本発明は、流体(液体または気体)を流す流路構造体、この流路構造体を用いた直接型メタノール燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell )などの燃料電池、並びにそれらを備えた電子機器に関する。
電池の特性を示す指標として、エネルギー密度と出力密度とがある。エネルギー密度とは電池の単位質量あたりのエネルギー蓄積量であり、出力密度とは電池の単位質量あたりの出力量である。リチウムイオン二次電池は、比較的高いエネルギー密度と極めて高い出力密度という二つの特徴を併せもっており、完成度も高いことから、モバイル機器の電源として広く採用されている。しかし、近年、モバイル機器は高性能化にともなって消費電力が増加する傾向にあり、リチウムイオン二次電池にも更なるエネルギー密度および出力密度の向上が求められている。
その解決策として、正極および負極を構成する電極材料の変更、電極材料の塗布方法の改善、電極材料の封入方法の改善などが挙げられ、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させる研究が行われている。しかし、実用化に向けてのハードルはまだ高い。また、現在のリチウムイオン二次電池に使用されている構成材料が変わらない限り、大幅なエネルギー密度の向上を期待することは難しい。
このため、リチウムイオン二次電池に代わる、よりエネルギー密度の高い電池の開発が急務とされており、燃料電池はその候補の一つとして有力視されている。
燃料電池は、アノード(燃料電極)とカソード(酸素電極)との間に電解質が配置された構成を有し、燃料電極には燃料、酸素電極には空気または酸素がそれぞれ供給される。この結果、燃料電極および酸素電極において燃料が酸素によって酸化される酸化還元反応が起こり、燃料がもつ化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて取り出される。
既に、さまざまな種類の燃料電池が提案または試作され、一部は実用化されている。これらの燃料電池は、用いられる電解質によって、アルカリ電解質型燃料電池(AFC;Alkaline Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC;Phosphoric Acid Fuel Cell )、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC;Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物型燃料電池(SOFC;Solid Electrolyte Fuel Cell )および固体高分子型燃料電池(PEFC;Polymer Electrolyte Fuel Cell )などに分類される。このうち、PEFCは、他の型式のものと比較して低い温度、例えば30℃〜130℃程度の温度で動作させることができる。
燃料電池の燃料としては、水素やメタノールなど、種々の可燃性物質を用いることができる。しかし、水素などの気体燃料は、貯蔵用のボンベなどが必要になるため、小型化には適していない。一方、メタノールなどの液体燃料は、貯蔵しやすい点で有利である。とりわけ、DMFCには、燃料から水素を取り出すための改質器を必要とせず、構成が簡素になり、小型化が容易であるという利点がある。
DMFCでは、燃料のメタノールは、通常、低濃度または高濃度の水溶液として、もしくは純メタノールの気体の状態で燃料電極に供給され、燃料電極の触媒層で二酸化炭素に酸化される。このとき生じたプロトンは、燃料電極と酸素電極とを隔てる電解質膜を通って酸素電極へ移動し、酸素電極で酸素と反応して水を生成する。燃料電極、酸素電極およびDMFC全体で起こる反応は、化1で表される。
(化1)
燃料電極:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2 O
DMFC全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2 O
DMFCの燃料であるメタノールのエネルギー密度は、理論的に4.8kW/Lであり、一般的なリチウムイオン二次電池のエネルギー密度の10倍以上である。すなわち、燃料としてメタノールを用いる燃料電池は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を凌ぐ可能性を多いに持っている。以上のことから、DMFCは、種々の燃料電池のなかで最も、モバイル機器や電気自動車などのエネルギー源として使用される可能性が高い。
しかしながら、DMFCには、理論電圧は1.23Vであるにもかかわらず、実際に発電しているときの出力電圧は約0.6V以下に低下してしまうという問題がある。出力電圧が低下する原因は、DMFCの内部抵抗によって生じる電圧降下であって、DMFCには、両電極で生じる反応に伴う抵抗、物質の移動に伴う抵抗、プロトンが電解質膜を移動する際に生じる抵抗、更に接触抵抗などの内部抵抗が存在している。メタノールの酸化から電気エネルギーとして実際に取り出すことのできるエネルギーは、発電時の出力電圧と、回路を流れる電気量との積で表されるから、発電時の出力電圧が低下すると、実際に取り出すことのできるエネルギーはその分小さくなってしまう。なお、メタノールの酸化によって回路に取り出せる電気量は、メタノールの全量が化1に従って燃料電極で酸化されるなら、DMFC内のメタノール量に比例する。
また、DMFCには、メタノールクロスオーバーの問題がある。メタノールクロスオーバーとは、燃料電極側と酸素電極側とのメタノールの濃度差によってメタノールが拡散移動する現象と、プロトンの移動にともなって引き起こされる水の移動によって、水和したメタノールが運搬される電気浸透現象との二つの機構によって、メタノールが燃料電極側から電解質膜を透過して酸素電極側に到達してしまう現象である。
メタノールクロスオーバーが生じると、透過したメタノールは酸素電極の触媒層で酸化される。酸素電極側でのメタノール酸化反応は、上述した燃料電極側での酸化反応と同じであるが、DMFCの出力電圧を低下させる原因になる。また、メタノールが燃料電極側で発電に使われず、酸素電極側で浪費されるので、回路に取り出せる電気量がその分減少してしまう。更に、酸素電極の触媒層は白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒ではなく白金(Pt)触媒であることから、触媒表面に一酸化炭素(CO)が吸着されやすく、触媒の被毒が生じるなどの不都合もある。
このようにDMFCには、内部抵抗とメタノールクロスオーバーとによって生じる電圧低下、およびメタノールクロスオーバーによる燃料の浪費という二つの問題があり、これらはDMFCの発電効率を低下させる原因になっている。そこで、DMFCの発電効率を高めるために、DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究・開発や、DMFCの運転条件を最適化する研究・開発が精力的に行われている。
DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究では、電解質膜および燃料電極側の触媒などに関するものが挙げられる。電解質膜については、現在ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂膜(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)が一般的に用いられているが、これよりも高いプロトン伝導率と高いメタノール透過阻止性能とを有するものとして、フッ素系高分子膜、炭化水素系高分子電解質膜またはハイドロゲルベース電解質膜などが検討されている。燃料電極側の触媒に関しては、現在一般的に用いられている白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒よりも高活性な触媒の研究開発が行われている。
このような燃料電池の構成材料の特性向上は、燃料電池の発電効率を向上させる手段として的確である。しかしながら、上述した二つの問題を打破するような最適な触媒が見つからないと同様、最適な電解質膜も見つかっていないのが現状である。
一方、特許文献1では、液状の電解質(電解液)を用い、電解質膜を必要としない燃料電池が記載されている。電解液は、酸素電極と燃料電極との間に静止している場合もあるが、酸素電極と燃料電極との間に設けられた流路を流れ、外部に出たのち再び流路内に戻され、循環するようになっている場合もある。
特開昭59−191265号公報
しかしながら、従来の燃料電池には、電解質膜を必要とするもの、必要としないもののいずれにも共通する問題点があった。例えば、燃料,電解液,または、酸素あるいは空気などを均一に燃料電池内に供給する必要があり、燃料電池内で流量分布,圧力分布または濃度分布が局所的に生じてしまうと特性が非常に不安定になってしまっていた。よって、燃料電池内に供給される液体または気体が全体に均一に供給されるような最適な流路(マイクロチャンネル)形状の設計が必要不可欠であった。
燃料電池の流路形状には、図14に示したような、入口252Aから出口253Aまでを一本の流路256Aで繋ぐ、直列流路の一種であるサーペンタイン(蛇行)型、あるいは、図15に示したような、入口252Aと出口253Aの間に流路256Bが格子状に縦・横に配列しているグリッド型など、数多くの種類が存在する。しかし、サーペンタイン型の流路形状には、大きな問題点が存在する。なぜなら、水素のような気体燃料または酸素を流す場合は、圧力損失は小さいが、メタノール水溶液などの液体燃料または硫酸などの電解液を流す場合は、圧力損失が非常に大きくなってしまい、流体を流すためのポンプの動力が大きくなってしまうからである。
また、サーペンタイン型の流路では、流路内で反応ガスまたは液体の濃度分布が生じる傾向にあり、局所的に高利用率条件および低利用率条件で発電する場合が多々存在し、燃料電池の性能低下および寿命低下の原因となりやすかった。つまり、濃度分布などが原因で触媒劣化を引き起こし、一時的ではなく恒久的に性能が低下してしまっていた。
圧力損失の増大および性能劣化を回避する方法として、並列流路の導入が考えられる。並列流路では、図16に示したように、流体は、まず入口252Aから第1の主流路252に流れ、その第1の主流路252に対して直角に繋がっている複数の並列流路254に対して供給され、出口253Aへと繋がる第2の主流路253で合流するようになっている。このような並列流路構造では、直列流路の一種であるサーペンタイン型と比較して、圧力損失を大幅に下げることができる。
しかしながら、この流路構造では、複数の並列流路254に対して均一に流体を供給することは極めて難しかった。特に、図16に示したように、第1の主流路252および第2の主流路253と、並列流路254との幅や深さ(高さ)を同じにした場合には、流体が並列流路254に均一に流れなくなってしまっていた。
並列流路254に対してできるだけ均一に流体を流すためには、入口252Aに繋がる第1の主流路252および出口253Aに繋がる第2の主流路253の流れの抵抗を極力低減し、並列流路254より非常に流れやすくした流路構造を構築する必要がある。しかし、そのためには流路の高さに余裕を持たせる必要があることから、必然的に流路を形成する板の厚みが1mm以上と厚くなっていた。その結果、燃料電池全体の厚みも増してしまい、更に、この燃料電池を積層したスタック構造も大型化してしまっていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、並列流路に対して均一に流体を流すことができる流路構造体およびこれを用いた燃料電池、並びにこれらを備えた電子機器を提供することにある。
本発明による流路構造体は、流体の主たる入口に繋がる第1の主流路と、流体の主たる出口に繋がる第2の主流路と、第1の主流路および第2の主流路の間に設けられ、第1の主流路に繋がる入口および第2の主流路に繋がる出口をそれぞれ有する2本以上の並列流路とを備え、2本以上の並列流路の少なくとも一本は、入口および出口の少なくとも一方に、断面積を小さくした領域を有するものである。
本発明の流路構造体では、流体は、主たる入口から第1の主流路に入り、この第1の主流路から並列流路の入口に入り、並列流路内を流れてその出口から第2の主流路に入り、主たる出口から出る。ここで、並列流路の少なくとも一本の入口および出口の少なくとも一方に、断面積を小さくした領域が設けられているので、この領域が流体の流れの障壁となって、第1の主流路または第2の主流路に対しては、流れの抵抗が小さくなって流体が流れやすくなり、並列流路に対しては、流体の流れの均一性が向上する。
本発明の燃料電池は、燃料電極および酸素電極の間に電解質を有するものであって、燃料電極の酸素電極とは反対側に、燃料を含む流体が流れる燃料流路を備え、燃料流路は、流体の主たる入口に繋がる第1の主流路と、流体の主たる出口に繋がる第2の主流路と、第1の主流路および第2の主流路の間に設けられ、第1の主流路に繋がる入口および第2の主流路に繋がる出口をそれぞれ有する2本以上の並列流路とを備え、2本以上の並列流路の少なくとも一本は、入口および出口の少なくとも一方に、断面積を小さくした領域を有するものである。
本発明の燃料電池では、上記本発明による流路構造体を燃料流路として備えているので、燃料を含む流体は、並列流路に均一に流れる。よって、並列流路の本数を増やすとリニアな関係で出力も増大し、発電特性が向上する。
本発明の電子機器は、燃料電極および酸素電極の間に電解質を有する燃料電池を備えたものであって、この燃料電池が、上記本発明の燃料電池により構成されているものである。
本発明の電子機器では、上記本発明による発電特性の向上した燃料電池を備えているので、消費電力の増大を伴う多機能化・高性能化にも対応可能となる。
本発明の流路構造体によれば、2本以上の並列流路の少なくとも一本の入口および出口の少なくとも一方に、断面積を小さくした領域を設けるようにしたので、並列流路に対して均一に流体を流すことができる。よって、この流路構造体を燃料電池の燃料流路等に適用すれば、燃料を含む流体を、並列流路に均一に流すことができ、発電特性を向上させることができ、消費電力の大きな多機能・高性能の電子機器にも好適である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムを有する電子機器の概略構成を表すものである。この電子機器は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant;個人用携帯情報機器)などのモバイル機器、またはノート型PC(Personal Computer )であり、燃料電池システム1と、この燃料電池システム1で発電される電気エネルギーにより駆動される外部回路(負荷)2とを備えている。
燃料電池システム1は、例えば、燃料電池110と、この燃料電池110の運転状態を測定する測定部120と、測定部120による測定結果に基づいて燃料電池110の運転条件を決定する制御部130とを備えている。この燃料電池システム1は、また、燃料電池110に電解液F1として、例えば硫酸を供給する電解液供給部140と、燃料F2として、例えばメタノールを供給する燃料供給部150とを備えている。このように電解質を流動体として供給することにより、電解質膜が不要となり、温度や湿度に影響されることなく発電を行うことができると共に、電解質膜を用いる通常の燃料電池に比べてイオン伝導度(プロトン伝導度)を高めることができる。また、電解質膜の劣化や、電解質膜の乾燥によるプロトン伝導性の低下のおそれがなくなり、酸素電極におけるフラッディングや水分管理などの問題も解消できる。
図2は、図1に示した燃料電池110の構成を表したものである。燃料電池110は、いわゆる直接型メタノールフロー型燃料電池(DMFFC;Direct Methanol Flow Based Fuel Cell)であり、燃料電極(アノード)10と酸素電極(カソード)20とが対向配置された構成を有している。燃料電極10の外側、すなわち酸素電極20とは反対側には、燃料F2を流通させる燃料流路30が設けられている。燃料電極10と酸素電極20との間には、電解液F1を流通させる電解液流路40が設けられている。
燃料電極10は、酸素電極20側から順に、触媒層11、拡散層12および集電体13を積層した構成を有し、外装部材14に収納されている。また、燃料電極10は、電解液F1と燃料F2とを隔てる分離膜としての機能も有しており、クロスオーバーを抑制し高エネルギー密度を得ることができるようになっている。酸素電極20は、燃料電極側から順に、触媒層21、拡散層22および集電体23を積層した構成を有し、外装部材24に収納されている。なお、酸素電極20には、この外装部材24を介して空気すなわち酸素が供給されるようになっている。
触媒層11,21は、触媒として、例えば、パラジウム(Pd),白金(Pt),イリジウム(Ir),ロジウム(Rh)およびルテニウム(Ru)などの金属の単体または合金により構成されている。また、触媒層11,21には、触媒に加えて、プロトン伝導体およびバインダーが含まれていてもよい。プロトン伝導体としては、上述したポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)またはその他のプロトン伝導性を有する樹脂が挙げられる。バインダーは、触媒層11,21の強度や柔軟性を保つために添加されるものであり、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂が挙げられる。
拡散層12,22は、例えば、カーボンクロス,カーボンペーパーまたはカーボンシートにより構成されている。拡散層12,22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などにより撥水化処理が行われていることが望ましい。
集電体13,23は、例えばチタン(Ti)メッシュにより構成されている。
外装部材14,24は、例えば、厚みが2.0mmであり、チタン(Ti)板などの一般的に購入可能な材料により構成されているが、材料は特に限定されない。なお、外装部材14,24の厚みは薄ければ薄いほうが望ましい。
図3は燃料流路30の外観を表したものである。燃料流路30は、基体51に、燃料F2の主たる入口52Aに繋がる第1の主流路52と、燃料F2の主たる出口53Aに繋がる第2の主流路53との間に、複数(図3では例えば12本)の並列流路54を設けた流路構造体であり、燃料電極10に接着されている。
基体51は、例えば、厚みが100μm以下であり、金属,ガラス,カーボン,樹脂,多孔質,シリコン(Si)あるいはシリコン(Si)系の材料,またはセラミックにより構成されている。基体51の形状は、板でもよいし、接着性あるいは非接着性のフィルムでもよい。また、基体51は、1枚の板あるいはフィルムにより構成されていてもよいし、または、複数の板あるいはフィルムを貼り合わせたものでもよい。後者の場合、複数の板あるいはフィルムを確実に接合するという観点から、同じ材料の板あるいはフィルムを張り合わせたものが望ましいが、異なる材料よりなる板あるいはフィルムを張り合わせたものでもよい。
図4(A)は、この燃料流路30を第1の主流路52,第2の主流路53および並列流路54の設けられた側から見た構成を表したものであり、図4(B)はそのIVB−IVB線における断面構造を表したものである。第1の主流路52および第2の主流路53は互いに平行な溝として形成され、その幅および高さ(深さ)は等しい。第1の主流路52および第2の主流路53の幅および高さは、特に限定されないが、小さくほうが望ましく、例えば高さ500μm以下、幅10mm以下である。第1の主流路52は、主たる入口52Aを介して燃料入口14A(図3には図示せず、図2参照。)に繋がっている。第2の主流路53は、主たる出口53Aを介して燃料出口14B(図3には図示せず、図2参照。)に繋がっている。
複数の並列流路54は、それぞれ、入口54Aで第1の主流路52に直角に繋がると共に、出口54Bで第2の主流路52に直角に繋がっており、互いに平行な溝として形成されている。また、複数の並列流路54は、第1の主流路52および第2の主流路53と同じ幅および高さ(深さ)を有している。すなわち、第1の主流路52および第2の主流路53の断面積と、並列流路54の断面積とは等しくなっている。
更に、複数の並列流路54は、入口54Aおよび出口54Bに、リブ55を設けることにより断面積を小さくした領域を有している。これにより、この燃料流路30では、並列流路54に対して均一に燃料F2を流すことができるようになっている。
リブ55は、燃料F2の流れの障壁としての機能を有するものである。すなわち、リブ55を設けることにより、基体51を薄くし、第1の主流路52および第2の主流路53の断面積と、並列流路54の断面積とを等しくしても、第1の主流路52および第2の主流路53の流れの抵抗を小さくする一方、並列流路54の流れの均一性を高めることができる。よって、燃料電池110またはそれを積層した燃料電池スタックを著しく薄型化・小型化することが可能となる。
リブ55は、例えば図4(C)に示したように、並列流路54の下方を塞いでいる。リブ55の高さH1は、並列流路54の高さH0に依存するが、例えば並列流路54の高さH0の1%〜99.9%の範囲である。リブ55の高さH1を高くするほど、第1の主流路52および第2の主流路53に対しては、流れの抵抗を小さくして燃料F2を流れやすくすることができ、並列流路54に対しては、燃料F2の流れの均一性を向上させることができる。リブ55の厚みT1は、アプリケーションにより異なるが、例えば0.5mmないし1mm程度である。
このような燃料流路30は、外装部材14に設けられた燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを介して燃料供給部150(図2には図示せず、図1参照。)に連結されており、燃料供給部150から燃料F2が供給されるようになっている。
図5は、電解液流路40の外観を表したものである。また、図6(A)は、この電解質流路40を第1の主流路52,第2の主流路53および並列流路54の設けられた側から見た構成を表したものであり、図6(B)はそのVIB−VIB線における断面構造を表したものであり、図6(C)は一本の並列流路54におけるリブ55の断面構造を表したものである。電解液流路40は、燃料流路30と同様に、基体51に、電解液F1の主たる入口52Aに繋がる第1の主流路52と、電解液F1の主たる出口53Aに繋がる第2の主流路53との間に、複数(図3では例えば12本)の並列流路54を設けた流路構造体である。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
基体51は、燃料流路30と同様に構成されている。
第1の主流路52,第2の主流路53および並列流路54は、電解液F1を燃料電極10および酸素電極20(図2参照。)の両方に接触させるため、基体51を貫通して形成されていることを除いては、燃料流路30と同様に構成されている。また、燃料流路30と同様に、第1の主流路52および第2の主流路53の断面積と、並列流路54の断面積とは等しくなっている。
複数の並列流路54は、燃料流路30と同様に、入口54Aおよび出口54Bに、リブ55を設けることにより断面積を小さくした領域を有している。リブ55の高さH1は、燃料流路30と同様に、並列流路54の高さH0に依存するが、例えば並列流路54の高さH0の1%〜99.9%の範囲である。リブ55の高さH1を高くするほど、第1の主流路52および第2の主流路53に対しては、流れの抵抗を小さくして燃料F2を流れやすくすることができ、並列流路54に対しては、燃料F2の流れの均一性を向上させることができる。
このような電解液流路40は、外装部材24に設けられた電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを介して電解液供給部140(図2には図示せず、図1参照。)に連結されており、電解液供給部140から電解液F1が供給されるようになっている。
図1に示した測定部120は、燃料電池110の動作電圧および動作電流を測定するものであり、例えば、燃料電池110の動作電圧を測定する電圧測定回路121と、動作電流を測定する電流測定回路122と、得られた測定結果を制御部130に送るための通信ライン123とを有している。
図1に示した制御部130は、測定部120の測定結果に基づいて、燃料電池110の運転条件として電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御を行うものであり、例えば、演算部131、記憶(メモリ)部132、通信部133および通信ライン134を有している。ここで、電解液供給パラメータは、例えば、電解液F1の供給流速を含んでいる。燃料供給パラメータは、例えば、燃料F2の供給流速および供給量を含み、必要に応じて供給濃度を含んでいてもよい。制御部130は、例えばマイクロコンピュータにより構成することができる。
演算部131は、測定部120で得られた測定結果から燃料電池110の出力を算出し、電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定するものである。具体的には、演算部131は、記憶部132に入力された各種測定結果から一定間隔でサンプリングしたアノード電位、カソード電位、出力電圧および出力電流を平均して、平均アノード電位、平均カソード電位、平均出力電圧および平均出力電流を算出し、記憶部132に入力すると共に、記憶部132に保存されている各種平均値を相互比較し、電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを判定するようになっている。
記憶部132は、測定部120から送られてきた各種測定値や、演算部131により算出された各種平均値などを記憶するものである。
通信部133は、通信ライン123を介して測定部120から測定結果を受け取り、記憶部132に入力する機能と、通信ライン134を介して電解液供給部140および燃料供給部150に電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定する信号をそれぞれ出力する機能とを有している。
図1に示した電解液供給部140は、電解液貯蔵部141と、電解液供給調整部142と、電解液供給ライン143とを備え、燃料電池110との間で電解液F1を循環させるようになっている。電解液貯蔵部141は、電解液F1を貯蔵するものであり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。電解液供給調整部142は、電解液F1の供給流速を調整するものである。電解液供給調整部142は、制御部130からの信号で駆動されうるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モータや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。
図1に示した燃料供給部150は、燃料貯蔵部151と、燃料供給調整部152と、燃料供給ライン153とを有している。燃料貯蔵部151は、燃料F2を貯蔵するものであり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。燃料供給調整部152は、燃料F2の供給流速および供給量を調整するものである。燃料供給調整部152は、制御部130からの信号で駆動されうるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モータや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。なお、燃料供給部150は、燃料F2の供給濃度を調整する濃度調整部(図示せず)を備えていてもよい。濃度調整部は、燃料F2として純(99.9%)メタノールを用いる場合には省略することができ、より小型化することができる。
この燃料電池システム1は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、触媒として例えば白金(Pt)とルテニウム(Ru)とを所定の比で含む合金と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、燃料電極10の触媒層11を形成する。この触媒層11を、上述した材料よりなる拡散層12に熱圧着する。更に、上述した材料よりなる集電体13を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、燃料電極10を形成する。
また、触媒として白金(Pt)をカーボンに担持させたものと、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、酸素電極20の触媒層21を形成する。この触媒層21を、上述した材料よりなる拡散層22に熱圧着する。更に、上述した材料よりなる集電体23を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、酸素電極20を形成する。
次いで、上述した材料よりなる基体51を用意し、この基体51に、図3および図4に示した第1の主流路52,第2の主流路53および並列流路54を形成すると共に、並列流路54の入口54Aおよび出口54Bにリブ55を形成して燃料流路30を形成する。また、同様にして、図5および図6に示した電解液流路40を形成し、燃料流路30および電解液流路40を、燃料電極10の両側に熱圧着する。
続いて、上述した材料よりなる外装部材14,24を作製し、外装部材14には、例えば樹脂製の継手よりなる燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを設け、外装部材24には、例えば樹脂製の継手よりなる電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを設ける。
そののち、燃料電極10と酸素電極20とを、電解液流路30を両者の間に、燃料流路30を外側にして対向配置し、外装部材14,24に収納する。これにより図2に示した燃料電池110が完成する。
この燃料電池110を、上述した構成を有する測定部120,制御部130,電解液供給部140および燃料供給部150を有するシステムに組み込み、燃料入口14Aおよび燃料出口14Bと燃料供給部150とを例えばシリコーンチューブよりなる燃料供給ライン153で接続すると共に、電解液入口24Aおよび電解液出口24Bと電解液供給部140とを例えばシリコーンチューブよりなる電解液供給ライン143で接続する。以上により図1に示した燃料電池システム1が完成する。
この燃料電池システム1では、燃料電極10に燃料F2が供給され、反応によりプロトンと電子とを生成する。プロトンは電解液F1を通って酸素電極20に移動し、電子および酸素と反応して水を生成する。燃料電極10、酸素電極20および燃料電池110全体で起こる反応は、化2で表される。これにより、燃料であるメタノールの化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて、燃料電池110から電流が取り出され、外部回路2が駆動される。燃料電極10で発生する二酸化炭素および酸素電極20で発生する水は、電解液F1と共に流れて取り除かれる。
(化2)
燃料電極10:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極20:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2 O
燃料電池110全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2 O
燃料電池110の運転中には、測定部120により燃料電池110の動作電圧および動作電流が測定され、その測定結果に基づいて、制御部130により、燃料電池110の運転条件として上述した電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御が行われる。測定部120による測定および制御部130によるパラメータ制御は頻繁に繰り返され、燃料電池110の特性変動に追従して電解液F1および燃料F2の供給状態が最適化される。
その際、燃料流路30では、図4(A)および図4(B)に示したように、燃料F2は、主たる入口52Aから第1の主流路52に入り、この第1の主流路52から並列流路54の入口54Aに入り、並列流路54内を流れてその出口54Bから第2の主流路53に入り、主たる出口53Aから出る。また、電解液流路40では、図6(A)および図6(B)に示したように、電解液F1は、主たる入口52Aから第1の主流路52に入り、この第1の主流路52から並列流路54の入口54Aに入り、並列流路54内を流れてその出口54Bから第2の主流路53に入り、主たる出口53Aから出る。ここで、並列流路54の入口54Aおよび出口54Bに、リブ55を形成して断面積を小さくした領域が設けられているので、このリブ55が燃料F2または電解液F1の流れの障壁となり、第1の主流路52または第2の主流路53に対しては、流れの抵抗が小さくなって燃料F2または電解液F1が流れやすくなり、並列流路54に対しては、燃料F2または電解液F1の流れの均一性が向上する。
これに対して、従来では、並列流路の流れの均一性を確保するために、基体の厚みを1mm以上と厚くしなければならなかった。本発明では、リブ55が設けられていることにより、基体51の厚みが100μm以下と極めて薄く、第1の主流路52および第2の主流路53の断面積と、並列流路54の断面積とが等しくなっていても、第1の主流路52および第2の主流路53の流れの抵抗が小さくなる一方、並列流路54の流れの均一性が高くなる。
このように本実施の形態では、2本以上の並列流路54の入口54Aおよび出口54Bに、リブ55により断面積を小さくした領域を設けるようにしたので、並列流路54に対して均一に燃料F2または電解液F1を流すことができる。よって、燃料電池110の発電特性を向上させることができ、消費電力の大きな多機能・高性能の電子機器にも好適である。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
上記実施の形態と同様にして、燃料電池110を作製した。まず、触媒として白金(Pt)とルテニウム(Ru)とを所定の比で含む合金と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、燃料電極10の触媒層11を形成した。この触媒層11を、上述した材料よりなる拡散層12(E−TEK社製;HT−2500)に対して、温度150℃、圧力249kPaの条件下で10分間熱圧着した。更に、上述した材料よりなる集電体13を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、燃料電極10を形成した。
また、触媒として白金(Pt)をカーボンに担持させたものと、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、酸素電極20の触媒層21を形成した。この触媒層21を、上述した材料よりなる拡散層22(E−TEK社製;HT−2500)に対して、燃料電極10の触媒層11と同様にして熱圧着した。更に、上述した材料よりなる集電体23を、燃料電極10の集電体13と同様にして熱圧着し、酸素電極20を形成した。
次いで、接着性のある樹脂シートよりなる基体51を用意し、この基体51に、図3および図4に示した第1の主流路52,第2の主流路53および並列流路54を形成すると共に、並列流路54の入口54Aおよび出口54Bにリブ55を形成して燃料流路30を形成した。また、同様にして、図5および図6に示した電解液流路40を形成し、燃料流路30および電解液流路40を、燃料電極10の両側に熱圧着した。その際、並列流路54を18本形成し、並列流路54の高さH0を175μmとし、リブ55の高さH1を、並列流路54の高さH0に対して10%,20%,30%,40%,50%,60%,70%,80%,90%と変化させた。
続いて、上述した材料よりなる外装部材14,24を作製し、外装部材14には、例えば樹脂製の継手よりなる燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを設け、外装部材24には、例えば樹脂製の継手よりなる電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを設けた。
そののち、燃料電極10と酸素電極20とを、電解液流路40を両者の間に、燃料流路30を外側にして対向配置し、外装部材14,24に収納した。
この燃料電池110を、上述した構成を有する測定部120,制御部130,電解液供給部140および燃料供給部150を有するシステムに組み込み、図1に示した燃料電池システム1を構成した。その際、電解液供給調整部142および燃料供給調整部152をダイアフラム式定量ポンプ(株式会社KNF社製)により構成し、それぞれのポンプからシリコーンチューブよりなる電解液供給ライン143および燃料供給ライン153で燃料入口14Aおよび電解液入口24Aに直接接続し、任意の流速で電解液F1および燃料F2が電解液流路40および燃料流路30にそれぞれ供給されるようにした。電解液F1としては1M硫酸を用い、流速は1.0ml/minとした。燃料F2としては5Mメタノールと1M硫酸の混合液を用い、流速は1.0ml/minとした。
(評価)
得られた燃料電池システム1について、18本の並列流路54間の流速比分布を調べた。その結果を図7に示す。図7では、流速比率1を基準にし、リブ55の高さH1を変えたときの並列流路54内で起こる速度分布を比率で示している。なお、流路番号は、主たる入口52Aに近いほうから順に1〜18の番号を付している。
図7から分かるように、リブ55の高さH1を、並列流路54の高さH0に対して高くするほど並列流路54間の流速比分布は小さくなり、90%とした場合には、ほぼゼロにすることができた。すなわち、リブ55の高さH1を、並列流路54の高さH0に対して高くするほど並列流路54間の流速比分布を小さくし、並列流路54に燃料F2または電解液F1を均一に流すことができることが分かった。
(実施例2)
並列流路54の本数Nを1本,6本,12本,18本と異ならせたことを除いては、上記実施例1と同様にして燃料電池システム1を構成した。
得られた燃料電池システム1について発電特性を調べた。その際、並列流路54の高さH0は175μm、幅は2mmとし、リブ55の高さH1は、並列流路54の高さH0の40%弱とした。また、測定電圧は0.3Vとし、0.3V定電圧発電時の開始180秒後のデータを採取した。得られた結果を図8に示す。
図8から分かるように、並列流路54の本数Nを1本(N=1),6本(N=6),12本(N=12),18本(N=18)と増やすに従って、発電特性はほぼリニアな関係で増加した。もし、流体が均一に流れていない場合は、発電特性はリニアな関係で増加しない。すなわち、並列流路54の入口54Aおよび出口54Bにリブ55を形成して断面積を小さくした領域を設けることにより、並列流路54の流れの均一性を高めることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、並列流路54の入口54Aおよび出口54Bの両方にリブ55を形成して断面積を小さくした領域を設けるようにした場合について説明したが、リブ55は、入口54Aおよび出口54Bの少なくとも一方に設ければよい。例えば図9に示したように、リブ55を入口54Aのみに設けてもよいし、図10に示したように出口54Bのみに設けてもよい。なお、図9および図10は燃料流路30の変形例を表しているが、電解液流路40についても同様の変形例が可能である。
また、上記実施の形態および実施例では、全ての並列流路54にリブ55を設けた場合について説明したが、リブ55は、並列流路54の少なくとも1本に設ければよい。
更に、上記実施の形態および実施例では、全ての並列流路54でリブ55の高さH1を同一とした場合について説明したが、並列流路54ごとにリブ55の高さH1を異ならせるようにしてもよい。
加えて、上記実施の形態および実施例では、並列流路54の下方にリブ55を設けた場合について説明したが、リブ55は、図11(A)に示したように並列流路54の上方に形成してもよいし、図11(B)に示したように並列流路54の左右両方または左右の一方に設けてもよいし、図11(C)に示したように、並列流路54の上下左右すべてに形成してもよい。
更にまた、上記実施の形態および実施例で説明した電解液流路30に代えて、図12に示したように、燃料電極10と酸素電極20との間に、例えばポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)またはその他のプロトン伝導性を有する樹脂よりなる電解質膜60を配置するようにしてもよい。
加えてまた、図13に示したように、燃料流路30と燃料電極10との間に気液分離膜70を設けるようにしてもよい。気液分離膜70は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリプロピレン(PP)などアルコールを液体の状態で透過させない膜により構成することができる。このような気液分離膜70を設けた場合、燃料である純メタノールは液体の状態で燃料流路30を流れる際に自然揮発し、気液分離膜70と接する面から気体Gの状態で気液分離膜70を通りぬけ、燃料電極10に供給される。よって、燃料が効率よく燃料電極10に供給され、反応が安定して行われる。また、燃料が気体の状態で燃料電極10に供給されるので、電極反応活性が高くなり、クロスオーバーも生じにくく、高負荷の外部回路2を有する電子機器においても高い性能が得られる。更に、燃料F2として純(99.9%)メタノールを用いることができ、燃料電池の特徴である高エネルギー密度特性を更に活かすことができると共に、燃料供給部150において、燃料F2の供給濃度を調整する濃度調整部を省略することができ、より小型化することができる。
更にまた、例えば、上記実施の形態および実施例では、燃料電池110と電解液供給部140との間で電解液F1を循環させるようにした場合について説明したが、電解液F1を循環させず、燃料電極10と酸素電極20との間に静止させておくようにしてもよい。
加えてまた、例えば、上記実施の形態および実施例では、燃料電極10,酸素電極20,燃料流路30および電解液流路40の構成について具体的に説明したが、他の構造あるいは他の材料により構成するようにしてもよい。
更にまた、例えば、上記実施の形態および実施例では、一つの燃料電池110を例として説明したが、本発明は、複数の燃料電池110を縦方向(積層方向)または横方向(積層面内方向)に積層した燃料電池スタックにも適用することができ、その薄型化・小型化に極めて有効である。
加えてまた、例えば、上記実施の形態および実施例において説明した各構成要素の材料および厚み、または燃料電池110の発電条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の発電条件としてもよい。
更にまた、上記実施の形態では、燃料電極10に燃料供給部150から燃料F2を供給する場合について説明したが、燃料電極10を密閉型とし、必要に応じて燃料F2を供給するようにしてもよい。
加えてまた、例えば、燃料F2は、メタノールのほか、エタノールやジメチルエーテルなどの他の液体燃料でもよい。電解液F1は、プロトン(H+ )伝導性を有するものであれば特に限定されず、例えば、硫酸のほか、リン酸またはイオン性液体が挙げられる。
更にまた、本発明は、液体燃料を用いる燃料電池に限らず、水素など液体燃料以外の物質を燃料として用いる燃料電池についても適用可能である。
加えてまた、上記実施の形態および実施例では、酸素電極20への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気に代えて酸素または酸素を含むガスを供給するようにしてもよい。
更にまた、上記実施の形態および実施例では、燃料電池110において、燃料電極10と酸素電極20とを、電解液流路30を両者の間に、燃料流路40を外側にして対向配置した場合について説明したが、本発明は、他の構成の燃料電池を有する燃料電池システムにも適用可能である。
加えてまた、上記実施の形態および実施例では、本発明の流路構造体を燃料電池110の燃料流路30および電解液流路40に適用した場合について説明したが、本発明の流路構造体は、ボイラー,ラジエーターあるいは濃度センサなど、流体を並列流路に流す用途に広く適用可能である。
本発明の一実施の形態に係る燃料電池システムを備えた電子機器の概略構成を表す図である。
図1に示した燃料電池の構成を表す断面図である。
図1に示した燃料流路の外観を表す斜視図である。
図4(A)は、図3に示した燃料流路を第1の主流路,第2の主流路および並列流路の設けられた側から見た構成を表した平面図であり、図6(B)は図4(A)のIVB−IVB線における断面図であり、図6(C)は一本の並列流路におけるリブの構成を表す断面図である。
図1に示した電解液流路の外観を表す斜視図である。
図6(A)は、図5に示した電解質流路を第1の主流路,第2の主流路および並列流路の設けられた側から見た構成を表したものであり、図6(B)は図6(A)のVIB−VIB線における断面図であり、図6(C)は一本の並列流路におけるリブの構成を表す断面図である。
本発明の実施例の結果を表す図である。
本発明の実施例の結果を表す図である。
図4に示した燃料流路の変形例を表した平面図および断面図である。
図4に示した燃料流路の他の変形例を表した平面図および断面図である。
図4(C)に示したリブの変形例を表した断面図である。
図2に示した燃料電池の変形例を表した断面図である。
図2に示した燃料電池の他の変形例を表した断面図である。
従来の流路の一例を表した平面図である。
従来の流路の他の例を表した平面図である。
従来の流路の更に他の例を表した平面図である。
符号の説明
1…燃料電池システム、2…外部回路(負荷)、10…燃料電極、20…酸素電極、30…燃料流路、40…電解液流路、60…電解質膜、70…気液分離膜、110…燃料電池、120…測定部、130…制御部、140…電解液供給部、150…燃料供給部