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JP2009134020A - レジスト組成物及びパターン形成方法 - Google Patents

レジスト組成物及びパターン形成方法 Download PDF

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JP2009134020A
JP2009134020A JP2007309489A JP2007309489A JP2009134020A JP 2009134020 A JP2009134020 A JP 2009134020A JP 2007309489 A JP2007309489 A JP 2007309489A JP 2007309489 A JP2007309489 A JP 2007309489A JP 2009134020 A JP2009134020 A JP 2009134020A
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fullerene
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fullerene derivative
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JP2007309489A
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Katsutomo Tanaka
克知 田中
Hidekazu Obara
秀和 小原
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Frontier Carbon Corp
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Frontier Carbon Corp
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Abstract

【課題】エッチング耐性を従来よりも向上させたレジスト組成物を提供する。
【解決手段】レジスト組成物に、レジストと、ハロゲンを含まない芳香族系溶媒と、芳香族系溶媒に10重量%以上溶解するフラーレン誘導体とを含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
半導体集積回路(ULSI)における大規模化、高密度化、微細化の目覚しい進展は、回路設計やデバイス構造の改良によってなされている。特に、リソグラフィーによる微細化の進展が、この発展に最も大きく寄与してきた。
リソグラフィー技術は大きく機械工学・物理学に基づく露光技術と、化学技術に基づくレジスト材料技術と、プロセス技術とに分類できる。このうち露光技術の改良はリソグラフィーにおける解像力に大きく影響するが、その光学像を忠実に再現するためのレジストも極めて重要である。
レジストは、例えば電子線、X線、紫外線、深紫外線等のエネルギー線によって形成されるエネルギー分布に従って光化学反応を生じ、現像液に対する溶解速度が変化して、エネルギー分布をレジストパターンとして転写する材料である。このレジストは、通常は、レジストと、所定の溶媒と、必要に応じて使用される添加剤とを含むレジスト組成物として使用される。また、レジストにおいては、製造におけるスループットの面から、エネルギー線に高感度で感応すること及びパターン解像性が高いことの他に、基板を加工する際にエッチング耐性が高いことなどが要求される。
さらに、リソグラフィー技術では一般に、微細加工プロセスにおいて、パターン寸法の微細化と共にレジストが薄膜化される。また、加工パターンのアスペクト比(パターン寸法と深さとの比)が増大するとエッチング速度が低下する現象(マイクロローディング効果と呼ばれる現象)が起こるため、エッチング時間が長くなる傾向がある。このため、レジストには、より高いエッチング耐性が求められている。
また、パターンの微細化はLER(ラインエッジラフネス)への要求をさらに厳しくしている。
一方、フラーレンは球状の閉殻構造を有する炭素分子の総称であり、紫外線吸収特性、光導電性、光増感特性等の、分子構造に由来するユニークな性質を有している。例えば、フラーレン及びフラーレン誘導体よりなる薄膜は高いエッチング耐性を有するため、半導体素子等の製造工程における微細加工に用いられる多層レジストの下層膜形成材料としての利用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、フラーレンを利用したレジスト組成物のエッチング耐性等の性能向上は、幾つかの報告がされている(特許文献2、非特許文献1、非特許文献2)。
特開2006−227391号公報 特許第3515326号公報 Jpn.J.Appl.Phs.Vol.39(2000)pp.L1068-1070 Jpn.J.Appl.Phs.Vol.40(2001)pp.L478-480
しかしながら、特許文献2及び非特許文献1,2に記載の従来技術では、使用しているフラーレン及びフラーレン誘導体の各種有機溶媒に対する溶解度が低かった。このため、従来技術の適用の対象は、モノクロロベンゼンやオルトジクロロベンゼン等の製造性、環境面、安全性に課題がある溶媒を使用しているレジスト組成物に限定されており、実際に使用されているレジスト組成物への適用が困難であった。
例えば、特許文献2及び非特許文献1,2に記載の従来技術においては日本ゼオン社製のポジ型電子線レジストZEP520が用いられている。ZEP520はオルトジクロロベンゼン溶媒であり、フラーレン及びフラーレン誘導体の配合が可能であった。しかし、現在はより安全性の高い溶媒であるアニソールやエチルフェニルエーテルのようなハロゲンを含まない芳香族系溶媒が使用されるようになってきている。ところが、従来のフラーレン及びフラーレン誘導体は前述のようなハロゲンを含まない芳香族系溶媒への溶解性が極めて低いため、十分に配合することが困難であり、配合しても溶解せず析出及び凝集が生じていた。このため、従来の技術ではフラーレン又はフラーレン誘導体をレジスト組成物に配合しても、エッチング耐性等の向上効果を享受できなかった。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、エッチング耐性を従来よりも向上させたレジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、レジストと、ハロゲンを含まない芳香族系溶媒と、芳香族系溶媒に10重量%以上溶解するフラーレン誘導体とを含むレジスト組成物が、従来よりも高いエッチング耐性を発揮することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、レジストと、ハロゲンを含まない芳香族系溶媒と、該芳香族系溶媒に10重量%以上溶解するフラーレン誘導体とを含むことを特徴とするレジスト組成物に存する(請求項1)。
このとき、該芳香族系溶媒がアルコキシベンゼン類であることが好ましい(請求項2)。
また、該レジストは、主鎖切断型レジストであることが好ましい(請求項3)。中でも、α−メチルスチレンとα−クロロアクリル酸との共重合体を有していることが好ましく(請求項4)、ポリメチルメタクリレートを有していても好ましい(請求項5)。
さらに、該フラーレン誘導体全体の分子量に対する該フラーレン誘導体のフラーレン骨格の分子量の比が0.3以上1未満であることが好ましい(請求項6)。
また、該フラーレン誘導体はフラーレン骨格上に下記構造式(1)で表わされる部分構造を有するものが好ましい(請求項7)。
(式(1)及び(2)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる基を表わす。)
さらに、該フラーレン誘導体はフラーレン骨格上に下記構造式(2)で表わされる部分構造を有するものが好ましい(請求項8)。
(式(2)において、R3及びR4は、それぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基からなる群より選ばれる基を表わす。)
また、該フラーレン誘導体はフラーレン骨格上に下記構造式(3)及び(4)のいずれか一方で表される部分構造を有するものが好ましい(請求項9)。
(式(3)及び(4)において、R8及びR9は、それぞれ独立して、任意の置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。なお、R8及びR9は、R8とR9とに結合する炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子のいずれかと共に含窒素環を形成していてもよい。)
さらに、該フラーレン誘導体は、フラーレン骨格の下記式(5)で表わされる部分構造において、C1が水素原子又は任意の置換基と結合しており、少なくともC6〜C8が各々独立に下記式(II)で表わされる構造の有機基と結合しているものが好ましい(請求項10)。
(前記式(5)中、C1〜C10は何れもフラーレン骨格を構成する炭素原子を表わす。)
(前記式(6)中、Arは炭素数6以上18以下の芳香族性を有する炭化水素基を表し、Rは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表わす。)
本発明の別の要旨は、本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程と、前記塗膜の所望のパターンに応じた領域にエネルギー線を露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを有することを特徴とするパターン形成方法に存する(請求項11)。
本発明によれば、高いエッチング耐性を有するレジスト組成物を提供すること、及び、それを用いたパターン形成方法を提供することができる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
本発明のレジスト組成物は、レジストと、ハロゲンを含まない芳香族系溶媒(以下適宜「非ハロゲン芳香族系溶媒」という)と、非ハロゲン芳香族系溶媒に10重量%以上溶解するフラーレン誘導体とを含む。
[1.レジスト]
レジストは、エネルギー線によって形成されるエネルギー分布に従って光化学反応を生じ、現像液に対する溶解速度が変化する物質である。このレジストの種類に特に制限は無く、ポジ型レジスト及びネガ型レジストのいずれを用いることも可能である。例えば、特開平10−282649号公報、特開平6−118651号公報、SPIE vol. 1925(1993) p377、特開平10−324748号公報、特開平11−302382号公報、SPIE vol. 3333(1998) p62、特開2002−55456号公報、特開平9−110938号公報、J. Photopolymer Sci. and Technol. Vol. 9 No.3(1996) p435-446に記載のレジスト等を用いることが可能である。
中でも、本発明に係るレジストとしては主鎖切断型レジストを用いることが好ましい。主鎖切断型レジストは主に200nm以下の超微細加工に使用されるレジストで、電子線、X線、又は300nm以下の波長の紫外線の照射により高分子の主鎖が切断されて、溶解性が向上することによりパターンを形成するレジストである。主鎖切断型レジストは、照射部分と未照射部分との溶解性の差が大きいため、非常に高い解像度が得られる。したがって、100nm以下の超微細パターンを形成することを目的に薄膜化して使用できる。
薄膜化による50〜10nm領域のナノメータパタン形成例として、例えば、アプライド・フィジィクス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)、第62巻、第13号、第1499〜1501頁(1993)に記載されているように、代表的な高解像レジストであるポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて四塩化ケイ素(SiCl4)と四フッ化炭素(CF4)の混合ガスのドライエッチングでSi基板をエッチングする場合にPMMAの膜厚を65nmとしていることが報告されている。
またジャーナル・オブ・バキュアムサイエンス・アンド・テクノロジー(J.Vac.Sci.Technol.)、第B13巻、第6号、第2170〜2174頁(1995)では、PMMAとほぼ同程度の解像性を備え、比較的エッチング耐性の高いといわれているZEPレジスト(日本ゼオン社製)を用いた例として、基板を酸素プラズマ処理する際にZEPの膜厚を50nmとしていることが報告されている。
一方、50〜150nmの比較的大きな領域のナノメータパタンの形成においては、前述した電子線等の高エネルギー線の使用により前述のPMMAあるいはZEPレジストを用いて現状でもそれほどレジストを薄膜化しなくとも解像性が達成できている。したがって、この領域においては、むしろエッチングに起因する欠陥の発生のない良好な基板加工の実現に重点をおき、ドライエッチング耐性を確保するため解像性が低下しない範囲でできるだけレジスト膜厚を厚くしている。上記の比較的大きなナノメータパタン領域では、通常、レジスト膜厚は0.1〜0.5μm程度としている。
前記の主鎖切断型レジストの例としてはアクリル系主鎖切断型レジストが挙げられ、その具体例としてはポリメチルメタクリレート(PMMA)、α−クロロメタクリレートとα−メチルスチレンとの共重合体であるZEP(日本ゼオン社製)、ポリ2,2,2−トリフルオロエチルαクロロクリレート(EBR−9、東レ社製、英語名はpoly 2,2,2−trifluoroethyl α−chloro acrylate)などが挙げられる。
中でも、α−クロロメタクリレート等のα−クロロアクリル酸とα−メチルスチレンとの共重合体、及び、ポリメチルメタクリレートが好ましい。上記樹脂を用いたレジストは露光部分と未露光部分との溶解性の差が大きいため、非常に高い解像力が得られる。そのため、100nm以下の微細パターンを形成するためにも多く使用される。しかしその場合、アスペクト比の関係でレジストは薄膜化され、エッチング耐性の不足が懸念される。ところが本発明によれば、解像力の低下無く、エッチング耐性が向上できるため、このようなレジストに用いて好適である。
なお、レジストは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明のレジスト組成物中のレジストの量は、レジスト組成物全体に対し、通常5g/L以上、好ましくは10g/L以上、より好ましくは20g/L以上、また、通常500g/L以下、好ましくは200g/L以下、より好ましくは100g/L以下である。レジストが少なすぎると十分な厚さの膜が得られなくなる傾向があり、多すぎると粘度が高くなり過ぎ、平滑な膜が得られにくくなる傾向があるからである。
[2.ハロゲンを含まない芳香族系溶媒(非ハロゲン芳香族溶媒)]
本発明に係る非ハロゲン芳香族系溶媒は、ハロゲンを含まない芳香族系溶媒であれば、本発明の効果を著しく損なわない限り制限は無い。例えば、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環のみからなる芳香族系溶媒であってもよく、芳香環に置換基が置換した構造を有する芳香族系溶媒であってもよい。ただし、非ハロゲン芳香族溶媒は、その分子中に、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子を含まないものである。
中でも、本発明に係る非ハロゲン芳香族系溶媒は、アルコキシ基を有するものが好ましい。安全性が高いためである。例えばラットの急性経口毒性LD50を比較すると、アルコキシ基を有する非ハロゲン芳香族系溶媒であるアニソールは3700mg/Kgであるのに対し、ヒドロキシル基を有する非ハロゲン芳香族系溶媒であるフェノールは317mg/Kg、アルキル基を有する非ハロゲン芳香族系溶媒であるトルエンは636mg/Kgである。また、アルコキシ基を有する非ハロゲン芳香族系溶媒はアルコキシ基による双極子モーメントを持つことから、極性物質が溶けやすくなる。即ち、アルコキシ基を有する非ハロゲン芳香族系溶媒はフラーレン誘導体の溶解性と安全性との両方がバランスよく良好である。
なお、代表的な溶媒について、前記溶解性に関連する指標である双極子モーメントの値を例示すると、下記表1のとおりである(講談社 サイエンティフィック 編集 「溶剤ハンドブック」より)。この観点から、本発明に係る非ハロゲン芳香族系溶媒の双極子モーメントは0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましい。また、1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。
前記のアルコキシ基の例を挙げると、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。中でもメトキシ基が好ましい。
また、本発明に係る非ハロゲン芳香族系溶媒は芳香環を有するが、当該芳香環は炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。ただし、前記の芳香環は炭化水素環であることが好ましく、ベンゼン環を有する炭化水素環が好ましい。
当該芳香環の数は、通常1以上、通常2以下であり、好ましくは1である。当該芳香環の数が多くなると、融点が高くなり常温で固体状態となるため、塗布に適さなくなる傾向がある。例えば、アニソール(芳香環数:1)は融点−37℃であるが、β―ナフチルメチルエーテル(芳香環数:2)は融点72℃である。
本発明に係る非ハロゲン芳香族系溶媒の例を挙げると、メチルフェニルエーテル(3.48mg/ml)、1,2−ジメトキシベンゼン(0.71mg/ml)、1,3−ジメトキシベンゼン(0.72mg/ml)、エチルフェニルエーテル(2.2mg/ml)、プロピルフェニルエーテル、n−ブチルフェニルエーテル(2.5mg/ml)等のアルコキシアレーン類;トルエン(2.9mg/ml)、混合キシレン(5.2mg/ml)、o−キシレン(8.7mg/ml)、m−キシレン(1.4mg/ml)、p−キシレン(5.9mg/ml)、エチルベンゼン(2.6mg/ml)、1,2,3−トリメチルベンゼン(4.7mg/ml)、1,3,5−トリメチルベンゼン(1.5mg/ml)、1,2,4−トリメチルベンゼン(17.9mg/ml)、1−メチルナフタレン(33.2mg/ml)等のアルキルアレーン類;1−フェニルナフタレン(50mg/ml)などが挙げられる。なお、前記例示物の名称の直後に記載したカッコ内の数値は、その溶媒中でのフラーレンC60の溶解度を表わす。
中でも、メチルフェニルエーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、エチルフェニルエーテル、プロピルフェニルエーテル、n−ブチルフェニルエーテル等のアルコキシベンゼン類が好ましい。さらにその中でも、メチルフェニルエーテルが特に好ましい。
なお、本発明に係る非ハロゲン芳香族系溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明のレジスト組成物中の非ハロゲン芳香族系溶媒の量は、レジスト組成物全体に対し、通常50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、また、通常99.5重量%以下、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下である。非ハロゲン芳香族系溶媒が少なすぎると粘度が高くなり過ぎて平滑な膜が得られにくくなる傾向があり、多すぎると十分な厚さの膜が得られなくなる傾向があるからである。
[3.フラーレン誘導体]
フラーレンは、炭素原子が中空状の閉殻構造をなす炭素クラスタであり、当該閉殻構造を形成する炭素数は、通常60〜130の偶数である。フラーレンの具体例としては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96のほか、これらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスタを挙げることができる。なお、本明細書においては炭素数がiのフラーレンは「Ci」又は「[i]フラーレン」と表記することがある。例えば、炭素数が60のフラーレンは「C60」又は「[60]フラーレン」と表記することがある。
フラーレン膜の製造には、これらの各フラーレンおよび上記フラーレンが2種類以上混合されたフラーレン混合物を適宜使用可能であり、その炭素数は特に限定されるものではないが、容易に製造が可能である等の観点から、フラーレン混合物、またはC60を用いることが好ましい。
また「フラーレン誘導体」とは、フラーレンの炭素原子に有機または無機の原子団を結合させた化合物または組成物の総称をいう。例えばフラーレン骨格上に所定の置換基が付加した構造を有するもののほか、内部に金属や分子を包含しているフラーレン金属錯体を含めたもの等を広く意味するものとする。その具体例を挙げると、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、アミノ化フラーレン、硫化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、フレロイド、メタノフラーレン、ピロリジノフラーレン、アルキル化フラーレン、アリール化フラーレン等が挙げられる。これらのフラーレン誘導体において、フラーレン骨格に付加する置換基の数は単数でも複数でもよい。また、置換基は1種のみが付加していてもよく、2種類以上が任意の組み合わせ及び比率で付加していてもよい。
本発明に係るフラーレン誘導体は、前記の非ハロゲン芳香族系溶媒に、通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上溶解するものである。このように非ハロゲン芳香族系溶媒に対する溶解性の高いフラーレン誘導体を含有させることにより、本発明のレジスト組成物のエッチング耐性を高めることが可能である。
また、非ハロゲン芳香族系溶媒に対するフラーレン誘導体の溶解度は、以下の方法で測定できる。
(1)トルエンを用いて、濃度が既知の(100〜500ppm程度)フラーレン誘導体標準溶液を作製する。フラーレン誘導体及びトルエンを室温で1時間撹拌後、フラーレン誘導体の析出が起こっていないことを目視により確認する。このようにして得られた各標準溶液をHPLCで分析し、波長290nmの光の吸光度よりフラーレン誘導体のピーク強度を求める。得られたピーク強度をフラーレン誘導体の濃度に対してプロットし、検量線を作成する。
(2)フラーレン誘導体が10重量%もしくは20重量%となるように、フラーレン誘導体及びアニソールを仕込み、室温で1時間撹拌し、フラーレン誘導体溶液を調製する。
(3)撹拌終了後、フラーレン誘導体溶液を孔径0.1μmのろ紙を用いてろ過後、ろ液をトルエンで100倍に希釈する。
(4)希釈したフラーレン誘導体溶液をHPLCで分析し、(1)と同様にしてフラーレン誘導体のピーク強度を測定し、(1)で作成した検量線を用いて希釈したフラーレン誘導体溶液中のフラーレン誘導体濃度を求め、得られた値を100倍することにより、希釈前の溶液におけるフラーレン誘導体濃度を求める。
本発明に係るフラーレン誘導体は、フラーレン骨格に適切な基が結合することにより、非ハロゲン芳香族系溶媒への溶解性が向上したものである。
本発明に係るフラーレン誘導体のフラーレン骨格の種類に制限は無く、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96などが挙げられる。中でも、C60及びC70が好ましく、C60がより好ましい。これらはフラーレンの製造時に主生成物として得られるので入手しやすいからである。
なお、フラーレン骨格は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよく、またフラーレン製造時に得られる混合フラーレンを用いても構わない。
本発明で用いるフラーレン誘導体は、フラーレンを構成する1以上の炭素に所定の基が結合したものである。フラーレンを構成する炭素のうち、所定の基が結合する炭素としては、C60分子を例に取れば、C60分子中の(6−6)結合を構成する2個の炭素原子を好ましく挙げることができる。これは、上記(6−6)結合を形成する2個の炭素原子の電子吸引性が高くなっているからである。結合される基は、(6−6)結合のいずれかの炭素又は両方の炭素に結合する場合が考えられる。両方の炭素に結合する場合は、両方の炭素に同一の基が結合する場合、異なる基が結合する場合、及び、両方の炭素が環の一部となるように環化付加する場合を挙げることができる。
環化付加する場合としては、3員環、4員環、5員環、6員環を形成する各種の反応があり、環の構成分子にさらに置換基を有するものを用いることにより様々なフラーレン誘導体を得ることができる。
60分子を例に取ると、3員環形成の付加反応としては(6−5)開環系フレロイドや(6−6)閉環系メタノフラーレンが挙げられる。フレロイドやメタノフラーレンにおいて付加された炭素原子はメチレン基であるが、このメチレン基の2個の水素を所定の基で置換すれば、より高次の誘導体が得られる。例えば窒素原子により3員環を形成する場合はアザフレロイドとなり、窒素原子が有する3つの結合手のうち、フラーレン部分に結合する2つの結合手以外の結合手に結合する基を置換することにより多様な誘導体を得ることができる。
60分子における5員環を形成する付加としては、例えば、ピラゾリン縮合体、オキサゾリジン縮合体、ジヒドロフラン縮合体、ピロリジン縮合体などを形成するものが挙げられる。また、C60分子における6員環を形成する付加としては、例えばジエン類を付加する反応が知られている。そして、上記5又は6員環を形成する原子に結合する基を置換することによって、より高次の誘導体が得られることとなる。また、5又は6員環においては、環を形成する原子数が多いことから、置換基を導入できる部位も複数あり多様な誘導体を形成することが可能となる。
フラーレン誘導体を合成する他の方法としては、以下のような方法を挙げることができる。
例えば、求核負荷反応においては、有機リチウム試薬やグリニャール試薬などとの反応により、アルキル基やフェニル基などをフラーレンに導入することができる。また、例えば、同じく炭素求核剤であるシアン化ナトリウムとの反応によれば、シアノ基をフラーレンに導入することができる。このように、導入される基は用いられる試薬により変更することができる。上記求核付加反応や、シアン化ナトリウムとの反応により合成されるフラーレン誘導体は、アニオンとして塩を形成することもできるが、アニオンを求電子剤で捕捉することにより1,2―ジヒドロフラーレン誘導体とすることが多い。プロトンで捕捉すれば1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の1置換体を得ることができ、求電子剤の種類によれば第2の基としてメチル基やシアノ基を有する1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の2置換体を得ることができる。求核付加反応では他に、例えばシリルリチウムとの反応やアミンとの反応によりフラーレン誘導体を合成することもできる。
また、例えば酸化反応、還元反応によれば水素化フラーレンや酸化フラーレン、水酸化フラーレンを得ることができる。またラジカル反応によりフッ素などのハロゲンを導入することも可能である。
フラーレン誘導体を得るために、フラーレンに直接結合させる基又はフラーレンを環化付加した場合に付加した環を構成する元素が形成する基としては、特に制限はないが、工業的に得やすい点から、水素原子、アルカリ金属原子、カルコゲン原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、酸素を含む特性基、硫黄を含む特性基、及び窒素を含む特性基からなる群から選ばれる1つであることが好ましい。
アルカリ金属原子としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、リチウム、ナトリウム、カリウムである。
カルコゲン原子としては、例えば酸素、イオウ、セレン、テルルなどを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、酸素、イオウである。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。尚、ハロゲン原子を含む基、例えばヨードシル基を用いてもよい。
脂肪族炭化水素基のうち、脂鎖式炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、エチニル基などを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
脂肪族炭化水素基のうち、脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−シクロヘキセニル基などを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、シクロヘキシル基である。
芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基などを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニリル基である。
複素環基としては、例えばフリル基、フルフリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピペリジノ基、ピペリジル基、キノリル基などを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フリル基、ピリジル基である。
酸素を含む特性基は、酸素を含む基であれば任意であるが、例えば水酸基、過酸化水素基、酸素(エポキシ基)、カルボニル基などを挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは水酸基、酸素である。
また、その他、酸素を含む特性基としては以下のようなものが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基等を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メトキシ基、エトキシ基である。
カルボキシル基、エステル基としては、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基等を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、カルボキシ基、アセトキシ基である。
アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロロホルミル基、オキサル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基等を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、ホルミル基、アセチル基である。
また、例えばアセトニル基、フェナシル基、サリチル基、サリチロイル基、アニシル基、アニソイル基等を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、アセトニル基、サリチル基である。
硫黄を含む特性基としては、硫黄を含む基であれば任意であるが、例えばメルカプト基、チオ基(−S−)、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、チオホルミル基、チオアセチル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、チオカルバモイル基、スルホン酸基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トシル基、スルホアミノ基等を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メルカプト基、スルホン酸基である。
窒素を含む特性基としては、窒素を含む基であれば任意であるが、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、ヒドロキシアミノ基、アセチルアミノ基、ベンザミド基、スクシンイミド基、カルバモイル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、ウレイド基、ウレイレン基、アミジノ基、グアニジノ基等を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、アミノ基、シアノ基、シアナート基である。
なお、上述したいずれの基も、さらに他の基で置換されていてもよい。
また、フラーレン骨格に結合する置換基の数は1でも2以上でもよく、また、置換基の種類は1種でもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で結合していてもよい。
本発明に係るフラーレン誘導体の分子量に関しては、フラーレン誘導体全体の分子量に対するフラーレン誘導体のフラーレン骨格の分子量の比(フラーレン骨格/フラーレン誘導体全体)が、通常0.3以上、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.45以上、また、通常1.0未満、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下である。前記の比を上記の範囲に収めることにより、溶媒への溶解性を十分に保ちながら、本発明に係るフラーレン誘導体をレジスト組成物に同重量含有させた場合のフラーレン骨格量を増やすことができ、本発明の効果をより高めることができる。
本発明に係るフラーレン誘導体の好適なものの例を以下に例示する。ただし、本発明に係るフラーレン誘導体は以下の例示物に限定されるものではない。
本発明に係るフラーレン誘導体の第一の例としては、フラーレン骨格上に下記構造式(1)で表わされる部分構造を有するものが挙げられる。
即ち、第一の例としてのフラーレン誘導体はフラーレン骨格を構成する6員環同士の結合部分に下記置換基が結合した構造を有している。この際、フラーレン骨格はC60又はC70が好ましい。
前記の構造式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる基を表わす。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基等の直鎖又は分岐状の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基などが挙げられる。また、アリール基の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トルイル基等のアリール基などが挙げられる。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。また、置換アルキル基及び置換アリール基が有する置換基の例を挙げると、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、これらの置換基が更に一以上の置換基によって多重に置換されていてもよい。
なかでも、R1がアリール基であり、R2が(CH2nCOOR7(R7は、炭素数が通常1以上、また、通常20以下、好ましくは8以下の直鎖でも分岐していてもよい炭化水素基を表わし、nは1〜5の整数を表わす)であるものが好ましい。R7の炭素数が小さいとフラーレン誘導体の非ハロゲン芳香族系溶媒に対する溶解性が低くなる傾向がある。また、高すぎるとフラーレン骨格の割合が小さくなって十分な効果が得られ難くなる可能性がある。
第一の例としてのフラーレン誘導体は、公知の方法を用いて合成することができる。
例えば、フラーレン骨格がC60である場合、R1がCOOR5、R2がCOOR6(なお、R5及びR6は、それぞれ独立して任意の置換又は無置換の炭化水素基を表わす)であるものは、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等の強塩基の存在下で、フラーレンC60とブロモマロン酸エステル誘導体とを反応(Bingel反応)させることにより合成することができる。
また、例えば、フラーレン骨格がC60である場合、R1がフェニル基であり、R2が−(CH23COOR7であるものは、フラーレンC60と、対応する4−ベンゾイル酪酸アルキルエステルp−トシルヒドラゾンとの反応により合成することができる。
さらに、フラーレン骨格がC70である場合についても、出発原料としてフラーレンC70を用いる以外は、フラーレン骨格がC60であってそれぞれ対応する置換基を有するフラーレン誘導体と、同様の方法を用いて合成することができる。
また、フラーレン骨格がC60であるものとフラーレン骨格がC70であるものとの混合物を調製する場合、出発原料としてフラーレンC60とフラーレンC70との混合物を用いる以外は、それぞれ対応する置換基を有するフラーレン誘導体と同様の方法を用いて合成することができる。
なお、前記の合成方法は、C60及びC70以外のフラーレン骨格を有するものの合成に適用することができる。また、異なる構造を有する3種以上のフラーレン誘導体の混合物の合成にも適用することができる。
本発明に係るフラーレン誘導体の第二の例としては、フラーレン骨格上に下記構造式(2)で表わされる部分構造を有するものが挙げられる。
即ち、第二の例としてのフラーレン誘導体はフラーレン骨格を構成する6員環同士の結合部分に下記置換基が結合した構造を有している。この際、フラーレン骨格はC60又はC70が好ましい。
前記の構造式(2)において、R3及びR4は、それぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基からなる群より選ばれる基を表わす。これらの例としては、構造式(1)のR1及びR2の例として挙げたものと同様のものが挙げられる。
第二の例としてのフラーレン誘導体は、それぞれ公知の方法を用いて合成することができる。
例えば、フラーレン骨格がC60である場合、フラーレンC60、窒素原子上に官能基R3を有するグリシン誘導体、及びR4−CHOを原料とするprato反応により合成することができる。
また、フラーレン骨格がC70である場合、出発原料としてフラーレンC70を用いる以外は、フラーレン骨格がC60であってそれぞれ対応する置換基を有するフラーレン誘導体と同様の方法を用いて合成することができる。
さらに、フラーレン骨格がC60であるものとフラーレン骨格がC70であるものとの混合物を調製する場合、出発原料としてフラーレンC60とフラーレンC70との混合物を用いる以外は、それぞれ対応する置換基を有するフラーレン誘導体と同様の方法を用いて合成することができる。
なお、前記の合成方法は、C60及びC70以外のフラーレン骨格を有するものの合成に適用することができる。また、異なる構造を有する3種以上のフラーレン誘導体の混合物の合成にも適用することができる。
本発明に係るフラーレン誘導体の第三の例としては、フラーレン骨格上に下記構造式(3)及び(4)のいずれか一方で表される部分構造を有するフラーレン誘導体が挙げられる。
即ち、構造式(3)で表される部分構造を有するフラーレン誘導体はフラーレン骨格上の5員環に結合する炭素元素に下記置換基が少なくとも4箇所において結合すると共にエポキシ基を少なくとも1個有する構造を有し、構造式(4)で表される部分構造を有するフラーレン誘導体はフラーレン骨格上の5員環に結合する炭素元素に下記置換基が少なくとも5箇所において結合すると共に水酸基を少なくとも1個有する構造を有する。
前記の構造式(3)及び(4)において、R8及びR9は、それぞれ独立して、任意の置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。炭化水素基の例としては、構造式(1)及び(2)のR1及びR2の例として挙げたアルキル基及びアリール基の例と同様のものが挙げられる。また、R8及びR9は、R8とR9とに結合する炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子のいずれかと共に含窒素環を形成していてもよい。
第三の例としてのフラーレン誘導体は、それぞれ公知の方法を用いて合成することができる。
例えば、フラーレン骨格がC60である場合、構造式(3)及び(4)で表される部分構造を有するフラーレン誘導体は、いずれも、空気中、室温において、白熱灯等の可視光源を用いて(「Org.Lett.,2000,2,p.3663」及び、「特開2002−88075号公報」を参照)、または、クメンヒドロペルオキシド等の酸化剤の存在下で、フラーレンと二級アミンとを反応させて合成できる(「J.Org.Chem.,2005,70,p.4826」及び、「特開2006−199674号公報」を参照)。
さらに、フラーレン骨格がC70である場合についても、出発原料としてフラーレンC70を用いる以外は、フラーレン骨格がC60であってそれぞれ対応する置換基を有するフラーレン誘導体と、同様の方法を用いて合成することができる。
また、フラーレン骨格がC60であるものとフラーレン骨格がC70であるものとの混合物を調製する場合、出発原料としてフラーレンC60とフラーレンC70との混合物を用いる以外は、それぞれ対応する置換基を有するフラーレン誘導体と同様の方法を用いて合成することができる。
なお、前記の合成方法は、C60及びC70以外のフラーレン骨格を有するものの合成に適用することができる。また、異なる構造を有する3種以上のフラーレン誘導体の混合物の合成にも適用することができる。
本発明に係るフラーレン誘導体の第四の例としては、フラーレン骨格の下記式(5)で表わされる部分構造において、C1が水素原子又は任意の置換基と結合しており、少なくともC6〜C8が各々独立に下記式(6)で表わされる構造の有機基と結合しているフラーレン誘導体が挙げられる。なお、以下の説明において、C1に結合する水素原子及び置換基を総称して、適宜「R10」という。また、式(6)で表わされる構造の有機基を、適宜「R20」という。
(前記式(5)中、C1〜C10は何れもフラーレン骨格を構成する炭素原子を表わす。)
(前記式(6)中、Arは炭素数6以上18以下の芳香族性を有する炭化水素基を表し、Rは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表わす。)
式(5)中、C1は水素原子又は任意の置換基(即ち、R10)と結合している。前記の置換基は、本発明のフラーレン誘導体の優れた物性を大幅に損ねるものでなければ、その種類に制限は無い。
10が置換基である場合、その例としては、ハロゲン原子、有機基、その他の置換基などが挙げられる。
10がハロゲン原子である場合、その具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、製造の容易さから塩素原子及び臭素原子が好ましい。
10が有機基である場合、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基等の直鎖又は分岐状の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;アリル基、クロチル基、シンナミル基等のアルケニル基;ベンジル基、p−メトキシベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トルイル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリーロキシ基;モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノジエチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アリーロキシカルボニル基;チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の5員複素環基;ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリル基等の6員複素環基;チオホルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基等のチオカルボニル基;トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、モノメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジエチルシリル基、モノエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジイソプロピルシリル基、モノイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、モノフェニルシリル基等の置換シリル基等が挙げられる。
また、R10が有機基である場合には、本発明のフラーレン誘導体の優れた物性を大幅に損なわない限り、前記有機基は更に別の置換基を有していてもよい。R10の有機基が有していてもよい置換基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基(ヒドロキシ基)、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、これらの置換基が更に一以上の置換基によって多重に置換されていてもよい。なお、置換基を有する場合、置換基の炭素数も含めた全ての炭素数が、下記の炭素数の範囲を満たすことが好ましい。
さらに、R10が有機基である場合、炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。R10がさらに置換基を有する場合には、置換基を含めた炭素数が、上記の範囲を満たすことが好ましい。炭素数が多すぎる場合、フラーレン骨格に結合させ難くなる可能性がある。
10がその他の置換基である場合、その具体例としては、水酸基(ヒドロキシ基)、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、シアノ基、シリル基、ニトロ基等が挙げられる。
10としての好ましい基としては、水素原子;ハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;アリル基、クロチル基、シンナミル基等のアルケニル基等が挙げられる。中でも、R10としては、合成の容易さ及び耐酸化性の観点からアルキル基がより好ましく、熱安定性やコストの観点からメチル基が特に好ましい。また、合成の容易さ及び溶解性向上の観点からは、アルケニル基も好ましく、なかでもコストの観点からアリル基、クロチル基、シンナミル基も特に好ましい。
なお、R10は、フラーレン誘導体1分子中、1種が単独で置換していてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで置換していてもよい。
一方、R20は、上記式(6)で表わされる構造の有機基である。式(6)中、芳香族性を有する炭化水素基Arには1個のOR基が結合している。
式(6)におけるOR基のOは酸素原子である。またOR基のRは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表わす。中での好ましくはアルキル基、アリール基である。
Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基等の直鎖又は分岐状の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;アリル基、クロチル基、シンナミル基等のアルケニル基;ベンジル基、p−メトキシベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トルイル基等のアリール基;等が挙げられる。中でも、原料入手の観点及びエッチング耐性向上の観点から、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、中でもメチル基が特に好ましい。
また、上記Rは、本発明のフラーレン誘導体の優れた物性を大幅に損なわない限り、別の置換基を有していてもよい。上記Rが有していてもよい置換基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、これらの置換基が更に一以上の置換基によって多重に置換されていてもよい。これらの置換基は、1種が単独で置換しても良く、2種以上が任意の比率及び組み合わせで置換してもよい。
上記のRが、アルキル基である場合、その炭素数は通常1以上であれば特に制限はなくまた、通常6以下、好ましくは4以下である。なお、Rが置換基を有する場合、置換基の炭素数も含めたR全体の炭素数が上記範囲内にあることが好ましい。
芳香族性を有する炭化水素基Arと結合しているOR基の数は、エッチング耐性向上の観点から1個が好ましい。
また、OR基と芳香族性を有する炭化水素基Arとの結合の位置は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
さらに、OR基以外の置換基がAr中の芳香環に結合している場合、それらOR基と置換基の相対的な位置関係も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
例えば、炭化水素基がナフチレン基の場合、原料調達の観点からamphiの位置、即ちβ位(2位)でフラーレン骨格と結合し、ナフチレン基の6位の位置にOR基が結合していることが好ましい。他の炭化水素基に関しては、上記観点で好ましい結合位置を各々決めることができる。
芳香族性を有する炭化水素基Arが有する炭素数としては、通常6以上、また、通常18以下、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。炭素数が多すぎると、原料の入手が困難となる傾向がある。
また、芳香族性を有する炭化水素基Arに含まれる芳香環の数は、通常1以上、また、通常4以下、好ましくは2以下である。芳香環の数が少なすぎる場合、共役が伸びず波長193nmで消衰係数が高くなるため透明性を求める用途では使用できなくなる可能性があり、多すぎる場合、原料の入手が困難となる傾向がある。
このような芳香族性を有する炭化水素基Arとしては、例えば、ベンゼン環骨格を有する炭化水素基、ナフタレン骨格を有する炭化水素基等が好ましいが、これに限定されるものではない。
その具体的な例としては、フェニレン基;ビニルフェニレン基、ジビニルフェニレン基、トリビニルフェニレン基等のビニルフェニレン基;ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、ビフェニレニレン基、as−インダセニレン基、s−インダセニレン基、アセナフチレニレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントレニレン基、アントラセニレン基、フルオラセニレン基、アセフェナンチレニレン基、アセアンチレニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、テトラセニレン基等の縮合多環炭化水素基が挙げられる。これらの中で、原料調達の観点からフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナレニレン基、ピレニレン基が好ましく、合成の容易さからフェニレン基、ナフチレン基が特に好ましい。
また、芳香族性を有する炭化水素基Arは、さらに置換基を有した炭化水素基であってもよい。例えばArがフェニレン基の場合、アルコキシベンゼンへの溶解性を高めるために、上記式(6)で表わされる構造が、下記式(7)に表わされる構造であることが好ましい。下記式(7)では、Ar基が、OR基以外に置換基Xを有している。
(前記式(7)中、Xは有機基又は第3周期以前のハロゲン原子を表わし、mは1以上4以下の整数を表わす。但し、mが2以上の場合、Xは同種類であってもよく、異なる種類であってもよい。)
式(7)において、mはフェニルレン基に結合しているXの数を表わし、具体的には1以上、また、4以下の整数を表わす。中でも、原料調達の観点から2以下が好ましい。即ち、mは1又は2であることが好ましい。
式(7)における置換基Xは、有機基又は第3周期以前のハロゲン原子を表わす。
Xの例を挙げると、有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基等の直鎖又は分岐状の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;アリル基等のアルケニル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基などが挙げられる。
また、第3周期以前のハロゲン原子としては、塩素及びフッ素が挙げられる。
これらの中で、原料調達の観点からアルキル基、第3周期以前のハロゲン原子が好ましく、特にメチル基、塩素、フッ素が好ましい。
なお、式(7)における置換数mが2以上である場合、Xは同種類であってもよく、異なる種類の組み合わせであってもよい。
さらに、式(7)において、Xがフェニレン基に結合している位置は任意である。また、Xがフェニレン基に複数個結合している場合は、OR基の位置も併せて、それぞれの基の位置関係は任意である。
第四の例としてのフラーレン誘導体では、少なくとも式(5)のC6〜C8が各々独立に上記式(6)で表わされる構造の有機基(即ち、R20)と結合している。溶解性を高める観点からは、C6〜C8のみならず、C6〜C10の全てが各々独立にR20と結合していることが望ましい。
20におけるフラーレン骨格との結合の位置は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。例えば、炭化水素基がナフチレン基の場合、原料調達の観点や合成の容易さからβ位で結合していることが好ましい。他の炭化水素基に関しては、上記観点で好ましい結合位置を各々決めることができる。
第4のフラーレン誘導体の説明では、式(5)のC1が水素原子又は有機基(即ち、R10)と結合し、C6〜C8が各々独立に式(6)で表される構造の有機基(即ち、R20)と結合した部分構造を、「3重付加部分構造」という場合がある。また、式(5)のC1が水素原子又は有機基(即ち、R10)と結合し、C6〜C10が各々独立に式(6)で表される構造の有機基(即ち、R20)と結合した部分構造を、「5重付加部分構造」という場合がある。
第四の例としてのフラーレン誘導体の例を以下に挙げる。ただし、第四の例としてのフラーレン誘導体は、以下に挙げる例に制限されるものではない。
・フラーレン骨格上に3重付加部分構造を1つ有する、式Ci(R203(R10)で表わされる3重付加フラーレン誘導体。
・フラーレン骨格上に5重付加部分構造を1つ有する、式Ci(R205(R10)で表わされる5重付加フラーレン誘導体。
・フラーレン骨格上に3重付加部分構造を2つ有する、式Ci(R206(R102で表わされる6重付加フラーレン誘導体。
・フラーレン骨格上に3重付加部分構造を1つ、5重付加部分構造を1つ有する、式Ci(R208(R102で表わされる8重付加フラーレン誘導体。
・フラーレン骨格上に5重付加部分構造を2つ有する、式Ci(R2010(R102で表わされる10重付加フラーレン誘導体。
これらの中でも、第四の例としてのフラーレン誘導体としては、フラーレン骨格上に本発明の5重付加部分構造を1つ有する、式Ci(R205(R10)で表わされる5重付加フラーレン誘導体が、製造が容易であるため好ましい。
なお、第四の例としてのフラーレン誘導体において、上記式(5)の部分構造は、フラーレン骨格の閉殻構造の内側から観察される構造であってもよく、外側から観察される構造であってもよい。言い換えれば、あるフラーレン誘導体を、そのフラーレン骨格の閉殻構造の内側又は外側から観察した場合に、3重付加部分構造及び/又は5重付加部分構造が少なくとも1つ存在すれば、第四の例としてのフラーレン誘導体に該当するものとする。
また、第四の例としてのフラーレン誘導体は、アニソールに代表されるアルコキシベンゼンに対する溶解性が高い。なお、ここでフラーレン誘導体が「アルコキシベンゼンに可溶」であるとは、フラーレン誘導体をアルコキシベンゼンに混合し、超音波照射を10分かけた後、目視で沈殿物や不溶分が検出されないことを意味する。
具体的には、25℃、常圧下において、アニソールに対して、アニソール溶媒の単位体積(1mL)あたり、フラーレン誘導体が、好ましくは50mg以上、より好ましくは75mg以上、特に好ましくは100mg以上溶解する場合には、そのフラーレン誘導体は有機溶媒に対する「溶解性が高い」とする。
第四の例としてのフラーレン誘導体を製造する方法には制限は無く、任意の方法により製造することができる。
従来、C1に水素原子又は置換基が結合した3重付加部分構造及び/又は5重付加部分構造を有するフラーレン誘導体の一般的な製造方法は既に開示されている。具体的には、C1が有機基と結合している場合は、特開2005−15470号公報やChemistry Letters(2004年,p.328)に記載されている方法等を用いることができる。また、C1に水素原子が結合している場合は、Nature(419,2002年,p.702−705)に記載されている方法を用いることができる。さらに、C1にハロゲン原子が結合している場合は、特開2002−241389号公報に記載されている方法を用いることができる。第四の例としてのフラーレン誘導体も上記文献記載の方法で製造することは可能であり、その場合の反応温度、溶媒の種類、試薬の配合順序、反応時間等の諸条件としては、上記文献記載の条件を採用することが可能である。
中でも第四の例としてのフラーレン誘導体は、以下に例示する製造方法により製造することが好ましい。ただし、以下に例示する製造方法は第四の例としてのフラーレン誘導体の製造方法の一例であり、第四の例としてのフラーレン誘導体の製造方法は以下の例に限定されるものではない。
第四の例としてのフラーレン誘導体は一般的に、フラーレンへの付加反応のみで製造することができる。以下に製造方法の例を示す。
第四の例としての製造方法においては、フラーレン、遷移金属、グリニャール試薬(Grignard試薬)、及び、R10を導入し得る原料(以下適宜、「R10導入剤」という)を用意し、これらを反応させて第四の例としてのフラーレン誘導体を得る。この際、通常は反応溶媒を用い、当該反応溶媒中で反応を進行させる。
フラーレンとしては、フラーレンの具体例として挙げた各種のフラーレンを用いることができる。なお、フラーレンは何れか1種のみを使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
第四の例としての製造方法では、反応系に少なくとも一種の遷移金属を存在させる。遷移金属の種類は制限されないが、長周期型周期表の第10族及び第11族に属する金属から選択される遷移金属であることが好ましく、中でも反応性の観点から、第11族金属である銅金属が特に好ましい。
なお、反応系に存在させる遷移金属としては、何れか一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、これらの遷移金属としては、反応が進行すれば、遷移金属の単体を使用してもよく、遷移金属の錯体を使用してもよく、その遷移金属を含有する金属化合物(遷移金属化合物)を使用しても良い。
また、第四の例としての製造方法では、反応系に少なくとも一種のグリニャール試薬を存在させる。上記の特許文献や非特許文献に記載されている手法に従って、反応系にグリニャール試薬を共存させることにより、フラーレン骨格のR20(即ち、−Ar−OR)を付加することができる。
グリニャール試薬は、例えば、(Ar−OR)−MX’で表わされる化合物を使用することができる。
ここで、(Ar−OR)基については上述したAr−ORと同様であり、目的とする第四の例としてのフラーレン誘導体の構造に応じて選択すればよい。
また、Mは金属元素を表わす。Mも、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。Mの具体例としては、マグネシウム、亜鉛、水銀、リチウム等が挙げられるが、中でもマグネシウムが好ましい。
さらに、X’はハロゲン原子を表わす。X’の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、中でも臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、臭素原子が特に好ましい。
10導入剤としては、導入する基(即ち、R10)によって、それぞれ適切なものを使用すればよい。例えば、R10が水素原子であるフラーレン誘導体を製造する場合、フラーレン骨格に水素原子を導入することができれば、R10導入剤に他に制限はない。また、R10導入剤は、何れか一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
10導入剤の例を挙げると、塩化アンモニウム水溶液、塩化水素水溶液などの酸性水溶液が挙げられる。また、酸化反応を抑制するためには、上記酸性水溶液の中に酸素が混入しないように、脱気などの酸化反応抑制操作を行なうことが好ましい。
また、例えばR10が有機基であるフラーレン誘導体を製造する場合、フラーレン骨格に当該有機基を導入することができれば、R10導入剤に他に制限はない。
また、少なくとも上述のフラーレン、遷移金属、グリニャール試薬及びR10導入剤を使用すればよいが、更に反応溶媒を使用してもよい。反応溶媒を使用する場合、上述のフラーレン、遷移金属、グリニャール試薬及びR10導入剤を好適に溶解及び/又は分散させることが可能な溶媒であれば、その種類は任意である。
製造時の操作において、上述のフラーレン、遷移金属、グリニャール試薬及びR10導入剤、並びに、必要に応じて用いられる反応溶媒等を混合する順序や反応条件は、第四の例としてのフラーレン誘導体が製造できる限り任意である。また、反応系には、反応の進行を阻害しない限り上述したもの以外の成分を含有させても良い。
なお、本発明のレジスト組成物は、本発明に係るフラーレン誘導体を、1種のみ含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
本発明のレジスト組成物中のフラーレン誘導体の量は、レジスト組成物全体に対し、通常0.001g/L以上、好ましくは0.01g/L以上、より好ましくは0.05g/L以上、また、通常200g/L以下、好ましくは100g/L以下、より好ましくは50g/L以下である。フラーレン誘導体が少なすぎるとフラーレン誘導体を用いた効果が十分に得られなくなる傾向があり、多すぎるとレジストの感度が低下する傾向があるからである。
[4.その他の成分]
本発明のレジスト組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述したレジスト、非ハロゲン芳香族系溶媒及びフラーレン誘導体以外に、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分の例を挙げると、架橋剤、酸発生剤、塩基性化合物などが挙げられる。架橋剤はレジスト等の架橋を促進するためのものであり、酸発生剤は前記架橋を更に促進させるためのものであり、塩基性化合物は酸発生剤より微量に発生した酸が架橋反応を進行させるのを防ぎ保存安定性を向上させるためのものである。これらの具体例としては、例えば特開2006−227391号公報に記載のものが挙げられる。
また、その他の成分は、1種のみが含まれていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含まれていてもよい。
[5.パターン形成方法]
本発明のレジスト組成物を用いてパターン形成を行なう方法(以下適宜「本発明のパターン形成方法」という)は、本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する塗布工程と、形成された塗膜を加熱する加熱工程と、前記塗膜の所望のパターンに応じた領域にエネルギー線を露光する露光工程と、現像液を用いて現像する現像工程とを有する。
[5−1.塗布工程]
塗布工程では、本発明のレジスト組成物を基板上に塗布し、レジスト及びフラーレン誘導体を含有した膜(以下適宜、「レジスト膜」という)を形成する。
塗布対象となる基板に制限は無く、その寸法、形状等は任意である。また、基板の材質にも制限は無いが、例えば半導体集積回路の製造プロセスにおいては、通常はシリコン製の基板(シリコン基板)が使用される。
本発明のレジスト組成物を塗布する方法に制限は無く、例えばスプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法等任意の方法を選択することができる。また、これらの方法は1種を単独で行なってもよく、2種以上を任意に組み合わせて行なってもよい。
塗布の際、形成されるレジスト膜の厚さは、通常0.01μm以上、好ましくは0.03μm以上、また、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下とする。レジスト膜の厚さが薄すぎると十分なエッチング耐性が得られなくなる傾向があり、厚すぎると微細パターンの解像が困難となる傾向がある。
[5−2.加熱工程]
通常は、塗布工程の後で、形成されたレジスト膜を加熱する加熱工程を行ない、レジスト膜に含まれる非ハロゲン芳香族系溶媒を乾燥・除去する。
加熱温度は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、また、通常500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下とする。温度が低すぎると非ハロゲン芳香族系溶媒が残留し、現像速度が速くなりすぎたり、基板との接着性が低下したりする傾向があり、高すぎるとフラーレン誘導体やレジスト成分が熱分解等する可能性がある。
加熱時間は、通常10秒以上、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上、また、通常10分以下、好ましくは5分以下、より好ましくは2分以下とする。加熱時間が長すぎると製造時の生産性が低下する傾向があり、短すぎると熱が十分に伝わらず、加熱効果にばらつきが出る傾向がある。
加熱の際の雰囲気としては、不活性雰囲気が好ましい。レジスト膜内の成分が酸化等されることを防止するためである。この際、不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、希ガス等を使用できる。なお、不活性ガスは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。ただし通常は、簡便のため大気下で加熱を行なう。
なお、加熱工程では非ハロゲン芳香族系溶媒を乾燥・除去できればよいため、圧力条件が減圧下であれば加熱が不要である場合もありえる。
[5−3.露光工程]
加熱工程の後、レジスト膜にエネルギー線を露光する露光工程を行なう。この際、レジスト膜の露光領域は、形成しようとする所望のパターンに応じた領域とする。これによって、レジストがポジ型である場合には露光された領域のレジストの現像液に対する溶解性が高くなり、逆に、レジストがネガ型である場合には露光された領域のレジストの現像液に対する溶解性が低くなる。
露光に使用されるエネルギー線の種類はレジストの種類に応じて様々であるが、例えば、電子線、X線、紫外線、深紫外線等の光を用いることができる。この際、露光時間、露光強度などは、レジストの種類、レジスト膜の厚さ、形成しようとするパターンなどに応じて設定すればよい。
[5−4.現像工程]
露光工程の後、現像液を用いて現像する現像工程を行なう。ポジ型のレジストを用いた場合は露光した領域のレジスト膜は現像液に溶解して除去される。一方、ネガ型のレジストを用いた場合は露光していない領域のレジスト膜が現像液に溶解して除去される。これにより、露光した領域の形状に応じたパターンがレジスト膜に形成される。
現像液は、使用したレジストに応じて適切なものを使用することが可能であり、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に代表される有機アルカリ水溶液、メチルエチルケトンとエタノールの混合溶媒、メチルイソブチルケトンとイソプロピルアルコールの混合溶媒、混合キシレン、n−アミルアセテート、メチルイソブチルケトンと2−ブタノンの混合溶媒等を用いることができる。なお、現像液は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[5−5.その他の工程]
本発明のパターン形成方法においては、必要に応じて上述した塗布工程、加熱工程、露光工程及び現像工程以外に他の工程を行なうようにしてもよい。また、他の工程は、所望のパターンを形成できる限り、前記の工程の工程前、工程中及び工程後のいずれの段階で行なってもよい。
その他の工程の例としては、露光工程の後、現像工程の前に加熱工程を行なうようにしてもよい(ポストエクスポージャーベーク)。この加熱工程は露光により反応した感光体、または、発生した酸をレジスト膜中で拡散させる働きをする。これによって、レジスト膜中での均質な感光状態が得られる。
この際、加熱温度は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、また、通常500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下とする。温度が低すぎると本発明の効果が低下する傾向があり、高すぎるとフラーレン誘導体が分解する可能性がある。
また、加熱時間は、通常10秒以上、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上、また、通常10分以下、好ましくは5分以下、より好ましくは2分以下とする。加熱時間が長すぎると製造時の生産性が低下する傾向があり、短すぎると熱が十分に伝わらず、加熱効果にばらつきが出る傾向がある。
さらに、加熱の際の雰囲気としては、不活性雰囲気が好ましい。レジスト膜内の成分が酸化等されることを防止するためである。この際、不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、希ガス等を使用できる。なお、不活性ガスは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。ただし通常は、簡便のため大気下で加熱を行なう。
[6.本発明の利点]
本発明のレジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜は、従来のレジスト膜に比較してエッチング耐性に優れる。したがって、本発明のレジスト組成物は、微細加工におけるパターン形成材料として非常に優れた性能を発揮する。本発明のレジスト組成物がこのように優れたエッチング耐性を備える理由は定かでないが、本発明者らの検討によれば、以下の理由によるものと推察される。
即ち、従来の技術のようにレジストと混合するフラーレン及びフラーレン誘導体の溶媒に対する溶解度が低い場合は、フラーレン及びフラーレン誘導体の凝集性が強く、成膜中にそれらが凝集体となる可能性があり、フラーレン及びフラーレン誘導体による性能向上効果を十分に得られないばかりか、LER(ラインエッジラフネス)が悪化する傾向があった。
これに対し、本発明のレジスト組成物によれば、溶解度の高い本発明に係るフラーレン誘導体をレジスト組成物に含有させることにより、フラーレン誘導体がレジスト膜内に均一に分散し、レジスト膜内でのフラーレン誘導体による向上効果の均一化が達成できるため、フラーレン誘導体による性能向上効果がより高く得られるものと推察される。
また、フラーレン1分子の大きさは約1nmであり、本発明のレジスト組成物ではこれらが均一に存在していることにより、LER(ラインエッジラフネス)が小さくなることが予想される。
さらに、本発明に係るフラーレン誘導体は広範なレジスト組成物に使用されている溶媒に対してフラーレン誘導体の溶解度が高いことから、汎用のレジスト組成物への応用が図れる。これにより、安全性、製造性の向上が期待できる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の説明においてMeはメチル基、Npはナフチル基、Phはフェニル基を表わす。
[試料の用意]
(1)化合物1:N−(4−ヒドロキシフェニル)−2’−ウンデシル[3’、4’:1,2] [60]フラーレンの合成
温度計を設置した3つ口フラスコに、フラーレンC60フロンティアカーボン(株)製)15gと1,2−ジクロロベンゼン750mlとを取り、窒素雰囲気下において攪拌しながら、n−ドデカナール9.2mlとN−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン5.2gとを加えて130℃に加熱し、7時間攪拌した。
室温まで冷却した後、不溶分を濾別した濾液を濃縮し、トルエンを溶離液としてシリカゲルカラムクロムにより、残留した未反応のフラーレンC60と、N−(4−ヒドロキシフェニル)−2’−ウンデシル[3’、4’:1,2] [60]フラーレンのフラクションを分離した。分離したフラクションを濃縮した後、トルエンとメタノールを用いて晶析を行ない、取り出した固体を室温で真空乾燥することにより、化合物1を得た。
得られた化合物1を1H NMRにて同定した。結果は以下のとおりであった。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ:7.28(m,2H),6.98(m,2H),5.31(m,1H),5.13(d,1H),5.02(d,1H),4.59(s,1H),2.61−2.27(m,2H),1.70(m,2H),1.40−1.20(m,16H),0.87(t,3H).
また、得られた化合物1のアニソールへの溶解度を測定したところ、20重量%であり、10重量%以上であることが確認された。
なお、溶解度の測定は、上述した方法により行なった。
(2)化合物2:PCBNBの合成
[6,6]−フェニルC61ブタン酸n−ブチルエステル(略称PCBNB)を、文献(Jan C.Hummelen,Brian W.Knight,F.LePeq,Fred Wudl;J.Org.Chem.,1995,60,532−538)記載の方法を参考に、以下の要領で合成した。
窒素雰囲気下で4−ベンゾイル酪酸n−ブチルp−トシルヒドラゾン7.5gをピリジン100mLに溶解させた後、ナトリウムメトキシド0.22gを添加して15分攪拌した。1,2−ジクロロベンゼン500mLに溶解させたフラーレンC60 10gを添加し、液温を65〜70℃に保持し22時間反応させた。その後、反応液を濃縮し、シリカゲルカラムにより精製を行なった。1,2−ジクロロベンゼンにより未反応のフラーレンC60を含むフラクションを溶出後、フェニル−ブトキシカルボニル置換体を含むフラクションを回収した。得られた溶液を濃縮した後、200℃にて10時間真空乾燥を行なった。
得られた置換体をトルエンに溶解し、この溶液を500Wランプで、30分間照射し、光異性化を行なった。トルエンを濃縮除去し、メタノールで再結晶し、真空乾燥し目的の化合物2としてPCBNBを得た。
得られた化合物2のアニソールへの溶解度を化合物1と同様にして測定したところ、10重量%であり、10重量%以上であることが確認された。
(3)化合物3:C60{β−(6−OCH3−C106)}5(−CH3)の合成
臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体(9.72g、47.3mmol)のテトラヒドロフラン(略称THF)懸濁液(84mL)を5℃まで冷却した後、2−ブロモ−6−メトキシナフタレンから合成したグリニャール試薬の6−OCH3−C106MgBr/THF溶液(1mol/L;51mL)を加え、25℃まで昇温した。そこにC60(3.0g、4.17mmol)の1,2−ジクロロベンゼン溶液(135mL)を加え、2時間攪拌した。ここに、CH3I(3mL、48mmol)を加えさらに8時間攪拌した。反応液を濾過し、THFを除去した後、トルエンで希釈し、シリカカラムクロマトグラフィー(展開液:トルエン及び酢酸エチル)を行った。溶液を濃縮し、メタノール(500mL)で晶析を行い、180℃で真空乾燥を行うことで、C60{β−(6−OCH3−C106)}5(−CH3)をオレンジ色固体(6.10g、4.01mmol、収率96.2%)の化合物3として得た。
得られた生成物を1H NMRにて同定した。結果を以下に示す。
また、0.5mg/mLのトルエン溶液を調製し、以下の測定条件でHPLCを測定した。
カラム種類:ODS
カラムサイズ:150mm×4.6mmφ
溶離液:トルエン/メタノール=3/7
検出器:UV290nm
HPLC測定の結果、リテンションタイム16.30分に、97.7(Area%)で観測された。
得られた化合物3のアニソールへの溶解度を化合物1と同様にして測定したところ、10重量%であり、10重量%以上であることが確認された。
(4)化合物4:アミノ付加体の合成
フラーレンC60の誘導体である化合物1を、特開2006−199674号公報に記載の方法を用いて、混合フラーレン(フロンティアカーボン株式会社製 nanom mix−ST、フラーレンC60、フラーレンC70、およびその他の高次フラーレンを60:25:15(質量%)の割合で含む)およびN−t−ブトキシカルボニルピペラジンを、クロロベンゼン/ジメチルスルホキシド(4/1)混合溶媒中で、混合フラーレンに対してクメンヒドロペルオキシドを作用させることで合成した。その後、反応溶液を水洗により精製を行なった。これにより、目的の化合物4としてアミノ付加体{4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン4重付加フラーレンエポキシド}を得た。
また、得られた化合物4のアニソールへの溶解度を化合物1と同様にして測定したところ、20重量%であり、10重量%以上であることが確認された。
[実施例1]
(1)レジスト組成物の調製
(i)レジストであるZEP520A(日本ゼオン製、アニソール溶媒)を、非ハロゲン芳香族系溶媒であるアニソールで2倍に希釈した。
(ii)フラーレン誘導体として化合物1を、希釈前のZEP520Aに対して1重量%となるように添加し、スターラーにて一晩攪拌した。
(iii)攪拌後、孔直径0.1μmのフィルターでろ過し、レジスト組成物を得た。
(2)レジスト膜の形成
上記にて調製したレジスト組成物をSi基板上に厚さ100nmとなるように回転塗布し(塗布工程)、170℃にて20分間、加熱処理をした(加熱工程)。
(3)露光
EB露光装置:JBX−6000FS(日本電子製)を用い、加速電圧:50kVにて露光を行なった(露光工程)。
(4)現像・リンス
現像液としてZED−N50(日本ゼオン製)を用い、これに45秒間浸漬した(現像工程)。その後、リンス液としてIPA(イソプロピルアルコール)を用い、これに30秒間浸漬して現像液をすすぎ落とした。
(5)評価
(5)−1:感度評価
露光時間に対する残膜率(現像前の初期膜厚に対する現像後の膜厚の百分率)を膜厚計(KLAテンコール社製アルファステップ500)にて測定し、感度曲線を求めた。結果を図1に示す。
(5)−2:解像力評価
線幅30nm〜200nmまでのLine&spacaパターンを形成し、SEM(日立S−5200)によって、断面観察を行なった。図2に、線幅50nm、70nm、100nmのLine&spaceパターンの、露光量120μCにおけるパターン断面形状の電子顕微鏡写真を表わす図面代用写真を示す。
(5)−3:エッチング耐性評価
(i)パターン形成後、パターンとSi基板との段差を測定した。測定された段差の大きさを膜厚A(レジスト膜厚)とした。
(ii)以下の要領で、所定時間だけエッチング処理を行なった。なおエッチング時間が複数あるのは、サンプルを複数用意し、それぞれの時間エッチングを実施し、その際の膜厚変化を評価したものである。
(CF4ガスによるRIEエッチング)
装置:サムコインターナショナル製RIE−10NR
エッチング条件:CF4、50W、70sccm、20Pa
エッチング時間:0秒、60秒、120秒、180秒、240秒、300秒
膜減り量測定:KLAテンコール社製アルファステップ500
(iii)パターンとSi基板との段差を測定した。測定された段差の大きさを膜厚Bとした。
(iv)アッシング後にパターン形成されていたSi基板と無パターン部のSi基盤の段差を測定した。測定された段差の大きさを膜厚Cとした。
なお、アッシングは以下の要領で行なった。
(O2アッシングによるレジスト剥離)
装置:サムコインターナショナル製RIE−10NR
アッシング条件:O2=20sccm、50W、20Pa、5分
膜減り量測定:KLAテンコール社製アルファステップ500
(v)以下の計算式により、レジスト膜及びSi基板の膜減り量を求めた。
レジスト膜の膜減り量=膜厚A+膜厚C−膜厚B
Si基板の膜減り量=膜厚C
(vi)エッチング時間と膜減り量のグラフの傾きからレジスト膜とSi基板のエッチング速度を算出した。
(vii)レジスト膜のエッチング速度をSi基板のエッチング速度で除し、規格化した。
(viii)フラーレン誘導体を添加していないレジストで同様の操作を行ない、その結果によって規格化し、比較を行なった。
以上の結果を、図3に示す。なお、図3の縦軸は上記の規格化されたエッチング速度を示し、横軸はレジスト組成物中のフラーレン誘導体の濃度を表わす。
(5)−4:耐熱性評価
線幅50nm、100nm、および200nmのLine&spaceパターンを形成し、ホットプレートにて100℃、120℃、140℃、145℃で30分加熱し、SEM(日立S−5200)によって断面観察を行ない、パターン形状の比較を実施した。結果を図4に示す。
(5)−5:LER(ラインエッジラフネス)評価
線幅70nmのLine&spaceパターンを形成し、SEM(日立S−5200)による上面観察で、Line400ポイントの各エッジ値分布の3σ値により示した。エッジ検出方法はスレッシュホールド法によって行なった。本手法により14箇所で測定を実施し、平均値を各サンプルのLER値とした。結果を表2に示す。
[実施例2]
フラーレン誘導体として化合物2を使用したこと以外は、実施例1と同様の評価を行なった。
[実施例3]
フラーレン誘導体として化合物3を使用したこと以外は、実施例1と同様の評価を行なった。ただし、(5)−4の耐熱性評価は未実施である。
[実施例4]
フラーレン誘導体として化合物4を使用したこと以外は、実施例1と同様の評価を行なった。ただし、(5)−4の耐熱性評価は未実施である。
[比較例1]
フラーレン誘導体を添加せずに、実施例1と同様の評価を行なった。
[比較例2]
非特許文献2に記載のフラーレンC60を添加したエッチング耐性のデータを、比較例2として図3に記載した。なお、エッチング条件はC26、100W、40sccm、2.0Paであった。
[比較例3]
非特許文献2に記載の、下記構造を有するフラーレン誘導体を添加したエッチング耐性のデータを、比較例3として図3に記載した。なお、エッチング条件は比較例2と同様であった。
[評価結果の検討]
・感度評価
図1に示す結果より、フラーレン誘導体の添加によりレジスト組成物の感度が若干低下するが、低露光領域での膜減り現象が抑制されており、フラーレン誘導体の添加によりパターンコントラストが向上していることが分かる。
・解像力評価
図2に示す結果より、フラーレン誘導体を添加したことによる解像力・感度の低下は見られず、線幅50nmでパターン形成したものまで解像している。また、フラーレン誘導体を添加していない比較例1に比べて、実施例1〜4の結果ではパターントップの矩形性が改善しており、本評価からもパターンコントラストが向上していることが分かる。
・エッチング耐性評価
図3より、エッチング耐性と、フラーレン誘導体を添加したモル数とが相関していることが分かる。また、非特許文献2におけるエッチング耐性向上効果(比較例2,3)に対して、本発明によるレジスト組成物での同一添加モル数における効果が著しく上がっていることが分かる。
・耐熱性評価
図4より、比較例1のようにフラーレン誘導体を添加していない場合は140℃程度からパターン形状の悪化が認められ、145℃ではほとんどパターンが軟化し消失しているのに対し、実施例1,2では145℃でもパターンが認められ、耐熱性の向上が確認できる。
・LER(ラインエッジラフネス)評価
表2より、比較例1のようにフラーレン誘導体を添加していない場合に対して、実施例1〜4では何れもLER値が向上しており、微細パターンの製造に適していることが分かる。
本発明は産業上の任意の分野に用いることができ、例えば半導体集積回路、フォトマスク、ナノインプリント用テンプレートの製造など、リソグラフィー技術を用いる技術分野に用いて好適である。
本発明の実施例及び比較例の感度評価の結果を表わすグラフである。 本発明の実施例及び比較例の解像力評価の結果を表わす図面代用写真である。 本発明の実施例及び比較例のエッチング耐性評価の結果を表わすグラフである。 本発明の実施例及び比較例の耐熱性評価の結果を表わす図面代用写真である。

Claims (11)

  1. レジストと、
    ハロゲンを含まない芳香族系溶媒と、
    該芳香族系溶媒に10重量%以上溶解するフラーレン誘導体とを含む
    ことを特徴とするレジスト組成物。
  2. 該芳香族系溶媒がアルコキシベンゼン類である
    ことを特徴とする請求項1記載のレジスト組成物。
  3. 該レジストが主鎖切断型レジストである
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレジスト組成物。
  4. 該レジストがα−メチルスチレンとα−クロロアクリル酸との共重合体を有する
    ことを特徴とする請求項3記載のレジスト組成物。
  5. 該レジストがポリメチルメタクリレートを有する
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のレジスト組成物。
  6. 該フラーレン誘導体全体の分子量に対する該フラーレン誘導体のフラーレン骨格の分子量の比が0.3以上1未満である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  7. 該フラーレン誘導体がフラーレン骨格上に下記構造式(1)で表わされる部分構造を有する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
    (式(1)及び(2)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる基を表わす。)
  8. 該フラーレン誘導体がフラーレン骨格上に下記構造式(2)で表わされる部分構造を有する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
    (式(2)において、R3及びR4は、それぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基からなる群より選ばれる基を表わす。)
  9. 該フラーレン誘導体がフラーレン骨格上に下記構造式(3)及び(4)のいずれか一方で表される部分構造を有する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジスト組成物
    (式(3)及び(4)において、R8及びR9は、それぞれ独立して、任意の置換基を有していてもよい炭化水素基を表わす。なお、R8及びR9は、R8とR9とに結合する炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子のいずれかと共に含窒素環を形成していてもよい。)
  10. 該フラーレン誘導体が、フラーレン骨格の下記式(5)で表わされる部分構造において、C1が水素原子又は任意の置換基と結合しており、少なくともC6〜C8が各々独立に下記式(II)で表わされる構造の有機基と結合している
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
    (前記式(5)中、C1〜C10は何れもフラーレン骨格を構成する炭素原子を表わす。)
    (前記式(6)中、Arは炭素数6以上18以下の芳香族性を有する炭化水素基を表し、Rは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表わす。)
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程と、
    前記塗膜の所望のパターンに応じた領域にエネルギー線を露光する工程と、
    現像液を用いて現像する工程とを有する
    ことを特徴とするパターン形成方法。
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