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JP2009097012A - ポリエステル樹脂組成物、その樹脂組成物より得られる成形体、その樹脂組成物より得られる繊維 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物、その樹脂組成物より得られる成形体、その樹脂組成物より得られる繊維 Download PDF

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JP2009097012A JP2008249384A JP2008249384A JP2009097012A JP 2009097012 A JP2009097012 A JP 2009097012A JP 2008249384 A JP2008249384 A JP 2008249384A JP 2008249384 A JP2008249384 A JP 2008249384A JP 2009097012 A JP2009097012 A JP 2009097012A
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Abstract

【課題】耐熱性、耐衝撃性(靭性)に加えて、さらに成形性に優れた樹脂組成物、その樹脂組成物より得られる成形体、その樹脂組成物より得られる繊維を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂組成物であって、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を70モル%以上含有する脂肪族ポリエステル樹脂(A)と、融点が140℃〜220℃である共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)と、相溶化剤(C)とを含有する。樹脂(A)が海成分であり樹脂(B)が島成分である海島型構造のポリマーアロイ構造を呈する。島成分の樹脂(B)のドメインサイズが、平均径0.5μm未満かつ最大径1.0μm未満である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物、その樹脂組成物より得られる成形体、その樹脂組成物より得られる繊維に関する。
近年、地球的規模での環境に対する意識向上に伴い、自然環境の中で分解可能な、ポリ乳酸に代表される生分解性を有する各種の脂肪族ポリエステルが注目されている。ポリ乳酸は、比較的融点の高い樹脂であるが、ガラス転移温度(Tg)が低いため、射出成形に際しては、結晶性を制御するために金型温度や成形サイクル時間等の操業条件が限定されるという問題があり、また耐熱性を発現させるためには技術的制約を伴う。さらにポリ乳酸は、耐衝撃性(靭性)が低く脆いという欠点を有し、また耐久性も十分とはいえない。
ポリ乳酸以外の他の脂肪族ポリエステル100%からなる組成物は、成形用材料として使用する場合には、物性や生産面の制約を受ける。このため、単独遣いで普及させることは難しいと考えられるようになってきている。一方、非生分解性の樹脂との混合物であっても、脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸のように植物由来であれば、これが広く使用されることによって石油由来の樹脂の使用量を低減することとなり、結果として石油資源の節約に貢献できるため、環境に好ましいとする考え方が浸透してきている。
樹脂や繊維に対して耐久性が要求される用途では、前述の傾向が強まっており、例えばポリオレフィン樹脂のような汎用の樹脂とポリ乳酸系樹脂とを組み合わせる検討がなされている。
たとえば特許文献1には、ポリ乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステルと、ポリプロピレンの中でも結晶性の低いシンジオタクティックポリプレンとを混合することにより、透明性を保持しつつ衝撃強度を改良することが提案されている。
また特許文献2、3、4には、ポリ乳酸と他の熱可塑性ポリエステルとのアロイ樹脂とすることによって、衝撃性や柔軟性を改良したものが開示されている。
特開2006−321988号公報 特開2007−023189号公報 特開2007−009053号公報 特開2006−283033号公報
しかしながら特許文献1に記載のものでは、樹脂組成物の透明性を重視して結晶性が低下した結果、耐熱性、耐久性、成形性などの物性に改良の余地がある。
特許文献2、3に記載のものでは、ポリ乳酸系樹脂の耐衝撃性を改良すべく、他の柔軟性樹脂などを添加することがなされている。しかし、両樹脂の相溶性がないために、高速紡糸等の急速なドラフト変形に耐えることができず、高速製糸性を備えた樹脂ではない。
特許文献4に記載のものは、ポリ乳酸と芳香族ポリエステルとの相溶性を向上させるために、芳香族ポリエステルにポリ乳酸の構造成分を共重合させたものである。これにより、ある程度の高速紡糸性も得られている。
本発明は、耐熱性、耐衝撃性(靭性)に加えて、さらに成形性に優れた樹脂組成物、その樹脂組成物より得られる成形体、その樹脂組成物より得られる繊維を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル樹脂を海成分とし芳香族ポリエステル樹脂を島成分とした海島構造のナノアロイ化を達成することで、樹脂組成物の表面において島成分が海成分から剥離や脱落することがない樹脂組成物を得ることができ、それによって上記問題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
(1)α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を70モル%以上含有する脂肪族ポリエステル樹脂(A)と、融点が140℃〜220℃である共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)と、相溶化剤(C)とを含有し、樹脂(A)が海成分であり樹脂(B)が島成分である海島型構造のポリマーアロイ構造を呈し、島成分の樹脂(B)のドメインサイズが、平均径0.5μm未満かつ最大径1.0μm未満であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
(2)α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位が、D−乳酸、L乳酸又はこれらの混合物であることを特徴とする(1)のポリエステル樹脂組成物。
(3)共重合芳香族ポリエステル(B)が、テレフタル酸とエチレングリコールとブタンジオールとを構成成分としたものと、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとを構成成分としたものと、のいずれかであることを特徴とする(1)または(2)のポリエステル樹脂組成物。
(4)脂肪族ポリエステル樹脂(A)と共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)とのブレンド比率が、質量比で、脂肪族ポリエステル樹脂(A)/共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)=95/5〜70/30であることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかのポリエステル樹脂組成物。
(5)相溶化剤(C)が、エポキシ系鎖延長剤と、イソシアネート系鎖延長剤と、カルボジイミド系鎖延長剤と、グリシジルエーテル系鎖延長剤とから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかのポリエステル樹脂組成物。
(6)上記(1)から(5)までのいずれかのポリエステル樹脂組成物を用いたものであることを特徴とする成形体。
(7)上記(1)から(5)までのいずれかのポリエステル樹脂組成物を用いたポリエステル繊維であって、紡糸ドラフト変形による共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のドメインサイズが0.001〜0.1μmの範囲にあることを特徴とするポリエステル繊維。
本発明によれば、脂肪族ポリエステル樹脂(A)中に共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)を分散させることによって、耐衝撃性や靭性などの実用的な機械的強度を備え、また成型性に優れた生分解性の樹脂組成物であって、この樹脂組成物を用いた成形体や繊維の外観を損なうことがなく、特定の繊維特性を発現させることが可能なポリエステル樹脂組成物を、簡便に、コストも低く製造することができる。また、この樹脂組成物を用いて、斑のない外観品位に優れた成形体を提供することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を70モル%以上含有する脂肪族ポリエステル樹脂(A)と、融点が140℃〜220℃である共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)とを溶融混練し、さらに相溶化剤(C)を加えることによって得られる組成物である。
本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて得られる繊維や成形体などの製品の耐熱性、機械的強度の関係から、脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点は、120℃以上が好ましく、150℃以上がさらによい。また同様の理由により、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の含有量は70モル%以上であることが必要であり、好ましくは80モル%以上である。
共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)は、その融点が140℃〜220℃であることが必要である。脂肪族ポリエステル樹脂(A)との融点差が大きくならないようにするためである。すなわち、本発明のポリエステル樹脂組成物を得る際には、両樹脂(A)(B)を溶融混合することが必要であり、また本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて成形体や繊維を得る際にも、その樹脂組成物を溶融する必要がある。その際に、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)の融点が220℃を超えると、両樹脂(A)(B)の融点差が大きくなるため、脂肪族ポリエステル樹脂(A)が熱分解することになる。一方、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)の融点が140℃未満となると、実用的な耐熱性が得られない。このため、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)の融点の好ましい範囲は150℃〜210℃であり、さらに好ましい範囲は180℃〜200℃である。なお、樹脂(B)が明確な融点を示さないときは、その軟化点を融点とみなす。
本発明のポリエステル樹脂組成物およびこれを用いた繊維や成形体において、樹脂組成物は、樹脂(A)が海成分であり樹脂(B)が島成分である海島型構造のポリマーアロイ構造を呈する。かつ、島成分の樹脂(B)のドメインサイズは、平均径0.5μm未満かつ最大径1.0μm未満であることが必要である。すなわち、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)は、相溶化剤(C)を伴って海島構造の中で島状に分散していることが必要であり、ナノサイズ程度に微分散されていることが必要である。共重合ポリエステル樹脂(B)が相溶化剤(C)を伴って樹脂組成物に微分散していることで、マトリックス中のセグメント剥離がなく、このセグメントが小さいほど衝撃力を分散吸収するからであり、その結果として樹脂組成物の靭性が向上する。また、微分散とすることで、成形体や繊維を製造するときの操業性も向上するからである。
共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)の分散状態はTEMで観察することができるが、、上記のように共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のドメインサイズは、平均径0.5μm未満かつ最大径1.0μm未満であることが必要である。
平均径が0.5μm以上であると、樹脂組成物からなるペレットを製造する際の引き取り性に劣るばかりか、成形性に劣り、さらに繊維を紡糸する際の高速紡糸性(紡糸速度3500m/分以上)を備えないものとなって、本発明の目的が達成されない。より好ましい平均径は0.4μm以下である。平均径の下限は0.001μmであることが好ましい。平均径が0.001μm未満では、脂肪族ポリエステル樹脂(A)と相溶化してしまい、靭性が向上しない。
共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のドメインサイズの最大径を1.0μm未満とする理由は、上記した平均径を0.5μm未満とする理由と同様に、そうすることで、ペレットを製造する際の引き取り性や、成形体を得る際の成形性が良好となり、また高速紡糸が可能となるためである。より好ましくは、最大径0.65μm未満である。最大径の下限は、0.001μmであることが好ましい。
このように、海成分としての脂肪族ポリエステル樹脂(A)に島成分としての共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)を微分散させて、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のドメインサイズを平均径0.5μm未満かつ最大径1.0μm未満とするためには、脂肪族ポリエステル樹脂(A)と共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)とを混合して本発明のポリエステル樹脂組成物を得るにあたり、相溶化剤(C)を適宜の量添加して溶融混合を行うことが必要である。
共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)の配合量は、質量比で、脂肪族ポリエステル樹脂(A)/共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)=95/5〜70/30であることが好ましい。共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)の配合量が5質量%未満であると、樹脂組成物の靭性が向上せず、耐衝撃性改良の効果が現れない。また、その配合量が30質量%を超えると、得られる樹脂組成物の強度が極端に下がり、成形品や繊維として十分な物性を得ることができない。またコストの面からも好ましくない。
相溶化剤(C)は、上記のように、海成分としての脂肪族ポリエステル樹脂(A)に島成分として共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)を特定のドメインサイズで微分散させるために用いられる。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)について詳細に説明する。α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の例としては、D−乳酸、L−乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。これらの混合物であってもよい。
したがって本発明に用いることができる脂肪族ポリエステル樹脂(A)としては、ポリ(D−及び/又はL−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)、及びこれらの共重合体、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
上記樹脂のうち、工業的に大量生産が可能な点から、ポリ(D−及び/又はL−乳酸)を好ましく用いることができる。ポリ(D−及び/又はL−乳酸)は、共重合体の融点が150℃以上となるようにモノマー成分の共重合比率を決定するとよい。L−乳酸とD−乳酸との共重合比率が、モル比で、(L−乳酸)/(D−乳酸)=5/95〜0/100、あるいは(L−乳酸)/(D−乳酸)=95/5〜100/0であることにより、共重合体の融点が150℃以上になり、共重合体の結晶性が高くなって、耐熱性の観点より好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、通常公知の溶融重合法で、あるいはさらに固相重合法を併用して、製造することができる。また、ポリ(3−ヒドロキシ絡酸)およびポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)等については、微生物による生産も可能である。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)には、ポリ(α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸)の耐熱性を大幅に損ねることのない範囲で、必要に応じてその他の脂肪族ポリエステル樹脂成分を共重合ないしは混合することもできる。ここにいう、その他の脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ(エチレンサクシネート)やポリ(ブチレンサクシネート)等に代表されるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル;ポリ(ε−カプロラクトン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート);さらに芳香族成分を含んでいても生分解性を示すポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)や(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート);ポリエステルアミド;ポリエステルカーボネート;デンプン等の多糖類等が挙げられる。
乳酸系の重合体は、従来公知の方法で乳酸を重合して製造することができる。重合法の例としては、乳酸を直接脱水縮合する方法や、乳酸の環状二量体であるラクチドを開環重合する方法等が挙げられる。これらの重合反応は溶媒中で行ってもよく、必要な場合には触媒や開始剤を用いて反応を効率よく行ってもよい。これらの方法は、得られる樹脂に必要な分子量や溶融粘度を考慮して適宜選択すればよい。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量は、特に制限がないが、5万〜20万であることが好ましく、さらには8万〜18万であることがより好ましい。重量平均分子量が5万未満では、樹脂組成物の溶融粘度が低すぎるので好ましくない。逆に、これが20万を超えると樹脂組成物の成形性や高速紡糸性が急速に低下する場合があるため好ましくない。
次に共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)について説明する。共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)は、グリコール成分とジカルボン酸成分とのエステルの重合を行って得られるものであって、融点が140℃〜220℃であれば、いかなるものでもよい。融点は、共重合比を調整して、この範囲にすればよい。グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチルグリコール、1,4ブタンジオール等が挙げられる。ジカルボン酸成分としては、炭素数4〜20のジカルボン酸が好ましい。このようなジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸、琥珀酸、ナフタレン−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
次に相溶化剤(C)について説明する。この相溶化剤(C)としては、一般的に知られている鎖延長剤を最も効果的に適用することができる。相溶化剤(C)は、エポキシ基、カルボジイミド基、イソシアネート基、無水マレイン酸基などの、鎖延長を伴う反応性を持つものであることが不可欠である。
このような相溶化剤(C)としての化合物としては、エポキシ基含有化合物、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルイミド化合物、オキサゾリン化合物などがある。
エポキシ基化合物の具体例としては、Joncryl ADR4300,4368(BASF社製)を挙げることができる。
グリシジルエーテル化合物の具体例としては、メタクリル酸グリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいのはポリグリセロールポリグリシジルエーテルである。
グリシジルエステル化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
これらグリシジル基を持つ化合物をモノマー単位とした重合体や、主鎖となる重合体に対してグリシジル基がグラフト共重合されている化合物、具体的にはモデイパーA4200(日本油脂社製)も挙げられる。またこれらモノマー単位の他に、長鎖アルキルアクリレートなどを共重合して、グリシジル基の反応性を制御することもできる。
グリシジルイミド化合物の具体例としては、N−グリシジルフタルイミドが挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、N,N′−ジ−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、N,N′−ジ−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)等のオキサゾリン化合物が挙げられる。
カルボジイミド基化合物としては、ジフェニルカルボジイミド、ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、ジオクチルデシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N′−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、2,6,2′,6′−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−シクロへキシルカルボジイミド、N,N′ベンジルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o―イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6―ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2―エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2―イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6―トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2―イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。中でもN,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、2,6,2′,6′−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミドが好ましい。具体例としては、スタバックゾールI(ラインへミー社製)、EN−160(松本油脂社製)、LA−1(日清紡社製)等を挙げることができる。
イソシアネート化合物としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性体及びこれらの2種以上の混合物が使用できる。イソシアネートの具体例としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、リジントリイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、好ましいのは、リジントリイソシアネート、TDI、HDI、IPDIである。特に好ましいのは、リジントリイソシアネートである。
本発明における相溶化剤(C)は、上記から選ばれた1種以上の化合物を任意に選択したものであることが好ましい。
相溶化剤(C)の添加量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)と共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)との合計を100質量部として、0.01〜10質量部の範囲とする。
本発明のポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた成形体の耐衝撃性、靭性は、アイゾット衝撃強度で評価することができる。このアイゾット衝撃強度は、28J/m以上であることが好ましく、30J/m以上であることがより好ましく、32J/m以上であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物中には、結晶核剤が添加されていることが好ましい。結晶核剤は、ポリエステル樹脂組成物の結晶化を促進させるものであり、耐熱性や寸法安定性を保有させるのに重要な要素である。結晶核剤には、無機フィラーや、有機化合物の中で結晶化促進に効果のある化合物があり、いずれの核剤でもよく、併用してもよい。たとえば、無機フィラーとしては、層状ケイ酸塩、タルク、酸化チタン、酸化ケイ素等を挙げることができる。有機化合物としてはエルカ酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、クエン酸、エチレンビスオレイン酸アミド等を挙げることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物中には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、さらに顔料、香料、染料、艶消し剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、難燃剤、抗菌剤、界面活性剤、表面改質剤、帯電防止剤、充填材、末端封鎖剤等を添加することも可能である。
熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。
無機充填材としては、炭酸亜鉛、ワラストナイト、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。
末端封鎖剤としては、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂に相溶化剤や添加剤や他の熱可塑性樹脂を混合する方法は、特に限定されるものでないが、通常の加熱溶融後、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール混合機、ブラベンダー等を用いて添加し、樹脂の粘度低下を極度に起こさない程度に強度に混練することがよい。必要に応じてダイナミックミキサーやスタティックミキサーなどを併用すると、より効果的である。また生分解性樹脂の重合時に加えてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形体は、その成形体を構成するポリエステル樹脂の結晶化度が10〜35%であることが好ましい。結晶化度が10%未満では、熱収縮が大きくなり、耐熱性が劣る傾向がある。結晶化度が35%を超えると、耐熱性の観点ではよいが、衝撃強度や、靭性が低下する傾向にある。したがって、より好ましい結晶化度の範囲は、15〜30%である。
本発明の成形体において、そのポリエステル樹脂の結晶化度を10%以上にするためには、前記した結晶核剤を添加することや、成形後に熱処理することや、成形体製造時の温度条件を制御することが必要である。成形体製造時の温度条件の制御としては、例えば、絞り成形温度、金型温度を、使用するポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度をTgとしその融点をTmとして、(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)の範囲で所定時間保った後で、Tg以下に冷却することを挙げることができる。樹脂の結晶化をより促進させるためには、樹脂の結晶化温度をTcとして、金型温度を、(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)の範囲にすることがより好ましい。(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)の温度で保持する時間は、使用するポリエステル樹脂組成物の結晶化速度指数に依存するため、一概に規定できないが、前述範囲の所定の温度にきっちり制御された金型内で、少なくとも3秒、好ましくは5秒、さらに好ましくは10秒以上保持することが好ましい。3秒よりも短い場合、結晶化度を十分に高めることができない。
本発明の樹脂組成物を用いた成形体は、射出成形、ブロー成形、押出成形、繊維成形などの公知の成形方法により、得ることができる。
射出成形法としては、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形法、射出プレス成形法等も採用できる。射出成形時のシリンダ温度は、樹脂組成物の融点Tm又は流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは(Tm又は流動開始温度+5℃)〜(Tm又は流動開始温度+100℃)の範囲であり、さらに好ましくは(Tm又は流動開始温度+5℃)〜(Tm又は流動開始温度+50℃)の範囲である。成形温度が低すぎると、成形の際にショートが発生したりして成形が不安定になったり、過負荷に陥りやすくなったりする。逆に成形温度が高すぎると、樹脂成分が分解して、得られる成形体の強度が低下したり、着色したりする等の問題が発生する。一方、金型温度は、樹脂組成物のガラス転移温度Tg以下にする方法と、金型内で結晶化させて耐熱性を出す場合は、樹脂組成物の結晶化温度Tcに対して、金型温度を(Tc±20℃)、好ましくは(Tc±10℃)以下にする方法とから、目的に応じて選ぶ。金型温度を(Tc±20℃)の範囲として成形すると、射出成形サイクル内に樹脂を結晶化させて耐熱性を向上させることができるため、非常に有用である。またTg以下の低温金型で成形後、熱処理してもよい。本発明の樹脂組成物は結晶化速度が非常に速いため、熱処理時間は比較的短期間ですむ。熱処理温度は(Tc±20℃)が好ましい。この結晶化の原理は、射出成形以外の各種成形法においても同様に作用する。
ブロー成形法としては、例えば原料チップから直接成形を行うダイレクトブロー法や、まず射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形した後にブロー成形を行う射出ブロー成形法や、さらには延伸ブロー成形法等が挙げられる。また予備成形体成形後に連続してブロー成形を行うホットパリソン法と、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形を行うコールドパリソン法との、いずれの方法も採用できる。ブロー成形法においても、ブロー金型温度の選択で、成形サイクル内に樹脂を結晶化させて耐熱性を向上させることが可能であり、またTg以下の低温金型での成形後に熱処理しても耐熱性を向上させることが可能である。
押出成形法としては、Tダイ法、丸ダイ法等を適用することができる。押出成形温度は、樹脂組成物の融点Tm又は流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは(Tm又は流動開始温度+5℃)〜(Tm又は流動開始温度+100℃)の範囲であり、さらに好ましくは(Tm又は流動開始温度+5℃)〜(Tm又は流動開始温度+50℃)の範囲である。成形温度が低すぎると、成形が不安定になったり、過負荷に陥りやすくなったりする。逆に成形温度が高すぎると、樹脂成分が分解して、得られる押出成形体の強度が低下したり、着色したりする等の問題が発生する。押出成形により、シートやパイプ等を作製することができる。
なお、上記において、樹脂組成物の融点Tmおよびガラス転移温度Tgは、後述のようにして測定される値である。これに対し、結晶化温度Tcは、次のようにして測定される値である。すなわち、DSC装置(たとえば、パーキンエルマー社製Pyrisl DSC)を用い、+20℃/分で25℃から200℃まで昇温した後、200℃で10分間保持し、続いて−20℃/分で200℃から0℃まで降温した後、0℃で5分間保持し、再び、+20℃/分で、セカンドスキャンとして0℃から200℃まで昇温させる。そうしたときに、結晶化温度Tcは降温時の発熱ピークから測定される値である。
上記成形法により製造される成形体は、各種形態に成形されるものであり、様々な用途に用いられる。その具体例としては、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器;流動体用容器;容器用キャップ;定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品;台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品;植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材;プラモデル等の各種玩具類;エアコンパネル、パソコンや複写機など各種筐体等の電化製品用樹脂部品;バンパー、インパネ、ドアトリム等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。
流動体用容器の形態は、特に限定されないが、流動体を収容するためには深さ20mm以上に成形されていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.1〜5mmであることがより好ましい。流動体用容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水や酒類等の飲料用コップ及び飲料用ボトル;醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器;シャンプー・リンス等の容器;化粧品用容器;農薬用容器等が挙げられる。
押出成形法により得られたシート又はパイプの具体的用途としては、深絞り成形用原反シート、クレジットカード等のカード類、下敷き、クリアファイル、ストロー、農業・園芸用硬質パイプ、パソコン部品、自動車部品等が挙げられる。また、シートは、さらに、真空成形や、圧空成形や、真空圧空成形等の深絞り成形を行うことで、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器、パソコン部品、自動車部品などを製造することができる。成形温度及び熱処理温度は、(Tg+20℃)〜(Tg+100℃)であることが好ましい。絞り温度が(Tg+20℃)未満では絞りが困難になり、逆に絞り温度が(Tg+100℃)を超えると、樹脂成分が分解して偏肉が生じたり、生分解性樹脂の配向がくずれて耐衝撃性が低下したりする場合がある。また、Tc±20℃での成形により、耐熱性をもたせることが可能である。またTg以下の低温金型で成形後、熱処理しても耐熱性が向上する。
食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器、自動車部品のうちの容器形状部品、パソコン部品のうちの容器形状部品の形態は、特に限定されないが、食品、物品、薬品、雑貨等を収容するためには深さ2mm以上に深絞りされていることが好ましい。容器の厚さは、特に限定されないが、強力の点から、50μm以上であることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。食品用容器の具体例としては、生鮮食品のトレー、インスタント食品の容器、ファーストフード用容器、弁当箱等が挙げられる。農業・園芸用容器の具体例としては、育苗ポット等が挙げられる。ブリスターパック容器の具体的例としては、食品以外にも、事務用品、玩具、乾電池、自動車内装部品、パソコン各種部品等の多様な商品群が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、特に繊維とすることで、その効果をより発揮することができる。その製造方法は、特に限定されないが、溶融し、高速で紡糸し延伸する方法が好ましい。溶融紡糸温度としては、(Tm又は流動開始温度+5℃)〜(Tm又は流動開始温度+100℃)の範囲が好ましく、(Tm又は流動開始温度+5℃)〜(Tm又は流動開始温度+50℃)の範囲がさらに好ましい。溶融紡糸温度が上記下限値よりも低いと溶融押し出しが困難となる傾向にあり、一方、上記上限値を超えると、樹脂成分の分解が顕著となって実用強度を有する繊維を得られ難くなる傾向にある。溶融紡糸においては、例えばローラーで3500m/分以上の紡糸速度で引き取ることが挙げられる。また、引き取った繊維糸条を引き続き延伸するスピンドロー法を適用してもよい。すなわち、繊維糸条を、目的とする繊維径となるようにTg以上の温度で牽引することにより延伸するとよい。延伸倍率は、1〜20倍程度が好ましい。得られた糸条は、マルチフィラメント、モノフィラメントなどとしてさまざまな繊維への加工が可能である。例えば、得られた繊維にさらに延伸仮撚法を適用してドローテクスチャードヤーンを得ることによって、衣料、産業資材、生活資材等の用途へ展開できる繊維を得ることができる。この場合も延伸や後工程での熱処理により容易に結晶化が起こり、耐熱性を向上させることが可能である。
また、溶融紡糸した繊維糸条を空気による牽引で延伸して繊維ウエブを形成した後、不織布としたもの、すなわち所謂スパンボンド不織布が、きわめて良好な効果を発揮することができる。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)および共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のメルトフローレートについて説明する。脂肪族ポリエステル樹脂(A)については、温度190℃、荷重21.2N(2.16kgf)の条件で測定したメルトフローレート(以下、「MFR1」と称する)と、温度210℃、荷重21.2N(2.16kgf)の条件で測定したメルトフローレート(以下、「MFR2」と称する)との両者を規定する。これに対し、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)については、MFR2を規定する。
本発明の樹脂組成物を用いて繊維を成形する場合において、脂肪族ポリエステル樹脂(A)のMFR1は、5〜20g/10分であることが好ましい。また脂肪族ポリエステル樹脂(A)のMFR2は、15〜30g/10分であることが好ましい。MFR1が5g/10分未満である場合や、MFR2が15g/10分未満である場合は、高速紡糸性に劣る傾向が生じる。反対にMFR1が20g/10分を超える場合や、MFR2が30g/10分を超える場合は、溶融張力が低下して繊維を形成できにくいうえに、成形体を得る際に冷却しにくく、また得られた成形体が脆いものとなりやすい。このため、脂肪族ポリエステル樹脂(A)について、MFR1のより好ましい範囲は8〜12g/10分であり、MFR2のより好ましい範囲は18〜24g/10分である。
また共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のMFR2は、2〜35g/10分であることが好ましい。MFR2が2g/10分未満であると、高速紡糸性に劣る傾向が生じる。反対にMFR2が35g/10分を超えると、溶融張力が低下して繊維を形成できにくいうえに、成形体を得る際に冷却しにくく、また得られた成形体が脆いものとなりやすい。このため共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のMFR2のより好ましい範囲は、3〜30g/10分であり、いっそう好ましい範囲は5〜25g/10分である。
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)が海成分であり共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)が島成分である海島型構造のポリマーアロイ構造を呈し、島成分の樹脂(B)のドメインサイズが、平均径0.5μm未満かつ最大径1.0μm未満であるが、この樹脂組成物を用いて繊維化すると、そのときの紡糸ドラフト工程で、いわゆる紡糸ドラフト変形が生じることによって、島成分である樹脂(B)のドメインサイズが小さくなる。その結果としての樹脂(B)のドメインサイズは、0.001〜0.1μmの範囲内にあることが好適である。この範囲であることで、非常に柔軟な感触をもった繊維を得ることができる。
得られる繊維において共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のドメインサイズを上記範囲とするためには、紡糸ドラフトを150以上とすると好ましい。より好ましくは200以上、さらに好ましくは300以上である。紡糸ドラフトは、紡糸速度を吐出線速度で除した値であり、溶融重合体を吐出してから繊維として引き取るまでの工程において繊維が細化する目安として用いられる指標である。吐出速度とは、単孔吐出量を重合体の溶融密度で除した値をさらに単孔面積で除した値をいう。なお、本発明のポリエステル繊維を得るためには、紡糸速度は3500m/分以上が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記スパンボンド不織布のような、エアサッカーを用いて高速で紡糸し繊維化する工程を含む繊維構造物を製造するときに用いることが可能なようにアロイ化された樹脂組成物である。すなわち本発明の樹脂組成物は、アロイ化された樹脂において、脂肪族ポリエステル樹脂(A)と共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)とが均一にブレンドされていること、また島成分である樹脂(B)のドメインサイズが平均径0.5μm未満かつ最大径1.0μm未満であることによって、紡糸速度3500m/分以上のエアサッカーによる高速紡糸に十分耐え、かつ紡糸時の延伸張力に耐えることができ、よって糸切れが少なく高い生産性を維持しながらスパンボンド不織布を生産することができる。このような高速紡糸によって得られた繊維は、上述のように共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のドメインサイズが0.001〜0.1μmの範囲となって、非常に柔軟な感触を有する繊維となるとともに、繊維の耐熱性も向上する。
スパンボンド不織布を構成する繊維は、本発明の樹脂組成物のみからなる繊維であってもよいし、本発明の樹脂組成物と他の樹脂組成物とを複合した複合断面を有する繊維であってもよい。この場合の他の樹脂組成物としては、本発明の樹脂組成物との相溶性を考慮すると、アロイ化されていないポリ乳酸系重合体や、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)などを用いることが好ましい。
複合断面の具体的な形態としては、本発明の樹脂組成物と他の樹脂組成物とが貼り合わされたサイドバイサイド型複合断面が挙げられる。また、本発明の樹脂組成物と他の樹脂組成物とが芯鞘型に複合された芯鞘型複合断面が挙げられる。芯と鞘の具体的な組み合わせとしては、ポリ乳酸系重合体(芯)/本発明の樹脂組成物(鞘)、本発明の樹脂組成物(芯)/ポリ乳酸系重合体(鞘)、共重合芳香族ポリエステル樹脂(芯)/本発明の樹脂組成物(鞘)、本発明の樹脂組成物(芯)/共重合芳香族ポリエステル樹脂(鞘)が挙げられる。
スパンボンド不織布の形態としては、少なくとも繊維表面に位置する樹脂が溶融または軟化することにより繊維同士が熱接着して形態保持しているものがよいが、構成繊維同士が交絡により形態保持しているものでもよい。
熱接着の形態としては、繊維同士の接点において、繊維表面の溶融または軟化した重合体を介して熱接着したものでもよいし、またウエブを熱エンボス装置に通すことにより、部分的に形成される熱接着部と、それ以外の非熱接着部を有しているものでもよい。
別の形態として、熱エンボス装置を用いた仮熱圧着の後にニードルパンチなどの三次元交絡処理により交絡一体化させた形態を採用することもできる。さらには、交絡一体化された不織布にバインダー樹脂を所定量付着させれば、構成繊維同士がその接着部において強固に付着した不織布を得ることができる。
上記方法により得られた繊維は、衣料用繊維、産業資材用繊維などとして利用できる。具体的な使用例としては、マルチフィラメントとして、各種衣料用繊維、ロープ・各種ネット、パソコンや自動車などに用いられる樹脂・ゴムなどのための補強繊維などの産業用繊維、旗・掲示用ネットなどの広告目的繊維等が挙げられる。モノフィラメントとしては、各種ネットやガット、釣り糸、研磨用途などへの応用が可能である。さらに樹脂と複合化した複合体などへも応用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例における各種特性の測定及び評価は、次の方法により実施した。
(1)ポリエステル樹脂の相対粘度、極限粘度
溶媒:フェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)、濃度:0.5g/100ml、溶解温度:120℃、測定温度:20℃で測定した。
(2)分子量
示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置(島津製作所社製)を用い、テトラヒドロフランもしくはクロロホルムを溶出液として、40℃、標準ポリスチレン換算で求めた。なお、ポリ乳酸は、少量のクロロホルムに溶解後テトラヒドロフランを加えてサンプルとした。
(3)融点・軟化点Tm
DSC装置(パーキンエルマー社製、Pyrisl DSC)を用い、測定対象の樹脂を+20℃/分で25℃から200℃まで昇温した後、200℃で10分間保持し、続いて−20℃/分で200℃から0℃まで降温した後、0℃で5分間保持し、再び、+20℃/分で、セカンドスキャンとして0℃から200℃まで昇温させ、このセカンドスキャンの際の吸熱ピークから融点を求めた。
なお、本発明の樹脂組成物は樹脂(A)と樹脂(B)との2種類の樹脂のポリマーアロイであり、したがって原則として吸熱ピークが2つ現れるので、その場合は、低温側の吸熱ピークに基づく融点Tm1と、高温側の吸熱ピークに基づく融点Tm2とを求めた。
軟化点は、ホットステージ付顕微鏡下で、測定対象の樹脂からなる成形片をスライドガラス上に載置し、2℃/分で昇温しながら成形片の状態を観察し、成形片が溶融を始めた点を軟化点とした。
(4)ガラス転移温度Tg、結晶化温度Tc
ガラス転移温度Tgは、上記(3)のセカンドスキャンにて測定した。結晶化温度Tcは、上記(3)の降温時に測定した。
(5)メルトフローレート(MFR1)
JIS K7210(温度190℃、荷重21.2N(2.16kgf))に準じて測定した。
(6)メルトフローレート(MFR2)
JIS K7210(温度210℃、荷重21.2N(2.16kgf))に準じて測定した。
(7)曲げ弾性率・曲げ強度
ASTM−D−790に準じて、127mm×12.7mm×3.2mmの試験片を作製し、変形速度1mm/分で荷重をかけて測定した。
(8)DTUL(熱変形温度)
ASTM−D−648規格に従い、荷重0.45MPaで測定した。
(9)アイゾット衝撃強度
ASTM−D−256に準じて、64mm×12.7mm×3.2mmでノッチをつけた試験片を作製し、測定した。
(10)引き取り性
二軸混練機で溶融混練した樹脂を4mm径のダイスから水浴中に浸漬したストランドを10m/分で引き出し、ペレタイザーに通糸する際の引き取り性を、次の基準で評価した。
◎:非常に良好な状態でストランドが走行している
○:良好な状態でストランドが走行している
△:ストランドが長さ方向で太さにバラツキを持って走行している
×:ストランドの長さ方向で太さのバラツキが大きく、安定した走行ができない
(11)成形性
射出成形時の不具合であるひけによる厚み斑を測定し、次の基準で評価した。
◎:成形片の厚み斑が0.01mm未満の場合
○:成形片の厚みムラが0.01mm以上0.1mm未満場合
×:成形片を取り出すときに変形したり、厚み斑が0.1mm以上である場合
(12)成形片の外観
射出成形時の試料片を観察し、次の基準で評価した。
◎:表面斑が全くない
○:表面斑が殆んど観られない
△:表面斑がやや観られる
×:表面斑が観られる
(13)島成分ドメインの観察:
試料をTD方向(ヨコ方向)に切り出すか、又は繊維軸と垂直な方向に切り出して、厚みを半分とした後、可視硬化樹脂(エポキシ包埋材)中に数時間浸漬した後、硬化させて、切片を採取した。その切片を用いて、日本電子社製の、JEM−1230 TEM装置によって、加速電圧100kV、電流58μA、照射絞り3にて透過測定で写真撮影(2万倍)した。そのときの島ドメイン100個長さを測定し、平均値と最大値とを求めた。
(14)繊維の強度および伸度
ボールドウィン社製の定速引張試験機「テンシロンDSS−200」を用い、試料(ポリマーアロイ繊維)をJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)に示される定速伸長条件(つかみ間隔25cm、引張速度30cm/分)で測定した。伸度は、S−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(15)ヤング率
上記(14)と同じ方法で得られたS−S曲線より、JIS L1013(初期引張抵抗度)に基づき求めた。
(16)熱水収縮率
試料(ポリマーアロイ繊維)を沸騰水に15分間浸漬し、浸漬前後の寸法変化から次式により求めた。
熱水収縮率(%)=[(L0−L1)/L0]×100
ただし、L0:試料をカセ取りし、初荷重0.088cN/dtex下で測定したカセ長
L1:L0を測定したカセを荷重フリーの状態で沸騰水処理し、風乾後、初荷重0.088cN/dtex下で測定したカセ長
(17)繊維の状態
繊維を束にして手で握ったときの感触及び顕微鏡で観察した繊維表面の平滑状態によって、下記のように判定した。
ハイソフト:感触が極めて柔軟で繊維表面が平滑である
ソフト:感触が柔軟で繊維表面が平滑である
ややソフト:感触がやや柔軟であるが繊維表面に横皺がやや見られる
ハード:感触として粗硬感を持つか、又は繊維表面に横皺が多数見られる
以下の実施例及び比較例に用いた原料は、次のとおりである。
脂肪族ポリエステル樹脂(A):
A−1:ポリ乳酸(ネイチャー・ワークス社製、重量平均分子量:13.4万、MFR1:12g/10分、MFR2:25g/10分、L体:99モル%、D体:1モル%、ガラス転移温度Tg:57℃、融点Tm:167℃)
A−2:ポリ乳酸(ネイチャー・ワークス社製、重量平均分子量:11.6万、MFR1:38g/10分、MFR2:84g/10分、L体:99モル%、D体:1モル%、ガラス転移温度Tg:57℃、融点Tm:166℃)
A−3:ポリ乳酸(重量平均分子量:12.5万、MFR1:10g/10分、MFR2:23g/10分、L体:99.9モル%、D体:0.1モル%、ガラス転移温度Tg:59℃、融点Tm:179℃)
共重合芳香族ポリエステル樹脂(B):
B−1:相対粘度1.40、融点180℃の共重合ポリエステル(酸成分:テレフタル酸、ジオール成分:1,4ブタンジオール50mol%、エチレングリコール50mol%)
B−2:相対粘度1.30、融点180℃の共重合ポリエステル(酸成分:テレフタル酸、ジオール成分:1,4ブタンジオール50mol%、エチレングリコール50mol%)
B−3:相対粘度1.38、軟化点170℃の共重合ポリエステル(酸成分:テレフタル酸67mol%、イソフタル酸33mol%、ジオール成分:エチレングリコール)
B−4:極限粘度0.67、融点190℃の共重合ポリエステル(テレフタル酸80mol%、エチレングリコール100mol%、グルタル酸18mol%、スルホイソフタル酸2mol%を添加重合して得たもの)
B−5:相対粘度1.44、融点200℃の共重合ポリエステル(酸成分:テレフタル酸、ジオール成分:1,4ブタンジオール82mol%、エチレングリコール18mol%)
相溶化剤(C):
C−1:エポキシ化合物(BASF社製、商品名「JONCRYL−ADR−4300」)
C−2:エポキシ化合物(BASF社製、商品名「JONCRYL−ADR−4368」)
C−3:ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デイナコールEX−521」)
C−4:リジンエステルトリイソシアネート(協和発酵社製)
C−5:ポリカルボジイミド(日清紡社製、商品名「LA−1」)
C−6:ポリエチレングリシジルメタクリレート−graft−ポリメタクリル酸メチル=70/30(質量%)(日本油脂社製、商品名「モディパーA4200」)
実施例1〜3
二軸押出混練機(池貝社製PCM−30、溶融温度−押出ヘッド温度:210℃、スクリュー回転170rpm、吐出量7.5kg/h)を用い、脂肪族ポリエステル樹脂(A)としてのポリ乳酸(A−1)と、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B−1)とを、表1に示す割合で添加量を変えて混合した。その混合の際に、相溶化剤(C)として、エポキシ系化合物である、BASF社製のJONCRYL−ADR−4300(0.2質量部)(C−1)を、(A−1)と(B−1)との合計を100質量部として表1に示す添加量で添加した。
混練時のスクリューは、強混練ディメンジョン(逆リードスクリュー1個、正リードニーディングディスク3個、逆リードニーディングディスク2個、ニュートラルニーディングディスク3個に対し、正リードスクリューを組み合わせたスクリュー構成)を適用した。
溶融混練された樹脂を3穴より吐出し、水浴で冷却後、ペレタイザーでペレット状に切断した。得られたアロイ樹脂組成物のペレットを乾燥後、東芝機械社製の射出成形機IS−80G型を用いて、シリンダ設定温度190℃、射出圧力100MPa、射出時間20秒の条件で射出成形し、各種物性評価を行った。このときの金型温度は、15℃、85℃、105℃の3段階とし、冷却時間は、15℃では20秒、85℃および105℃では80秒とした。
一方、上記により得られた実施例1と実施例2のアロイ樹脂組成物の乾燥ペレットを、高速紡糸機台に供給した。紡糸機は、40mm径の単軸押出機(Barmag社製)を有する紡糸装置であり、紡糸温度220℃で、0.3mmの孔径で36ホールの紡糸口金より吐出し、環状吹き付けにて糸条の冷却を行い、紡糸口金下1500mmの位置で油剤を噴霧しながらローラーで引き取り、糸切れが生じない最大速度で紡糸して、83dtex/36fの銘柄の繊維を得た。実施例3のアロイ樹脂組成物は、繊維化に供しなかった。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2009097012
実施例4〜5
共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)の種類をB−2、B−3に変更し、その添加量を
表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様の操作を行って、樹脂組成物を得た。その後の射出成形、繊維化の成形も実施例1と同条件で行って、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例6〜10
相溶化剤(C)の種類および添加量を、表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様の操作を行って、樹脂組成物を得た。その後の射出成形、繊維化の成形も実施例1と同条件で行って、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3は、アイゾット強度に優れた樹脂組成物であって、各種の成形に適応可能であることがわかった。実施例1、2の樹脂を溶融紡糸することで、十分な高速紡糸性を有することが分かった。ただし、アロイ成分である共重合ポリエステル成分の含有量が増加すると、糸切れが生じない最大紡糸速度がやや低下する傾向にあることが判明した。
実施例4〜10は、いずれも実用的な耐熱性を持ち、また十分な耐衝撃強度を備えた成形体を得ることが可能であることを確認できた。さらに実施例4〜10の樹脂は、これを繊維に成形する際に、紡糸速度5000m/分でも全く糸切れが発生せず、操業性が良好であることが確認できた。得られた繊維における共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のドメインサイズは0.001〜0.1μmの範囲にあり、繊維の状態もハイソフトであることが確認できた。
実施例11
ポリ乳酸(A−2)90質量%に対し、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B−4)10質量%を添加した。また、ポリ乳酸(A−2)と共重合芳香族ポリエステル樹脂(B−4)との合計100質量部に対し、相溶化剤(C−1)0.2質量部を添加した。そして、実施例1と同様に溶融混合してアロイ樹脂組成物を得た。乾燥後、実施例1と同じ方法で射出成形を行い、成形評価を行った。島成分の平均大きさは0.19μmで、DTUL55℃、アイゾット衝撃強度27J/m、MFR−1:6g/10分、MFR−2:13g/10分で、成形性が良好であった。
一方、この得られたアロイ樹脂組成物の乾燥ペレットをスパンボンド不織布用紡糸機台に供給した。すなわち、紡糸機は、65mm径の単軸押出機(日本製鋼社製)を有するものであり、紡糸温度220℃で、0.3mmの孔径で72H有するノズル2個を用い、単孔吐出量1.4g/分/ホールで紡糸口金より吐出し、横型吹き付けにて糸条の冷却を行い、紡糸口金下2000mmの位置でエアーサッカーにて糸状を牽引して、2.0dtexの繊維ウェブを得た。この繊維ウェブの繊径より紡糸速度を調査したところ5300m/分であり、紡糸ドラフトは294であり、繊維はハイソフトで開繊性に優れたものであった。この繊維ウェブを130℃のエンボスロールに通布して75g/mのスパンボンド不織布を得ることができた。
実施例12
ポリ乳酸(A−3)85質量%に対し、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B−5)15質量%を添加した。また、ポリ乳酸(A−3)と共重合芳香族ポリエステル樹脂(B−5)との合計100質量部に対し、相溶化剤(C−2)0.2質量部を添加した。そして、実施例1と同様に溶融混合してアロイ樹脂組成物を得た。乾燥後、実施例1と同じ方法で射出成形を行い、成形評価を行った。島成分の平均大きさは0.34μm、DTULは57℃、アイゾット衝撃強度は37J/m、MFR−1は6.1g/10分、MFR−2は13g/10分で、成形性が良好であった。
得られたアロイ樹脂組成物の乾燥ペレットを用いて、単孔吐出量を1.67g/分/ホールとし、紡糸速度を4400m/分とし、繊度を3.7dtexとし、それ以外は実施例11と同様にして、スパンボンド不織布を得た。紡糸ドラフトは204であった。得られた不織布を構成する繊維における共重合芳香族ポリエステル樹脂(B−5)のドメインサイズは、0.001〜0.1μmの範囲にあり、繊維はハイソフトで開繊性に優れたものであった。
比較例1〜2
比較例1では脂肪族ポリエステル樹脂のみを用い、比較例2では共重合芳香族ポリエステル樹脂のみを用いた。それ以外は実施例1と同じ方法、条件で、射出成形、繊維化の成形を行って、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
これらの比較例1、2は共に成形性が良好であるものの、比較例1は耐衝撃性にやや劣り、また繊維とした際に、比較例1は硬く、比較例2は、各実施例の繊維と比べて柔軟性に劣るものであった。
比較例3〜5
比較例3では、ポリ乳酸(A−1)と共重合芳香族ポリエステル(B−1)とのアロイ樹脂を製造する際に相溶化剤を添加しないで、それ以外は実施例1と同じ方法で、樹脂組成物を得ようとした。しかし、混練し、ポリマーを吐出した時点で、バラスが大きくなり、曳糸性がほとんどなくなり、ペレタイザーまで通糸できず、ペレットを得ることができなかった。すなわち、操業性よく樹脂組成物を得ることができなかった。
比較例4では、表1に示すように相溶化剤(C)を過剰に使用し、混練に供して、実施例2と同じ条件でアロイ樹脂組成物を得た。また、実施例2と同じ方法、条件で射出成形、繊維の成形も行って、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例4は、樹脂の溶融粘度が非常に高くなって、樹脂の流動性が大きく低下した。そのために樹脂のドメインを調査したところ島成分の平均径が本発明の範囲を超えて大きく、製糸性を阻害していることが判明した。このアロイ樹脂組成物を実施例2と同じ紡糸条件で製糸しようとしたが、溶融粘度が高く、高速紡糸ができなかった。
比較例5においては、共重合芳香族ポリエステルの添加量を過剰にしたため、相溶化剤の添加量の適正化を講じても島成分ドメイン平均径が大きく、成形性はよくなかった。この樹脂組成物を用いて、繊維を成形したところ、紡糸速度1000m/分程度の製糸性が得られることが確認できたが、3000m/分を超える高速紡糸性は得ることができなかった。繊維の島成分ドメイン平均径を見ると樹脂組成物よりは小さくなっているものの、高速紡糸に追随するドメイン径ではなかった。
比較例6、7
二軸押出混練機のスクリューは通常のディメンジョン(逆リードスクリュー1個、正リードニーディングディスク1個、逆リードニーディングディスク2個、ニュートラルニーディングディスク1個に対し、正リードスクリューを組み合わせたスクリュー構成)を適用し、スクリュー回転数は100rpmとして、強い混練は行わなかった。そして、共重合芳香族ポリエステル(B−1)と相溶化剤(C)との添加量を表1のように変更した以外は、実施例1に準じて樹脂組成物を得ようとした。しかし、比較例6においては、混練し、ポリマーを吐出した時点で、バラスが大きくなり、引き取り性が悪く、ペレタイザ−の停台が何回も起こった。得られた樹脂組成物を成形したところ、射出成形性はよくなかった。
この原因を調査すべく樹脂組成物の島成分のドメイン径を測定したところ、平均径が本発明の範囲を超えて大きく、かつその最大径も本発明の範囲の上限である1μmを超えていた。また、このアロイ樹脂を実施例2と同じように紡糸に適用したが、高速紡糸性は全くなく、最大紡糸速度は50m/分と著しく低いものであった。得られた繊維の繊維状態は、かなりハードなものであった。
比較例7においては、共重合芳香族ポリエステル樹脂(B−1)の添加量を少なくした。そして、比較例6と同様に強い混練を行わなかった。そうしたところ、島成分ドメインの平均径は比較的小さいものの、ドメイン最大径が1μmを超えた。そして、これに起因して引き取り性と成形性が余り良くなかった。このアロイ樹脂を実施例2と同じように紡糸に適用したが、高速紡糸性は全くなく、最大紡糸速度は200m/分と著しく低いものであった。得られた繊維の繊維状態もかなりハードであった。

Claims (7)

  1. α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を70モル%以上含有する脂肪族ポリエステル樹脂(A)と、融点が140℃〜220℃である共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)と、相溶化剤(C)とを含有し、樹脂(A)が海成分であり樹脂(B)が島成分である海島型構造のポリマーアロイ構造を呈し、島成分の樹脂(B)のドメインサイズが、平均径0.5μm未満かつ最大径1.0μm未満であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位が、D−乳酸又はL乳酸又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 共重合芳香族ポリエステル(B)が、テレフタル酸とエチレングリコールとブタンジオールとを構成成分としたものと、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとを構成成分としたものと、のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 脂肪族ポリエステル樹脂(A)と共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)とのブレンド比率が、質量比で、脂肪族ポリエステル樹脂(A)/共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)=95/5〜70/30であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 相溶化剤(C)が、エポキシ系鎖延長剤と、イソシアネート系鎖延長剤と、カルボジイミド系鎖延長剤と、グリシジルエーテル系鎖延長剤とから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物を用いたものであることを特徴とする成形体。
  7. 請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物を用いたポリエステル繊維であって、紡糸ドラフト変形による共重合芳香族ポリエステル樹脂(B)のドメインサイズが0.001〜0.1μmの範囲にあることを特徴とするポリエステル繊維。
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