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JP2009098207A - 配向膜およびその製造方法 - Google Patents

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JP2009098207A JP2007266978A JP2007266978A JP2009098207A JP 2009098207 A JP2009098207 A JP 2009098207A JP 2007266978 A JP2007266978 A JP 2007266978A JP 2007266978 A JP2007266978 A JP 2007266978A JP 2009098207 A JP2009098207 A JP 2009098207A
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Yasushi Asao
恭史 浅尾
Hirokatsu Miyata
浩克 宮田
Akira Sakai
明 酒井
Yohei Ishida
陽平 石田
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Abstract

【課題】均一な特性を得られる高品位な画像表示を実現するための配向膜、及び該配向膜を用いた液晶素子および液晶表示装置を提供する。
【解決手段】無機物からなる液晶の配向膜であって、前記配向膜は少なくとも2種類の無機材料を用いて基板上に形成された斜方蒸着膜であって、かつ前記基板上で、前記斜方蒸着の方向に沿って前記少なくとも2種類の無機材料の組成が異なる配向膜、及び該配向膜を用いた液晶素子および液晶表示装置。2種類の無機材料はアルミナおよびシリカである。
【選択図】図8

Description

本発明は、配向膜、その製造方法、該配向膜を用いた液晶素子および液晶表示装置に関する。
現在、液晶表示装置は広く実用化されており、今後ますます普及が促進されるものと考えられている。そして、このような液晶表示装置としては、拡大光学系を用いて液晶素子のサイズよりも大きな画像を観測できる投射型と、液晶素子をそのままのサイズで観測する直視型とに分類することができる。
ここで、投射型液晶表示装置は容易に大画面表示を実現できることから、スクリーンの前面から投射するフロントプロジェクターやスクリーンの背面から投射するリアプロジェクターとして、広く利用されている。なお、この投射型液晶表示装置では、液晶素子として透過型液晶素子や反射型液晶素子が用いられている。
ところで、このような投射型液晶表示装置では、極めて強い光を液晶素子に照射することによって、スクリーンへと投射した時に実用的な明るさを得ることができるようにしている。しかしこのように強い光を照射すると、液晶素子が劣化し、寿命が短くなってしまうという課題があった。
つまり、投射型液晶表示装置では、強い光を連続照射すると液晶素子の電圧保持率が徐々に低下するなどの劣化現象が生じ、これに伴い初期に得られていた表示品位が徐々に低下する。その後さらに強い光を継続して照射すると、ついには正常な表示ができなくなってしまうという課題があることが明らかにされてきた。
そこで、このような課題を解決するための方法として、配向膜として、従来広く用いられてきたポリイミドなどの有機高分子ではなく、無機材料からなる配向膜を用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。ここで、特許文献1によると、有機配向膜は本質的に耐光性が悪いことから、有機配向膜の代わりに無機配向膜を用いることによって耐光性を確保でき、この結果、強い光が照射されることによる表示品位の低下現象を抑制することができる。
一方、直視型の液晶ディスプレイでは従来ガラス基板が用いられてきた。ところがガラス基板は重くて割れ易いという課題がある。その課題に対して、最近はプラスチック基板上にTFT回路を作りこむ技術が開発されつつある。この技術はアモルファスシリコンやポリシリコン、または酸化物半導体の形成プロセスをプラスチックが耐えうる温度(例えば150℃)以下にて製造する技術である。
この低温プロセスからなるプラスチックTFT基板を用いた液晶ディスプレイも試作されている。ところが液晶ディスプレイを実用化するためには、液晶分子を配向させる配向膜も低温で形成させなければならない。ここで、一般的に配向膜としてはポリイミド材料が広く用いられているが、大部分のポリイミド配向膜は焼成温度が200℃程度の高温処理が必要である。したがって、こうしたポリイミド材料を、プラスチック基板が耐えうるような低い温度で適用すると、液晶表示の信頼性低下の原因になる懸念がある。
そこで、配向膜として、従来広く用いられてきたポリイミドなどの有機高分子ではなく、無機材料からなる配向膜を用いることで、上記のいずれの課題も解決することが可能である。つまり前者に関しては、例えば、特許文献1によると、有機配向膜は本質的に耐光性が悪いことから、有機配向膜の代わりに無機配向膜を用いることによって耐光性を確保できる。この結果、強い光が照射されることによる表示品位の低下現象を抑制することができる。またこの無機配向膜は室温で形成することが可能であるため、後者に関する課題に対しても解決が可能である。
この無機配向膜の代表的な成膜法が斜方蒸着法と呼ばれる方法であり、この斜方蒸着法とは1970年代から広く知られている液晶分子の配向制御方法である。なお、この斜方蒸着法では無機蒸着材料として酸化ケイ素が用いられ、この斜方蒸着法においては、蒸着源である酸化ケイ素(以下、SiOxと記す。xは1または2。)を、真空雰囲気下において、高温に加熱したり、電子ビームを照射したりすることによってSiOx分子が蒸発し、このSiOx分子が被蒸着基板へと到達して堆積することによって柱状のSiOx(以下、カラムと言う)が斜め方向に成長する。
その他の無機配向膜の成膜法として、特許文献2に記載のイオンビーム照射による方法が挙げられる。この手法はダイヤモンドライクカーボン(DLC)やアモルファスシリコン(a−Si)、あるいはa−Siに炭素を加えSiCとしたもの、あるいはSi2N3などからなる無機膜に対して、所定角度からイオンを照射することによって液晶の配向を得る手法が開示されている。これによると、イオン照射によって液晶が配向する際のプレチルト角が、用いる配向膜の材質によって異なった値が得られるとの開示がなされている。
ここで、この斜方蒸着のプロセスを図1に示す。このプロセスでは、あたかも点光源から放射した光と同様に、点源から蒸着物が放出される方式であるために、カラムは点源に向かって成長する。これにより、有限の面積を有する被蒸着基板上においてカラムの成長方向が面内で一定とならず、図2に示すように連続的に方向を変えるように形成される。
そこで、その蒸着方向の分布を抑制する手段が、特許文献3に記載されている。これによると、図3に示すように蒸着源と基板との間にスリット8を配置し、図中の矢印に示した方向に基板を一定速度で動かすことによって一定の蒸着方向を有する斜方蒸着膜を形成できることが記載されている。
特開平08−136932号公報 米国特許第6,660,341B2号明細書 特開昭53−84750号公報
ところが、特許文献3に記載されている方法によって蒸着の方位は一定にはなるが、基板面上の蒸着源に近い部分と遠い部分とで蒸着角度に差が生じるという問題が残されている。この角度の差を抑制するためには、蒸着源と基板との距離を極力離して配置すればよい。しかしこの方法だと、装置の巨大化を招き、装置コストが増大するばかりか、真空プロセスのスループットが減少するなど、生産性の悪化も引き起こす懸念がある。
こうした蒸着角度の差は、液晶を配向させたときのプレチルト角(但し、プレチルト角は基板−液晶界面近傍における液晶分子の配向角度を表す。)の差として現れる。プレチルトの差が存在している場合、液晶に電圧を印加したときの閾値電圧に違いが発生する。例えば、ノーマリブラックの垂直配向(VA:Vertically Alignment)モードの場合、閾値電圧が異なることによって、低階調側の表示再現性が著しく悪くなり、高品位な画質を得ることが不可能となる。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、斜方蒸着法によって得られる無機物からなる配向膜を用いた液晶素子において、均一な特性を得られる高品位な画像表示を実現するための配向膜、その製造方法、該配向膜を用いた液晶素子および液晶表示装置を提供するものである。
上記の課題を解決する配向膜は、無機物からなる液晶の配向膜であって、前記配向膜は少なくとも2種類の無機材料を用いて基板上に形成された斜方蒸着膜であって、かつ前記基板上で、前記斜方蒸着の方向に沿って前記少なくとも2種類の無機材料の組成が異なることを特徴とする。
上記の課題を解決する反射型液晶素子は、上記の配向膜を用いたことを特徴とする。
上記の課題を解決する透過型液晶素子は、上記の配向膜を用いたことを特徴とする。
上記の課題を解決する投射型液晶装置は、上記の液晶素子を用いたことを特徴とする。
上記の課題を解決する液晶素子は、上記の配向膜をプラスチック基板上に形成したことを特徴とする。
上記の課題を解決する配向膜の製造方法は、無機物からなる液晶の配向膜を基板上に形成する配向膜の製造方法であって、液晶を前記基板に対して垂直に配向させる無機材料と水平に配向させる無機材料とを含む少なくとも2種類の無機材料を用いて、異なる組成の前記無機材料を配した2つの蒸着源から、基板に対して異なる蒸着角で蒸着することを特徴とする。
本発明の配向膜は、斜方蒸着による成膜時に、用いる無機材料の組成に分布を持たせることによって、蒸着の角度に分布が生じていたとしても、液晶を配向させたときのプレチルト角は分布の無い均一な配向状態を得ることができる。これにより、装置を大型化しなくても均一な特性を得られる無機配向膜を得ることが可能となる。
また、本発明は、上記の配向膜を用いた反射型液晶素子、透過型液晶素子、投射型液晶装置を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る配向膜は、無機物からなる液晶の配向膜であって、前記配向膜は少なくとも2種類の無機材料を用いて基板上に形成された斜方蒸着膜であって、かつ前記基板上で、前記斜方蒸着の方向に沿って前記少なくとも2種類の無機材料の組成が異なることを特徴とする。
前記2種類の無機材料の一方が液晶を前記基板に対して垂直に配向させる無機材料であり、他方が液晶を前記基板に対して水平に配向させる無機材料であって、前記垂直に配向させる無機材料に対する前記水平に配向させる無機材料の組成比が、前記斜方蒸着の蒸着源に近い方で大きくなることが好ましい。
前記無機材料は、アルミナ、シリカ、炭化珪素、窒化珪素のうち少なくともいずれか2種類が用いられることが好ましい。
本発明に係る反射型液晶素子は、上記の配向膜を用いたことを特徴とする。
本発明に係る透過型液晶素子は、上記の配向膜を用いたことを特徴とする。
本発明に係る投射型液晶装置は、上記の液晶素子を用いたことを特徴とする。
本発明に係る液晶素子は、上記の配向膜をプラスチック基板上に形成したことを特徴とする。
本発明に係る配向膜の製造方法は、無機物からなる液晶の配向膜を基板上に形成する配向膜の製造方法であって、液晶を前記基板に対して垂直に配向させる無機材料と水平に配向させる無機材料とを含む少なくとも2種類の無機材料を用いて、異なる組成の前記無機材料を配した2つの蒸着源から、基板に対して異なる蒸着角で蒸着することを特徴とする。
前記液晶を垂直に配向させる無機材料に対する前記液晶を水平に配向させる無機材料の組成比が大きいほうの蒸着源の蒸着角が、前記組成比が小さいほうの蒸着源の蒸着角より大きいことが好ましい。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
既述したように、点源からの蒸着における蒸着角度には面内に分布が生じる。この分布角度に関して以下のように計算することができる。ここでは簡単のため、基板は円形とする。
基板中心における蒸着角度に関して、図4(a)および(b)に示すように基板中心を原点としたとき、原点と蒸着源(点源)とを結ぶ線と基板法線とのなす角をΘとする。また原点と蒸着源を結ぶ線の基板面に対する正射影をy軸とし、基板面上でかつy軸と直交する方向をx軸とする。基板上の任意の点を(x,y)、蒸着源と基板中心との長さをhとすると、(x,y)における蒸着方位φは、次式1で表される。
Figure 2009098207
つまり、基板が配置される位置に依存して、蒸着方向すなわちカラム形成方向が分布を有することがわかる。これが原因で、表示特性の分布が発生する。ここで、y軸に平行なスリットを適用すれば、xの値は常にゼロにすることが可能である。したがって、蒸着方位φは常にゼロであり、方位角の分布は生じない。
一方、蒸着角度に関して、基板面上の蒸着源に近い部分と遠い部分とで蒸着角度に差が生じる。この蒸着角度の最大値および最小値は次式2で表され、この範囲内での分布が発生する。
Figure 2009098207
したがって、蒸着源と基板との距離hを大きくすればするほど分布の量は小さくなる。ところが、これでは上述の通り装置の巨大化という問題が生じる。一方、基板中心からの距離rを小さくすることによっても分布を抑制できる。ところが、これでは小さい面積しか蒸着することが出来ないため、生産性が著しく悪くなる。
そこで本発明者らは、蒸着角に関しては上記の式にしたがって必然的に生じるものと見なし、その蒸着角の分布が生じていたとしても、液晶の表示特性には影響を及ぼさない手段を採用することが有効であると考えた。つまり、本発明では、基板内における配向膜の組成に分布を持たせることによって、蒸着角の分布があっても、それに依存しない構成をとれるようにする。これにより、蒸着角に分布を有していたとしても、プレチルト角のばらつきが抑制された、安定した表示状態を得ることができる。
以上述べたように、従来、斜方蒸着では大面積で安定した特性を得ることが困難とされていたのに対し、蒸着角度に関してはばらつきが存在するものの、本発明の配向膜を用いることによってプレチルト角の分布を減らすことが可能となることから、斜方蒸着による大面積プロセスが可能なる。
これによって、強い光照射に対する耐久性を確保しうる無機配向膜材料を用いた液晶素子において、特性ばらつきが極めて少ない素子を実現することが可能となる。また、室温付近などの低温において配向膜を形成できることから、プラスチック基板上に信頼性の高い配向膜を形成することも容易である。
表1はスパッタ法によってアルミナとシリカを成膜し、その基板を2枚組み合わせて平行セルを作製した後、液晶を注入しクロスニコル下で配向状態を観測した結果を示す表である。なお、このときのスパッタはターゲットと基板とは正対した位置関係にあり、斜め成膜は行っていない。この表1に示すとおり、アルミナは、基板に対して液晶を水平に配向させる性質を持ち,シリカは、基板に対して液晶を垂直に配向させる性質を持つ。配向膜として用いる無機膜の材質によって配向状態が全く異なっていることがわかる。
Figure 2009098207
図5は上記と同様にスパッタ法によりアルミナとシリカ、およびその混合物からなるターゲットを用いて成膜し、同じ条件で成膜された基板を2枚組み合わせて反平行セルを作製した後、液晶を注入しクロスニコル下で分子傾斜角(プレチルト角)を観測した結果を示す結果である。なおこのときスパッタされた材料は基板に斜め方向に到達するような斜めスパッタとし、全ての材料において同じ成膜角度の条件としている。このとき、液晶のプレチルト角を測定すると、シリカの比率が約20%程度まではほぼ平行配向のまま一定であったのに対し、シリカの比率を約30%以上に高めることによって垂直配向に近い結果が得られている。また、更にシリカの比率を高め、シリカ100%にすると、ほぼ完全な垂直配向が得られている。つまり、シリカ比が所定の値以上になると若干傾斜した垂直配向状態が得られ、さらにシリカ比を高めるとその傾斜角が徐々に変化する、という結果となっている。
つまり上記の事実は、同じ成膜条件を用いたとしても垂直配向性の材料と水平配向性の材料との混合比によってプレチルト角が異なるという結果を表している。この結果は、特許文献2で開示されている実験事実と類似しているものの、本発明の方法では成膜と同時に配向性が付与される成膜法においても材質によって異なるプレチルトが得られるという新しい知見に基づくものである。
ここで、再び斜方蒸着プロセスについて考えてみると、上述の式[2]で示された分布が発生し、幾何学的な計算によってその量を表すことができる。またこれによって生じるプレチルト角の分布も一義的に決定される。
そこで、上記の一義的に定まるプレチルト分布に依存しないように、斜方蒸着時に用いる材質に分布を持たせることによって、プレチルト角の均一性を向上させることが可能となる。つまり斜方蒸着時には、基板面上にて蒸着源に近い側では垂直配向に近い、すなわち基板法線からのプレチルト角が小さい角度に蒸着され、逆に基板面上にて蒸着源に遠い側では平行配向に近い、つまり基板法線からのプレチルト角が大きい角度に蒸着されている。そこで、例えばアルミナとシリカとの混合物を蒸着源とする場合には、蒸気の分布に依存しないような成分分布を適用すればよい。したがって、蒸着源に近い側ではアルミナ成分を多くし、蒸着源から遠い側ではシリカ成分を多くするような分布を持たせることによって、均一なプレチルト角を得ることが可能となる。
ここで、その分布の持たせ方に関しては、液晶材料の種類に依存してプレチルト角の値が変化するので、一義的に定義することは出来ない。本発明においては、そのときに用いる液晶材料に応じてプレチルト角の分布が最小となるように、配向膜の組成を適宜調整して用いる。
このように、液晶素子の配向膜を無機配向膜とすると共に、それに用いる材料や成膜方法を上記の方法に基づいて行うことによって、耐久性が高く高品位な画像を表示することができる。
なお、以上述べた本実施の形態に係る液晶素子は、反射型液晶素子にも透過型液晶素子にも適用することが可能である。また、液晶表示装置の構成として、拡大光学系を用いた投射型の構成を採用しても良いし、液晶素子の大きさそのものの画像を観測するような直視型の構成を採用しても良い。このとき投射型に用いる液晶素子では高い信頼性が得られ、また、直視型に用いれば表示特性の面内分布が生じない高品位な画像を得ることが可能となる。
また、これまでは液晶モードとして垂直配向モードの例を示したが、平行配向モードやHAN(上下プレチルトが異なるハイブリッド配向)モード、OCBモード、TNモードなどさまざまな配向モードを用いることが可能である。
また上記においては、蒸着源と基板との間にスリットを設けることによって、分子配向方位の精度を高めるとしたが、必ずしもスリットを設けなくても本発明は有効である。
さらに、本液晶素子を用いた表示装置のカラー化の手法として、カラーフィルタを用いても良いし、時分割によるカラー表示方法を用いても良い。特に、たとえばRGB各色に対応した複数の液晶素子を用いた投射型液晶表示装置として用いた場合には、全ての液晶素子においてばらつきの少ない特性が得られるために、再現性のよいカラー表示を得るためにも本方式の採用が有効である。つまりたとえば上記のいわゆる3板式の投射型液晶表示装置を構成する場合において、本発明における基板を用いることによって安定した表示を実現できるために、常に同じ光学特性を得ることが可能となる。これにより3板の合成色も安定に再現できることになる。その結果、製造プロセス負荷の軽減、ひいてはコストダウンにとって有効であり、またこれによって色再現性の良好な投射型液晶表示装置を得ることが可能となる。
また、液晶素子の配向膜成膜法として斜方蒸着法を例にとって説明を行ったが、イオン照射法、斜方スパッタ法、紫外線の点光源を用いた光配向膜による配向制御、サンドブラストなどによって表面形状を制御する方法など、様々な配向制御法に対して本発明を応用することが可能である。また、本発明においては点源を中心に説明を行ったが、面源であったとしても、蒸着面源が基板サイズよりも小さい場合には照射方向に放射状の分布を持つことがある。その場合にも、上記の考え方に基づいて計算を行い、その分布に応じて素子基板を形成しておくことが有効である。
次に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
本実施例においては、図6に示す液晶素子120を作製する。なお、液晶材料として誘電率異方性Δεが負である液晶材料(メルク社製、型名MLC−6608)を用い、液晶層124のセル厚は3.5ミクロンとする。また、基板121,127として直径200mm(8インチ)のものを用いる。なお、液晶素子120の作製法は下記のとおりである。
配向膜123,125を形成する際には、図3に記載のスリットを介して、基板を移動させながら基板全面に配向膜を形成する。このときの蒸着角は実施例に応じて変化させるものとする。次いで、各素子サイズにカットした後、2枚の基板121,127に不図示のシール材を形成し、重ね合わせる。ここで配向処理方向は128の矢印に示す方向とし、上下基板が互いに反平行な関係となるように組み合わせる。次に、得られたセルに液晶を注入し、封止した後、所定の周辺回路と接続して液晶素子120を作製する。なお、このように作製した液晶素子120を、図7に示した光学系の中に組みこんで投射型液晶表示装置とする。50は超高圧水銀ランプ、55は偏光ビームスプリッター、L1は入射光の光線を示す軌跡、L2は反射光の光線を示す軌跡を示す。
実施例1
本実施例においては、蒸着源を二つ兼ね備えた電子ビーム(EB)型蒸着器を用いる。蒸着源の配置は図8に記載のように、第一の蒸着源は基板に対して正対に近い位置に、第二の蒸着源は基板に対して斜めに入射するように配置されている。2つの蒸着源は同じ面内(図8の紙面内)、すなわち基板から見て同じ蒸着方位にある。それぞれの蒸着角は、第一の蒸着源は40度、第二の蒸着源は80度になるように配置している。蒸着源と基板中心との距離はいずれも50cmである。。
ここで、第一の蒸着源としてシリカを用い、第二の蒸着源としてシリカとアルミナが1:1で混合されたものを用いて同時に成膜する。基板に近い側では成膜レートが高く、より多くの膜が成膜されるため、本実施例のような配置をとることによって、蒸着源に近い側では第二の蒸着源から発せられた蒸着物の堆積比率が高くなる。これにより、基板面内では第二の蒸着源に近い側(図面上では下側)においてアルミナの比率が相対的に高く、遠い側(図面上では上側)においてシリカの比率が相対的に高い成膜状態を得ることができる。
このときの組成比をXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)にて測定すると、蒸着源に近い側がシリカ/アルミナ比が概ね80/20であり、蒸着源から遠い側がシリカ/アルミナ比が概ね95/5程度の結果が得られ、成分の連続的な分布を持った配向膜を得ることができる。
こうして得られた基板を用いて液晶素子を作製してみると、面内でプレチルト角が概ね5度で一定となり、プレチルト分布が抑制された均一な膜を得ることができる。
ここで得られた液晶素子を用いた投射型表示装置において画像を観測してみると、いずれの場所の素子を用いても同じ特性にて表示され、表示画像の均一性の高い、優れた表示品位の投射型液晶表示装置を得ることができる。
実施例2
実施例1と同一の実験において、アルミナの替わりにSi23を用いても同様の効果を得ることができる。
実施例3
実施例1と同一の実験において、アルミナの替わりにSiCを用いても同様の効果を得ることができる。
比較例1
本比較例では組成には一切分布を持たせず、均一な基板を用い、均一な素材からなる蒸着源を用いている。素材にはシリカを用いた。
こうして得られた基板を用いて液晶素子を作製してみると、面内でプレチルト角が0度から10度程度まで分布を有する素子となってしまい、実用には適さない。
本発明の配向膜は、斜方蒸着による成膜時に、用いる無機材料の組成に分布を持たせることによって、蒸着の角度に分布が生じていたとしても、液晶を配向させたときのプレチルト角は分布の無い均一な配向状態を得ることができるので、反射型液晶素子、透過型液晶素子および投射型液晶装置に利用することができる。
本発明に用いる斜方蒸着法を示す図である。 蒸着方向の分布を示す図である。 スリットと基板の移動方向を示す図である。 点源からの蒸着における蒸着角度の面内分布を表す座標系を定義する図である。 配向膜の組成とプレチルト角の相関を示す図である。 本発明の液晶素子の断面構造を示す図である。 本発明の液晶表示装置に用いる光学系を示す図である。 本発明の実施例に用いる蒸着装置を示す図である。
符号の説明
1 基板
5 蒸着源
6 ベルジャー
7 蒸着方向
8 スリット
120 液晶素子
121,127 基板
122,126 電極
123,125 配向膜
124 液晶層
128 配向処理方向

Claims (9)

  1. 無機物からなる液晶の配向膜であって、前記配向膜は少なくとも2種類の無機材料を用いて基板上に形成された斜方蒸着膜であって、かつ前記基板上で、前記斜方蒸着の方向に沿って前記少なくとも2種類の無機材料の組成が異なることを特徴とする配向膜。
  2. 前記2種類の無機材料の一方が液晶を前記基板に対して垂直に配向させる無機材料であり、他方が液晶を前記基板に対して水平に配向させる無機材料であって、前記垂直に配向させる無機材料に対する前記水平に配向させる無機材料の組成比が、前記斜方蒸着の蒸着源に近い方で大きくなる請求項1に記載の配向膜。
  3. 前記無機材料は、アルミナ、シリカ、炭化珪素、窒化珪素のうち少なくともいずれか2種類が用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の配向膜。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の配向膜を用いたことを特徴とする反射型液晶素子。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の配向膜を用いたことを特徴とする透過型液晶素子。
  6. 請求項4または5に記載の液晶素子を用いたことを特徴とする投射型液晶装置。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載の配向膜をプラスチック基板上に形成したことを特徴とする液晶素子。
  8. 無機物からなる液晶の配向膜を基板上に形成する配向膜の製造方法であって、液晶を前記基板に対して垂直に配向させる無機材料と水平に配向させる無機材料とを含む少なくとも2種類の無機材料を用いて、異なる組成の前記無機材料を配した2つの蒸着源から、基板に対して異なる蒸着角で蒸着することを特徴とする配向膜の製造方法。
  9. 前記液晶を垂直に配向させる無機材料に対する前記液晶を水平に配向させる無機材料の組成比が大きいほうの蒸着源の蒸着角が、前記組成比が小さいほうの蒸着源の蒸着角より大きいことを特徴とする請求項8に記載の配向膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018066829A1 (ko) * 2016-10-04 2018-04-12 주식회사 셀코스 수평배향 액정 디바이스 및 수평배향 액정기판의 배향막 증착방법

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