JP2010097143A - 吸音体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開口部2aを有する枠体2と、開口部2aを覆う吸音材3とを有し、枠体2の厚みT2が5〜20mm、開口部2aの内径Dが70〜160mm、吸音材3の厚みT1が0.5〜3mm、吸音材3の比重Gが0.9〜1.6、吸音材3の貯蔵弾性率E’が1×108〜1×109Paであり、吸音材3は高分子材料(X)を用いて形成されており、該高分子材料(X)は80℃以上の融点または80℃以上のガラス転移点を有し、かつ該高分子材料(X)はtanδが0.08以上である高分子材料(A)を含む。
【選択図】図1
Description
従来の吸音材料として、例えば、グラスウール、ロックウールのように繊維を綿状またはボード状に成型した材料や、ポリウレタンフォームのように高分子材料を発泡させた材料などの多孔質材料が知られている。これらの多孔質材料に音波が入射すると、音波が材料内の隙間の空気を振動させるため、空気自身の粘性および周囲との摩擦によって、振動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換、散逸されて吸音効果が得られる。
また吸音材の設置場所によっては、ピーク形状がブロードで良好な吸音が生じる周波数の範囲が広いことが要求される。その指標として、ピーク周波数が500Hz以下である場合には、例えばピーク周波数±50Hzの範囲における吸音率の平均を表わす平均吸音率を用いることができる。吸音率のピーク値が同じである場合、該平均吸音率がより高い方が、ピーク形状がよりブロードであることを示す。
[3]前記[2]において、前記吸音材に含まれる高分子材料(X)の全体を100質量%とするとき、前記高分子材料(A1)の含有量が5〜75質量%、前記高分子材料(B)の含有量が25〜95質量%であることが好ましい。
[5]前記[4]において、前記吸音材に含まれる高分子材料(X)の全体を100質量%とするとき、前記高分子材料(A2)の含有量が50質量%以上であることが好ましい。
[6]前記[4]または[5]において、前記高分子材料(X)は、さらに、tanδが0.08未満である高分子材料(B)を含むことが好ましい。
[7]前記[6]において、前記吸音材に含まれる高分子材料(X)の全体を100質量%とするとき、前記高分子材料(B)の含有量が0超〜50質量%未満であることが好ましい。
tanδ(損失正接)は、貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比(E”/E’)の絶対値で表される値である。
本発明における吸音材のtanδ(損失正接)は、20Hz、15℃における値である。貯蔵弾性率(E’)およびtanδの測定周波数は、一般的に測定可能な範囲(0.2〜50Hz)の中で、実際の吸音周波数により近いという理由で20Hzを採用した(なお、50Hzではデータのばらつきが多い為、20Hzとした。)。また低周波領域(250〜400Hz程度)における常温(25℃)での粘弾性特性は、マスターカーブに基づいて推測すると、20Hzにおける15℃での粘弾性特性と類似するため、tanδの測定温度は15℃を採用した。
貯蔵弾性率(E’)およびtanδ(損失正接)は材質によって決まる値である。
尚、貯蔵弾性率(E’)およびtanδ(損失正接)の測定は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、粘弾性スペクトロメータEXSTAR6000 DMS、形式名DMS6100を使用した。
入射周波数を変化させながら吸音率を測定し、吸音率が最も高くなるときの周波数をピーク周波数という。
また、本発明の吸音体による吸音は膜振動型吸音であるため、共振する周波数での吸音となる。そこで、良好な吸音が生じる周波数の範囲の広さの指標となる値として、ピーク周波数±50Hzの範囲における吸音率の平均をとり、平均吸音率と定義する。
また高分子材料のガラス転移点(以下、Tgということもある。)はJIS K 7244−3(引張振動)に準拠する測定方法により、測定周波数20Hz、測定温度−50℃〜200℃を2℃/分で温度上昇させながらtanδ(損失正接)を測定したときに得られるピーク値を示す温度から求めた値である。
高分子材料がガラス転移点を2つ以上有する場合、少なくとも1つのガラス転移点が80℃以上であれば、「80℃以上のガラス転移点を有する」とする。
枠体2の裏面側の端面2cも平坦面である。裏面側の端面2cは施工面4に接着固定されている。すなわち裏面側の開口部2aは施工面4によって閉じられており、吸音材3と施工面4との間に背後空気層5が形成されている。
枠体2の厚さT2によって吸音材3の施工面4側に形成される背後空気層5の厚さが決まる。本発明において枠体2の厚さT2は5〜20mmであり、好ましくは6〜15mmである。5mm以上であると吸音材の良好な一次振動が得られやすい。20mm以下であると、小型化、軽量化を実現しやすい。
枠体2の厚さが開口部2aにおいて不均一である場合は、T2として平均値を用いる。
本発明において開口部2aの内径Dは70〜160mmであり、好ましくは80〜135mm、より好ましくは90〜110mmである。70mm以上であるとピーク周波数が低くなり易く、160mm以下であると小型化の点で好ましい。開口部2aが小さい方が一定の面積内に設けることができる開口部2aの数が多くなり、該一定の面積における吸音性能が向上する。
本発明において開口部2aが円形でない場合、開口部2aの内径Dの値は、該開口部2aの面積と同面積の円の直径の値を用いるものとする。
開口部2aが正方形である場合、1辺の長さは62〜142mmが好ましく、70〜120mmがより好ましく、80〜97mmがさらに好ましい。
本発明において吸音材3の比重Gは0.9〜1.6であり、1.0〜1.4が好ましい。比重Gが0.9以上であると、低周波領域における良好な吸音効果が得られやすい。1.6以下であると軽量化の点で好ましい。
本発明において吸音材3の貯蔵弾性率E’は1×108〜1×109Paであり、1×108〜5×108が好ましい。
貯蔵弾性率E’が1×108Pa以上であると、吸音材の良好な一次振動が得られやすく、低周波領域における良好な吸音効果が得られやすい。1×109Pa以下であるとピーク周波数が低くなりやすい。
本発明において吸音材3のtanδは0.07以上であることが好ましい。0.07以上であると平均吸音率が顕著に向上する。tanδの上限は特に限定されないが、他のパラメータの好ましい範囲を満たすためには0.3以下が好ましい。
吸音材3は高分子材料(X)を用いて形成される。好ましくは高分子材料(X)とフィラーを用いて形成される。例えば吸音材3は、高分子材料(X)とフィラーの混合物からなる。高分子材料(X)は単一の高分子材料からなっていてもよく、2種以上の高分子材料の組み合わせであってもよい。
高分子材料(X)は、80℃以上の融点または80℃以上のガラス転移点を有する。
80℃未満は、吸音体の通常の使用温度を想定している。使用温度範囲よりも高い温度の融点またはガラス転移点を有する高分子材料は、使用温度範囲において結晶構造またはガラス状物質を有しており、耐熱性に優れる。使用温度において結晶構造およびガラス状物質のいずれも有していない材料からなる吸音材は、自重による変形が起き易く、この変形により、吸音特性が大幅に変化する(主に高周波数側に大きくシフトする)恐れがあるため好ましくない。
ここで、本発明における高分子材料は、目的とする高分子化合物のみからなる材料が好ましいが、市販品から入手する場合は、目的とする高分子化合物を主成分とし、その他に添加剤を含む組成物であってもよい。組成物である場合には、その組成物の状態での物性値および分子構造を、高分子材料の物性値および分子構造とみなす。
高分子材料(X)を調製する際の配合は、得られる吸音材3のtanδが0.07以上となるようにするのが好ましい。
高分子材料(A)として、tanδが0.2以上である高分子材料(A1)を用いる場合と、tanδが0.08以上0.2未満である高分子材料(A2)を用いる場合とで、好ましい配合割合が異なる。
tanδが0.2以上である高分子材料(A1)としては、SIS(スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体)またはその水添物(以下、総称してSISという)が挙げられる。SISは市販品から入手可能である。SISは非結晶性高分子であり、ガラス転移点は、市販品のグレードによって異なるが、概ね−20〜20℃の範囲内と90〜100℃の範囲内の2つ有している。
tanδが0.08以上0.2未満である高分子材料(A2)としては、CPE(塩素化ポリエチレン)が挙げられる。CPEは市販品から入手可能である。市販品のグレードによって結晶性(融点100〜130℃)を有するものと、非結晶性のものがある。
高分子材料(B)はtanδが0.08未満の高分子材料である。
高分子材料(B)の具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のPE(ポリエチレン);PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ乳酸、EBR(エチレンブテン共重合体)、EOR(エチレン、オクテン共重合体)等のエチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
高分子材料(A)が、SISなど非結晶性高分子である場合は、高分子材料(B)として、結晶性高分子であって融点が80℃以上であるもの、例えばLLDPE、HDPE、LDPE、PPや、非結晶性高分子であってガラス転移温度が80℃以上であるもの、例えばPS、PC、PET、ポリ乳酸等を用いることが好ましい。
例えば、塩化ビニル樹脂(PVC)はガラス転移温度が80℃よりも高いが、市販の軟質PVCは可塑剤が含まれているためガラス転移温度が80℃よりも低い。
該含有量のより好ましい範囲は、高分子材料(A1)が5〜50質量%、高分子材料(B)が50〜95質量%であり、さらに好ましくは高分子材料(A1)が7〜40質量%、高分子材料(B)が60〜93質量%である。
高分子材料(A)として高分子材料(A2)を用いるとともに、さらに高分子材料(B)を併用することも好ましい。この場合は、高分子材料(A2)を50質量%以上、100質量%未満含有し、高分子材料(B)を0質量%超、50質量%以下含有することが好ましい。高分子材料(B)の添加効果を充分に得るうえで、高分子材料(A2)が60〜90質量%、高分子材料(B)が10〜40質量%であることがより好ましい。
フィラーとして、無機フィラーおよび/または有機フィラーを用いることができる。
無機フィラーの例としては、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
無機フィラーを配合する場合、その配合量は特に限定されず、吸音材の比重G、貯蔵弾性率E’、およびtanδの良好な範囲が得られる範囲であればよい。機械強度の点からは、吸音材3の構成材料中80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
有機フィラーの例としては、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(例えば、製品名:アデカスタブ AO−330、ADEKA社製)、トリス(2,4ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(例えば、製品名:Irg168、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が好ましい。
有機フィラーを配合する場合、その配合量は特に限定されず、吸音材の比重G、貯蔵弾性率E’、およびtanδの良好な範囲が得られる範囲であればよい。機械強度の点からは、吸音材3の構成材料中50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
吸音材3の厚さが不均一である場合は、T1として平均値を用いる。
このように、枠体22に複数の開口部22aが設けられている場合、該複数の開口部22aの形状および大きさは均一でもよく、異なっていてもよい。
また該複数の開口部22aの配置は任意であるが、隣り合う開口部22aどうしの距離dが小さいほど吸音体21における吸音の効率が高くなる。
このような構成の吸音体21においても、同様に、小型かつ軽量で、低周波領域における高度な吸音効果を有し、しかも平均吸音率が高い吸音体が得られる。
(例1〜17)
表1に示す配合の膜材料(高分子材料とフィラーの混合物)を用いて膜状の吸音材3を作製した。使用した高分子材料およびフィラー(硫酸バリウム)は表2の通りである。表1の配合の欄において( )内の数値は配合量(単位:質量%)である。例えば「LLDPE(50)/EBR(20)/硫バリ(30)」は、LLDPEの50質量%とEBRの20質量%と硫酸バリウムの30質量%との混合物であることを示す。表1には高分子材料(X)の全体を100質量%とするときの、高分子材料(A1)(A2)(B)のそれぞれの含有割合(単位:質量%)を示す。また高分子材料(X)の融点およびガラス転移温度を上述の方法で測定した。その結果を表1に示す。DSC装置としてはティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q1000を用いた。
吸音材3の厚みT1は表3に示す値とした。吸音材3を構成する材料の貯蔵弾性率E’(25℃、20Hz)、比重G、tanδ(15℃および25℃)を測定した結果を表3に示す。貯蔵弾性率E’の欄において、「3E+08」は「3×108」を表わす。
例1,4,5は高分子材料(A1)、(A2)のいずれも用いない比較例である。
作製した吸音体1について、上述した測定方法により吸音特性(ピーク周波数、吸音率ピーク値、および平均吸音率)を測定した。表3に測定結果を示す。
2、22…枠体、
2a、22a…開口部、
3、23…吸音材、
5…背後空気層。
Claims (8)
- 開口部を有する枠体と、該開口部を覆う吸音材とを有し、
前記枠体の厚みT2が5〜20mm、前記開口部の内径Dが70〜160mm、前記吸音材の厚みT1が0.5〜3mm、前記吸音材の比重Gが0.9〜1.6、前記吸音材の貯蔵弾性率E’が1×108〜1×109Paであり、前記吸音材は高分子材料(X)を用いて形成されており、該高分子材料(X)は80℃以上の融点または80℃以上のガラス転移点を有し、かつ該高分子材料(X)はtanδが0.08以上である高分子材料(A)を含むことを特徴とする吸音体。 - 前記高分子材料(X)は、tanδが0.2以上である高分子材料(A1)、およびtanδが0.08未満である高分子材料(B)を含むことを特徴とする請求項1記載の吸音体。
- 前記吸音材に含まれる高分子材料(X)の全体を100質量%とするとき、前記高分子材料(A1)の含有量が5〜75質量%、前記高分子材料(B)の含有量が25〜95質量%であることを特徴とする請求項2記載の吸音体。
- 前記高分子材料(X)は、tanδが0.08以上0.2未満である高分子材料(A2)を含むことを特徴とする請求項1記載の吸音体。
- 前記吸音材に含まれる高分子材料(X)の全体を100質量%とするとき、前記高分子材料(A2)の含有量が50質量%以上であることを特徴とする請求項4記載の吸音体。
- 前記高分子材料(X)は、さらに、tanδが0.08未満である高分子材料(B)を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の吸音体。
- 前記吸音材に含まれる高分子材料(X)の全体を100質量%とするとき、前記高分子材料(B)の含有量が0超〜50質量%未満であることを特徴とする請求項6記載の吸音体。
- 前記吸音材の20Hz、15℃におけるtanδが0.07以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸音体。
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