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JP2009279948A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2009279948A
JP2009279948A JP2008130892A JP2008130892A JP2009279948A JP 2009279948 A JP2009279948 A JP 2009279948A JP 2008130892 A JP2008130892 A JP 2008130892A JP 2008130892 A JP2008130892 A JP 2008130892A JP 2009279948 A JP2009279948 A JP 2009279948A
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tread
carcass
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JP2008130892A
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English (en)
Inventor
Yasuo Osawa
靖雄 大澤
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
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Abstract

【課題】耐摩耗性能に優れかつ転がり抵抗の極めて低い空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、該カーカスのクラウン部の径方向外側に、タイヤの赤道面に対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層の傾斜ベルト層とを順に配置して成るベルトを有し、該ベルトの径方向外側にトレッドを配置した空気入りタイヤであって、該タイヤを適用リムに装着した状態のタイヤ幅方向断面において、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、当該最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWが0.01以上0.04以下であり、前記トレッドは、幅方向中央域のゴムの弾性率が、該中央域の両側域のゴムの弾性率より高く設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐摩耗性能に優れかつ転がり抵抗の低い空気入りタイヤに関するものである。
近年、より環境負荷の小さい製品の開発が活発に行われている。この原因は、地球温暖化をはじめとする環境問題にあり、タイヤについても例外ではない。このタイヤに関し、前記環境問題に対応するためには、自動車の低燃費化に寄与する性能の確保が大切になる。これを達成する一つの手段として、タイヤの転がり抵抗を減らすことが挙げられ、従来、様々な技術開発が行われている。
以下に、従来の改良方法をいくつか紹介する。
まず、タイヤの転がり抵抗は、トレッド部のゴム内にて多く発生することが知られている。直接的な改良方法として、このトレッド部に使用されるゴムを損失正接(tanδ)が小さいものに変更することが有効である。しかし、この方法では、タイヤの、例えば耐摩耗性能をはじめとする他の性能が犠牲になることも知られている。一方、転がり抵抗を増す発生源であるゴムを減らすために、トレッド厚さを薄くする方法も容易に考えられるが、この場合はタイヤの摩耗までの寿命を十分に確保できないことが問題になる。
さらに、特許文献1では、タイヤの断面形状を工夫して転がり抵抗を低減することが提案されている。この提案によって、耐摩耗性を確保しつつ転がり抵抗の低減を図ることができる。
特開2006−327502号公報
しかし、近年の環境への配慮を考えた場合、更なる転がり抵抗の低減が希求されている。
そこで、本発明の目的は、優れた耐摩耗性能を確保しつつ更に転がり抵抗を低減した空気入りタイヤを提供ことにある。
発明者らは、まず、タイヤの形状を詳細に規制することによって、所期した性能の改良が可能であること、特に形状設計において、タイヤの外表面の形状のみならず、タイヤの骨格となる補強構造の形状もタイヤ性能への影響が大きいため、個別に規制することが有効であるとの知見を得た。すなわち、タイヤ幅方向断面内のせん断変形を、特に幅方向外側のトレッド内において抑制することが、この変形によるエネルギーロスの結果である転がり抵抗の低減と、この変形の結果生じるせん断力とすべりにて記述されることが多い摩耗を同時に改良できることを見出した。
また、発明者らは、更なる転がり抵抗の低減を目指して鋭意検討したところ、トレッドを、幅方向中央域と該中央域の両側域とに区画した際、中央域と両側域のゴムの弾性率を規制することが極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、該カーカスのクラウン部の径方向外側に、タイヤの赤道面に対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層の傾斜ベルト層とを順に配置して成るベルトを有し、該ベルトの径方向外側にトレッドを配置した空気入りタイヤであって、
該タイヤを適用リムに装着した状態のタイヤ幅方向断面において、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、当該最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWが0.01以上0.04以下であり、
前記トレッドは、幅方向中央域のゴムの弾性率が、該中央域の両側域のゴムの弾性率より高い、
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
ここで、前記タイヤを適用リムに装着した状態とは、日本自動車タイヤ協会規格(JATMA)に規定の標準リムまたはその他の適用リムに組み込んだ状態にて、内圧を付加せずに若しくは、30kPa程度までの極低内圧を付加した状態を意味する。
また、傾斜ベルト層の最外側層とは、接地時に略接地域に対応した幅を持った、複数層の角度が異なった傾斜ベルト層のうち径方向外側のものをいう。接地域とは規定リム、規定内圧、規定荷重の80%荷重をかけたときに路面に接する範囲のことをいう。
(2)カーカスの径方向最外側とビードトゥとの間のタイヤ径方向の距離CSHに対する、前記カーカスの最大幅位置にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥにタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離CSWhの比CSWh/CSHが0.6以上0.9以下であることを特徴とする上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3)前記タイヤの断面高さSHに対する、タイヤの最大幅位置にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥにタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離SWhの比SWh/SHが0.5以上0.8以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の空気入りタイヤ。
(4)前記カーカスの最大幅CSWに対する、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWの比BW/CSWが0.8以上0.94以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
(5)前記傾斜ベルト層の最外側層の半幅BW/2に対する、前記トレッドの幅方向中心部と幅方向端部との径差TDの比TD/(BW/2)が、0.06以上0.145以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
(6)前記カーカスにおける、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅方向中心部に対応する位置からビードコア直下までの経路長CSPに対する、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅方向端部に対応する位置から前記最大幅位置までの経路長CSLの比CSL/CSPが、0.1以上0.25以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
(7)トレッド表面における、タイヤの赤道から前記カーカスの最大幅CSWの0.4倍の距離を隔てた位置が、前記タイヤの断面高さSHのビードトゥを始端とした0.91倍以上0.97倍以下の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
(8)前記傾斜ベルト層の最外側層の幅方向端部におけるベルト振り出し角度が0°以上10°以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
ここで、ベルト振り出し角度とは、傾斜ベルト最外層の端部接線方向と、傾斜ベルト最内層の傾斜ベルト最外層端部に対応する位置における接線方向との平均(中間線分)を、タイヤ幅方向断面をみて、その幅方向を0°としたときの角度である。
本発明によれば、傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWを0.01以上0.04以下とするとともに、トレッドの幅方向中央域のゴムの弾性率を該中央域の両側域のゴムの弾性率より高くすることにより、耐摩耗性能に優れかつ転がり抵抗の極めて低い空気入りタイヤを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明を具体的に説明する。
図1は本発明に従うタイヤの幅方向断面である。一対のビードコア1間にトロイダル状に跨る、コードのラジアル配列プライからなるカーカス2を骨格として、該カーカス2のクラウン部の径方向外側に、タイヤの赤道面CLに対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層、図示例で2層の傾斜ベルト層3aおよび3bを配置し、さらに傾斜ベルト層3aの径方向外側に、タイヤの赤道面CLに沿って延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも1層、図示例で1層の周方向ベルト層4を配置し、これらベルトの径方向外側にトレッド5を配置してなる。
かようなタイヤ6は、適用リム7に装着されて使用に供される。ここで、該タイヤ6を適用リム7に装着した状態のタイヤ幅方向断面において、図1に示すように、傾斜ベルト層の最外側層3aの幅BWに対する、当該最外側層3aの幅方向中心部(赤道面CL)と幅方向端部との径差BDの比BD/BWが
0.01≦BD/BW≦0.04
であることが肝要である。
この規定は、傾斜ベルト層3について、その幅方向における径差が少ないことを意味する。つまり、ベルトがフラットに近い状態であることを示す。すなわち、転がり抵抗は、前述したように、タイヤトレッド部のゴム中で発生するエネルギーロスが支配的であり、その変形の一つである幅方向断面内のせん断変形を抑えることが、転がり抵抗の低減に有効とある。このせん断変形が起こる原因は、接地時に湾曲したベルトが平らに伸ばされる変形である。さらに、通常のラジアルタイヤでは、タイヤセンター対比ショルダーの半径が小さく径差を持っているため、ショルダー付近のベルトはタイヤ周方向に伸ばされる。すると、コードが交差して配置された傾斜ベルト層はパンタグラフ状に変形して周方向に伸びる結果として幅方向に縮むことになるため、上記せん断変形を助長することになる。この変形を、タイヤの形状面から最も簡便に抑制するには、ベルトをなるべく平坦にする必要がある。しかし、実際のタイヤ設計では、サイド部の変形に伴った変形成分や、偏摩耗を起こさないための接地形状並びに接地圧分布を考慮しなければいけないことから、完全に平坦にすることなく適正な範囲に設定することが肝要である。この適正な範囲について鋭意究明したところ、上記した0.01≦BD/BW≦0.04であることが判明した。
特に、トレッドの形状から上記のせん断変形を抑制する改良を行った場合、接地面内のせん断力やすべり分布も縮小される方向に変化するため、耐摩耗性能を同時に改良することができることも解明するに到った。
以上の知見を得るに到った実験結果について、以下に詳しく説明する。
すなわち、サイズ195/65 R15のラジアルタイヤを用いて、上記した比BD/BWを種々に変化させた条件の下、転がり抵抗並びに耐磨耗性の各試験を行った。なお、タイヤの基本構造は同じであり、カーカスプライが1枚、傾斜ベルト層はタイヤ赤道面に対して24°の傾斜角度で配置したコードを層間で相互に交差させた2層からなり、その上にナイロンの周方向補強層を備える。
ここで、転がり抵抗試験は、供試タイヤを標準リムに装着し内圧を210kPaに調整したのち、直径1.7mの鉄板表面を持つドラム試験機(速度:80km/h)を用いて、車軸の転がり抵抗力を求める。なお、この転がり抵抗測定は、ISO18164に準拠し、スムースドラム、フォース式にて実施したものである。この測定結果は、例えば図2に幅方向断面を示す従来タイヤ(0.04<BD/BW≦0.07)での転がり抵抗力を100として指数化した。この指数が小さいほど、転がり抵抗が小さいことを示している。評価としては、誤差を除きなおかつ市場優位性の観点から5%以上の差異を有意差とみなす。特に、10%以上の転がり抵抗の低減が見られる場合は大きな効果であるといえる。
また、耐摩耗性試験は、転がり抵抗試験と同様のリム組み供試タイヤを、直径1.7mの室内ドラム試験機(表面にセーフティウォーク有)にて、ストリップ角およびチャンバー角を共に0°、速度80km/hで試験を実施した。入力は制駆動なしで10分、そして制動方向に0.1G10分、を交互に繰り返す。この条件にて、1200km走行後の摩耗重量(摩耗したゴムの量)を従来例対比で指数化して評価した。この磨耗重量は少ないほど良く、5%未満の違いなら同等とみなし、さらに、10%以上の違いがある場合は顕著な差あるといえる。なお、この試験法では摩耗した重量を比較するため、耐摩耗試験の意味合いが強い。しかし偏摩耗性能が悪いタイヤでは早期に摩耗が進むため、本試験でも検出が可能である。つまり、この見方は耐偏摩耗並びに耐摩耗の両面からの見方を行うことができるものであるが、ここでは耐摩耗性能として総称する。
以上の実験結果を、図3に示すように、比BD/BWが0.01以上0.04以下の範囲において、転がり抵抗並びに耐磨耗性の両方において、従来タイヤに対する有意差が認められた。さらに望ましくは、0.02以上0.035以下である。
さらに、図1に示すように、トレッド5を、幅方向中央域に対応するトレッドセンター部5Cと、この幅方向中央域の両側域に対応するトレッドショルダー部5S、5Sとに区画したとき、トレッドセンター部5Cのゴムの弾性率がトレッドショルダー部5S、5Sのゴムの弾性率より高いことが肝要である。以下、この理由を説明する。
なお、トレッドセンター部5Cは、タイヤ赤道CLを中心として、傾斜ベルト層の最外側層3aの幅BWの50%±10%以内の範囲とする。
さて、タイヤの転がり抵抗(RR)は、歪エネルギー(SE)にトレッドゴムの損失正接(tanδ)とトレッドゴムの体積(Vol)をかけたものと考えられる。すなわち、
RR=SE×tanδ×Vol
で与えられる。また、トレッド部を弾性体と見たとき、その弾性体の歪エネルギー(SE)は、応力(σ)と歪(ε)を用いて次式で与えられる。
SE=(1/2)×σ×ε
従って、トレッドゴムの損失正接(tanδ)および体積(Vol)を変えずに転がり抵抗を低減するには、応力(σ)および歪(ε)を低減すればよいことが分かる。
また、弾性体を線形弾性体とすると、弾性率(E)は次式で与えられる。
E=σ/ε
それゆえ、弾性体の歪エネルギー(SE)は、下記の式(1)または(2)のように変形できる。

SE=(1/2)×σ×(1/E) (1)
SE=(1/2)×E×ε (2)
ここで、トレッドセンター部5Cは、接地圧により押しつぶされ、これをベルト張力で支えるという一定応力的な周方向せん断による歪エネルギーが発生し、これが転がり抵抗発生につながっている。すなわち、応力(σ)は一定であるから、弾性率(E)を増加すると、上記(1)式より歪エネルギー(SE)が低減できることが分かる。それゆえ、本発明においては、トレッドセンター部5Cのゴムの弾性率を高く設定することにより、歪エネルギーを低減し、転がり抵抗の減少に更に寄与させている。
また、図1に示す本発明の空気入りタイヤのトレッドショルダー部5S、5Sに発生する歪エネルギー(SE)について、有限要素法を用いて詳細に解析した結果を図4に示す。
図4において、トレッドショルダー部の歪を、半径方向の垂直歪R、周方向の垂直歪C、幅方向の垂直歪Z、周方向断面内のせん断歪RC、幅方向断面内のせん断歪RZおよび半径方向断面内のせん断歪CZの割合で表している。
なお、周方向断面内のせん断歪RCとは、図5(a)に示すように、タイヤ赤道面と平行な断面内におけるせん断歪のことであり、幅方向断面内のせん断歪RZとは、図5(b)に示すように、タイヤ回転軸を含む断面内におけるせん断歪のことであり、半径方向断面内のせん断歪CZとは、図5(c)に示すように、周方向断面内のせん断歪RCおよび幅方向断面内のせん断歪RZに直交するせん断歪のことである。
図4より、幅方向断面内のせん断歪RZが43%であり、トレッドショルダー部に発生する歪エネルギーの中で支配的であることが分かる。このせん断歪RZは、トレッドショルダー部が接地する際の変形により生じ、その変位はクラウン形状によって決まり、同種のタイヤではクラウン形状は一定と考えられる。クラウン形状が一定、すなわち歪(ε)が一定の場合、上記(2)式より、弾性率(E)を減少させると、歪エネルギー(SE)が低減できることが分かる。それゆえ、本発明において、トレッドショルダー部5S、5Sのゴムの弾性率を低く設定することにより、歪エネルギーを低減し、転がり抵抗の減少に更に寄与させている。
以上より、トレッドセンター部5Cのゴムの弾性率を高く設定し、かつトレッドショルダー部5S、5Sのゴムの弾性率を低く設定することにより、歪エネルギーを低減し、転がり抵抗の減少に更に寄与させていることを説明した。ここで、トレッドセンター部5Cのゴムの弾性率をトレッドショルダー部5S、5Sのゴムの弾性率より高くすることが肝要であり、わずかでも弾性率に差があれば有効である。
ただし、トレッドセンター部5Cとトレッドショルダー部5S、5Sとのゴムの弾性率の差が10%以上であると、優位な転がり抵抗低減が可能なことが分かった。
一方、弾性率の差が30%より大きいと、コーナリング時のような大きな入力で異なる弾性率のトレッドゴム間で剥離が生じやすいおそれがある。
なお、例えば、トレッドセンター部のゴムの弾性率が2.7MPa、トレッドショルダー部のゴムの弾性率が2.4MPaのとき効果があることが確認されている。
また、図1に示す例では、トレッドセンター部5Cとトレッドショルダー部5S、5Sそれぞれとの境界において、トレッドセンター部5Cの径方向外側にトレッドショルダー部5S、5Sが配置されているが、反対に、トレッドショルダー部5S、5Sの径方向外側にトレッドセンター部5Cが配置されてもよい。あるいは、トレッドセンター部5Cと、トレッドショルダー部5S、5Sそれぞれの境界線が、タイヤ赤道CLを中心として傾斜ベルト層の最外側層3aの幅BWの1/2の位置を通り赤道面CLと平行な線分でもよい。
ただし、図1の場合が最も好適である。なぜなら、コーナリング時にトレッド表面から横方向の力が加わる場合、特にコーナリング外側でこの力は大きく、ゴムの弾性率が変わる境界部の接地する部分において、亀裂の発生を少なくすることができるためである。
次に、図1に示すように、カーカスの径方向最外側とビードトゥとの間のタイヤ径方向の距離CSHに対する、前記カーカスの最大幅位置にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥにタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離CSWhの比CSWh/CSHが0.6以上0.9以下であることが好ましい。さらに望ましくは、0.7以上0.8以下である。
この規定によれば、特に、路面に近い位置でタイヤサイド部のカーカスラインが局所的に曲がった領域を持ち、曲げ剛性はこの部分で小さくなる。すると、ベルト幅よりも幅方向外側である、この屈曲部周辺が荷重時に大きく変形するため、トレッド部における変形は少なくなる。つまり、上記断面内のせん断変形をトレッドにおいて減らすことができる。荷重時の変形を効果的に減ずるための寸法を各種試行したところ、比CSWh/CSHが0.6以上0.9以下であることが判明したのである。
また、図1に示すように、タイヤの断面高さSHに対する、タイヤの最大幅位置にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥ10にタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離SWhの比SWh/SHが0.5以上0.8以下であることが好ましい。さらに望ましくは、0.6以上0.75以下である。
さて、本来サイド部の形状については骨格であるカーカスラインで規定することが重要である。しかし、ゴム内部にてエネルギーロスが発生して転がり抵抗に寄与するという現象においては、サイド部も例外ではない。つまり、サイド部もカーカスラインに追従して従来のタイヤとは異なる形状を取ることが効率よい改良につながるといえる。これは、たとえばサイドゴムを薄くすることなどを意味し、自明ながらサイドゴムをなくすことができたとすれば、この寸法はカーカスラインの最大幅と同じ位置を示す。実際には、縁石への接触時にカーカスを保護する役割などからサイドゴムに所定の厚さを与える必要があるため、このときのサイド部の最大幅位置をタイヤ断面高さ対比でみたところ、上記の比の範囲にあることが分かった。また、タイヤ設計においては、加硫金型の設計も大切なポイントであるため、外表面寸法として定義することはタイヤ設計法としても必要である。
さらに、図1に示すように、前記カーカスの最大幅CSWに対する、前記傾斜ベルト層の最外側層3aの幅BWの比BW/CSWが0.8以上0.94以下であることが好ましい。さらに望ましくは、0.84以上0.93以下である。
すなわち、本発明のタイヤではクラウン部が平坦な形状になる。このとき、当然ながら接地形状も幅方向に広がる傾向となり、それに見合った補強層の構成が必要になる。特に、摩耗を防ぐ意味合いから、接地幅は複数の補強層が存在する幅以下であることが望ましい。このため、本発明に従うタイヤ形状を採用した場合のベルト幅は通常よりも広く設定する必要があり、その幅は上記に規定に従うとよいことが分かった。一方、上記断面内のせん断変形に関して述べたとおり、接地面外に余分なベルトがあればそれは転がり抵抗に対して悪化方向に作用する。このため、摩耗のために規制する下限値と、転がり抵抗のために規制する上限値の両方が大切である。
図1に示すように、前記傾斜ベルト層の最外側層3aの半幅BW/2に対する、トレッド5の幅方向中心部(タイヤ赤道面CL)と幅方向端部との径差TDの比TD/(BW/2)が、0.06以上0.11以下であることが好ましい。さらに望ましくは、0.075以上0.095以下である。
これは、傾斜ベルト層直上のトレッド表面位置についての規定である。前述のせん断変形のためにベルトを平坦にしたのは既述のとおりであるが、このとき同時にトレッド外表面も適切な位置に設定することが好ましい。トレッド表面にクラウン形状(図2参照)を残すように、ゴム厚さを分布させると、接地時の径差に起因した摩耗が発生するばかりか、ゴムの薄い部分が完全に摩耗することによって摩耗ライフが短くなる。そのため。ベルトと同様にトレッド落ち高である比TD/(BW/2)も明確に規定することが好ましく、所定の範囲とするとよい。
ちなみに、カーカスの最大幅位置から傾斜ベルト層の最外側層3aの幅方向端部との間の領域におけるカーカスラインは、最小曲率半径が5mm以上25mm以下であることが好ましい。すなわち、さらに直接的に、カーカス最大幅位置とベルト下位置との間を円弧で近似した場合の曲率半径を規定するとよい。前述したように、タイヤ設計ではその金型の設計も重要なポイントであり、設計方法としてこの部分の曲率半径を指定することは有意義である。
図1に示すように、前記カーカス2における、前記傾斜ベルト層の最外側層3aの幅方向中心部に対応する位置(タイヤ赤道面CL)からビードコア1直下までの経路長CSPに対する、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅方向端部に対応する位置から前記最大幅位置までの経路長CSLの比CSL/CSPが、0.1以上0.25以下であることが好ましい。さらに望ましくは、0.12以上0.18以下である。なお、ビードコア1直下までの経路長CSPは、カーカスの実質的な経路長であり、挟み込みタイプのビードコアでは図示のようにコアをまわりこむことなく、挟み込まれた経路を長さとする。
これは、先に述べたカーカスが局所的に屈曲する部分のカーカス長さを規定している。すなわち、カーカスライン最大幅位置とベルト下の点をつなぐ滑らかな曲線のとり方において、その領域のカーカス長さを適正化することによって、所望の局所変形を起こさせることができる。この領域のカーカス長さが短いということは、その短さで半径方向から概略幅方向へ向きを変えることを意味するため、局所的に屈曲しているという形状特性を補強することができる。
図1に示すように、トレッド表面における、タイヤ赤道CLからカーカスの最大幅CSWの0.4倍の距離を隔てた位置Pが、タイヤの断面高さSHのビードトゥ10を始端とした0.91倍以上0.97倍以下の範囲にあることが好ましい。さらに望ましくは、0.92倍以上0.96倍以下である。
ここでは、単純にタイヤ最大幅の80%位置におけるトレッド落ち高を規定している。この範囲にトレッド落ち高を設定することによって、トレッドとベルト部の幅方向断面における曲げ変形を抑制することができる。なお、完全に平らにすると、ショルダー端の接地圧が極端に上がり摩耗を悪化させるため、適切な上限値も存在する。
図1に示すように、前記傾斜ベルト層の最外側層3aの幅方向端部におけるベルト振り
出し角度θが0°以上10°以下であることが好ましい。さらに望ましくは、3°以上7°以下である。
ここでは、ベルト端部の振り出し角度について規定している。前述のように、ベルト形状が平坦でであることが良いが、さらにはベルトの端部形状を細かく規制することが好ましい。本発明では、ベルトの中央部付近で平坦、ベルト端で急に湾曲、という形状があり得る。しかしながら、断面内のせん断変形の多くはタイヤ幅方向外側にて発生することが知られているため、ベルト端部に、特に細かく形状を規定することは意義がある。特に、ベルト端部が湾曲して振り出し角度が大きくついている場合はベルトの端部が局所的に湾曲しているので上記せん断変形を起こしやすい。この理由から、角度は理想的にはフラットに近いことが望ましい。このことを、接地形状との兼ね合いなどから規定すると、ベルト振り出し角度θが0°以上10°以下であることが好ましい。
サイズ225/45R17の発明例タイヤ、従来例タイヤ、および比較例タイヤを、表1に示す仕様の下に試作し、各試作タイヤについて、耐摩耗性能および転がり抵抗の測定を行ったので以下に説明する。各供試タイヤの基本構造は図1に示す通りであり、傾斜ベルト層3a、3bは赤道面CLに対して24°の傾斜角度で配置したスチールコードを層間で相互に交差させた2層からなり、さらにナイロンコードによる周方向ベルト層4を具える。
これら供試タイヤを、サイズ7.5J×17のリムに組み込み、内圧を230kPaに調整した上で、荷重を4.5kN、時速80.0km/hの条件にて転がり抵抗測定を実施した。なお、この転がり抵抗測定は、ISO18164に準拠し、スムースドラム、フォース式にて実施したものである。
転がり抵抗試験は、供試タイヤを標準リムに装着し内圧を230kPaに調整したのち、直径1.7mの鉄板表面を持つドラム試験機(速度:80km/h)を用いて、車軸の転がり抵抗力を求める。なお、この転がり抵抗測定は、ISO18164に準拠し、スムースドラム、フォース式にて実施したものである。この測定結果は、例えば図2に幅方向断面を示す従来タイヤ(0.04<BD/BW≦0.07)での転がり抵抗力を100として指数化した。この指数が小さいほど、転がり抵抗が小さいことを示している。評価としては、誤差を除きなおかつ市場優位性の観点から5%以上の差異を有意差とみなす。特に、10%以上の転がり抵抗の低減が見られる場合は大きな効果であるといえる。
耐摩耗性試験は、転がり抵抗試験と同様のリム組み供試タイヤを、直径1.7mの室内ドラム試験機(表面にセーフティウォーク有)にて、ストリップ角およびチャンバー角を共に0°、速度80km/hで試験を実施した。入力は制駆動なしで10分、そして制動方向に0.1G10分、を交互に繰り返す。この条件にて、1200km走行後の摩耗重量(摩耗したゴムの量)を従来例対比で指数化して評価した。この磨耗重量は少ないほど良く、5%未満の違いなら同等とみなし、さらに、10%以上の違いがある場合は顕著な差あるといえる。なお、この試験法では摩耗した重量を比較するため、耐摩耗試験の意味合いが強い。しかし偏摩耗性能が悪いタイヤでは早期に摩耗が進むため、本試験でも検出が可能である。つまり、この見方は耐偏摩耗並びに耐摩耗の両面からの見方を行うことができるものであるが、ここでは耐摩耗性能として総称する。
Figure 2009279948
表1の結果より、本発明に従うタイヤ形状および構造を有し、さらに、トレッドの幅方向中央域のゴムの弾性率を該中央域の両側域のゴムの弾性率より高くすることにより、従来例タイヤ、比較例タイヤと比較して、転がり抵抗を低減でき、耐摩耗性能を向上できたことが分かる。
以上により、傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWを0.01以上0.04以下とするとともに、トレッドの幅方向中央域のゴムの弾性率を該中央域の両側域のゴムの弾性率より高くすることにより、耐摩耗性能に優れかつ転がり抵抗の低い空気入りタイヤを提供することができる。
本発明に従うタイヤの幅方向断面を示す図である。 従来タイヤの幅方向断面を示す図である。 比BD/BWが転がり抵抗並びに耐磨耗性能に与える影響を示す図である。 本発明に従うタイヤのトレッドショルダー部に発生する歪エネルギーについて、有限要素法を用いて詳細に解析した結果を示す図である。 各断面内のせん断歪を説明するための図である。
符号の説明
1 ビードコア
2 カーカス
3a 傾斜ベルト層(最外側層)
3b 傾斜ベルト層
4 周方向ベルト層
5 トレッド
5C トレッドセンター部
5S、5S トレッドショルダー部
CL タイヤ赤道

Claims (8)

  1. 一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、該カーカスのクラウン部の径方向外側に、タイヤの赤道面に対して傾斜した向きに延びるコードの多数本をゴムで被覆した、少なくとも2層の傾斜ベルト層とを順に配置して成るベルトを有し、該ベルトの径方向外側にトレッドを配置した空気入りタイヤであって、
    該タイヤを適用リムに装着した状態のタイヤ幅方向断面において、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、当該最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWが0.01以上0.04以下であり、
    前記トレッドは、幅方向中央域のゴムの弾性率が、該中央域の両側域のゴムの弾性率より高い、
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. カーカスの径方向最外側とビードトゥとの間のタイヤ径方向の距離CSHに対する、前記カーカスの最大幅位置にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥにタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離CSWhの比CSWh/CSHが0.6以上0.9以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記タイヤの断面高さSHに対する、タイヤの最大幅位置にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥにタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離SWhの比SWh/SHが0.5以上0.8以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記カーカスの最大幅CSWに対する、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWの比BW/CSWが0.8以上0.94以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記傾斜ベルト層の最外側層の半幅BW/2に対する、前記トレッドの幅方向中心部と幅方向端部との径差TDの比TD/(BW/2)が、0.06以上0.145以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記カーカスにおける、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅方向中心部に対応する位置からビードコア直下までの経路長CSPに対する、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅方向端部に対応する位置から前記最大幅位置までの経路長CSLの比CSL/CSPが、0.1以上0.25以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. トレッド表面における、タイヤの赤道から前記カーカスの最大幅CSWの0.4倍の距離を隔てた位置が、前記タイヤの断面高さSHのビードトゥを始端とした0.91倍以上0.97倍以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記傾斜ベルト層の最外側層の幅方向端部におけるベルト振り出し角度が0°以上10°以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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