JP2010090084A - 新規なビス(カルバゾリルフェニル)誘導体、それを用いたホスト材料および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
Description
そこでこの問題を解決する目的で、近年リン光材料による有機EL素子の検討がなされている(非特許文献1)。
リン光材料は、従来の蛍光材料と異なり、三重項励起状態を使用することができるため量子効率が非常に高く、エネルギー失活がほとんどなく内部発光量子収率でほぼ100%に達する材料である。
しかしこのリン光材料は、濃度消光を起こしやすいため蛍光材料と同様にホスト材料との併用が必要になってくる。
高効率発光を得るためには、輸送材料やホスト材料の最適化を図らないといけないが、リン光材料は蛍光材料と異なり三重項エネルギーを完全に閉じ込めないと満足な効果が得られない。特に青色の材料に関してはエネルギーレベルが非常に高い。そのためにこれまで使用されていた4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)では十分なエネルギーの閉じ込めができない。これまでこの青色リン光エネルギーを満足に閉じ込めることのできるワイドギャップ化されたホスト材料はほとんどなく、青色リン光材料の開発を妨げる一つの要因になっていた。
またArは下記
で示されることを特徴とするビス(カルバゾリルフェニル)誘導体に関する。
本発明の第2は、請求項1記載のビス(カルバゾリルフェニル)誘導体よりなるホスト材料に関する。
本発明の第3は、請求項1記載のビス(カルバゾリルフェニル)誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
またR1〜R4およびR13〜R15におけるアルコキシ基およびアルキルアミノ基におけるアルキル基についても、上記のアルキル基を例示することができる。
R5〜R12における置換基を有することもある炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントラニル、ピレニルなどを挙げることができる。また、置換基としては、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を挙げることができる。
R16〜R30における炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどを挙げることができる。
またArは下記
溶媒に対する原料の溶解性が反応進行の鍵になるため、溶媒としては、好ましくはトルエンとアルコール系の混合溶媒であり、より好ましくはトルエンとエタノールの混合溶媒である。
反応で使用する塩基類に関しては、前述第一反応で使用される塩基Na2CO3が例示できる。通常、アルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩が使用できる。そのなかでも好ましくは、炭酸カリウムを挙げることができる。
反応で使用するパラジウムについては、第一反応はハロゲン化合物とホウ酸化合物とのカップリング反応であるため、Pd(0)のものが使用できる。好ましくは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム〔Pd(PPh3)4〕あるいはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム〔Pd2(dba)3〕であり、より好ましくはパラジウム化合物の反応性によりテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。
反応で使用する塩基類に関しては、アルカリ金属を含むものであれば特に限定されるものではない。例示すれば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムのような水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなような炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウムのような重炭酸塩あるいはリチウム、ナトリウム、カリウムあるいはセシウムなどのアルカリ金属のアルコラート、酢酸塩などの有機塩基である。この場合好ましくは、酢酸塩であり、より好ましくは反応時間の観点より酢酸カリウムである。
反応で使用するパラジウムについては、ホウ素化するためにPd(0)のものが使用できる。ここでは有機配位子とパラジウムがキレートを形成しているものが例示できる。好ましくは、二塩化(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムあるいはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムであり、より好ましくは反応性より二塩化(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム〔PdCl2(dppf)〕である。
この反応で用いられる銅は、反応性を左右する触媒であるためできる限り微粉末であることが望ましい。反応撹拌時、十分撹拌され反応基質とよく接触することが肝心である。
また、この反応で使用する塩基類に関しては、第一反応で述べたようなアルカリ金属を含むものであれば特に限定されるものではない。好ましくは炭酸塩もしくは水酸化物であり、より好ましく炭酸塩であり、とりわけ炭酸カリウムである。
本発明の有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は透明もしくは半透明であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層に使用するホール伝達物質は、前記の好ましい性能を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料においてホールの電荷注入材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
ホール注入材料としては、下記化学式に示されるPEDOT−PSS(ポリマー混合物)やDNTPDを挙げることができる。
よって本発明の化合物は、素子を高効率化させるために必要なものであり工業的に極めて重要なものである。
3,3″−ジ(カルバゾール−9−イル)−3′−(ピリジン−3−イル)1,1′:5′,1″−ターフェニル(略称DCzmPPyB)の合成
1)3−(3,5−ジブロモフェニル)−ピリジン(略称DBrPyB)の合成
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=1/2,クロロホルム/酢酸エチル/メタノール=10/20/1)を行った。3−(3,5−ジブロモフェニル)−ピリジン〔3−(3,5−Dibromophenyl)−pyridine〕(DBrPyB):収量:9.33g、収率:49.7%。
この化合物の1H−NMRを図1に示す。
2)3−〔3,5−フェニルジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)〕ピリジン(BDOBPyB)の合成
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=4/1)を行い、白色の粉末を得た。収率:52.5%。
3)9−(3−ブロモフェニル)カルバゾール(略号mBrPCz)の合成
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:n−hexane/tolene=6/1)で行い、白色の粘体を得た。収率:81.8%。
4)3,3″−ジ(カルバゾール−9−イル)−3′−(ピリジン−3−イル)1,1′:5′,1″−ターフェニル(略称DCzmPPyB)の合成
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム)で行い、白色の粉末を得た。収率:77.2%。
得られた3,3″−ジ(カルバゾール−9−イル)−3′−(ピリジン−3−イル)1,1′:5′,1″−ターフェニル(略称DCzmPPyB)の蒸着膜(厚み500nm)の紫外線吸収スペクトル(Abs)と蛍光スペクトル(PL)を図2に示す。
また熱化学特性と電気化学特性を表1に示す。
Tg:ガラス転移温度
Tm:融点
Ip:イオン化ポテンシャル
Eg:エネルギーギャップ
Ea:エレクトロアフィニティ(電子親和力)
n.d.:検出されず
Tg(ガラス転移温度)については、DSC(Differential Scanning Calorimeter 示差熱量計)中にサンプルを加え、溶融されたものを急冷し、2〜3回繰返すとガラス点を示すカーブがチャート上に現れるので、そのカーブを接線で結び、その交点の温度をTgとして採用する。
Tm(融点)は、同じくDSCにサンプルを加え、昇温させていくと急熱カーブが現れるのでその極大のところの温度を読んで、その温度をTmとする。
Td(分解温度)は、DTA(Differential Thermal Analyzer 示差熱分析装置)にサンプルを加え、加熱していくとサンプルが熱によって分解し、重量が減少しだす。その減少が開始し5%重量減少したところの温度を読んで、その点をTdとする。
エネルギーギャップ(Eg)については、蒸着機で作成した薄膜を紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する。その薄膜の短波長側の立ち上がりのところに接線を引き、求まった交点の波長W(nm)を次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEgになる。
Eg=1240÷W
例えば接線を引いて求めた値W(nm)が470nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240÷470=2.63(eV)
と言うことになる。
Ip(イオン化ポテンシャル)はイオン化ポテンシャル測定装置(例えば理研計器AC−3)を使用して測定し、測定するサンプルがイオン化を開始したところの電圧(eV)の値を読む。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。
実施例1で合成した3,3″−ジ(カルバゾール−9−イル)−3′−(ピリジン−3−イル)1,1′:5′,1″−ターフェニル(略称DCzmPPyB)の蒸着膜(厚み500nm)を作成し、リン光スペクトルを測定した。またFIrpicを3wt%ドープした膜(厚み500nm)を作成し、リン光減衰曲線を測定した。
リン光スペクトルを図3に、リン光減衰曲線を図4に示す。ホスト材料の三重項レベルとFIrpicへの三重項エネルギー閉じこめ効果の相関関係を表2に示す。
図4では、ほぼ一成分で減衰するため、FIrpicへの三重項エネルギー閉じ込め効果があると証明した。リン光素子ホスト材料として期待される。
onest:各材料の三重項エネルギーの立ち上り部を示すもの
peak:各材料の三重項エネルギーのピークを示すもの
*IPL(t)=A1e−t/τ1+A2e−t/τ2
IPL:PL intensity(フォトルミネッセンス強度)
A:Quantity of emission component
(組成物の発光量)
A*:励起状態における組成物の発光量
t:Decay time(減衰時間)
t:Lifetime of component(発光組成物の寿命)
−:測定不能
PL強度は、一般に励起成分が1成分の場合A1のみで表せるが、2成分ある場合はA1とA2の2成分から表される。この場合1成分か2成分かは過渡分解PLスペクトルを測定しないとわからない。τはそれぞれの成分での寿命、onestは三重励起開始時、peakは最大励起時の波長、ETは三重項励起状態の波長を表す。
表2のETの数字を見ると、数字の大きさがonestの時もpeakの時もDCzmPPyB>FIrpicになっており相関関係が出ている。この状況でFIrpicに対してホスト材料の三重項エネルギーレベルの閉じ込め効果が見られる。
実施例1で合成した3,3″−ジ(カルバゾール−9−イル)−3′−(ピリジン−3−イル)1,1′:5′,1″−ターフェニル(略称DCzmPPyB)をホスト材料として用い青色リン光素子を作成した。また比較例として、従来から使用されているホスト材料4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)をホスト材料に使用した素子を作成し、特性の比較を行った。
素子構造:
実施例3●:ITO/TPDPES(20nm)(ホール注入層)/3DTAPBP(30nm)(ホール輸送層)/DCzPPyB:FIrpic(13wt%)(発光層)(10nm)/tetra−m3PyPhB(40nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm);
比較例1○:ITO/TPDPES(20nm)(ホール注入層)/3DTAPBP(30nm)(ホール輸送層)/CBP:FIrpic(13wt%)(発光層)(10nm)/tetra−m3PyPhB(40nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)
電流密度−電圧特性は図5に、
輝度−電圧特性は図6に、
視感効率−電圧特性は図7に、
電流効率−電圧特性は図8に、
視感効率−輝度特性は図9に、
外部量子効率−輝度特性は図10に
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図11に、
それぞれ示す。
100cd/m2時の電圧、電流密度、視感効率および外部量子効率を表3に示す。
また1000cd/m2時の電圧、電流密度、視感効率および外部量子効率を表4に示す。
実施例1で合成した3,3″−ジ(カルバゾール−9−イル)−3′−(ピリジン−3−イル)1,1′:5′,1″−ターフェニル(略称DCzmPPyB)の輸送性能を確認するために、ホール輸送層と電子輸送層の間に真空蒸着によりDCzmPPyBのみよりなる緩衝層を作成し、励起子の再結合の割合をEL強度より求めた。なお、ここでいう緩衝層とは、発光層から発光材料を抜いた層である。
○:ITO/α−NPD(50nm)(ホール輸送層)/DCzmPPyB(10nm)(発光層)/Alq3(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)
この素子のEL強度−波長の図を図12に示す。
ホール側で励起子の再結合が行われるには、ホール側に電子が流れないと行えないもので、電子側で励起子が再結合が行われるには、電子側にホールが流れないと行えない。この素子における再結合の確率が、前者が0.73で後者が0.27ということで、この数字で判断する限りホール側での再結合が優勢になっている。言い換えれば、電子がそれだけ多くホスト剤の中を移動したことになる。よって本発明の3,3″−ジ(カルバゾール−9−イル)−3′−(ピリジン−3−イル)1,1′:5′,1″−ターフェニル(略称DCzmPPyB)は電子をホールのおよそ3倍よく流すことがわかった。
従来のホスト材料、例えばCBPなどは電子よりもホールをよく運ぶ傾向がある。一般にホールと電子では有機膜中を移動する速度が違い、ホールの移動速度を1とすれば、電子は1/100位の遅い速度でしか流れない。そこでホールをよく流すCBPをホストとして使えば、発光層の中の電子がより少なくなってしまい、結合できないホールが発光層の中に溜まって素子の劣化を早めることになる。そこで少しでも電子を流しやすい有機物をホストに使ってやれば、発光層内で再結合していないホールの数が減少するため素子の劣化を遅らすことができる。故に電子の流れやすさを判断するために、このような実験を行ったものである。
2 陽極(ITO)
3 発光層
4 陰極
5 正孔(ホール)輸送層
6 電子輸送層
7 正孔(ホール)注入層
8 電子注入層
9 正孔(ホール)ブロック層
Claims (3)
- 下記一般式(1)
(式中、R1〜R4およびR13〜R15は水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、前記アルキル基を含有するアルコキシ基、前記アルキル基を含有するアルキルアミノ基、およびフッ素原子よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、R5〜R12は水素および置換基を有することもある炭素数6〜20のアリール基からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
またArは下記
式で示されたピリジル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリダジル基およびトリアゾリル基よりなる群より選ばれた基であり、R16〜R30は水素および炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。)
で示されることを特徴とするビス(カルバゾリルフェニル)誘導体。 - 請求項1記載のビス(カルバゾリルフェニル)誘導体よりなるホスト材料。
- 請求項1記載のビス(カルバゾリルフェニル)誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
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