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JP2009179515A - In4Sn3O12多結晶粉末及びその焼結体、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

In4Sn3O12多結晶粉末及びその焼結体、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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JP2009179515A
JP2009179515A JP2008019652A JP2008019652A JP2009179515A JP 2009179515 A JP2009179515 A JP 2009179515A JP 2008019652 A JP2008019652 A JP 2008019652A JP 2008019652 A JP2008019652 A JP 2008019652A JP 2009179515 A JP2009179515 A JP 2009179515A
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Kazuyoshi Inoue
一吉 井上
Futoshi Utsuno
太 宇都野
Kota Terai
恒太 寺井
Masatoshi Shibata
雅敏 柴田
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた伝導性を有するInSn12多結晶粉末及びノジュールの発生を抑制することができる及びSn12焼結体を提供する。
【解決手段】酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体を共沈させて、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である共沈物を生成し、前記共沈物を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理するInSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)。
【選択図】なし

Description

本発明は、InSn12多結晶粉末及びその焼結体、並びにそれらの製造方法に関する。
酸化インジウムスズ(ITO)膜は、高移動度性及び可視光透過性を有しており、液晶表示装置、薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置、電気泳動方式表示装置、粉末移動方式表示装置等のスイッチング素子、駆動回路素子等の用途に使用されている。
上記酸化インジウムスズ(ITO)膜は、通常、低抵抗率な膜が得られるという理由から、膜中の酸化スズ含有量が酸化物換算で5〜15%(SnO/(In+SnO)の重量比)である。同様の理由で、ITO膜の成膜に用いるITOターゲットに関する発明は、酸化スズ含有量の好ましい範囲の上限を15%付近とするものが多かった(例えば特許文献1及び特許文献2)。
特許文献3は、スズをSn/(In+Sn)のモル比で13〜22%の割合で含有し、焼結密度が相対密度で99%以上であり、且つ酸化インジウムと酸化スズの中間化合物であるInSn12のX線回折ピーク面の積分強度が、InのX線回折ピーク面の積分強度に対して90〜300%である焼結体からなるスパッタリングターゲットを開示している。
特許文献4は、タッチパネルに好適なSnOを20〜50wt%含有する高抵抗の膜、及びSnOを増加させた高密度ターゲットを開示している。このターゲットの製造方法として、特許文献4は、純酸素加圧下1620℃で焼成することを開示しているものの、ターゲットの結晶系に関する開示はない。特許文献5では、一般式In2 Snx 3+2x-d(ただし、xは1.2以上、2.0未満の範囲であり、dは0以上、1以下の範囲である)で表される導電性酸化物が開示されている。
特許文献6は、800〜1600℃で熱処理した酸化インジウムと酸化スズの粉末と、熱処理していない酸化インジウムと酸化スズの粉末とを混合して、1400〜1550℃で焼結したターゲットを開示している。しかし、ターゲットの結晶系に関する開示がないうえ、実施例において酸化インジウムと酸化スズを1200℃で熱処理した粉末を調製しているが、当該温度ではInSn12化合物は生成しない。
特許文献7は、酸化スズ(10〜70wt%)と酸化インジウムの混合粉末を、1200℃〜1600℃で熱処理し、この熱処理混合粉末(15〜40wt%)と酸化インジウムを1250℃〜1600℃で焼結するターゲットを開示している。これら焼結体は、比抵抗が7×10Ωcm、抗折力>10kg/mmであることが開示されている。しかし、これら焼結体から得られるターゲットでは、比抵抗が高すぎて、例えばDCスパッタリング法による成膜には不適である。また、ターゲットの結晶系に関する開示はない。
特許文献8は、スズ元素が2at%以上固溶した酸化インジウム相と、スズ元素が20〜40at%固溶した酸化インジウム相を持つITO焼結体を開示している。この焼結体の比抵抗は、1mΩcm以下である。また、これら焼結体の結晶系の記載はない。
ITOターゲットを使用してスパッタリングを行う際に発生する異常放電の低減方法として、ターゲットの高密度化(例えば特許文献9及び特許文献10)、Snの均一分散化(例えば特許文献11、特許文献12)等の方法が知られている。上記方法のほか、ITO焼結体中のInSn12で表される中間化合物相を低減する方法(例えば特許文献13)が知られている。
酸化インジウム及び酸化スズからなるITOターゲットにおいて、酸化スズは、酸化インジウム中に固溶分散することにより、ITOターゲット中にキャリヤーを発生していると考えられている。これにより、ITOターゲットのバルク抵抗は、0.1mΩcm程度の非常に低いバルク抵抗になっている。
ITOターゲットの最大の課題は、ノジュールの発生にある。ノジュールの発生原因として、例えば以下(i)〜(v)が推測されている。
(i) 空孔内に堆積した低級酸化物が核となって掘れ残る
(ii) ターゲット上に柱状晶的なIn成長物が発生し、当該成長物が核となってターゲットが掘れ残る
(iii) スパッタリングチャンバー内に発生した高抵抗パーティクルがターゲット上に付着し、当該パーティクルが核となって掘れ残りが発生する
(iv) スパッタリング率の入射角度依存性により掘れ残りが発生する
(v) 異常放電により発生する高抵抗物質が核となって掘れ残りが発生する
上記ノジュールの発生防止方法として、ターゲットの高密度化、表面粗さの低下、分割を伴わない一体化、エロージョンへのパーティクル付着防止、ターゲットエッジ部等でのアーキング防止処理等が挙げられる。上記に加え、ITOターゲット中の酸化スズ粒子が原因となってノジュールが発生すると考えられている。しかし、これら方法を以っても、ノジュールの発生を完全に抑えることはできなかった。
特開平9−255426号公報 特開2000−256842号公報 特開2004−339607号公報 特開2003−027223号公報 特開平8−133728号公報 特開平6−24827号公報 特開平7−97258号公報 特開平8−246140号公報 特開平3−207858号公報 特開平9−025567号公報 特開平4−051409号公報 特開平5−247636号公報 特開2000−233969号公報
本発明の目的は、優れた伝導性を有するInSn12多結晶粉末及びノジュールの発生を抑制することができる及びSn12焼結体を提供することである。
ITOのノジュール発生原因は、バルク抵抗が0.1mΩcm程度の低抵抗ITOターゲット中に存在する高抵抗のInSn12化合物が、スパッタ中に帯電してスパッタされなくなり、InSn12化合物を起点に掘れ残りが発生してノジュールが発生する機構と、スパッタ粒子がターゲット上に堆積して帯電し、当該堆積物を起点に掘れ残りが発生してノジュールが発生する機構が主な原因であると考えられる。
また、スパッタ粒子は通常、基板に到達して薄膜を形成するが、スパッタ粒子の一部がターゲット上に堆積する場合がある。ターゲット上のスパッタ粒子の堆積物は、基板上の薄膜と同程度の抵抗値(通常0.2〜0.3mΩcm)を示すと考えられ、ターゲットのバルク抵抗より高い抵抗値を示す。従って、スパッタ粒子の堆積物が帯電してスパッタされなくなり、ほれ残りを形成してノジュールに成長することもノジュールが発生する原因と考えられる。
市販のITOについて、走査型拡がり抵抗顕微鏡(SSRM)を用いて抵抗変化を測定し、及びX線マイクロアナライザー(EPMA)法を用いてITO内部のインジウム及びスズの分散状態を測定した。得られた結果を図1(抵抗変化)及び図2(分散状態)に示す。図1及び図2から、スズは酸化インジウム中に偏析しており、スズの抵抗が周辺の抵抗値より1桁以上高いことが確認できる。また、市販のITOをX線回折した結果を図3に示す。図3には2θが15゜〜25゜の範囲に3つの特徴的なピークを見ることができ、InSn12が確認できる。即ち、スズの偏析部分がノジュールの原因の1つであることが分かる。
本発明者らが鋭意検討した結果、ターゲットのバルク抵抗値を、当該ターゲットを用いて得られる薄膜の抵抗値よりも高く設定すること、及びターゲットの結晶組織を均一にして、抵抗変化を無くすることによりノジュールの発生を抑制できることを見出した。
本発明によれば、以下のInSn12多結晶粉末、InSn12焼結体等が提供される。
1.InSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末。
(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
2.インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である1に記載のInSn12多結晶粉末。
3.100kg/cmの圧力印加時のバルク抵抗が100Ωcm以下である1又は2に記載のInSn12多結晶粉末。
4.平均粒径が0.2μm以下である1〜3のいずれかに記載のInSn12多結晶粉末。
5.酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体を共沈させて、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である共沈物を生成し、
前記共沈物を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理するInSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末の製造方法。
(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含んでもよい)
6.酸化インジウム及び酸化スズを混合及び粉砕して、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である混合粉末を調製し、
前記混合粉末を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理するInSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末の製造方法。
(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
7.水酸化インジウム及びメタスズ酸を混合及び粉砕して、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である混合粉末を調製し、
前記混合粉末を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理するInSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末の製造方法。
(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
8.InSn12結晶を主成分とするInSn12焼結体。
(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含んでもよい)
9.インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である8に記載のInSn12焼結体。
10.バルク抵抗が1〜30mΩcmである8又は9に記載のInSn12焼結体。
11.酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体を共沈させて、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である共沈物を生成し、
前記共沈物を酸素流通下又は酸素加圧下で1400〜1550℃で焼成するInSn12結晶を主成分とするInSn12焼結体の製造方法。
(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
12.酸化インジウム及び酸化スズを混合及び粉砕して、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である混合粉末を調製し、
前記混合粉末を酸素流通下又は酸素加圧下で1400〜1550℃で焼成するInSn12結晶を主成分とするInSn12焼結体の製造方法。
(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
13.水酸化インジウム及びメタスズ酸を混合及び粉砕して、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である混合粉末を調製し、
前記混合粉末を酸素流通下又は酸素加圧下で1400〜1550℃で焼成するInSn12結晶を主成分とするInSn12焼結体の製造方法。
(但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
本発明によれば、優れた伝導性を有するInSn12多結晶粉末及びノジュールの発生を抑制することができる及びSn12焼結体を提供することができる。
本発明のInSn12多結晶粉末は、InSn12結晶を主成分とする。
本発明において、InSn12結晶を主成分とするとは、多結晶粉末をX線回折した場合において、含まれる各化合物の最も大きなX線回折ピーク(メインピーク)を比較したときに、InSn12のメインピークが最も高いことを意味する。
尚、メインピークが重なるときには、重ならないピークを基準にして比較すればよい。例えば酸化インジウムとInSn12は、ほとんどのピークが重なる場合があるが、2θが18゜〜24゜の範囲の3本のInSn12のピークと、2θが21.5゜付近の1本の酸化インジウムのピークを比較するとよい。
本発明のInSn12多結晶粉末が含むInSn12結晶は、InSn12に帰属するX線回折ピークを示す結晶全てを含む。従って、上記InSn12結晶は、In又はSnに対して酸素が化学量論的に化合していない酸素欠損のあるInSn12結晶も含む。
本発明のInSn12多結晶粉末は、好ましくはインジウム及びスズのモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5であり、より好ましくは0.35〜0.5、さらに好ましくは0.4〜0.46である。
Sn/(In+Sn)が0.34未満の場合、酸化インジウム相にスズ原子がドープして、酸化インジウム相が抵抗が低い(0.1mΩcm程度)相となるので、InSn12多結晶粉末の抵抗値のバラツキが大きくなるおそれがある。
Sn/(In+Sn)=0.5超の場合、酸化スズ相にインジウム原子がドープして、酸化スズ相が抵抗が高い(100Ωcm程度)相となるので、InSn12多結晶粉末の抵抗値のバラツキが大きくなるおそれがある。
本発明のInSn12多結晶粉末は、好ましくは100kg/cmの圧力印加時のバルク抵抗が100Ωcm以下であり、より好ましくは10Ωcm以下である。InSn12多結晶粉末の抵抗が100Ωcm以下であると、帯電防止やほこりの付着防止に有効な成形品や膜を得ることができる。
尚、InSn12多結晶体粉末は、通常、微粒子として得られることから、信頼性の高い粉体抵抗測定値を得るため、100kg/cmの加圧下で測定する。
本発明のInSn12多結晶粉末は、好ましくは平均粒径が0.2μm以下であり、より好ましくは0.1μm以下である。InSn12多結晶粉末の平均粒径が0.2μm以下であると、透明導電性が要求される用途にも利用することができる。
尚、InSn12多結晶粉末の平均粒径の下限値は特に限定されないが、例えば1nmを挙げることができる。
本発明のInSn12多結晶粉末は、好ましくは10MPaの加重をかけた時の電気抵抗が1Ωcm以下であり、より好ましくは0.5Ωcm以下である。
尚、InSn12多結晶粉末の電気抵抗の下限は特に限定されないが、例えば0.01Ωcmである。電気抵抗が0.01Ωcm未満では、スズがドープした酸化インジウム相が生成して粒子間での抵抗の分布が大きくなるおそれがある。
本発明のInSn12結晶(酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)を主成分とするInSn12多結晶粉末は、酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体を共沈させて、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である共沈物(InSn12多結晶粉末前駆体)を生成し、得られた共沈物を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理することにより製造することができる。
上記酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体としては、例えばインジウム及びスズの硝酸塩、塩化物塩、酢酸塩、アルコキシド(例えばメトキシド、エトキシド)等が挙げられる。
上記酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体は、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5となるように混合して用いる。
まず、酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体を水、アルコール又は含酸素化合物等の有機溶媒に溶解させ、酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体溶液を調製する。用いるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられる。また、用いる含酸素化合物としては、例えば、酢酸エチル等のエステル、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体溶液の濃度は、通常、0.001mol/l〜10mol/lの範囲である。溶液の濃度が0.001mol/l未満の場合、生産性が悪くなるおそれがある。一方、溶液の濃度が10mol/l超の場合、後述する沈殿剤添加後の沈殿液の撹拌が困難となるおそがある。
調製した酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体溶液に沈殿剤を添加し、共沈物を調製する。このようにして得られる共沈物は均一な材質を有する。
用いる沈殿剤としては、例えば水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ溶液、シュウ酸、蟻酸、シュウ酸アンモニウム等の有機酸や有機酸塩、加熱時に分解してアンモニアを発生する尿素等を挙げることができる。これら沈殿剤のうち、均一な共沈物を調製しやすい観点から、好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、シュウ酸、シュウ酸アンモニウム又は尿素を用いる。
沈殿剤の添加量は、通常、酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体が水酸化物、シュウ酸塩等の化合物となるのに必要な化学当量の50%以上であり、洗浄時間の短縮の観点から、好ましくは化学当量の80%〜2000%である。沈殿剤の添加量が、上記化学当量の50%未満の場合、共沈物の組成が溶液の組成と異なるおそれがある。
共沈物の形成温度は、好ましくは溶媒の凝固点〜溶媒の沸点であり、低温では沈殿の形成速度が遅いので、より好ましくは溶媒の凝固点+5℃〜溶媒の沸点である。
上記形成温度で共沈物を形成したあと、共沈物形成時の温度から、常圧の場合は溶媒の沸点まで、加圧下の場合は300℃まで昇温し、数分から100時間程度の熟成を行うとよい。共沈物の熟成を行うことにより、ろ過が容易となり好ましい。
得られた共沈物は、ろ過、遠心分離、デカンテーション等の手段により溶液から分離でき、その後、水洗や溶媒洗浄等を行って、不要なイオン等を除去するとよい。溶媒洗浄に用いる溶媒としては、例えばエタノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラフルオロフラン(THF)等のエーテル類が挙げられる。
尚、不要なイオン等が除去されたことの確認は、洗浄に使用した溶媒の電気伝導度が0.5mS以下となることを目安とすることができる。
洗浄した共沈物を、後述する加熱処理を行う前に、50〜400℃で30分〜100時間乾燥するとよい。上記乾燥後、例えば、さらに予備加熱処理して共沈物を酸化物としてもよい。この予備加熱処理は、後述の加熱処理と一体の工程であってもよい。予備加熱処理は、通常、200〜800℃程度で行う。この予備熱処理は、不活性ガス下で熱処理する必要はない。
得られた共沈物を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理する。加熱処理を行うことにより共沈物が含む化合物の結晶が生成し、伝導性が向上する。
加熱処理の温度が1550℃を超える場合、粒成長が特に激しく、多結晶粉末の製造が難しくなるうえ、InSn12結晶が分解して主成分とならないおそれがある。
熱処理時間は、通常、高温であれば数秒程度の非常に短い時間で足り、低温であっても数時間程度以下で十分である。例えば、熱処理温度が1400℃以上1500℃未満の場合、好ましくは10時間以下であり、熱処理温度が1500℃超1550℃以下である場合、好ましくは3時間以下であり、及び熱処理温度が1500℃である場合、好ましくは数時間程度以下である。
上記加熱処理は、好ましくは酸素の存在下で行う。例えば、空気中、酸素流通下、純酸素下等で加熱処理を行うとよく、実施が容易な点から、好ましくは空気中又は酸素流通下で行う。
上記加熱処理時の酸素濃度は、通常19体積%以上であり、好ましくは20体積%以上である。
加熱処理した共沈物を、解砕することにより本発明のInSn12多結晶粉末が得られる。上記解砕は、遊星ボールミル、ジェットミル等の機械的粉砕方法を用いて乾式で粉砕することにより行うことができる。
本発明のInSn12多結晶粉末は、上記酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体の共沈物の代わりに、酸化インジウム及び酸化スズを混合及び粉砕して得られる混合粉末、又は水酸化インジウム及びメタスズ酸を混合及び粉砕して得られる混合粉末を用いても製造することができる。
上記混合粉末は、酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体の共沈物と同等の混合状態を有する。
酸化インジウム及び酸化スズを混合及び粉砕して得られる混合粉末、及び水酸化インジウム及びメタスズ酸を混合及び粉砕して得られる混合粉末の平均粒径は、0.1〜2μm程度にするとよい。
上記本発明のInSn12多結晶粉末の製造過程で調製した酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体の共沈物(InSn12多結晶粉末前駆体)を、酸素流通下又は酸素加圧下で1400〜1550℃で焼成することにより、本発明のInSn12焼結体が得られる。
また、本発明のInSn12焼結体は、上記酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体の共沈物の代わりに、酸化インジウム及び酸化スズを混合及び粉砕して得られる混合粉末、又は水酸化インジウム及びメタスズ酸を混合及び粉砕して得られる混合粉末を用いても製造することができる。
以下、InSn12多結晶粉末の製造過程で調製した酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体の共沈物(InSn12多結晶粉末前駆体)を用いる場合の、本発明のInSn12焼結体の製造方法を説明する。
具体的には、InSn12多結晶粉末の製造過程で調製した酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体の共沈物を用いる場合、共沈物を、湿式又は乾式で粉砕及び混合し、共沈物粉末を調製する。調製した共沈物粉末にバインダー樹脂を添加して造粒し、造粒した粉末を冷間油圧プレス又は冷間静水圧プレスすることにより圧縮成型体を作製する。得られた圧縮成型体を、酸素流通下又は酸素加圧下に1400℃〜1550℃の温度にて、例えば15時間以上焼成することにより本発明の焼結体が得られる。
得られたInSn12焼結体は、切削加工して所望の形状にすることによりスパッタリングターゲットととすることができる。
上記共沈物を粉砕混合する前に乾燥させてもよい。共沈物の乾燥温度としては例えば200℃〜1000℃であり、好ましく300℃〜800℃、より好ましくは300〜600℃である。乾燥温度が200℃未満では、乾燥に時間がかかりすぎる場合がある。一方、乾燥温度が1000℃超の場合、コストが増大するおそれがあるうえ、副反応等が起こり、目的とするInSn12化合物以外の化合物を生成するおそれがある。
乾燥させた共沈物は、非晶質酸化物の状態に保つとよい。
圧縮成型体の作製に冷間油圧プレスを用いる場合、冷間油圧プレスの圧力は、好ましくは10MPa〜200MPaであり、より好ましくは50MPa〜150MPaである。圧力が10MPa未満の場合、圧力が小さすぎて脆い成型体しか得られないおそれがあり、一方、圧力が200MPa超の場合、高価なプレス機を用いる必要があり、製造コストが増大するおそれがある。
圧縮成型体の作製に冷間静水圧プレスを用いる場合、冷間静水圧プレスの圧力は、好ましくは100MPa〜300MPaであり、より好ましくは150MPa〜250MPaである。圧力が100MPa未満の場合、脆い成型体しか得られないおそれがあり、一方、圧力が300MPa超の場合、高価なプレス機を用いる必要があり、製造コストが増大するおそれがある。
焼成温度は1400〜1550℃であり、好ましくは1450℃以上1550℃未満であり、より好ましくは1450℃以上1500℃未満である。焼成温度が1400℃未満の場合、反応速度が低く、焼結体中のInSn12化合物の生成が完了しないおそれがある。一方、焼成温度が1550℃超の場合、Sn成分が蒸発して所望の組成とならない、InSn12化合物が熱分解する、及び焼結体内部に応力が発生し、得られる焼結体の強度が小さくなるおそれがある。
酸素流通下で焼成する場合、酸素流量は、用いる焼結炉の大きさに依存するが、10cm/分〜1000cm/分に設定するとよく、好ましくは20〜200cm/分である。酸素流量が10cm/分未満の場合、酸素の供給が少なくSn成分の蒸発してしまうおそれがある。一方、酸素流量が1000cm/分超の場合、炉内の温度調整が困難となるおそれがある。
酸素加圧下で焼成する場合、加圧方法は、純酸素酸素を添加した大気で加圧してもよく、純酸素のみで加圧してもよい。圧力は、通常0.1MPa超、1MPa以下であり、好ましくは0.11MPa〜0.5MPaである。
尚、酸素流通又は酸素加圧をせずに空気中で焼成すると、焼成温度が高温の場合に、Sn成分が蒸発して焼結体の密度が上がらないおそれがある。
上記方法で得られる本発明のInSn12焼結体は、InSn12結晶を主成分とする。InSn12結晶を主成分とするとは、上述したInSn12多結晶粉末の場合と同様である。
例えば、図7は、後述する実施例6で作製した本発明の焼結体のX線回折測定の結果を示す図である。図7が示すように、InSn12のピーク及び酸化インジウムのピークを2θが18゜〜24゜の範囲に4本のピークを確認することができる。酸化インジウムの21.5゜のピークは、酸化インジウムのメインピークに比べて、15%程度の強度比を示すが、InSn12のピークは、InSn12のメインピークに比べて微小なピークしか示さない。この様なピーク同士を比較しても同じ強度比で出ていることから、InSn12が主成分と判断できる。
本発明のInSn12焼結体は、好ましくはインジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5であり、より好ましくは0.35〜0.5、さらに好ましくは0.4〜0.46である。
Sn/(In+Sn)が0.34未満の場合、酸化インジウム相にスズ原子がドープして、酸化インジウム相が抵抗が低い(0.1mΩcm程度)相となるので、InSn12焼結体の抵抗値のバラツキが大きくなるおそれがある。一方、Sn/(In+Sn)=0.5超の場合、酸化スズ相にインジウム原子がドープして、酸化スズ相が抵抗が高い(100Ωcm程度)相となるので、InSn12焼結体の抵抗値のバラツキが大きくなり、ノジュールの原因となるおそれがある。
本発明のInSn12焼結体は、好ましくはバルク抵抗が1〜30mΩcmであり、より好ましくは1〜20mΩcmであり、さらに好ましくは1〜10mΩcmであり、もっとも好ましくは1〜5mΩcmである。
本発明のInSn12焼結体をスパッタリングターゲットとして用いた場合に得られる薄膜の抵抗値は、通常0.8〜1.5mΩcmである。本発明では、InSn12焼結体の抵抗値を、得られる薄膜より高く設定することにより、ノジュールの発生を抑制することができる。
焼結体のバルク抵抗が1mΩcm未満の場合、当該焼結体からなるターゲットの導電性が高くなってスパッタが安定するが、スパッタ粒子がターゲットに堆積し、ノジュールの原因となるおそれがある。一方、焼結体のバルク抵抗が30mΩcm超の場合、当該焼結体からなるターゲット全体がスパッタリングの際に帯電してアーク放電を引き起こし、ターゲットの割れ及び薄膜にダメージを与えるおそれがある。
実施例1
In及びSnのモル比がIn/(In+Sn)=0.57、Sn/(In+Sn)=0.43となるように、硝酸インジウム(3水和物)161g(関東化学株式会社製)、塩化第二錫(5水和物)120g(関東化学株式会社製)、を2.5Lのイオン交換水に溶解し、A液とした。また、炭酸アンモニウム(和光純薬株式会社製)132.2gを0.9Lのイオン交換水に溶解し、B液とした。
A液を撹拌しながら、25℃に保ち、30分かけてB液を滴下した。次に、溶液の温度を80℃まで昇温して30分間熟成し、沈殿物を得た。得られた沈殿物について、デカンテーションにて一回につき2Lのイオン交換水で洗浄し、導電率計Combo2(ハンナインスツルメンツ製)により溶液の電気伝導度を測定した。溶液の電気伝導度が0.5mS以下になるまでこの洗浄を繰り返して不要なイオンを除去し、洗浄後の沈殿物を300℃で乾燥して多結晶粉末前駆体を調製した。
調製した多結晶粉末前駆体を、大気圧下1400℃で1時間加熱処理して、多結晶粉末を製造した。また、同じ多結晶粉末前駆体を、大気圧下1500℃で1時間加熱処理して、多結晶粉末を製造した。1400℃で加熱処理して得られた多結晶粉末及び1500℃で加熱処理して得られた多結晶粉末をそれぞれX線回折測定した。結果を図4に示す。
得られた結果から、これら得られた多結晶粉末はInSn12結晶からなる粉末であることが確認できた。また、図4から、X線のピークが1500℃で加熱処理して得られた多結晶粉末の方が、1400℃で加熱処理して得られた多結晶粉末より、鋭く且つ強度が強いことが分かる。即ち、1500℃で加熱処理して得られた多結晶粉末の方が、よりInSn12結晶を生成しやすいことが分かった。
尚、X線回折測定(XRD)の測定条件は以下の通りである。
装置:(株)リガク製Ultima−III
X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
サンプリング間隔:0.02°
スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
1500℃で加熱処理することにより得られた多結晶粉末は濃い青緑色であり、平均粒径は約0.35μmであった。
尚、平均粒径は窒素吸着によるBET比表面積測定法により比表面積を測定し、下記式から算出した値である。
平均粒径(μm)=6/(密度×比表面積)
(X線回折測定結果から格子定数を計算し、当該格子定数から求められる格子体積及び格子内に存在する原子の重量から密度を算出した)
1500℃で加熱処理して得られた多結晶粉末に10Mpの圧力を印加し、粉末の比抵抗(固有抵抗)を測定したところ、0.23Ωcmであり、十分な導電性を有する粉末であることが分かった。
上記測定は具体的には、約1gの多結晶粉末を、下部に4端子の電極を持つ樹脂製の型に入れ、10MPaの圧力をかけた。圧力をかけた状態で一定の電圧をかけ、流れた電流と圧縮粉末の厚み、及び電極間の距離から抵抗を求めた。
実施例2
実施例1で調製した多結晶粉末前駆体を100MPa圧力にて静水圧プレスし、成型体を調製した。得られた成型体を、酸素を流通させながら1500℃にて24時間焼成し、焼結体を得た。
得られた焼結体について、実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。結果を図5に示す。図5より、得られた焼結体はInSn12結晶を主成分とする焼結体であることがわかった。
得られた焼結体のバルク抵抗は、2.2mΩcmであった。また、得られた焼結体の密度は、外形寸法及び重量から6.72g/cmであることが分かった。
尚、上記バルク抵抗については、三菱油化製ロレスタを用いて焼結体の表面抵抗を測定し、得られた実測抵抗に係数0.6を掛けた値をバルク抵抗とした。
得られた焼結体を用いて4インチΦ厚み5mmtのターゲットを作製し、銅製のバッキングプレートに金属インジウムにてボンディングして、スパッタリングターゲットとした。このスパッタリングターゲットを、スパッタ装置(株式会社島津製作所製)に装着し、Ar100%、DC出力400W、にて連続して25時間スパッタ(10kWhr)した。スパッタ後のターゲット表面を観察したところ、ノジュールは観察されなかった。
実施例3
In及びSnのモル比がIn/(In+Sn)=0.60、Sn/(In+Sn)=0.40となるように、硝酸インジウム(3水和物)161g、塩化第二錫(5水和物)120gを用いた他は、実施例1と同様にして多結晶粉末前駆体を調製し、得られた多結晶粉末前駆体を大気圧下1500℃で1時間加熱処理し、多結晶粉末を製造した。
得られた多結晶粉末を、実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。その結果、得られた多結晶粉末は、InSn12結晶を主成分とすることを確認した。
また、得られた多結晶粉末について、実施例1と同様にして評価した。その結果、得られた多結晶粉末の平均粒径は0.32μmであり、10MPa下での粉体の比抵抗(固有抵抗)は、0.22Ωcmであった。
実施例4
実施例3で調製した多結晶粉末前駆体を用いて実施例2と同様にして焼結体を作製した。得られた焼結体について実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。結果を図6に示す。図6より、得られた焼結体は微量の酸化インジウムを含むInSn12結晶を主成分とする焼結体であることがわかった。
得られた焼結体について、実施例2と同様にして評価した。その結果、焼結体のバルク抵抗は2.4mΩcmであり、密度は6.73g/cmであった。
また、得られた焼結体を実施例2と同様にしてスパッタリングターゲットとし、スパッタリングを行った。その結果、連続スパッタ後のスパッタリングターゲット表面には、ノジュールの発生は認められなかった。
実施例5
In及びSnのモル比がIn/(In+Sn)=0.55、Sn/(In+Sn)=0.45となるように、硝酸インジウム(3水和物)155g、塩化第二錫(5水和物)126gを用いた他は、実施例1と同様にして多結晶粉末前駆体を調製し、得られた多結晶粉末前駆体を大気圧下1500℃で1時間加熱処理し、多結晶粉末を製造した。
得られた多結晶粉末を、実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。その結果、得られた多結晶粉末は、InSn12結晶を主成分とすることを確認した。
また、得られた多結晶粉末をジェットミルにて粉砕し、実施例1と同様にして評価した。その結果、得られた多結晶粉末の平均粒径は0.031μmであり、10MPa下での粉体の比抵抗(固有抵抗)は、0.25Ωcmであった。
実施例6
実施例5で調製した多結晶粉末前駆体を用いて実施例2と同様にして焼結体を作製した。得られた焼結体について実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。結果を図7に示す。図7より、得られた焼結体は微量の酸化スズを含むInSn12結晶を主成分とする焼結体であることがわかった。
得られた焼結体について、実施例2と同様にして評価した。その結果、焼結体のバルク抵抗は3.8mΩcmであり、密度は6.76g/cmであった。
また、得られた焼結体を実施例2と同様にしてスパッタリングターゲットとし、スパッタリングを行った。その結果、連続スパッタ後のスパッタリングターゲット表面には、ノジュールの発生は認められなかった。
実施例7
In及びSnのモル比がIn/(In+Sn)=0.57、Sn/(In+Sn)=0.43となるように、酸化インジウム粉末及び酸化スズ粉末を混合・粉砕して混合粉末を調製し、調製した混合粉末を大気圧下1450℃で3時間加熱処理し、多結晶粉末を製造した。得られた多結晶粉末を、実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。その結果、得られた多結晶粉末は、InSn12結晶を主成分とすることを確認した。
実施例8
In及びSnのモル比がIn/(In+Sn)=0.57、Sn/(In+Sn)=0.43となるように、水酸化インジウム粉末及びメタスズ酸粉末を混合・粉砕して混合粉末を調製し、調製した混合粉末を大気圧下1450℃で3時間加熱処理し、多結晶粉末を製造した。得られた多結晶粉末を、実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。その結果、得られた多結晶粉末は、InSn12結晶を主成分とすることを確認した。
比較例1
比較のため、実施例1で調製した多結晶粉末前駆体を、大気圧下1200℃で1時間加熱処理して、多結晶粉末を製造した。また、同じ多結晶粉末前駆体を、大気圧下1600℃で1時間加熱処理して、多結晶粉末を製造した。1200℃で加熱処理して得られた多結晶粉末及び1600℃で加熱処理して得られた多結晶粉末をそれぞれX線回折測定した。結果を図8に示す。
図8から、1200℃で加熱処理して得られた多結晶粉末は、酸化インジウム結晶及び酸化スズ結晶の混合物であることが分かる。また、1600℃で加熱処理して得られた多結晶粉末は、2θが15゜〜25゜の範囲に現れる特徴的な3本のピークは全くなく、壊れた酸化インジウムの結晶であることが分かる。
比較例2
In及びSnのモル比がIn/(In+Sn)=0.8、Sn/(In+Sn)=0.2となるように、硝酸インジウム(3水和物)225g、塩化第二錫(5水和物)56gを用いた他は、実施例1と同様にして多結晶粉末前駆体を調製し、得られた多結晶粉末前駆体を大気圧下1400℃で1時間加熱処理し、多結晶粉末を製造した。
得られた多結晶粉末を、実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。結果を図9に示す。図9から、得られた多結晶粉末がInのビックスバイトからなることが分かった。
得られた多結晶粉末について、実施例1と同様にして評価した。その結果、得られた多結晶粉末の平均粒径は0.31μmであり、10MPa下での粉体の比抵抗(固有抵抗)は、0.07Ωcmであった。
比較例3
比較例2で調製した多結晶粉末前駆体を用いて実施例2と同様にして焼結体を作製した。得られた焼結体について、実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。その結果、得られた焼結体がInのビックスバイトからなることが分かった。
得られた焼結体について、実施例2と同様にして評価した。その結果、焼結体のバルク抵抗は0.3mΩcmであり、密度は6.95g/cmであった。
また、得られた焼結体を実施例2と同様にしてスパッタリングターゲットとし、スパッタリングを行った。その結果、連続スパッタ後のスパッタリングターゲット表面には、大量のノジュールの発生が認められた。
本発明のInSn12結晶を主成分とする多結晶粉末は、透明導電性塗料、コーティング液、プラスチックの添加剤(白色フィラー、帯電防止、静電気防止、電磁シールド等)、透明導電性薄膜材料、赤外線・紫外線遮蔽材料、機能性塗料材料(導電性塗料、熱線反射塗料)、又は機能性コーティング液材料(導電性コーティング液、熱線反射コーティング液)等に好適に使用できる。
また、本発明のInSn12結晶を主成分とする焼結体は、透明導電膜を形成するためのスパッタリングターゲット等に好適に使用できる。
走査型拡がり抵抗顕微鏡(SSRM)を用いて、市販のITOの抵抗変化を測定した結果を示す図である。 X線マイクロアナライザー(EPMA)法を用いて、市販のITO内部のインジウム及びスズの分散状態を測定した結果を示す図である。 市販のITOのX線回折測定の結果を示す図である。 実施例1で作製した多結晶粉末のX線回折測定の結果を示す図である。 実施例2で作製した焼結体のX線回折測定の結果を示す図である。 実施例4で作製した焼結体のX線回折測定の結果を示す図である。 実施例6で作製した焼結体のX線回折測定の結果を示す図である。 比較例1で作製した多結晶粉末のX線回折測定の結果を示す図である。 比較例2で作製した多結晶粉末のX線回折測定の結果を示す図である。

Claims (13)

  1. InSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末。
    (但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
  2. インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である請求項1に記載のInSn12多結晶粉末。
  3. 100kg/cmの圧力印加時のバルク抵抗が100Ωcm以下である請求項1又は2に記載のInSn12多結晶粉末。
  4. 平均粒径が0.2μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のInSn12多結晶粉末。
  5. 酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体を共沈させて、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である共沈物を生成し、
    前記共沈物を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理するInSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末の製造方法。
    (但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含んでもよい)
  6. 酸化インジウム及び酸化スズを混合及び粉砕して、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である混合粉末を調製し、
    前記混合粉末を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理するInSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末の製造方法。
    (但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
  7. 水酸化インジウム及びメタスズ酸を混合及び粉砕して、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である混合粉末を調製し、
    前記混合粉末を大気圧下で1400〜1550℃で加熱処理するInSn12結晶を主成分とするInSn12多結晶粉末の製造方法。
    (但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
  8. InSn12結晶を主成分とするInSn12焼結体。
    (但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含んでもよい)
  9. インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である請求項8に記載のInSn12焼結体。
  10. バルク抵抗が1〜30mΩcmである請求項8又は9に記載のInSn12焼結体。
  11. 酸化インジウム前駆体及び酸化スズ前駆体を共沈させて、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である共沈物を生成し、
    前記共沈物を酸素流通下又は酸素加圧下で1400〜1550℃で焼成するInSn12結晶を主成分とするInSn12焼結体の製造方法。
    (但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
  12. 酸化インジウム及び酸化スズを混合及び粉砕して、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である混合粉末を調製し、
    前記混合粉末を酸素流通下又は酸素加圧下で1400〜1550℃で焼成するInSn12結晶を主成分とするInSn12焼結体の製造方法。
    (但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
  13. 水酸化インジウム及びメタスズ酸を混合及び粉砕して、インジウム元素及びスズ元素のモル比がSn/(In+Sn)=0.34〜0.5である混合粉末を調製し、
    前記混合粉末を酸素流通下又は酸素加圧下で1400〜1550℃で焼成するInSn12結晶を主成分とするInSn12焼結体の製造方法。
    (但し、前記InSn12結晶は、酸素欠損のあるInSn12結晶を含む)
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