JP2009060825A - 油溶性成分含有粉末組成物及びそれを用いた機能性食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】油溶性成分及び乳化剤を含有するエマルション組成物を乾燥して得られる粉末組成物であって、該乳化剤の融点が45℃以上であり、乳化剤と油溶性成分との比率が0.5〜1.5であることを特徴とする。乳化剤としては、融点が45℃以上のショ糖脂肪酸エステルを、乳化剤全量の60質量%以上含有することが好ましい。
【選択図】なし
Description
油溶性成分を乳化物に適用する際の原料として、安定性、輸送性が良好であるという観点から、水を主成分とする水性媒体に分散させると微細な乳化分散物を形成しうる粉末組成物が使用される。
このような再溶解性、再分散性が良好で、好適な乳化物を形成しうる粉末組成物は、まず、油溶性成分を水性媒体中に乳化剤を使用して均一分散させてエマルション組成物を調整し、それを乾燥することで作製される。
また、得られた粉末組成物の粉末表面がべたつくと、粉末をカプセルに内包させる、或いは、錠剤に成形する場合の作業性が低下するという問題も生じる。
また、機能性油溶性成分であるカロテノイドの水分散技術として、カロテノイドに溶解、懸濁剤として食用油脂や脂溶性ビタミン類を添加する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。ここでは、乳化剤として常温で液体或いは固体の乳化剤をカロテノイド1重量部に対して30〜99重量部配合する旨が記載されているが、この技術によれば、十分な量のカロテノイドを含有する安定な組成物は得難く、さらに、本発明の如き粉末組成物を経ずにカロテノイドを水分散性にすることを目的としており、粉末化の問題点については考慮されていない。
また、本発明のさらなる目的は、前記十分な量の機能性油溶性成分を含有し、微細な乳化粒子を安定して形成しうる乳化物を得られる油溶性成分含有粉末組成物を用いた、機能性油溶性成分が微細な乳化粒子として含まれ、その吸収性が良好な機能性食品を提供することにある。
即ち、本発明の構成は以下の通りである。
<1> 油溶性成分及び乳化剤を含有するエマルション組成物を乾燥して得られる粉末組成物であって、該乳化剤の融点が45℃以上であり、乳化剤と油溶性成分との比率が0.5〜1.5であることを特徴とする油溶性成分含有粉末組成物。
<2> 前記乳化剤として、融点が45℃以上のショ糖脂肪酸エステルを、乳化剤全量の60質量%以上含有することを特徴とする<1>記載の油溶性成分含有粉末組成物。
<3> 前記乳化剤として、さらに、融点が45℃以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする<2>記載の油溶性組成物の乳化物パウダー
<4> 前記油溶性成分がカロチノイド類及び不飽和脂肪酸類からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の油溶性成分含有粉末組成物。
<6> 前記油溶性成分含有粉末組成物を水性溶媒に溶解・分散して得られる乳化物の乳化粒子径が150nm以下であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の油溶性成分含有粉末組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の油溶性成分含有粉末組成物を含むことを特徴とする機能性食品。
<8> 飲料物、カプセル内包物、顆粒、又は、錠剤の剤形を有することを特徴とする<7>記載の機能性食品。
このような微少な乳化粒子を安定に含むことで、本発明の油溶性成分含有粉末組成物を食品に用いると、機能性油溶性成分の体内への吸収が良好となり、機能性食品への適用による優れた効果を奏することになる。
本発明の油溶性成分含有粉末組成物を用いることで、機能性油溶性成分が微細な乳化粒子として含まれ、その吸収性が良好な機能性食品を提供することができる。
本発明の油溶性成分含有粉末組成物は、油溶性成分及び乳化剤を含有するエマルション組成物を乾燥して得られる粉末組成物であって、該乳化剤の融点が45℃以上であり、乳化剤と油溶性成分との比率が0.5〜1.5であることを特徴とする。
このように、乳化剤として融点が45℃以上のものを用いるとともに、油溶性成分に対する乳化剤の含有量を調整することで、油溶性成分に起因する粉末表面のべたつき発生を効果的に抑制しうる。
以下、本発明の粉末組成物に含まれる各成分について説明する。
本発明に用いうる乳化剤の融点としては、45℃以上であることを要し、収率向上の観点からは、47℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。融点の上限には特に制限はないが、一般にエマルション組成物の調製温度が60〜70℃であることを考慮すれば、ハンドリング性の観点からは70℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。
本発明に好適に使用しうる乳化剤としては、融点が45℃以上のショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
本発明に用いられる、ショ糖脂肪酸エステルは、界面活性及び融点の観点から脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。炭素数12以上とすることにより、融点を好ましい範囲に維持しうるとともに、平均粒子径のより小さいエマルジョン粒子を形成できる。
乳化剤には、ショ糖脂肪酸エステル以外の化合物を含むことができるが、ショ糖脂肪酸エステルは乳化剤全量中、60質量%以上の割合で含まれることが好ましく、粉末組成物を水性媒体に溶解、分散して得られる乳化物の乳化粒子径を適切に維持するといった観点からは、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。
ショ糖ステアリン酸エステル(56℃)、ショ糖パルミチン酸エステル(48℃)、ショ糖ミリスチン酸エステル(47℃)、ショ糖ラウリン酸エステル(47℃)、ショ糖モノステアリン酸エステル(52℃)、ショ糖モノパルミチン酸エステル(45℃)。
これらの中でもショ糖ラウリン酸エステル(47℃)、ショ糖モノパルミチン酸エステル(45℃)、ショ糖モノステアリン酸エステル(52℃)がより好ましい。本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
例えば、油溶性成分の分散性向上などの目的で、融点45℃以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用することも好ましい態様である。
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸とのエステルを挙げることができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンステアリン酸エステル(約50℃)、テトラグリセリンステアリン酸エステル(約52℃)、デカグリセリンステアリン酸エステル(約50℃)、デカグリセリンパルミチン酸エステル(40℃)、デカグリセリンベニン酸エステル(71℃)等が挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンパルミチン酸エステル(HLB=13)などである。
これらの融点45℃以上のポリグリセリン脂肪酸エステルは、単独又は混合して、前記融点45℃以上のショ糖脂肪酸エステルとともに用いることができる。
なお、常温で粘調な液体の状態であるポリグリセリンエステルは、その融点が45℃未満であるが、融点45℃以上のショ糖脂肪酸エステルと本発明の効果を損なわない限りにおいて、例えば、ショ糖脂肪酸エステルに対して40質量%未満の量で、好適に併用することができる。
HLB=7+11.7log(Mw/M0)
ここで、Mwは親水基の分子量、M0は疎水基の分子量である。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の界面活性剤を得ることができる。
先の述べたように、本発明における好ましい乳化剤としては、融点が45℃以上のショ糖脂肪酸エステルを、乳化剤全量の60質量%以上含有することが挙げられるが、この要件を満たせば、融点45℃以下の乳化剤や、融点が45℃以上のショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤を、40質量%までに限り、併用することができる。
融点が45℃未満の乳化剤としては、例えば、前記した常温で粘調な液体状態であるポリグリセリンエステル、ショ糖脂肪酸エステルのエタノール混合溶解物、不飽和脂肪酸のショ糖エステル等などを挙げることができる。
本発明で用いることができるリン脂質としては、例えば、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセリン、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等を挙げることができる。またこれらの成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンを挙げることができる。これらのリン脂質の由来は特に限定されないが、精製したものが特に好適である。本発明では、これらのリン脂質を、単独、又は併用して用いることができる。
これらのリン脂質の内で、入手の容易性、安全性、及び乳化性の点から、レシチン(ホスファチジルコリン)が、好ましい。
前記酵素分解レシチンは、リゾレシチンとも呼ばれ、レシチンにホスホリパーゼA2を作用させ、β位のエステル結合を加水分化し、水酸基を増やすことにより、親水性を増大させたものである。
また、前記ヒドロキシル化は、レシチンを高濃度の過酸化水素と酢酸、酒石酸、酪酸などの有機酸と共に加熱することにより、脂肪酸部分の不飽和結合が、ヒドロキシル化される。ヒドロキシル化により、レシチンの親水性が改良される。
本発明における粉末状組成物において、乳化剤としてリン脂質を併用する場合、その含有量としては0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜8質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明における油溶性成分としては、特に制限はなく、目的に応じた物性や機能性を有するものを適宜選択して使用することができ、例えば、脂溶性カロチノイド、脂溶性ビタミン、ユビキノン類、不飽和脂肪酸類、油脂類などが挙げられる。
油溶性成分としては、食品に適用しうる機能性を有することから、カロチノイド類及び不飽和脂肪酸類からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明におけるこれらの油溶性成分の含有量は、粉末組成物を得るためのエマルション組成物に対して、乳化粒子径の微細化と乳化安定性の観点から、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。
また、天然由来のものに限定されず、常法に従って得られるものであればいずれのものも、本発明におけるカロチノイドに含まれる。例えば、後述のカロチノイド類のカロチン類の多くは合成によっても製造されており、市販のβ−カロチンの多くは合成により製造している。
これらの例として、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロテン、β−カロテン、”カロテン”(α−及びβ−カロテン類の混合物)、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、エキネノン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類が挙げられる。
カロチノイド類は一般に植物素材から抽出することができる。これらのカロチノイド類は種々の機能を有しており、例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮膚及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける機能がある。
これらのアスタキサンチン類は、超臨界炭酸ガスを用いて天然素材から抽出したものが、臭気の点でより好ましい。
ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトコッカス藻由来色素)は、オキアミ由来の色素や、合成されたアスタキサンチンとはエステルの種類及びその含有量の点で異なることが知られている。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻の培養方法は、特開平8−103288号公報等に開示された様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、栄養細胞から休眠細胞であるシスト細胞に形態変化していればよい。
前記ヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報記載の色素同様、色素純分としてはアスタキサンチンもしくはそのエステル体を含み、エステル体を、一般的には50モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むものである。
また、本発明において、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5O、同−5O、同−10O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstinSCE7等が挙げられる。
本発明において、ヘマトコッカス藻抽出物中のアスタキサチン類の色素純分としての含有量は、抽出コストの観点から好ましくは0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜25質量%である。
脂溶性ビタミンE類には、特に限定されないが、トコフェロール及びトコトリエノール並びにこれらの誘導体などが含まれ、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等を挙げることができる。これらは単独で用いても、複数併用して用いてもよいが、混合物の状態で使用する場合が好ましく、混合物の状態のものとしては抽出トコフェロール、ミックストコフェロールなどと呼ばれるものが含まれる。
またその他の脂溶性ビタミン物質としては、ニコチン酸ビタミンE等のエステル類;ビタミンK1 乃至K3 等のビタミンK類を挙げることができる。
アスコルビン酸、エリソルビン酸などの油溶化誘導体には、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸エリソルビルエステル、テトライソパルミチン酸エリソルビルエステル、ジオレイン酸アスコルビル等のビタミンCの脂肪酸エステル類、ジパルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキシン、ジラウリン酸ピリドキシン、ジオクタン酸ピリドキシン等のビタミンB6の脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらのうち、アスコルビン酸、エリソルビン酸の油溶化誘導体は、ラジカル捕捉剤としても使用可能である。
飽和脂肪酸類の好ましい態様である多価脂肪酸のうち、ω−3油脂類としては、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)並びにこれらを含有する魚油などを挙げることができる。
このうちDHAは、ドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid)の略称であり、6つの二重結合を含む22個の炭素鎖をもつカルボン酸(22:6)の総称であるが、通常は生体にとって重要な4、7、10、13、16、19位に全てシス型の二重結合をもつ。
前記液体の油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
また、前記固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
上記の中でも、エマルション組成物の粒子径、安定性の観点から、中鎖脂肪酸トリグリセライドであるココナッツ油が好ましく用いられる。
油溶性成分の含有量が前記範囲において、機能性油溶性成分よる効果を十分に得ることができ、また、保存経時による粉末表面への油溶性成分しみ出しが効果的に抑制され、取り扱い性の向上が可能となり、好ましい。
機能性の油溶性成分中に、前記トコフェロール類を併用する場合には、機能性油溶性成分の総量に対し、好ましくは5質量%〜35質量%、より好ましくは7質量%〜20質量%の範囲で併用することができる。
本発明の粉末組成物には、上記成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて種々の成分を併用することができる。以下、併用可能な成分について説明する。
本発明におけるエマルション組成物の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、a)水性媒体(水、または、水と多価アルコールの混合物等)に、乳化剤を溶解させて、水相を得、b)脂溶性成分(脂溶性のカロチノイド類等)及びリン脂質を混合・溶解して、油相を得、c)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行い、エマルション組成物を得る、ステップからなる製造方法が好ましい。
前記製造方法における油相、水相に含有される成分は、前述の本発明に係るエマルション組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せがより好ましい。
油相/水相比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分が低くならないためエマルション組成物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油相/水相比率を50/50以下とすることにより、界面活性剤濃度が薄くなることがなく、エマルション組成物の乳化安定性が悪化しない傾向となり好ましい。
具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、高圧ホモジナイザー等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることができる。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行ってもよい。
また、操作の自由度は低いが、圧力を高める機構が作りやすいため、超高圧を必要とする場合、チャンバー型高圧ホモジナイザーも好適に用いることができる。
前記均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
また、乳化分散された組成物である乳化液はチャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが、分散粒子の粒子径保持の観点から好ましい。
特に、本発明では、微細なエマルション粒子が均一に分散したエマルション組成物を得ることが本発明の粉末状組成物の特性を決定する上で重要である。
本発明に係るエマルション組成物の粒子径は、粒子安定性及び透明性の観点から、200nm以下であることが好ましく、透明性の観点から、より好ましくは130nm以下、最も好ましくは90nm以下である。
本発明における粒径範囲および測定の容易さから、本発明におけるエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明における粒子径は、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)を用いて測定したD50値で表した。
本発明における粒径は、25℃で測定した値を採用する。
上記のようにして得られたエマルション組成物は、次いで乾燥工程で乾燥に供される。
本製造方法に適用可能な乾燥方法としては、通常、この用途で使用される方法であればいずれのものであってもよく、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、棚乾燥、ベルト乾燥、ドラム乾燥などを挙げることができる。このうち、粉体の取り扱いの観点から、噴霧乾燥、凍結乾燥が好ましい。噴霧乾燥等により乾燥された粉末はサイクロンの原理を応用した装置を用いて捕集してもよい。
乾燥工程における収率は、以下のようにして求められるが、本発明によれば、この収率を60%以上とすることができる。
(収率算出方法)
なお、ここでは、乾燥方法として、噴霧乾燥を採用し、乾燥後の粉末の回収において、サイクロンによる捕集を行った例に従った算出方法を述べる。
・乾燥工程に用いたエマルョン組成物 A kg
・エマルション不揮発分濃度 x%
・サイクロンより捕集した粉末 B kg
・粉末の不揮発分 y%(105℃ 6時間乾燥)
以上の数値を用い、下記式に従って収率を算出する。
(式) 収率=〔(B×y)/(A×x)〕×100(%)
再溶解後に得られたエマルション組成物における粒子径は、1質量%の水溶液としたときに平均粒子径が透明性や吸収性の観点から150nm以下とすることができ、良好な透明性や分散安定性並びに上記各種保存安定性の観点から、1nm以上、130nm未満のものとすることが好ましい。
本発明の機能性食品は、本発明の油溶性成分含有粉末組成物を含むものである。
ここで、本発明の機能性食品の形態としては、栄養ドリンク、滋養強壮剤、嗜好性飲料、冷菓などの一般的な食品類のみならず、錠剤状・顆粒状・カプセル状の栄養補助食品なども好適に挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
本発明の機能性食品は、本発明の前記油溶性成分含有粉末組成物と、所望の目的を達成するための添加可能な任意の成分とを、常法により混合等して、得ることができる。
ここで本発明の粉末組成物は、目的とする各種製品組成物の形態に応じて、粉末化の状態で、又は水性媒体に再溶解して、他の成分と混合し、食品の形態とすればよい。
添加量が0.01質量%以上であれば目的の効果の発揮が期待でき、10質量%以下であれば、適切な効果を効率よく発揮できることが多い。
[実施例1]
<1.エマルジョンの調製>
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・水 246.9g
・レシチン(レシオンP) 1.3g
・シュガーエステル(L−1695、mp:47℃) 5.9g
・ポリグリセリンエステル(Decaglyn1−L ) 2.0g
・イヌリン 34.7g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20.3質量%) 7.8g
・ミックストコフェロール 1.3g
得られたエマルション組成物中の乳化粒子の粒径を以下の方法で測定したところ、50nmであり、微細な乳化粒子の存在が確認された。
なお、水希釈乳化物の乳化粒子の粒径測定は、濃厚系粒径アナライザー FPER1000(大塚電子(株)社製)を使用して行った。
<収率>
粉末組成物1の収率を、エマルション組成物や粉末の量を基に、先に述べた収率算出方法における式を用いて同様にして求めたところ、91%であり、高収率で粉末組成物1を得られることが確認された。
(再分散エマルション組成物における乳化粒子の粒径)
粉末組成物1を1g、水99gに添加することにより得られたエマルション組成物の乳化粒子の平均粒子径を、上記と同様の方法で、25℃の測定条件で測定した。その結果、乳化粒子の粒径は、121nmであり、再分散によるエマルション組成物においても微細な乳化粒子が得られることがわかる。
<付着性>
前記で得られたエマルション組成物の乾燥を行った噴霧乾燥装置の内壁を、粉末の乾燥が終了した後目視にて観察したところ、内壁に、静電気的に付着した僅かな付着物以外の、粘性を伴ったあるいは溶着したの付着物は観察されなかった。
<加工適性>
ハードカプセル充填機(BOSCH社製:GKF−400型)を用いて、得られた粉末状組成物をカプセル内に充填させる作業を行った。作業中の粉末状組成物の流動性、充填重量のバラツキ、充填機やカプセル外壁面への所望されない粉末の付着状態などを総合的評価し、実用上問題のないレベルであれば、「○」と評価し、粉末の相互付着により、流動性、均一秤量性、装置への粉末の付着のいずれかが実用上問題となるレベルである場合を「×」と評価した。
これらの評価結果を下記表2に示す。
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物2を得た。
・水 246.9g
・レシチン(レシオンP) 0.8g
・シュガーエステル(モノエステルP) 5.0g
・イヌリン 35.7g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20.3質量%) 9.2g
・ミックストコフェロール 2.4g
上記水相組成物2、油相組成物2を用いた他は、実施例1と同様にしてエマルション組成物を得、その後、それを実施例1と同様に乾燥することで、3.5質量%のアスタキサンチンを含む実施例2の粉末組成物を得た。
実施例1と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物3を得た。
・水 246.9g
・レシチン(レシオンP) 1.8g
・シュガーエステル(S−1670) 10.0g
・ポリグリセリンエステル(DS−3) 1.1g
・イヌリン 31.5g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20.3質量%) 7.8g
・ミックストコフェロール 0.8g
上記水相組成物2、油相組成物2を用いた他は、実施例1と同様にしてエマルション組成物を得、その後、それを実施例1と同様に乾燥することで、3.0質量%のアスタキサンチンを含む実施例3の粉末組成物を得た。
実施例1と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
<1.エマルジョンの調製>
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物4を得た。
・水 246.9g
・レシチン(レシオンP) 1.6g
・シュガーエステル(L−1695) 8.4g
・ポリグリセリンエステル(Decaglyn1−L) 1.5g
・イヌリン 30.1g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20.3質量%) 10.5g
・ミックストコフェロール 1.0g
上記水相組成物4、油相組成物4を用いた他は、実施例1と同様にしてエマルション組成物を得、その後、それを実施例1と同様に乾燥することで、4.0質量%のアスタキサンチンを含む実施例4の粉末組成物を得た。
実施例1と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物5を得た。
・水 206.4g
・レシチン(レシオンP) 3.8g
・シュガーエステル(L−1695) 19.9g
・イヌリン 42.0g
・DHA−70(マルハ製:DHA含有率70質量%) 26.7g
・ミックストコフェロール 1.2g
上記水相組成物5、油相組成物5を用いた他は、実施例1と同様にしてエマルション組成物を得、その後、それを実施例1と同様に乾燥することで、油溶性成分として20質量%のDHAを含む実施例5の粉末組成物を得た。
実施例1と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物6を得た。
・水 206.4g
・レシチン(レシオンP) 4.3g
・シュガーエステル(L−1695) 11.25g
・シュガーエステル(モノエステルP) 11.25g
・イヌリン 40.1g
・DHA−70(マルハ製:DHA含有率70質量%) 26.7g
上記水相組成物6、油相組成物6を用いた他は、実施例1と同様にしてエマルション組成物を得、その後、それを実施例1と同様に乾燥することで、油溶性成分として20質量%のDHAを含む実施例6の粉末組成物を得た。
実施例1と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
<1.エマルジョンの調製>
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物C1を得た。
・水 246.9g
・レシチン(レシオンP) 1.4g
・Decaglyn1−L 1.5g
・イヌリン 33.2g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20.3質量%) 7.8g
・ミックストコフェロール 2.1g
上記水相組成物C1、油相組成物C1を用いた他は、実施例1と同様にしてエマルション組成物を得、その後、それを実施例1と同様に乾燥することで、3.0質量%のアスタキサンチンを含む比較例1の粉末組成物を得た。
実施例1と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物C2を得た。
・水 200g
・レシチン(レシオンP) 3.9g
・Decaglyn1−L 20.4g
・イヌリン 38.0g
・DHA−70(マルハ製:DHA含有率70質量%) 25.9g
・ミックストコフェロール 2.6g
上記水相組成物C2、油相組成物C2を用いた他は、実施例1と同様にしてエマルション組成物を得、その後、それを実施例1と同様に乾燥することで、20質量%のDHAを含む比較例2の粉末組成物を得た。
実施例1と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物C3を得た。
・水 246.9g
・レシチン(レシオンP) 1.3g
・シュガーエステル(O−1570:mp43℃) 5.9g
・Decaglyn1−L 2.0g
・イヌリン 34.7g
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20.3質量%) 7.8g
・ミックストコフェロール 1.3g
上記水相組成物C3、油相組成物C3を用いた他は、実施例1と同様にしてエマルション組成物を得、その後、それを実施例1と同様に乾燥することで、3.0質量%のアスタキサンチンを含む比較例3の粉末組成物を得た。
実施例1と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
実施例1〜実施例6,比較例1〜比較例3に用いられた主成分を下記表1にまとめた。
ヘマトコッカス抽出物は、武田紙器株式会社製ASTOTS−Sを使用した。レシチン(大豆由来)は理研ビタミン株式会社製のレシオンPを使用した。ミックストコフェロールは、理研ビタミン株式会社製の理研Eオイル800を使用した。DHA−70はマルハ(株)製DHA−70を用いた。
また、本発明の粉末組成物を水性媒体に再分散させたところ、粒径150nm以下の微細な乳化粒子を含む乳化物が得られた。
他方、本発明に規定される乳化剤を含有しない比較例1、2の粉末組成物では、再分散エマルションの乳化粒子の粒径は比較的良好であったが、収率が低く、加工性にも劣ることが確認された。また、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルであっても、融点が45℃未満のものを、本発明の規定よりも多く用いた比較例3では、収率にやや改良が見られるものの、加工適性に劣り、さらに、再分散により得られたエマルション組成物において目的とする微細な乳化粒子径が得られなかった。
Claims (8)
- 油溶性成分及び乳化剤を含有するエマルション組成物を乾燥して得られる粉末組成物であって、該乳化剤の融点が45℃以上であり、乳化剤と油溶性成分との比率が0.5〜1.5であることを特徴とする油溶性成分含有粉末組成物。
- 前記乳化剤として、融点が45℃以上のショ糖脂肪酸エステルを、乳化剤全量の60質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の油溶性成分含有粉末組成物。
- 前記乳化剤として、さらに、融点が45℃以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする請求項2記載の油溶性成分含有粉末組成物。
- 前記油溶性成分がカロチノイド類及び不飽和脂肪酸類からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の油溶性成分含有粉末組成物。
- 前記油溶性成分として、さらに、トコフェロール、トコトリエノールおよびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の油溶性成分含有粉末組成物。
- 前記油溶性成分含有粉末組成物を水性溶媒に溶解・分散して得られる乳化物の乳化粒子径が150nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の油溶性成分含有粉末組成物。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の油溶性成分含有粉末組成物を含むことを特徴とする機能性食品。
- 飲料物、カプセル内包物、顆粒、又は、錠剤の剤形を有することを特徴とする請求項7記載の機能性食品。
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