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JP2008298105A - 軸受用保持器 - Google Patents

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Daiki Umehara
大樹 梅原
Yukio Oura
大浦  行雄
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Abstract

【課題】強度の維持向上を図ることで長期に亘って連続して使用することが可能な耐久性に優れた軸受用保持器を提供する。
【解決手段】軸受内部において複数の転動体を回転自在に保持しながら、これら複数の転動体と共に軸受内部に沿って公転する軸受用保持器1であって、軸受内部に沿って周方向に連続し且つ軸方向に対向配置された一対の円環部2,4と、これら一対の円環部相互間に亘って延出し、当該円環部に沿って周方向に所定間隔で配列された複数の柱部6と、一対の円環部と複数の柱部とによって区画され、複数の転動体を1つずつ回転自在に保持する複数のポケット8とを備えており、一方の円環部の剛性と他方の円環部の剛性との剛性比は、0.7〜1.5の範囲に設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、強度の維持向上が図られた軸受用保持器に関する。
従来、装置の回転部分を支持する軸受には、複数の転動体を回転可能に保持する各種の保持器が用いられており、当該保持器は、軸受回転中に転動体から常に荷重を受ける。一例として、鉄道車両車軸用軸受(複列密封円すいころ軸受)に用いられた保持器を想定すると、当該保持器には、複数の転動体(即ち、ころ)を回転可能に保持する複数のポケットが設けられている。この場合、軸受回転中に“ころ”から荷重を受けることにより、各ポケットの四隅において過度の応力集中が生じる場合がある。従来では、かかる応力集中を緩和する方策として、各ポケット四隅の曲率半径を大きく設定することが一般的に行われている。
ところで、各ポケット四隅ところ周縁に施された面取り(ころ面取り)との間の干渉を考慮すると、各ポケット四隅の曲率半径は、ころ面取り寸法以下に設定する必要がある。仮に、ころ面取り寸法を増加させた場合において、各ポケット四隅の曲率半径を大きく設定することにより、各ポケット四隅の応力集中を緩和させることは可能である。しかし、面取り寸法を増加させるに従って、軸受の負荷容量が減少してしまうため、各ポケット四隅の曲率半径を大きくするには、一定の限界がある。
そこで、特許文献1〜4には、各ポケット四隅に逃げを形成することにより、ころ面取りに干渉すること無く、各ポケット四隅の応力集中を緩和させる技術が提案されている。即ち、特許文献1には、各ポケット四隅に円弧状の切欠を形成したころ軸受装置が開示されており、特許文献2には、各ポケット四隅にアール部を形成したころ軸受用保持器が開示されている。また、特許文献3,4には、各ポケット四隅に溝状(凹状)のぬすみ部を形成したころ軸受用保持器が提案されている。
しかしながら、このような逃げ部を形成した場合には、その分だけ各ポケットを構成する部分の肉厚が局部的に薄くなり、その結果、保持器全体の強度が低下してしまうといった問題がある。特に鉄道車両車軸用軸受は、高速回転で使用されるため、保持器には、軸受回転中に転動体から大きな衝撃荷重を受けることになる。従って、各ポケット四隅に逃げ部を形成した従来の保持器は、大きな衝撃荷重に対する耐久性が低下し、これにより、長期に亘って連続して使用することが困難になる虞がある。
実開昭61−168326号公報 特開平11−51060号公報 特開平9−177793号公報 特開2002−242938号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、強度の維持向上を図ることで長期に亘って連続して使用することが可能な耐久性に優れた軸受用保持器を提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、軸受内部において複数の転動体を回転自在に保持しながら、これら複数の転動体と共に軸受内部に沿って公転する軸受用保持器であって、軸受内部に沿って周方向に連続し且つ軸方向に対向配置された一対の円環部と、これら一対の円環部相互間に亘って延出し、当該円環部に沿って周方向に所定間隔で配列された複数の柱部と、一対の円環部と複数の柱部とによって区画され、複数の転動体を1つずつ回転自在に保持する複数のポケットとを備えており、一方の円環部の剛性と他方の円環部の剛性との剛性比は、0.7〜1.5の範囲に設定されている。
このような発明において、一対の円環部は、その径が互いに異なると共に、互いに同中心に所定の間隔を空けて対向配置されている。この場合、一対の円環部は、小さい径の小径円環部と、小径円環部よりも大きい径の大径円環部とで構成されており、大径円環部の剛性をKとし、小径円環部の剛性をKとすると、これら一対の円環部同士の剛性比Kは、0.7<K=K/K<1.5なる関係を満足するように設定されている。なお、各ポケットには、転動体として複数のころが1つずつ回転自在に保持されている。
本発明によれば、強度の維持向上を図ることで長期に亘って連続して使用することが可能な耐久性に優れた軸受用保持器を実現することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る軸受用保持器について、添付図面を参照して説明する。
図1(a)には、本実施の形態の軸受用保持器の一例として、鉄道車両車軸用軸受(複列密封円すいころ軸受)に用いられた保持器1が示されている。かかる保持器1は、図示しない軸受内部において複数の転動体(即ち、ころ)を回転自在に保持しながら、これら複数の転動体と共に軸受内部に沿って公転するように構成されており、当該保持器1全体が軸方向に非対称な形状を成している。
具体的に説明すると、保持器1は、軸受内部に沿って周方向に連続し且つ軸方向に対向配置された一対の円環部2,4と、これら一対の円環部2,4相互間に亘って延出し、当該円環部2,4に沿って周方向に所定間隔で配列された複数の柱部6と、一対の円環部2,4と複数の柱部6とによって区画され、複数の転動体(ころ)を1つずつ回転自在に保持する複数のポケット8とを備えている。この場合、一対の円環部2,4は、その直径が互いに異なると共に、互いに同中心に所定の間隔を空けて対向配置された小さい径の小径円環部2と、小径円環部2よりも大きい径の大径円環部4とで構成されている。また、複数の柱部6は、一対の円環部2,4の間に亘って延出し、その両端部6eが各円環部2,4に接合されている。
なお、一対の円環部2,4と複数の柱部6とは、保持器成形時に一体成形しても良いし、或いは、複数の柱部6を別体で成形し、その両端部6eを一対の円環部2,4に後付けしても良い。この場合、後付けする方法としては、各柱部6の両端部6eを一対の円環部2,4に対して例えば接着、溶着、嵌合、ネジ止めするなどの各種の方法を適用することができるが、ここでは特に限定しない。また、保持器(円環部2,4、柱部6)の材質としては、樹脂材料を適用しても良いし、或いは、例えば鋼板や黄銅などの金属材料を適用しても良い。
本実施の形態では、上述した保持器1において、一方の小径円環部2の剛性と他方の大径円環部4の剛性との剛性比が0.7〜1.5の範囲に設定されている。具体的には、大径円環部4の剛性をKとし、小径円環部2の剛性をKとすると、これら一対の円環部2,4同士の剛性比Kは、0.7<K=K/K<1.5なる関係を満足するように設定されている。
ここで、一対の円環部2,4同士の剛性比Kと、それに付随するパラメータの定義について、図1(b)〜(d)を参照して説明する。なお、同図(b),(c)には、小径円環部2と大径円環部4を円環モデルに単純化したものが示されている。また、同図(c)は、同図(b)のC−C線に沿う断面図である。この場合、円環モデル2,4の重心を挟んで対向した部分Pa,Pcに荷重Fを負荷すると、それぞれの部分Pa,Pc相互間の相対変位δacは、(1)式のようにあらわすことができる。
δac={(π/4)−(2/π)}Fr/EI …(1)
(1)式において、rは円環モデル2,4の断面の重心位置の半径、Eは保持器部材のヤング率であり、Iは保持器中心軸Ax(図1(d))に平行なx軸周りの断面二次モーメントを示す。この場合、荷重Fが一定(const.)で、且つ、ヤング率Eも一定(const.)であるとすると、
δac≒r/I …(2)
なる関係を満足するため、大径円環部4の剛性K及び小径円環部2の剛性Kは、(3),(4)式のようにあらわすことができる。
=r /I …(3)
=r /I …(4)
本実施の形態では、(5)式に示すように、(3),(4)式の剛性K,Kの比をとって一対の円環部2,4同士の剛性比Kを定義している。
K=K/K …(5)
次に、本実施の形態の保持器1(図1(a))として、例えば図2(a)〜(f)に示すような6種類の保持器1を用意し、各保持器1を組み込んだ鉄道車両車軸用軸受(複列密封円すいころ軸受)に対して、落下衝撃モード(振動加速度α=15〜41.25G)での、転動体(ころ)と柱部6との衝突によって発生する各ポケット8の四隅部8a,8b(図1(a))の応力を有限要素法(FEM:Finite-Element Method)解析で求めた。なお、図2(a)〜(f)に示された各保持器1では、大径円環部4の肉厚が段階的(図面では6段階)に径方向に向けて拡大されており、これにより、同図(a)の円環部2,4同士の剛性比Kは0.1、同図(b)の剛性比Kは0.3、同図(c)の剛性比Kは0.7、同図(d)の剛性比Kは1.1、同図(e)の剛性比Kは1.5、同図(f)の剛性比Kは2.0にそれぞれ設定されている。
図3には、FEM解析における荷重負荷方法の概略が示されている。ここでは、内外輪の軌道面間(内輪軌道面10と外輪軌道面12との間)で複数の転動体(ころ)14を保持した保持器1の180度分がモデル化されている。そして、落下衝撃モード(振動加速度α=15〜41.25G)で各転動体(ころ)14を加速した際の荷重(α×転動体重量)のうち接線方向(転動体公転方向)分力を転動体(ころ)14を介して保持器1に負荷した。このとき、保持器1の0度及び180度の断面で左右対称の拘束を与えた。
この場合、FEM解析に使用したモデルの主な諸元を以下に示す。
保持器1:大径円環部4の外径φ=210mm、小径円環部2の内径φ=168mm、
幅68mm
保持器1の材質:グラスファイバ25%配合ポリアミド66(PA66GF25)
ヤング率E=3450MPa、ポアソン比ν=0.35
転動体(ころ)14の質量:220g
転動体(ころ)14の個数:19個
転動体(ころ)14の材質:剛体
図4(a),(b)には、従来品(K=0.1)の応力を1とした場合において、小径円環部2の剛性Kを基準とした剛性比Kと、各ポケット8の大径円環部4側の隅部8b(図1(a))及び小径円環部2側の隅部8a(同図(a))のそれぞれに生じる主応力比との関係(FEM解析結果)が示されている。これによれば、K=1.0近傍において、主応力比が最小となることが分かる。この場合、K=0.7以上とすることにより、各ポケット8の四隅部8a,8bに生じる主応力比を従来品に比べて顕著に低減させることができる。
なお、K=1.5以上の領域では、応力低減効果が少なくなり、軸受内部の空間容積が小さくなるため、特にグリース潤滑の場合には、封入グリース量が不足し、その結果、軸受の潤滑性能が維持できなくなる。このため、K=0.7〜1.5とすることで、保持器1の強度及び軸受の潤滑性能の維持向上が図られる。なお、軸受内部の空間上の制約が無い場合には、K=0.9〜1.4とすることで、一層の応力低減効果が得られ、主応力比を30%以上低減させることができる。
以上、本実施の形態によれば、保持器1の一対の円環部2,4同士の剛性比Kを0.7<K=K/K<1.5なる関係を満足するように設定したことにより、各ポケット8を構成する各柱部6の周方向剛性を軸方向で均一化させることができる。この場合、各柱部6と転動体(ころ)との間で発生する衝突力は、各柱部6の軸方向に均一に分散するため、各ポケット8の四隅(隅部8a,8b)への応力集中を低減させることができる。これにより、当該保持器1が組み込まれた軸受を長期に亘って安定して使用することが可能となり、その結果、軸受寿命の延命化を図ることができる。
また、本実施の形態の保持器1によれば、従来のように各ポケット四隅に逃げを形成する必要が無いため、各ポケット8を構成する各柱部6の肉厚を一定に保持することができる。これにより、保持器全体の強度を一定に維持し且つ従来よりも向上させることができる。この結果、軸受高速回転時における大きな衝撃荷重に対する保持器1自体の耐久性の維持向上を図ることができる。
また、本発明の軸受用保持器1において、剛性比Kが0.7<K=K/K<1.5なる関係を満足する円環部2,4の形状は、上述した実施の形態(図2(a)〜(f))に限定されることは無く、例えば図5(a)〜(e)に示すような構成としても良い。なお、同図(a)〜(d)の保持器1は、アキシアルドロー方式で射出成形することが可能であり、同図(e)の保持器1は、ラジアルドロー方式で射出成形することが可能である。なお、ここでは、主に大径円環部4の肉厚や形状を変化させているが、要するに、一対の円環部2,4同士の剛性比Kを0.7<K=K/K<1.5なる関係に満足させることができれば、当該円環部2,4の形状は、図5(a)〜(e)の構成例に限定されることは無く、任意に設定することができるため、ここでは特に限定しない。
また、上述した図5(a)〜(e)の構成例において、図6(a)〜(d)に示すように、小径円環部2及び大径円環部4の双方又は一方に軸方向や径方向に沿って肉盗み部16を形成しても良い。この場合、肉盗み部16は、小径円環部2及び大径円環部4の表面を一部切り欠いて凹状に窪ませることで形成されており、軸方向や径方向に沿って連続的又は断続的に構成することができる。その一例として、図6(a)には、小径円環部2の軸方向や径方向に沿って複数の肉盗み部16が形成されており、図6(b)〜(d)には、大径円環部4の軸方向や径方向に沿って複数の肉盗み部16が形成されている。
このように、小径円環部2及び大径円環部4に肉盗み部16を形成することにより、円環部2,4同士の剛性比Kを最適な状態に設定することができる。なお、図面では、凹状の肉盗み部16を例示しているが、これに限定されることは無く、例えば円弧状や三角形状など任意の形状にすることができる。また、各肉盗み部16の形状や大きさ或いは深さは、小径円環部2及び大径円環部4の大きさや形状、設定する剛性比Kなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
また、上述した実施の形態では、樹脂製の保持器1を想定して説明したが、これに限定されることは無く、例えば鋼板や黄銅などの金属材料を保持器1の材質としても良い。その一例として図7(a)〜(c)には、鋼板にプレス加工を施して形成した保持器1の構成例が示されている。この場合、同図(a)の保持器1は、小径円環部2が内径方向に延出し且つ大径円環部4が外径方向に延出している。同図(b)の保持器1は、大径円環部4が外径方向に湾曲して折り返されており、同図(c)の保持器1は、大径円環部4が内径方向に延出している。なお、同図(b),(c)の保持器1の小径円環部2の形状は、同図(a)の保持器1と同一である。
このような鋼板製の保持器1も、その剛性比Kを0.7<K=K/K<1.5なる関係に満足させることができれば、一対の円環部2,4の形状は、図7(a)〜(c)の構成例に限定されることは無く、任意に設定することができるため、ここでは特に限定しない。なお、鋼板の種類としては、例えばSPCC、SPB2、SPB1、SPHDなどが挙げられるが、これも保持器1の例えば使用目的や使用環境に応じて任意に選択されるため、ここでは特に限定しない。
(a)は、本発明の一実施の形態に係る軸受用保持器の構成を示す斜視図、(b)は、小径円環部及び大径円環部を単純化した円環モデル、(c)は、同図(b)のC−C線に沿う断面図、(d)は、小径円環部及び大径円環部における断面二次モーメントを示す図。 (a)〜(f)は、それぞれ、FEM解析用の保持器の構成例を示す断面図。 FEM解析における荷重負荷方法の概略を示す図。 (a)は、小径円環部の剛性を基準とした剛性比と大径円環部側の隅部に生じる主応力比との関係を示す図、(b)は、小径円環部の剛性を基準とした剛性比と小径円環部側の隅部に生じる主応力比との関係を示す図。 (a)〜(e)は、それぞれ、本発明の変形例に係る軸受用保持器の構成例を示す断面図。 (a)は、小径円環部に肉盗み部が形成された軸受用保持器の構成例を示す断面図、(b)〜(d)は、大径円環部に肉盗み部が形成された軸受用保持器の構成例を示す断面図。 (a)〜(c)は、それぞれ、鋼板にプレス加工を施して形成した保持器の構成例を示す断面図。
符号の説明
1 保持器
2 小径円環部
4 大径円環部
6 柱部
8 ポケット

Claims (4)

  1. 軸受内部において複数の転動体を回転自在に保持しながら、これら複数の転動体と共に軸受内部に沿って公転する軸受用保持器であって、
    軸受内部に沿って周方向に連続し且つ軸方向に対向配置された一対の円環部と、
    これら一対の円環部相互間に亘って延出し、当該円環部に沿って周方向に所定間隔で配列された複数の柱部と、
    一対の円環部と複数の柱部とによって区画され、複数の転動体を1つずつ回転自在に保持する複数のポケットとを備えており、
    一方の円環部の剛性と他方の円環部の剛性との剛性比は、0.7〜1.5の範囲に設定されていることを特徴とする軸受用保持器。
  2. 一対の円環部は、その径が互いに異なると共に、互いに同中心に所定の間隔を空けて対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載の軸受用保持器。
  3. 一対の円環部は、小さい径の小径円環部と、小径円環部よりも大きい径の大径円環部とで構成されており、大径円環部の剛性をKとし、小径円環部の剛性をKとすると、これら一対の円環部同士の剛性比Kは、
    0.7<K=K/K<1.5
    なる関係を満足するように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受用保持器。
  4. 各ポケットには、転動体として複数のころが1つずつ回転自在に保持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軸受用保持器。
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