JP2010006198A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高応力や繰り返し応力に対して、強度や疲れ強さが望まれる部分であるハブのナット座面を限定的に硬度アップさせることができ、かつ工程増による生産性の低下が抑えられる車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】 ハブ14が中心部に、等速ジョイント31の継手部材32のステム部32aを挿通させる貫通孔21を有し、ハブ14のアウトボード側の端面における貫通孔21の開口周縁がステム部32aの先端の雄ねじ部に螺着したナット33または座金34が接する座面35となる車輪用軸受装置において、ハブ14の母材部分が標準組織であり、ハブ14のナット座面35が非標準組織の部分30とされ、前記非標準組織をレーザ焼入れにより得られた組織とした。
【選択図】 図1
【解決手段】 ハブ14が中心部に、等速ジョイント31の継手部材32のステム部32aを挿通させる貫通孔21を有し、ハブ14のアウトボード側の端面における貫通孔21の開口周縁がステム部32aの先端の雄ねじ部に螺着したナット33または座金34が接する座面35となる車輪用軸受装置において、ハブ14の母材部分が標準組織であり、ハブ14のナット座面35が非標準組織の部分30とされ、前記非標準組織をレーザ焼入れにより得られた組織とした。
【選択図】 図1
Description
この発明は、乗用車用や貨物車用等の高強度化を図った車輪用軸受装置に関する。
内輪回転の駆動輪支持用の車輪用軸受装置では、ハブの中心部に、等速ジョイントの継手部材のステム部を挿通させる貫通孔が設けられる。ハブのアウトボード側の端面における前記貫通孔の開口周縁は、前記ステム部の先端の雄ねじ部に螺着するナット、またはこのナットの下に敷く座金が接する座面となる。
この座面は、機械加工により仕上げられるが、鍛造肌との境界のあるものでは、座繰り状となっている。その座繰り部の底面の周面との間の隅部が、自動車の旋回時に高応力部位となり、耐久性低下の要因となることがある。すなわち、前記座繰り部の周辺は、車輪取付用フランジの根元部付近となるが、車輪取付用フランジの根元部は、自動車の急旋回時に車輪取付用フランジに大きな振幅の振れが生じることによって応力が大きくなる。前記座繰り部の隅部は、応力集中が生じ易く、前記自動車の旋回時に高応力となる。
また、ナットの座面は、ナットとのフレッティングにより摩耗し、等速ジョイントを結合する軸力の低下に繋がることもある。
この座面は、機械加工により仕上げられるが、鍛造肌との境界のあるものでは、座繰り状となっている。その座繰り部の底面の周面との間の隅部が、自動車の旋回時に高応力部位となり、耐久性低下の要因となることがある。すなわち、前記座繰り部の周辺は、車輪取付用フランジの根元部付近となるが、車輪取付用フランジの根元部は、自動車の急旋回時に車輪取付用フランジに大きな振幅の振れが生じることによって応力が大きくなる。前記座繰り部の隅部は、応力集中が生じ易く、前記自動車の旋回時に高応力となる。
また、ナットの座面は、ナットとのフレッティングにより摩耗し、等速ジョイントを結合する軸力の低下に繋がることもある。
そのため、ハブにおける前記座面の周辺の強化を図ることを試みた。従来、前記座面の周辺の強化対策ではないが、ハブのホイールおよび制動部品を案内するパイロット部の根元部の疲れ強さの強化対策としては、上記車輪取付用フランジの根元部などに、高周波熱処理を施す方法(例えば特許文献1)や、ショットピーニングを行う方法(例えば特許文献2)が提案されており、それらの方法を適用することが考えられる。
上記した高周波熱処理は、処理を施す部分の部品形状によっては採用できない場合がある。すなわち、ハブの等速ジョイント結合用のナットの座面となる座繰り部に適用する場合、座繰り部の底面と周面との間の隅部の曲率半径が小さいと、高周波加熱によって一部が局部的に高温になり過ぎて溶け落ちるなどの問題が生じ、処理が行えない場合がある。
また、高周波熱処理では、熱ひずみ等によってフランジの振れ精度劣化を生じることがある。また、ショットピーニングでは、前記座面のような凹部を加工する場合、加工に従いメディアが溜まることで加工箇所の表面にメディアが到達せず、メディア除去を行い複数回の加工が必要となることがある。
疲労強度を上げるために、部品全体を調質し、硬度アップをする方法(例えば特許文献3)もあるが、硬度アップにより全体の加工性(例えば、被削性や、加締め加工などの冷間加工性)が低下し、また、ハブボルトの食い込み性低下によるスリップトルクの低下等が生じることがある。
疲労強度を上げるために、部品全体を調質し、硬度アップをする方法(例えば特許文献3)もあるが、硬度アップにより全体の加工性(例えば、被削性や、加締め加工などの冷間加工性)が低下し、また、ハブボルトの食い込み性低下によるスリップトルクの低下等が生じることがある。
そこで、本発明者等は、前記ハブの熱間鍛造の工程中、あるいは工程の最後において、赤熱中のハブの一部(前記座面)を冷媒で冷却し、自己復熱や復熱保持焼戻しすることで、その部分に硬度アップとなる非標準組織を得る方法を提案している(例えば特許文献4)。
特開2004−182127号公報
特開2005−145313号公報
特開2005−003061号公報
特開2007−38805号公報
しかし、鍛造熱を利用する特許文献4に開示の技術の場合、非標準組織としたい部分以外の部分にも冷媒が及ぶことで、目的としない部分やハブパイロット部などの他の薄肉部が硬化し、後の旋削加工で削りにくくなるなどの問題が発生する。例えば、薄肉部であるハブパイロット部では、全体が30〜35HRCに硬化し、旋削刃具の寿命が低下する。
この発明の目的は、高応力や繰り返し応力に対して、十分な強度や疲れ強さが望まれる部分であるハブのナット座面を限定的に硬度アップさせることができ、かつ工程増による生産性の低下が抑えられる車輪用軸受装置を提供することである。
この発明の車輪用軸受装置は、複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記内方部材が、車輪取付用フランジを有するハブと、このハブの軸部の外周に嵌合した内輪とを有し、前記ハブが中心部に、等速ジョイントの継手部材のステム部を挿通させる貫通孔を有し、前記ハブのアウトボード側の端面における前記貫通孔の開口周縁が前記ステム部の先端の雄ねじ部に螺着したナットまたは座金が接する座面となる車輪用軸受装置において、
前記ハブの母材部分が標準組織であり、前記ハブの前記座面が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、レーザ焼入れにより得られた組織である。
前記ハブの母材部分が標準組織であり、前記ハブの前記座面が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、レーザ焼入れにより得られた組織である。
この構成の車輪用軸受装置によると、次の作用が得られる。ハブ端面の等速ジョイント結合用のナットが接する座面(ナット座面)の周辺は、車輪取付用フランジの根元部付近となるため、自動車の旋回時に、車輪取付用フランジに大きな振幅の撓みが繰り返し生じたときに、高応力が繰り返し発生する。このような繰り返し発生する高応力に対して、前記座面が非標準組織の部分とされているため、組織微細化や硬度アップによって強度や疲れ強さが向上し、座面の周縁から亀裂が発生することが抑制される。つまり、亀裂発生→車輪取付用フランジの変位増加→車両の振動増加→車輪用軸受装置の損傷、という作用が抑えられて、長寿命化される。そのため、通常の標準組織の車輪用軸受装置に比べて、小型化、および軽量化が図れる。したがって、車輪用軸受装置の製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れ、安価に提供することが可能となる。また、車輪用軸受装置が軽量となるため、自動車の軽量化が図れ、燃費の改善が可能となる。
更に、上記非標準組織による硬度アップのため、ナットとの接触による座面のフレッティング摩耗が抑制され、その摩耗によるナットの締め付け軸力の低下が抑制される。
更に、上記非標準組織による硬度アップのため、ナットとの接触による座面のフレッティング摩耗が抑制され、その摩耗によるナットの締め付け軸力の低下が抑制される。
前記非標準組織の部分は、特に、レーザ焼入れにより得られるため、座繰り部の底面と周面との間の隅部の曲率半径が小さい場合であっても、一部が局部的に高温になり過ぎることを未然に防止し、溶け落ちることもない。また、ハブのうち座面だけを、レーザ焼入れにより限定して熱処理することができるため、車輪取付用フランジの振れ精度等を高精度に維持することが可能となる。前記非標準組織とする部分を、座面だけという限られた範囲にすると、ハブ全体の表面を非標準組織とする場合と異なり、被削性や加締性等の加工性の低下が最小限に抑えられる。したがって、ハブ全体のうち座面以外の大部分は、硬化せず、熱処理後の研削加工等を容易に且つ迅速に行うことができる。それ故、従来のものより、加工工数の低減を図り、製品1個あたりのサイクルタイムの向上を図ることが可能となる。換言すれば、従来のものより、工程増による生産性の低下を抑えることができる。また、研削砥石等の寿命を延ばし、製造コストの低減を図ることができる。
レーザ焼入れにより得られた組織である非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織であっても良い。
上記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織等の非標準組織の部分は、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなる。このような組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分の疲れ強さが向上し、通常の標準組織のみからなるハブに比べて、高い応力振幅に耐え、つまり高強度化され、長寿命化できる。そのため、通常の標準組織の車輪用軸受装置に比べて、小型化、および軽量化が図れる。したがって、車輪用軸受装置の製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れ、安価に提供することが可能となる。また、車輪用軸受装置が軽量となるため、自動車の軽量化が図れ、燃費の改善が可能となる。
上記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織等の非標準組織の部分は、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなる。このような組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分の疲れ強さが向上し、通常の標準組織のみからなるハブに比べて、高い応力振幅に耐え、つまり高強度化され、長寿命化できる。そのため、通常の標準組織の車輪用軸受装置に比べて、小型化、および軽量化が図れる。したがって、車輪用軸受装置の製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れ、安価に提供することが可能となる。また、車輪用軸受装置が軽量となるため、自動車の軽量化が図れ、燃費の改善が可能となる。
前記座面が、前記ハブのアウトボード側の端面に設けられた座繰り部の底面からなり、この座繰り部の底面と座繰り部の周面との間の隅部の周辺に渡って前記非標準組織の部分を設けても良い。
特に、前記座面が座繰り部の底面である場合、座繰り部の底面と周面との間の隅部に、高応力が繰り返し発生する。しかし、このような繰り返し発生する高応力に対して、前記座面や、その座繰り部の底面と周面間の隅部の周辺に渡る部分が前記非標準組織とされていると、組織微細化や硬度アップによって強度や疲れ強さが向上し、座繰り部の底面と周面間の隅部などの座面の周縁から亀裂が発生することが抑制される。
特に、前記座面が座繰り部の底面である場合、座繰り部の底面と周面との間の隅部に、高応力が繰り返し発生する。しかし、このような繰り返し発生する高応力に対して、前記座面や、その座繰り部の底面と周面間の隅部の周辺に渡る部分が前記非標準組織とされていると、組織微細化や硬度アップによって強度や疲れ強さが向上し、座繰り部の底面と周面間の隅部などの座面の周縁から亀裂が発生することが抑制される。
前記ハブおよび内輪に各列の軌道面を有するものであっても良い。また、前記ハブが軌道面を有さず、前記内輪が複数であり、各内輪に複列のそれぞれの軌道面を有するもの、つまりハブが、複列軸受からなる軸受の完成品とは独立した部品のハブであっても良い。
前記非標準組織の部分の硬度が20HRC以上40HRC以下であり、母材部分の標準組織の硬度が13HRC以上25HRC以下であっても良い。非標準組織の部分の硬度を20HRC以上40HRC以下とした場合は、靱性が優れたものとなる。この場合、高温焼戻しにより、非標準組織の部分の硬度が20HRC以上40HRC以下となるようにする。
非標準組織の硬度が20HRC未満であると、強度および疲れ強さが不足し、20HRC以上40HRC以下の範囲では、靱性が優れるが、40HRCを超える場合に比べて、剛性等の強度および疲れ強さは劣る。非標準組織の部分の硬度の下限は、硬度アップによる疲れ強さ向上のために、母材硬度の中央程度の値となる20HRC以上、できれば25HRC以上とすることが好ましい。ハブの使用材料は炭素鋼(C量0.4〜0.8wt%)等であるが、S53C等の場合、標準組織部分の硬度は13〜25HRCとなる。加締等の冷間加工を行う場合や、ハブボルトを圧入する部分等を考慮すると、最大で25HRCとすることが好ましい。
前記非標準組織の部分の硬度が40HRC以上であり、母材部分の標準組織の硬度が13HRC以上25HRC以下であっても良い。非標準組織の硬度が40HRC以上とした場合、剛性等の強度、および疲れ強さを向上させることができる。
非標準組織の硬度が20HRC未満であると、強度および疲れ強さが不足し、20HRC以上40HRC以下の範囲では、靱性が優れるが、40HRCを超える場合に比べて、剛性等の強度および疲れ強さは劣る。非標準組織の部分の硬度の下限は、硬度アップによる疲れ強さ向上のために、母材硬度の中央程度の値となる20HRC以上、できれば25HRC以上とすることが好ましい。ハブの使用材料は炭素鋼(C量0.4〜0.8wt%)等であるが、S53C等の場合、標準組織部分の硬度は13〜25HRCとなる。加締等の冷間加工を行う場合や、ハブボルトを圧入する部分等を考慮すると、最大で25HRCとすることが好ましい。
前記非標準組織の部分の硬度が40HRC以上であり、母材部分の標準組織の硬度が13HRC以上25HRC以下であっても良い。非標準組織の硬度が40HRC以上とした場合、剛性等の強度、および疲れ強さを向上させることができる。
前記非標準組織の深さは、0.1mm以上1.5mm以下とするのが良い。非標準組織の深さが0.1mm未満の場合では非標準組織が薄すぎ、効果が見込めない。また、非標準組織の深さを1.5mmより大きくすると、深く非標準組織を得るにはレーザ照射時間が長くなるため、照射範囲以外の部分も加熱され、照射後に照射範囲が急冷されにくくなり、硬度低下や組織の悪化、車輪取付フランジの振れ等の精度悪化、等の問題が生じやすくなる。
レーザ焼入れにより得られた組織である非標準組織が、YAGレーザ光を使用した焼入れにより得られた組織であっても良い。YAGレーザ光によると、レーザ光の波長を短いものとできて、浸透性に優れ、被加工物深く加工することができる。
また、レーザ焼入れにより得られた組織である非標準組織が、半導体レーザ光を使用した焼入れにより得られた組織であっても良い。半導体レーザは、エネルギー変換効率が高いため大規模な冷却機構が不要であること、ミラー系が不要であること等の理由から、装置を小型化できる。さらに、半導体レーザ光の波長は可視光であるため、加工面での反射率が低く、低出力でもレーザ加工が可能となる利点もある。また、レーザ光の強度分布を矩形状とできるため、大面積の焼入れを効率よく行うことができる。それ故、前記YAGレーザ光や赤外線レーザ光を用いるものよりも、被加工物1個あたりのレーザ焼入れに要する時間短縮を、さらに図ることが可能となり、工数低減を図ることが可能となる。しかも、YAGレーザ光等よりもレーザ出力の低減を図ることができるため、エネルギーコストの低減を図ることができる。また、非標準組織が、半導体レーザ光を使用した焼入れにより得られた組織である場合、レーザ光の吸収を上げるための吸収剤を被加工物に塗布する必要がなくなり、その分、工数低減を図ることが可能となる。なお、半導体レーザと共にミラー系を用いてレーザ焼入れすることも可能である。
また、レーザ焼入れにより得られた組織である非標準組織が、半導体レーザ光を使用した焼入れにより得られた組織であっても良い。半導体レーザは、エネルギー変換効率が高いため大規模な冷却機構が不要であること、ミラー系が不要であること等の理由から、装置を小型化できる。さらに、半導体レーザ光の波長は可視光であるため、加工面での反射率が低く、低出力でもレーザ加工が可能となる利点もある。また、レーザ光の強度分布を矩形状とできるため、大面積の焼入れを効率よく行うことができる。それ故、前記YAGレーザ光や赤外線レーザ光を用いるものよりも、被加工物1個あたりのレーザ焼入れに要する時間短縮を、さらに図ることが可能となり、工数低減を図ることが可能となる。しかも、YAGレーザ光等よりもレーザ出力の低減を図ることができるため、エネルギーコストの低減を図ることができる。また、非標準組織が、半導体レーザ光を使用した焼入れにより得られた組織である場合、レーザ光の吸収を上げるための吸収剤を被加工物に塗布する必要がなくなり、その分、工数低減を図ることが可能となる。なお、半導体レーザと共にミラー系を用いてレーザ焼入れすることも可能である。
この発明の車輪用軸受装置は、複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記内方部材が、車輪取付用フランジを有するハブと、このハブの軸部の外周に嵌合した内輪とを有し、前記ハブが中心部に、等速ジョイントの継手部材のステム部を挿通させる貫通孔を有し、前記ハブのアウトボード側の端面における前記貫通孔の開口周縁が前記ステム部の先端の雄ねじ部に螺着したナットまたは座金が接する座面となる車輪用軸受装置において、
前記ハブの母材部分が標準組織であり、前記ハブの前記座面が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、レーザ焼入れにより得られた組織であるため、高応力や繰り返し応力に対して、強度や疲れ強さが望まれる部分であるハブの座面を限定的に硬度アップさせることができ、かつ工程増による生産性の低下が抑えられる。
前記ハブの母材部分が標準組織であり、前記ハブの前記座面が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、レーザ焼入れにより得られた組織であるため、高応力や繰り返し応力に対して、強度や疲れ強さが望まれる部分であるハブの座面を限定的に硬度アップさせることができ、かつ工程増による生産性の低下が抑えられる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1は車輪用軸受装置の一例を示しており、この例は第3世代型の駆動輪支持用に適用するものである。この車輪用軸受装置は、複列の転動体3を介して互いに回転自在な内方部材1および外方部材2を有し、転動体3は各列毎に保持器4により保持されている。ここで言う複列とは、2列以上のことを言い、3列以上であっても良いが、図示の例では2列とされている。内方部材1および外方部材2は、それぞれ複列の軌道面6、7および軌道面8、9を有している。この車輪用軸受装置は、複列アンギュラ玉軸受型とされていて、転動体3はボールからなり、軌道面6、7は、接触角が外向きとなるように形成されている。内方部材1と外方部材2との間の軸受空間の両端は、シール10、11により密封されている。
外方部材2は、全体が一体の一つの部品からなり、幅方向の任意の位置に車体取付用フランジ12が設けられている。外方部材2の車体取付用フランジ12よりもインボード側の外径面部分は、車体の懸架装置となるナックル(図示せず)が嵌合する面となる。なお、この明細書で、車体に取付けた状態で車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側(図1の左側)と呼び、車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側(図1の右側)と呼ぶ。車体取付用フランジ12の円周方向の複数箇所には、ボルト挿通孔またはねじ孔からなる車体取付孔13が設けられている。
内方部材1は、ハブ14と、このハブ14の軸部14aのインボード側端の外周に嵌合した内輪15との2つの部品で構成される。これらハブ14および内輪15に、内方部材1側の上記各軌道面6、7がそれぞれ形成されている。ハブ14の軸部14aの外周におけるインボード側端には、段差を持って小径となる内輪嵌合面16が設けられ、この内輪嵌合面16に内輪15がシメシロを有した状態で圧入嵌合している。
ハブ14は、軸部14aのアウトボード側端の外周に車輪取付用フランジ17を有しており、この車輪取付用フランジ17の円周方向複数箇所に設けられた各ボルト孔18に、ハブボルト19が圧入状態に取付けられている。
ハブ14の車輪取付用フランジ17の根元部からは、ハブ14と同心の円環状のパイロット部20が突出している。パイロット部20は、車輪取付用フランジ17のアウトボード側の側面に重ねて取付けられるブレーキディスクを案内する部分となるブレーキパイロット20aと、このブレーキパイロット20aよりもアウトボード側に突出するホイールパイロット20bとからなる。なお、パイロット部20は、円周方向複数箇所に切欠が設けられて複数個に分割されたものであっても良い。
ハブ14の車輪取付用フランジ17の根元部からは、ハブ14と同心の円環状のパイロット部20が突出している。パイロット部20は、車輪取付用フランジ17のアウトボード側の側面に重ねて取付けられるブレーキディスクを案内する部分となるブレーキパイロット20aと、このブレーキパイロット20aよりもアウトボード側に突出するホイールパイロット20bとからなる。なお、パイロット部20は、円周方向複数箇所に切欠が設けられて複数個に分割されたものであっても良い。
ハブ14の中心部には、等速ジョイント31の片方の継手部材32となる外輪のステム部32aを挿通させる貫通孔21が設けられている。ハブ14のアウトボード側の端面における前記貫通孔21の開口周縁は、前記ステム部32aの先端の雄ねじ部に螺着したナット33またはその下に敷かれる座金34が接する座面35となる。ナット35の締め付けによって、継手部材32の段面32bが内輪15の幅面に押し付けられ、車輪用軸受装置と等速ジョイント31との結合が行われる。
ハブ14の前記座面35は、座繰り部36の底面36bからなる。ハブ14のアウトボード側の端面には、パイロット部20よりも内径側に凹部37が設けられていて、前記座繰り部36は、この凹部37の底部に設けられている。凹部37の形成により、前記パイロット部20は円筒状となっている。
凹部37の内面は、鍛造肌又は旋削加工面であり、座繰り部36の内面、つまり底面36bおよび周面36cは、旋削加工面とされている。座繰り部36は、図示のような深く形成したものに限らず、鍛造肌の部分が削られた程度の深さのものであっても良い。
凹部37の内面は、鍛造肌又は旋削加工面であり、座繰り部36の内面、つまり底面36bおよび周面36cは、旋削加工面とされている。座繰り部36は、図示のような深く形成したものに限らず、鍛造肌の部分が削られた程度の深さのものであっても良い。
内方部材1を構成する部品であるハブ14、内輪15、および外方部材2は、いずれも鋼材の熱間鍛造品であり、このうち、ハブ14の前記座面35およびその周辺が非標準組織の部分30とされている。この非標準組織の部分30は、座面35から、この座面35を構成する座繰り部36の底面36bと周面36cとの間の隅部36aの周辺に渡って設けられている。これにより、座繰り部36の周面36cも非標準組織の部分30とされている。ハブ14の母材部分は標準組織である。
非標準組織部分30の非標準組織は、レーザ焼入れにより得た組織であり、例えば、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織とされる。なお、後の各実施形態においても、非標準組織の部分30は、特に説明しない場合においても、レーザ焼入れすることで得られた組織である。
非標準組織部分30の非標準組織は、レーザ焼入れにより得た組織であり、例えば、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織とされる。なお、後の各実施形態においても、非標準組織の部分30は、特に説明しない場合においても、レーザ焼入れすることで得られた組織である。
ハブ14の製造工程は、例えば、鍛造→旋削→レーザ焼入れ→軌道面等高周波焼入れ→焼戻し→研削→組立の順序で行なわれる。
すなわち、ハブ14の素材は熱間鍛造により鍛造仕上がり品とされ、この鍛造仕上がり品に旋削加工が施される。前記素材となる鋼材は、例えばS53C等のC量が0.4wt%以上0.8wt%以下の炭素鋼である。ただし、素材となる鋼材はS53Cに限定されるものではない。前記旋削加工が施されたハブ14の座面35およびその周辺が、レーザ焼入れにより硬化される。
すなわち、ハブ14の素材は熱間鍛造により鍛造仕上がり品とされ、この鍛造仕上がり品に旋削加工が施される。前記素材となる鋼材は、例えばS53C等のC量が0.4wt%以上0.8wt%以下の炭素鋼である。ただし、素材となる鋼材はS53Cに限定されるものではない。前記旋削加工が施されたハブ14の座面35およびその周辺が、レーザ焼入れにより硬化される。
図3に示すように、レーザ焼入れは、高エネルギーのレーザ光を硬化させたい箇所に照射し、加熱後自己急冷することで、対象箇所の表層を焼入れ硬化するものである。ここでは、レーザ光としてYAGレーザ光が使用され、その出力、デフォーカス量L1、送り速度、発振形態を調整することで、加工面表層を溶融させることなく硬化させるようにしている。レーザ光の前記発振形態としては、レーザ光を連続的に発振させる方式と、レーザ光を断続的に発振させる方式とがある。前記デフォーカス量L1は、硬化対象箇所の表面S1に集光レンズの焦点f1を一旦合わせ、その硬化対象箇所の表面S1から、YAGレーザ発振器のレーザヘッドノズルLNを離間させる値である。このようにレーザヘッドノズルLNを硬化対象箇所から離間させて、レンズ等で集光したレーザ光を、焦点f1をやや外して硬化対象箇所の表面S1に照射している。この場合、レーザ光の焦点f1で表面S1に照射させる場合に比べて、硬化対象箇所の表面S1におけるレーザ光のスポット径が大きくなり、硬化対象箇所の比較的広い面に略均一に入熱させることができる。それ故、被加工物1個あたりのレーザ焼入れに要する時間短縮を図り、工数低減を図ることが可能となる。
YAGレーザ光を使用する場合、レーザ光の波長を、例えば1.06μmと短いものとできて、浸透性に優れ、被加工物深く加工することができる。ただし、レーザ光の波長は1.06μmに限定されるものではない。また、YAGレーザ発振器により生成されたレーザ光を図示外の光ファイバケーブルによって、レーザヘッドノズルLNに誘導しても良い。この場合において、レーザヘッドノズルLNを進行方向L2に対して所定角度α(αは例えば5度)つけた状態に配置することが望ましい。この場合、光ファイバケーブルから出射したレーザ光が金属表面で反射し、反射光が前記光ファイバケーブルに再入射することを防止することができる。したがって、光ファイバケーブルを保護することが可能となる。
また、レーザ光の送り速度を調整する際、例えば、前記レーザヘッドノズルLNを図示外のロボットアームの先端に取付けても良い。このロボットアームを硬化対象箇所に対して相対的に移動させてこの移動速度を調整することが可能である。なお、固定式のレーザヘッドノズルLNに対して、被加工物を相対的に移動させてレーザ焼入れしても良い。
前記YAGレーザの代替手段として半導体レーザを適用することも可能である。半導体レーザ光を使用する場合は、レーザ光の波長として例えば808nmのものを使用することができる。ただし、発振波長は必ずしも808nmに限定されるものではない。また、異なる発振波長の半導体レーザを用いて一つの被加工物をレーザ焼入れすることも可能である。
半導体レーザ光の波長は可視光であるため、加工面での反射率が低く、低出力でもレーザ加工が可能となる利点もある。また、レーザ光の強度分布を矩形状とできるため、大面積の焼入れを効率よく行うことができる。それ故、前記YAGレーザ光や赤外線レーザ光を用いるものよりも、被加工物1個あたりのレーザ焼入れに要する時間短縮を、さらに図ることが可能となり、工数低減を図ることが可能となる。しかも、YAGレーザ光等よりもレーザ出力の低減を図ることができるため、エネルギーコストの低減を図ることができる。また、非標準組織が、半導体レーザ光を使用した焼入れにより得られた組織である場合、レーザ光の吸収を上げるための吸収剤を被加工物に塗布する必要がなくなり、その分、工数低減を図ることが可能となる。
半導体レーザと共に、マイクロレンズアレイ、集光レンズ、及びビームスプリッター等の少なくともいずれか一つを含むミラー系を用いてレーザ焼入れすることも可能である。このようなミラー系を用いて被加工物をレーザ焼入れする場合、レーザ光のエネルギーロスを低減することができる。しかも、ミラー系を制御して所定の加工面を順次レーザ焼入れする場合、被加工物に対しレーザヘッドノズル等を相対的に移動させる移動機構等を省略することができる。この場合、設備費用の低減を図ることが可能となる。
半導体レーザ光の波長は可視光であるため、加工面での反射率が低く、低出力でもレーザ加工が可能となる利点もある。また、レーザ光の強度分布を矩形状とできるため、大面積の焼入れを効率よく行うことができる。それ故、前記YAGレーザ光や赤外線レーザ光を用いるものよりも、被加工物1個あたりのレーザ焼入れに要する時間短縮を、さらに図ることが可能となり、工数低減を図ることが可能となる。しかも、YAGレーザ光等よりもレーザ出力の低減を図ることができるため、エネルギーコストの低減を図ることができる。また、非標準組織が、半導体レーザ光を使用した焼入れにより得られた組織である場合、レーザ光の吸収を上げるための吸収剤を被加工物に塗布する必要がなくなり、その分、工数低減を図ることが可能となる。
半導体レーザと共に、マイクロレンズアレイ、集光レンズ、及びビームスプリッター等の少なくともいずれか一つを含むミラー系を用いてレーザ焼入れすることも可能である。このようなミラー系を用いて被加工物をレーザ焼入れする場合、レーザ光のエネルギーロスを低減することができる。しかも、ミラー系を制御して所定の加工面を順次レーザ焼入れする場合、被加工物に対しレーザヘッドノズル等を相対的に移動させる移動機構等を省略することができる。この場合、設備費用の低減を図ることが可能となる。
このレーザ焼入れでは、車輪取付用フランジ17の付け根部すなわち、ハブ14の座面35およびその周辺における強度および疲れ強さを向上させる場合は、硬化範囲(非標準組織部分30)の表面硬度が40HRC以上となるようにされる。靱性が必要となる場合は、軌道面等の高周波焼入れの前に高温焼戻しを行い硬化範囲の表面硬度が20〜40HRCとなるようにするのが望ましい。なお、ハブ14の母材部分は標準組織であり、この母材部分の硬度は13〜25HRCとされる。非標準組織の硬度が20HRC未満であると、強度および疲れ強さが不足し、20〜40HRCの範囲では、靱性が優れるが、40HRCを超える場合に比べて、剛性等の強度および疲れ強さは劣る。強度および疲れ強さを向上させる場合、また、靭性が必要な場合、共に、非標準組織の深さは、0.1mm以上1.5mm以下とするのが望ましい。
この後、シールランド5から軌道面6を含み内輪嵌合面16にかけての高周波焼入れが行なわれ、焼戻しされる。この後、軌道面6などの研削が行なわれ、研削の完了したハブ14が車輪用軸受装置に組み立てられる。
この後、シールランド5から軌道面6を含み内輪嵌合面16にかけての高周波焼入れが行なわれ、焼戻しされる。この後、軌道面6などの研削が行なわれ、研削の完了したハブ14が車輪用軸受装置に組み立てられる。
上記ハブ14の製造工程において、レーザ焼入れと高周波焼入れの順序は逆であっても良い。特に、凹部37が深く設計され、シールランド5や軌道面6と座面35の距離が近いものでは、高周波焼入れの後にレーザ焼入れを行うのがよい。シールランド5や軌道面6と座面35の距離が近いと、座面35へのレーザ焼入れを先に行うと、後に行なうシールランド5や軌道面6等の高周波焼入れによる熱がレーザ焼入れ部を高温で焼戻すこととなり、レーザ焼入れ部の硬度が低下することがある。そのため、熱影響範囲の広い高周波焼入れを先に行い、熱影響範囲の狭いレーザ焼入れを後に行うことで、レーザ焼入れ部の硬度を確保することができる。また、焼戻しは、ハブ14を加熱炉に入れて全体加熱を行うものであっても、高周波加熱によるものであっても、出力、デフォーカス量、送り速度を調整したレーザ光による加熱で部分的に焼戻しするものであっても良い。
この構成の車輪用軸受装置によると、次の作用効果が得られる。ハブ14の端面の等速ジョイント結合用のナット33が接する座面35の周辺は、車輪取付用フランジ17の根元部付近となるため、自動車の旋回時に、車輪取付用フランジ17に大きな振幅の撓みが繰り返し生じたときに、高応力が繰り返し発生する。特に、座面35が座繰り部36の底面36bである場合、座繰り部36の底面36bと周面36cとの間の隅部36aに、高応力が繰り返し発生する。
しかし、このような繰り返し発生する高応力に対して、前記座面35や、その座繰り部36の隅部36aの周辺に渡る部分が前記非標準組織の部分30とされているため、組織微細化や硬度アップによって強度や疲れ強さが向上し、座繰り部36の隅部36aなどの座面35の周縁から亀裂が発生することが抑制される。つまり、亀裂発生→車輪取付用フランジ17の変位増加→車両の振動増加→車輪用軸受装置の損傷、という作用が抑えられて、長寿命化される。
すなわち、上記微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織の非標準組織の部分は、標準組織からなる母材部分に比べて組織が微細であり、また硬度が同等以上のものとなる。このような組織微細化や硬度アップにより、非標準組織の部分の強度や疲れ強さが向上し、通常の標準組織のみからなるハブに比べて、高い応力振幅に耐え、つまり高強度化され、長寿命化できる。そのため、通常の標準組織の車輪用軸受装置に比べて、小型化、および軽量化が図れる。したがって、車輪用軸受装置の製品製作の投入重量が削減されて、コストの削減が図れ、安価に提供することが可能となる。また、車輪用軸受装置が軽量となるため、自動車の軽量化が図れ、燃費の改善が可能となる。
更に、上記非標準組織により座面35の硬度が高められているため、ナット33との接触による座面35のフレッティング摩耗が抑制され、その摩耗によるナット33の締め付け軸力の低下が抑制される。
更に、上記非標準組織により座面35の硬度が高められているため、ナット33との接触による座面35のフレッティング摩耗が抑制され、その摩耗によるナット33の締め付け軸力の低下が抑制される。
前記非標準組織の部分30は、特に、レーザ焼入れにより得られるため、座繰り部36の底面36bと周面36cとの間の隅部36aの曲率半径が小さい場合であっても、一部が局部的に高温になり過ぎることを未然に防止し、溶け落ちることもない。すなわち、本実施形態のものでは、非標準組織の部分30をレーザ焼入れする際、例えば、図3に示すように、レーザヘッドノズルLNを、座繰り部36の底面36b、隅部36a、および周面36cに沿って移動させる。この場合において、レーザ光の出力、デフォーカス量、および、発振形態の少なくともいずれか1つを変化させても良い。いずれにしても、ハブ14のうち座面35およびその周辺だけを限定的にレーザ焼入れしており、ハブ14のうち座面35等以外の大部分はレーザ焼入れを行っていない。これにより、例えばパイロット部20等が高温になり過ぎることを未然に防止し、このパイロット部20の一部が溶け落ちる等の問題を解消し得る。
また、ハブ14のうち座面35等だけを、レーザ焼入れにより限定して熱処理することができるため、車輪取付用フランジ17の振れ精度等を高精度に維持することが可能となる。前記非標準組織とする部分30を、座面35等だけという限られた範囲にすると、ハブ14全体の表面を非標準組織とする場合と異なり、被削性や加締性等の加工性の低下が最小限に抑えられる。したがって、ハブ14全体のうち座面35等以外の大部分は、硬化せず、焼戻し後の研削加工等を容易に且つ迅速に行うことができる。それ故、従来のものより、加工工数の低減を図り、製品1個あたりのサイクルタイムの向上を図ることが可能となる。換言すれば、従来のものより、工程増による生産性の低下を抑えることができる。また、研削砥石等の寿命を延ばし、製造コストの低減を図ることができる。
この発明の他の実施形態を図と共に説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図4ないし図6は、それぞれ他の実施形態を示す。これらの各実施形態においても、ハブ14の端面の等速ジョイント結合用のナット33又は座金34が接する座面35の周辺に非標準組織の部分30を設け、前記非標準組織はレーザ焼入れにより得られた組織である。非標準組織の部分30の組織微細化や硬度アップにより、強度や疲れ強さが向上し、長寿命化できる。また、座面35の硬度アップによりフレッティング摩耗が軽減され、ナット33の軸力低下が抑えられる。
なお、これらの各実施形態において、特に説明した事項の他は、図1ないし図3と共に説明した実施形態と同じである。
なお、これらの各実施形態において、特に説明した事項の他は、図1ないし図3と共に説明した実施形態と同じである。
図4の車輪用軸受装置は、駆動輪支持用のアンギュラ玉軸受型のものであって、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15a、15bとからなる。内輪15a、15bは各列毎に設けられていて、インボード側の内輪15bの方が、アウトボード側の内輪15aよりも、厚さおよび軸方向寸法が大きいものでも良い。内輪15a、15bは、ハブ14に設けられた加締部14bでハブ14に軸方向に固定されている。外方部材2は、一つの一体の部品からなり、外径面は全体に渡って円筒状面とされ、図1の例における車体取付用フランジ12は有していない。この実施形態によると、図1の車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。
この実施形態では、凹部37全体を旋削し座面35の座繰り部を設けないものとしているが、図1の実施形態と同様に座繰り部を設けても良い。
この実施形態では、凹部37全体を旋削し座面35の座繰り部を設けないものとしているが、図1の実施形態と同様に座繰り部を設けても良い。
図5の車輪用軸受装置は、図4の車輪用軸受装置と同じく、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15a、15bとからなる。外方部材2は一つの一体の部品からなるものであって、車体取付用フランジ12を有さないものとされている。この例では、2個の内輪15a、15bは同じ大きさとされている。この実施形態によると、図1の車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。
図6の車輪用軸受装置は、駆動輪支持用の円すいころ軸受型のものであって、内方部材1が、ハブ14と、このハブ14の軸部14aの外周に嵌合した複列の内輪15a、15bとからなる。内輪15a、15bは各列毎に設けられている。外方部材2は、一つの1体の部品からなる。この図6の実施形態に係る車輪用軸受装置においても、図1の車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。
1…内方部材
2…外方部材
3…転動体
6〜9…軌道面
14…ハブ
14a…軸部
15…内輪
17…車輪取付用フランジ
21…貫通孔
30…非標準組織となる部分
31…等速ジョイント
32…継手部材
32a…ステム部
33…ナット
35…座面
36…座繰り部
36a…隅部
36b…底面
36c…周面
2…外方部材
3…転動体
6〜9…軌道面
14…ハブ
14a…軸部
15…内輪
17…車輪取付用フランジ
21…貫通孔
30…非標準組織となる部分
31…等速ジョイント
32…継手部材
32a…ステム部
33…ナット
35…座面
36…座繰り部
36a…隅部
36b…底面
36c…周面
Claims (9)
- 複列の転動体を介して互いに回転自在な内方部材および外方部材を有し、前記内方部材が、車輪取付用フランジを有するハブと、このハブの軸部の外周に嵌合した内輪とを有し、前記ハブが中心部に、等速ジョイントの継手部材のステム部を挿通させる貫通孔を有し、前記ハブのアウトボード側の端面における前記貫通孔の開口周縁が前記ステム部の先端の雄ねじ部に螺着したナットまたは座金が接する座面となる車輪用軸受装置において、
前記ハブの母材部分が標準組織であり、前記ハブの前記座面が非標準組織の部分とされ、前記非標準組織が、レーザ焼入れにより得られた組織である車輪用軸受装置。 - 請求項1において、レーザ焼入れにより得られた組織である非標準組織が、微細フェライト・パーライト組織、上部ベイナイト組織、下部ベイナイト組織、焼戻マルテンサイト組織のうちのいずれか、もしくは少なくともこれらの組織のうちの2種類以上の混合組織である車輪用軸受装置。
- 請求項1または請求項2において、前記座面が、前記ハブのアウトボード側の端面に設けられた座繰り部の底面からなり、この座繰り部の底面と座繰り部の周面との間の隅部の周辺に渡って前記非標準組織の部分を設けた車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記ハブおよび内輪に各列の軌道面を有するものである車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記ハブが軌道面を有さず、前記内輪が複列の軌道面を有するものである車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記非標準組織の部分の硬度が20HRC以上40HRC以下であり、母材部分の標準組織の硬度が13HRC以上25HRC以下である車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記非標準組織の部分の硬度が40HRC以上であり、母材部分の標準組織の硬度が13HRC以上25HRC以下である車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、レーザ焼入れにより得られた組織である非標準組織が、YAGレーザ光を使用した焼入れにより得られた組織である車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、レーザ焼入れにより得られた組織である非標準組織が、半導体レーザ光を使用した焼入れにより得られた組織である車輪用軸受装置。
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011148403A (ja) * | 2010-01-21 | 2011-08-04 | Nsk Ltd | ラックアンドピニオン式ステアリング装置の製造方法 |
| CN108725092A (zh) * | 2017-04-18 | 2018-11-02 | 丰田自动车株式会社 | 车轮安装构造 |
-
2008
- 2008-06-26 JP JP2008166732A patent/JP2010006198A/ja active Pending
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