器32−4の出力端子に接続される。
可変位相器23の出力端子はアンプ24−1の入力端子に接続され、位相を制御する制御端子は、加算器32−5の出力端子に接続される。
アンプ24−1の出力端子は、アンプ24−2の入力端子に接続され、このアンプ24−2の出力端子は、方向性結合器17の第2の入力端子に接続される。
アンプ24−2の出力端子は、方向性結合器17の第2の入力端子に接続され、バイアスを制御する制御端子は、バイアス制御回路33の出力端子に接続される。
歪補償増幅器100が収納された筐体の温度、またはその筐体に固着されて放熱するヒートシンクの熱を検出する温度センサを有する温度検出器30の出力端子は、ルックアップテーブル(LUT1)31に接続され、ルックアップテーブル31の出力端子は、加算器32−1〜32−6のそれぞれの入力端子に接続される。加算器32−1の出力端子は可変利得器12の制御端子に接続され、加算器32−2の出力端子は、可変位相器13の制御端子に接続され、加算器32−3の出力端子は、バイアス制御回路19の入力端子に接続され、加算器32−4の出力端子は、可変利得器22の制御端子に接続され、加算器32−5の出力端子は、可変位相器23の制御端子に接続され、加算器32−6の出力端子は、バイアス制御回路33の入力端子に接続される。
方向性結合器18の第2の出力端子は、出力信号検出器(DET1)25の入力端子に接続される。
可変利得器12、22は、例えば3dB(デシベル)カプラーとPIN(ピン)ダイオードで構成され、PINダイオードに抵抗を介して可変電圧を供給することにより抵抗値を可変し、カプラーに入力された信号を所定量減衰して減衰された信号を導出する。
可変位相器13,23は、例えば3dBカプラーとバラクターダイオードで構成され、バラクターダイオードに抵抗を介して逆バイアスを供給して容量値を可変することにより、カプラーに入力された信号の位相を変えて出力する。
メインアンプ14のアンプ14−2、サブアンプ24−2は、例えばマイクロ波帯域の高周波電力増幅用のLD−MOSで構成され、それ以外のアンプ14−1,24−1はLD−MOSに限定されず小電力用の高周波増幅トランジスタを用いる。
デューティ比検出器40は、出力波形のオン期間/(オン+オフ)期間で得られる値のパーセント(%)値であり、この(オン+オフ)期間は上述のPHS通信においては、1フレーム(5msec)が8スロットで構成される。
DUTY(デューティ)比の検出法方として具体的に2つある。
第1の例として、PHS等の携帯端末に備えられたCPU(マイクロコンピュータ)を用いて、一定の周期(たとえば1フレーム)でTon(送信状態)とToff(非送信状態)を監視し、Ton期間をカウントして、デューティ比を検出する方法がある。
第2の例として、上述したTon時間の平均電圧を検出する方法がある。例えば、LVTTL(Low Voltage TTL)信号(0/3.3V)にて与えられるTON/TOFF信号を、積分回路で電圧を平均化して、その平均化された電圧からデューティ比を検出する。
歪補償増幅器100の動作を説明する前に、歪補償増幅器100を構成する半導体チップとこれを搭載した筐体の構造とその温度変化について説明する。
図2に、トランジスタ(単体)71を筐体74に実装した模式図を示す。トランジスタ71は、トランジスタチップ72がフレーム73に固着されてそれを覆うようにモールドされて構成される。そして、このトランジスタ71は筐体74に実装される。
トランジスタチップ72の接合部(ジャンクション)で発生した熱は、フレーム73を介して筐体74に伝達する。
図3に、トランジスタ71のバーストオン(バーストON)期間に対する熱の伝達過渡特性を示す。図3において、横軸は、バーストオン時間を示し、縦軸は、筐体の温度(Tc(ON)を示す。なお、トランジスタ71がオンする期間、具体的には、1フレーム期間でトランジスタ71がオンするスロット期間をバーストオン時間と記載する。
例えばPHS通信の場合の1周期(1フレーム)は8スロットとし、1スロット(SLOT)の期間を625μs(マイクロ秒)と設定されている。
この8スロットの内、4スロットが送信期間を、残りの4スロットが受信期間を示す。送信期間の4スロット中の任意スロットでトランジスタ71はオン(ON)/オフ(OFF)する。このオン/オフする期間、換言するとデューティ比によりトランジスタの熱発生量が異なる。
図2に示したように、トランジスタ71の熱抵抗と筐体の熱抵抗があるために、トランジスタチップ72のジャンクションで発生した熱は急速に筐体74に伝達することはできない。そのために、図3に示すように、バーストON時間に対して、筐体74の温度は、ある曲線例えばイクスポーネンシャルカーブの特性に従って上昇するが、Tj(ON)の時定数より大幅に遅い。したがって、所定のバーストON期間に筐体74で検知される温度Tc(ON)からトランジスタ71のジャンクション温度Tj(ON)をDUTY情報なしに推測することは困難である。なお、温度の検出は一般的な温度センサで構成され、特に限定されるものではない。
図4にデューティ比を可変した時の時間経過に対するトランジスタジャンクション温度Tと筐体温度の特性を示す。
図4(a)に、時間経過に対するデューティ比を可変した例を示す。また図4(b)に、デューティ比を可変した時の時間経過に対するトランジスタジャンクション温度Tと筐体温度の変化を示す。
図4(a)のデューティ比(折れ線a)に対応して、図4(b)にトランジスタジャンクション温度T(曲線b)が変化する様子を示す。このトランジスタジャンクション温度Tは所定の時定数により筐体へ伝達するので、筐体の温度は、図4(b)の点線cに示すように、時間が遅れて上昇する。
そのため、トランジスタジャンクション温度Tと筐体温度とは必ずしも一致せず、ある時刻では、符号eに示すように温度差が生じる。特に、トランジスタ71のデューティ比が大きく可変する時にトランジスタジャンクション温度Tと筐体温度の温度差が顕著になる。
図5(a)に、温度補償によるルックアップテーブル(LUT1)の例を示す。周囲温度が−20℃から20℃ステップで+80℃まで可変したときの、各温度に対する可変利得器(G1)12,(G2)22、可変位相器(P1)13,(P2)23に出力する制御電圧とアンプ14−2,24−2を制御するためにバイアス制御回路(A1)19,(A2)33から出力される制御電圧を示す。この時、各20℃毎のステップの間の温度は例えば直線補間などで補間される。
また図5(b)に、周囲温度を20℃とした時のデューティ(DUTY)比補償テーブル(ルックアップテーブルLUT2)を示す。
メインアンプ14から出力された送信信号の一部が方向性結合器18を介して出力信号検出器25で検出され、検出された送信信号の波形のデューティ比に対応して制御電圧が生成されてルックアップテーブルに記憶される。なお、デューティ比は、1フレーム(8スロット)に対する送信の1〜4スロット期間の比を示し、メインアンプ14のオン動作が連続したときデューティ比は100%、4/8バースト(4スロット)のとき50%、3/8バースト(3スロット)のとき37.5%、2/8バースト(2スロット)のとき25%、1/8バーストのとき12.5%とし、可変利得器12,22、可変位相器13,23とアンプ14−2,24−2に供給する制御電圧をルックアップテーブル(LUT2)41に記憶する。この時、各デューティ比のステップ間は、例えば直線補間などで補間される。
なお、温度に対してデューティ比による補償値が大きく異なるときは、周囲温度が−20℃、0℃、40℃、60℃、80℃においても各デューティにおける補償電圧を求め、ルックアップテーブル41にそれぞれ記憶する。
次に、図1に示す歪補償増幅器100の動作を説明する。
まず、筐体温度が20℃でデューティ比が12.5%のときの歪補償増幅器100動作について説明する。
アンプ10に入力信号としての送信信号が供給され、アンプ10で所定量増幅して方向性結合器11に入力される。方向性結合器11の第1の出力端子から可変利得器12に出力され、また第2の出力端子から遅延素子20に出力される。
温度検出器30で、筐体温度が例えば20℃であることを検出すると、検出した温度に対応した制御電圧をルックアップテーブル31から読み出し、加算器32−1〜32−6に出力する。また、これと並列にデューティ比検出器40で筐体温度が20℃におけるデューティ比を検出し、例えばデューティ比を12.5%とするとこのデューティ比に対応する制御電圧をルックアップテーブル41から読出し、加算器32−1〜32−6に出力する。
ルックアップテーブル31,41からそれぞれ出力された制御電圧が加算器32−1で演算され、その演算結果が加算器32−1から制御電圧として可変利得器12に出力される。例えば、図5(a)の温度補償テーブルにおける20℃のG1の制御電圧と図5(b)のDUTY比補償テーブルにおける12.5%のG1の制御電圧が加算器32−1で合成され、この合成された電圧が制御電圧として出力される。可変利得器(G1)12では、減衰度が制御され、入力信号が所定量減衰されて次段の可変位相器(P1)13に出力される。
また、温度補償テーブルにおける20℃のP1の制御電圧と図5(b)のDUTY比補償テーブルにおける12.5%のP1の制御電圧が加算器32−2で合成され、この合成された電圧が制御電圧として出力される。加算器32−2から出力された制御電圧は、可変位相器(P1)13に供給され、位相の制御を行う。その結果、可変位相器13では、制御電圧に応じて送信信号の位相を進みまたは遅れの処理を行う。
可変位相器13で位相調整された送信信号は、メインアンプ14を構成する初段のアンプ14−1に供給され、ここで所定量増幅して電力増幅用の最終段のアンプ(TR1)14−2に出力する。
アンプ14−2では、アンテナから送信信号を放射するために送信信号を十分なレベルまでに電力増幅する必要あるので歪が生じる。アンプ14−2のバイアスを可変するために、温度補償テーブルの20℃のA1のデータとDUTY比補償テーブルにおける12.5%のA1のデータを読出し、加算器32−3で合成し、制御電圧を発生する。そして、制御信号がバイアス制御回路19で電圧変換されてアンプ14−2のトランジスタにバイアス電圧として供給され、トランジスタのバイアス電流が制御され送信信号が導出される。
一方、アンプ(TR−1)14−2から出力された送信信号が方向性結合器15において送信信号の一部が導出され、方向性結合器21の第2の入力端子に供給される。またこの方向性結合器21の第1の入力端子には、遅延素子T1から出力された出力信号が入力信号として供給される。
方向性結合器21の第1と第2の入力端子に供給される入力信号の位相は互いに逆位相に設定してあるので、方向性結合器21の出力端子からは、上述した歪成分だけが抽出される。
方向性結合器21の出力端子から導出された歪抽出信号は、可変利得器22に供給され、ここで送信信号の振幅が制御される。すなわち、温度補償テーブルの20℃のG2の制御電圧とDUTY比補償テーブルにおける12.5%のG2の制御電圧が加算器32−4で合成され、その合成された電圧が制御得電圧として可変利得器(G2)22に供給され、この制御電圧に応じて減衰度が設定される。
可変利得器22で減衰された歪抽出信号は可変位相器(P2)23に供給され、そこで位相が調整される。すなわち、すなわち、温度補償テーブルの20℃のP2の制御電圧とDUTY比補償テーブルにおける12.5%のP2の制御電圧が加算器32−5で合成され、その合成された電圧が制御得電圧として可変位相器(P2)23に供給され、この制御電圧に応じて歪抽出信号の位相が設定される。
可変位相器23で位相を補償された歪抽出信号は、サブアンプ24を構成するアンプ24−1に供給され、所定倍増幅されて次段のアンプ(TR2)24−2に供給され、そこでさらに増幅される。なお、温度補償テーブルの20℃のA2のデータとDUTY比補償テーブルにおける12.5%のA2のデータが読出され、加算器32−6で合成されて得られた制御電圧は加算器32−6から出力される。そして、制御電圧がバイアス制御回路33で電圧変換されてアンプ24−2のトランジスタにバイアス電圧として供給され、トランジスタのバイアス電流が制御されて方向性結合器の第2の入力端子に出力される。
方向性結合器15の第1の出力端子から導出された出力信号は遅延素子16で所定時間遅延して方向性結合器17の第1の入力端子に出力され、また第2の入力端子からアンプ24−2で増幅された歪抽出信号が入力される。
方向性結合器17の第1と第2の入力端子から供給された入力信号としての歪抽出信号は、互いに位相を逆に設定することにより歪成分が削除され、基本波のみが出力端子から導出される。この結果、方向性結合器18の出力端子からは、非線形歪みが削除または減衰されて歪が補償された送信信号が出力される。
方向性結合器18の第2の出力端子に接続された出力信号検出器25で、送信信号の一部を検出し、その検出した波形からディユーティ比を求め、この結果をデューティ比検出器40に出力する。また、出力信号検出器(25)以外からも、例えば歪補償増幅器をオン/オフ(ON/OFF)させる外部からのON/OFF信号からデューティ比を求めることができる。
上述の説明においては、デューティ比が12.5%の例を説明したが、デューティ比が25%,37.5%,50%,100%においても同様に、各デューティ比に対応する制御電圧をルックアップテーブル41から読出し、加算器32−1〜32−6に出力する。その後の各可変利得器12,22、可変位相器13,23、アンプ14−2,24−2の各動作は、上述した説明と同様であるので、具体的説明は省略する。これらのデューティ比においても、アンプ14−2から歪補償された送信信号が得られる。
次に、歪補償増幅器100における筐体温度が−20℃、0℃、40℃、60℃、80℃のときの動作も、20℃のときと同様に、ルックアップテーブル(温度補償テーブル)31から、それぞれの温度に対応したG1,G2、P1,P2、A1,A2の制御電圧が読み出され、これと並列してルックアップテーブル(DUTY比補償テーブル)41からもそれぞれのデューティ比に対応した制御電圧が読み出される。そして、温度補償テーブルとDUTY比補償テーブルから読み出された制御電圧を加算器32−1〜32−6で合成し、合成された制御電圧を上述した可変利得器12,22、可変位相器13,23、バイアス制御回路19,33に出力する。その後の各可変利得器12,22、可変位相器13,23、アンプ14−2,24−2の各動作は、上述した説明と同様であるので、具体的説明は省略する。これらの温度においても、アンプ14−2から歪補償された送信信号が得られる。
次に、本発明の変形例である歪補償増幅器100Aについて説明する。なお、以後図1と同じブロック、素子については同一の符号を付与する。
図6に歪補償増幅器100Aの構成例を示す。この歪補償増幅器100Aは、制御電圧の供給回路以降の回路構成は同じであるので、図1の歪補償増幅器100の構成と異なる部分について主に説明する。
図6に示すように、歪補償増幅器100Aは、図1に対して、加算器32−1〜32−6とルックアップテーブル41は省略され、加算器32−7と係数変換器42が新たに追加された構成である。すなわち、ルックアップテーブルは、1個のルックアップテーブル(LUT1)31aで構成され、さらに加算器は、1個の加算器32−7で構成される。
係数変換器42は、デューティ比検出器(図6においてはDUTYと略記する)40で検出されたデューティ比のデータが入力されると、筺体温度に対応した制御電圧に変換する。
加算器32−7は、温度検出器(図6においては温度と略記する)30から出力された制御電圧と、係数変換器42から出力された各デューティ比に対応する制御電圧が入力されると両制御電圧を合成し、その合成された値に対応した制御電圧をルックアップテーブル(LUT1)31aに出力する。
次に、歪補償増幅器100Aの動作について説明する。
筐体温度とデューティ比が検出されると、加算器32−7で加算された温度検出器30とデューティ比を係数変換器42で変換して得られた制御電圧とが加算器32−7で合成される。この合成された制御電圧に対応した値がルックアップテーブル31aから読み出され、該読み出された制御電圧が、可変利得器12,22、可変位相器13,23、バイアス制御回路19,33に供給され、歪補償の動作が行われる。その結果、歪補償増幅器100で歪補償された送信信号が得られる。
図6に示した歪補償増幅器100Aでは、加算器32−1〜32−6とルックアップテーブル(LUT2)を省略したことにより、回路構成を図1と比較して簡略化できる。
次に、図7に、本発明の他の変形例である歪補償増幅器100Bの回路構成を示す。歪補償増幅器100Bは、図1と回路構成は同じであるが、ルックアップテーブル(LUT3)43が新たに追加された構成である。
方向性結合器18の第2の出力端子から導出された送信信号は、出力信号検出器(DET1)25で送信信号のパワー(電力)が検出され、この検出された送信電力に応じた制御電圧がルックアップテーブル43に記憶される。
ルックアップテーブル43から読み出された制御電圧は加算器32−1〜32−6において、ルックアップテーブル(LUT1,2)31,41からそれぞれ読み出された制御電圧と合成され、合成された結果得られた制御電圧が出力される。この制御電圧が、上述した可変利得器12,22、可変位相器13,23、バイアス制御回路19,33に供給され、上述と同様の歪補償の処理が行われる。その結果、歪補償増幅器100Bで歪補償された送信信号が得られる。
このように、筐体温度と送信信号のデューティ比による歪補償に加えて、出力信号検出器25とルックアップテーブル43を設け、出力電力のレベル変動に応じた歪補償も行うことにより、図1と比較してさらに高精度の歪補償を行うことができる。
図8に本発明の他の変形例である歪補償増幅器100Cの回路構成を示す。歪補償増幅器100Cは、ルックアップテーブル31,41に代えて、近似式を用いて制御電圧を発生する近似式発生手段(図8においては近似式1,2と図示する)44,45を備え、それ以外の回路構成は図1と同じである。
近似式について、図5(c)に示すように、デューティ比に関連する例を示す。
例えば、線形近似式G1(バースト)は、
[数1]
G1(バースト)=G1(連続)*(1+(K2*D))
(ここで、*印は乗算記号を表す)
と表される。なお、バーストとは、たとえば、PHS通信において、1フレーム(8スロット)中に何個のON(送信状態)スロットが存在するかを示し、K2は比例係数を示し、“D”は、バースト動作時の送信信号のデューティ比を示す。また、G1(連続)は、1フレーム中連続してONしたときの制御電圧を示す。
また、その他の線形近似式は、例えば2バーストのときは、G1(2バースト)、K2は一定、このときの“D”は、1フレーム中の2/8期間ONした時の出力信号のデューティ比を表す。以下、3バースト、4バーストも同様である。
次に、歪補償増幅器100Cの図1と異なる回路構成の動作に関して説明する。温度検出器30で筐体温度を検出するとこの検出したデータが近似式発生手段44に入力され、またこれと並列してデューティ比検出器40から検出したデータが近似式発生手段45に入力される。この近似式発生手段44,45で、上述したバーストに対する可変利得器12,22、可変位相器13,23、バイアス制御回路19,33を制御するための近似式から制御電圧が求められる。近似式発生手段44,45で発生した制御電圧は、加算器32−1〜32−6に出力され、そこで合成されて制御電圧を発生する。加算器32−1〜32−6から出力された制御電圧が、可変利得器12,22、可変位相器13,23、バイアス制御回路19,33に出力される。その後の各可変利得器12,22、可変位相器13,23、アンプ14−2,24−2の各動作は、上述した説明と同様であるので、具体的説明は省略する。この結果、歪補償増幅器100Cで歪補償された送信信号が得られる。
図9にプレディストーション回路を用いた歪補償増幅器200の回路構成を示す。
歪補償増幅器200は、アンプ110、可変利得器111,124、可変位相器125、遅延素子122、方向性結合器121,123,134、バイアス制御回路127,133、出力信号検出器(DET1)135、アンプ126,131,132、温度検出器(図9においては温度と略記する)140、ルックアップテーブル(LUT1,2)141,151、加算器142−1〜142−5、デューティ比検出器(図9においてはDUTYと略記する)150で構成される。
なお、プレディストーション回路120は、方向性結合器121,123、遅延素子122、可変利得器124、可変位相器125、アンプ126、バイアス制御回路127で構成される。メインアンプ130は、アンプ131とアンプ132で構成される。
次に、歪補償増幅器200の回路接続構成について説明する。入力信号としての送信信号が入力される端子がアンプ110の入力端子に接続され、アンプ110の出力端子は、可変利得器111の入力端子に接続される。可変利得器111の出力端子は、方向性結合器121の入力端子に接続され、制御端子は、加算器142−1の出力端子に接続される。方向性結合器121の第1の出力端子は遅延素子122の入力端子に接続され、第2の出力端子は、可変利得器124の入力端子に接続される。遅延素子122の出力端子は方向性結合器123の第1の入力端子に接続され、方向性結合器123の出力端子は、アンプ131の入力端子に接続される。アンプ131の出力端子は、アンプ132の入力端子に接続され、このアンプ132の出力端子は、方向性結合器134の入力端子に接続され、制御端子は、バイアス制御回路133の出力端子に接続される。
方向性結合器134の第1の出力端子は、送信信号を出力する出力端子OUTに接続され、第2の出力端子は、出力信号検出器135の入力端子に接続される。
一方、方向性結合器121の第2の出力端子は、可変利得器124の入力端子に接続され、この可変利得器124の出力端子は、可変位相器125の入力端子に接続され、制御端子は、加算器142−2の出力端子に接続される。可変位相器125の出力端子は、アンプ126の入力端子に接続され、制御端子は、加算器142−3の出力端子に接続される。
アンプ126の出力端子は、方向性結合器123の第2の入力端子に接続され、制御端子は、バイアス制御回路127の出力端子に接続される。
温度検出器140の出力端子は、ルックアップテーブル(LUT1)141の入力端子に接続され、このルックアップテーブル141の各出力は、加算器142−1〜142−5のそれぞれの第1の入力端子に接続される。
デューティ比検出器150の出力端子は、ルックアップテーブル(LUT2)151の入力端子に接続され、このルックアップテーブル151の各出力は、加算器142−1〜142−5のそれぞれの第2の入力端子に接続される。
加算器142−1〜142−5のそれぞれの出力端子は、可変利得器G0(111),G1(124)、可変位相器P1(125)、バイアス制御回路A1(133),A2(127)の各入力端子に接続される。
加算器142−1の出力端子は可変利得器111の制御端子に接続され、加算器142−2の出力端子は、可変利得器124の制御端子に接続され、加算器142−3の出力端子は、可変位相器125の制御端子に接続され、加算器142−4の出力端子は、バイアス制御回路127の制御端子に接続され、加算器142−5の出力端子は、バイアス制御回路133の制御端子に接続される。
次に、図9に示す歪補償増幅器200の動作について説明する。
入力信号としての送信信号がアンプ110で増幅された後、可変利得器111に入力される。温度検出器140で検出された温度に対応する制御信号がルックアップテーブル141に出力され、これと平行してデューティ比検出器150で検出されたデューティ比に対応する制御信号がルックアップテーブル151に出力される。ルックアップテーブル141,151からそれぞれ出力された制御電圧が加算器142−1で合成され、合成された制御電圧が可変利得器111の制御端子に出力される。
上述した加算器142−1から出力された制御電圧により可変利得器111の利得が制御され、制御電圧に応じて送信信号のレベルが減衰される。
可変利得器111から出力された送信信号は、方向性結合器121の第1の入力端子に入力され、出力端子からの送信信号は遅延素子122を介してメインアンプ130を構成するアンプ131に出力される。
一方、方向性結合器121の第2の出力端子から導出された送信信号は、可変利得器124に供給され、加算器142−2から供給される制御電圧により、信号レベルが減衰される。この制御された送信信号は、可変位相器125に供給されて加算器142−3から供給される制御電圧に応じて位相の進みまたは遅れに関する制御が行われる。
位相制御された送信信号は、アンプ126に入力され、バイアス制御回路127から出力された制御電圧によりバイアス電流が制御される。アンプ126から出力された送信信号は、方向性結合器123の第2の入力端子に入力され、方向性結合器123の第1の入力端子に入力された送信信号と逆位相で合成され、この合成された送信信号がメインアンプ130のアンプ131に入力される。
すなわち、プレディストーション回路120で送信信号は予め歪ませているため、アンプ132の増幅動作においては歪が補償され。また、アンプ132は電力増幅の際、バイアス制御回路133から出力された制御電圧によりバイアスが制御される。
上述したように、図9に示す歪補償増幅器200は、メインアンプ130の前段にプレディストーション回路120を設けることにより、送信信号をメインアンプ130で発生する歪と逆方向に歪ませて、歪補償を行う。
その結果、歪補償増幅器200は、筐体温度の補償に加えて送信信号のデューティ比に見合った量の補償を追加することで周囲温度変化と送信信号の波形のデューティ比によらず最少の歪特性を得ることができる。
図10に図9の変形例である歪補償増幅器200Aの回路構成を示す。
この歪補償増幅器200Aは、制御電圧生成回路以外は図9の回路構成が同じであるので、異なる部分について主に説明する。
図10の歪補償増幅器200Aは、図9と比較して加算器142−1〜142−5とルックアップテーブル(LUT2)151が省略され、加算器142−6と係数変換手段152が新たに追加された構成である。
以下図9と異なる構成について説明する。温度検出器(図10においては温度と略記する)140の出力端子は、加算器142−6の第1の入力端子に接続され、デューティ比検出器(図10においてはDUTYと略記する)150の出力端子は、係数変換手段(K)152に出力され、この係数変換手段152の出力端子は、加算器142−6の第2の入力端子に接続される。加算器142−6の出力端子はルックアップテーブル(LUT1)141の入力端子に接続される。
このルックアップテーブル141の出力端子は、可変利得器111,124、可変位相器125、バイアス制御回路127,133にそれぞれ接続される。その他の回路構成は、図9と同じである。
温度検出器140は、検出された筐体温度に対応した制御信号を加算器142−6に出力する。一方、デューティ比検出器150でアンプ132から出力される送信信号の波形からデューティ比を求め、このデューティ比に対応する制御信号が係数変換手段152に供給される。そして、デューティ比に応じた制御信号が係数処理されて加算器142−6に出力される。
加算器142−6で、入力された制御信号が合成されてルックアップテーブル(LUT1)141に出力され、この入力された制御信号に対応してルックアップテーブル141から制御電圧が読み出される。なお、係数変換手段152は、図6で説明した動作と同様である。
次に歪補償増幅器200Aの動作について説明する。
温度検出器140から出力された制御電圧(制御信号)とデューティ比検出器150で検出されたデューティ比が係数変換手段を介して生成された制御電圧が加算器142−6で合成される。この合成された制御電圧に対応してルックアップテーブル141から各制御電圧が読み出され、可変利得器111,124、可変位相器125、バイアス制御回路127が制御されてプレディストーション回路120に入力された送信信号が予め歪む。
この歪を発生した送信信号がメインアンプ130の逆歪み抽出信号となり、総合的に歪が補償された出力信号を出力する。
上述したことから、歪補償増幅器200Aは、加算器とルックアップテーブルを少なくした回路構成で、電力増幅された送信信号の歪を補償することができる。
次に図9の他の変形例である歪補償増幅器200Bについて説明する。
図11に歪補償増幅器200Bの回路構成を示す。この歪補償増幅器200Bは、図9の回路にさらに出力信号検出器(DET1)135とルックアップテーブル(LUT3)153が追加された構成である。
次に、図11において、新たに追加された回路構成について説明する。アンプ132の出力側に設けられた方向性結合器134の第2の出力端子が、出力信号検出器135の入力端子に接続され、この出力信号検出器135の出力端子がルックアップテーブル(LUT3)153に接続される。ルックアップテーブル153の各出力端子は、加算器142−1〜142−5の第3の入力端子に接続される。加算器142−1〜142−5の出力端子は、可変利得器111,124、可変位相器125、バイアス制御回路127,133に接続される。
歪補償増幅器200Bの図9と異なる回路部分について説明する。メインアンプ130から出力された送信信号は、方向性結合器134から出力端子OUTに出力されると共に出力信号の一部が方向性結合器134の第2の出力端子から抽出されて、出力信号検出器135に出力される。出力信号検出器135で送信信号の電力が検出され、この検出された電力に対応した制御電圧がルックアップテーブル(LUT3)153から読み出され、上述した加算器142−1〜142−5の第3の入力端子に出力される。
以下図9と同様に、各加算器142−1〜142−5から出力された制御電圧により、可変利得器111,124、可変位相器125、バイアス制御回路127,133が制御され、プレディストーション回路120で予め送信信号を歪ませ、メインアンプ130の逆歪抽出信号となり、歪のない送信信号が出力端子OUTから出力される。
このように、プレディストーション回路で温度、デューティ比に加えて送信信号の電力値に応じて歪量を予め設定することにより、高精度の歪補償を行うことができる。
次に、図12に、図9の他の変形例である歪補償増幅器200Cの回路構成を示す。この歪補償増幅器200Cは、図9と比較してルックアップテーブル(LUT1,2)141,151に代わり、近似式発生手段143,154で構成される。以下、図9と異なる回路構成について説明する。
近似式発生手段143,154は、検出された筐体温度やデューティ比の各値を、近似式を用いて変換して所望の制御電圧を発生する。この近似式発生手段143,154に関する1例として、図5(c)に示す近似式を用いることにより所定の制御電圧が得られる。
歪補償増幅器200Cの回路において、温度検出器(図12においては温度と略記する)140の出力端子は、近似式発生手段(図12では近似式1と略記する)143の入力端子に接続され、この近似式発生手段143の出力は、加算器142−1〜142−5のそれぞれの第1の入力端子に接続される。
一方、デューティ比検出器(図12においてはDUTYと略記する)150の出力端子は、近似式発生手段(図12では近似式2と略記する)154の入力端子に接続され、この近似式発生手段154の出力端子は、加算器142−1〜142−5のそれぞれの第2の入力端子に接続される。
加算器142−1の出力端子は、可変利得器111の制御端子に接続され、加算器142−2の出力端子は、可変利得器124の制御端子に接続され、加算器142−3の出力端子は、可変位相器125の制御端子に接続され、加算器142−4の出力端子は、バイアス制御回路127の入力端子に接続され、加算器142−5の出力端子は、バイアス制御回路133の入力端子に接続される。それ以外の回路構成は、図9と同じである。
次に歪補償増幅器200Cの動作について説明する。なお、図9と異なる動作を主に説明する。
温度検出器140で筐体の温度を検出し、検出温度に対応した制御信号を近似式発生手段143に出力する。一方、デューティ比検出器150でメインアンプ130から出力される送信信号の波形のデューティ比を求め、このデューティ比に対応する制御信号を近似式発生手段154に出力する。
近似式発生手段143,154で近似式により発生した制御電圧が加算器142−1〜142−5でそれぞれ合成される。加算器142−1で合成された制御電圧は、可変利得器111に制御電圧として出力される。加算器142−2から出力される制御電圧は、可変利得器124の制御端子に、加算器142−3から出力される制御電圧は、可変位相器125の制御端子に、加算器142−4から出力される制御電圧は、バイアス制御回路127の入力端子に、さらに、加算器142−5から出力される制御電圧は、バイアス制御回路133の入力端子に供給される。
近似式発生手段143,154は、入力された筐体温度またはデューティ比に対応して、近似式で近似された制御電圧を発生する。制御電圧発生方法としては、マイクロコンピュータを用いてそれぞれの入力値に対応して、所定の近似計算式から制御電圧を発生させる。また、これ以外に、ハードウェアーを設け、入力値に応じた制御電圧を発生しても良い。
入力信号としての送信信号が、アンプ110に入力されると、以下図9と同様に、可変利得器111,124、可変位相器125、バイアス制御回路127,133は、加算器142−1〜142−5から出力される制御電圧で制御され、振幅や位相が制御される。プレディストーション回路120で予め送信信号を歪ませ、この送信信号がメインアンプ130の逆歪抽出信号となり、その結果、歪が補償された送信信号が導出される。
このように、温度検出結果とデューティ比検出結果を、近似式発生手段でバーストや温度に対する所定の関数に基いて制御電圧を発生するので、温度変化やデューティ比の変化に対して歪の少ない送信信号を導出することができる。
つぎに、歪補償増幅器で得られた電気的特性の結果を図13に示す。図13(a)に歪補償したときのメインアンプから出力された送信信号の周波数スペクトラムを示す。横軸は周波数を示し、縦軸は各周波数に対する電力(パワー)の相対値を示し、目盛は10dB(デシベル)ステップである。センター周波数を2.56GHzとし、スタート周波数を2.54GHzとし、ストップ周波数を2.58GHzとする。このときの、センター周波数の振幅レベルに対してオフセット周波数5.5MHzの値は、約54dB減衰している。また、オフセット周波数15.0MHzにおいては、センター周波数の振幅レベルに対して約63dB減衰している。このように、本発明の歪補償増幅器は、センター周波数の2.56GHzから5.5MHzオフセットしたオフセット周波数の送信信号の歪周波数を著しく減衰することができることから、従来例と比較して歪特性を大きく改善することができる。
図13(b)に、センター周波数の2.56GHzに対するオフセット周波数5.5MHzの、歪レベルの時間変動を示す。横軸は時間を示し、縦軸は電力レベルの相対値を示す。図13(b)において、フレーム中の1スロットの期間、歪補償増幅器が動作したとき、すなわち1/8バーストのオフセット周波数5.5MHzの時間経過に伴う減衰度を示す。
波形aは歪補償増幅器の連続動作時における歪レベルを示し、波形bは、歪補償制御があるときの歪レベルを示し、波形cは歪補償制御が無い時の歪レベルを示す。
このように、歪補償制御があると、歪補償制御が無い場合と比較して、歪成分が時間経過とともに急速に減衰することができる。
以上述べたように、本発明は、温度による歪補償の他にこれと並列してデューティ比や送信信号の電力レベル等による歪補償も行うことで、電力増幅器に対して最適な歪補償が行われ、低歪の送信信号を得ることができる。
本発明において、入力信号を増幅する第1の増幅器に接続され、該第1の増幅器の特性を制御する制御手段は、可変利得器、可変位相器、バイアス制御回路に対応する。前記トランジスタバイアス電圧可変回路、可変利得器と可変位相器を前記歪補償増幅器が実装された筐体の温度に対応して補償する第1の補償手段は、ルックアップテーブルまたは近似式制御手段に対応する。前記第1の増幅器から出力される送信信号のデューティ比を検出する検出手段は、デューティ比検出器に対応する。前記検出手段で検出されたデューティ比に対応して前記制御手段と前記第1の増幅器を制御して前記入力信号を制御するための補償量を算出する第2の演算手段は、ルックアップテーブルまたは近似式制御手段に対応する。前記第1と第2の演算手段から得られた演算結果を合成し前記制御手段と前記第1の増幅器の制御端子に供給する合成手段は、加算器に対応する。
図1は、歪補償増幅器のブロック構成を示す図である。 図2は、メインアンプのトランジスタを筐体に実装したときの概略断面図を示す。 図3は、トランジスタと筐体の時間に対する温度変化を示す。 図4は、デューティ比を可変した時の時間経過に対するトランジスタのジャンクション温度とそれに対する筐体温度の変化を示す。 図5は、温度補償用のルックアップテーブルとデューティ比補償用のルックアップテーブルと近似式発生手段の近似式を示す。 図6は、他の歪補償増幅器のブロック構成を示す図である。 図7は、他の歪補償増幅器のブロック構成を示す図である。 図8は、他の歪補償増幅器のブロック構成を示す図である。 図9は、歪補償増幅器のブロック構成を示す図である。 図10は、他の歪補償増幅器のブロック構成を示す図である。 図11は、他の歪補償増幅器のブロック構成を示す図である。 図12は、他の歪補償増幅器のブロック構成を示す図である。 図13は、歪補償増幅器の電気的特性を表す図である。
符号の説明
10,14−1,14−2,24−1,24−2,110,126,131,132…アンプ、11,15,17,18,21,121,123,134…方向性結合器、12,22,111,124…可変利得器、13,23,125…可変位相器、14,130…メインアンプ、19,33,127,133…バイアス制御回路、24…サブアンプ、25,135…出力信号検出器、30,140…温度検出器、31,31a,41,43,141,151,153…ルックアップテーブル、32−1〜32−6,142−1〜142−6…加算器、40,150…デューティ比検出器、44,45,143,154…近似式発生手段、71…トランジスタ、72…トランジスタチップ、73…フレーム、74…筐体、120…プレディストーション回路、152…係数変換手段。

Claims (13)

  1. 入力信号を増幅する第1の増幅器に接続され、該第1の増幅器の特性を制御する制御手段と、
    前記第1の増幅器からの発熱が該第1の増幅器が実装された筺体に伝達され、温度検出器で検出した前記筺体の温度変化に対応して前記制御手段と前記第1の増幅器を制御するための補償量を算出する第1の演算手段と、
    前記第1の増幅器から出力される送信信号のデューティ比を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出されたデューティ比に対応して前記制御手段と前記第1の増幅器を制御するための補償量を算出する第2の演算手段と、
    前記第1と第2の演算手段から得られた演算結果を合成し前記制御手段と前記第1の増幅器の制御端子に供給する合成手段と、
    を有する
    歪補償増幅器。
  2. 前記制御手段は第1と第2の制御手段を有し、前記第1の増幅器に並列に接続さると共に入力側に第2の制御手段が接続された第2の増幅器を有し、前記合成手段で得られた制御信号を前記第1と第2の制御手段と前記第1と第2の増幅器の制御端子に供給し、前記第1と第2の増幅器の出力信号を合成して出力信号の歪を補償する
    請求項1記載の歪補償増幅器。
  3. 前記第1の増幅器の入力に、第3の制御手段が接続された第3の増幅器が接続され、前記合成手段で得られた制御信号を前記第3制御端子と前記第1と第3の増幅器の制御端子に供給し、前記第1の増幅器で発生する歪を補償する
    請求項1記載の歪補償増幅器。
  4. 前記制御手段は、可変利得器と可変位相器を有する
    請求項2または3のいずれかに記載の歪補償増幅器。
  5. 前記歪補償増幅器は、前記第2の演算手段の出力に接続され前記デューティ比を温度に対応した値に変換して前記合成手段に出力する係数変換手段を有する
    請求項1記載の歪補償増幅器。
  6. 前記温度検出器またはデューティ比検出器からの出力データを近似式に変換して制御電圧を発生し、前記合成手段に出力する近似式変換手段を有する
    請求項1記載の歪補償増幅器。
  7. 前記第1の増幅器から出力される信号レベルを検出して該信号レベルに基く制御信号を前記合成回路に供給する第3の演算手段を有する
    請求項1記載の歪補償増幅器。
  8. トランジスタバイアス電圧可変回路、可変利得器と可変位相器によって歪補償量を制御するように構成したフィードフォワードまたはプレディストーション構成の歪補償増幅器において、
    前記トランジスタバイアス電圧可変回路、可変利得器と可変位相器を前記歪補償増幅器が実装された筐体の温度に対応して補償する第1の補償手段と、
    前記歪補償増幅器の送信信号のデューティ比を検出する検出手段を有し、検出されたデューティ比に対応して補償する第2の補償手段を有し、
    前記第1と第2の補償手段で得られた補償量を加え合わせて総合的に歪を補償することを特徴とした歪補償増幅器。
  9. 前記デューティ比を温度情報に変換してから前記筐体の温度に加えてルックアップテーブルに入力するデューティ比−温度変換手段を有する
    請求項8記載の歪補償増幅器。
  10. 前記制御手段は、前記歪補償増幅器の出力電力で検出された検出結果が前記ルックアップテーブルに入力される
    請求項8または9のいずれかに記載の歪補償増幅器。
  11. 前記制御手段は、前記筐体の温度またはデューティ比の少なくとも一方を近似式を用いて合成して補償量を求める
    請求項8または9のいずれかに記載の歪補償増幅器。
  12. 第1の可変利得器と第1の可変位相器が入力側に直列接続された第1の増幅器と、
    前記第1の可変利得器の入力側に並列に接続された遅延回路と、該遅延回路の後段に前記第1の増幅器の出力信号が供給される第2の可変利得器と第2の可変位相器とが直列に接続されて入力端子に接続される第2の増幅器と、
    前記第1の増幅器の第1のトランジスタバイアス、第1と第2の可変利得器と第1と第2の可変位相器の少なくとも1つを前記第1の増幅器が実装された筐体の温度に対応して補償する第1の補償手段と、
    上記出力信号のデューティ比を検出する検出手段を有し、検出されたデューティ比に対応して前記第1と第2の増幅器の第2のトランジスタバイアス、第1と第2の可変利得器と第1と第2の可変位相器の少なくとも1つを補償する第2の補償手段と、
    前記第1と第2の補償手段からの出力を合成して前記第1と第2の可変利得器、前記第1と第2の可変位相器と前記第1と第2の増幅器の制御端子に供給する制御信号合成手段と、
    前記第1と第2の増幅器の出力信号を合成して前記送信信号を得る合成手段と、
    を有する
    歪補償増幅器。
  13. 入力信号を遅延する遅延回路と、
    前記遅延回路に並列に接続され、可変利得器と可変位相器が入力側に直列接続された第1の増幅器と、
    前記遅延回路の出力と前記第1の増幅器の出力が合成され、該合成された信号が供給される第2の増幅器と、
    前記第1または第2の増幅器のトランジスタバイアス、前記可変利得器と前記可変位相器の少なくとも1つを前記第2の増幅器が実装された筐体の温度に対応して補償する第1の補償手段と、
    送信信号のデューティ比を検出する検出手段を有し、検出されたデューティ比に対応して前記第1または第2の増幅器のトランジスタバイアス、前記可変利得器と可変位相器の少なくとも1つを補償する第2の補償手段と、
    前記第1と第2の補償手段からの出力を合成して前記第1または第2の増幅器のトランジスタバイアス、前記可変利得器と可変位相器の少なくとも1つに供給し、前記第2の増幅器から出力される送信信号の歪を補償する制御信号合成手段と、
    を有する
    歪補償増幅器。
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