上記目的を達成するために、この発明の一の局面による半導体レーザ装置は、共振器の延びる第1方向に沿って反りを有する半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子の反りの凹側の表面上に形成されるとともに、ワイヤボンド部が設けられた電極層と、半導体レーザ素子の反りの凸側が固定される基台とを備え、半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子の反りの凸側と、基台との間の距離が、第1方向に沿って半導体レーザ素子の反りに応じて変化するように基台に固定されるとともに、半導体レーザ素子の反りの凸側と基台との間の距離のうち、最も大きい距離を有する領域近傍に対応する電極層の部分の近傍に、ワイヤボンド部が設けられるように構成されている。なお、上記一の局面において、「最も大きい距離」とは、半導体レーザ素子の反りの凸側と基台との間の距離が完全に最も大きい距離のみならず、上記の距離が実質的に最も大きい距離であればよい。
この発明の一の局面による半導体レーザ装置では、上記のように、半導体レーザ素子を、半導体レーザ素子の反りの凸側と基台との間の距離が、第1方向に沿って半導体レーザ素子の反りに応じて変化するように基台に固定するように構成することによって、半導体レーザ素子の反りにばらつきがあったとしても、半導体レーザ素子を、半導体レーザ素子自体の反りを矯正することなく基台に対して固定することができる。これにより、半導体レーザ素子に反りの矯正に起因する過度な応力が発生するのを抑制することができる。この結果、レーザ特性に劣化および半導体レーザ素子の破損が発生するのを抑制することができる。また、半導体レーザ素子を、半導体レーザ素子の反りの凸側と基台との間の距離のうち、最も大きい距離を有する領域近傍に対応する電極層の部分の近傍にワイヤボンド部を設けるように構成することによって、レーザ光の発振時に、半導体レーザ素子と基台との間の距離が大きい領域において、電極層側のワイヤボンド部を介してレーザ光発光に伴う発熱を空気中に放熱することができるので、半導体レーザ素子と基台との間の距離が小さい領域における半導体レーザ素子から基台への放熱性能と同等の放熱性能を得ることができる。この結果、半導体レーザ素子内の発熱温度分布を均一化させることができる。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、半導体レーザ素子は、基板と、基板の表面上に形成される半導体レーザ素子部とを含み、半導体レーザ素子は、基板側が基台に向くように、融着層を介して基台に固定され、融着層の厚みは、基板と基台とに挟まれた領域において、第1方向に沿って半導体レーザ素子の反りに応じて変化するように形成されている。このように構成すれば、厚みを変化させた融着層によって、半導体レーザ素子の基板と、基板を固定する基台との間に形成される隙間を半導体レーザ素子の反りに応じて効率よく埋めることができるので、容易に、半導体レーザ素子を、反りの矯正を行うことなく基台に固定することができる。
この場合、好ましくは、融着層は、半田からなる導電性接着層である。このように構成すれば、半田溶融時の特性により、容易に、厚みを変化させた融着層を形成することができる。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、半導体レーザ素子は、窒化物系半導体層を有する半導体レーザ素子部を含む。このように、エピタキシャル成長時に反りが発生しやすい窒化物系半導体層を有する半導体レーザ素子部を基台に固定する場合でも、上記一の局面による構成を用いれば、容易に、反りの矯正に起因するレーザ特性の劣化および半導体レーザ素子部の破損を抑制することができるとともに、半導体レーザ素子内の発熱温度分布を均一化させることができる。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、ワイヤボンド部は、共振器の光出射端近傍または光反射端近傍のいずれか一方端近傍に設けられている。このように構成すれば、ワイヤボンド部が光出射端近傍に設けられている場合には、共振器内のレーザ光が光出射端面から出射する際に、レーザ光の一部が光出射端面の表面形状(凹凸形状)によって散乱することに起因する発熱を、半導体レーザ素子と基台との間の距離が略最も大きい領域(ワイヤボンド領域)に設けられたワイヤボンド部を介して効率よく空気中に拡散(放熱)させることができる。また、ワイヤボンド部が光反射端近傍に設けられている場合には、共振器内のレーザ光が光反射端面において反射する際に、レーザ光の一部が光反射端面によって吸収されることに起因する発熱を、半導体レーザ素子と基台との間の距離が略最も大きい領域(ワイヤボンド領域)に設けられたワイヤボンド部を介して効率よく空気中に拡散(放熱)させることができる。
なお、本発明において、共振器の光出射端および光反射端は、それぞれの共振器端面から出射されるレーザ光強度の大小関係により区別される。すなわち、相対的にレーザ光の出射強度の大きい側が光出射端であり、相対的にレーザ光の出射強度の小さい側が光反射端である。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、半導体レーザ素子は、第1方向と交差する第2方向に沿って反りを有し、半導体レーザ素子は、半導体レーザ素子の反りの凸側と基台との間の距離が、第2方向に沿って半導体レーザ素子の反りに応じて変化するように前記基台に固定される。このように構成すれば、第2方向における半導体レーザ素子の反りにばらつきがあったとしても、半導体レーザ素子を、半導体レーザ素子自体の反りを矯正することなく基台に対して固定することができるので、半導体レーザ素子の第2方向にも過度な応力が発生するのを抑制することができる。この結果、レーザ特性に劣化が生じたり、半導体レーザ素子の破損が発生したりするのを抑制することができる。
上記半導体レーザ素子が第2方向に沿って反りを有する構成において、好ましくは、ワイヤボンド部は、第2方向の中央部近傍に対応する電極層の部分の近傍に設けられている。このように構成すれば、ワイヤボンド部が半導体レーザ素子の第2方向の端部近傍に対応する電極層の部分に設けられる場合と比べて、配線部材(Auワイヤなど)をワイヤボンドする際の第2方向の取付寸法誤差をより大きく許容することができる。これにより、半導体レーザ装置の組立歩留りを向上させることができる。なお、上記構成において、「第2方向の中央部近傍」とは、第2方向の完全な中央部近傍のみならず、第2方向の実質的に中央部近傍であればよい。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、電極層は、第1方向に沿って設けられ、ワイヤボンド部は、電極層の延びる方向に沿って延びるように設けられている。このように構成すれば、ワイヤボンド部を含む電極層の表面積を第1方向に沿って増加させることができるので、電極層を利用して半導体レーザ素子の放熱性能をより一層向上させることができる。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、半導体レーザ素子の上面には、電極層に接続されるリッジ部が形成され、ワイヤボンド部は、リッジ部が形成されている領域以外の領域に設けられている。このように構成すれば、ワイヤボンド部の直下にはリッジ部が配置されていないので、配線部材(Auワイヤなど)のワイヤボンド時に、ワイヤボンド部に上方から加えられる衝撃荷重がリッジ部に対して直接的に加わらない。これにより、リッジ部をワイヤボンド時の衝撃荷重から保護することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の半導体レーザ装置の概略的な構造を説明するための断面図である。図1を参照して、本発明の具体的な実施形態を説明する前に、本発明の半導体レーザ装置1の概略的な構造について説明する。
本発明の半導体レーザ装置1では、図1に示すように、半導体レーザ素子10が、金属層などからなる導電性接着層20を介して基台30に固定されている。なお、導電性接着層20は、本発明の「融着層」の一例である。
半導体レーザ素子10は、共振器の延びる方向(A方向)に沿って反りを有する。また、半導体レーザ素子10は、共振器の延びる方向(A方向)の両端部に、それぞれ、光出射面10aおよび光反射面10bを有している。なお、光出射面10aは、本発明の「光出射端」の一例であり、光反射面10bは、本発明の「光反射端」の一例である。
ここで、本発明の半導体レーザ装置1では、半導体レーザ素子10は、反りの凸側が基台30の上面30aに固定されている。また、半導体レーザ装置1は、半導体レーザ素子10の光出射面10a近傍における半導体レーザ素子10と基台30との間の距離(導電性接着層20の厚み)H1が、半導体レーザ素子10の光反射面10b近傍における半導体レーザ素子10と基台30との間の距離(導電性接着層20の厚み)H2よりも大きくなるように構成されている。
また、半導体レーザ素子10は、窒化ガリウム基板、サファイア基板、シリコン基板およびシリコンカーバイト基板などの基板上に半導体層(半導体レーザ素子部)を形成することにより構成することが可能とされている。
また、半導体レーザ素子10の光出射面10aおよび光反射面10bに誘電体多層膜が形成されてもよい。
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置を備えた半導体レーザの構造を示した斜視図である。図3は、図2に示した第1実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。図4は、図2に示した第1実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した平面図である。図5〜図7は、図3に示した第1実施形態による半導体レーザ装置の半導体レーザ素子の構造を説明するための斜視図および断面図である。まず、図2〜図7を参照して、第1実施形態による半導体レーザ装置40およびそれを備えた半導体レーザの構造について説明する。
第1実施形態による半導体レーザ装置40を備えた半導体レーザでは、図2および図3に示すように、半導体レーザ素子50が、AuSnなどの導電性接着層60を介して、基台70に固定されている。なお、導電性接着層60は、本発明の「融着層」の一例である。また、基台70は、図2に示すように、AuSnなどの導電性接着層61を介して、金属製のステム80の本体部81に設けられた台座部82に固定されている。このステム80には、2つのリード端子83および84が設けられている。
また、半導体レーザ素子50の上面は、図2に示すように、Auワイヤ90を用いて、ステム80のリード端子83にワイヤボンディングされている。また、基台70の上面70aは、Auワイヤ91を用いて、ステム80の台座部82にワイヤボンディングされている。また、ステム80の本体部81には、レーザ光が透過する窓付きの図示しないキャップが取り付けられている。
また、半導体レーザ素子50は、図4および図5に示すように、約200μmの幅(W1)と、共振器の延びる方向(B方向)に約1000μmの長さ(L1)と、約100μmの厚み(t1)(図5参照)とを有している。なお、B方向は、本発明の「第1方向」の一例である。
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、半導体レーザ素子50は、基台70側に配置された基板100と、基台70とは反対側に配置された半導体レーザ素子部110とから構成されている。なお、基板100は、本発明の「基板」の一例である。
具体的には、図5および図6に示すように、窒化ガリウム、シリコンおよびシリコンカーバイトなどからなる基板100の上面上に、n型AlGaNクラッド層111、GaInNからなる活性層112およびp型AlGaNクラッド層113がエピタキシャル成長により形成されている。そして、これらn型AlGaNクラッド層111、活性層112およびp型AlGaNクラッド層113などの窒化物系半導体層によって、半導体レーザ素子部110が形成されている。なお、n型AlGaNクラッド層111、活性層112およびp型AlGaNクラッド層113は、本発明の「窒化物系半導体層」の一例である。また、p型AlGaNクラッド層113には、B方向(図5参照)に延びるリッジ部113aを形成することによって、導波路構造が形成されている。なお、リッジ部113aは、約2μmの幅を有するように形成されている。また、半導体レーザ素子部110のB方向の端部には、図3に示すように、光出射面(共振器面)110aおよび光反射面(共振器面)110bが形成されている。なお、光出射面110aは、本発明の「光出射端」の一例であり、光反射面110bは、本発明の「光反射端」の一例である。また、光出射面110a、光反射面110bおよび導波路構造によって、B方向に延びる共振器が構成されている。なお、光出射面110aおよび光反射面110b上には、図示しない誘電体多層膜が形成されている。また、図5および図6に示すように、p型AlGaNクラッド層113のリッジ部113a以外の上面上には、SiO2からなる絶縁膜114が形成されている。
また、図5および図6に示すように、基板100の下面上には、Au膜からなるn側電極101が形成されている。なお、第1実施形態では、n側電極101の下面側が、ダイボンド面とされている。また、p型AlGaNクラッド層113のリッジ部113aおよび絶縁膜114の上面上には、リッジ部113aの延びる方向(B方向)(図5参照)に沿ってAu膜からなるp側電極115が形成されている。また、図5および図6に示すように、リッジ部113aの上部には、リッジ部113a(クラッド層)とp側電極115との電気的接触を確実に行うために、約1nmの厚みを有するPt層と、約30nmの厚みを有するPd層と、約1nmの厚みを有するTi層からなるオーミック層116が形成されている。また、p側電極115は、約9nmの厚みを有するPt層と、約150nmの厚みを有するPd層とを積層するとともに、最表面が約5μmの厚みを有するAu膜により覆われている。
また、図4に示すように、p側電極115は、約20μmの幅(W2)を有するとともに、約5.2μmの厚み(t2)(図6参照)を有している。また、p側電極115の長さは、共振器(半導体レーザ素子50)の長さL1より若干短くなるように構成されている。
また、第1実施形態では、図3および図5に示すように、半導体レーザ素子50は、ヘテロ接合の添加元素の種類や量によって異なるが、共振器の延びる方向(B方向)に沿って約0.5μm〜約3μmの反りを有している。すなわち、半導体レーザ素子50は、上面(第1主面)側が凹状であり、下面(第2主面)側が凸状になるような反りを有している。また、半導体レーザ素子部110は、基板100とは反対側の表面が凹状に形成されており、半導体レーザ素子50は、反りの凸側(基板100側)が基台70(図3参照)に固定されている。この半導体レーザ素子50の反りは、基板100と半導体レーザ素子部110との熱膨張係数差および格子定数差に起因して発生する。
具体的には、以下の表1に示すように、窒化ガリウムは、約5.59×10−6/Kのa軸方向の熱膨張係数を有するとともに、約0.3189nmのa軸方向の格子定数を有する。また、シリコンは、約2.6×10−6/Kのa軸方向の熱膨張係数を有するとともに、約0.543nmのa軸方向の格子定数を有する。また、シリコンカーバイトは、約4.2×10−6/Kのa軸方向の熱膨張係数を有するとともに、約0.3081nmのa軸方向の格子定数を有する。また、本案の半導体レーザ素子部110の主材料であるAlGaNは、約4.15×10−6/K〜約5.59×10−6/Kのa軸方向の熱膨張係数を有するとともに、約0.3112nm〜約0.3189nmのa軸方向の格子定数を有する。また、本案の半導体レーザ素子部110の活性層であるGaInNは、約3.8×10−6/K〜約5.59×10−6/Kのa軸方向の熱膨張係数を有するとともに、約0.3189nm〜約0.3533nmのa軸方向の格子定数を有している。
そして、基板100が窒化ガリウムからなる場合、半導体レーザ素子部110を構成するn型AlGaNクラッド層111およびp型AlGaNクラッド層113の格子定数が基板100の格子定数よりも小さいことに起因して、半導体レーザ素子50の基板100側が凸状になる(半導体レーザ素子部110側が凹状になる)ように反りが発生する。なお、活性層112は、基板100よりも大きい格子定数を有しているが、活性層112の厚みは、n型AlGaNクラッド層111およびp型AlGaNクラッド層113の厚みよりも小さいので、半導体レーザ素子50の基板100側が凸状になるような向きに反りが発生すると考えられている。その一方、基板100がシリコンまたはシリコンカーバイトからなる場合、半導体レーザ素子部110を構成するn型AlGaNクラッド層111、活性層112およびp型AlGaNクラッド層113の熱膨張係数が基板100の熱膨張係数よりも大きいことに起因して、半導体レーザ素子50の基板100側が凸状になる(半導体レーザ素子部110側が凹状になる)ような向きに反りが発生すると考えられている。
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、半導体レーザ素子50は、半導体レーザ素子50の反りの凸側(基板100側)と、基台70との間の距離が、共振器の延びる方向(B方向)に沿って半導体レーザ素子50の反りに応じて変化するように、導電性接着層60を介して基台70に固定されている。
具体的には、図3に示すように、半導体レーザ素子50は、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H3(導電性接着層60の厚み:約3μm)が、半導体レーザ素子50の共振器の光反射面110b近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H4(導電性接着層60の厚み:約1μm)よりも大きくなるようにAuSnなどの導電性接着層60を形成することにより、基板100側が基台70に対して導電性接着層60を介して固定されている。なお、第1実施形態では、導電性接着層60の材料として、半田を用いている。
また、図6に示すように、導電性接着層60は、半導体レーザ素子50と同じ幅(W1=約200μm)および長さ(L1=約1000μm)(図5参照)を有するとともに、上述のように、約1μm〜約5μm(最大値)の厚みを有している。
また、図3に示すように、半導体レーザ素子50の光反射面110b側は、基台70の上面70aと略平行に配置されている。すなわち、半導体レーザ素子50は、光反射面110bにおいて共振器内部に向かって反射されるレーザ光の透過方向が、基台70の上面70aの延びる方向と略平行になるように配置されている。
また、第1実施形態では、図4および図5に示すように、半導体レーザ素子50のp側電極115に設けられたワイヤボンド部115aは、光出射面110a近傍の絶縁膜114の上面上に設けられている。すなわち、ワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離のうち、実質的に最も大きい距離を有する領域近傍(導電性接着層60の厚みが実質的にH3(図3参照)である領域)に対応するp側電極115の部分に設けられている。なお、ワイヤボンド部115aは、図4に示すように、約80μm〜約90μmの幅(W3)と、B方向に約50μm〜約60μmの長さ(L2)と、p側電極115と同じ厚みである約5.2μmの厚み(t2)(図7参照)とを有している。
また、第1実施形態では、図4、図5および図7に示すように、半導体レーザ素子50のリッジ部113aおよびp側電極115は、半導体レーザ素子50の共振器の幅方向(C方向)の中心線500(1点鎖線)(図4参照)から所定距離(約20μm)を隔てて中心線500と略平行に延びるように形成されている。また、ワイヤボンド部115aは、リッジ部113aの直上にオーミック層116を介して形成されたp側電極115から半導体レーザ素子50の幅方向(C方向)に突出するとともに、中心線500(図4参照)を横断してリッジ部113bが形成されていない領域の絶縁膜114の上面上に設けられている。
また、基台70は、図4に示すように、約900μmの幅(W4)と、約1200μmの長さ(L3)と、約250μmの厚み(t3)(図3参照)とを有している。
また、基台70は、図3および図6に示すように、SiCまたはAlNからなる基板70bを含んでいる。この基板70bの上面上および下面上の全面には、約100nmの厚みを有するTi層と、約20nmの厚みを有するPt層と、約30nmの厚みを有するAu層からなる下地金属層70cが形成されている。この下地金属層70cは、導電性接着層60を基台70に接着するために設けられている。
図8は、本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置を備えた半導体レーザの製造プロセスを説明するための図である。次に、図2、図3、図5および図8を参照して、第1実施形態による半導体レーザ装置40を備えた半導体レーザの製造プロセスについて説明する。
まず、図5に示すように、基板100の上面上に、n型AlGaNクラッド層111、GaInNからなる活性層112およびp型AlGaNクラッド層113をエピタキシャル成長させることにより、半導体レーザ素子部110を形成する。そして、p型AlGaNクラッド層113に、B方向に延びるリッジ部113aを形成した後、p型AlGaNクラッド層113のリッジ部113a以外の上面上に、SiO2からなる絶縁膜114を形成する。その後、基板100の下面上に、Au膜からなるn側電極101を形成するとともに、p型AlGaNクラッド層113のリッジ部113aの上面上に、Pt層、Pd層およびTi層からなるオーミック層116を形成する。そして、オーミック層116および絶縁膜114の上面上に、最表面がAu膜からなるp側電極115を形成する。そして、半導体レーザ素子部110の共振器の光出射面110aおよび光反射面110b上に、図示しない誘電体多層膜を形成することによって、半導体レーザ素子50を形成する。このとき、第1実施形態では、図5に示すように、基板100と半導体レーザ素子部110との熱膨張係数差および格子定数差に起因して、基板100側が凸状になる(半導体レーザ素子部110側が凹状になる)ように、半導体レーザ素子50に反りが発生する。
次に、第1実施形態では、図3に示すように、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H3(導電性接着層60の厚み:約3μm)が、半導体レーザ素子50の共振器の光反射面110b近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H4(導電性接着層60の厚み:約1μm)よりも大きくなるように、半導体レーザ素子50の反りの凸側(基板100側)を基台70に対してダイボンドする。このとき、同時に、基台70をステム80の台座部82(図2参照)に固定する。
具体的には、図8に示すように、窒素雰囲気中において、金属製のステム80(図2参照)の台座部82(図2参照)上に、導電性接着層61(図2参照)と、導電性接着層60が所定の領域に配置された基台70と、半導体レーザ素子50とを順に配置する。
ここで、第1実施形態では、図8に示すように、導電性接着層60の厚みが、共振器の長さ方向(B方向)に3通り(3段階)に変化させるようにして基台70の上面70aに配置する。すなわち、半田からなる導電性接着層60を、光反射面110b近傍(厚み:約1μm)から光出射面110aに向かって段階的に厚みを増す(光出射面110a近傍では厚み約3μm)ように、基台70の上面70aに配置する。
そして、第1実施形態では、図8に示すように、ステム80(図2参照)を高温にするとともに、半導体レーザ素子50の光反射面110b近傍を、セラミック製のコレット120により導電性接着層60を介して基台70に対してP方向に押圧する。このとき、半導体レーザ素子50の光反射面110b近傍をコレット120により押圧した状態では、コレット120により押圧された領域(半導体レーザ素子50の光反射面110b側)の導電性接着層60は、溶融しながらコレット120により押圧されていない領域(半導体レーザ素子50の光出射面110a側)に移動するとともに、光出射面110a側の半導体レーザ素子50と基台70との間の導電性接着層60も熱伝導により溶融する。この結果、図3に示すように、導電性接着層60が半導体レーザ素子50の反り形状に対応して厚みをH4からH3に変化させる。すなわち、第1実施形態では、半導体レーザ素子50の反りを矯正することなく半導体レーザ素子50の反りに応じて導電性接着層60の厚みが変化する。なお、コレット120には、穴部120aが設けられており、穴部120aの内部を真空にすることにより半導体レーザ素子50を吸着することが可能である。
また、ステム80(図2参照)とともに高温となった台座部82(図2参照)と、基台70(図2参照)とに挟まれた導電性接着層61(図2参照)も熱伝導により溶融する。
その後、図2に示すように、ステム80を冷却して導電性接着層60および61を固化することによって、半導体レーザ素子50が導電性接着層60を介して基台70に固定されるとともに、基台70が導電性接着層61を介してステム80の台座部82に固定される。
そして、半導体レーザ素子50のワイヤボンド部115aとステム80のリード端子83とを、Auワイヤ90を用いてワイヤボンドすることにより接続するとともに、基台70の上面70aとステム80の台座部82とを、Auワイヤ91を用いてワイヤボンドすることにより接続する。最後に、ステム80の本体部81に、レーザ光が透過する窓付きの図示しないキャップを取り付ける。
このようにして、第1実施形態による半導体レーザ装置40を備えた半導体レーザが製造される。
第1実施形態では、上記のように、半導体レーザ素子50を、半導体レーザ素子50の反りの凸側と基台70との間の距離が、共振器の延びる方向(B方向)に沿って半導体レーザ素子50の反りに応じて変化するように基台70に固定するように構成することによって、半導体レーザ素子50の反りにばらつきがあったとしても、半導体レーザ素子50を、半導体レーザ素子50自体の反りを矯正することなく基台70に対して固定することができる。これにより、半導体レーザ素子50に反りの矯正に起因する過度な応力が発生するのを抑制することができる。この結果、レーザ特性に劣化および半導体レーザ素子50(半導体レーザ素子部110)の破損が発生するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、半導体レーザ素子50を、半導体レーザ素子50の反りの凸側と基台70との間の距離のうち、実質的に最も大きい距離を有する領域(導電性接着層60の厚みが実質的にH3(図3参照)である領域)近傍に対応するp側電極115の部分にワイヤボンド部115aを設けるように構成することによって、レーザ光の発振時に、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離が大きい領域(光出射面110a近傍)において、レーザ光発光に伴うリッジ部113aの発熱を、p側電極115側のワイヤボンド部115aを介して空気中に放熱することができるので、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離が小さい領域(導電性接着層60の厚みが実質的にH4(図3参照)である領域)における半導体レーザ素子部110から基台70への放熱性能と同等の放熱性能を得ることができる。この結果、半導体レーザ素子50内の発熱温度分布を均一化させることができる。
また、第1実施形態では、半導体レーザ素子50を、基板100側が基台70に向くように、導電性接着層60を介して基台70に固定するとともに、導電性接着層60の厚みを、基板100と基台70とに挟まれた領域において、共振器の延びる方向(B方向)に沿って半導体レーザ素子50の反りに応じてH4(約1μm)からH3(約3μm)(図3参照)に変化するように形成することによって、厚みを変化させた導電性接着層60によって、半導体レーザ素子50の基板100と、基板100を固定する基台70との間に形成される隙間を半導体レーザ素子50の反りに応じて効率よく埋めることができるので、容易に、半導体レーザ素子50を、反りの矯正を行うことなく基台70に固定することができる。
また、第1実施形態では、半導体レーザ素子50を基台70に固定する際の導電性接着層60を、半田からなる融着層により構成することによって、半田溶融時の特性により、容易に、厚みを変化させた融着層を形成することができる。
また、第1実施形態では、半導体レーザ素子50を、n型AlGaNクラッド層111、GaInNからなる活性層112およびp型AlGaNクラッド層113などの窒化物系半導体層を有する半導体レーザ素子部110を含む。このように、エピタキシャル成長時に反りが発生しやすい窒化物系半導体層を有する半導体レーザ素子部110を基台70に固定する場合でも、上記第1実施形態による構成を用いれば、容易に、反りの矯正に起因するレーザ特性の劣化および半導体レーザ素子部110の破損を抑制することができるとともに、半導体レーザ素子部110内部の発熱温度分布を均一化させることができる。
また、第1実施形態では、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍に設けるように構成することによって、共振器内のレーザ光が光出射面110aから出射する際に、レーザ光の一部が光出射面110aの表面形状(凹凸形状)によって散乱することに起因する発熱を、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離が実質的に最も大きい領域(導電性接着層60の厚みが実質的にH3(図3参照)である領域)近傍に設けられたワイヤボンド部115aを介して効率よく空気中に拡散(放熱)させることができる。
また、第1実施形態では、半導体レーザ素子50を、共振器の光反射面110bの下面側(n側電極101側)が基台70の上面70aと略平行に配置することによって、半導体レーザ素子50を基台70に接合した後の導電性接着層60の厚みなどを測定して、半導体レーザ素子50のレーザ光の出射方向(光出射面110aの位置)を容易に識別することができる。
また、第1実施形態では、ワイヤボンド部115aを、平面的に見て、p側電極115から共振器の幅方向(C方向)に突出するように設けることによって、容易に、リッジ部113aおよびオーミック層116をワイヤボンド時の衝撃荷重から保護することができる。
また、第1実施形態では、半導体レーザ素子50の上面に、共振器の延びる方向(B方向)に沿う共振器の幅方向(図4の矢印C方向)の中心線500(図4の1点鎖線)に対し、所定距離(約20μm)を隔てて中心線500と略平行に延びるとともに、オーミック層116を介してp側電極115に接続されるリッジ部113aを形成し、かつ、ワイヤボンド部115aを、リッジ部113aが形成されていない領域の絶縁膜114(図5参照)の上面上に設けるように構成することによって、ワイヤボンド部115aの直下にはリッジ部113aおよびオーミック層116が配置されていないので、Auワイヤ90のワイヤボンド時に、ワイヤボンド部115aに上方から加えられる衝撃荷重がリッジ部113aおよびオーミック層116に対して直接的に加わらない。これにより、リッジ部113aおよびオーミック層116をワイヤボンド時の衝撃荷重から保護することができる。
また、第1実施形態では、リッジ部113aとワイヤボンド部115aとを、共振器の幅方向(図4のC方向)における半導体レーザ素子50の略中央部(中心線500の近傍領域)を挟んで互いに反対の方向に形成することによって、リッジ部113aが中心線500からC方向の一方側にずらされた分だけワイヤボンド部115aを中心線500により近づけて配置することができる。これにより、ワイヤボンド時に、ワイヤボンド部115aに上方から加えられる衝撃荷重が、半導体レーザ素子50の共振器の幅方向(図4のC方向)に偏って加えられるのを抑制することができる。
図9は、図4に示した第1実施形態の効果を確認するためのシミュレーションにおける半導体レーザ素子上のワイヤボンド部の位置を示した図である。図10は、図4に示した第1実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションの結果を示した図である。次に、図3、図4、図9および図10を参照して、上記第1実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションについて説明する。
このシミュレーションでは、まず、図9に示すように、上記した第1実施形態に対応する実施例1による半導体レーザ素子50(図3および図4参照)のレーザ動作時の熱放散モデルを作成した。また、比較例1〜3として、それぞれ図9に示すような位置にワイヤボンド部115aを設けた半導体レーザ素子50のレーザ動作時の熱放散モデルを作成した。具体的には、比較例1では、ワイヤボンド部115aを、共振器の延びる方向の実質的に中央部近傍に設けた熱放散モデルを作成した。また、比較例2では、ワイヤボンド部115aを、共振器の延びる方向の光出射面110aに対応する位置近傍に設けた熱放散モデルを作成した。また、比較例3では、ワイヤボンド部115aを、共振器の延びる方向に沿って全面に配置した熱放散モデルを作成した。なお、本シミュレーションでは、半導体レーザ素子部110(図3参照)から基台70(図3参照)への熱放散と、半導体レーザ素子部110(図3参照)からp側電極115およびワイヤボンド部115aを介して空気中への熱放散とを考慮した熱放散モデルにより、半導体レーザ素子部110の発熱温度分布を計算した。
そして、上記実施例1、比較例1、比較例2および比較例3による半導体レーザ素子50の、レーザ動作時における半導体素子部の発熱温度分布を計算した。これらのシミュレーション結果を図10に示す。
図10に示すように、比較例1および2では、半導体レーザ素子部110に、共振器の延びる方向に発熱温度分布が生じる結果が得られた。これは、半導体レーザ素子部110と基台70との間の導電性接着層60の厚みが大きい領域(光出射面110a近傍(図3参照))では、導電性接着層60の厚みが小さい領域(光反射面110b近傍(図3参照))と比べて相対的に放熱性能が劣るために、この領域の発熱温度がより高くなると考えられる。また、比較例3においても、ワイヤボンド部115aが共振器の延びる方向に一様に形成されているために、上記比較例1および2のような発熱温度分布を改善することはできず、上記比較例1および2とほぼ同様の発熱温度分布が得られた。これに対し、上記実施例1では、共振器の延びる方向の発熱温度分布が実質的に均一となる予測結果が得られた。これは、相対的に放熱性能の劣る導電性接着層60の厚みが大きい領域(光出射面110a近傍)にワイヤボンド部115aを設けることによって、p側電極115が空気と触れる面積が他の領域(導電性接着層60の厚みが相対的に小さい共振器中央部近傍および光反射面110b近傍)と比べて増加するために、放熱性能が改善されたためと考えられる。この結果から、上記実施例1では、半導体レーザ素子110内の発熱温度分布を均一化させることができるのが確認された。
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。図12は、図11に示した第2実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した平面図である。図13は、図11に示した第2実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した斜視図である。図11〜図13を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子50が、共振器の光反射面110b近傍における基台70との間の距離が、光出射面110a近傍における距離よりも大きくなるように基台70に固定されている場合について説明する。
第2実施形態による半導体レーザ装置130では、図11および図13に示すように、上記第1実施形態と同様に、半導体レーザ素子50が、半導体レーザ素子50の反りの凸側(基板100側)と、基台70との間の距離が、共振器の延びる方向(B方向)に沿って変化するように、AuSnなどの導電性接着層140(図11参照)を介して、基台70に固定されている。
また、第2実施形態では、図11に示すように、半導体レーザ素子50は、半導体レーザ素子50の共振器の光反射面110b近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H5(導電性接着層140の厚み:約3μm)が、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H6(導電性接着層140の厚み:約1μm)よりも大きくなるように導電性接着層140を形成することにより、基板100側が基台70に対して導電性接着層140を介して固定されている。
また、図11に示すように、半導体レーザ素子50の光出射面110a側は、基台70の上面70aと略平行に配置されている。すなわち、半導体レーザ素子50は、光出射面110aにおいて出射されるレーザ光の方向が、基台70の上面70aの延びる方向と略平行になるように配置されている。
また、第2実施形態では、図12および図13に示すように、半導体レーザ素子50のp側電極115に設けられたワイヤボンド部115aは、光反射面110b近傍に対応するように設けられている。すなわち、ワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離のうち、実質的に最も大きい距離を有する領域近傍(導電性接着層140の厚みが実質的にH5(図11参照)である領域)に対応するp側電極115の部分に設けられている。
また、第2実施形態では、図12および図13に示すように、半導体レーザ素子50のリッジ部113aおよびp側電極115は、半導体レーザ素子50の共振器の幅方向(C方向)の中心線500(1点鎖線)(図12参照)から所定距離(約20μm)を隔てて中心線500と略平行に延びるように半導体レーザ素子部110の上面側に形成されている。また、ワイヤボンド部115aは、リッジ部113aの直上にオーミック層116を介して形成されたp側電極115から半導体レーザ素子50の矢印C方向に突出するとともに、中心線500(図12参照)を横断してリッジ部113bが形成されていない領域の絶縁膜114の上面上に設けられている。
なお、第2実施形態による半導体レーザ装置130のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
図14は、本発明の第2実施形態による半導体レーザ装置を備えた半導体レーザの製造プロセスを説明するための図である。次に、図2および図11〜図14を参照して、第2実施形態による半導体レーザ装置130の製造プロセスについて説明する。
まず、上記第1実施形態と同様の製造プロセスにより、半導体レーザ素子50を形成する。
次に、第2実施形態では、図11に示すように、半導体レーザ素子50の共振器の光反射面110b近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H5(導電性接着層140の厚み:約3μm)が、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H6(導電性接着層140の厚み:約1μm)よりも大きくなるように、半導体レーザ素子50の反りの凸側(基板100側)を基台70に対してダイボンドする。このとき、同時に、基台70をステム80の台座部82(図2参照)に固定する。
また、第2実施形態では、図14に示すように、導電性接着層140の厚みが、共振器の長さ方向(B方向)に3通り(3段階)に変化させるようにして基台70の上面70aに配置する。すなわち、半田からなる導電性接着層140を、光出射面110a近傍(厚み:約1μm)から光反射面110bに向かって段階的に厚みを増す(光反射面110b近傍では厚み約3μm)ように、基台70の上面70aに配置する。
そして、図14に示すように、上記第1実施形態と同様のプロセスを用いて、半導体レーザ素子50の反りの凸側(基板100側)を基台70にダイボンドする。このとき、半導体レーザ素子50の光出射面110a近傍をコレット120によりP方向に押圧した状態では、コレット120により押圧された領域(半導体レーザ素子50の光出射面110a側)の導電性接着層140は、溶融しながらコレット120により押圧されていない領域(半導体レーザ素子50の光反射面110b側)に移動するとともに、光反射面110b側の半導体レーザ素子50と基台70との間の導電性接着層140も熱伝導により溶融する。この結果、図11に示すように、導電性接着層140が半導体レーザ素子50の反り形状に対応して厚みをH6からH5(図9参照)に変化させる。すなわち、第2実施形態においても、半導体レーザ素子50の反りを矯正することなく半導体レーザ素子50の反りに応じて導電性接着層140の厚みが変化することにより、基台70に固定される。
なお、第2実施形態のその他の製造プロセスは、上記第1実施形態の製造プロセスと同様である。このようにして、第2実施形態による半導体レーザ装置130を備えた半導体レーザが製造される。
第2実施形態では、上記のように、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子50の共振器の光反射面110b近傍に設けるように構成することによって、レーザ光の発振時に、共振器内のレーザ光が光反射面110bにおいて反射する際、レーザ光の一部が光反射面110bによって吸収されることに起因するリッジ部113aの発熱を、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離が実質的に最も大きい領域(導電性接着層140の厚みが実質的にH5(約3μm)(図11参照)である領域)近傍に設けられたワイヤボンド部115aを介して効率よく空気中に拡散(放熱)させることができる。これにより、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離が小さい領域(導電性接着層140の厚みが実質的にH6(約1μm)(図11参照)である領域)における半導体レーザ素子部110から基台70への放熱性能と同等の放熱性能を得ることができるので、半導体レーザ素子50内の発熱温度分布を均一化させることができる。
また、第2実施形態では、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子50の共振器の光反射面110b近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H5が、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H6よりも大きい領域近傍に対応するp側電極115の部分の近傍に設けることによって、形成後の半導体レーザ素子50を平面的に観察することによって、ワイヤボンド部115aの形成されている位置が共振器の光反射面110b側であることが認識できる。これにより、半導体レーザ素子50のレーザ光の出射方向(光出射面110aの位置)を容易に識別することができる。
また、第2実施形態では、半導体レーザ素子50を、共振器の光出射面110aの下面側(n側電極101側)が基台70の上面70aと略平行に配置することによって、光出射面110aから出射されるレーザ光の出射方向が基台70の表面70aに対して上側に傾斜した状態で配置されるのを抑制することができる。この結果、半導体レーザ素子50から出射されるレーザ光の出射方向がばらつくのを抑制することができるので、半導体レーザ装置40の組立歩留りを向上させることができる。
また、第2実施形態においても、p側電極115およびリッジ部113aを、半導体レーザ素子50の共振器の延びる方向(図12の矢印B方向)に沿う共振器の幅方向(図12の矢印C方向)の中心線500(図12の1点鎖線)に対し、所定距離(約20μm)を隔てて中心線500と略平行に延びるように半導体レーザ素子部の上面に形成するとともに、ワイヤボンド部115aを、リッジ部113が形成されていない領域の絶縁膜114(図13参照)の上面上に設けるように構成することによって、ワイヤボンド部115aの直下にはリッジ部113aおよびオーミック層116が配置されていないので、Auワイヤ90のワイヤボンド時に、ワイヤボンド部115aに上方から加えられる衝撃荷重がリッジ部113aおよびオーミック層116に対して直接的に加わらない。これにより、リッジ部113aおよびオーミック層116をワイヤボンド時の衝撃荷重から保護することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
図15は、図12に示した第2実施形態の効果を確認するためのシミュレーションにおける半導体レーザ素子上のワイヤボンド部の位置を示した図である。図16は、図12に示した第2実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションの結果を示した図である。次に、図11、図12、図15および図16を参照して、上記第2実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションについて説明する。
このシミュレーションでは、まず、図15に示すように、上記した第2実施形態に対応する実施例2による半導体レーザ素子50(図11および図12参照)のレーザ動作時の熱放散モデルを作成した。また、比較例4および5として、それぞれ図15に示すような位置にワイヤボンド部115aを設けた半導体レーザ素子50のレーザ動作時の熱放散モデルを作成した。具体的には、比較例4では、ワイヤボンド部115aを、共振器の延びる方向の実質的に中央部近傍に設けた熱放散モデルを作成した。また、比較例5では、ワイヤボンド部115aを、共振器の延びる方向の光出射面110aに対応する位置近傍に設けた熱放散モデルを作成した。なお、本シミュレーションでは、半導体レーザ素子部110(図11参照)から基台70(図11参照)への熱放散と、半導体レーザ素子部110(図11参照)からp側電極115およびワイヤボンド部115aを介して空気中への熱放散とを考慮した熱放散モデルにより、半導体レーザ素子部110の発熱温度分布を計算した。
そして、上記実施例2、比較例4および比較例5による半導体レーザ素子50の、レーザ動作時における半導体素子部の発熱温度分布を計算した。これらのシミュレーション結果を図16に示す。
図16に示すように、比較例4および5では、半導体レーザ素子部110に、共振器の延びる方向に発熱温度分布が生じる結果が得られた。これは、半導体レーザ素子部110と基台70との間の導電性接着層140の厚みが大きい領域(光反射面110b近傍(図11参照))では、導電性接着層140の厚みが小さい領域(光出射面110a近傍(図11参照))と比べて相対的に放熱性能が劣るために、この領域の発熱温度がより高くなると考えられる。これに対し、上記実施例2では、共振器の延びる方向の発熱温度分布が実質的に均一となる予測結果が得られた。これは、相対的に放熱性能の劣る導電性接着層140の厚みが大きい領域(光反射面110b近傍)にワイヤボンド部115aを設けることによって、p側電極115が空気と触れる面積が他の領域(導電性接着層140の厚みが相対的に小さい共振器中央部近傍および光出射面110a近傍)と比べて増加するために、放熱性能が改善されたためと考えられる。この結果から、上記実施例2においても、半導体レーザ素子110内の発熱温度分布を均一化させることができるのが確認された。
(第3実施形態)
図17は、本発明の第3実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。図18は、図17に示した第3実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した平面図である。図19は、図17に示した第3実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した斜視図である。図17〜図19を参照して、この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子50が、共振器の光出射面110a近傍および光反射面110b近傍における基台70との間の距離が、共振器中央部近傍における基台70との間の距離よりも大きくなるように基台70に固定されている場合について説明する。
第3実施形態による半導体レーザ装置150では、図17および図19に示すように、上記第1および第2実施形態と同様に、半導体レーザ素子50が、半導体レーザ素子50の反りの凸側(基板100側)と、基台70との間の距離が、共振器の延びる方向(B方向)に沿って変化するように、AuSnなどの導電性接着層160(図17参照)を介して、基台70に固定されている。
また、第3実施形態では、図17に示すように、半導体レーザ素子50は、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍および光反射面110b近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H7(導電性接着層160の厚み:約3μm)が、共振器中央部近傍における基台70との間の距離H8(導電性接着層160の厚み:約1μm)よりも大きくなるように導電性接着層160を形成することにより、基板100側が基台70に対して導電性接着層160を介して固定されている。
また、図17に示すように、半導体レーザ素子50の共振器中央部近傍は、基台70の上面70aと略平行に配置されている。すなわち、半導体レーザ素子50は、共振器中央部近傍において透過するレーザ光の方向が、基台70の上面70aの延びる方向と略平行になるように配置されている。
また、第3実施形態では、図18および図19に示すように、半導体レーザ素子50のp側電極115に設けられたワイヤボンド部115aは、共振器の光出射面110a近傍および光反射面110b近傍に対応するようにそれぞれ設けられている。すなわち、ワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離のうち、実質的に最も大きい距離を有する領域(導電性接着層160の厚みが実質的にH7(図17参照)である領域)近傍に対応するp側電極115の部分(2箇所)に設けられている。なお、図18および図19では、Auワイヤ90をB方向の光出射面110a近傍にワイヤボンドした例を示している。
また、第3実施形態では、図18および図19に示すように、半導体レーザ素子50のリッジ部113aおよびp側電極115は、半導体レーザ素子50の共振器の幅方向(C方向)の中心線500(1点鎖線)(図18参照)から所定距離(約20μm)を隔てて中心線500と略平行に延びるように半導体レーザ素子部110の上面側に形成されている。また、ワイヤボンド部115aは、リッジ部113aの直上にオーミック層116を介して形成されたp側電極115から半導体レーザ素子50の矢印C方向に突出するとともに、中心線500(図18参照)を横断してリッジ部113bが形成されていない領域の絶縁膜114の上面上に設けられている。
なお、第3実施形態による半導体レーザ装置150のその他の構造は、上記第1および第2実施形態と同様である。
図20は、本発明の第3実施形態による半導体レーザ装置を備えた半導体レーザの製造プロセスを説明するための図である。次に、図2および図17〜図20を参照して、第3実施形態による半導体レーザ装置150の製造プロセスについて説明する。
まず、上記第1および第2実施形態と同様の製造プロセスにより、半導体レーザ素子50を形成する。
次に、第3実施形態では、図17に示すように、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍および光反射面110b近傍における半導体レーザ素子50と基台70との間の距離H7(導電性接着層160の厚み:約3μm)が、共振器中央部近傍における基台70との間の距離H8(導電性接着層160の厚み:約1μm)がよりも大きくなるように半導体レーザ素子50の反りの凸側(基板100側)を基台70に対してダイボンドする。このとき、同時に、基台70をステム80の台座部82(図2参照)に固定する。
また、第3実施形態では、図20に示すように、導電性接着層160の厚みが、共振器の長さ方向(B方向)に2通り(2段階)に変化させるようにして基台70の上面70aに配置する。すなわち、半田からなる導電性接着層160を、共振器中央部近傍(厚み:約1μm)から光出射面110aおよび光反射面110bに向かって段階的に厚みを増す(共振器端部では厚み約3μm)ように、基台70の上面70aに配置する。
そして、図20に示すように、上記第1および第2実施形態と同様のプロセスを用いて、半導体レーザ素子50の反りの凸側(基板100側)を基台70にダイボンドする。このとき、半導体レーザ素子50の共振器中央部近傍をコレット120によりP方向に押圧した状態では、コレット120により押圧された領域(半導体レーザ素子50の共振器中央部近傍)の導電性接着層160は、溶融しながらコレット120により押圧されていない領域(光出射面110a側および光反射面110b側)に移動するとともに、光出射面110a側および光反射面110b側の半導体レーザ素子50と基台70との間の導電性接着層160も熱伝導により溶融する。この結果、図17に示すように、導電性接着層160が半導体レーザ素子50の反り形状に対応して厚みをH8からH7(図17参照)に変化させる。すなわち、第3実施形態においても、半導体レーザ素子50の反りを矯正することなく半導体レーザ素子50の反りに応じて導電性接着層160の厚みが変化することにより、基台70に固定される。
なお、第3実施形態のその他の製造プロセスは、上記第1および第2実施形態の製造プロセスと同様である。このようにして、第3実施形態による半導体レーザ装置150を備えた半導体レーザが製造される。
第3実施形態では、上記のように、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子50の共振器の光出射面110a近傍および光反射面110b近傍に複数(2箇所)設けることによって、レーザ光の発振時に、レーザ光発光に伴う発熱(光出射面110aにおけるレーザ光の散乱による発熱および光反射面110bにおけるレーザ光の吸収によるリッジ部113aの発熱)を、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離が最も大きい領域(導電性接着層160の厚みが実質的にH7(約3μm)(図17参照)である領域)近傍に設けられた2箇所のワイヤボンド部115aを介して、効率よく空気中に拡散(放熱)することができる。これにより、半導体レーザ素子50と基台70との間の距離が小さい共振器中央部近傍(導電性接着層160の厚みが実質的にH8(約1μm)(図17参照)である領域)における半導体レーザ素子部110から基台70への放熱性能と同等の放熱性能を得ることができるので、半導体レーザ素子50内の発熱温度分布を均一化させることができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
図21は、図18に示した第3実施形態の効果を確認するためのシミュレーションにおける半導体レーザ素子上のワイヤボンド部の位置を示した図である。図22は、図18に示した第3実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションの結果を示した図である。次に、図17、図18、図21および図22を参照して、上記第3実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションについて説明する。
このシミュレーションでは、まず、図21に示すように、上記した第3実施形態に対応する実施例3による半導体レーザ素子50(図17および図18参照)のレーザ動作時の熱放散モデルを作成した。また、比較例6および7として、それぞれ図21に示すような位置にワイヤボンド部115aを設けた半導体レーザ素子50のレーザ動作時の熱放散モデルを作成した。具体的には、比較例6では、ワイヤボンド部115aを、共振器の延びる方向の光出射面110aに対応する位置近傍に設けた熱放散モデルを作成した。また、比較例7では、ワイヤボンド部115aを、共振器の延びる方向の光反射面110bに対応する位置近傍に設けた熱放散モデルを作成した。なお、本シミュレーションでは、半導体レーザ素子部110(図17参照)から基台70(図17参照)への熱放散と、半導体レーザ素子部110(図17参照)からp側電極115およびワイヤボンド部115aを介して空気中への熱放散とを考慮した熱放散モデルにより、半導体レーザ素子部110の発熱温度分布を計算した。
そして、上記実施例3、比較例6および比較例7による半導体レーザ素子50の、レーザ動作時における半導体素子部の発熱温度分布を計算した。これらのシミュレーション結果を図22に示す。
図22に示すように、比較例6および7では、半導体レーザ素子部110に、共振器の延びる方向に発熱温度分布が生じる結果が得られた。これは、半導体レーザ素子部110と基台70との間の導電性接着層160の厚みが大きい領域(光出射面110a近傍および光反射面110b近傍(図17参照))では、導電性接着層160の厚みが小さい領域(共振器中央部近傍(図17参照))と比べて相対的に放熱性能が劣るために、この領域の発熱温度がより高くなると考えられる。これに対し、上記実施例3では、共振器の延びる方向の発熱温度分布が実質的に均一となる予測結果が得られた。これは、相対的に放熱性能の劣る導電性接着層160の厚みが大きい領域(光出射面110a近傍および光反射面110b近傍)にワイヤボンド部115aを設けることによって、p側電極115が空気と触れる面積が他の領域(導電性接着層160の厚みが相対的に小さい共振器中央部近傍)と比べて増加するために、空気中への放熱性能が改善されたためと考えられる。この結果から、上記実施例3においても、半導体レーザ素子110内の発熱温度分布を均一化させることができるのが確認された。
(第4実施形態)
図23および図24は、それぞれ、本発明の第4実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した平面図および断面図である。図3、図23および図24を参照して、この第4実施形態では、上記第1実施形態と異なり、共振器の延びる方向(B方向)に加えてレーザ素子の幅方向(共振器の延びる方向と直交する方向(C方向))にも反りを有する半導体レーザ素子95を、基台70に固定する場合について説明する。なお、C方向は、本発明の「第2方向」の一例である。また、図24は、図23に示した半導体レーザ装置170の300−300線に沿った断面図である。
第4実施形態による半導体レーザ装置170を備えた半導体レーザでは、図23および図24に示すように、半導体レーザ素子95が、AuSnなどの導電性接着層60(図24参照)を介して、基台70に固定されている。また、半導体レーザ素子95は、約800μmの幅(W5)と、約900μmの長さ(L4)と、約100μmの厚み(t1)とを有する。また、基台70は、約900μmの幅(W4)と、約1000μmの長さ(L5)と、約250μmの厚み(t3)とを有する。なお、半導体レーザ素子95の共振器の延びる方向(B方向)に沿った断面形状は、図3に示した半導体レーザ素子50の断面形状と同様の断面形状を有している。
ここで、第4実施形態では、図24に示すように、半導体レーザ素子95は、共振器の延びる方向(B方向)に加えて、共振器の幅方向(C方向)に沿っても約0.5μm〜約3μmの反りを有する。したがって、半導体レーザ素子95は、上面(第1主面)側が凹状であり、下面(第2主面)側が凸状になるような反りを有するので、半導体レーザ素子部110は、基板100とは反対側の表面が共振器の幅方向(C方向)にも凹状に形成されている。これにより、半導体レーザ素子95は、B方向およびC方向における反りの凸側(基板100側)が基台70に固定されている。
また、図24に示すように、半導体レーザ素子95の共振器端面(光出射面110aまたは光反射面110b)に沿った方向(C方向)の中央部近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(導電性接着層60の厚み)H9は、半導体レーザ素子95の共振器端面に沿った方向(C方向)の端部95aおよび95b近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(導電性接着層60の厚み)H10よりも小さい。
ここで、第4実施形態では、図23に示すように、半導体レーザ素子95のp側電極115に設けられたワイヤボンド部115aは、光出射面110a近傍の絶縁膜114の上面上に設けられている。すなわち、ワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子95と基台70との間の距離のうち、実質的に最も大きい距離を有する領域近傍(導電性接着層60の厚みが実質的にH3(図3参照)である領域)に対応するp側電極115の部分に設けられている。
また、ワイヤボンド部115aは、図24に示すように、C方向に沿った半導体レーザ素子95と基台70との間の距離のうち、実質的に最も小さい距離を有する領域近傍(導電性接着層60の厚みが実質的にH9である領域)に対応するp側電極115の部分に設けられている。すなわち、ワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子95のC方向の略中央部近傍に対応するp側電極115の部分の近傍に設けられている。
また、第4実施形態では、図23に示すように、半導体レーザ素子95のリッジ部113aおよびp側電極115は、半導体レーザ素子95の共振器の幅方向(C方向)の中心線500(1点鎖線)から所定距離(約20μm)を隔てて中心線500と略平行に延びるように形成されている。また、ワイヤボンド部115aは、リッジ部113aの直上にオーミック層116を介して形成されたp側電極115から半導体レーザ素子95の幅方向(C方向)に突出するとともに、中心線500を横断してリッジ部113bが形成されていない領域の絶縁膜114の上面上に設けられている。
なお、第4実施形態による半導体レーザ装置170のその他の構造および製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
第4実施形態では、上記のように、半導体レーザ素子95を、半導体レーザ素子95の反りの凸側と基台70との間の距離が、共振器の延びる方向(B方向)および共振器の幅方向(C方向)に沿って半導体レーザ素子95の反りに応じて変化するように基台70に固定することによって、半導体レーザ素子95の反りにB方向のみならずC方向にもばらつきがあったとしても、半導体レーザ素子95を、半導体レーザ素子95自体の反りを矯正することなく基台70に対して固定することができる。これにより、半導体レーザ素子95に反りの矯正に起因する過度な応力が発生するのを抑制することができる。これにより、レーザ特性の劣化および半導体レーザ素子95(半導体レーザ素子部110)の破損が発生するのを抑制することができる。
また、第4実施形態では、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子95のC方向の略中央部(中心線500の近傍領域)に対応するp側電極115の部分の近傍に設けることによって、上記第1実施形態の効果である半導体レーザ素子95内の発熱温度分布を均一化させる効果に加えて、半導体レーザ素子95の基台70の上面70aに対するC方向の傾きが最も小さい領域に設けられたワイヤボンド部115aにAuワイヤ90のワイヤボンドを行うことができるので、半導体レーザ素子95のC方向の傾きが大きい領域に対応したp側電極115の部分にワイヤボンドを行う場合と異なり、半導体レーザ素子95に対してワイヤボンド時に過度な応力が加わるのが抑制される。これにより、レーザ特性の劣化および半導体レーザ素子95(半導体レーザ素子部110)の破損が発生するのをより抑制することができる。
また、第4実施形態では、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子95のC方向の略中央部近傍に対応するp側電極115の部分の近傍に設けることによって、ワイヤボンド部115aが半導体レーザ素子95のC方向の端部95aまたは95bの近傍に対応するp側電極115の部分に設けられている場合と比べて、Auワイヤ90をワイヤボンドする際のC方向の取付寸法誤差をより大きく許容することができる。これにより、半導体レーザ装置40の組立歩留りを向上させることができる。
また、第4実施形態では、リッジ部113aとワイヤボンド部115aとを、共振器の幅方向(C方向)における半導体レーザ素子95の略中央部(中心線500の近傍領域)を挟んで互いに反対の方向に形成することによって、リッジ部113aが中心線500からC方向の一方側にずらされた分だけワイヤボンド部115aを中心線500により近づけて配置することができる。これにより、半導体レーザ素子95の基台70の上面70aに対する傾きがC方向にも最も小さい領域に設けられたワイヤボンド部115aにワイヤボンドを行うことができる。また、ワイヤボンド時に、ワイヤボンド部115aに上方から加えられる衝撃荷重が、半導体レーザ素子95の幅方向(C方向)に偏って加えられるのを抑制することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図25は、本発明の第5実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した平面図である。図11、図24および図25を参照して、この第5実施形態における半導体レーザ装置180では、上記第4実施形態と異なり、半導体レーザ素子95が、共振器の光反射面110b近傍における基台70との間の距離が、光出射面110a近傍における距離よりも大きくなるように基台70に固定されている場合について説明する。
ここで、第5実施形態による半導体レーザ装置180では、図11に示した半導体レーザ素子50のB方向の断面形状と同様に、半導体レーザ素子95は、共振器の光反射面110b近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(図11の距離H5に相当する)が、共振器の光出射面110a近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(図11の距離H6に相当する)よりも大きくなるように形成された導電性接着層60を介して基台70に固定されている。
また、図24に示した半導体レーザ素子95のC方向の断面形状と同様に、共振器端面(光出射面110aまたは光反射面110b)に沿った方向(C方向)の中央部近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(図24の距離H9に相当する)は、共振器端面に沿った方向(C方向)の端部95aおよび95b近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(図24の距離H10に相当する)よりも小さい。
ここで、第5実施形態では、図25に示すように、半導体レーザ素子95のp側電極115に設けられたワイヤボンド部115aは、光反射面110b近傍の絶縁膜114の上面上に設けられている。すなわち、ワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子95と基台70との間の距離のうち、実質的に最も大きい距離を有する領域近傍(導電性接着層60の厚みが実質的にH5(図11参照)である領域)に対応するp側電極115の部分に設けられている。
また、ワイヤボンド部115aは、図24に示した断面形状と同様に、半導体レーザ素子95と基台70との間のC方向に沿った距離のうち、実質的に最も小さい距離を有する領域近傍(導電性接着層60の厚みが実質的にH9である領域)に対応するp側電極115の部分に設けられている。すなわち、ワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子95のC方向の略中央部近傍に対応するp側電極115の部分の近傍に設けられている。
なお、第5実施形態による半導体レーザ装置180のその他の構造および製造プロセスは、上記第4実施形態と同様である。
第5実施形態では、上記のように、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子95のC方向の略中央部(中心線500の近傍領域)に対応するp側電極115の部分の近傍に設けることによって、上記第2実施形態の効果である半導体レーザ素子95内の発熱温度分布を均一化させる効果に加えて、半導体レーザ素子95の基台70の上面70aに対するC方向の傾きが最も小さい領域に設けられたワイヤボンド部115aにAuワイヤ90のワイヤボンドを行うことができるので、半導体レーザ素子95のC方向の傾きが大きい領域に対応したp側電極115の部分にワイヤボンドを行う場合と異なり、半導体レーザ素子95に対してワイヤボンド時に過度な応力が加わるのが抑制される。これにより、レーザ特性の劣化および半導体レーザ素子95(半導体レーザ素子部110)の破損が発生するのをより抑制することができる。なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第2および第4実施形態と同様である。
(第6実施形態)
図26は、本発明の第6実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した平面図である。図17、図24および図26を参照して、この第6実施形態における半導体レーザ装置190では、上記第4実施形態と異なり、半導体レーザ素子95が、共振器の中央部近傍における基台70との間の距離が、共振器の光反射面110b近傍および光出射面110a近傍における基台70との間の距離よりも小さくなるように基台70に固定されている場合について説明する。
ここで、第6実施形態による半導体レーザ装置190では、図17に示した半導体レーザ素子50のB方向の断面形状と同様に、半導体レーザ素子95は、共振器の中央部近傍における基台70との間の距離(図17の距離H7に相当する)が、共振器の光反射面110b近傍および光出射面110a近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(図17の距離H8に相当する)よりも小さくなるように形成された導電性接着層60を介して基台70に固定されている。
また、図24に示した半導体レーザ素子95のC方向の断面形状と同様に、共振器端面(光出射面110aまたは光反射面110b)に沿った方向(C方向)の中央部近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(図18の距離H9に相当する)は、共振器端面に沿った方向(C方向)の端部95a近傍における半導体レーザ素子95と基台70との間の距離(図24の距離H10に相当する)よりも小さい。
ここで、第6実施形態では、図26に示すように、半導体レーザ素子95のp側電極115に設けられたワイヤボンド部115aは、共振器の光出射面110a近傍および光反射面110b近傍に対応するようにそれぞれ設けられている。すなわち、ワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子95と基台70との間の距離のうち、実質的に最も大きい距離を有する領域(導電性接着層60の厚みが実質的にH7(図17参照)である領域)近傍に対応するp側電極115の部分(2箇所)に設けられている。なお、図26では、Auワイヤ90をB方向の光出射面110a近傍にワイヤボンドした例を示している。
なお、2箇所のワイヤボンド部115aは、図24に示した断面形状と同様に、半導体レーザ素子95と基台70との間のC方向に沿った距離のうち、実質的に最も小さい距離を有する領域近傍(導電性接着層60の厚みが実質的にH9である領域)に対応するp側電極115の部分にそれぞれ設けられている。すなわち、2箇所のワイヤボンド部115aは、半導体レーザ素子95のC方向の略中央部近傍に対応するp側電極115の部分の近傍に設けられている。
なお、第6実施形態による半導体レーザ装置190のその他の構造および製造プロセスは、上記第4実施形態と同様である。
第6実施形態では、上記のように、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子95のC方向の略中央部(中心線500の近傍領域)に対応するp側電極115の部分の近傍に設けることによって、上記第3実施形態の効果である半導体レーザ素子95内の発熱温度分布を均一化させる効果に加えて、半導体レーザ素子95の基台70の上面70aに対するC方向の傾きが最も小さい領域に設けられたワイヤボンド部115aにワイヤボンドを行うことができるので、半導体レーザ素子95のC方向の傾きが大きい領域に対応したp側電極115の部分にAuワイヤ90のワイヤボンドを行う場合と異なり、半導体レーザ素子95に対してワイヤボンド時に過度な応力が加わるのが抑制される。これにより、レーザ特性の劣化および半導体レーザ素子95(半導体レーザ素子部110)の破損が発生するのをより抑制することができる。なお、第6実施形態のその他の効果は、上記第3および第4実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、半導体レーザ素子部を、窒化物系半導体層により構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子部を、窒化物系半導体層以外の半導体層により構成してもよい。
また、上記実施形態では、半導体レーザ素子を基台に固定する融着層を、半田からなる導電性接着層とした例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子を基台に固定する融着層を、半田以外の材料からなる導電性接着層を使用してもよい。
また、上記第1および第4実施形態では、半導体レーザ素子の光反射面側を、基台の上面と略平行に配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子の光反射面側を、基台の上面と略平行に配置しなくてもよい。
また、上記第2および第5実施形態では、半導体レーザ素子の光出射面側を、基台の上面と略平行に配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子の光出射面側を、基台の上面と略平行に配置しなくてもよい。
また、上記第3および第6実施形態では、半導体レーザ素子の共振器中央部近傍を、基台の上面と略平行に配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子の共振器中央部近傍を、基台の上面と略平行に配置しなくてもよい。
また、上記実施形態では、半導体レーザ素子を基台に固定する際に、コレットを用いて半導体レーザ素子を基台に押圧した例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子を基台に固定する際に、コレット以外の部材を用いて半導体レーザ素子を基台に押圧してもよい。
また、上記実施形態では、製造プロセスにおいて、導電性接着層の厚みを、共振器の長さ方向に3通り(3段階)および2通り(2段階)に変化させるようにして基台の上面に配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、導電性接着層の厚みを、共振器の長さ方向に3通り(3段階)および2通り(2段階)以外に変化させるようにして基台の上面に配置してもよい。
また、上記実施形態では、p側電極115およびワイヤボンド部115aの厚みを同じ厚み(約5.2μm)であるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ワイヤボンド部115aの厚みをp側電極115と異なる厚みに形成するようにしてもよい。この変形例のように構成すれば、ワイヤボンド部115aにおける空気との接触面積を最適化することにより、ワイヤボンド部115aから空気中への放熱性能(熱伝達率)をより向上させることができるので、半導体レーザ素子内の発熱温度分布を、より一層均一化させることができる。
また、上記実施形態では、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子の幅方向(C方向)の略中央部近傍に設けられたリッジ部113aに対応するp側電極115の部分の近傍に設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子の幅方向(C方向)に反りを有する半導体レーザ素子のリッジ部113aが、半導体レーザ素子のC方向の端部と基台との距離が実質的に最も大きい距離を有するように基台に固定される場合には、ワイヤボンド部を、リッジ部が形成される半導体レーザ素子のC方向の端部近傍に対応するp側電極の部分の近傍に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子と基台70とのB方向に沿った距離が実質的に最も大きい距離を有する領域近傍に対応する位置に設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、ワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子と基台70との距離が実質的に最も大きい距離を有する領域近傍に対応するp側電極115の位置の近傍(所定の範囲内の位置)に設けるようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、半導体レーザ素子のp側電極115のワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子と基台70との距離が実質的に最も大きい距離となる領域近傍に対応する位置であり、かつ、p側電極115から半導体レーザ素子の幅方向(C方向)に突出するようにp側電極115に設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、図27に示した第1実施形態の変形例のように、半導体レーザ装置210のワイヤボンド部115aを、半導体レーザ素子50のp側電極115の延びる方向(B方向)の全ての領域にわたって延びるように形成してもよい。なお、図27において、ワイヤボンド部115aを含めたp側電極115は、C方向に約110μmの幅W8を有する。さらに、半導体レーザ素子50の光出射面110a側の近傍領域であり、かつ、ワイヤボンド部115aのうちの半導体レーザ素子50と基台70との距離が実質的に最も大きい距離となる領域近傍に対応する部分の近傍に、Auワイヤを実際にワイヤボンドするためのワイヤボンド部115b(破線枠内)を設けるように構成してもよい。この変形例のように構成すれば、上記第1実施形態の効果に加えて、ワイヤボンド部115aを含むp側電極115の表面積をB方向に沿って増加させることができるので、p側電極115を利用して半導体レーザ素子の放熱性をより向上させることができる。
また、上記第1実施形態の変形例では、ワイヤボンド部115bを、半導体レーザ素子50の光出射面110a側の近傍領域であり、かつ、半導体レーザ素子のp側電極115の半導体レーザ素子と基台70との距離が実質的に最も大きい距離となる領域近傍に対応する部分のワイヤボンド部115aの近傍領域に設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、図28に示した第2実施形態の変形例のように、半導体レーザ装置220のワイヤボンド部115b(破線枠内)を、半導体レーザ素子50の光反射面110b側の近傍領域であり、かつ、半導体レーザ素子50と基台70との距離が実質的に最も大きい距離となる領域近傍に対応する部分のワイヤボンド部115aの近傍領域に設けるように構成してもよい。この変形例のように構成すれば、上記第2実施形態の効果に加えて、ワイヤボンド部115aを含むp側電極115の表面積をB方向に沿って増加させることができるので、半導体レーザ素子の放熱性をより向上させることができる。
また、上記第2実施形態の変形例では、ワイヤボンド部115bを、半導体レーザ素子50の光反射面110b側の近傍領域であり、かつ、半導体レーザ素子50と基台70との距離が実質的に最も大きい距離となる領域近傍に対応する部分のワイヤボンド部115aの近傍領域に設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、図29に示した第3実施形態の変形例のように、半導体レーザ装置230のワイヤボンド部115b(破線枠内)を、半導体レーザ素子50の光出射面110aおよび光反射面110b側の近傍領域であり、かつ、半導体レーザ素子50と基台70との距離が実質的に最も大きい距離となる領域近傍に対応する部分のワイヤボンド部115aの近傍領域にそれぞれ設けるように構成してもよい。この変形例のように構成すれば、上記第3実施形態の効果に加えて、p側電極115の表面積を増加させることができるので、半導体レーザ素子の放熱性をより向上させることができる。
また、上記実施形態では、図2に示すように、1本のAuワイヤ90を用いて半導体レーザ素子50のp側電極115(ワイヤボンド部115a)とステム80側のリード端子83とを接続した例について示したが、本発明はこれに限らず、複数本(たとえば3本など)のAuワイヤを用いてp側電極115とリード端子83とを接続してもよい。この第2変形例のように構成すれば、p側電極115に接続されるAuワイヤの本数が増加するので、上記実施形態および上記実施形態の変形例の効果に加えて、半導体レーザ素子の発熱を、複数のAuワイヤおよびリード端子を介して半導体レーザ装置の外部に効果的に放熱させることができる。