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JP2010050598A - 電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムおよびそれを用いた電磁波透過性部材 - Google Patents

電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムおよびそれを用いた電磁波透過性部材 Download PDF

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JP2010050598A JP2008211466A JP2008211466A JP2010050598A JP 2010050598 A JP2010050598 A JP 2010050598A JP 2008211466 A JP2008211466 A JP 2008211466A JP 2008211466 A JP2008211466 A JP 2008211466A JP 2010050598 A JP2010050598 A JP 2010050598A
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Takashi Yoshida
崇志 吉田
Toshiyuki Mizuno
俊行 水野
Kazunori Tanaka
和典 田中
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】電波透過性に優れた金属光沢調の電磁波透過性部材用積層フィルムを提供する。また、本発明のフィルムは環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れている。
【解決手段】熱可塑性樹脂AからなるA層と熱可塑性樹脂BからなるB層が厚み方向に交互にそれぞれ30層以上積層された積層フィルムであって、波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率が30%以上90%以下であり、150℃における引張試験において、フィルム長手方向、および幅方向の100%伸長時の引張応力がそれぞれ、いずれも3MPa以上90MPa以下であり、かつ層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多い積層フィルムからなる電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムを電磁波透過性部材用に用いる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、通信機器、電磁波式レーダー等電磁波を利用する機器の外装等の部材に用いることができる金属光沢を有しながらも、電磁波の透過性に優れた電磁波透過性部材に使用される金属光沢調装飾フィルムに関するものである。
一般に、通信機器やレーダー等、電磁波を送受信するアンテナは、その機能が優先されるため、アンテナ本体及び周囲の構造が意匠面で制約を受けることは少なかった。例えば、自動車用のラジオ等のアンテナは、アンテナの形状をむき出しにしたロッドアンテナが使用されている。しかし、アンテナの取り付け位置によっては、アンテナを隠したい場合もある。例えば、自動車の前方の障害物や、車間距離を測定するレーダー装置等では、その性能を発揮するためには、自動車前部の中心の位置に設けるのが望ましい。このような場合、おおむね自動車のフロントグリル近傍にアンテナを取り付けることになり、意匠面からアンテナはなるべく外から見えなくすることが望ましい。
そこで、エンブレムやフロントグリルをレーダ装置の被覆用外装部品とし、該被覆用外装部品に金属の層を設けることにより、金属光沢を持った意匠性を確保しつつ、レーダー装置を保護する機能を実現している。また、この被覆用外装部品は内部のレーダー装置の電磁波を受けて外部へ発する機能とともに、検出物から帰ってきた電磁波を受けて受信器に送る機能をも有し、アンテナとして機能している。
この金属光沢を持ったレーダー装置の外装部品は、電磁波の誤受信するのを防ぐため、電磁波の強度を減衰させにくいものである必要がある。
特許文献1、2および3では、それぞれ電磁波を透過させやすい金属層の形成方法について、記載されているが、電磁波透過性が不十分であったり、使用する金属が高価であったり、また、絞り加工への追随性に劣るために複雑な形状に成形することが困難であり、また、金属膜自体の形成が困難であるなどの問題を有していた。
また、特許文献4には、屈折率の異なる層の間に凹凸形状を形成し、金属を使用せずに金属光沢の意匠を有する電磁波透過性部材が提案されているが、金属光沢の意匠性は十分とはいえないものであった。
特開2007−138270号公報 特開2004−244516号公報 特開2002−135030号公報 特表2004−309322号公報
本発明は、通信機器、電磁波式レーダー等電磁波を利用する機器の外装等の部材に用いることができ、金属光沢の意匠を有しながら、電磁波の透過性に優れる電磁波透過性部材に使用される電磁波透過性金属光沢調装飾フィルムを提供するとことを課題とする。
上記課題を解決するため、電磁波発信器から発信される又は電磁波受信器に受信される電磁波の経路におかれる本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、熱可塑性樹脂AからなるA層と熱可塑性樹脂BからなるB層が厚み方向に交互にそれぞれ30層以上積層された積層フィルムであり、波長帯域400〜1000nmにおける平均相対反射率が30%以上90%以下、150℃における引張試験においてフィルム長手方向、および幅方向の100%伸長時の引張応力がいずれも3MPa以上90MPa以下、かつ層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多い電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムであることを本旨とする。
本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、高輝度でかつ自然な金属光沢調の意匠性を有し、かつ、成形性に優れ、成形後も層間剥離がなく金属光沢調を維持するものである。
また、本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムを含んでなる電磁波透過性部材は、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないため、アンテナの配置に制限を加えないものであり、無機物薄膜層を含まないため、回路設計も容易にできるようになる。
以下に、本発明の詳細を説明する。
本発明のフィルムは電磁波受信器から発信される又は受信される電磁波の経路におかれることとなる。ここで、電磁波とは、赤外線の一部と、周波数が3Hz〜3THzのものをいい、経路におかれるとは、該フィルムに近接する発信器から発信される電磁波、または、近接する受信器が目的とする波長の電磁波が、最も強く発信される方向上、または、最も強く受信される方向上に位置することをいう。
本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、図1に示すように、熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)1と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)2を交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなる。
熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、ホモポリマーであってもよく、共重合または2種類以上の樹脂がブレンドされたものであってもよい。熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは金属光沢調に優れたものとできるためその屈折率は同一でなく、望ましくは熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの屈折率の差は0.03以上であり、更に望ましくは該屈折率差は0.05以上である。熱可塑性樹脂を用いると押出成形が可能なことやフィルムの成形性が容易である。また、熱可塑性樹脂中には、本発明の目的を阻害しない範囲において、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
本発明のフィルムに用いうる熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルを用いることがより好ましい。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位に有するポリエステルは、安価であり、非常に多岐にわたる用途に用いることができるので好ましい。
本発明でいうところのポリエステルとしては、典型的なものは、ジカルボン酸とジオールとの重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。これらは、カルボン酸あるいはアルコールの形で重縮合するのみならず、エステル化誘導体など誘導体としてから重縮合体とできることはいうまでもない。
本発明の熱可塑性樹脂Aは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。ここで、スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことをいう。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることが好ましい。熱可塑性樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。また、シクロヘキサンジメタノールを用いる場合、その共重合比率は15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体とすることが望ましい。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
本発明に用いる熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの固有粘度は0.50〜1.0dl/gであることが望ましい。下限としてより好ましくは、0.55dl/g以上であり、更に好ましくは0.60dl/g以上である。上限として好ましくは0.90dl/g以下であり、さらに好ましくは0.88dl/g以下である。このような場合、成形性に優れたものとなり、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形、絞り成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。また、外装部材として使用する際には、外部からの衝撃に耐えられる素材で耐摩耗性に優れていなければならない。このような観点では、熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの固有粘度は0.60〜0.88dl/gであることが好ましく、外装部材として必要とされる耐摩耗性に一層優れた電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムとすることが可能となる。
また、好ましい熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの組み合わせとしては、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂BのSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。
熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの別な好ましい組み合わせとしては、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となるおそれがあり、金属光沢の外観不良となる可能性がある。また、積層フィルムに成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムにおいて、A層とB層を交互に積層した構造を含むとは、A層とB層を厚み方向に交互に積層した構造を有している部分が存在することで定義される
また、本発明ではA層とB層が厚み方向に交互にそれぞれ30層以上積層された構造が望ましい。より好ましくは、200層以上である。さらに、好ましくはA層とB層の総積層数が600層以上である。A層とB層が厚み方向に交互にそれぞれ30層以上積層した構造でないと、十分な反射率が得られなくなり、輝度の高い金属調の外観とはならない。また、A層とB層が厚み方向に交互にそれぞれ200層以上含まれていると、波長帯域400〜1000nmの相対反射率を40%以上とすることが容易となる。また、A層とB層の総積層数が600層以上であると、波長帯域400〜1000nmの相対反射率を60%以上とすることが容易となり、非常に輝度の高い金属調の外観を有することが容易となる。また、積層数の上限値としては特に限定するものではないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下に伴う波長選択性の低下を考慮すると、1500層以下であることが好ましい。
また、A層とB層において、A層の面内平均屈折率はB層の面内平均屈折率より相対的に高いことが望ましい。また、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.03以上であり、B層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率低下が起きないため、より好ましい。
本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、波長帯域400〜1000nmの平均相対反射率が30%以上90%以下である。すなわち、本発明の相対反射率の測定法によって求められる400〜1000nmの各波長の相対反射率を平均した値が30%以上90%以下である。波長帯域400〜1000nmの平均相対反射率が30%以上であると、輝度の高い金属調のフィルムとできる。これにより、成形後も金属調を維持し、視野角によっても色の変化がほとんど起きないものとなる。また、可視光より高波長側(700nm以上)も相対反射率が30%以上90%以下であると、例え延伸によってフィルム厚みが薄くなったり、視野角によって反射帯域が低波長側にシフトしても、可視光領域の相対反射率は30%以上90%以下を維持できる。より好ましくは、波長帯域400〜1000nmの相対反射率が40%以上である。さらには、波長帯域400〜1000nmの相対反射率が80%以上であることが好ましい。相対反射率があがるほど、より高い輝度の金属調とすることが可能となる。また、波長帯域400〜1200nmの相対反射率が30%以上90%以下であるのもより好ましい。この場合、より高い絞り比で成形しても、色づきなどが起こりにくく、金属調を維持することができる。また、1.2倍以上2倍以下の延伸加工された部位における波長帯域400〜700nmの相対反射率が30%以上であることが好ましい。1.2倍以上2倍以下の延伸加工された部位における波長帯域400〜700nmの相対反射率が30%以上であると、成形後も色づきなく金属調を維持することができる。
本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向、および幅方向の100%伸度時の引張応力がそれぞれ、3MPa以上90MPa以下であることが望ましい。このような場合、成形性に優れたものとなり、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形、絞り成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。より好ましくは、150℃における引張試験において、フィルム長手方向、および幅方向の100%伸度時の引張応力がそれぞれ、3MPa以上50MPa以下である。このような場合、より高い絞り比でも成形可能となる。150℃における引張試験において、フィルム長手方向、および幅方向の100%伸度時の引張応力がそれぞれ、3MPa以上90MPa以下とするためには、熱可塑性樹脂Aが結晶性樹脂であり、熱可塑性樹脂Bがシクロヘキサンジメタノール単位、スピログリコール単位、ネオペンチルグリコール単位などの嵩高い基を有する非晶性樹脂であることが好ましい。このような場合、二軸延伸後においても熱可塑性樹脂Bはほとんど配向および結晶化していないため、引張応力が低くなるものである。また、各樹脂の融点以上でA層とB層からなる積層体を形成し冷却固化せしめるまでの時間が3分以上であることも好ましい。これは、A層とB層の界面に形成される混在層が厚くなるために、引張応力が低くなったものと推察している。さらに、層厚みが20nm以下の層が含まれているのも好ましい。層厚みが20nm以下になると、延伸してもさらに配向や結晶化が進みにくくなるために、引張応力も低下するものである。
また、本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多い。このようにすることにより、ほとんど色づきのない金属調とすることが可能となる。ここで、層対厚みとは、隣接するA層とB層のそれぞれの層厚みを足した厚みである。また、層対厚みは、A層のみについて一方の表面から数えたm番目のA層と、B層のみについて同表面から数えたm番目のB層の層厚みを足したものである。ここでmは整数を表している。例えば、一方の表面から反対側の表面にA1層/B1層/A2層/B2層/A3層/B3層・・・・の順番で並んでいた際、A1層とB1層が1番目の層対であり、A2層とB2層が2番目の層対であり、A3層とB3層が3番目の層対となる。層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が、層厚み220nm以上320nm以下の層の数と同数または少ないと、波長帯域400〜1100nmの反射帯域において低波長側ほど反射率が低下するため、赤味をおびた外観となるので好ましくない。これは、低波長側の反射を起こす層対の密度が薄くなるために起こるものである。従って、積層フィルムを構成する層の層対厚みの序列としては、単調に等差数列的に層対厚みが増加もしくは減少するのではなく、上記条件を満たしながら等比数列的に層対厚みが増加もしくは減少することが好ましい。より好ましくは、層対厚み120nm以上220nm未満の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下であることが好ましい。この場合、まったく色づきのない金属調とすることが可能である。
本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、フィルムの厚みむらが10%以下であることが望ましい。より好ましくは、8%以下である。さらに好ましくは、5%以下である。このような場合、成形性に優れたものとなり、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、冷間成形、プレス成形、絞り成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。また、高い絞り比で成形しても、色づきなどが起こりにくく、金属調を維持することができる。
さらに本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムでは、共押出にて、少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有することが好ましい。より好ましくは、5μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有する。また、両面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有するとさらに好ましい。係る3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを設けることにより、表面に傷が入った場合でも傷の存在を見え難くすることができる。
本発明に係る電磁波発信器から発信される又は電磁波受信器に受信される電磁波の経路上に使用される電磁波透過性部材としては、上記電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムを含む成形体であることが望ましい。本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム以外に、ハードコート層、エンボス層、耐候層(UVカット層)、着色層、接着層、基材樹脂層などのいずれかを含んでなることも好ましい。このような成形体は、すべての層を樹脂などの有機物や酸化ケイ素など電磁波を吸収しない無機化合物で構成することが可能であり、金属や重金属などを含まないため、環境負荷が小さく、リサイクル性にも優れ、電磁波障害を起こさないものである。既存の技術では、アルミなどの金属薄膜層の蒸着等が行なわれているが、電磁波の送受信を必要とする電磁波発信器又は電磁波受信器の電磁波経路上にこれら既存の技術を活用した外装部材を使用すると、意匠性は向上するかも知れないが、本来必要な発信器や受信器の送受信機能を損なう可能性がある。そこで、本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、自動車のミリ波レーダーの機能を損なわないという観点から、76GHzにおける電磁波の減衰率が2.0dB以下であることが望ましい。より好ましくは、76GHzにおける電磁波の減衰率が1.0dB以下である。このような場合、本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムを用いても本来の機能を損なうことのない自動車のミリ波レーダーの電磁波経路上に使用される電磁波透過性部材となることが可能である。このとき、電磁波透過性部材と電磁波送信器あるいは電磁波受信器との距離は10m以内であることが好ましい。
本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、その片面または両面に表面に着色層が形成されたものであることが好ましい。本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、可視光線の一部は透過する設計とできるので、着色層を設けることにより、外装部材の色目を調整することが可能となる。着色層を設けるには印刷によることが好ましい。
本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムは、その表面にヘアライン加工を施すことが可能であり、デザイン性を高めることができる。ヘアライン加工は、髪の毛のような細い線を無数に施す表面加工技術で、例えばワイヤーブラシ法、サンドロールペーパー法、等の方法によりフィルムの表面にさまざまなライン上のパターンを施すことができる。本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムへは、どちらの方法を用いても良く、特に限定するものではない。また、ヘアライン加工を施す方向は、本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムの長手方向、幅方向のどちらでも良い。
次に、本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム製造方法を例を挙げて以下に説明する。もちろん、本発明はこれによって限定されるものではない。
熱風中あるいは真空下で乾燥された熱可塑性樹脂Aのペレットと、熱可塑性樹脂Bのペレットを用意し、別々の押出機に供給する。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂Bを乾燥せずにベント式押出機にて、真空を引きながら、押出すことも可能である。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。本発明の特徴であるA層とB層を厚み方向に交互にそれぞれ30層以上積層した構造を含んでなり、かつ層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多いことを達成するためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも1個有するフィードブロックを用いることが好ましい。さらに、本発明の効果を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。このため、本発明の好ましい態様である以下の構成を達成することが容易になる。
a)熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)と熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)の総積層数が600層以上である。
b)波長帯域400nm〜1000nmの相対反射率が80%以上90%以下である。
c)層対厚み120nm以上220nm未満の層の数が、層厚み220nm以上320nm以下の層の数の1.05倍以上2.5倍以下である。
d)少なくとも片面に3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主成分とする層を有する。
スリットの形状としては、樹脂が導入される側のスリット面積と樹脂が導入されない側のスリット面積が同一ではないことが好ましい。このような構造とすると、樹脂が導入される側と樹脂が導入されない側での流量分布を低減できるため、幅方向の積層精度が向上する。さらには、(樹脂が導入されない側のスリット面積)/(樹脂が導入される側のスリット面積)が0.2以上0.9以下であることが好ましい。より好ましくは0.5以下である。また、フィードブロック内の圧力損失が1MPa以上となることが好ましい。また、スリット長を20mm以上とすることが好ましい。一方、スリットの間隙や長さを調整することにより、各層の厚みを制御することが可能である。
また、各スリットに対応したマニホールドを有していることも好ましい。マニホールドにより、スリット内部での幅方向の流速分布が均一化するため、積層されたフィルムの幅方向の積層比率を均一化することができ、大面積のフィルムでも精度良く積層することが可能となり、反射ピークの反射率を精度良く制御することができる。
また、一つの液溜部から二つ以上のスリット部材へ樹脂を供給することがより好ましい。このようにすると、例えわずかにスリット内部で幅方向に流量分布が生じていたとしても、次に説明する合流装置にてさらに積層されるため、積層比率としてはトータルでは均一化されるため、高次の反射帯域のむらを低減することが可能となる。
この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となる。一方、従来の装置では、300層以上の積層を達成するためには、スクエアーミキサーを併用することが一般的であったが、このような方法では積層流が相似形で変形・積層されるために、任意の層厚みを達成することが困難であった。このため、本発明の特徴である層対厚み10nm以上220nm以下の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多い層構成を高精度でかつ効率よく形成することは不可能であった。
次に、本発明の特徴である波長帯域400nm〜1000nmの相対反射率が30%以上90%以下とするためには、各層の層厚みを、下記式1に基づいて少なくとも波長帯域400nm〜1000nmで反射が起こるように設計する必要がある。さらに、層対厚みが一方の表面から反対側の表面に向かうにつれ、120nmから320nmに徐々に厚くなる層構成を少なくとも含んでなることが好ましい。また、反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na×da+nb×db)=λ 式1
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)(nm)
また、本発明では、層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が、層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多くなければならないが、そのためには層対厚みは一方の表面から反対側の表面にむかうにつれ、層対順に対し一次関数状に増加または減少するのではなく、220nm〜320nmでの層対厚みの変化よりも、220nm未満での層対厚みの変化が緩やかであることが好ましい。
このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
本発明の電磁波透過性部材を得る方法の例としては、本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムに印刷などをした後に、該当フィルムとアクリル等の樹脂とを一体成形し、さらには、スチレン等の樹脂と該当フィルムを挟む形で、曲面や複数の平面が組み合わさった形状を有している立体的な成形体を一体成形する方法が挙げられる。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)相対反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotometer)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl板を用いた。対象となる波長範囲において、刻み幅1nmで反射率を求めた。また、それぞれの波長での反射率を平均し、平均相対反射率とした。
(2)厚みむら
長手方向の長さが40mmとなるように、幅方向に切断したフィルムサンプルを作成し、アンリツ製のFILM THICKNESS TESTERにて、フィルムサンプルの幅方向の厚みを測定した。厚み測定値の最大値と最小値を算出し、(最大値−最小値)/((最大値+最小値)/2)×100[%]の値を厚みむらの値とした。
(3)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、算出した。また、溶液粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。なお、測定数は3とし、その平均値を採用した。
(4)積層数、層対厚み
透過型電子顕微鏡にて得たフィルム断面像(倍率4万倍の写真画像)を、スキャナー(Canon製CanonScanD123U)を用いて、画像サイズ720dpiで取り込んだ画像をビットマップファイル(BMP)で保存した。次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(MediaCybernetics社製)を用いて、このBMPファイルを開き、画像解析を行った。以下に代表的な画像処理条件を記す。まず、ローパスフィルタ(サイズ 7×7、 強さ 10、 回数 10)処理した後、垂直シックプロファイルモードで、位置と輝度の数値データとを得た。なお、位置は、予め空間較正でスケーリングしておいた。この位置と輝度のデータをMicrosoft社製EXCEL2000上で、サンプリングステップ6(間引き6)、さらに3点移動平均処理を行った。さらに、この得られた輝度を位置で微分し、その微分曲線の極大値と極小値を算出した。そして、隣り合う極大値−極大値または隣り合う極小値−極小値となる位置の間隔を層対厚みとし、全ての層対厚みを算出した。なお、この際、微分曲線のノイズを検出しないように、微分値に対して一定の閾値を設定し、層対厚みに対応する隣り合う極大値−極大値間距離または隣り合う極小値−極小値間距離を検出するように処理した。
(5)外観
目視にて判定し、着色のない金属調である場合を◎、わずかに着色している金属調である場合を○、着色していたり、角度によって色が付いたりする場合を×とした。
(6)光沢度
JIS−K7105(1981)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、60度の鏡面光沢度を測定した。なお、光沢度が高すぎるために、測定に際しては、すべて1/10に減光されるフィルターを挿入し、測定した。
(7)成形性
真空成形装置SANWA KOGYO PLAVAC TYPE FB−7を用いてテストした。200℃に加熱した試料に、深さ15mm、直径50mmの円柱状のカップを押し当て、さらにカップ内の空気を一瞬で抜き取って真空にした。このとき試料がカップの形状に追従して変形するものは、成形性が高いと判断し、◎とした。また試料がカップに追従して変形するものの、角部分が十分に成形されないものを○とした。さらに試料がカップに追従せず、ほとんど変形しないものは成形性が低いと判断し、×とした。
(8)電磁波の減衰率
測定は自由空間法において行い、透過損失法を用いて、電磁波の減衰率を調べた。ネットワークアナライザー(ヒューレッドパッカード社製HP8510XF)を利用して、76GHzの電磁波を寸法が150mm×150mmの試料に入射させ、電磁波がどれだけ減衰したかを1つのフィルムサンプルについて3回測定をおこない、その減衰率(dB)の平均値を採用した。
(9)150℃における100%伸長時の引張応力
フィルム長手方向の引張応力については、長手方向150mm、幅方向10mmに切り出し、あらかじめ温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で24時間湿調したフィルムサンプルを作成した。この試料を150℃の雰囲気下でJIS K7161およびJIS K7127に準じて、テンシロン万能試験機UTC−100型(株式会社オリエンテック製)を用い、初期長50mm、引張速度300mm/分の条件で引張試験を行い、100%伸長時の引張応力を測定した。測定は計5回行い、その平均値を採用した。フィルム幅方向の引張応力については、幅方向150mm、長手方向10mmのサンプルを切り出し、他は長手方向の引張応力と同様に測定した。
(10)生産性
実施例1で作成した成型品1個にかかった費用に対して、0倍以上2倍未満の費用がかかったものは○、2倍以上の費用がかかったものは×とした。
(実施例1)
1.ポリエステル1の合成
テレフタル酸ジメチルを100重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを64重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。次いで、撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとし、結晶性のポリエステル1を得た。
得られたポリエステル1の固有粘度は0.65dl/gでありTgは80℃であった。
2.ポリエステル2の合成
同様にテレフタル酸ジメチルを67.6重量部、エチレングリコールを54重量部用いる以外は前記と同様にしてポリエステル2を重合した。得られたポリエステル2の固有粘度は0.72dl/gであった。このポリエステル2のジカルボン酸成分は、テレフタル酸が80mol%であり、シクロヘキサンジカルボン酸が20mol%であった。また、ポリエステル2のジオール成分は、エチレングリコールが85mol%であり、スピログリコールが15mol%であった。ポリエステル2は非晶性であった。
3.フィルムの作製
次に、本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムを構成する2種類の熱可塑性樹脂として、合成したポリエステル1とポリエステル2を準備した。ポリエステル191.46wt%に、平均2次粒径が1μmの凝集シリカ粒子を0.04wt%、マロン酸エステル系の紫外線吸収剤(クラリアント・ジャパン社製 ”サンデュボアB−CAP”)を8.5wt%混合し、これを熱可塑性樹脂Aとした。次にポリエステル2を熱可塑性樹脂Bとした。これら熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターを介した後、801層のフィードブロックにて合流させた。801層のフィードブロック中の積層装置は267個のスリットを有するスリット部材が3つからなるものであった。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、熱可塑性樹脂Aが401層、熱可塑性樹脂Bが400層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。両表層部分は熱可塑性樹脂Aとなるようにし、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を調整した。この設計では、400〜1200nmに反射帯域が存在するものとなる。このようにして得られた計801層からなる積層体を、マルチマニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給した熱可塑性樹脂Aからなる層をその最終の厚みが990μmとなるように形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。なお、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが積層装置内で合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約8分となるように流路形状および総吐出量を設定した。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に8%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、100μmであり、厚みむらは4.0%であった。ここで得られた電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムを3とする。得られた結果を表1のフィルム特性に示す。
4.後加工、成形
次に上記3項の方法で得たフィルムを用いて自動車のミリ波レーダーの電磁波経路上に使用される自動車用エンブレム(電磁波透過性部材)を作製した。フィルムの両面に透明の印刷層を印刷した。このとき、金属光沢調に見せない部分は光を透過しない黒インキを使用した印刷層をさらに設けた。この印刷層を施したフィルムを、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)と一体成形し、続いてアクリロニトル・エチレン・スチレン(AES)と一体成形し、印刷層を施したフィルムが積層された自動車用エンブレムを得た。自動車用エンブレムの断面の一部を図2に示す。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1における熱可塑性樹脂Bに代えて、エチレングリコールに対しシクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート[イーストマン製 PETG6763、固有粘度 0.85dl/g](ポリエステル3)を用いた。なお、エチレングリコールに対しシクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したポリエチレンテレフタレートは非晶性樹脂であった。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られたフィルムの厚みは、100μmであり、フィルムの厚みむらは4.3%であった。得られた結果を表1のフィルム特性に示す。次にここで得られた電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムを用いて自動車用エンブレムを作成した。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、フィードブロックを変更した以外は、同様の条件・装置を用いた。用いたフィードブロックは、201層のフィードブロックであり、201個のスリットを有するスリット部材1つからなるものであった。合流した熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、熱可塑性樹脂Aが101層、熱可塑性樹脂Bが100層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、フィードブロック内の各微細スリットの形状を調整し、実施例1と同様に薄い側の層対厚みが相対的に多くなるようにした。また、両表層部分は熱可塑性樹脂Aとなるようにし、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。得られたフィルムの厚みは、25μmであり、フィルムの厚みむらは4.8%であった。得られた結果を表1のフィルム特性に示す。次にここで得られた電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムを用いて自動車用エンブレムを作成した。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1における熱可塑性樹脂Aのみ用いて、二軸延伸フィルムを作り、片面に0.06μmの厚さでアルミ蒸着を施した。得られたフィルムの厚みは、アルミ蒸着層を含め25μmであった。得られた結果を表1のフィルム特性に示す。次に自動車用エンブレムのうち、内面側と外面側の成形体をあらかじめ別個に作成し、外面側の成形体にアルミ蒸着を施し、さらに黒色塗装をした後に内面側と外面側の成形体を貼付け、自動車用エンブレムを作製した。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1における熱可塑性樹脂Aのみ用いて、二軸延伸フィルムを作り片面に0.06μmの厚さでインジウム蒸着を施した。得られたフィルムの厚みは、インジウム蒸着層も含め25μmであった。得られた結果を表1のフィルム特性に示す。次に自動車用エンブレムのうち、内面側と外面側の成形体をあらかじめ別個に作成し、外面側の成形体にアルミ蒸着を施し、さらに黒色塗装をした後に内面側と外面側の成形体を貼付け、自動車用エンブレムを作製した。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3において、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが積層装置内で合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約1分となるように流路形状および総吐出量を設定した。また、縦延伸倍率を3.6倍とし、横延伸倍率を3.9倍とした。その他の条件・装置については実施例3と同様とした。得られたフィルムの厚みは、25μmであり、厚みむらは4.7%であった。得られた結果を表1に示す。次にここで得られたフィルムを用いて自動車用エンブレムを作製した。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、フィードブロックを変更した以外は、実施例1と同様の条件・装置を用いた。用いたフィードブロックは、57層のフィードブロックであり、57個のスリットを有するスリット部材1つからなるものであった。合流した熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、フィードブロック内にて各層の厚みが表面側から反対表面側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させ、熱可塑性樹脂Aが29層、熱可塑性樹脂Bが28層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、フィードブロック内の各微細スリットの形状を調整し、実施例1と同様に薄い側の層対厚みが相対的に多くなるようにした。また、両表層部分は熱可塑性樹脂Aとなるようにし、かつ隣接するA層とB層の層厚みはほぼ同じになるようにスリット形状を調整した。得られたフィルムの厚みは、8μmであり、厚みむらは4.5%であった。得られた結果を表1のフィルム特性に示す。この積層フィルムは、外観も金属光沢調ではなく透明に近いフィルムであった。この積層フィルムを用いて自動車用のエンブレムは作製しなかった。
Figure 2010050598

本発明は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂からなる層を積層した電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムに関するものである。更に詳しくは、携帯電話電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムとして好適な積層フィルムに関するものである。
本発明のフィルムの積層構造の一部を示す模式図 自動車用エンブレムの断面構造の一部を示す模式図
符号の説明
1 熱可塑性樹脂Aからなる層(A層)
2 熱可塑性樹脂Bからなる層(B層)
3 本発明の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム
4 印刷層

Claims (8)

  1. 電磁波発信器から発信される又は電磁波受信器に受信される電磁波の経路におかれる電磁波透過性部材に使用されるフィルムであって、該フィルムは熱可塑性樹脂AからなるA層と熱可塑性樹脂BからなるB層が厚み方向に交互にそれぞれ30層以上積層された積層フィルムであり、波長帯域400〜1000nmにおける平均相対反射率が30%以上90%以下、150℃における引張試験においてフィルム長手方向および幅方向の100%伸長時の引張応力がいずれも3MPa以上90MPa以下、かつ層対厚み10nm以上220nm未満の層の数が層対厚み220nm以上320nm以下の層の数より多い電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム。
  2. フィルムの厚みむらが10%以下である請求項1に記載の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの固有粘度がそれぞれ0.50〜1.0dl/gである請求項1または請求項2に記載の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム。
  4. 76GHzにおける電磁波の減衰率が2.0dB以下である請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム。
  5. 着色層がその片面または両面に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム。
  6. 前記電磁波は、車載の電磁波送信器から発信され、または、車載の電磁波受信機に受信されるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波透過性部材用金属光沢調フィルムが用いられた電磁波透過性部材。
  8. 請求項1、2、3、4および6のいずれかに記載の電磁波透過性部材用金属光沢調装飾フィルムの一方の面側に着色層、もう一方の面側に保護層を少なくとも有し、金属層を含まない、立体的な形状を有してなる電磁波透過性部材。
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